特許第6095364号(P6095364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095364
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】温熱具
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A61F7/08 334R
   A61F7/08 334H
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-288680(P2012-288680)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-128467(P2014-128467A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】今井 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】田上 恭子
(72)【発明者】
【氏名】中島 美奈子
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−20991(JP,A)
【文献】 特開2012−16587(JP,A)
【文献】 特開2010−158507(JP,A)
【文献】 特表2008−537951(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0141437(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化性金属および炭素成分を含む発熱部と、該発熱部を収容する収容体を備えており、前記収容体が肌側に位置する収容体第一シート部および前記収容体第一シート部に対向して配置された収容体第二シート部を有し、
以下の成分Aおよび成分Bが保持され、
前記成分Aの含有量が前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたり0.08g/m以上、3g/m以下であり、
前記成分Bと前記炭素成分との質量比(成分B/炭素成分)が0.001以上、0.1以下である温熱具。
[成分A]冷感剤
[成分B]セスキテルペン炭化水素
【請求項2】
前記冷感剤が、l-メントール、dl-メントール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−エチル―3―p―メンタンカルボキシアミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の温熱具。
【請求項3】
前記成分Bの含有量が0.08mg以上0.8mg以下である請求項1または2に記載の温熱具。
【請求項4】
前記成分Aの含有量と前記成分Bの含有量の質量比(成分A/成分B)が、1以上50以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の温熱具。
【請求項5】
前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたりに対する前記成分Bの含有量が、0.02g/m以上3g/m以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の温熱具。
【請求項6】
当該温熱具は、皮膚の厚みが薄い部位用の温熱具である請求項1乃至5のいずれかに記載の温熱具。
【請求項7】
前記被酸化性金属の含有量は、前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたり、100g/m以上3000g/m以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の温熱具。
【請求項8】
前記収容体内部に、成分Aおよび成分Bが付されたシートが配置される、または、前記収容体を構成する前記収容体第一シート部および前記収容体第二シート部の少なくともいずれか一方に成分Aおよび成分Bが付される、または、前記収容体外部に、成分Aおよび成分Bが付されたシートが配置される、請求項1乃至7のいずれかに記載の温熱具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被酸化性金属の酸化反応により発熱する温熱具が使用されている。このような温熱具のうち、香りを賦香したものや、使用者に清涼感を与えるものが開発されている。
たとえば、特許文献1には、冷感剤を含む発熱具が開示されており、特許文献2および3には、特定の香料組成物が賦香された発熱具が開示されている。
さらに、特許文献4にも、香料を含有する水蒸気発生体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2010−158507号公報
【特許文献2】特開平2011−160885号公報
【特許文献3】特開平2010−51690号公報
【特許文献4】特開平2004−208921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが、温熱具における使用時の清涼感と香り立ちの両立の検討を行なったところ、これらの特性の両立は困難となる場合があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして更に鋭意検討を行った結果、特定香料を特定量で冷感剤含有温熱具に用いると、使用者に良好な温熱感と清涼感とを感じさせることができ、かつ、使用時の香り立ちがよく、清涼感と香り立ちのバランスに優れた温熱具が得られることを見出した。すなわち、本発明によれば、
被酸化性金属および炭素成分を含む発熱部と、該発熱部を収容する収容体を備えており、前記収容体が肌側に位置する収容体第一シート部および前記収容体第一シート部に対向して配置された収容体第二シート部を有し、
以下の成分Aおよび成分Bが保持され、
前記成分Aの含有量が前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたり0.08g/m以上3g/m以下であり、
前記成分Bと前記炭素成分との質量比(成分B/炭素成分)が0.001以上0.1以下である温熱具が提供される。
[成分A]冷感剤
[成分B]セスキテルペン炭化水素
【発明の効果】
【0006】
本発明であれば、使用者に良好な温熱感と清涼感を感じさせることができ、かつ、使用時の香り立ちがよく、清涼感と香り立ちのバランスに優れた温熱具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態にかかる温熱具の断面図である。
図2】収容体及び該収容体に収容された発熱部の断面図(A)及び平面図(B)である。
図3】温熱具の平面図である。
図4】温熱具の分解斜視図である。
図5】変形例にかかる収容体及び該収容体に収容された発熱部の平面図である。
図6】変形例にかかる収容体及び該収容体に収容された発熱部の断面図である。
図7】(A)は、温熱具の温度変化を示す参考図であり、(B)は、発熱温度が異なる温熱具における清涼感の変化を示す参考図である。
図8】無香料の温熱具の発熱温度と、特定香料を塗布した温熱具の発熱温度を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0009】
はじめに、図1を参照して、本実施形態の温熱具について説明する。
本実施形態の温熱具1は、被酸化性金属および炭素成分を含む発熱部111と、該発熱部111を収容する収容体112を備えており、前記収容体112が肌側に位置する収容体第一シート部112Aおよび前記収容体第一シート部に対向して配置された収容体第二シート部112Bを有し、
以下の成分Aおよび成分Bが保持され、
前記成分Aの含有量が前記収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.08g/m以上3g/m以下であり、
前記成分Bと前記炭素成分との質量比(成分B/炭素成分)が0.001以上0.1以下である。
[成分A]冷感剤
[成分B]セスキテルペン炭化水素
【0010】
ここで、収容体112とは、複数のシート材(肌側に位置する収容体第一シート部112Aおよび収容体第一シート部に対向して配置された収容体第二シート部112B)が貼り合わされることで、発熱部111が収容される密閉空間が形成されたものであり、収容体第一シート部の収容体内側面積とは、収容体第一シート部の発熱部側の面積をいい、収容体第一シート部のうち、収容体第二シート部に接合されている部分より内側の面積である。
【0011】
また、成分Aおよび成分Bが保持される形態としては、例えば、以下のような形態がある。
(1)成分が発熱部111に含まれる形態
(2)収容体内部に、成分が付されたシートが配置される形態
(3)収容体を構成する収容体第一シート部および収容体第二シート部の少なくともいずれか一方に成分が付される形態
(4)収容体外部に、成分が付されたシートが配置される形態
【0012】
次に、温熱具1について詳細に説明する。
図1に示すように、この温熱具1は、前述した発熱部111と該発熱部111及び基材層12を収容する収容体112と、該収容体112を収容する袋体13とを備える。本実施形態では、発熱部111と基材層12とが積層されている。
【0013】
発熱部111は、被酸化性金属及び炭素成分を含有する。
【0014】
被酸化性金属としては、酸化反応熱を発する金属であればよい。被酸化性金属としては例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム及びカルシウムから選択される1種又は2種以上の粉末あるいは繊維が挙げられる。中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。
被酸化性金属が粉末である場合、酸化反応が効率的に行われるという観点から、その平均粒径が0.1μm以上であることが好ましく、さらには、1μm以上であることがより好ましい。また、被酸化性金属が粉末である場合、被酸化性金属の平均粒径は、300μm以下であることが好ましく、更には、200μm以下であることがより好ましい。そして、被酸化性金属の平均粒径は、0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、平均粒径が1μm以上200μm以下であることがより好ましい。なお、被酸化性金属の平均粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
【0015】
発熱部111における被酸化性金属の乾燥含有量は、15質量%以上であることが好ましく、なかでも、35質量%以上であることがより好ましい。また、発熱部111における被酸化性金属の乾燥含有量は、90質量%以下であることが好ましく、なかでも、85質量%以下であることがより好ましい。そして、発熱部111における被酸化性金属の乾燥含有量は、15質量%以上90質量%以下であることが好ましく、なかでも、35質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。これにより、発熱部111の発熱温度を所望の温度に上昇させることができる。ここで、鉄粉の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
また、温熱具1における被酸化性金属の含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり3000g/m以下であることが好ましく、なかでも2500g/m以下であることがより好ましく、さらには1000g/m以下であることが殊更好ましい。このようにすることで、たとえば、発熱部111の厚みを薄くすることができる。なお、最高到達温度を一定温度以上とするためには、温熱具1における被酸化性金属の含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり100g/m以上であることが好ましく、なかでも200g/m以上であることがより好ましく、さらには300g/m以上であることが殊更好ましい。
そして、同様の理由から、温熱具1における被酸化性金属の含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり100g/m以上3000g/m以下であることが好ましく、なかでも200g/m以上2500g/m以下であることがより好ましく、さらには300g/m以上1000g/m以下であることが殊更好ましい。
【0016】
炭素成分は、保水能、酸素供給能、及び、触媒能を有するものであり、例えば、活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛のいずれか1種以上を使用できる。
温熱具1における炭素成分の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、なかでも、6質量部以上がより好ましい。温熱具1における炭素成分の含有量は、15質量部以下であることが好ましく、なかでも、12質量部以下がより好ましい。さらには、温熱具1における炭素成分の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下であることが好ましく、とりわけ6質量部以上12質量部以下であることがより好ましい。
【0017】
温熱具1における水の含有量は、被酸化金属の酸化を良好に進行させる点等から、被酸化性金属100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、さらには、40質量部以上であることが更に好ましい。温熱具1における水の含有量は、最高到達温度を一定温度以上とする点等から、90質量部以下が好ましく、さらには、80質量部以下であることがより好ましい。さらに、水の含有量は被酸化性金属100質量部に対して、30質量部以上90質量部以下であることが好ましく、40質量部以上80質量部以下であることが更に好ましい。この水は、発熱に伴う温度上昇により水蒸気になり得る。
【0018】
発熱部111は、上述した被酸化性金属、水、炭素成分に加え、増粘剤、反応促進剤、リン酸塩を含んでいても良い。
増粘剤としては主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができる。増粘剤としては、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩;アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ポリビニルアルコール(PVA)などの増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
なかでも増粘剤としては、耐塩性が高く、少量でも増粘効果を奏するキサンタンガムが好ましい。
【0019】
増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上、なかでも、0.2質量部以上であることが好ましく、5質量部以下、なかでも、1質量部以下であることが好ましい。とりわけ、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、さらに0.2質量部以上1質量部以下であることが好ましい。0.1質量部以上とすることで増粘効果を奏することができ、5質量部以下とすることで、発熱特性の低下(最高温度の低下)の原因となることを抑制できる。
【0020】
反応促進剤は、被酸化性金属の酸化反応を持続させる目的で用いられる。また、反応促進剤を用いることにより、被酸化性金属の酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。反応促進剤には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及びこれらの金属の塩化物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。反応促進剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して6質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0021】
リン酸塩は発熱組成物の流動性を上げる効果を有する。リン酸塩としてはリン酸一カリウム、リン酸ニカリウム、リン酸三カリウムの他、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。リン酸塩は、被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上2質量部以下であることが好ましい。
【0022】
以上のような発熱部111は、シート状であると好ましく、たとえば、温熱具1の肌側に位置する面からの平面視において、平面矩形形状となっていると好ましい。発熱部111の厚みは、たとえば、0.1〜1mmである。なかでも、発熱部111の厚みは0.2mm以上0.8mm以下であることが好ましい。
【0023】
図1および図2(A)にも示すように、発熱部111は、収容体112内に直接収容されている。図2(A)は収容体112のシート面と直交する方向の断面図である。
収容体112は、収容体第一シート部112Aと、この収容体第一シート部112Aに対向配置された収容体第二シート部112Bとを有する。収容体第一シート部112Aの周縁部と、収容体第二シート部112Bの周縁部とが接合されている。そして、図2(B)の平面図に示すように、シート112A、112Bの周縁部の内側の領域は内側領域112Cであり、内側領域112Cに発熱部111が収容されている。なお、図2(B)は、収容体112のシート面側からの平面図である。
【0024】
収容体第一シート部112Aは、温熱具1を使用者が着用した際に、収容体第二シート部112Bよりも、使用者の肌側に位置する。
この収容体第一シート部112Aは、その一部あるいは全部が通気性を有している。収容体第一シート部112Aの通気度は、100秒/100ml以上であることが好ましく、さらには、1000秒/100ml以上であることがより好ましく、中でも2000秒/100ml以上であることが殊更好ましい。
収容体第一シート部112Aの通気度は、50000秒/100ml以下であることが好ましく、さらには、10000秒/100ml以下であることがより好ましく、中でも5000秒/100ml以下であることが殊更好ましい。
収容体第一シート部112Aの通気度は、100秒/100ml以上50000秒/100ml以下であることが好ましく、1000秒/100ml以上10000秒/100ml以下であることがより好ましく、2000秒/100ml以上5000秒/100ml以下であることが殊更好ましい。
収容体第一シート部112Aの通気度を100秒/100ml以上とすることで、発熱温度を制御し、過度な発熱を防ぐことができる。また、収容体第一シート部112Aの通気度を50000秒/100ml以下とすることで、通気性を確保して、発熱部111を確実に発熱させることができる。また、発熱部111からの水蒸気を使用者へ向けて放出しやすくすることができる。
このような通気度を有する収容体第一シート部112Aとしては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない合成樹脂製の多孔性シートを用いることが好適である。具体的には、ポリエチレンに炭酸カルシウム等を含有させ延伸したフィルムを用いることができる。
【0025】
収容体第二シート部112Bは、その一部又は全部が通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいし、通気性の低い難通気性シートであってもよい。ただし、収容体第二シート部112Bは、収容体第一シート部112Aよりも通気性の低いシート(即ち通気度の高いシート)であることが好ましい。
【0026】
収容体第二シート部112Bを非通気性シートとする場合、一層又は多層の合成樹脂製のフィルムや、該一層又は多層の合成樹脂製のフィルムの外面に、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上の不織布を始めとする各種の繊維シートをラミネートして、収容体第二シート部112Bの風合いを高めてもよい。具体的には、ポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムからなる2層フィルム、ポリエチレンフィルムと不織布とからなるラミネートフィルム、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムなどが用いられるが、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムが殊更に好ましい。
【0027】
収容体第二シート部112Bを通気性のシートとする場合、通気性は、収容体第一シート部112Aの通気性よりも低いことを条件として、50,000秒/100ml以上とすることが好ましく、更に好ましくは80,000秒/100ml以上とすることが好ましい。収容体第二シート部112Bの通気性を収容体第一シート部112Aよりも低くすることで、発熱部111で発生した蒸気を収容体第一シート部112A側から放出することができる。
【0028】
ここで、図1および図2(A)に示すように、収容体112は、シート113を備える。
このシート113は、収容体第二シート部112Bの外面に接着剤等で接着されていると良い。そして、本実施形態では、シート113と、収容体第二シート部112Bとは同じ大きさ形状であり、収容体第二シート部112Bの外面全面を被覆している。ただし、シート113は収容体第二シート部112Bよりも小さいものであっても大きいものであってもよいが、好ましくは発熱部111と同形であることが好ましい。
シート113には、上述した成分Aおよび成分Bを含む香料組成物が保持されている。収容体112の外側に配置されるシート113に香料組成物を保持させることで、香料の香り立ちを非常に良好なものとすることができ、かつ、香りの変化を防止することができる。
シート113としては、香料組成物を保持できるものであればよく、紙、不織布、多孔質フィルム、織布のいずれかがあげられる。
香料組成物は、シート113に滴下、スプレー、塗布、含浸等の手段で、保持させることができる。
香料組成物は、前述した成分Aである冷感剤と、成分Bであるセスキテルペン炭化水素を含む。
成分Aの冷感剤としては、種々のものが使用できるが、冷感剤は、l-メントール、dl-メントール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−エチル―3―p―メンタンカルボキシアミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
成分Aの冷感剤としては、TRPM8受容体を活性化させる物質を用いることが好ましく、なかでもl-メントールが好ましい。TRPM8受容体は、感覚神経に存在する受容体である。
成分Aの含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.08g/m以上3g/m以下である。
収容体第一シート部112Aの収容体内側面積とは、収容体第一シート部112Aの非接合領域(内側領域)112Cの面積を意味する。
収容体第一シート部112Aの非接合領域112Cは、発熱部111が移動しうる部分であり、収容体第一シート部112Aの非接合領域112Cの範囲である。
成分Aの含有量を、上述のとおりの収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.08g/m以上3g/m以下と少なくすることで、温熱具1を、顔面、中でもまぶたや、目の周囲等の比較的皮膚の厚みが薄く、冷感剤に対して敏感な部位に使用した場合に、使用者に適度な清涼感を与えることができる。
なかでも、成分Aの含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.4g/m以上2.5g/m以下であることがさらに好ましい。
本実施形態においては、収容体112一つあたりにおける成分Aの含有量は、たとえば、0.25mg以上7.5mg以下であると好ましい。さらには、収容体112一つあたりにおける成分Aの含有量は、1mg以上7mg以下であると更に好ましい。
【0029】
温熱具を、顔面、中でも比較的皮膚の厚みが薄い部位に使用した場合においても、清涼感を得るために、冷感剤(成分A)の含有量を、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.08g/m以上3g/m以下とすることを、本発明者らは、発案した。
しかしながら、このように冷感剤である成分Aの含有量を少量にした場合であっても、成分Bの含有量によっては、使用者が冷感剤による冷感効果が刺激的であると感じることがあることを、本発明者らは見出した。
そして、さらに鋭意検討を行なった結果、以下のことを見いだした。
図7(A)、(B)に示すように、冷感剤の含有量が同じ温熱具を使用した場合であっても発熱温度が低下することで、使用者が感じる清涼感に差が生じる。図7(A)のグラフAに示すように、温熱具の最高到達温度が60.9℃である場合には、図7(B)のグラフAに示すように、温熱具使用時の清涼感が適度なものとなる。一方で、図7(A)のグラフB,Cに示すように、温熱具の最高到達温度が55.2℃、51.4℃である場合には、図7(B)のグラフB,Cに示すように、温熱具使用時に刺激を感じてしまい、好ましい清涼感が得られなくなる。そのため、適度な清涼感を得るためには、温熱具の発熱温度の低下を抑制する必要があることを本発明者らは見出した。
【0030】
一方、特定の香料成分が温熱具の最高到達温度の著しい低下の原因となることを、今般、本発明者らが新たに見出した。図8の左側のグラフに示すように、香料成分を付さなかった温熱具の最高到達温度が65℃であった。これに対し、図8の右側のグラフに示すように、香料成分として、成分Bであるセスキテルペン炭化水素を付した場合には、温熱具の最高到達温度が60℃まで低下してしまった。
なお、図8で使用した香料成分を付さなかった温熱具と、香料成分を付した温熱具とは、香料の付着の有無以外は、同じものである。
成分Bであるセスキテルペン炭化水素を付した場合に、発熱温度の低下が生じた原因は、セスキテルペン炭化水素が、炭素成分の働きを何らかの形で阻害しているため、発熱温度の低下が生じたと推測される。
【0031】
そこで、本発明者らは、成分Bであるセスキテルペン炭化水素の含有量と、前述した炭素成分の含有量との質量比(成分B/炭素成分)を0.001以上0.1以下とした。
前記質量比を0.1以下とすることで、発熱部111の発熱温度の低下を抑制することができ、良好な清涼感を得ることが可能となる。
一方で、前記質量比を0.001以上とすることで、香り立ちのよい温熱具1とすることができる。
なかでも、前記質量比を0.003以上とすることが好ましく、前記質量比を0.01以下とすることが好ましく、0.003以上0.01以下であることが好ましい。
以上のような温熱具1は、香り立ちと清涼感とのバランスに優れたものとなる。
【0032】
成分Bのセスキテルペン炭化水素としては、カリオフィレン、ファルネセン、セドレンからなる群のうち、いずれか1種以上を使用することが好ましい。中でも、カリオフィレン、ファルネセンが好ましい。
【0033】
また、成分Bの含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.02g/m以上であることが好ましく、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり3g/m以下であることが好ましい。このようにすることで、使用者が温熱具1を使用した際に香りを良好に感じることができる。
なかでも、成分Bの含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.05g/m以上であることがより好ましい。また、成分Bの含有量は、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたり0.2g/m以下であることがより好ましい。
また、本実施形態では、収容体112一つあたりにおける成分Bの含有量は、0.08mg以上0.8mg以下であることが好ましく、0.1mg以上0.5mg以下であることがさらに好ましい。
【0034】
ここで、成分Aである冷感剤の含有量と、成分Bであるセスキテルペン炭化水素の含有量との質量比(成分A/成分B)は、1以上であることが好ましい。また、(成分A/成分B)を50以下とすることが好ましい。このようにすることで、香り強度と清涼感強度と温熱のバランスに優れた温熱具とすることができる。
なかでも、(成分A/成分B)は、2以上が好ましい。一方で、(成分A/成分B)は、20以下であることが好ましい。
なお、本発明の温熱具には、さらに成分B以外の香料組成物成分を含んでもよい。たとえば、香料組成物は、セスキテルペンアルコール、モノテルペンアルコールのいずれか1種類以上を含んでいてもよい。
【0035】
次に、温熱具1の基材層12について説明する。本発明の発熱部111の片面には基材層12が設けられており、基材層12は、発熱部111の基材となるものである。基材層12は、水分の吸収保持が可能であり、柔軟性を有するシート材料が用いられる。基材層12としては、通気性を有するものが好ましい。そのような材料としては、例えば繊維を原料とする不織布、織物等のいずれかの繊維シートが挙げられる。
前記の繊維としては、例えば植物繊維及び動物繊維などの天然繊維を主成分とするものあるいは、化学繊維を主成分とするものが挙げられる。植物繊維としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わらから選択される1種又は2種以上が挙げられ、中でも紙が水分の吸収保持性、柔軟性、通気性の点で好ましい。動物繊維としては、例えば羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維から選択される1種又は2種以上が挙げられる。化学繊維としては、例えばレーヨン、アセテート、セルロースから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
なかでも基材層12としては、前述した繊維で構成される繊維シートと、吸水性のポリマーとを含むものが好ましい。
【0036】
さらに、本発明の発熱部111の基材層12が設けられた面とは反対側の面には、被覆層(図示略)が設けられている。被覆層は、発熱部111に直接接触し、発熱部111に積層されている。この被覆層は、非通気性又は難通気性のシート(50,000秒/100ml以上が好ましく、80,000秒/100ml以上がより好ましい)が好ましく、例えば樹脂シートを用いると好ましい。非通気性又は難通気性のシートとすることで基材層12側から蒸気をより確実に放出させることができるのみならず、被覆層側から気化熱が奪われることを防止できる。被覆層としては、たとえば合成樹脂フィルムがあげられ、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等があげられる。
【0037】
次に、図1、3および4を参照して、温熱具1のその他の構成について説明する。
温熱具1は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して十分な温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100に準拠した測定において、発熱温度40〜70℃の性能を有することができる。温熱具1は、本実施形態では、水蒸気の発生を伴う蒸気温熱具である。温熱具1は、本実施形態では、いわゆるアイマスクタイプのものであり、ヒトの目及びその周囲に当接させて用いるものである。中でも、所定温度に加熱された水蒸気(以下、「蒸気温熱」とも言う。)を顔面、中でもまぶたや、目の周囲等の皮膚の厚みが薄く、冷感剤に対して敏感な部位に付与するために用いられるものである。
【0038】
温熱具1は、図3に示すように、本体部10と、耳が挿入される孔141が形成された耳掛け部14とを有している。
本体部10は、長手方向Xとこれに直交する幅方向Yを有する横長の形状をしている。本体部10は略長円形をしている。耳掛け部14は一対で用いられ、各耳掛け部14は本体部10の長手方向(X方向)の各端部にそれぞれ取り付けられている。温熱具1は、各耳掛け部14を着用者の耳に掛けて、本体部10で着用者の両目を覆うように装着される。この着用状態下、温熱具1から発生した蒸気温熱が着用者の目に施され、目の疲れや充血、眼精疲労が緩和され、またリラックス感が得られる。更に入眠感も誘発される。
【0039】
図4には、温熱具1の分解斜視図が示されている。同図においては、耳掛け部14は本体部10上に配置されている。
【0040】
本体部10は、さらに、袋体13を備えていると良い。
袋体13は、着用者の肌に近い側に位置する袋体第1シート131と、着用者の肌から遠い側に位置する袋体第2シート132とを有している。
【0041】
袋体第1シート131および袋体第2シート132のそれぞれの坪量は、内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や保温性、柔軟性、厚みの観点から20g/m2以上が好ましく、さらには、40g/m2以上であることがより好ましい。また、袋体第1シート131および袋体第2シート132のそれぞれの坪量は200g/m2以下が好ましく、さらには、110g/m2以下であることがより好ましい。
なお、蒸気を放出するとともに発熱部に酸素を供給するという観点から袋体第1シート131の通気度は、6,000秒/100ml以下であることが好ましく、1,000秒/100ml以下であることがより好ましい。発熱部111から蒸発した水蒸気は、収容体第一シート部112A及び袋体第1シート131を通過して、肌に到達する。収容体第一シート部112A及び袋体第1シート131を通過して、外部に放出される水蒸気の量は、0.01mg/(cm・分)以上であることが好ましく、なかでも、0.03mg/(cm・分)以上であることがより好ましい。また、放出される水蒸気の量は、0.8mg/(cm・分)以下であることが好ましく、中でも0.4mg/(cm・分)以下であることがより好ましい。
【0042】
袋体第1シート131及び袋体第2シート132は同形であり、略長円形をしている。そして、袋体第1シート131及び袋体第2シート132の外形が本体部10の外形をなしている。袋体第1シート131及び袋体第2シート132はそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を少なくとも一部接合し、かつX方向の中央部をY方向に沿って接合することで、内部に2つの空間を有する袋体13となされる。すなわち、袋体13には、複数の袋部130が形成されることとなる。そして、各袋部130内に発熱部111及び基材層12が収容された収容体112がそれぞれ収容される。袋体第1シート131及び袋体第2シート132を接合するためには、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。なお、収容体112は接着剤やヒートシール等(図示略)により、袋体13に固定されていてもよい。
【0043】
袋体第1シート131及び袋体第2シート132としては、たとえば、不織布をはじめとする繊維シートを使用できる。たとえば、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上を使用できる。
【0044】
袋体13には、そのX方向に延びる2つの長辺の中央部の位置において、該長辺からY方向に沿って内方に切れ込んだ略V字形のノッチ部13A,13Bが形成されている。ノッチ部13A,13Bは、切れ込みの程度が異なっている。ノッチ部13Aは、温熱具1を装着したときに、着用者の眉間又はその近傍に位置する。ノッチ部13Bは、温熱具1を装着したときに、着用者の鼻梁に位置する。したがって、ノッチ部13Aよりもノッチ部13Bの方が切れ込みの程度が大きくなっている。
【0045】
温熱具1における耳掛け部14は、その使用前の状態では、図1及び図4に示すように、本体部10における袋体第1シート131上に配置されている。温熱具1を使用するときには、図3に示すように、耳掛け部14をX方向の外方へ向けて反転させて、開いた状態にする。使用前の状態、すなわち左右の耳掛け部14が本体部10上に位置している状態においては、左右の耳掛け部14によって形成される輪郭は、本体部10の輪郭とほぼ同じになっている。耳掛け部14は、袋体13と同様の材料を用いることができる。
【0046】
本実施形態の温熱具1は、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)によって包装されて、発熱部111が空気中の酸素と接触しないようになっている。
【0047】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、前記実施形態では、収容体112の外側にシート113が配置され、このシート113に成分A,Bが保持されていたが、これに限られるものではない。たとえば、発熱部111に成分A,Bを含有させてもよい。さらには、収容体112を構成する収容体第一シート部および収容体第二シート部のいずれか一方に成分A,Bを保持してもよい。
また、収容体112の内側に成分A,Bが保持されたシートを配置してもよい。
【0048】
さらに、前記実施形態では、発熱組成物を塗工することで、基材層12と発熱部111と被覆層の積層構造を形成していたが、これに限らず、発熱部111を抄造法により形成してもよい。中でも、発熱組成物を塗工することで形成した発熱部111は、基材層12と発熱部111とが積層され、更に発熱部111と被覆層とが積層され、その結果、発熱部111が基材層12と被覆層とで覆われているので、温熱具1に成分Bであるセスキテルペン炭化水素を付した場合に、成分Bと炭素成分との接触の程度を低下させることが可能となり、好ましい。
【0049】
また、前記実施形態では、袋体13の袋部130内に、一つの収容体112が収容されていたが、これに限られるものではない。たとえば、図5,6に示すような複数の収容体112の連結体を一つの袋部130内に収容してもよい。
図5は、複数の収容体112の連結体のシート面側からの平面図であり、図6は、複数の収容体112の連結体のシート面と直交する断面図である。
図5,6に示すように、複数の収容体第一シート部112Aが連結したシートと、複数の収容体第二シート部112Bが連結したシートとを接合して、複数の非接合領域を形成し、各非接合領域内に発熱部111を収容する。
このとき、図6に示すように、成分A、Bが保持されたシート113は、収容体第二シート部112Bが連結したシートの外側に配置される。
この場合、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたりに対する成分Aの含有量は以下のようにして算出する。
シート113に保持された成分Aの質量を、各収容体112におけるシート部(たとえば、第一シート部112A)の面積比率に応じて分け、収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたりに対する成分Aの含有量を算出すればよい。
収容体第一シート部112Aの収容体内側面積あたりに対する成分Bの含有量も同様の方法で算出できる。
【0050】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物を開示する。
【0051】
<1>
被酸化性金属および炭素成分を含む発熱部と、該発熱部を収容する収容体を備えており、前記収容体が肌側に位置する収容体第一シート部および前記収容体第一シート部に対向して配置れた収容体第二シート部を有し、
以下の成分Aおよび成分Bが保持され、
前記成分Aの含有量が前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたり0.08g/m以上、3g/m以下であり、
前記成分Bと前記炭素成分との質量比(成分B/炭素成分)が0.001以上、0.1以下である温熱具。
[成分A]冷感剤
[成分B]セスキテルペン炭化水素
<2>前記冷感剤が、l-メントール、dl-メントール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−エチル―3―p―メンタンカルボキシアミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上である<1>の温熱具。
<3>前記収容体一つあたりにおける成分Bの含有量が、0.08mg以上0.8mg以下であることが好ましく、さらに0.1mg以上0.5mg以下であることがより好ましい<1>または<2>の温熱具。
<4>前記成分Aの含有量と成分Bの含有量の質量比(成分A/成分B)が、1以上50以下であることが好ましく、さらに2以上20以下であることがより好ましい<1>乃至<3>のいずれかの温熱具。
<5>前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたりに対する前記成分Bの含有量が、0.02g/m以上3g/m以下であることが好ましく、さらに0.05g/m以上0.2g/m以下であることがより好ましい<1>乃至<4>のいずれかの温熱具。
<6>当該温熱具は、顔面、中でもまぶたや、目の周囲等の皮膚の厚みが薄い部位用の温熱具である<1>乃至<5>のいずれかの温熱具。
<7>前記被酸化性金属の含有量は、前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたり、100g/m以上3000g/m以下であることが好ましく、さらに200g/m以上2500g/m以下であることがより好ましく、さらに300g/m以上1000g/m以下であることが殊更に好ましい<1>乃至<6>のいずれかの温熱具。
<8>成分Aの含有量が前記収容体第一シート部の収容体内側面積あたり0.4g/m以上2.5g/m以下であることがさらに好ましい<1>乃至<7>のいずれかの温熱具。
<9>前記収容体一つあたりにおける成分Aの含有量が、0.25mg以上7.5mg以下であると好ましく、さらには、1mg以上7mg以下であると更に好ましい<1>乃至<8>のいずれかの温熱具。
<10>前記成分Bの含有量と、前記炭素成分の含有量との質量比(成分B/炭素成分)が0.003以上0.01以下であることが好ましい<1>乃至<9>のいずれかの温熱具。
<11>前記被酸化性金属の平均粒径が、0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、さらに1μm以上200μm以下であることがより好ましい<1>乃至<10>のいずれかの温熱具。
<12>前記炭素成分の温熱具中の含有量が、被酸化性金属100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下であることが好ましく、さらに6質量部以上12質量部以下であることがより好ましい<1>乃至<11>のいずれかの温熱具。
<13>温熱具がさらに水を含有し、該温熱具中の水の含有量が被酸化性金属100質量部に対して、30質量部以上90質量部以下であることが好ましく、さらに40質量部以上80質量部以下であることがより好ましい<1>乃至<12>のいずれかの温熱具。
<14>温熱具がさらに増粘剤を含有し、該増粘剤がアルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩;アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ポリビニルアルコール(PVA)などの増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれた1種又は2種以上の混合物である<1>乃至<13>のいずれかの温熱具。
<15>温熱具がさらに増粘剤を含有し、該温熱具中の増粘剤の含有量が被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、さらに0.2質量部以上1質量部以下であることがより好ましい<1>乃至<14>のいずれかの温熱具。
<16>温熱具がさらに反応促進剤を含有し、該反応促進剤がアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及びこれらの金属の塩化物から選ばれる1種又は2種以上である<1>乃至<15>のいずれかの温熱具。
<17>温熱具がさらに反応促進剤を含有し、該温熱具中の反応促進剤の含有量が被酸化性金属100質量部に対して、6質量部以上15質量部以下である<1>乃至<16>のいずれかの温熱具。
<18>温熱具がさらにリン酸塩を含有し、該リン酸塩がリン酸一カリウム、リン酸ニカリウム、リン酸三カリウムの他、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上である<1>乃至<17>のいずれかの温熱具。
<19>温熱具がさらにリン酸塩を含有し、該温熱具中のリン酸塩の含有量が被酸化性金属100質量部に対して、0.1質量部以上2質量部以下である<1>乃至<18>のいずれかの温熱具。
<20>発熱部がシート状である<1>乃至<19>のいずれかの温熱具。
<21>発熱部の厚みが、0.1〜1mmであると好ましく、0.2〜0.8mmである<1>乃至<20>のいずれかの温熱具。
<22>収容体第一シート部の通気度が、100秒/100ml以上50000秒/100ml以下であることが好ましく、1000秒/100ml以上10000秒/100ml以下であることがより好ましく、2000秒/100ml以上5000秒/100ml以下であることが殊更好ましい<1>乃至<21>のいずれかの温熱具。
<23>収容体第二シート部が、その一部又は全部が通気性を有する通気性シートであってもよいし、通気性を有しない非通気性シートであってもよいし、通気性の低い難通気性シートであってもよい<1>乃至<22>のいずれかの温熱具。
<24>収容体第二シート部を通気性のシートとする場合、通気性は、収容体第一シート部の通気性よりも低いことを条件として、50,000秒/100ml以上とすることが好ましく、更に好ましくは80,000秒/100ml以上とすることが好ましい<23>の温熱具。
<25>前記収容体が、成分Aおよび成分Bを含む香料組成物が保持されているシートを備える<1>乃至<24>のいずれかの温熱具。
<26>成分Aおよび成分Bを含む香料組成物が保持されているシートとしては、紙、不織布、多孔質フィルム、織布のいずれかがあげられる<25>の温熱具。
<27>前記成分Bがカリオフィレン、ファルネセン、セドレンからなる群のうちいずれか1種以上である<1>乃至<26>のいずれかの温熱具。
<28>前記発熱部の片面には基材層が設けられており、該基材層が繊維を原料とする不織布、織物等のいずれかの繊維シートである<1>乃至<27>のいずれかの温熱具。
<29>前記繊維が植物繊維及び動物繊維などの天然繊維を主成分とするものあるいは、化学繊維を主成分とするものであり、植物繊維としては、コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わらから選択される1種又は2種以上であり、動物繊維としては、例えば羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維から選択される1種又は2種以上であり、化学繊維としては、レーヨン、アセテート、セルロースから選択される1種又は2種以上である<28>の温熱具。
<30>前記基材層としては、前記繊維で構成される繊維シートと、吸水性のポリマーとを含むものである<28>または<29>の温熱具。
<31>前記発熱部の基材層が設けられた面とは反対側の面には、被覆層が設けられている<1>乃至<30>のいずれかの温熱具。
<32>被覆層は、非通気性又は難通気性のシート(50,000秒/100ml以上が好ましく、80,000秒/100ml以上がより好ましい)のものが好ましい<31>の温熱具。
<33>被覆層は、非通気性又は難通気性のシートのものが好ましい<31>の温熱具。
<34>JIS規格S4100に準拠した測定において、発熱温度40〜70℃の性能を有する<1>乃至<33>のいずれかの温熱具。
<35>水蒸気の発生を伴う蒸気温熱具である<1>乃至<34>のいずれかの温熱具。
<36>アイマスクである<1>乃至<35>のいずれかの温熱具。
<37>さらに袋体を備えている<1>乃至<36>のいずれかの温熱具。
<38>前記袋体の坪量が20g/m2以上200g/m2以下が好ましく、さらには、40g/m2以上110g/m2以下であることがより好ましい<37>の温熱具。
<39>前記袋体第1シートの通気度が6,000秒/100ml以下であることが好ましく、1,000秒/100ml以下であることがより好ましい<37>又は<38>のいずれかの温熱具。
<40>前記袋体第1シート及び袋体第2シートがニードルパンチ不織布、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上である<37>乃至<39>のいずれかの温熱具。
<41>外部に放出される水蒸気の量は、0.01mg/(cm・分)以上0.8mg/(cm・分)以下であることが好ましく、なかでも、0.03mg/(cm・分)以上0.4mg/(cm・分)以下であることがより好ましい<1>乃至<40>のいずれかの温熱具。
<42>使用前は、温熱具の全体が酸素バリア性を有する包装材によって包装されて発熱部が空気中の酸素と接触しないようになっている<1>乃至<41>のいずれかの温熱具。
<43>成分A,Bが収容体に保持されている<1>乃至<42>のいずれかの温熱具。
<44>成分A,Bが収容体の内側に保持されている<1>乃至<43>のいずれかの温熱具。
<45>成分A,Bが発熱部に含有されている<44>の温熱具。
<46>成分A,Bが、収容体の内側に成分A,Bが保持されたシートを配置することで保持されている<44>の温熱具。
<47>発熱部が基材層と被覆層とで覆われている<1>乃至<46>のいずれかの温熱具。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0053】
(実施例1〜6、比較例1〜4)
<発熱部111の作製>
表1の成分を混合したものをポリエチレンフィルム(非通気性)である被覆層の片面にダイコーティング法にて鉄量が0.93g/mとなるように塗工し、塗工表面に基材層を積層した。
基材層としては、木材パルプ製の紙(20g/m、伊野紙(株)製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、30g/m50g/m、アクアリックCA、(株)日本触媒製)と木材パルプ製の紙(30g/m、伊野紙(株)製)を積層して一体化したポリマーシートを使用した。
その後、基材層の幅方向に裁断(5cm×5cm)をし、塗工面上に、食塩(局方塩化ナトリウム(大塚製薬社製))を0.084g散布して、厚さ0.27mmの発熱部111を得た。
【0054】
【表1】
【0055】
収容体第一シート部112Aとして、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(通気度2,500秒/1000ml)を用い、収容体第二シート部112Bとして、ポリエチレン製の非通気フィルムを用いた。収容体第二シート部112Bの外側面には、シート113となる吸水紙(坪量35g/m)を予め接着剤でラミネートした。前述の発熱部111を、収容体第一シート112Aと収容体第二シート112Bとの間に挟み込み、収容体第二シート部112Bにラミネートした吸水紙が外方を向くように重ね、周縁部においてフィルムどうしを接合した。前記吸水紙に、表2および表3に示す香料組成物39mgを塗布することで保持させた。
【0056】
(実施例7)
<原料組成物配合>
・被酸化性金属:鉄粉(平均粒径50μm)同和鉱業株式会社製、商品名「RKH」:83%
・繊維状物:パルプ繊維(フレッチャー チャレンジ カナダ社製、商品名 NBKP「Mackenzi(CSF200mlに調整)」):9%
・活性炭:平均粒径45μm(日本エンバイロケミカル株式会社製、商品名「カルボラフィン」):8%
【0057】
前記原料組成物の固形分(被酸化性金属、繊維状物及び活性炭の合計)100部に対し、カチオン系凝集剤であるポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製、商品名「WS4020」)0.7部及びアニオン系凝集剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬(株)製、商品名「HE1500F」0.18部を添加した。更に、水(工業用水)を、固形分濃度が12%となるまで添加しスラリーを得た。
【0058】
<抄造条件>
前記スラリーを用い、これを抄紙ヘッドの直前で0.3%に水希釈し、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。
【0059】
<乾燥条件>
湿潤状態の成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し、含水率が5%以下になるまで乾燥した。乾燥後の坪量は450g/m2であった。このようにして得られた成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄83%、活性炭9%、パルプ8%であった。
【0060】
<発熱部111の作製>
得られた成形シートに、該成形シート100部に対し電解液量が42部となるように、下記電解液を注入した。毛管現象を利用して成形シート全体に電解液を浸透させて、矩形シート状の発熱部121(坪量:460g/m、寸法49mm×49mm、厚さ0.45mm)を得た。収容体第一シート部112Aとして、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(通気度2,500秒/100ml)を用い、収容体第二シート部112Bとして、ポリエチレン製の非通気フィルムを用いた。収容体第二シート部112Bの外側面には、シート113となる吸水紙(坪量35g/m)を予め接着剤でラミネートした。前述の発熱部111を、収容体第一シート112Aと収容体第二シート112Bとの間に挟み込み、収容体第二シート部112Bにラミネートした吸水紙が外方を向くように重ね、周縁部においてフィルムどうしを接合した。前記吸水紙に、表2に示す香料組成物39mgを塗布することで保持させた。
【0061】
<電解液>
電解質:精製塩(NaCl)
水:工業用水
電解液濃度:5%
【0062】
(実施例1〜7、比較例1〜4)
<温熱具の作成>
袋体第1シート131として、ポリプロピレン不織布(ニードルパンチ法、坪量80g/m)を用い、袋体第2シート132として、ポリエチレンテレフタレート不織布(エアスルー法、坪量30g/m2)を用いた。両袋体シート131,132の間に、前記で得られた発熱部111の収容された収容体112を2個挟み、周縁部及び縦中心線近傍において袋体第1シート131、袋体第2シート132どうしを接合した。これにより、袋部130が2つ形成され、各袋部130内に発熱部111の収容された収容体112が封入された。更に、袋体第1シート131の外側面に、不織布製の耳掛け部14を取り付け、目的とする温熱具1を得た。以上の各操作は、酸素が存在しない雰囲気下にて行った。その後、温熱具1を、酸素バリア性を有する個装袋(PET13μm/アルミニウム7μm/ポリプロピレン40μmの積層フィルム)の中に密閉封入し、一晩放置した。
【0063】
上記実施例、比較例で得られた温熱具を以下のようにして評価した。
<評価>
1)香り強度
調製後一晩放置した温熱具を、個装袋(ピロー)開封により発熱を開始させ、開封から5分後における香りの強さについて以下の基準で評価した。
匂いの専門パネル2名が、各実施例及び各比較例の一晩放置したものについて、ピローを開封して5分後の香りをそれぞれ嗅ぎ「香りの強度」を0〜6までの7段階絶対評価を行い、結果の平均値を表2及び表3に示した。
[香りの強度の評価基準:7段階絶対評価]
0:無臭
1:わずかにしか匂わない
2:やや弱く匂う
3:良好な強さで匂う
4:やや強く匂ってしまう
5:かなり強く匂ってしまう
6:非常に強く匂ってしまう
2)最高到達温度差
JIS S4100に準拠した測定機を用いて、温熱具の袋体第1シート131側を測定面に貼り付けて、発熱測定を行った。表中の単位は「℃」であり、溶剤のみを付した温熱具との最高到達温度の差を表2及び表3に示す。実施例1〜6、比較例1〜4は参考例1との差、実施例7は参考例2との差を示している。
なお、参考例1の温熱具は、香料組成物の溶剤のみを付したものであり、他の点は実施例1と同様である。参考例2の温熱具は、香料組成物の溶剤のみを付したものであり、他の点は実施例7と同様である。
3)清涼感の強度
一晩放置した温熱具において、個装容器(ピロー)を開封して、温熱具の発熱を開始させ、開封から5分後における香りの強さについて以下の基準で評価した。
一般パネル2名が、各実施例及び各比較例の調製後一晩放置したものについて、ピローを開封して5分後の清涼感の強度を1〜5までの5段階絶対評価を行い、結果の平均値を表2及び表3に示す。
[清涼感の強度の評価基準:5段階絶対評価]
1:弱すぎる清涼感
2:やや弱いが良好な清涼感
3:良好な清涼感
4:やや強いが良好な清涼感
5:強すぎる清涼感
【0064】
実施例1〜7では、いずれも、最高到達温度の差が2℃以下であり、香り立ちと、清涼感のバランスに優れたものとなった。
これに対し、比較例1では、成分Aの冷感剤が添加されていなかったので、清涼感がえら得なかった。また、比較例2では、冷感剤の量が多すぎたため、刺激的なものとなってしまった。さらに、活性炭に対する成分Bの含有量が多すぎる比較例3では、最高到達温度が低下し、良好な清涼感強度が得られなかった。活性炭に対する成分Bの含有量が少なすぎる比較例4では、良好な香り強度が得られなかった。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【符号の説明】
【0067】
1 温熱具
10 本体部
12 基材層
13 袋体
13A,13B ノッチ部
14 耳掛け部
111 発熱部
112 収容体
112A 収容体第一シート部
112B 収容体第二シート部
112C 内側領域
113 シート
130 袋部
131 袋体第1シート
132 袋体第2シート
141 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8