(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子回路を有する回路基板と、前記回路基板が取付けられたケースと、前記ケースに取付けられ、車両窓部のガラス面に配設されたアンテナ放射素子の給電用銀電極に前記電子回路を電気的に接続するための接続端子とを備えた車載用電子機器であって、
前記ケースには、クッション性を有する絶縁部材が設けられており、
前記接続端子の一端部が、前記ケースとの間に前記絶縁部材を挟むように位置しており、
前記接続端子の一端部と前記給電用銀電極とが接触し、
前記ケースは、接着層を介して前記ガラス面に取付けられる取付け面を有しており、
前記絶縁部材は、前記接続端子の一端部及び前記給電用銀電極によって部分的に押し潰されており、前記接続端子の一端部及び前記給電用銀電極を覆った状態で前記ガラス面と密着し、
前記ガラス面に対する前記絶縁部材の接触面が非粘着性であることを特徴とする車載用電子機器。
前記回路基板が前記ケースに保持されていると共に、前記接続端子が弾性を有しており、前記接続端子の他端部を前記回路基板に設けられた電極に圧接可能とすると共に、前記接続端子の一端部を前記ガラス面に配設された前記給電用銀電極に圧接可能としたことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【背景技術】
【0002】
従来、車両窓部(例えばリアウィンドウ)のガラス面をアンテナ放射素子の配置スペースとして利用するという手法が広く知られており、こうした手法は、テレビ放送の地上デジタル放送への切り替わりに伴って一般化しつつある。
【0003】
ところで、地上デジタル放送等の信号波はアンテナ放射素子が受信した信号を余計な経路を介さず速やかに増幅する必要があり、こうすることで受信信号の減衰を極力抑制して良好な受信感度が得られるようになる。そのため、車両窓部のガラス面にアンテナ放射素子が配設されているアンテナ装置においては、通常、前置増幅回路が設けられた回路基板を内蔵してなる電子機器を、アンテナ放射素子に近接させて同じガラス面に装着している。このことにより、アンテナ放射素子で受信した放送信号が前置増幅回路を経由して受信回路等へ送られるようになっている。
【0004】
即ち、車載用電子機器には、コネクタを搭載し前置増幅回路が設けられた回路基板や、車両窓部のガラス面に固着されて回路基板が載置固定される取付けベースや、給電用の電極をアンテナ放射素子の給電用銀電極と接続するための接続端子等が具備されている。そして、この種の電子機器で増幅処理された受信信号を、コネクタに繋いだ信号ケーブルを介して車両の別の場所に設置されている受信回路等へ送ることによって、車内の表示装置でテレビ放送等の視聴が行えるようになっている。
【0005】
このように車両窓部のガラス面に装着して使用される電子機器においては、電子回路の給電電極および接地電極をアンテナ放射素子の一対の給電用銀電極と電気的に容易に接続することができると共に、電子回路の調整や部品交換等を効率良く行うことができる。そこで従来、特許文献1に開示されているような(
図13、
図14参照)組立作業性が良好で接続の信頼性も高めやすくした車載用電子機器901が提案されている。即ち、1本の取付けねじ906を、座金912を介して車両窓部のガラス面920に固着されている取付けベース902に螺着させるだけで回路基板905を該取付けベース902に締結固定できるような構造としている。これにより、回路基板905と取付けベース902との間に一対の端子部材903,904の基板側の接点部を挟持すると共に、一対の端子部材903,904のガラス面側の接点部をアンテナ放射導体930の一対の給電用銀電極931へ圧接することができる。また、回路基板905には、給電電極910と接地電極911が設けられていて、給電電極910と接地電極911とが、1本の取付けねじ906により端子部材903,904に圧接される。かかる従来の車載用電子機器901では、スクリュードライバ等の治具を用いて取付けねじの締結を解除することにより、ガラス面920に固着されている取付けベース902から回路基板905を容易に取り外すことができる。
【0006】
また、文献に開示はされてはいないが、車載用電子機器のケースを絶縁粘着テープで車両窓部のガラス面に取り付けると同時に、弾性のある接続端子を電子回路の電極及びアンテナ放射導体の銀電極とに圧接させる接続方法も考えられている。この方法によると、
図15及び
図16に示すように、取付けねじを使用せず、弾性のある接続端子を使用することによって、電子回路の給電電極とアンテナ放射導体の給電用銀電極との電気接続を行なうことができる。
【0007】
図15及び
図16の車載用電子機器801において、接続端子915はリン青銅等の弾性に富んだ金属板からなる、第1接触片915aと第2接触片915bを有している。これら第1接触片915aと第2接触片915bは斜め上方と斜め下方へそれぞれ突出するようにフォーミングされており、第1接触片915a及び第2接触片915bそれぞれの基端同士を繋いでいる中間支持部915cが下ケース916に取り付けられている。そして、ケース914の下ケース916を両面絶縁粘着テープ913によりガラス面920に固着すると、一対の接続端子915の第2接触片915bがアンテナ放射導体930の一対の給電用銀電極931に圧接されるようになっている。また、下ケース916に上ケース917を取り付けると、回路基板905の裏面に設けられている一対の電極919(給電電極および接地電極)に、一対の接続端子915の第1接触片915aが圧接されるようになっている。これにより、給電用銀電極931と電極919とが接続端子915を介して電気的に接続された状態となる。また、下ケース916に取り付けられた上ケース917には、接続端子915からの弾発力が回路基板905を介して作用するため、この上ケース917はガラス面920から離隔する向きに常時付勢されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の発明の場合、車両窓部のガラス面側の給電用電極は銀電極であり、この銀電極と端子部材の接点部との接続部が外気に直接触れる構造になっている。そのため、車載用電子機器の接続端子とアンテナ放射素子の給電用銀電極との接続構造が硫化に対して弱い構造となっていた。
【0010】
また、
図16に示す電子機器のような、絶縁粘着テープを使用してケースを車両窓部のガラス面に取り付け、弾性のある接続端子を用いて電気接続を行なうという接続方法の場合でも、車両窓部のガラス面側の給電用電極は銀電極である。従って、この場合でも、給電用銀電極が外気に直接触れる構造になっているため、車載用電子機器の接続端子とアンテナ放射導体の給電用銀電極との接続構造が硫化に対して弱い構造となっていた。
【0011】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、上記問題点を改善し、接続端子とアンテナ放射導体の給電用銀電極との接続構造を、外気による硫化に対して強い構造となるようにした車載用電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために、本発明の車載用電子機器は、電子回路を有する回路基板と、前記回路基板が取付けられたケースと、前記ケースに取付けられ、車両窓部のガラス面に配設されたアンテナ放射素子の給電用銀電極に前記電子回路を電気的に接続するための接続端子とを備えた車載用電子機器であって、前記ケースには、クッション性を有する絶縁部材が設けられており、前記接続端子の一端部が、前記ケースとの間に前記絶縁部材を挟むように位置しており、前記接続端子の一端部と前記給電用銀電極とが接触
し、前記ケースは、接着層を介して前記ガラス面に取付けられる取付け面を有しており、前記絶縁部材は、前記接続端子の一端部及び前記給電用銀電極によって部分的に押し潰されており、前記接続端子の一端部及び前記給電用銀電極を覆った状態で前記ガラス面と密着し、前記ガラス面に対する前記絶縁部材の接触面が非粘着性であることを特徴とする。
【0013】
このように構成された車載用電子機器では、
絶縁部材が、接続端子の一端部及び給電用銀電極によって部分的に押し潰されており、接続端子の一端部及び給電用銀電極を覆った状態でガラス面とが密着している。これによって、給電用銀電極と接続端子の一端部とが絶縁部材によって気密に封止され、給電用銀電極と接続端子の一端部とが外気に直接触れることがない。したがって、給電用銀電極と接続端子の一端部との接続構造を硫化に対して強い構造とすることができる。
また、ケースが、接着層を介してガラス面に取付けられる取付け面を有しているため、ケースを車両窓部のガラス面にそのまま取付けることができ、ケースの取付け作業をより容易にすることができる。また、ガラス面に対する絶縁部材の接触面が非粘着性であるため、ケースをガラス面から取外す際に、接続端子及び給電用銀電極を傷つけることなく外すことが可能となる。
【0016】
また、上記の構成において、前記回路基板が前記ケースに保持されていると共に、前記接続端子が弾性を有しており、前記接続端子の他端部を前記回路基板に設けられた電極に圧接可能とすると共に、前記接続端子の一端部を前記ガラス面に配設された前記給電用銀電極に圧接可能としたという特徴を有する。
【0017】
このことにより、接続端子が、回路基板に設けられた電極とガラス面に配設された給電用銀電極とに、弾性を持った状態で接続可能とされているため、回路基板に設けられた電極とアンテナ放射素子の給電用銀電極との電気的接続を確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の車載用電子機器によれば、ケースのガラス面への取付け面上で、接続端子の一端部とケースとの間に絶縁部材が設けられており、接続端子の一端部と給電用銀電極とが圧接した状態で、絶縁部材をガラス面に密着させている。上記の構成により、アンテナ放射導体の給電用銀電極と接続端子の一端部とが絶縁部材によって気密に封止されるため、給電用銀電極と接続端子の一端部とが外気に直接触れることがない。そのため、給電用銀電極と接続端子の一端部との接続構造を硫化に対して強い構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器を車両窓部のガラス面に装着した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器の分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器の接続端子の取り付け状態を示す下ケースのガラス取付け面側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器の接続端子の取り付け状態を示す下ケースの上ケース取付け面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器の平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器の上ケースをはずした状態の平面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の斜視図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の分解斜視図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の裏面側から見た斜視図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の取付け状態の説明図である。
【
図13】従来例に係る車載用電子機器の斜視図である。
【
図15】他の従来例に係る車載用電子機器の接続端子の取り付け状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載用電子機器100を車両窓部のガラス面20に装着した状態を示す斜視図であり、
図2は、車載用電子機器100の分解斜視図である。
図3は、車載用電子機器100の接続端子5の取り付け状態を示すため、下ケース6のガラス取付け面側から見た斜視図であり、
図4は、車載用電子機器100の接続端子5の取り付け状態を示す下ケース6の上ケース取付け面側から見た斜視図である。また、
図5は、該車載用電子機器100の平面図であり、
図6は、
図5のA−A線に沿う断面図である。なお、本明細書に記載された上下は相対的な方向であり、特定の方向を意味するものではない。
【0025】
車載用電子機器100は、車両窓部(例えばリアウィンドウ)のガラス面20に装着されて使用される。
図2に示すように、このガラス面20にはアンテナ放射素子30が配設されており、アンテナ放射素子30で受信された放送信号が車載用電子機器100内に設けられた電子回路12で増幅されてから図示せぬ他の電子回路へ送られるようになっている。
【0026】
車載用電子機器100は、
図1,
図2に示すように、アンテナ放射素子30に電気的接続される電子回路12を有する回路基板1と、回路基板1に搭載された外部接続用のコネクタ2とを備えている。そして、回路基板1に一体化されて電子回路12を電磁的にシールドするシールドケース3も備えている。また、これら回路基板1およびシールドケース3を収納する略直方体形状のケース4と、電子回路12に接続された一対の電極9(
図6参照)をアンテナ放射素子30の一対の給電用銀電極31に接続するための一対の接続端子5とによって主に構成されている。尚、ケース4は下ケース6と上ケース7とを組み合わせて構成されている。下ケース6は両面絶縁粘着テープ8によってガラス面20に固着可能とされており、一対の接続端子5も両面絶縁粘着テープ8によって下ケース6に保持されている。一方、上ケース7は下ケース6を覆うように着脱可能に取り付けられており、回路基板1およびシールドケース3は上ケース7に組み付けられている。
【0027】
回路基板1に設けられている電子回路12には図示せぬ前置増幅回路が含まれており、アンテナ放射素子30が受信した放送信号をこの前置増幅回路で増幅してからコネクタ2経由で他の電子回路へ送ることによって、良好な受信感度が得られるようになっている。回路基板1の表面には、シールドケース3の取付脚3aを嵌入させるための嵌合凹部1aや、シールドケース3の切れ込み部3bを外嵌させるための嵌合凸部1bや、コネクタ2を取り付けるための取付孔1c等が設けられている。また、この回路基板1の裏面には、前述した一対の電極9(給電電極および接地電極)が設けられている(
図6参照)。
【0028】
接続端子5はリン青銅等の弾性に富んだ金属板からなり、
図6に示すように、回路基板1の裏面に設けられた電極9(給電電極および接地電極)に接する第1接触片5aとガラス面20上に設けられた給電用銀電極31に接する第2接触片5bとを有している。下ケース6のガラス面20への取付け面上には、両面絶縁粘着テープ8が取り付けられている。両面絶縁粘着テープ8のガラス面20側には、第2接触片5bが貼り付けられ、保持されている。このとき、接続端子5の第2接触片5bが、下ケース6との間に両面絶縁粘着テープ8を挟むように位置づけられている。そして、
図6に示すように、両面絶縁粘着テープ8によって下ケース6をガラス面20に固着させると、両面絶縁粘着テープ8によって第2接触片5b及び給電用銀電極31が覆われた状態でガラス面20と両面絶縁粘着テープ8とが密着される。このとき、両面絶縁粘着テープ8を介してガラス面20と下ケース6とが接着され、第2接触片5b及び給電用銀電極31は、気密に封止された状態で保持される。したがって、第2接触片5b及び給電用銀電極31は外気に直接触れることがなくなるため、第2接触片5b及び給電用銀電極31の硫化を防ぐことができる。
【0029】
なお、
図3に示すように、下ケース6のガラス取付け面に取り付けられている両面絶縁粘着テープ8は、接続端子5の第2接触片5bの貼り付け部分だけではなく、下ケース6のガラス面への取付け面全体に亘って貼り付けられている。従って、ケース4のガラス取付け面への取付け時に、ケース4のガラス取付け面を車両窓部のガラス面20にそのまま取付ければ良い。従って、ケース4を車両窓部のガラス面20に装着する取付け作業性を改善することができる。
【0030】
図7は、車載用電子機器100の上ケース7をはずした状態の平面図であり、
図8は、
図7のB−B線に沿う断面図である。なお、
図8は、一対の接続端子5を下ケース6に取り付けている途中の段階を示している図面である。即ち、一対の接続端子5の一方が下ケース6に両面絶縁粘着テープ8により既に貼り付けられている状態であり、一対の接続端子5の他方が矢印で示すように、下ケース6の下側から下ケース6の開口部11の方向へ挿入されようとしている状態を示している。
【0031】
図8に示すように、第1接触片5aは、下ケース6と両面絶縁粘着テープ8に設けられた開口部11から下ケース6の内方に突出している。また、第2接触片5bは、その電極面の裏面が両面絶縁粘着テープ8の下側の面に貼り付けられるため、接続端子5は下ケース6に保持される。その後、下ケース6に上ケース7を取りつけた状態のケース4がガラス面20に取り付けられる。このようにケース4は、接続端子5がケース4に安定に取り付けられている状態でガラス面20に取り付けられるようになるため、ケース4の取り付け時の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0032】
また、下ケース6に上ケース7を取り付けると、接続端子5が弾性を有しているため、
図6に示すように、回路基板1の下側面に設けられた電極9(給電電極および接地電極)に、一対の接続端子5の一端部である第1接触片5aが圧接可能とされる。また、下ケース6に上ケース7が取り付けられたケース4を、絶縁部材としての両面絶縁粘着テープ8によってガラス面20に取り付けると、給電用銀電極31と一対の接続端子5の他端部である第2接触片5bとの接続部の一部が圧接して狭持される。そして、この状態で給電用銀電極31と一対の接続端子5の第2接触片5bとの接続部の一部が両面絶縁粘着テープ8に覆われる。これにより、給電用銀電極31と電極9とが接続端子5を介して電気的に接続された状態となる。また、下ケース6に取り付けられた上ケース7には、接続端子5からの弾発力が回路基板1を介して作用するため、この上ケース7はガラス面20から離隔する向きに常時付勢されている。このことにより、接続端子5が弾性を持った状態で回路基板1に設けられた電極9とガラス面20に配設された給電用銀電極31とに接続可能とされる。そのため、回路基板1に設けられた電極9とアンテナ放射素子30の給電用銀電極31との電気的接続を確実に維持することができる。
【0033】
以上説明したように、第1の実施形態に係る車載用電子機器100は、ケース4に取付けられた接続端子5の第2接触片5bと給電用銀電極31とが接触するように両面絶縁粘着テープ8をガラス面20に密着させている。これによって、給電用銀電極31と第2接触片5bとが両面絶縁粘着テープ8によって気密に封止され、給電用銀電極31と第2接触片5bとが外気に直接触れることがない。従って、アンテナ放射素子30の給電用銀電極31と接続端子5との接続構造を硫化に対して強い構造とすることができる。
【0034】
上記のように、両面絶縁粘着テープ8によって、給電用銀電極31と接続端子5の第2接触片5bとの接続部の一部を覆うことが好ましいが、絶縁部材であれば両面絶縁粘着テープ8以外の部材であってもよい。たとえば、絶縁ゴムシートを用いることもできる。なお、取り付け作業性の観点から両面絶縁粘着テープ8を用いることが好ましいが、代わりに接着剤を用いることもできる。
【0035】
また、接続端子5が弾性を有していることが好ましい。こうすれば、接続端子5に弾性付勢されるように取り付けることが可能である。なお、接続端子5用の金属部材としては、リン青銅以外にも、SUS(ステンレスばね材)、ばね用洋白、黄銅等であっても良い。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、
図9−
図12を参照して本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の斜視図である。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の分解斜視図である。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の裏面側から見た斜視図である。
図12は、発明の第2の実施形態に係る車載用電子機器の取付け状態の説明図である。第2の実施形態に係る車載用電子機器200は、絶縁部材が下ケース6の取付け面の一部に貼り付けられており、ガラス面20に対する絶縁部材の接触面が非粘着性である点で、第1の実施形態と相違している。なお、
図9−
図12においては、説明の便宜上、本実施の形態と同一名称の構成については同一の符号を付している。
【0037】
図9-
図11に示すように、第2の実施形態に係る車載用電子機器200は、上面視略長方形状であり、ガラス面20に取付けられてアンテナ放射素子30に接続される。車載用電子機器200は、シールドケース3を取り付けた回路基板1を下ケース6にネジ止めし、下ケース6に上ケース7を上方から被せて組み立てられる。車載用電子機器200の下ケース6の裏側の取付け面には、絶縁部材208と両面粘着テープ201が貼り付けられている。下ケース6の長手方向の両端部には、アンテナ放射素子30の給電用銀電極31に接続される一対の接続端子5が取り付けられている。また、車載用電子機器200の回路基板1には、上ケース7から外部に露出するようにコネクタ2が接続されている。
【0038】
下ケース6は、上面視略長方形状に形成されており、長手方向の両端部は一対の接続端子5が取り付けられる取付部6aになっている。各取付部6aには、ネジ穴6bとこのネジ穴6bを短手方向で挟むように一対の取付溝6cが形成されている。下ケース6の裏側の取付け面には、長手方向の両端部に絶縁部材208が貼り付けられており、中央に両面粘着テープ201が貼り付けられている。絶縁部材208はクッション性を有するシート状に形成されており、例えば、絶縁ゴムシートで構成される。なお、両面粘着テープ201で接着層を形成する代わりに、例えば液状の接着剤で接着層を形成してもよい。
【0039】
接続端子5は、リン青銅等の金属板からなり、回路基板1に接続される第1接触片5aと、給電用銀電極31に接続される第2接触片5bとを対向させるようにU字状に折り返して形成される。第1接触片5aは、上面視略正方形状であり、下ケース6の取付溝6cに対応した取付片5cが形成されている。また、第1接触片5aの中央には、ネジ穴6bに対応した開口5dが形成されている。第2接触片5bは、T字状に形成されており、下ケース6との間に絶縁部材208を挟むように位置付けられている。第2接触片5bが給電用銀電極31に接触されると、第2接触片5bが絶縁部材208に向けて押し上げられ、絶縁部材208が部分的に押し潰される。よって、第2接触片5b及び給電用銀電極31が絶縁部材208に覆われて気密に封止される。
【0040】
回路基板1は、上面視略長方形状であり、下ケース6のネジ穴6bに対応する位置に貫通穴1dが形成されている。回路基板1には、一端側を切欠いてコネクタ2が取り付けられる一対の取付片1eが形成されている。シールドケース3は、回路基板1に組み付けられることで回路を電磁的にシールドしている。シールドケース3は、回路基板1の長手方向に延びる一対の長尺片3cを複数の連結片3dで連結して構成される。一対の長尺片3cは、縦向き姿勢で対向しており、複数の連結片3dは、一対の長尺片3cを縦向き姿勢で補強している。各長尺片3cには、長手方向の4箇所に回路基板1を取り付けるための取付片3eが形成されている。また、一対の長尺片3c及び一部の連結片3dの下半部には、回路基板1を押さえる複数の押さえ部3fが設けられている。一対の長尺片3cの押さえ部3fは、対向面から内向きに突出して、回路基板1の長辺部を押さえるように形成されている。連結片3dの押さえ部3fは、内面から内向きに突出して、回路基板1の長手方向の他端側の短辺部を押さえるように形成されている。シールドケース3は、各押さえ部3fが回路基板1に当接された状態で、各取付片3eを回路基板1の長辺部に係止させることで回路基板1に取り付けられる。また、回路基板1は、各貫通穴1dを介して下ケース6の各ネジ穴6bにネジ202が締め付けられることで下ケース6に固定される。
【0041】
上ケース7は、上面視略長方形状であり、下面が開口された略箱状に形成されている。上ケース7の上面には、回路基板1に固定された一対のネジ202に対応して2つの開口7aが設けられている。上ケース7の短手方向で対向する一対の側面7bには、それぞれ長手方向の両端部付近にシールドケース3に係止される係止片7cが設けられている。上ケース7の長手方向の一端には、コネクタ2を露出するように切欠き7dが形成されている。上ケース7が下ケース6に被されると、開口7aを介してネジ202の頭が外部に露出される。車載用電子機器200は、ガラス面20に取付けられた後、上ケース7の上面に露出されたネジ202を締め直すことで、接続端子5の第1接触片5aと回路基板1との接触具合が調整される。
【0042】
図12を参照して車載用電子機器200をガラス面に取付けた状態について詳細に説明する。
図12は、車載用電子機器200の絶縁部材208周辺の断面を表している。
図12Aは、車載用電子機器200がガラス面20に取付けられる途中の図であり、
図12Bは、車載用電子機器200がガラス面20に取付けられた状態を表す図である。
図12Aに示すように、車載用電子機器200をガラス面20に取付けると、ガラス面20に配設されたアンテナ放射素子30の給電用銀電極31には接続端子5の第2接触片5bが接触される。これにより、アンテナ放射素子30と回路基板1とが導通され、アンテナ放射素子30で受信した放送信号を回路基板1に伝達することができる。
【0043】
このとき、第2接触片5bと下ケース6との間に絶縁部材208が介在されており、絶縁部材208の接触面208aとガラス面20との間に隙間が空いている。車載用電子機器200をガラス面20に向かって押し付けると、第2接触片5bは、給電用銀電極31からの反力を受けて絶縁部材208に向かって押し上げられる。さらに車載用電子機器200が押し付けられると、絶縁部材208は、クッション性を有しているため、第2接触片5b及び給電用銀電極31によって部分的に押し潰される。
【0044】
そして、
図12Bに示すように、絶縁部材208の非粘着性の接触面208aがガラス面20に接触すると、絶縁部材208によって第2接触片5b及び給電用銀電極31が覆われた状態でガラス面20と絶縁部材208とが密着される。このとき、両面粘着テープ201を介してガラス面20と下ケース6とが接着され、第2接触片5b及び給電用銀電極31は、気密に封止された状態で保持される。したがって、第2接触片5b及び給電用銀電極31は外気に直接触れることがなくなるため、第2接触片5b及び給電用銀電極31の硫化を防ぐことができる。
【0045】
以上説明したように、第1の実施形態においては、両面絶縁粘着テープ8を用いたが、第2の実施形態のように、粘着性を有していない絶縁部材208を用いると共に、回路基板1がネジ202によって締結固定されている構造であっても良い。この構成においても、給電用銀電極31と第2接触片5bとが外気に直接触れることがなく、アンテナ放射素子30の給電用銀電極31と接続端子5との接続構造を硫化に対して強い構造とすることができる。また、絶縁部材208のガラス面20に対する接触面208aが非粘着性であるため、車載用電子機器200をガラス面20から取外す際に、接続端子5及び給電用銀電極31を傷つけることなく外すことが可能となる。
【0046】
また、従来の車載用電子機器では、ケースを車両窓部のガラス面に取り付ける時に、接続端子がしっかりと保持されていない構造では、接続端子の取り付け状態が不安定なまま電子機器の取り付け作業を行なわなければならず、作業性が非常に悪かった。この問題に対し、本実施形態に係る車載用電子機器100、200では、接続端子5が下ケース6に保持された状態で、下ケース6を車両窓部のガラス面20へ取り付けることが可能である。従って、取り付け作業性を大幅に向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る車載用電子機器100、200では、回路基板1が下ケース6に保持されていると共に、接続端子5が弾性を有している。接続端子5は、下ケース6に保持されているため、接続端子5の持つ弾性によって接続端子5の一端部(第1接触片5a)を回路基板1に設けられた電極9(第2の実施形態では不図示)に圧接可能とすることができる。