(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095388
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】温室用カーテン開閉装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/22 20060101AFI20170306BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
A01G9/22
A01G9/24 L
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-17958(P2013-17958)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-147339(P2014-147339A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000218362
【氏名又は名称】渡辺パイプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114100
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 昭
(72)【発明者】
【氏名】野間 明
(72)【発明者】
【氏名】平野 茂
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−157521(JP,A)
【文献】
実開昭60−106446(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 − 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を置いて敷設されたパイプ製アーチ状部材とこれらを連結する棟木を含む横部材から構成された温室のカーテン開閉装置であって、
前記アーチ状部材の屋根部内面に近接して、棟木直下を最高点として、前記温室の略全長に亘って、棟方向に平行して複数本掛け渡された案内部材と、
カーテンの先端に先導部材を有し、案内部材上を棟方向に開閉するカーテンと、
前記温室の一方の妻面に沿って配設された回転ドラムを備えた駆動ワイヤ駆動用駆動軸と、該回転ドラムによって案内部材上を棟方向に移動する駆動ワイヤと、を備えており、
カーテンに取り付けられている前記先導部材が駆動ワイヤに連結され、カーテンの基端部が前記アーチ状部材の内面に沿って延びる固定部材に固着され、前記駆動ワイヤの移動により伸縮して開閉されるカーテン部材であって、
前記カーテン部材は、前記棟木直下を最高点とする案内部材と左右の肩部側に設けられた案内部材とによって前記温室のアーチ状部材内面に沿って棟方向に移動して、前記温室の内部の栽培空間が最大化された温室のカーテン開閉装置。
【請求項2】
前記固定部材は、少なくとも前記棟木若しくは棟木直下に位置する部材と前記温室の両肩部の横部材に支持され、前記アーチ部材内面に沿って張設されたスパンワイヤにより構成され、前記温室の両妻面に位置する前記スパンワイヤは、それぞれ妻面のアーチ部材に隣接するアーチ部材の内面に沿って設けられ、カーテン開閉装置の駆動系機器と干渉しないようにされていることを特徴とする請求項1に記載された温室用カーテン開閉装置。
【請求項3】
前記案内部材は、少なくとも前記棟木直下と前記アーチ部材の両肩部の3箇所に配設されており、3箇所の案内部材は上下に平行して配設されており、
前記カーテンは上下の案内部材によって別々に支持され、
前記駆動ワイヤは駆動ドラムと反対妻側に設けられた滑車との間でエンドレスに連結されており、駆動ドラムの回転にしたがって、駆動ワイヤは行きと帰りの双方の動作が生じ、上下の案内部材上に配置されたカーテンは、開閉動作を行うこととなることを特徴とする請求項1又は2に記載された温室用カーテン開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室用カーテン開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図11に示されるように、温室100の骨組みは、棟方向に間隔を置いて建て込まれた中心柱101、その両側方に建て込まれた側柱102、中心柱102を連結する棟木、棟木と側柱102を結ぶ屋根材103、中心柱101と屋根材103の間に配設された補強用方杖104とから構成されたものが多い(特許文献1参照)。
【0003】
この型式の温室にカーテン開閉装置を設置しようとすると、中心柱101や方杖104が温室内に存在することから、どうしてもカーテン開閉装置は、中心柱101毎に区切られたものとするとともに、方杖104よりも低い位置に構成せざるを得ない。
【0004】
そうすると、カーテン301を駆動する駆動ワイヤ302の駆動軸303は、温室100の棟方向に1本のものとすることができるが、中心柱101毎に区切られたカーテン開閉装置のそれぞれに、駆動ワイヤ302、その巻取りドラム、駆動ワイヤの方向転換用の滑車等の部品が必要となり、全体として部品点数が数限りなく必要とされ、カーテン開閉装置の設置費用が膨大となってしまう。
【0005】
一方、
図12に示されるような、カーテンを温室の棟方向に移動させて開閉するカーテン開閉装置が提案されている(特許文献2参照)。
この型式のカーテン開閉装置は、駆動軸を温室の妻面に配置するだけでよいから、駆動ワイヤ、その巻取りドラム、方向転換用の滑車等の部品点数を削減することが可能となることから、カーテン開閉装置の設置費用は相当削減することができる。
【0006】
しかしながら、この温室は棟方向に間隔をあけて妻面と平行する梁が数多く設けられているので、カーテン開閉装置はこれらの梁の下面に沿って平面的に展開せざるを得ないので、背の低い温室においてはカーテンを閉めた状態では栽培空間を狭めてしまい、栽培者の作業効率を低下させてしまうという問題が依然として残る。
逆に、作業性を確保するためには温室の高さを一定以上に設定する必要があり、温室そのものの建設コストが大きくなってしまう問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−168067号公報
【特許文献2】特開2002−101769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを目的とするものであり、温室の高さを高くすることなく、温室の建設コストの上昇を抑制して、温室内の栽培空間を十分に確保して栽培作業を効率化し、カーテン開閉装置の設置コストを低減することが可能なカーテン開閉装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、上記の目的を達成するため、間隔を置いて敷設されたパイプ製アーチ状部材とこれらを連結する棟木を含む横部材から構成された温室のカーテン開閉装置であって、前記アーチ状部材の
屋根部内面に近接して
、棟木直下を最高点として、前記温室の略全長に亘って、棟方向に平行して複数本掛け渡された案内部材と、
カーテンの先端に先導部材を有し、案内部材上を棟方向に開閉するカーテンと、前記温室の一方の妻面に沿って配設され
た回転ドラムを備えた駆動ワイヤ駆動用駆動軸と、該回転ドラムによって案内部材上を棟方向に移動する駆動ワイヤ
と、を備えており、カーテンに取り付けられている前記先導部材
が駆動ワイヤに連結され、カーテンの基端部が前記アーチ
状部材の内面に沿って延びる固定部材に固着され、
前記駆動ワイヤの移動により伸縮して開閉されるカーテン部材
であって、前記カーテン部材は、前記棟木直下を最高点と
する案内部材と左右の肩部側に設けられた案内部材とによって前記温室のアーチ状部材内面に沿って
棟方向に移動して、前記温室の内部の栽培空間が最大化されたものとした。
【0010】
請求項2に係る発明は、固定部材が、少なくとも棟木若しくは棟木直下に位置する部材と温室の両肩部の横部材に支持され、アーチ部材内面に沿って張設されたスパンワイヤにより構成され、温室の両妻面に位置するスパンワイヤは、それぞれ妻面のアーチ部材に隣接するアーチ部材の内面に沿って設けられ、カーテン開閉装置の駆動系機器と干渉しないようにされていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記案内部材が、少なくとも前記棟木直下と前記アーチ部材の両肩部の3箇所に
配設されており、3箇所の案内部材は上下に平行して配設され
ており、
前記カーテンは上下の案内部材によって別々に支持され、前記駆動ワイヤは駆動ドラムと反対妻側に設けられた滑車との間でエンドレスに連結されており、駆動ドラムの回転にしたがって、駆動ワイヤは行きと帰りの双方の動作が生じ、上下の案内部材上に配置されたカーテンは、開閉動作を行うこととなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、カーテン開閉装置を設置するために温室の高さを高くする必要はないことから、温室の建設コストの上昇を抑制することができる。また、温室内の栽培空間を十分に確保して栽培作業を効率化し得るとともに、カーテン開閉装置の設置コストを低減することが可能なカーテン開閉装置を提供することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、アーチ部材内面に沿って張設されたスパンワイヤを、簡単な吊り具で少なくとも棟木若しくは棟木直下に位置する部材と温室の両肩部の横部材に支持させることができ、温室の両妻面に位置するスパンワイヤは、それぞれ妻面のアーチ部材に隣接するアーチ部材の内面に沿って設けたから、カーテン開閉装置の駆動系機器と干渉しないようにすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、案内部材は、少なくとも棟木直下とアーチ部材の両肩部の3箇所において、上下に平行して配設された2本の奥行きワイヤにより構成したので、簡単な構成で先導部材を段違い状態で前進および後進可能に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明に係る温室用カーテン開閉装置のカーテンの基端部を固定するためのスパンワイヤを示す図面である。
【
図3】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の先導部材を支持する案内部材(奥行ワイヤ)を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の概略図である。
【
図5】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の駆動ワイヤと先導部材を概略的に示す部分的平面図である。
【
図6】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の駆動ワイヤとカーテンの断面図である。
【
図7】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の案内部材(奥行ワイヤ)とカーテンの断面図である。
【
図8】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の案内部材の吊りバントを示す図である。
【
図9】本発明に係る温室用カーテン開閉装置のカーテンを支持する棚線とカーテンの浮上りを防止する浮上り防止線を示す図である。
【
図10】本発明に係る温室用カーテン開閉装置の案内部材と先導部材を概略的に示す断面図である。
【
図11】従来の温室用カーテン開閉装置を概略的に示す正面図である。
【
図12】他の従来の温室用カーテン開閉装置を概略的に示す斜視図である。
【実施例】
【0016】
以下、
図1乃至
図4を参照して、本発明に係る温室およびそのカーテン開閉装置の概要について説明する。
図1は、本発明の温室1の妻面をみた正面図である。
11は丸パイプ製のアーチ部材であり、棟部において接続金具により2本の湾曲したアーチ部材が接続された構造である。もちろん1本の丸パイプを湾曲形成して構成することも可能である。
【0017】
このアーチ部材11は、棟方向に所定間隔を置いて、下端部を地面に挿入されて多数本敷設されている。なお、図示を省略するが、地面にコンクリートを打設して形成された基礎に埋め込まれた形態を採用することもできる。
【0018】
これらのアーチ部材11の内面には、棟方向に延びる棟木を含む複数本の横部材がそれぞれ接合金具によって接合されている。
温室1の頂部である棟部には、棟木12が配設されており、アーチ部材11の肩部、裾部に向かって所定間隔で他の横部材13が連結されている。
15は温室1の表面に合成樹脂性シートを張設するためのシート定着具であり、最下端に設けられた一対のシート定着具15.15は、裾部換気用シートを開放自在に固定するためのものである。
【0019】
なお、以上の説明では、アーチ部材11と棟木12と他の横部材13の温室の構造材のみを備えるものとしているが、本発明の温室としては、柱材と屋根材が別部材から構成された本格的大型のものでない限り、棟部と肩部の中間を水平に結ぶタイバーと束材を補強材として具備する簡易な構造の温室であればよい。
【0020】
すなわち、この温室1は、
図11.12に示される従来の温室のように、温室内に構造材である中央柱や
図12に示されるような構造材である梁を有していない。
この構成は、後述するように本発明の重要な基礎的条件である。
【0021】
21は、本発明のカーテン37の一端部を固定するためのスパンワイヤである。
温室1の一方の妻面と他方の妻面に位置するスパンワイヤ21は、駆動系機器と干渉しないように、それぞれ妻面から略50cm離されて2本目のアーチ部材11の内面に沿って設けられている。
スパンワイヤ21は、所定の間隔、例えば4m、の間隔を空けて配設されている。
そして、基端部をスパンワイヤ21に固定された各カーテン37の先端は、後述する先導部材34に固定されて棟方向の相互に反対方向に移動して、カーテン37が閉じられたときには、
図4に示されるように略30cm重なるように構成されている。
これにより、熱の放散や日照の漏れを防止している。
【0022】
スパンワイヤ21の一端は、ワイヤクリップにてアーチ部材11の下端部に固定され、他端は同じくアーチ部材11の下端部にターンバックルにて張力調整自在に固定されている。
なお、棟木12直下と両肩部においては、吊りバンドを用いてスパンワイヤ21を吊るようにしている。
【0023】
例えば棟木12直下においては、
図8に示されるように、全体で20個の孔を有する吊りバンド24を折り曲げて重ね合わせて、上から2番目と下から2番目の孔にボルトナット等の固定具にて吊りバンド24を棟木12に吊り下げる。
そして、最下端の孔aにスパンワイヤ21を挿通するとともに、下方に位置する固定具を挟んで上下に後述する案内部材22が通される。
【0024】
温室1の妻面に設けられる縦部材14は、この実施例では角パイプから構成されている。16は、出入口用の扉である。
3は、この縦部材14に回転自在に取付けられた駆動軸であり、この駆動軸3には駆動ワイヤ33を巻取り巻戻す回転ドラム31が適宜数固定されている。本実施例においては、棟木12の両脇に該当する位置とアーチ部材11両肩部近傍の4箇所に4つの駆動系統が配設されている。32は駆動ワイヤ33案内用の滑車である。
【0025】
次いで案内部材22.23について説明する。
案内部材は、
図3に示されるように、上記したスパンワイヤ21の少し上に位置して温室1の一方の妻面から他方の妻面に至るまで温室1の横部材12.13と平行して延伸している。
この案内部材22.23は、棟木12直下と温室1の両肩部近傍の3箇所に配設され、カーテン37の先導部材34を前後進自在に支持するものである。
【0026】
図8と
図10を参照して、この案内部材22.23について説明する。
1つの案内部材は、この実施例では2本の奥行きワイヤ22A、22Bから構成され、一端は駆動系機器が配設された妻面に、2本とも1つのワイヤクリップにて縦部材14間に掛け渡された横部材17に固定されている。
一方、各ワイヤ22A、22Bの他端は、他の妻面の縦部材間に掛け渡された横部材に取付けられた2個のターンバックルにて、それぞれ独立して張力調整自在に固定されている。
【0027】
上側カーテン37Aの先端を先導する上側カーテン先導部材34Aが、上述した上側に位置する案内部材22A、23Aの上を移動する一方、下側カーテン37Bの先端を先導する下側カーテン先導部材34Bは、下側に位置する案内部材22B、23Bの上を移動するものである。
これら先導部材34A、34Bは、
図5に示されるように、それぞれ反対方向に駆動される駆動ワイヤ33にクリップにて固定され、駆動ワイヤ33の駆動力によってそれぞれ反対方向に案内されてカーテン37を開閉するものである。
なお、この先導部材34は、2本の丸パイプの先端が棟部分において、短尺のゴムチューブ製の接合材に挿入固定することにより接合され、この接合材の柔軟な動きによって棟部の案内部材22と肩部の案内部材23の段差の大きさの変化に対応している。
【0028】
カーテン37は、その基端部は上記したスパンワイヤ21に固定されている。
また、その先端部は、上側カーテン37Aが上側カーテン先導部材34Aに、下側カーテン37Bが下側カーテン先導部材34Bに、それぞれ固定されている。
カーテン37はスパンワイヤ21よりも上側に配設された案内部材22.23上に張り巡らされるものである。このため、カーテン37の基端部を上記したスパンワイヤ21に固定するためには、例えば案内部材22直近のカーテン37の端部は無理してスパンワイヤ21に固定せず、無理なく固定可能な部位からカーテンクリップにてスパンワイヤ21に固定している。
【0029】
なお、他のカーテン37のスパンワイヤ21に対する固定方法としては、基端部に棟方向の切れ目を入れて、この切れ目に案内部材22.23を通してスパンワイヤ21まで到達させて端部をカーテンクリップにて固定する方法を採用してもよい。
【0030】
図9を参照して本発明の補助ワイヤについて説明する。
36は上側カーテン37Aと下側カーテン37Bが案内部材22.23によって構成される面よりも大きく弛むことを防止するための棚線であり、35は上側カーテン37Aと下側カーテン37Bが大きく浮き上がることを防止するための浮上り防止線である。
【0031】
本発明のカーテン開閉装置は、1本の丸パイプあるいは2本の丸パイプを棟部で接合したアーチ部材と横部材から構成された簡易型の比較的小型の温室を、より大型のものに変更する必要をなくすことから温室の建設コストを上げることなく、カーテン開閉装置の駆動軸を温室の妻面に配設して、カーテンを温室の棟方向に走行させることで、カーテンの開閉駆動機構を極めて簡易な構成とするとともに、カーテンの妻方向中央部高さをカーテンの肩部高さよりも高くして、温室の栽培空間を究極的に広くするものである。
これにより、栽培効率を高めるばかりでなくより栽培高さが要求される品種の栽培をも可能とする、極めて有用性の高いものである。
【符号の説明】
【0032】
1 温室
11 アーチ部材
12 棟木
13 横部材
14 縦部材
15 シート定着具
16 扉
17 妻部横部材
21 スパンワイヤ
22 案内部材
23 案内部材
3 駆動軸
31 回転ドラム
32 滑車
33 駆動ワイヤ
34 先導部材
35 浮上り防止線
36 棚線
37 カーテン