【氏名又は名称】オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体現像剤のための供給システム(113,114)の溢流部とドクタ手段(201)との間に、前記供給手段(202)として、前記流れ案内要素(205)が配置されており、前記流れ案内要素(205)を介して、液体現像剤が前記流体としてドクタ手段(201)に流れる、請求項1記載のデジタルプリンタ。
前記供給手段(202)として、少なくとも1つの洗浄ノズル(211)を備える洗浄ユニット(207)が設けられており、前記洗浄ノズル(211)は、前記流体を、上側又は下側から前記ドクタ手段(201)に吹き付ける、請求項1又は2記載のデジタルプリンタ。
前記ドクタ手段(201)は、回動可能に支承されたドクタホルダ(204)に固定されており、前記ドクタホルダ(204)は、前記クリーニング要素(117)に向かって前記ドクタ手段(201)に予荷重を掛ける、請求項1から4までのいずれか1項のデジタルプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態を、図示の態様を用いて詳しく説明する。
【0028】
図1に示すように、記録支持体20に印刷を行うデジタルプリンタ10は、1つまたは複数の印刷部11a〜11d,12a〜12dを有し、印刷部11a〜11d,12a〜12dは、トナー像(印刷像20’、
図2参照)を記録支持体20に印刷する。記録支持体20として、図示のように、ウェブ状の記録支持体20が、ロール21から、繰出し装置22を用いて繰り出され、第1の印刷部11aに供給される。定着ユニット30内で、印刷像20’は、記録支持体20に定着される。次いで、記録支持体20は、巻取り装置27を用いてロール28に巻き取られる。そのような構成は、ロールtoロールとも云われる。
【0029】
図1に示された好適な構成では、ウェブ状の記録支持体20は、表面で4つの印刷部11a〜11dにより、かつ裏面で4つの印刷部12a〜12dにより、フルカラー印刷される(いわゆる4/4構成)。このために記録支持体20は、繰出し装置22によりロール21から繰り出されて、選択的に設けられる調整部23を介して第1の印刷部11aに供給される。調整部23において、記録支持体20は、適切な材料で前処理するかまたは被覆することができる。被覆材料(プライマとも云われる)として、好適にはワックス又は化学的に同等の材料を用いてよい。
【0030】
このような材料は、記録支持体20の全面にわたって又はあとで印刷したい箇所にだけ被着することができ、これにより、記録支持体20を印刷のために準備し、かつ/又は印刷像20’を着ける際の記録支持体20の吸着特性に影響を与えることができる。これにより、あとで着けられるトナー粒子又は液体キャリアが過度に深く記録支持体20内に侵入せず、大体において表面に留まる(これにより色質及び画像品質が改善される)ことが保証される。
【0031】
次いで、記録支持体20は、先ず順次第1の印刷部11a〜11dに供給される。第1の印刷部11a〜11dでは、専ら表面に印刷が行われる。各印刷部11a〜11dは、記録支持体20に、一般的な形で、それぞれ別の1つの色や別の種類のトナー材料、例えばMICRトナー(このトナーは電磁式に読み取ることができる)を用いて印刷を行う。
【0032】
表面を印刷したあとで、記録支持体20は、反転ユニット24において反転され、裏面に印刷を行うための残りの印刷部12a〜12dに供給される。選択的に、反転ユニット24の領域に、別の調整部(図示していない)を配置してよく、この調整部により、記録支持体20は、裏面印刷のために準備され、例えば予め印刷された表面印刷像(もしくは表面全体や裏面)の定着(部分的な定着)又はその他の調整が行われる。したがって、表面印刷像が後続搬送に際して後続の印刷部により機械的に破損されることが防止される。
【0033】
フルカラー印刷を実現するために、少なくとも4色(ひいては少なくとも4つの印刷部11,12)が必要であり、それも例えば原色YMCK(イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)が必要である。特殊色(印刷可能な色空間を拡張するために、例えば顧客固有の色又は追加的な原色)を有する更に別の印刷部11,12を用いてもよい。
【0034】
印刷部12dの下流側にレジスタユニット25が配置されており、レジスタユニット25により、見当標が評価される。見当標は、記録支持体20に、印刷像20’とは無関係に(特に印刷像20’の外側に)印刷される。これにより横見当及び縦見当(1つの色点を形成する複数の原色点は上下に重ねて又は位置的に極めて近くに相並んで配置すべきであり、このことは色見当または4色見当とも云われる)並びにレジスタ(表面及び裏面は位置的に精確に一致しなければならない)を調整することができ、これにより質的に良好な印刷像20’が得られる。
【0035】
レジスタユニット25の下流側に定着ユニット30が配置されており、定着ユニット30により、印刷像20’が記録支持体20上に定着される。電気泳動式のデジタルプリンタでは、定着ユニット30として好適には熱乾燥機が用いられ、熱乾燥機は、液体キャリアをほとんど蒸発させ、これによりトナー粒子だけが記録支持体20上に留まる。これは熱を作用させて行われる。その際、トナー粒子が熱作用に基づいて溶融可能な材料、例えば樹脂を含む場合、トナー粒子も記録支持体20上で溶融することがある。
【0036】
定着ユニット30の下流側に引張り部26が配置されており、引張り部26は、記録支持体20を、全ての印刷部11a〜12dと定着ユニット30とを通して引張る。この領域には、別の駆動装置は配置されていない。なぜならば記録支持体20のための摩擦式駆動装置により、未だ定着されない印刷像20’が擦過される恐れがあったからである。
【0037】
引張り部26は、記録支持体20を巻取り装置27に供給し、巻取り装置27は、印刷済みの記録支持体20を巻き上げる。
【0038】
印刷部11,12及び定着ユニット30の傍で、中央に、デジタルプリンタ10のための全ての供給装置、例えば空調モジュール40、エネルギ供給装置50、コントローラ60及び液体管理モジュール70(例えば様々な液体の液体制御ユニット71及び貯蔵容器72)が配置されている。液体として、デジタルプリンタ10に供給するために、特に純粋な液体キャリア、高濃縮された液体現像剤(液体キャリアに対するトナー粒子の高い含有量)及び媒体液(Serum;セーラム、液体現像剤+電荷制御剤)が必要とされ、並びに廃棄すべき液体のための廃棄物容器又はクリーニング液体のための容器が必要とされる。
【0039】
デジタルプリンタ10は、同一構造の印刷部11,12においてモジュール式に組み立てられている。印刷部11,12は、機械的には区別されず、単にそこに用いる液体現像剤(トナー色またはトナー種)により区別される。
【0040】
印刷部11,12の原理的な構造は、
図2に示してある。そのような印刷部は、電子写真原理に基づいており、その印刷部では、光電式の像担持体が、帯電されたトナー粒子を含む液体現像剤を用いて着色され、そうして形成された像は、記録支持体20に転写される。
【0041】
印刷部11,12は、主に電子写真ステーション100と現像ステーション110と転写ステーション120とから成る。
【0042】
電子写真ステーション100の主要部は、光電式の像担持体であり、この像担持体は、その表面で、光電層を有する(いわゆる光導電体(感光体))。光導電体は、
図2の態様ではドラム(光導電体ドラム101)として構成されており、硬質の表面を有する。光導電体ドラム101は、印刷像20’を形成するための様々な構成要素の傍を通って回動する(矢印方向の回動)。
【0043】
光導電体では、先ずあらゆる汚染物質がクリーニングされる。このために除去光102が存在し、除去光102は、依然として光導電体の表面上に留まる電荷を除去する。除去光102は、均一な光分布を得るために均等化可能(局所的に調整可能)である。これにより表面は、均一に前処理することができる。
【0044】
除去光102の下流側で、クリーニング装置103が、場合によっては光導電体の表面上に依然として存在するトナー粒子、場合によっては汚れ粒子及び残存する液体キャリアを除去するために、光導電体を機械式にクリーニングする。除去された液体キャリアは、収集容器105に供給される。収集された液体キャリア及びトナー粒子は、処理され(場合によってはろ過されて)、色に応じて相応の液体インキ貯蔵部、つまり貯蔵容器72の1つに供給される(矢印105’参照)。
【0045】
クリーニング装置103は、好適にはドクタ104を備え、ドクタ104は、光導電体ドラム101の外周面に、鋭角(出口表面に対して約10°〜80°)に当接し、これにより、表面は、機械式にクリーニングされる。ドクタ104は、光導電体ドラム101の回動方向に対して横向きに往復運動することができ、これにより、外周面は、できるだけ僅かな摩耗で、軸方向長さ全体にわたってクリーニングされる。
【0046】
次いで、光導電体は、帯電装置106により、所定の静電位に帯電される。帯電のために、好適には複数のコロトロン(特にガラス被覆コロトロン)が設けられている。コロトロンは、少なくとも1本のワイヤ106’から成り、ワイヤ106’に、高い電圧が印加される。この電圧により、空気がワイヤ106’を中心にイオン化される。対極としてシールド106’’が設けられている。コロトロンは、追加的に新鮮な空気で通気され、新鮮な空気は、特別な空気通路(給気用の導入空気通路107及び排気用の導出空気通路108)を通って、シールドの間に供給される(
図2の空気流れ矢印も参照)。供給された空気は、そこでワイヤ106’において均等にイオン化される。これにより、光導電体の、ワイヤ106’の近くに位置する表面の均質で均等な帯電が得られる。乾燥した、加熱された空気を用いると、均等な帯電は、更に改善することができる。導出空気通路108を介して、空気が導出される。場合によって発生するオゾンは、同様に導出空気通路108を介して吸い出すことができる。
【0047】
コロトロンは、段階的に配置されており、つまり同一のシールド電圧でシールド106’’ごとに2本または3本以上のワイヤ106’が設けられている。シールド106’’を介して流れる電流は調整可能であり、これにより光導電体の帯電は制御可能である。コロトロンは、それぞれ異なる強さで通電することができ、これにより、光導電体に沿って均等で十分な高さの帯電が得られる。
【0048】
帯電装置106の下流側にキャラクタジェネレータ109が配置されており、キャラクタジェネレータ109は、光学的な放射を介して、光導電体を、所望の印刷像20’に応じて画素ごとに放電させる。これにより潜像が生じ、この潜像は、あとでトナー粒子により着色される(着色された像は印刷像20’に一致する)。好適には、LEDキャラクタジェネレータ109が用いられ、このLEDキャラクタジェネレータでは、多数の個々のLEDを有するLEDラインが、光導電体ドラム101の軸方向長さ全体にわたって固定して配置されている。LEDの数及び光導電体上の光学的な像形成点の大きさは、とりわけ印刷像20’の解像度を決定する(典型的な解像度は600×600dpi付近にある)。LEDは、個別に時間に関して、かつ放射出力に関して制御することができる。したがって網点(複数の画素またはピクセルから成る)を形成するためにマルチレベル法を用いるか、又は画素を時間的に遅らせることができ、これにより例えば正しくない色見当又はレジスタの場合の修正を電子光学式に行うことができる。
【0049】
キャラクタジェネレータ109は、制御ロジックを有し、制御ロジックは、多数のLED及びその放射出力に基づいて、冷却しなければならない。好適には、キャラクタジェネレータ109は、液体により冷却される。LEDは、グループごとに(複数のLEDがまとめられてグループが形成される)又は相互に個別に制御することができる。
【0050】
キャラクタジェネレータ109により形成される潜像は、現像
ステーション110によりトナー粒子を用いて着色される。このために現像ステーション110は、回動する現像ローラ111を備え、現像ローラ111は、液体現像剤の層を、光導電体に向かって案内する(現像ステーション110の機能形式はあとで詳しく説明する)。光導電体ドラム101の表面は比較的硬質であり、現像ローラ111の表面は比較的軟質であり、そして両方のローラは相互に押し付けられるので、より薄くて高い(長い)ニップ(ローラの間のギャップ)が生じ、このニップにおいて、帯電されたトナー粒子が、電界に基づいて、現像ローラ111から光導電体の画線部に電気泳動式に移動する。非画線部では、トナーは、光導電体に移行しない。液体現像剤により充填されたニップは、所定の高さ(ギャップの厚さ)を有する。この高さは、両方のローラ101,111の相互の圧力及び液体現像剤の粘度に関連している。典型的には、ニップの高さは、約2μmより大きく約20μmまでの範囲(液体現像剤の粘度に応じて値も変化する)にある。ニップの長さは、ほぼ数ミリメートルである。
【0051】
着色された像は、光導電体ドラム101と共に第1の転写位置まで回動し、第1の転写位置で、着色された像は、転写ローラ121にほぼ完全に転写される。転写ローラ121は、第1の転写位置(光導電体ドラム101と転写ローラ121との間のニップ)において、光導電体ドラム101と同一方向に運動し、好適には光導電体ドラム101と同一速度で運動する。転写ローラ121に印刷像20’を転写したあとで、印刷像20’(トナー粒子)は、トナー粒子をあとで良好に記録支持体20に転写するために、選択的に帯電ユニット129、例えばコロトロンにより後で荷電されるか又は帯電される。
【0052】
記録支持体20は、搬送方向20’’で、転写ローラ121と対向ローラ(加圧ローラ)126との間を通走する。接触領域(ニップ)は、第2の転写位置を形成し、第2の転写位置で、トナー像が記録支持体20に転写される。転写ローラ121は、第2の転写領域において、記録支持体20と同一方向に運動する。対向ローラ126もニップの領域において同一方向に回動する。転写ローラ121、対向ローラ126及び記録支持体20の速度は、転写位置で相互に調和されており、好適には同一であり、これにより印刷像20’が擦れて汚されることはない。第2の転写位置では、印刷像20’は、転写ローラ121と対向ローラ126との間の電界に基づいて、電気泳動式に記録支持体20に転写される。さらに対向ローラ126は、高い機械的な力で、比較的軟質の転写ローラ121を押し、これにより、トナー粒子は、さらに付着性に基づいて記録支持体20に付着したままになる。
【0053】
転写ローラ121の表面が比較的軟質であり、対向ローラ126の表面が比較的硬質であるので、転動時に、ニップが形成され、このニップにおいてトナー転写が行われる。これにより記録支持体20の起伏を補整することができるので、記録支持体20は、隙間なく印刷を行うことができる。そのようなニップは、例えば包装印刷の場合に当てはまるように、比較的厚い又は非平面状の記録支持体20に印刷を行うためにも良好に適している。
【0054】
印刷像20’は、完全に記録支持体20に転写するのが望ましいが、不都合に幾分かのトナー粒子が転写ローラ121上に残留することがある。液体キャリアの一部は、濡れに基づいて転写ローラ121に残留する。場合によっては依然として存在するトナー粒子は、第2の転写位置に続くクリーニングユニット122によりほぼ完全に除去されるべきである。依然として転写ローラ121上に存在する液体キャリアもまた、完全に又は所定の層厚まで転写ローラ121から除去することができ、これによりクリーニングユニット122の下流側(後方)で、光導電体ドラム101から転写ローラ121への第1の転写位置の上流側(手前)で、清潔な表面又は転写ローラ121の表面上の液体現像剤を含む規定の層厚により、同じ条件が主に成立する。
【0055】
好適には、このクリーニングユニット122は、クリーニングブラシ123とクリーニングローラ124とを備える湿式チャンバとして構成されている。ブラシ123の領域では、クリーニング液体(例えば液体キャリア又は独自のクリーニング液体を用いてよい)が、クリーニング液体供給路123’を介して供給される。クリーニングブラシ123は、クリーニング液体の中で回動し、その際、転写ローラ121の表面を「ブラッシング」する。これにより、表面に付着しているトナーが解離される。
【0056】
クリーニングローラ124は、トナー粒子の電荷とは逆の電位にある。それゆえ帯電されたトナーは、クリーニングローラ124により、転写ローラ121から除去される。クリーニングローラ124は転写ローラ121に接触するので、クリーニングローラ124は、転写ローラ121上に残留する液体キャリアも、供給されたクリーニング液体と一緒に除去する。湿式チャンバからの出口には、調整要素125が配置されている。調整要素125として、図示のように、留め置き板を用いてよく、留め置き板は、転写ローラ121に対して鈍角(例えば留め置き板と出口表面との間で約100°〜170°)に配置されており、これにより、ローラの表面上の液体の残留物は、湿式チャンバ内に、ほぼ完全に留め置かれ、クリーニングローラ124から離間させるために、クリーニング液体排出路124’を介して、図示していないクリーニング液体貯蔵容器(貯蔵容器72の傍)に供給される。
【0057】
留め置き板の代わりに、留め置き板の位置に、図示していない、例えば1つ又は複数の調量ローラを備える調量ユニットを配置してもよい。調量ローラは、転写ローラ121に対して所定の間隔を有し、圧搾に基づいて調量ローラの下流側に所定の層厚が生じる程度の量の液体キャリアを除去する。その際、転写ローラ121の表面は、完全にはクリーニングされず、全面にわたって所定の層厚さの液体キャリアが残存する。除去された液体キャリアは、クリーニングローラ124を介してクリーニング液体貯蔵容器に戻される。
【0058】
クリーニングローラ124自体は、図示していないドクタにより、機械的に清潔に保たれている。クリーニングにおいて除去された、トナー粒子を含む液体は、全てのインキに対して中央の収集容器により捕集され、クリーニングされ、再利用するために中央のクリーニング液体貯蔵容器に供給される。
【0059】
対向ローラ126も同様にクリーニングユニット127によりクリーニングされる。クリーニングユニット127として、ドクタ、ブラシ及び/又はローラが、汚れ(ペーパーダスト、トナー粒子の残留物、液体現像剤等)を対向ローラ126から除去する。除去された液体は、収集容器128に集められ、場合によってはクリーニングされて液体排出路128’を介して再び印刷プロセスに提供される。
【0060】
記録支持体20の表面に印刷を行う印刷部11では、対向ローラ126は、記録支持体20の非印刷面(したがって未だ乾燥している面)を押す。
【0061】
それでも、乾燥している面に既に塵埃及び/又はペーパーダストもしくは別の汚れ粒子が存在することがあり、これらは、あとで対向ローラ126により除去される。除去するために、対向ローラ126は、記録支持体20よりも広幅であるべきである。したがって印刷範囲の外側の汚れも良好に除去することができる。
【0062】
記録支持体20の裏面に印刷を行う印刷部12では、対向ローラ126は、直接に、表面の、未だ定着されていない湿気を帯びた印刷像20’を押圧する。印刷像20’が対向ローラ126により除去されないようにするために、対向ローラ126の表面は、記録支持体20上のトナー粒子や液体キャリアに関して非付着特性を有さなければならない。
【0063】
現像ステーション110は、潜在的な印刷像20’を所定のトナーで着色する。着色するために、現像ローラ111は、トナー粒子を、光導電体に向かって導く。現像ローラ111自体を全面的な層により着色するために、先ず、貯蔵チャンバ112に、図示していない混合容器(液体制御ユニット71の内側)から液体供給路112’を介して所定の濃度で液体現像剤が供給される。貯蔵チャンバ112から、液体現像剤は、溢流してプレチャンバ113(上向きに開いた槽の構成)に供給される。現像ローラ111に向かって、電極セグメント114が配置されており、電極セグメント114は、電極セグメント114自体と現像ローラ111との間にギャップを形成する。
【0064】
現像ローラ111は、上向きに開いたプレチャンバ113を通過して回動し、その際、液体現像剤をギャップに受け取る。余剰の液体現像剤は、プレチャンバ113から貯蔵チャンバ112に戻される。
【0065】
電位により形成される、電極セグメント114と現像ローラ111との間の電界により、液体現像剤は、ギャップにおいて、2つの領域に分割され、それも現像ローラ111の近くの層の第1の領域(第1の領域ではトナー粒子が濃縮される(高濃縮された液体現像剤))と、電極セグメント114の近くの第2の領域(第2の領域はトナー粒子に関して希釈されている(極めて低く濃縮された液体現像剤)とに分割される。
【0066】
続いて、液体現像剤の層は、引き続き調量ローラ115に搬送される。調量ローラ115は、液体現像剤の上側の層を圧搾するので、そのあとで規定の約5μmの層厚さの液体現像剤が現像ローラ111上に留まる。トナー粒子が主に現像ローラ111の表面の近くで液体現像剤中に存在するので、主に外側に位置する液体現像剤が圧搾されるか又は留め置かれ、最終的に収集容器119に戻されるが、貯蔵チャンバ112には供給されない。
【0067】
それゆえ、高濃縮された液体現像剤は、調量ローラ115と現像ローラ111との間のニップを通って搬送される。したがって、約40質量パーセントのトナー粒子と約60質量パーセントの液体キャリアとを有する一様の厚さの層の液体現像剤が、調量ローラ115の下流側に生じる(印刷プロセス要求に応じて質量比は多少変動することがある)。この一様な層の液体現像剤は、現像ローラ111と光導電体ドラム101との間のニップに搬送される。そこで潜像の画線部はトナー粒子により電気泳動式に着色され、これに対して非画線部の領域ではトナーが光導電体に移行しない。十分な量の液体キャリアが電気泳動のために必要不可欠である。液体膜は、ニップの下流側においてほぼ中間位置で濡れに基づいて分離するので、層の一部が光導電体ドラム101の表面に付着したままであり、別の一部(画線部では主に液体キャリアであり、非画線部ではトナー粒子及び液体キャリアである。)が現像ローラ111に留まる。
【0068】
現像ローラ111を再び同一の条件下で均等に液体現像剤により被覆するために、残留するトナー粒子(このトナー粒子は主にネガ型の転写されない印刷像を形成する)及び液体現像剤は、クリーニングローラ117により静電式かつ機械式に除去される。クリーニングローラ117自体は、ドクタ118によりクリーニングされる。除去された液体現像剤は、再利用のために収集容器119に供給される。収集容器119には、調量ローラ115から例えばドクタ116により除去された液体現像剤及び光導電体ドラム101からドクタ104により除去された液体現像剤も供給される。
【0069】
収集容器119に収集された液体現像剤は、液体排出路119’を介して混合容器に供給される。混合容器には、新鮮な液体現像剤及び純粋な液体キャリアも必要に応じて供給される。混合容器には、常に、所望の濃度(液体キャリアに対するトナー粒子の所定の比)の十分な量の液体キャリアが存在しなければならない。濃度は、混合容器内で常に測定され、そして除去された液体現像剤の量の供給、この液体現像剤の濃度、並びに新鮮な液体現像剤もしくは液体キャリアの量及び濃度に関連して相応に制御される。
【0070】
濃度を制御するために、相応の貯蔵容器72aから、最も高く濃縮された液体現像剤、純粋な液体キャリア、媒体液(トナー粒子の電荷を制御するための帯電制御剤及び液体キャリア)、並びに除去された液体現像剤を混合容器に個別に供給することができる。
【0071】
図3において、現像ステーションの1つの態様が明らかである。この現像ステーションにより、液体現像剤が光導電体ドラム101に供給される。図示の態様は、
図2による現像ステーション110から出発する。したがって同一の構成要素には、同一の符号を設けている。
図3による現像ステーション110は、:
−現像要素、例えば現像ローラ111又はエンドレスの現像ベルトを備え、現像要素は、光導電体ドラム101に接触して配置されており、現像ローラ111は、所定の導電性を有する弾性被覆を備える。
−供給システム113,114を備え、供給システム113,114は、電極セグメント114とプレチャンバ113とを有し、供給システム113,114は、現像ローラ111の回動方向にみて、現像ローラ111と光導電体ドラム101との接触ゾーンの上流側(手前)で現像ローラ111に配置されている。
−クリーニングユニット200を備え、クリーニングユニット200は、クリーニング要素としてのクリーニングローラ117とドクタ手段201と供給手段202とを有し、供給手段202は、流体を、ドクタ手段201に着ける。クリーニング要素(クリーニングローラ117又はクリーニングベルト)は、現像ローラ111と接触して配置されており、静電荷像の現像後に現像ローラ111に留まる残留液体現像剤を現像ローラ111から除去する。そのあとで残留液体現像剤は、ドクタ手段201により、例えば
図2におけるドクタ118により、クリーニングローラ117から掻き落とされ、この場合、供給手段202は、ドクタ手段201が掻き落とされた残留液体現像剤から解放されたままになるように働く。
−選択的に調量手段を設けてよく、調量手段は、場合によってはドクタ116を備える調量ローラ115として構成することができる。
【0072】
機能要素(例えば光導電体ドラム101、現像ローラ111、電極セグメント114、クリーニングローラ117、調量ローラ115)に、それぞれ、プラス又はマイナスであってよいトナー電荷の極性により変化する電位が印加される。以下の説明において次の定義が適用される:
−第1の機能要素における電位1は、第2の機能要素における電位2よりも高く、これは、プラスのトナー極性の場合、より高いプラスを意味する。
−第1の機能要素における電位1は、第2の機能要素における電位2よりも高く、これは、マイナスのトナー極性の場合、より高いマイナスを意味する。
【0073】
以下の説明は、プラスのトナー電荷から出発する。
【0074】
供給システム113,114は、液体現像剤を現像ローラ111に向かって搬送し、この場合、液体現像剤に含有されるトナー量は、光導電体ドラム101上の静電荷像の着色のために要求されているトナー量よりも大きい。供給された液体現像剤中のトナー濃度は、例えば3%〜30%、好適には5%〜12%である。液体現像剤の調量は、調量ローラ115と現像ローラ111との間で行うことができる。この場合、現像ローラ111及び調量ローラ115の圧着力、硬さ及び表面粗さは、現像ローラ111と調量ローラ115との間のニップを通る液体現像剤の搬送量を決定し、ひいては光導電体ドラム101向かう液体現像剤の層厚を決定する。この場合、調量ローラ115は、常に、現像ローラ111よりも高い電位を有する。これにより、トナーが非所望に調量ローラ115に転移されないことが保証される。同時に、液体現像剤層内のトナー濃度が高められ、例えば20%〜60%に高められ、現像ローラ111上の均等なトナー分布が保証される。そのあとで、調整された液体現像剤は、現像ローラ111と光導電体ドラム101との間の接触ゾーンに達し、そこで静電荷像が着色される。現像ローラ111及び光導電体ドラム101の電位は、画線部でトナーが光導電体ドラム101に転移され、非画線部でトナーが光導電体ドラム101に転移されないように選択されている。印刷像の現像後に現像ローラ111上に留まる液体現像剤(以下、残留液体現像剤と云う)は、続いてクリーニングローラ117により現像ローラ111から除去される。
【0075】
現像ローラ111からクリーニングローラ117へのトナーの転移を促進するために、クリーニングローラ117は、プラスのトナー電荷の場合に現像ローラ111の電位よりも低い電位にある。結果として生じる、現像ローラ111とクリーニングローラ117との間の電圧差は、10V〜2000V、好適には50V〜300Vの範囲にある。
【0076】
クリーニングローラ117にドクタ手段201が当接しており、ドクタ手段201は、残留液体現像剤をクリーニングローラ117から除去する。ドクタ手段201は、少なくとも1つのドクタ203(
図2によるドクタ118に相当する)を備え、ドクタ203は、クリーニングローラ117に当接しており、これにより、残留液体現像剤がクリーニングローラ117から掻き落とされる。ドクタ203は、以下、クリーニングドクタ203と云われ、
図4〜
図6に示してある。
【0077】
クリーニングローラ117に当接するクリーニングドクタ203は、好適には、クリーニングローラ117に対して無電界に調整される。このために、クリーニングドクタ203は、クリーニングローラ117と同一の電位にあり、この場合、同一の電源網から給電してよい。これによりクリーニングローラ117に対するクリーニングドクタ203の接触箇所は、無電位であり、接触箇所を介して電流が流れない。このような構成手段は、クリーニングドクタ203とクリーニングローラ117との間に摩耗を生じさせる付着力が形成されないことを保証する。
【0078】
クリーニングドクタ203を用いたクリーニング運転時には、トナー及びトナー成分がクリーニングドクタ203のドクタエッジとクリーニングローラ117との間のクリーニングギャップを通過する恐れがあり、この場合、クリーニングドクタ203の裏側で落下物として堆積するという問題が生じる。堆積は、特にドクタエッジが、粗い表面を有する場合にみられる。その結果、クリーニングギャップが堆積物により拡大されるので、残留液体現像剤は、もはや十分にクリーニングドクタ203により掻き落とされない。この問題を解消するために、本発明によれば、後述のように、クリーニングドクタ203は、少なくともドクタエッジの領域で、流体、例えば液体現像剤により洗浄される。この場合、クリーニングローラ117上に存在する、残留液体現像剤から成る層は、クリーニングドクタ203により完全に除去される。掻き落とされた液体現像剤は、例えばドクタホルダ204(
図6)を介して収集容器119(
図2)に導出することができる。クリーニングドクタ203及びドクタホルダ204が平滑に構成されていて、選択的に更に非付着性に被覆されている場合、収集容器119への残留液体現像剤の導出が容易になる。
【0079】
以下に、先ず唯1つのドクタ(クリーニングドクタ203)を備えるドクタ手段201を使用する場合のクリーニングユニット200を説明する。
【0080】
残留液体現像剤を完全にクリーニングローラ117から除去するため、かつ、追加的にクリーニングドクタ203の長い耐用期間を保証するために、クリーニングユニット200は、クリーニングドクタ203の他に、流体のための供給手段202を備え、供給手段202は、流体を、少なくともクリーニングドクタ203とクリーニングローラ117との間の接触ゾーンの領域で、クリーニングドクタ203に、特にそのドクタエッジに着ける。流体として、好適には、トナーに関して希釈されているべきである液体現像剤が用いられる。この場合、クリーニングローラ117に対する接触ゾーンで、クリーニングローラ117上の残留液体現像剤のトナー濃度が低下され、ひいては残留液体現像剤内のトナー粒子間の凝集力が低下される。
【0081】
供給手段202の例は、以下に説明する
図3〜
図9から看取することができる。
【0082】
図3において、供給手段202は、流れ案内要素205、例えば流れ通路を備え、流れ案内要素205を介して、液体現像剤は、プレチャンバ113からクリーニングドクタ203に向かって搬送される。流れ案内要素205は、プレチャンバ113の溢流と接続することができるので、余剰の液体現像剤(この液体現像剤は現像ローラ111に転移されない)が、流れ案内要素205を介してクリーニングドクタ203に向かって導かれる。液体現像剤がプレチャンバ113内の所定の箇所(この箇所では液体現像剤は現像ローラ111へのトナーの移行によりトナーに関して希釈されている)で導出される場合、トナーに関して低濃度の液体現像剤をクリーニングドクタ203に向かって導くことができる。
【0083】
現像ローラ111に調量手段115,116が配置されている場合、液体現像剤(この液体現像剤は調量手段115,116により現像ローラ111から除去され、同様にトナーに関して希釈されている)は、捕集溝206を介して流れ案内要素205に送られ、クリーニングドクタ203のクリーニングに利用される(
図3)。
【0084】
供給手段202がクリーニングドクタ203の上側に配置されている(
図3)場合、液体現像剤は、別の構成手段なく、直接にクリーニングドクタ203に導くことができる。
【0085】
しかもまた、供給手段202は、液体現像剤により充填されている収集容器119を備えてもよい。この場合、収集容器119から、液体現像剤を、クリーニングドクタ203に導くことができる。このために洗浄ユニット207を供給手段として用いてよい。洗浄ユニット207は、上述の供給手段202と共に、流れ案内要素205と組み合わせてもよい。
【0086】
第1の態様では、洗浄ユニット207は、収集容器119又は液体現像剤用の独自の捕集槽を備えてよく、更に収集容器119内から延在する吸込管208と、吸込ユニット209、例えばフラッシュポンプ(洗浄ポンプ)と、搬送システム210、例えば分配チューブと、分配システム211、例えば洗浄ノズルとを備えてよい。フラッシュポンプ209は、例えばダイヤフラムポンプであり、吸込管208を介して、液体現像剤を収集容器119から吸い込み、液体現像剤を洗浄ノズル211にポンピングする。洗浄ノズル211は、液体現像剤を、クリーニングドクタ203、特にそのドクタエッジに吹き付ける。洗浄ノズル211は、クリーニングドクタ203に対して、洗浄ノズル211が液体現像剤をクリーニングドクタ203の上面(
図4)又はクリーニングドクタ203の下面(
図3)に吹き付けるように、配置することができる。クリーニングドクタ203から流れ落ちる液体現像剤は、再び収集容器119に供給することができる。洗浄ノズル211の数は、クリーニングドクタ203の幅に適合されていて、例えば3つの洗浄ノズル211を設けてよい。洗浄ノズル211は、広幅のジェットノズルとして構成してよい。
【0087】
洗浄ユニット207により液体現像剤が上側からクリーニングドクタ203のドクタエッジに吹き付けられる場合(
図4)、クリーニングローラ117上の掻き落としたい残留液体現像剤のトナーは解され、この場合、トナー層は、より容易に流し落とされる。洗浄ユニット207が液体現像剤をクリーニングドクタ203の下面に吹き付ける場合(
図3)、クリーニングドクタ203によりクリーニングローラ117から除去されなかったトナー残留物が流し落とされ、クリーニングローラ117上のトナー残留物の堆積が回避される。
【0088】
洗浄ユニット207の使用は、ドクタ箇所に生じる熱が洗浄により導出されるという利点を更に有する。収集容器119は、循環路に配置してよく、収集容器119は、ポンプ218を介して混合容器219に通じ、混合容器219は、ポンプ220を介してプレチャンバ113に接続されている。この場合、掻き落された液体現像剤は、混合容器219に供給することができ、そこで、供給された新しい液体現像剤と混合させることができる。
【0089】
本発明による1つの改良態様(
図5)では、流れ案内要素205の隣に電位要素212が配置されていて、例えばクリーニングドクタ203/クリーニングローラ117の接触ラインの高さで、クリーニングローラ117から約0.5mm離れて配置されており、この場合、電位要素212に、クリーニングローラ117の電位よりも大きなプラスの電位が印加される。これにより、トナーがクリーニングドクタ203に接触するまえに、クリーニングローラ117に対するトナーの付着力を低減することができる。電界の作用により、液層中のトナーは、クリーニングローラ117の表面から持ち上げられ、ひいてはドクタ位置においてトナー粒子に掛かるストレス(圧力)が低減される。
【0090】
図6は、ドクタホルダ204の1つの例を示している。このドクタホルダ204に、クリーニングドクタ203が固定されている。ドクタホルダ204は、回転軸2
13に回動可能に支承されているので、ドクタホルダ204の回動により、クリーニングドクタ203は、クリーニングローラ117に当接することができる。クリーニングローラ117にクリーニングドクタ203が当接したあとで、ドクタホルダ204は、ストッパ214まで、例えば0.2mm〜1mm、好適には0.8mm引き続き運動させられ、これによりクリーニングドクタ203は、高められた予荷重の下でクリーニングローラ117に当接する。初期のクリーニング運転時に、クリーニングドクタ203において約50μmの僅かな初期摩耗が生じたあとで、ドクタ予荷重とクリーニングのための剪断力との間の力バランスが生じる。クリーニングドクタ203に更なる摩耗は生じず、クリーニングドクタ203のドクタ長さは不変のままである。
【0091】
包括して述べると、
図3〜
図5のクリーニングユニット200について、以下の調整値が好適である:
−クリーニングドクタ203及びドクタホルダ204は、平滑な表面を有し、選択的に、クリーニングドクタ203及びドクタホルダ204は、液体現像剤に対して非付着性の被覆を有してよい。
−クリーニングドクタ203及びクリーニングローラ117の電位は、同一に選択されているので、クリーニングドクタ203に対するクリーニングローラ117の接触箇所は無電位であり、この接触箇所を通って電流が流れない。
−クリーニングローラ117の電位は、トナーが現像ローラ111からクリーニングローラに引き付けられるように選択されている。電位差は、10V〜2000Vの範囲、好適には50V〜300Vの範囲にある。
【0092】
ドクタ手段201の別の態様は、
図7〜
図9に示している。
図7〜
図9では、ドクタ手段201は、前後に配置された2つのドクタ215,216から実現されており、ドクタ215とドクタ216とが相俟ってドクタチャンバ217を形成する。クリーニングローラ117の回転方向にみてクリーニングローラ117に最初に当接するドクタは、クリーニングドクタ215であり、後続のドクタは、シールドクタ216と云われる。
【0093】
ドクタチャンバ217は、クリーニングローラ117まで、流体、例えば液体現像剤により充填されている。クリーニングドクタ215は、残留液体現像剤をできるだけ完全にクリーニングローラ117から掻き落とす役割を有する。シールドクタ216は、2つの役割を担い、シールドクタ216は、一方では流体をドクタチャンバ217内で保持するために働き、他方ではクリーニングローラ117の表面をシールドクタ216の下流側(後方)で乾燥されていて、完全にクリーニングされているようにするために働く。
【0094】
ドクタチャンバ217の流体による、クリーニングローラ117とドクタ215,216との接触ゾーンまでのドクタ215,216の内側の濡れにより、ドクタ215,216の内側におけるトナー及びトナー成分の堆積を回避することができ、その結果、シールドクタ216の下流側で液体現像剤の残留物がクリーニングローラ117上に生じることはない。
【0095】
図7〜
図9は、クリーニングドクタ215及びシールドクタ216を備えるドクタ手段201の3つの態様の、クリーニングローラ117に対する配置を示している。
図7では、ドクタ手段201は、両方のドクタ215,216がクリーニングローラ117により押されるように、クリーニングローラ117に対して位置する。
図8では、調量ドクタ216は引張られ、これに対してクリーニングドクタ215は押される。
図9では、チャンバドクタ201は、
図7に対して回動した姿勢で配置されている。
【0096】
ドクタ215,216は、ドクタホルダ204に、
図6に応じた形で取り付けられている。ドクタ手段201の下側に収集容器119を配置してよい。
【0097】
ドクタチャンバ217の導入により、ドクタ215,216のドクタエッジにおける堆積物の形成が比較的長い期間にわたっても防止される。ドクタ215,216のドクタエッジに小さな破損箇所が生じても、ドクタエッジにトナー及びトナー成分が堆積しない。これによりドクタ215,216の使用期間が延長される。さらに、クリーニング時に問題となることなく、プロセス変動を許容することができる。そのようなプロセス変動は、トナー凝集力の変動(例えば耐用期間変化、貯蔵変化、生産変動による)、転がり抵抗(特に現像ローラ111)の変動、応力変動(特にクリーニング応力の場合)、及びトナー濃度変動であってよい。
【0098】
クリーニングローラ117の被覆は、例えば以下のように選択してよい:
−抵抗は0〜10
10ohm×cmであってよい。
−層厚さは、10μm〜400μm、好適には50μm〜200μmであってよい。
−材料は、金属(硬質クロム、炭化タングステン、Hartcoat(R);アルミニウムの陽極酸化皮膜)又はセラミック(酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタン又はこれらの混合物)であってよい。
【0099】
包括して述べると、本発明によるクリーニングユニット200の態様を備える現像ステーション110は、以下の利点を有する:
1)供給システム113,114により、現像ローラ111へのトナー供給量の過剰搬送が実現され、したがって供給システム113,114からクリーニングローラ117とドクタ手段201との間のクリーニングゾーンへの低濃度の液体現像剤の供給が実現されるので、クリーニングゾーンで、クリーニングローラ117上のトナー層の解しを含むトナー濃度の低下が達成される。
2)クリーニングローラ117の表面は、平滑で耐摩耗性に製作してよく、このような製作は、
・現像ローラ111からの残留液体現像剤の均等な除去を導き、
・クリーニングローラ表面の僅かな粗さにより、クリーニングローラ117に対するトナー粒子の僅かな付着を導き、
・多くのトナー粒子又はトナー成分がドクタエッジの下に到達することなく、クリーニングローラ117からのトナー粒子の良好な掻き落とし性を導き、これにより低減されたトナーストレスが生じる。
3)クリーニングドクタ203,215の平滑で非付着性の表面及びクリーニングドクタ203,215のドクタエッジは、
・掻き落された残留トナーの流出をより容易にし、
・ひいてはトナーの一定の循環を生ぜしめ、これはまた供給システム113,114のための安定したトナー濃度の前提条件である。
4)ドクタホルダ204のための固定ストッパ214を介して行うドクタ設置により、
・新たなクリーニングドクタ203,215の使用期間の最初にしか摩耗が生じず、
・摩耗は数μmに制限されており、これによりクリーニングドクタ203,215の長い耐用期間が得られ(100hを超える)、
・クリーニングローラ117の、平滑で耐摩耗性の表面と相俟って、摩耗はクリーニングドクタ203,215にしか生じず、
・クリーニングローラ117に対するクリーニングドクタ203,215の均等な当接がもたらされる。
5)クリーニングゾーンにおけるトナーストレスが低減され、ひいては安定性が改善される。
・なぜならばクリーニングドクタ203,215の洗浄により、クリーニングローラ117に対するクリーニングドクタ203,215の接触箇所の付近における残留液体現像剤の滞留時間が低減されるからである。
・なぜならば電位要素212によるクリーニングローラ117上の残留液体現像剤の解しが、クリーニングローラ117に対するクリーニングドクタ203,215の接触箇所における相互作用を低減するからである。
6)クリーニングドクタ203上のトナー堆積を回避するために、ダイヤフラムポンプ209と組合せた広幅ノズルの使用は、
・クリーニングドクタ203の洗浄時に高い圧力の形成ひいては高い作用効率を可能にする。
・乾燥のリスクなく持続的に安定した機能を可能にする。なぜならば閉塞しない、1mmより大きな直径を有する広幅ノズルを使用できるからである。
・流れ方向に対して0°〜150°の角度でスプレージェットの形成を可能にする。したがってコンパクトな構造形式が達成される。
7)クリーニングドクタ203上のトナー堆積を回避するための、収集容器119からの液体現像剤の吸込みは、第2の液体の使用を節約する。この場合、トナー濃度制御に影響が及ぼされない。
8)供給システム113,114への過剰搬送と相俟って、収集容器119への残留液体現像剤の均等な戻し搬送により、
・常に、余剰の液体現像剤がクリーニングユニット200に流れることができる。
・収集容器119から混合容器219へのポンピングによる戻しを断続的に行うことができる。
9)クリーニングドクタ203(
図3)の洗浄により、クリーニングドクタ203によりクリーニングローラ117から除去されないトナーが、少量であっても増加することはない。このことは、プロセス変動に対する安定性を高め、例えばトナー濃度制御装置の一時的な故障時における損壊状態の解消を可能にする。
【0100】
光導電体は、好適にはドラムまたはエンドレスベルトの態様で構成してよい。この場合、非晶質のケイ素を光導電体材料又は有機光導電体材料(OPCとも云われる)として用いてよい。
【0101】
光導電体の代わりに、別の像担持体、例えば磁気式やイオン化可能な像担持体等を用いてもよく、別の像担持体は、光電原理に基づいて作動するのではなく、別の原理に基づいて、別の像担持体に、潜像が、電気式、磁気式又はその他の方式で形成され、潜像は、あとで着色され、最終的に記録支持体20に転写される。
【0102】
キャラクタジェネレータ109として、LEDラインや相応のスキャン機構を有するレーザを用いてよい。
【0103】
同様に転写要素は、ローラ又はエンドレスベルトとして形成してよい。転写要素は、省略してもよい。この場合、印刷像20’は、直接に光導電体ドラム101から記録支持体20に転写される。
【0104】
概念「電気泳動」とは、電界の作用に基づく液体キャリア内の帯電されたトナー粒子の移動と解される。トナー粒子のその都度の転写に際して、相応のトナー粒子は、ほぼ完全に別の構成要素に移行する。液膜は、両方の構成要素の接触後に、関与する構成要素の濡れに基づいて約半分に分離されるので、約半分は第1の構成要素に付着したままとなり、残りの部分は別の構成要素に付着したままとなる。印刷像20’は、転写され、そのあとで次の部分(構成要素)において後続搬送され、これにより、次の転写領域で同様にトナー粒子の電気泳動式の移動が可能になる。
【0105】
デジタルプリンタ10は、表面印刷用の1つ又は複数の印刷部と、場合によっては裏面印刷用の1つ又は複数の印刷部とを備える。印刷部は、ライン形(タンデム型)に、L字形に又はU字形に配置してよい。
【0106】
巻取り装置27の代わりに、図示していない後処理装置、例えば断裁機、折り機、綴じ機等を引張り部26の下流側に配置してもよく、これにより記録支持体20は、最終的な形状にもたらされる。例えば記録支持体20は、最終的に完成した本が形成されるように加工してもよい。後処理機器は、同様にライン型に、又は引張り部26に対して角度付けして配置してよい。
【0107】
デジタルプリンタ10は、好適な態様として前述したように、ロールtoロールプリンタとして運転してよい。記録支持体20を印刷の最後にシートに断裁し、次いでシートを積み重ねるか又は適切に後続処理してもよい(ロールtoシートプリンタ)。同様に、シート状の記録支持体20をデジタルプリンタ10に供給して、最終的にシートを積み重ねるか又は後続処理してもよい(シートtoシートプリンタ)。
【0108】
記録支持体20の表面だけに印刷が行われる場合、所定の色の少なくとも1つの印刷部11が必要とされる(シンプレックス印刷)。裏面にも印刷が行われる場合、追加的に裏面用の少なくとも1つの印刷部12が必要とされる(デュープレックス印刷)。表面及び裏面に対する所望の印刷像に関連して、プリンタ構成は、表面及び裏面用の相応の数の印刷部を備え、この場合、各印刷部11,12は、常に、専ら1色又は1種類のトナー用に設計されている。
【0109】
印刷部11,12の最大数は、専ら技術的に記録支持体20の最大機械引張り荷重及び自由な引張り長さにより制限されている。典型的には、1/0構成(印刷したい表面のための1つだけの印刷部)から6/6構成までの任意の構成が実現可能である。6/6構成では、記録支持体20の表面及び裏面のためにそれぞれ6つの印刷部が設けられている。好適な態様(構成)は、
図1に示しており(4/4構成)、
図1の構成では、4原色により表面及び裏面に対してフルカラー印刷が実施される。4色印刷時の印刷部11,12の順序は、好適には、明色(イエロー)を印刷する印刷部11,12から暗色を印刷する印刷部11,12へと進み、つまり例えば記録支持体20は、YCMKの色順序で明色から暗色へと印刷が行われる。
【0110】
記録支持体20は、紙、金属、プラスチック又はその他の適切な印刷可能な材料から製造してよい。