特許第6095464号(P6095464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095464
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20170306BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20170306BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   G03G15/00 657
   G03G21/16 147
   G03G21/18 157
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-91478(P2013-91478)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-215397(P2014-215397A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】395003187
【氏名又は名称】株式会社OKIデータ・インフォテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 秀行
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−091208(JP,A)
【文献】 特開2003−036007(JP,A)
【文献】 特開2002−006589(JP,A)
【文献】 特開平11−133695(JP,A)
【文献】 特開2001−271845(JP,A)
【文献】 特開2010−096924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/16
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を表面に担持し、回転する感光ドラムと、前記感光ドラムが固定される軸と、前記感光ドラムを回転させるモーターと、前記モーターの駆動力を前記軸に伝達する伝達手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、を有し、搬送される前記記録媒体に前記像を転写する画像形成装置において、
前記伝達手段は、前記モーター側に備わる第1プーリーと、前記軸側に備わる第2プーリーと、前記第1プーリーと前記第2プーリーに掛け回される駆動ベルトと、前記第2プーリーと前記軸を固定する固定手段と、を有し、
前記固定手段は前記固定手段の本体に対して着脱可能な緩衝部を有し、
前記固定手段の本体が前記軸に固定されると共に、前記緩衝部が前記第2プーリーとの間に配置されており、
前記感光ドラムと前記伝達手段を有するプロセスカートリッジは、前記モーターを有する前記画像形成装置本体に対して前記モーターの駆動力が前記第1プーリーに歯車を介して伝達されるように着脱可能に搭載され、
前記第2プーリーは前記軸を中心に回転し、前記軸を中心にして対称の位置に夫々凹部を有し、夫々の該凹部は、回転方向に沿って設けられた溝であり、該溝の前記回転方向の夫々の端部には、着脱可能な前記緩衝部が夫々備わり、
前記固定手段の本体は、剛体部を有し、前記剛体部が前記軸に固定され、
前記剛体部は夫々の前記凹部に配置された前記緩衝部の間に対応する位置に凸部を有し、
夫々の該凹部に前記緩衝部を介在させて前記凸部を挿入することで前記緩衝部が変形し、前記凸部が前記緩衝部に挟まり前記凹部に嵌り、前記第2プーリーと前記剛体部が固定され、
前記凸部と前記凹部は前記軸に対して並行に配置されており、前記凸部の前記回転方向の面が平面であり、前記溝の内部の前記回転方向の面が平面であり、前記緩衝部の前記回転方向の面が平面であり、前記凸部の前記回転方向の面と前記溝の内部の前記回転方向の面と前記緩衝部の前記回転方向の面は前記回転方向に対して垂直であり、前記緩衝部の前記回転方向の他方側の面と前記溝の内部の前記回転方向の面が接しており、前記凸部の前記回転方向の面と前記緩衝部の前記回転方向の一方側の面が接しており、前記軸の回転方向に沿う方向に前記第2プーリーから前記剛体部に駆動力を伝達し、前記モーターから前記軸までの駆動力の伝達経路の振動と衝撃が前記緩衝部により緩衝されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2プーリーはベアリングを有し、前記ベアリングが前記軸に接し、前記第2プーリーの回転中心と前記感光ドラムの回転中心が同一であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動ベルトは歯付の無端ベルトであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホストコンピュータから受信した画像データを記録媒体に記録する画像形成装置が広く知られている。画像形成装置は、感光ドラムに静電潜像を形成し、そこにトナーを付着させ、記録媒体にトナーを転写し、定着させることで記録媒体に画像を記録する。画像を高品質に記録するためには、感光ドラム上の静電潜像を正確に作成する必要があり、そのため、感光ドラムを回転ムラなく回転させることが望まれている。例えば、特開2010−96924号公報の従来の画像形成装置では、感光ドラムの回転異常が発生する原因を容易に特定するために、感光ドラムの回転状態に関するデータを検出する回転状態検出部を備えている。この回転状態検出部により検出された回転状態に関するデータを解析してトラッキング解析データから感光ドラムにおける回転異常の原因を判定している。回転状態検出部は感光ドラムの回転軸の回転を検出するロータリーエンコーダーと、この信号を解析するFFTアナライザーを備え、回転速度変動や振動などの解析をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、感光ドラムの回転の状況を把握し、部品劣化による回転異常の判断が可能であり、回転ムラの原因を特定し、それを修正することで事態の改善を図っている。すなわち、回転異常の原因となる部品の交換などして、修理をすることで検出した回転ムラを改善している。このように、感光ドラムの回転異常の原因の判定には役立つが、生じている問題を抑制したり、緩和したりすることはできない。また、交換しても直らない場合も考えられる。回転異常の原因は多岐にわたり、例えば、問題の根本的な改善ができれば、画像形成装置の運用上の無駄なトラブルを避けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、像を表面に担持し、回転する感光ドラムと、前記感光ドラムが固定される軸と、前記感光ドラムを回転させるモーターと、前記モーターの駆動力を前記軸に伝達する伝達手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、を有し、搬送される前記記録媒体に前記像を転写する画像形成装置において、前記伝達手段は、前記モーター側に備わる第1プーリーと、前記軸側に備わる第2プーリーと、前記第1プーリーと前記第2プーリーに掛け回される駆動ベルトと、前記第2プーリーと前記軸を固定する固定手段と、を有し、前記固定手段は前記固定手段の本体に対して着脱可能な緩衝部を有し、前記固定手段の本体が前記軸に固定されると共に、前記緩衝部が前記第2プーリーとの間に配置されており、前記感光ドラムと前記伝達手段を有するプロセスカートリッジは、前記モーターを有する前記画像形成装置本体に対して前記モーターの駆動力が前記第1プーリーに歯車を介して伝達されるように着脱可能に搭載され、前記第2プーリーは前記軸を中心に回転し、前記軸を中心にして対称の位置に夫々凹部を有し、夫々の該凹部は、回転方向に沿って設けられた溝であり、該溝の前記回転方向の夫々の端部には、着脱可能な前記緩衝部が夫々備わり、前記固定手段の本体は、剛体部を有し、前記剛体部が前記軸に固定され、前記剛体部は夫々の前記凹部に配置された前記緩衝部の間に対応する位置に凸部を有し、夫々の該凹部に前記緩衝部を介在させて前記凸部を挿入することで前記緩衝部が変形し、前記凸部が前記緩衝部に挟まり前記凹部に嵌り、前記第2プーリーと前記剛体部が固定され、前記凸部と前記凹部は前記軸に対して並行に配置されており、前記凸部の前記回転方向の面が平面であり、前記溝の内部の前記回転方向の面が平面であり、前記緩衝部の前記回転方向の面が平面であり、前記凸部の前記回転方向の面と前記溝の内部の前記回転方向の面と前記緩衝部の前記回転方向の面は前記回転方向に対して垂直であり、前記緩衝部の前記回転方向の他方側の面と前記溝の内部の前記回転方向の面が接しており、前記凸部の前記回転方向の面と前記緩衝部の前記回転方向の一方側の面が接しており、前記軸の回転方向に沿う方向に前記第2プーリーから前記剛体部に駆動力を伝達し、前記モーターから前記軸までの駆動力の伝達経路の振動と衝撃が前記緩衝部により緩衝されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本願発明によれば、感光ドラムの回転ムラを抑制し、高品質の画像を記録できる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、プロセスカートリッジの一部分の斜視図である。
図2図2は、プロセスカートリッジの駆動機構の部分の拡大図である。
図3図3は、画像形成装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、プロセスカートリッジの一部分の斜視図である。図2は、プロセスカートリッジの駆動機構の部分の拡大図である。図3は、画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0009】
まず、画像形成装置の全体の構成について図3を用いて説明する。画像形成装置30は、ロール紙31、32、短票紙33を選択して搬送する。これらの用紙は、搬送ローラ34等の搬送手段によって搬送される。搬送された記録媒体35は、感光ドラム2からトナーが転写される。転写器36による静電気で記録媒体35上に感光ドラム2に着ているトナーが付着する。記録媒体35に付着したトナーは、高温の加熱ローラ37と加圧ローラ38に挟まれ、熱と圧力で記録媒体35に定着する。その後排紙ローラ39によって装置外部に排出される。加熱ローラ37にはヒータが備えられている。記録媒体35は紙、プラスチックフィルムなどである。
【0010】
光ヘッド40は、感光ドラム2に対して外部のホストコンピュータから受信した画像データに基づいて光を照射し、表面の帯電状態を変える装置である。現像器41は感光ドラム2の表面の帯電状態に応じてトナーを付着させる装置である。感光ドラム2から記録媒体35にトナーが転写されるが、感光ドラム2には転写されずに残る微量のトナーがある。クリーナー42はそのトナーを清掃する装置である。除電器43は感光ドラム2の表面を除電する除電手段である。除電器43によって感光ドラム2の表面は一様に除電される。帯電器44は除電された感光ドラム2の表面を一様に帯電させる帯電手段である。このように、画像形成装置30は、画像データに基づいた画像を各種の記録媒体35に記録する。記録媒体35は、紙、扁平なプラスチックフィルムなどである。
【0011】
画像形成装置30は感光ドラム2を備えるプロセスカートリッジ1が着脱できるように構成されている。次に、このプロセスカートリッジ1について説明する。
プロセスカートリッジ1は感光ドラム2を備える。感光ドラム2は、均一に帯電した表面に画像データに応じて光があてられ、表面の帯電状態が変わる。表面の帯電状態に応じてトナーを付着させ、そのトナーの像を記録媒体に転写する。感光ドラム2は感光ドラム軸3に固定されている。感光ドラム軸3の回転に伴い、感光ドラム軸3を回転中心として感光ドラム2は回転する。
【0012】
モーター駆動軸10に回転自在に第1歯車8が備えられている。第1歯車8は、プロセスカートリッジ1を本体に設置した場合に本体に設けられている感光ドラム2を回転させるモーターに接続されている歯車と噛み合い、駆動力を伝達する。第1歯車8は、軸9に回転可能に取り付けられた第2歯車7に噛み合っていて、第1歯車8の回転に伴い第2歯車7が回転する。第2歯車7には紙面奥側に隠れて図示はしていないが駆動ベルト6が掛け回されている第1プーリーが備わる。第2歯車7と連動して第1プーリーが回転し、駆動ベルト6も連動して回転する。また、駆動ベルト6は第2プーリー4にも掛け回されている。駆動ベルト6に連動して第2プーリー4が回転する。第2プーリー4は感光ドラム軸3との接触部にベアリングが配置され、感光ドラム軸3の周囲を回転することができるように接触している。しかし、実際には固定手段によって第2プーリー4と感光ドラム軸3が固定されている。よって、実際には感光ドラム軸3の周囲を第2プーリー4が回転することは無いが、ベアリングによって第2プーリー4の中心と感光ドラム軸3の中心とを一致させている。第2プーリー4の挿抜も容易であり、ガタつきもなくなる。また、これにより正確に位置決めすることができる。
【0013】
駆動ベルト6は歯付の無端ベルトであり、第1プーリーも第2プーリー4も外周が歯形をしている。この歯の噛み合わせ、第1歯車8と第2歯車7の噛み合わせ、他の歯車の噛み合わせなどによって振動や衝撃が生じる。この振動や衝撃が感光ドラム3の回転にも影響する。この振動や衝撃が生じると、感光ドラム3が回転ムラを生じ、回転ムラを生じた部分の像が歪んでしまう。また振動や衝撃の周波数が高い場合に急激に感光ドラム3の回転速度が変わるので、特にその部分の像の歪みが大きくなる。そのため、振動や衝撃を抑制することが望まれる。
【0014】
第2プーリー4と感光ドラム軸3は固定手段によって固定される。この固定手段は、固定手段の本体である剛体部5とこの本体に着脱可能な緩衝部20、21、22、23を有する。剛体部5はアルミ合金などの金属製である。第2プーリー4は回転方向に沿って凹部28を備える。この凹部28は溝でも孔でもよい。凹部28は感光ドラム軸3を中心に対称となる位置に設けられている。この両方の凹部28の両回転方向の端部に緩衝部20、21及び緩衝部22、23を配置している。また、剛体部5には凸部24が備わっている。一方の凸部は図では見えないが、凹部に28に対応して2つの凸部が設けられている。緩衝部20、21の間と、緩衝部22、23の間に夫々凸部24が挿入され固定される。緩衝部20、21、22、23は、弾性のある樹脂製である。緩衝部20、21、22、23が変形することで凸部24が嵌り、固定される。剛体部5には取り扱いを容易にするためのプラスチック製のつまみ部を有しても良い。つまみ部は剛体部5の剛性に影響のない部分に設ける。
【0015】
また、凹部28の回転方向の面は平面になっている。またこの形状に合わせて緩衝部20、21、22、23の回転方向の面も平面になっている。また剛体部5の凸部24の回転方向の面も平面になっている。またこれらの面は回転方向に対して垂直になっている。このように、夫々の部材の回転方向の面を平面にし、面で当たるように広い部分で当接して力を伝達する構成となっている。そのため、この接する部分での衝撃などの急激な力の変化を緩和または防止できている。また、凸部24は軸に対して対称の位置に2カ所設けられているので、回転方向に対して力の伝達を偏らなくできる。また、垂直になっているので回転軸3に対して垂直方向に余分な力が加わらずに、回転ムラの原因とならないように構成されている。
【0016】
凸部24の両側に緩衝部20、21があるので、回転により、一方の緩衝部20が圧縮されてつぶれても、他方の緩衝部21が変形、すなわち圧縮されていたものが元に戻る方向に変形して凸部24がガタつかないように固定を維持する。
【0017】
凸部24の突出している部分は感光体ドラム軸3に対して平行であり、凹部28の窪みも部分も感光体ドラム軸3に対して平行である。このような構成にすることで、感光体ドラム軸3に対して、軸に垂直の方向に余分な力が加わらない構成にし、感光体ドラム軸3の回転ムラの原因にならないようにしている。
【0018】
剛体部5は感光ドラム軸3を挿通する開口壁27を備え、凹部28に凸部24を挿入すると共に、開口壁27で構成する開口部に感光ドラム軸3を挿入する。剛体部5にはネジ孔25、26が備わり、ネジを締めることで感光ドラム軸3と剛体部5を強固に一体として回転するように固定する。例えば、感光ドラム軸3のネジの当接部を切削して平面にし、ネジの先端を平面にすることで、当接部の接触面積が大きくなり、より強固に固定できる。
【0019】
駆動ベルト6から第2プーリー4、緩衝部20、21、22、23、剛体部5を介して感光ドラム軸3に力が伝わる。途中に緩衝部20、21、22、23を設けることで、急激な力の変化、すなわち、振動や衝撃などを抑制でき、滑らかに感光ドラム軸3を回転させることができる。
【0020】
プロセスカートリッジ1は着脱可能であり、本体側から、まず第1歯車8に力が伝達される。着脱式なので、第1歯車8と本体側の歯車のガタつきが大きくなる。緩衝部は感光ドラム軸3にネジで固定される剛体部5と第2プーリー4との間にあり、感光ドラム軸3までの力の伝達の経路に他の弾性体は無い。力の伝達経路のギヤの噛み合いなどで生じる振動や衝撃などは、感光ドラム軸3の直前で緩衝されることになり、感光ドラム軸3は滑らかに回転する。また感光ドラム2は感光ドラム軸3に弾性体などを介さずに固定されているので、感光ドラム軸3の回転に応じて滑らかに回転する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、電子写真式の記録装置に利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 プロセスカートリッジ
2 感光ドラム
3 感光ドラム軸
4 第2プーリー
5 剛体部
6 駆動ベルト
20 緩衝部
21 緩衝部
22 緩衝部
23 緩衝部
24 凸部
28 凹部
30 画像形成装置
34 搬送ローラ
35 記録媒体
40 光ヘッド
図1
図2
図3