(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の光重合開始剤、及びこれらを含有する感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の光重合開始剤は、以下の一般式(I)で表わされるものである。
【化3】
(式中、
Xは骨格D、骨格E、またはニトロ基
【化4】
であり、
Arはアリール基又は複素環基を表し、かつ、その環はR、OR、COR、SR、CONRR'、CN、NO
2又はハロゲン原子で一つ以上置換されていてもよく、
R
1はR
a、OR
a、COR
a、SR
a、NR
aR
a'又はCONR
aR
a'を表し、
R
2はR
b、OR
b、COR
b、SR
b、CONR
bR
b'又はCNを表し、
R
3はR
c、OR
c、COR
c、SR
c又はNR
cR
c'を表し、
R、R'、R
a、R
a'、R
b、R
b'、R
c及びR
c'は、直鎖又は枝分かれ構造を有するア
ルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルコキシ基及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合及び/又はエステル結合により中断されていてもよく、また、
R及びR'、R
a及びR
a'、R
b及びR
b'、R
c及びR
c'はそれぞれ一緒になって環を形
成していてもよい。)
上記において、「直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基」とは、直鎖状あるいは分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1〜20、より好ましくは1〜10の範囲である。
【0013】
「アルコキシ基」とは、エーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を意味する。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20、より好ましくは1〜10の範囲である。
「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
「アリール基」とは、芳香族炭化水素基を意味する。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜18の範囲である。好ましいアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリル等が挙げられる。
「複素環基」とは、窒素、酸素、硫黄等の炭素以外のヘテロ原子を一個または複数個環
内に有する、飽和、部分飽和又は完全不飽和の環を意味する。好ましい「複素環基」としては、チエニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、ジュロリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル等が挙げられる。
「アラルキル基」とは、アルキル基における一個または複数個の水素原子が、アリール基で置換された基を意味し、アラルキル基を構成するアルキル基、アリール基は、上記で定義したものである。
【0014】
R及びR'、R
a及びR
a'、R
b及びR
b'、R
c及びR
c'により構成される環は、それら
が結合している窒素原子と一緒になって形成される環を意味する。ここで、前記環は、R、R'、R
a、R
a'、R
b、R
b'、R
c、R
c'が結合している窒素原子に加えて、窒素、酸素、硫黄等の炭素以外のヘテロ原子を一個または複数個環内に有してもよい、飽和、部分飽和又は完全不飽和の環である。上記環の具体例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル等が挙げられる。
【0015】
本発明の上記一般式(I)で表される化合物において、R
1がエチルヘキシル基を表し、R
2がメチル基を表し、R
3がメチル基を表し、Arがフェニル基、ナフチル基又はチエニル基を有するものが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の光重合開始剤の中でも、特に、上記一般式(I)において、R
1がエチルヘキシル基を表わすもの、R
2がメチル基を表わすもの、R
3がメチル基を表わすもの、Xが骨格Dを表すものが、良好な、感光性、解像性、経時安定性の点において好ましい。
【0017】
[本発明の化合物の製造方法]
本発明の中間体であるオキシムを得るためには、一般的に次に示す反応が好適である。
アルデヒド又はケトンと、塩酸ヒドロキシルアミンとを、酢酸ナトリウム又はピリジンのような塩基の存在下、エタノールのような極性溶媒中で反応させることで合成することができる。
上記一般式(I)で表される本発明の光重合開始剤は、一般的に、次のようにして製造することができる。
【0018】
まず、下記一般式(II)
【化5】
(式中、X
1は水素原子又はニトロ基を示し。R
1はR
a、OR
a、COR
a、SR
a、NR
aR
a'又はCONR
aR
a'を表し、R
a及びR
a'は、直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルコキシ基及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合及び/又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R
a及びR
a'は一緒になって環を形成して
いてもよい。)
で表されるカルバゾロ[3,4−c]カルバゾール系化合物と、下記一般式(III)
【化6】
(式中、Arはアリール基又は複素環基を表し、かつ、その環はR、OR、COR、SR、CONRR'、CN、NO
2又はハロゲン原子で一つ以上置換されていてもよく、R及びR'は、直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルコキシ基及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合及び/又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R及びR'は一緒になって環を形成していてもよい。)及び下記一般式(IV)
【化7】
(式中、R
2はR
b、OR
b、COR
b、SR
b、NR
bR
b'又はCONR
bR
b'を表し、
R
b及びR
b'は、直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルコキシ基及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合及び/又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R
b及びR
b'は一緒になって環を形成していてもよい。)で表される酸塩化物とを、塩化アルミニウムの様な金属塩化物の存在下に反応させることにより、下記一般式(V)
【化8】
〔式中、X
2は骨格D
1、骨格Eまたはニトロ基を示し、R
1は上記で定義した通りであり、
【化9】
(式中、R
2、Arは上記で定義した通りである。)〕
で表されるアシル体を得る。
【0019】
次いで、上記一般式(V)を塩酸ヒドロキシルアミン、ピリジン等の塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(VI)
【化10】
〔式中、X
3は骨格D
2、骨格Eまたはニトロ基を示し、R
1は上記で定義したとおりであり、
【化11】
(式中、R
2、Arは上記で定義した通りである。)〕
で表されるオキシム化合物を得る。
【0020】
次いで、上記一般式(VI)と、下記一般式(VII)
【化12】
(式中、R
3はR
c、OR
c、COR
c、SR
c又はNR
cR
c'を表し、R
c及びR
c'は、直鎖又は枝分かれ構造を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示し、これらはハロゲン原子、アルコキシ基及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合及び/又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R
c及びR
c'は一緒になって環を形成していてもよい。)
で表される酸塩化物等とを用いて、下記一般式(I)
【化13】
〔式中、Xは骨格D、骨格Eまたはニトロ基を示し、R
1は上記で定義したとおりであり、
【化14】
(式中、R
2、R
3及びArは上記で定義した通りである。)〕
で表される本発明の光重合開始剤を得る。
【0021】
本発明の光重合開始剤は、ラジカル重合が可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の光重合開始剤として有用である。
【0022】
〔本発明の光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物〕
次に、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
感光性樹脂組成物はエチレン性不飽和結合を有する化合物、バインダー等に、本発明の光重合開始剤を含有させてなる成分である。また、必要に応じて、熱重合禁止剤や可塑剤等の添加剤を混合することによって調製される。
【0023】
本発明のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と芳香族ポリヒドロキシ化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル等があげられる。
【0024】
本発明の不飽和カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート等のメタクリル酸エステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物のイタコン酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル等があげられる。
【0025】
本発明の不飽和カルボン酸と芳香族ポリヒドロキシ化合物とのエステルとしては、例えば、ヒドロキノンジアクリレート、ヒドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート等があげられる。
【0026】
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルとしては、例えば、アクリル酸−フタル酸−エチレングリコールの縮合物、アクリル酸−マレイン酸−ジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸−テレフタル酸−ペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸−アジピン酸−ブタンジオール−グリセリンの縮合物等があげられる。
【0027】
その他本発明に用いられるエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等があげられる。主鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する重合体としては、例えば不飽和二価カルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル、不飽和二価カルボン酸とジアミンとの重縮合反応により得られるポリエステル、不飽和二価カルボン酸とジアミンとの重縮合反応により得られるポリアミド等があげられる。
【0028】
本発明の側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する重合体としては、側鎖に不飽和結合をもつ二価カルボン酸、例えば、イタコン酸、プロピリデンコハク酸、エチリデンマロン酸等とジヒドロキシ又はジアミン化合物との縮合重合体等があげられる。また、側鎖にヒドロキシ基やハロゲン化メチル基の如き官能基をもつ重合体、例えば、ポリジビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂ポリエピクロルヒドリン等とアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸の様な不飽和カルボン酸との高分子反応により得られるポリマーも使用できる。
【0029】
バインダーは、重合性の単量体をラジカル重合させることにより得られる。単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル等のビニルアルコールエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル等、マレイン酸、無水マレイン酸、桂皮酸、イタコン酸、クロトン酸等があげられる。
【0030】
本発明のバインダーの使用量は、エチレン性化合物100重量部に対して30〜1000重量部、さらに好ましくは50〜150重量部である。
また、本発明のオキシムエステル化合物は、下記に示すような公知の光重合開始剤と併用して使用することができる。
【0031】
これら光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)−フェニルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−メチルチオフェニル−2−モルフォリのプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、チオキサントン、2,5−ジエチルチオキサントン、2−クロロキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシ−チオキサントン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(o−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、9−(p−トルイル)アクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン、N−フェニルグリシン、ビス(η
5−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム
、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等があげられる。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、オキシムエステル化合物、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を溶解又は分散させて使用される。
使用される溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、クロロホルム、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等を加えた溶液状組成物として用いられる。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物は、各種印刷インキ、印刷版、塗料、接着剤、ドライフィルムレジスト、カラーフィルター、ブラックマトリクス等の用途に広く使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0034】
また本発明で露光に用いられる光源としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、発光ダイオード、レーザーダイオード、F
2エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等を用いることができる。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物において、光重合開始剤の添加量は特に限定されるものではないが、本発明の光重合開始剤は、エチレン性不飽和結合を有する上記重合性化合物100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、より好ましくは、感度及び解像度等を考慮して1〜40重量部である。
次に、本発明の光重合開始剤を用いた実施例を示すが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
〔実施例1〕光重合開始剤の合成
a.カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール誘導体(アシル体の合成)
【化15】
【0037】
クロロベンゼン75部中に5,10−ジエチルヘキシル−カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール7.5部を加え氷冷し、塩化アルミニウム4.7部及び塩化アセチル3.3部を加えた。この反応混合物を氷冷で2時間攪拌した。次いで反応混合物を氷水に注いだ。生成物をクロロベンゼンで抽出した。食塩水で洗浄し、その後無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮後、褐色タールを得た。得られたタールをヘキサン/酢酸エチル(7:1〜2:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、淡黄緑色粉末5.5部(63.3%)を得た。
【0038】
b.オキシム体の合成
【化16】
【0039】
DMF31.5部中のa.で得られたアシル体3.5部に塩化ヒドロキシルアンモニウム1.95部、酢酸ナトリウム3水和物3.85部、水3.85部で調整した溶液を加え、還流下4時間攪拌した後、反応混合物を氷水に注いだ。得られた個体を濾取し、水で洗浄し、酢酸エチルに溶解した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、黄色固体2.3部(62.6%)を得た。この固体を未精製のまま、次の反応に用いた。
【0040】
c.オキシムエステル体の合成
【化17】
【0041】
b.で得られたオキシム体2.0部をDMF12部に溶解した。この溶液にトリエチルアミン1.88部、無水酢酸1.9部加え、室温で6時間攪拌した後、反応混合物を水に注ぎ、析出固体を濾過した。濾物を、クロロホルムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固体1.6部(70.7%)を得た。λmaxは394.0nm、融点は63〜65℃であった。
【0042】
〔実施例2〕光重合開始剤の合成
a.カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール誘導体(アシル体の合成)
【化18】
【0043】
クロロベンゼン53部中に5,10−ジエチルヘキシル−カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール7.5部、塩化アルミニウム1.66部、ベンゾイルクロリド1.26部を加え、60℃で2時間攪拌した。次いで反応混合物を氷冷し、塩化アルミニウム1.66部及び塩化アセチル0.86部を加えた。この反応混合物を室温で2時間攪拌した。次いで反応混合物を氷水に注いだ。生成物をクロロベンゼンで抽出した。食塩水で洗浄し、その後無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮後、褐色タールを得た。得られたタールをクロロホルムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、褐色粉末4.6部(68.0%)を得た。
【0044】
b.オキシム体の合成
【化19】
【0045】
DMF34.2部中にa.で得られたアシル体3.8部に塩化ヒドロキシルアンモニウム1.0部、酢酸ナトリウム3水和物1.9部、水1.9部で調整した溶液を加え、還流下4時間攪拌した後、反応混合物を氷水に注いだ。得られた個体を濾取し、水で洗浄し、酢酸エチルに溶解した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、褐色固体3.6部(92.7%)を得た。この固体を未精製のまま、次の反応に用いた。
【0046】
c.オキシムエステル体の合成
【化20】
【0047】
b.で得られたオキシム体3部をDMF30部に溶解した。この溶液にトリエチルアミン1.32部、無水酢酸1.32部を加え、室温で6時間攪拌した後、反応混合物を水に注ぎ、析出固体を濾過した。濾物を、クロロホルムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、褐色固体2.5部(78.5%)を得た。λmaxは397.0nm、融点は68〜70℃であった。
【0048】
〔実施例3〕光重合開始剤の合成
a.2−ニトロ−カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール誘導体(ニトロ体の合成)
【化21】
【0049】
酢酸180部中に5,10−ジエチルヘキシル−カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール6部を加え、加熱完溶後、60%硝酸1.02部を加え 80℃で1時間攪拌した。次いで反応混合物を氷水に注ぎ、析出固体を濾過した。濾物を乾燥させ黄色個体6部(92.3%)を得た。この個体を未精製のまま次の反応に用いた。
【0050】
b. 2−ニトロ−カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール誘導体(アシル体の合成)
【化22】
【0051】
クロロベンゼン120部中に5,10−ジエチルヘキシル−2−ニトロ−カルバゾロ[3,4−c]カルバゾール6部を加え氷冷し、塩化アルミニウム1.98部及び塩化アセチル0.99部を加えた。この反応混合物を室温で1時間攪拌した。次いで反応混合物を氷水に注いだ。生成物をクロロベンゼンで抽出した。食塩水で洗浄し、その後無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮後、褐色タールを得た。得られたタールをヘキサン/酢酸エチル(19:1〜7:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、褐色粉末3.3部(68.0%)を得た。
【0052】
c.オキシム体の合成
【化23】
【0053】
DMF27部中にb.で得られたアシル体3部に塩化ヒドロキシルアンモニウム0.84部、酢酸ナトリウム3水和物1.65部、水1.65部で調整した溶液を加え、還流下4時間攪拌した後、反応混合物を氷水に注いだ。得られた個体を濾取し、水で洗浄し、酢酸エチルに溶解した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、褐色固体2.76部(89.8%)を得た。この固体を未精製のまま、次の反応に用いた。
【0054】
d.オキシムエステル体の合成
【化24】
【0055】
c.で得られたオキシム体2.7部をDMF27部に溶解した。この溶液にトリエチルアミン1.29部、無水酢酸1.29部を加え、室温で6時間攪拌した後、反応混合物を水に注ぎ、析出固体を濾過した。濾物を、ヘキサン/酢酸エチル(19:1〜7:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、褐色固体1.9部(65.9%)を得た。λmaxは418.0nm、融点は62〜65℃であった。
【0056】
〔実施例4〜13〕
同様の方法によって合成した、下記一般式(I)で表される、本発明の様々な化合物の具体的な構造及び測定結果を表1に示す。
【化25】
【0057】
【表1】
【0058】
〔実施例14〜16〕感光性樹脂組成物の製造
表2に示す材料を配合し、感光性樹脂組成物を得た。
【0059】
【表2】
なお、比較例1、2においては、光重合開始剤として下記に示す市販品を用いた。
【0060】
〔比較例1〕
商品名:OXE−01(BASF製)
【化26】
【0061】
〔比較例2〕
商品名:OXE−02(BASF製)
【化27】
【0062】
次いで、ガラス基板上に、上記表2に示すそれぞれの感光性樹脂組成物を、回転塗布機を用いて膜厚を3μmとなるように塗布し、オーブンで80℃で3分間乾燥させた。その後、超高圧水銀ランプを用いて露光量を変えて露光を行った。次に、1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で3分間スプレーし、未露光部分の除去を行った。
【0063】
実施例1〜8及び比較例1〜2についての結果を表3に示す。
ここに示された感度は、25μmのレジストパターンを寸法通り形成できる露光量をも
って表示した。
表3においては、露光量が少ないものほど高感度であることを示すが、本発明の感光性樹脂組成物は、比較例のものと比べると、優れた感度及び解像度を示している。
【0064】
【表3】