(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095469
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】歩行型作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/08 20060101AFI20170306BHJP
B62D 51/06 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
A01B33/08 D
B62D51/06 107A
B62D51/06 107D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-97694(P2013-97694)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-217297(P2014-217297A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊平
(72)【発明者】
【氏名】山中 貞雄
(72)【発明者】
【氏名】渡 剛
(72)【発明者】
【氏名】安原 拓人
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】打谷 賢
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−193806(JP,A)
【文献】
特開2013−042672(JP,A)
【文献】
特開2006−180749(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3027742(JP,U)
【文献】
特開2012−085589(JP,A)
【文献】
特開2001−197801(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02561742(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに固定されたハンドルポストと、
前記機体フレームの前方側に延びる前方搖動姿勢と前記ハンドルポストから後方に延びる後方搖動姿勢との間で搖動可能に前記ハンドルポストの後部に支持された操縦ハンドルと、
前記後方搖動姿勢にある前記操縦ハンドルの下方に位置するように前記ハンドルポストの後部に固定される取手部材とを備え、
前記取手部材は、前記ハンドルポストの後部から後方に向けて、前記ハンドルポストの後端よりも後側に延びている歩行型作業機。
【請求項2】
前記操縦ハンドルの基端部の機体横断方向の幅は前記取手部材の機体横断方向の幅よりも小さく、前記操縦ハンドルの後方へ搖動は、前記基端部と前記取手部材との接当によって、前記操縦ハンドルの前記後方搖動姿勢への搖動変位の限界位置が決められる請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項3】
前記取手部材は、前記操縦ハンドルの前記後方搖動姿勢への搖動によってその上方が覆われるともに前記操縦ハンドルの前記前方搖動姿勢への搖動によってその上方が開放されるように、配置されている請求項1または2に記載の歩行型作業機。
【請求項4】
前記取手部材は、前記ハンドルポストに固定される固定部と、ロープフック及び持ち上げグリップとして機能する作用部と、前記固定部と前記作用部とを接続する接続部とからなる請求項1から3のいずれか一項に記載の歩行型作業機。
【請求項5】
前記作用部と前記接続部とは、リング状に折り曲げられた折り曲げロッドとして形成され、前記固定部は前記折り曲げロッドの少なくとも一方の自由端部である請求項4に記載の歩行型作業機。
【請求項6】
前記ハンドルポストの先端部は板状の固定ブラケットとして形成されており、前記固定ブラケットの上面に前記操縦ハンドルの搖動軸を軸受けするボス部材が固定されており、前記固定ブラケットの下面に前記取手部材が固定されている請求項1から5のいずれか一項に記載の歩行型作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業などの対地作業を行う歩行型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型農作業機などでは、歩行作業者によって操縦される操縦ハンドルが、機体走行方向における後方に延びている。この操縦ハンドルは、自動車や運搬車への積み込み時や、納屋などへの保管時には、折り畳まれると、その占有スペースが小さくなり好都合である。さらに、操縦ハンドルが折り畳まれた作業機を持ち運びしやすくするために、取手部材などが備えられている。例えば、特許文献1による歩行型農作業機は、機体の後部から延設されたハンドルフレームと、該ハンドルフレームに対して前方側に折畳み自在に配設されたハンドルとを備えている。このハンドルを前方側に折り畳んだ状態でノブボルトを操作することで、ハンドルをハンドルフレームに固定することができる。ハンドルには取手部材が一体的に取付けられており、ハンドルを前方側に折り畳むことで、この取手部材が機体より上方側に現出する。これにより機体の持ち運びが容易となる。しかしながら、持ち運びの際に大きな荷重がかかる取手部材が、搖動するハンドルの基端部に取り付けられているので、その基端部や搖動軸をその荷重負荷に耐える構造にしなけれればならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−25770号公報(
図1、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記実情に鑑み、折り畳み可能なハンドルの基端部に負担を与えずに、歩行型作業機に取手部材を設けることが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による歩行型作業機は、機体フレームに固定されたハンドルポストと、前記機体フレームの前方側に延びる前方搖動姿勢と前記ハンドルポストから後方に延びる後方搖動姿勢との間で搖動可能に前記ハンドルポストの後部に支持された操縦ハンドルと、前記後方搖動姿勢にある前記操縦ハンドルの下方に位置するように前記ハンドルポストの後部に固定される取手部材とを備え
、前記取手部材は、前記ハンドルポストの後部から後方に向けて、前記ハンドルポストの後端よりも後側に延びている。
【0006】
この構成では、搬送時の持ち上げグリップとして機能する取手部材が操縦ハンドルではなく、操縦ハンドルを搖動可能に支持しているハンドルポストに固定されている。これにより、操縦ハンドルは、搬送時等において取手部材にかかる荷重負荷を部分的にも受けることがないので、その基端部は操縦ハンドル自体を支えることができればよいので、軽量簡素化することができる。また、取手部材は、運搬車の荷台に載せて搬送する際の固定用ロープフックないしは保管時の安定用ロープフックとして用いることできる。
【0007】
さらに好適な実施形態として、本発明の好適な実施形態の1つ
では、前記操縦ハンドルの基端部の機体横断方向の幅は前記取手部材の機体横断方向の幅よりも小さく、前記操縦ハンドルの後方へ搖動は、前記基端部と前記取手部材との接当によって、前記操縦ハンドルの前記後方搖動姿勢への搖動変位の限界位置が決められる。このように取手部材を構成することで、操縦ハンドルの揺動変位の限界を設定するために、別部材として搖動ストッパを準備する必要がなくなり、コスト的に有利となる。
【0008】
さらに、好適な実施形態では、前記取手部材は、前記操縦ハンドルの前記後方搖動姿勢への搖動によってその上方が覆われるともに前記操縦ハンドルの前記前方搖動姿勢への搖動によってその上方が開放されるように、配置される。これにより、この取手部材は、操縦ハンドルが使用状態となる後方搖動姿勢においては、取手部材は操縦ハンドルによって覆われることになり、邪魔にならないだけでなく、美観的にも好都合である。また、搬送時等では、操縦ハンドルが非使用状態となる前方搖動姿勢に搖動されるが、その時には、取手部材の上方が開放されるので、取手部材に手が容易に届くことになる。
【0009】
取手部材の好適な形状として、前記ハンドルポストに固定される固定部と、前記ロープフック及び前記持ち上げグリップとして機能する作用部と、前記固定部と前記作用部とを接続する接続部とからなる構成が提案される。これにより、固定部はハンドルポストとの固定に適した寸法形状とし、作用部は手で握りやすくかつロープを掛けやすい寸法形状を採用することができる。その際のより具体的な構成として、前記作用部と前記接続部とは、リング状に折り曲げられた折り曲げロッドとして形成され、前記固定部は前記折り曲げロッドの少なくとも一方の自由端部とすることが提案される。折り曲げ構造体とすることで製作が容易となる利点が得られる。その際、固定部を折り曲げロッドに一端だけにして他端を開放する形状にするとロープ掛けに好都合となる。また、折り曲げロッドの両端を固定部とすれば、作用部はリング体となり、持ちやすい形状となる。
【0010】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ハンドルポストの先端部は板状の固定ブラケットとして形成されており、前記固定ブラケットの上面に前記操縦ハンドルの搖動軸を軸受けするボス部材が固定されており、前記固定ブラケットの下面に前記取手部材が固定されている。この構成では、取手部材の固定部は固定ブラケットによって隠されるので、美観的な利点が得られる。また、操縦ハンドルを搖動可能に支持するボス部材も平面に取り付けることができるので、簡単な形状で済ませることができ、コスト的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による歩行型作業機の1つの実施形態を示す歩行型耕耘機の側面図である。
【
図3】操縦ハンドルを後方搖動姿勢とした歩行型耕耘機の斜視図である。
【
図4】操縦ハンドルを前方搖動姿勢とした歩行型耕耘機の斜視図である。
【
図5】覗き窓と燃料タンクと変速案内パネルとを示す斜視図である。
【
図6】燃料タンクと機体カバーの取付構造を示す分解斜視図である。
【
図8】燃料タンクによるトップカバーの保持を示す断面図である。
【
図9】燃料タンクを保持するステーを示す断面図である。
【
図10】フロントカバーとトップカバーと前ステーと後ステーとを示す断面図である。
【
図11】フロントカバーとトップカバーの取付構造を示す斜視図である。
【
図12】操縦ハンドルの取付構造を示す分解斜視図である。
【
図13】操縦ハンドルの取付構造を示す断面図である。
【
図15】操縦ハンドルの搖動ストッパとしても機能する取手部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係る歩行型作業機の一例である歩行型耕耘機を示す全体側面図である。以下の説明において、前後位置関係を示す「前」なる語句は、作業機の走行方向で前進側を表現しており、「後」なる語句は後進側を表現している。
この図に示すように、歩行型耕耘機は、エンジン2を支持するエンジンフレームや変速装置10のハウジングなどから構成される機体フレーム1と、この機体フレーム1を対地支持する左右一対の走行車輪11とを備えている。エンジン2は、機体の前方に配置され、変速装置10はエンジン2の後方斜め下に延びている。エンジン2の後方で変速装置10の上方に燃料タンク4が配置されている。機体フレーム1の後端には作業装置としてのロータリ耕耘装置9が連結されている。
【0013】
ロータリ耕耘装置9は、耕耘爪軸91と、その耕耘爪軸91に取り付けられて回転駆動されるロータリ耕耘爪92と、接地抵抗棒93と、ロータリ耕耘爪92の上部を覆う耕耘ロータカバー94と、整地板95とを備えている。
【0014】
エンジン2の出力は、図示されていないベルト式動力伝達機構及び主クラッチを経て変速装置10に伝達され、変速装置10で前進2速・後進1速に変速された動力は、ディファレンシャル機構を経て左右車軸12に伝達され、走行車輪11を駆動する。また、変速装置10からの分岐出力(PTO出力)がロータリ耕耘装置9に伝達される。主クラッチも図示されていないが、例えば、ベルト式動力伝達機構の出力プーリと入力プーリとにわたって巻回された伝動ベルトを緊張する状態と弛緩する状態とに切換操作可能なテンションプーリによって構築することができる。
【0015】
機体フレーム1の後端にはさらにロータリ耕耘装置9の上方を斜め上に延びるハンドルポスト51が固定されている。ハンドルポスト51の先端部に操縦ハンドル5が横断方向水平に延びた搖動軸53を介して前方搖動姿勢と後方搖動姿勢との間で搖動可能に支持されている。前方搖動姿勢における操縦ハンドル5は、
図1において一点鎖線で示すように、変速装置10、燃料タンク4、エンジン2の上方をほぼ水平に前方側に延びており、その際の機体前後方向の先端位置は機体フレーム1ないしはエンジン2の先端位置とほぼ同一となっている。後方搖動姿勢における操縦ハンドル5は、ハンドルポスト51から後方上方へ向けて延びており、機体前後方向の先端位置はロータリ耕耘装置9より後方に位置している。なお操縦ハンドル5は、後方搖動姿勢において複数または任意の調整搖動角度位置に設定することができ、操縦歩行者の体型に適合させることができる。
【0016】
図2からよく理解できるように、操縦ハンドル5は、全体としてU字状に折り曲げられたロッド体であり、左右の自由端が左基端部5aと右基端部5cとして形成されている。左基端部5aとつながっている左延長部5bと、右基端部5cとつながっている右延長部5dとは、互いの間隔をほぼ機体幅まで広げながら延び、さらに平行となって延び、機体幅方向に延びた接続部5eによって連結されている。左延長部5bと右延長部5dにわたって接続部5eと平行に延びるクラッチ操作レバー81が操縦ハンドル5の上方部に設けられている。さらに、右延長部5dには、アクセル操作具82、デフロック操作レバー84、PTO入り切りボタン85が設けられている。変速装置10に備えられている変速用のシフトギヤを操作する変速操作レバー83は、変速装置10から後方上方に、左基端部5aと右基端部5cとの間を、操縦ハンドル5を操作する歩行者によって操作し易い位置まで延びている。
【0017】
機体フレーム1の前端にはフロントガード7aが設けられている。このフロントガード7aは、U字状に折り曲げられた棒材からなる。フロントガード7aの左右の開放端が機体フレーム1の前端に固定され、エンジン2の前方を保護するように立ち上がっている。
【0018】
図1、
図12、
図13に示されているように、ハンドルポスト51の先端領域に操縦ハンドル5を連結するため、ハンドルポスト51の先端にここでは板状の固定ブラケット52が固定されている。この固定ブラケット52の上面には、搖動軸53を回転可能に支持するボス部材55が固定されている。搖動軸53のボス部材55から外側に突き出た部分に、操縦ハンドル5の左・右基端部5a、5cが取り付けられている。この構成により、操縦ハンドル5は搖動軸53周りで機体フレーム1の前方側に延びる搬送姿勢ないしは収納姿勢である前方搖動姿勢と歩行作業姿勢である後方搖動姿勢とに搖動可能となる。操縦ハンドル5の所定の搖動位置でのロックは、よく知られているロックノブ54を用いたねじ締め機構によって行われる。
図2から明らかなように、搖動軸53とボス部材55は上方からカバー56によって覆われている。このカバー56には、変速操作レバー83との干渉を避けるために機体前後方向に延びる湾曲凹部が形成されている。
【0019】
この発明では、ハンドルポスト51の後部に取手部材7bが設けられるが、この実施形態では、ハンドルポスト51に固定された固定ブラケット52の下面に、取手部材7bが取り付けられている。この取手部材7bは、矩形環から一部を切り落としたような外観を有する、ロッドをU字状に折り曲げたロッド部材である。つまり、取手部材7bは、自由端部である固定部70と、ロープフック及び持ち上げグリップとして機能する作用部71と、固定部70と作用部71とを接続する接続部72とからなる。
図12から理解できるように、固定ブラケット52の下面に固定部70が溶接されているが、そこから後方に延びる接続部72の長さによって作用部71が固定ブラケット52の後端から離れることになり、この取手部材7bがロープフックとして、あるいは持ち上げグリップとして使い易くされている。しかも、
図1や
図3から明らかなように、取手部材7bは、使用状態である後方搖動姿勢での操縦ハンドル5によって上方から覆われているので、美観的にも有利である。そして、
図4から明らかなように搬送状態である前方搖動姿勢に操縦ハンドル5が搖動して折りたたまれることにより、操縦ハンドル5に邪魔されずに取手部材7bは現出し、その際、その上方がフリー空間となっている。これにより、作用部71にロープを掛ける作業や、作用部71を握ってこの歩行型耕耘機を持ち運ぶ作業が容易になる。さらには、平面図である
図2から理解できるように、操縦ハンドル5の左基端部5aと右基端部5cとの間の距離は取手部材7bの機体横断方向の幅よりも小さくなっている。これにより、操縦ハンドル5が後方へ搖動していくと、左基端部5aと右基端部5cとが取手部材7bに接当して、それ以上の搖動が阻止される。つまり、この実施形態では、取手部材7bは、操縦ハンドル5の後方搖動姿勢への搖動変位の限界位置を決める搖動ストッパとしても機能する。
【0020】
図1と
図2とから明らかなように、エンジン2、燃料タンク4、変速装置10の上方は機体カバー3によって覆われている。この機体カバー3は、エンジン2の上部前領域を覆うフロントカバー3aと、タンクカバーとしても機能するトップカバー3bと、変速装置10を覆う斜め下がり姿勢のリアカバー3cとを備えている。フロントカバー3aは、エンジン2の前側上端領域を覆うスカート部を備えている。フロントカバー3aの後端縁31aはトップカバー3bの前端縁31bとほぼ突合せ状態となっている。タンクカバーでもあるトップカバー3bの後領域には、燃料タンク4の給油筒部42と給油キャップ40とが通り抜けられる貫通孔32が形成されている。リアカバー3cは、
図5と
図6に示すように、トップカバー3bとの接続領域に切り欠き開口が設けられており、トップカバー3bとリアカバー3cとの間に横長に延びた覗き窓30が形成されている。さらに、リアカバー3cには、変速操作レバー83の挿通及び操作変位を許す矩形の開口37が設けられている。
【0021】
図6、
図7に示されているように、燃料タンク4は、ほぼ直方体形状のタンク本体41と、円筒状の給油筒部42と、タンク本体41と給油筒部42とをつなぐ筒基部44とからなる。筒基部44は、カバー保持部45と凹み溝44aとからなる。カバー保持部45は、給油筒部42に対する大径の段部として形成されており、その側壁面は、トップカバー(タンクカバー)3bの貫通孔32の周縁部34と嵌合するための嵌合面として機能する。凹み溝44aは、カバー保持部45を取り巻くように形成された環状湾曲面によって作り出されており、タンク本体41につながる。この凹み溝44aの後側の一部が浅くなっており、この部分は凹み部44aに溜まった燃料や雨水を排出する逃がし口44bとして機能する。給油筒部42の開口は給油口42aとして機能し、インナーキャップ40aを内装した給油キャップ40によってねじ締め密閉される。
【0022】
タンク本体41の側壁は、前壁41aと左側壁41bと右側壁41cと後壁41dとからなる。前壁41aの左右両側には固定用の取付部46が突起片として形成され、その中央に取付孔46aが設けられている。後壁41dは、
図5から明らかなように、略三角形状の突出側面43aが形成されている分だけ後方に突出した形状となっている。この後壁41dの後方突出形状により、後壁41dの下半分に後方突出面43が形成される。このタンク本体41は半透明樹脂によって作られているので、この後方突出面43は、後で詳しく説明するが、燃料の残量を確認することを可能にする残量表示面として機能する。また、この後方突出面(残量表示面)43の両側に位置する突出側面43aは、ここから光が入ることで、残量表示面を通じての燃料の視認性を向上させる。
【0023】
図10に示されているように、燃料タンク4は、燃料タンク4の底面に沿って屈曲している板状のタンクブラケット15に載置され、取付部46の取付孔46aを用いてこのタンクブラケット15にボルト連結されている。タンクブラケット15はその前端を前ステー13aに連結され、その後端を後ステー13bに連結されている。前ステー13aは、エンジン2に取り付けられた複数の脚部と、この脚部に支持されてエンジン上方をほぼ水平に延びる水平部とからなる。後ステー13bは、
図6や
図10に示すように、その下端を機体フレーム1に固定され、斜め上方に延びた左右一対の板材からなり、その上端にタンクブラケット15が固定されている。この左右一対の板材の上縁同士が板状の変速案内パネル14によって接続されている。変速案内パネル14には変速操作レバー83が挿通かつ操作変位可能な変速案内溝14aが形成されている。なお、後ステー13bと変速案内パネル14とは、曲げ加工などによって一体的に製作することも可能である。
【0024】
図6、
図10、
図11に示されているように、燃料タンク4のタンク本体41を覆うタンクカバーであるトップカバー3bの後領域には、下方に凹んだ略円形の窪み33が形成されている。この窪み33の中央には、燃料タンク4の給油筒部42及び給油キャップ40がトップカバー3bの上方に突き出ることを許す貫通孔32が形成されている。この貫通孔32の周縁部は、水平突起34として形成されており、この水平突起34に弾性を有する円環状のグロメット35が装着されている。グロメット35の外周面には周溝が形成され、この周溝に水平突起34が嵌入している。したがって、実質的な貫通孔32の直径はグロメット35の内周径である。このため、グロメット35の内周径が、燃料タンク4の給油キャップ40と給油筒部42の外径より大きくなっている。これにより、給油キャップ40を装着した燃料タンク4を固定したままでも、貫通孔32は給油キャップ40を通り抜けることができるので、トップカバー3bの取り外しが可能である。
【0025】
図8に示されているように、カバー保持部45の側面には環状溝45aが設けられており、この環状溝45aにグロメット35の内周面が入り込むことにより、トップカバー3bの後部は、燃料タンク4に保持される。つまりこのグロメット35はカバー保持部45に対するトップカバー3bの被保持部として機能している。また、
図10や
図12に示されているように、水平突起34には、この実施形態では、対向する2か所にグロメット35によって塞がれない貫通スリットである逃がし孔34aが形成されており、こぼれた燃料等は、この逃がし孔34aを通じて下に逃がすことができる。
【0026】
図9と
図10と
図11に示すように、トップカバー3bの前部には、その裏面から突出した係合部38bが設けられている。この係合部38bは、前ステー13aの水平部に設けられた被係合部38aに係脱自在に係合する。係合部38bと被係合部38aの好ましい形態は、バナナプラグとソケットのような弾性を有する連結金具である。このような連結金具はワンタッチ係合が可能である。また、トップカバー3bの重量で係合が保持される。このような連結金具による係合により、トップカバー3bの前部は、前ステー13aに保持される。このようなトップカバー3bの取付構造により、トップカバー3bは、燃料タンク4が固定されたままで、トップカバー3bだけが、簡単に取り外すことができ、再び取り付けることができる。
【0027】
図3から
図6に示すように、トップカバー3bとリアカバー3cとは、覗き窓30を作り出すように接続している。トップカバー3bの後端縁31cは、燃料タンク4の後方に突出した後壁41dの上部だけを覆うように形成されている。また、リアカバー3cの前端縁36の中央には覗き窓30を形成するために、燃料タンク4の後壁41dに形成されている残量表示面(後方突出面)43の下端に対応するまでの深さを持った矩形状の切欠きが設けられている。この切欠きによりリアカバー3cの前端縁36には窓縁36aが形成され、この窓縁36aとトップカバー3bの後端縁31cとによって、燃料タンク4の残量表示面(後方突出面)43を露出させる覗き窓30が作り出されている。さらに、窓縁36aは、燃料タンク4の後壁41dに設けられた突出側面43aも露出させる形状寸法を有している。リアカバー3cに設けられ、変速案内パネル14を露出させている開口37が覗き窓30の下方に隣接して設けられている。変速案内パネル14には変速案内溝14aが形成されており、変速案内溝14aにおける変速操作レバー83の位置により操縦者は変速位置を把握する。このことから、操縦者が頻繁に注目する変速案内パネル14の露出位置のすぐ近くに覗き窓30を通じて露出している燃料タンク4の残量表示面を存在することから、操縦者は自然と燃料残量を注目することになる。また、覗き窓30と燃料タンク4の給油口42aとは接近して配置されているので、給油口42aに燃料を注ぎながら覗き窓30を通じて燃料のレベルを目視することができる。
【0028】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、取手部材7bは実質的にはU字状であり、開放端である固定部70はハンドルポスト51の固定ブラケット52の下面に接続されていることから、閉じられたリング体となっている。しかしながら、取手部材7bは、搬送時のロープフック及び持ち上げグリップとして機能することができるなら、種々の形状を採用することができる。その一例を、
図13と
図14を用いて説明する。
(a)
図14の(a)に示された取手部材7bはその形状は先の実施形態で示された取手部材7bに類似しているがやや小形であり、2個用意されている。各取手部材7bは、固定ブラケット52の両側から突き出すように配置されている。その作用部71は、やはり輪状であり、それぞれが二人の手によって握られることにより、作業機がより持ち運びやすくなる。
(b)
図14の(b)に示された取手部材7bは、二股フォーク形状である。固定ブラケット52から後方に突き出している作用部71は、二股フォークであるので、ロープ掛けなどが容易となる。もちろん、二股以上の多肢フォーク形状であってもよい。
(c)
図14の(c)に示された取手部材7bは、先の実施形態で示された取手部材7bにおいて、一方の固定部70と接続部72とが省略されて、作用部71がフック状となっている。
(d)
図15に示された取手部材7bはこれまで説明したものとは異なり、ハンドルポスト51の上面に立設されたT字状ロッド体である。この取手部材7bの作用部71はT字状ロッド体の横ロッドであり、この横ロッドは、操縦ハンドル5の前方搖動姿勢への搖動変位の限界位置を決める搖動ストッパとしても機能する。
(2)上述した実施形態では、ハンドルポスト51は角パイプで構成されていたが、ハンドルポスト51の構造は本発明では限定されていない。機体フレーム1に固定され、操縦ハンドル5を搖動可能に支持するものであれば、例えば、フレーム構造体などであってもよい。
(3)上述した実施形態では、歩行型作業機として歩行型耕耘機が取り上げられたが、歩行型芝刈機や歩行型噴霧器なども同様に構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、操縦ハンドルがハンドルポストに搖動可能に支持されている歩行型作業機に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 :機体フレーム
2 :エンジン
10:ミッションケース
11:走行車輪
12:車軸
14:変速案内パネル
14a:変速案内溝(変速案内部)
3 :機体カバー
3a:フロントカバー
3b:トップカバー
3c:リアカバー
30:覗き窓
32:貫通孔
33:窪み
34:水平突起(周縁部)
4 :燃料タンク
40:給油キャップ
5 :操縦ハンドル
5a:左基端部
5b:左延長部
5c:右基端部
5d:右延長部
5e:接続部
51:ハンドルポスト
52:固定ブラケット
53:搖動軸
54:ロックノブ
55:ボス部材
56:カバー
7a:フロントガード
7b:取手部材
70:固定部
71:フックグリップ部(作用部)
72:接続部
83:変速操作レバー
9 :ロータリ耕耘装置
91:耕耘爪軸
95:整地板