(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に形成された電界に応じて前記一対の基板間を移動する移動開始電圧及び色が互いに異なる複数種類の粒子群が封入された表示媒体の複数の画素の各々に、表示する色の濃度に応じたパルス幅の電圧を印加する印加手段と、
前記複数の画素の各々について、前記複数種類の粒子群のうち第1の粒子群の色の濃度に応じたパルス幅の第1の電圧の印加が終了し且つ前記複数の画素の各々の画素以外の他の前記第1の電圧の印加時間が最も長い画素についての前記第1の電圧の印加が終了した後に、前記複数種類の粒子群のうち第2の粒子群の色の濃度に応じたパルス幅の第2の電圧を印加するように前記印加手段を制御する制御手段と、
を備えた表示媒体の駆動装置。
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に形成された電界に応じて前記一対の基板間を移動する移動開始電圧及び色が互いに異なる複数種類の粒子群が封入された表示媒体と、
請求項1に記載の表示媒体の駆動装置と、
を備えた表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。作用、機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する場合がある、なお、本実施形態に係る表示媒体は複数の画素を含んで構成されるが、説明を簡易化するために、1つの画素に注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0013】
また、シアン色を符号C、赤色を符号R、マゼンタ色を符号M、白色を符号Wで表すと共に、特性等を説明する際、色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色符号(C、R、M、W)を付して区別する。
【0014】
また、シアン色の粒子をシアン色粒子C、赤色の粒子を赤色粒子R、マゼンタ色の粒子をマゼンタ色粒子M、白色の粒子を白色粒子Wと記し、各粒子とその粒子群を同じ符号によって示す。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る表示装置100を概略的に示した図である。この表示装置100は、表示媒体10と、表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。 駆動装置20は、表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0017】
表示媒体10は、画像表示面とされる、透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置されている。また、これらの基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、基板1、2間を複数の画素に区画する間隙部材5が設けられている。なお、表示基板1及び背面基板2が共に透光性を有するようにしてもよい。
【0018】
上記画素とは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。画素中には、例えば絶縁性液体で構成された透明の分散媒6と、分散媒6中に分散されたシアン色粒子群11C、赤色粒子群11R、及び白色粒子群12Wが封入されている。
【0019】
あるいは、各画素が、後述するようなアクティブマトリクス型のアドレス電極で構成されている場合、複数の画素電極、例えば横方向に2個、縦方向に2個の隣接するアドレス電極4個が一連の間隙部材5で囲まれて1つの連結されたセルを構成していても良いが、その場合にはそれぞれのアドレス電極が1つの画素と考えても良いし、複数のアドレス電極で1つの画素を構成していると考えても良い。
【0020】
本実施形態に係る粒子群11C及び粒子群11Rは、例えば共に正極に帯電し、一対の電極3、4間に予め定めた閾値を越える電圧を印加することにより、粒子群11が一対の電極3、4間を泳動する特性を有している。なお、粒子群11C及び粒子群11Rの帯電極性に関する制限はなく、共に負極に帯電していてもよいし、互いに異極に帯電していてもよい。
【0021】
また、本実施形態に係る粒子11Cの粒径は、例えば粒子11Rの粒径よりも小さく、一対の電極3、4間に予め定めた閾値を越える電圧を印加して粒子11Rが何れかの基板に付着し凝集した状態であっても、凝集した粒子11Rの間隙をすり抜けられる程度の粒径とされる。なお、本実施形態に係る粒子11C及び粒子11Rの粒径に関する制限はなく、粒子群11の帯電極性、応答性等に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
更に、本実施形態に係る粒子群11Cは、透光性を有しているものとしているが、これに限定されず、各粒子の透光性は適宜設定すればよい。また、粒子群11の色に関しても互いの種類の粒子群の色が異なっていればよく、シアン色及び赤色に限定されない。
【0023】
一方、粒子群12Wは、粒子群11C及び粒子群11Rに比べて帯電量が少ない粒子群である。そのため、粒子群11が一対の基板1、2のうち何れか一方の基板まで泳動する電圧が一対の電極3、4間に印加されても、粒子群11の泳動速度に比べて粒子群12Wの泳動速度は遅く、粒子群12Wは何れの基板1、2にも付着することなく分散媒6中を浮遊する。
【0024】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、表示側電極3及び背面側電極4に、表示させる画像の色情報に応じた電圧を印加することにより、分散媒6中の粒子11を泳動させ、一対の基板1、2のうち何れか一方の基板に画像の色情報に含まれる粒子色毎の表示濃度(以下、階調という)に応じた粒子量の粒子11を付着させることで、表示媒体10に画像を表示する。
【0025】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されると共に、制御部40と接続され、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4に印加する。
【0026】
制御部40は、
図2に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。
【0027】
この場合、例えば、コンピュータ40のROM40Bに後述する電圧印加プログラムを書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで電圧印加部30を制御する。
【0028】
不揮発性メモリ40Dは、I/O40Eを介してコンピュータ40の外部に接続されてもよく、例えばメモリカード等の外部記憶装置であってもよい。
【0029】
なお、本実施形態では、一例として、表示側電極3を接地し、背面側電極4に電圧を印加するようにしている。
【0030】
図3は、本実施形態に係る表示装置100において、粒子群11C及び粒子群11Rを表示基板1側又は背面基板2側に移動させるために必要な印加電圧の特性(以下、閾値特性という)を示したものである。
【0031】
同図において、粒子群11Cの閾値特性は特性50Cで表され、粒子群11Rの閾値特性は特性50Rで表されている。また、同図の横軸は背面側電極4に印加される電圧を、縦軸は粒子群11の表示濃度を表している。
【0032】
粒子群11Cは閾値V1aを超える電圧が背面側電極4に印加されると、背面基板2に付着していた粒子群11Cが背面基板2から剥離して、基板1、2間に形成された電界に応じて表示基板1側へ移動する。また、粒子群11Cは閾値−V1aを超える電圧が背面側電極4に印加されると、表示基板1に付着していた粒子群11Cが表示基板1から剥離して、基板1、2間に形成された電界に応じて背面基板2側へ移動する。
【0033】
一方、粒子群11Rは閾値V2aを超える電圧が背面側電極4に印加されると、背面基板2に付着していた粒子群11Rが背面基板2から剥離し始め、基板1、2間に形成された電界に応じて表示基板1側へ移動する。また、粒子群11Rは閾値−V2aを超える電圧が背面側電極4に印加されると、表示基板1に付着していた粒子群11Rが表示基板1から剥離し始め、基板1、2間に形成された電界に応じて背面基板2側へ移動する。
【0034】
なお、粒子群11C及び粒子群11Rの閾値の大きさに関して、|V2a|<|V2|<|V1a|<|V1|であるものとするが、粒子群11の閾値の大小関係はこれに限定されない。
【0035】
なお、閾値とは、表示基板1及び背面基板2の何れか一方の基板に付着した粒子群11に働く、例えば、ファンデルワールス力及び分子間力等による粒子11間の引力や粒子群11及び基板1、2間の引力、並びに、鏡像力等による粒子群11及び基板1、2間の引力を断ち切って、当該粒子群11を表示基板1又は背面基板2から剥離させるのに必要なエネルギー、すなわち、粒子群11の移動開始エネルギーを示すものである。
【0036】
この粒子群11の移動開始エネルギーは、基板1、2間に印加される電圧と電圧の印加時間に依存する。
【0037】
従って、粒子11間の引力や粒子群11及び基板1、2間の引力を断ち切るために必要な電圧を印加しても、粒子群11を基板1、2から剥離させるのに必要なエネルギーに達する前に電圧の印加を停止すると、粒子群11は基板1、2から剥離せず、基板1、2の何れか一方の基板に付着したままとなる。
【0038】
本実施形態では、閾値に関して説明の便宜上、粒子群11を表示基板1及び背面基板2から剥離させる電圧、すなわち移動開始電圧として説明するが、実際には、単に基板1、2間に印加する印加電圧で表される値ではなく、基板1、2間に印加する印加電圧と、当該印加電圧の印加時間とによって定められた値である。
【0039】
次に、駆動装置20による、
図3に示した閾値特性を有する粒子群11C及び粒子群11Rの駆動制御に関して具体的に説明する。
【0040】
図4は、本実施形態に係る表示媒体10における、駆動装置20によって印加される印加電圧に応じた粒子群11の挙動の一例を概略的に示したものである。なお、
図4では、分散媒6、間隙部材5は省略されており、表示側電極3は接地されているものとする。
【0041】
図4(A)に示すように、表示基板1側の粒子群11C及び粒子群11Rを剥離して背面基板2側に付着させるのに必要な電圧−V1を背面側電極4に印加すると、粒子群11C及び粒子群11Rは背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。一方、粒子群12Wは、電圧−V1が背面側電極4に印加されても、何れの基板1、2にも付着することなく分散媒6中を浮遊する。これにより表示基板1側からは粒子群12Wが目視されるため白色が表示される。
【0042】
図4(A)の状態から、背面側電極4に電圧V2を印加すると、
図4(B)に示すように、粒子群11Rは背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着した状態となる。これにより表示基板1側からは粒子群11Rが目視されるため赤色が表示される。
【0043】
図4(B)の状態から、背面側電極4に電圧V1を印加すると、
図4(C)に示すように、粒子群11Cは背面基板2側から表示基板1側に泳動して、既に表示基板1側に付着している粒子群11Rの間隙を通り、表示基板1側の全面に付着した状態となる。これにより表示基板1側からは透光性を有する粒子群11Cを通してシアン色と粒子群11Rの赤色の混色である黒色が表示される。
【0044】
図4(C)の状態から、背面側電極4に電圧−V2を印加すると、粒子群11Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となるが、粒子群11Cは表示基板1側の全面に付着したままの状態である。これにより表示基板1側からは粒子群11Cが目視されるのでシアン色が表示される。
【0045】
なお、
図4の例では、粒子群11C及び粒子群11Rを表示基板1側に付着させて100%の濃度で各色を表示する場合について説明したが、表示媒体10に表示する画像の色情報に基づいて中間色を表示する場合には、粒子群11C及び粒子群11R毎に、階調に応じた粒子量の粒子11を表示基板1側に付着させるように、背面側電極4に印加する電圧の印加時間を制御すればよい。
【0046】
本実施形態では、例えば、背面側電極4がTFT電極で構成されており、n個の横方向の走査線(アドレスラインY1〜Yn)とm個の縦方向の信号線(データラインX1〜Xm)でマトリクスを形成し、その交点に画素毎の背面側電極4が配置される、いわゆるアクティブマトリクス方式の駆動方式が用いられている。
【0047】
この場合、走査線は背面側電極4のゲートに接続されて、TFT電極のオン、オフを決める電圧を印加する。信号線は背面側電極4のドレイン又はソースに接続されて、表示色の階調を決める電圧(以下、階調電圧という)を印加する。
【0048】
すなわち、走査線の1つYi(i=1〜n)を通じてその配線上の背面側電極4を導通し、信号線から背面側電極4に階調電圧を印加する。その走査をY1〜Yn(1フレーム)の全走査線に渡って行うことで表示媒体10に表示させる画像を書き換える。
【0049】
従って、背面側電極4に印加する階調電圧の印加時間は、電圧を印加するフレーム数を制御することで可変となる。なお、背面側電極4はTFT電極に限定されるものではない。
【0050】
図5は、表示媒体10に画像を表示する際の、表示媒体10に含まれる各画素への電圧印加制御の一例を示した図である。なお、電圧V1及び電圧V2がそれぞれ複数の領域に区分されているのは、電圧V1及び電圧V2が複数のフレームから構成されていることを示している。
【0051】
ここでは、説明の便宜上、表示媒体10に含まれる画素A及び画素Bの2つの画素に着目して説明するが、当該説明は表示媒体10に含まれる全ての画素に対して適用される。
【0052】
画素Aで表示する粒子群11Cの階調が、画素Bで表示する粒子群11Cの階調より高い場合、画素Aでは画素Bより多くの粒子11Cを表示基板1側に移動させる必要があるため、画素Aへの電圧V1の印加期間は画素Bへの電圧V1の印加期間より長くなる。
【0053】
一方、画素Bでは、画素Aで電圧V1を印加している途中に、目的とする階調に応じた粒子量の粒子11Cが表示基板1側に移動し終わるため、粒子群11Rの階調電圧として、例えば電圧−V2が引き続き印加される。
【0054】
従って、期間T1では、画素Aと画素Bとの間の電位差(以下、画素間電位差という)が(V1+V2)となるが、この画素間電位差が画素A及び画素Bに含まれる粒子群11へ与える影響は無視できず、画素A及び画素Bで表示する表示色の階調の精度が低下する場合がある。
【0055】
そこで、以下では、本実施形態に係る表示装置100の制御部40のCPU40Aが、画像の際に各画素に印加する電圧を制御するプログラムを読み込んで実行することにより、表示媒体10の画素間電位差を低下させ、表示媒体10に含まれる各画素を精度よく階調制御することができる電圧印加処理について説明する。
【0056】
この場合、当該プログラムを表示装置100の制御部40のROM40Bに予めインストールしておく形態や、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0057】
まず、
図6を参照して、本実施形態に係る電圧印加処理を実行する際の表示装置100の作用について説明する。
【0058】
なお、
図6は、この際に表示装置100の制御部40のCPU40Aにより実行される表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM40Bの予め定められた領域に予め記憶されており、表示媒体10への画像の表示要求が行われる毎にCPU40Aにより実行される。
【0059】
また、一例として、
図6の電圧印加処理が実行される前に、予め表示媒体10に含まれる各画素に電圧−V1が印加され、各画素の粒子群11が
図4(A)に示された状態になっているものとする。
【0060】
まず、ステップS100では、例えば、不揮発性メモリ40Dの予め定めた領域に予め記憶されている表示媒体10に表示する画像の色情報を取得する。
【0061】
ここで画像の色情報とは、例えばRGBデータやCMYデータ等の、画像の画素毎の表示色を一意に表現するための情報であり、本実施形態に係る画像の色情報は、例えば画素の各々に対するシアン色及び赤色の階調値として与えられるものとする。
【0062】
ステップS102では、階調の制御対象となる粒子群11の種類を決定する。
【0063】
この場合、例えば、画素に含まれる粒子群11のうち、まだ階調の制御対象となっていない種類の粒子群11の中で、移動開始電圧が最も高い種類の粒子群11を階調の制御対象として決定するとよい。本実施形態の場合、まず粒子群11Cが階調の制御対象として選択される。
【0064】
ステップS104では、ステップS102で選択した粒子群11の階調を制御するために基板1、2間に印加する印加電圧の絶対値を、例えば不揮発性メモリ40Dの予め定めた領域から取得して設定する。
【0065】
ここで、各粒子群11の階調を制御するための印加電圧の絶対値は、各粒子群11の移動開始電圧より大きい電圧値であり、粒子群11の種類に応じて、例えば不揮発性メモリ40Dの予め定めた領域に予め記憶されている。
【0066】
本実施形態の場合、ステップS102で粒子群11Cが階調の制御対象粒子群として選択されるため、例えば電圧値|V1|が設定される。
【0067】
ステップS106では、ステップS104で設定した印加電圧を各画素に対応した背面側電極4に印加し、画素毎に階調制御を開始する。
【0068】
この場合、印加電圧の極性は、粒子群11Cが正極に帯電していることから、粒子群11Cの階調を高くする場合には正極、低くする場合には負極に設定すればよく、ここでは正極が選択される。
【0069】
また、印加電圧の印加時間は、色情報によって指定された粒子群11の階調値に応じて、画素毎に決定される。
【0070】
粒子群11の階調値、印加電圧、及び印加時間のそれぞれの関係は、表示装置100の実機による実験や表示装置100の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められ、例えば、電圧印加時間テーブルとして不揮発性メモリ40Dに予め記憶されている。
【0071】
従って、本実施形態の場合、電圧印加時間テーブルを参照することで、粒子群11Cに電圧V1を印加した場合の目的とする階調値にするための印加時間が画素毎に決定される。そして、決定した印加時間に応じて、各画素の背面側電極4に電圧V1を印加する。
【0072】
ステップS108では、表示媒体10に含まれる画素の各々において、自分の画素以外の他の画素で、電圧V1の印加が終了したか否かを判定する。否定判定の場合には、他の画素で電圧V1の印加が終了するまで本ステップの処理を繰り返す。肯定判定の場合には、ステップS110に移行する。
【0073】
ここで、他の画素とは、例えば、表示媒体10に含まれる画素のうち、粒子群11Cの階調が最も高い画素、すなわち、階調電圧V1の印加時間が最も長い画素である。この場合、表示媒体10に含まれる画素のうち、粒子群11Cの階調が最も高い画素に対する階調電圧V1の印加が終了するまでステップS110に移行しない。すなわち、表示媒体10に含まれる画素の各々について、階調電圧V1の印加が終了するまでステップS110に移行しない。
【0074】
図7はこの状態を説明した図であり、画素Aが表示媒体10に含まれる画素のうち、粒子群11Cの階調が最も高い画素に対応する。
【0075】
画素Bでは、電圧V1の印加終了後から画素Aに対する電圧V1の印加が終了するまでの期間T1は、
図5における画素Bの期間T1と異なり、電圧が印加されない。
【0076】
従って、期間T1の画素間電位差はV1となり、
図5における画素間電位差(V1+V2)に比べて低下するため、画素間電位差が画素A及び画素Bの粒子群11に与える影響が軽減されることになる。
【0077】
以上、ステップS102〜ステップS108の処理により、画素毎の粒子群11Cの階調が決定される。
【0078】
ステップS110では、画素に含まれる粒子群11のうち、まだ階調の制御対象となっていない粒子群11が存在するか否かを判定する。
【0079】
否定判定の場合には本電圧印加処理を終了し、肯定判定の場合には、ステップS102に移行して、次の階調の制御対象となる粒子群11を決定する。
【0080】
本実施形態の場合、まだ粒子群11Rの階調制御が実施されていないため、ステップS102に移行し、粒子群11Rが階調の制御対象として選択される。
【0081】
そして、ステップS104において、粒子群11Rの階調を制御するための電圧値として、例えば電圧値|V2|が設定され、ステップS106において、電圧値|V2|の極性及び、画素毎の印加時間が設定されて、各画素に印加電圧が印加される。
【0082】
なお、印加電圧の極性に関して、粒子群11Cの階調電圧である電圧V1により、粒子群11Cと共に表示基板1側に付着した粒子群11Rの粒子量が、画像の色情報によって指定された粒子群11Rの階調に応じた粒子量よりも多い場合には負極が、少ない場合には正極が設定される。
【0083】
また、設定された印加電圧及び粒子群11Cの階調値から、電圧印加時間テーブルを参照して印加電圧の印加時間を決定する。
【0084】
このように本実施形態によれば、閾値特性及び色が互いに異なる2種類の粒子群11を含む複数の画素からなる表示媒体10に対して、表示媒体10に表示される画像の色情報に応じて各々の種類の粒子群11の階調を調整する電圧を印加する際、表示媒体10に含まれる他の画素で粒子群11の階調を調整する電圧を印加し終わるのを待ってから、次の種類の粒子群の階調を調整する電圧を印加する。
【0085】
従って、画素間電位差が各画素の粒子群11に与える影響が軽減される。
【0087】
次に、本発明の第2実施形態に係る電圧印加処理を実行する際の表示装置100の作用に関して説明する。
【0088】
第2実施形態は、第1実施形態における表示媒体10の各画素に、更にマゼンタ色粒子群11Mを加えて3種類の粒子群11とした点で第1実施形態と異なるが、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0089】
図8は、第2実施形態に係る表示装置100を概略的に示した図であり、
図1の表示媒体10の分散媒6中に、更にマゼンタ色粒子群11Mが加えられている。
【0090】
本実施形態の場合、粒子群11Mは、例えば粒子群11C及び粒子群11Rと同極性、すなわち、正極に帯電しているものとするが、粒子群11の極性はこれに限定されず負極に帯電していてもよく、帯電極性に制限されない。
【0091】
また、本実施形態の場合、粒子11Mの粒径は、例えば粒子11Cと同程度の粒径としたが、粒径に関する制限はなく、粒子群11の帯電極性、応答性等に応じて適宜設定すればよい。
【0092】
更には、本実施形態の粒子群11Mに対して、透光性の有無に関する制限もなく、色に関する制限もない。
【0093】
図9は、本実施形態に係る表示装置100において、各粒子群11の閾値特性を示したものである。
【0094】
同図において、粒子群11Mの閾値特性は50Mとして表され、例えば、粒子群11Mの閾値は、粒子群11C及び粒子群11Rの閾値よりも低い電圧V3a及び電圧−V3aに設定されている。
【0095】
すなわち、粒子群11の閾値の大きさに関して、|V3a|<|V3|<|V2a|<|V2|<|V1a|<|V1|であるものとするが、各粒子群11の閾値の大小関係もこれに限定されない。
【0096】
この場合、粒子群11Mは閾値V3aを超える電圧、例えば電圧V3が背面側電極4に印加されると、背面基板2に付着していた粒子群11Mが背面基板2から剥離して、基板1、2間に形成された電界に応じて表示基板1側へ移動する。また、粒子群11Mは閾値−V3aを超える電圧、例えば電圧−V3が背面側電極4に印加されると、表示基板1に付着していた粒子群11Mが表示基板1から剥離して、基板1、2間に形成された電界に応じて背面基板2側へ移動する。
【0097】
図10は、本実施形態に係る表示装置100に、第1実施形態において説明した
図6で示される電圧印加処理を適用した場合の電圧印加状況の一例を示した図である。
【0098】
ステップS102において、移動開始電圧が高い粒子群11から順に階調の制御対象とされるため、粒子群11C、粒子群11R、粒子群11Mの順で粒子群11の階調が決定される。なお、ここでは、粒子群11Cの階調は画素Bより画素Aが高く、粒子群11Rの階調は画素Aより画素Bが高いものとして説明する。
【0099】
この場合、画素Bでは、粒子群11Cの階調電圧V1の印加終了後、画素Aで電圧V1の印加が終了するのを待ってから、粒子群11Rの階調電圧−V2が印加される。一方、画素Aでは、粒子群11Rの階調電圧−V2の印加終了後、画素Bで電圧−V2の印加が終了するのを待ってから、粒子群11Mの階調電圧V3が印加される。
【0100】
すなわち、画素Bで電圧V1の印加が終了してから、画素Aで電圧V1の印加が終了するまでの期間T1の画素間電位差は電圧V1となる。また、画素Aで電圧−V2の印加が終了してから、画素Bで電圧−V2の印加が終了するまでの期間T2の画素電位差は電圧V2となる。
【0101】
これに対して、画素A及び画素Bにおいて、階調電圧の印加タイミングを制御することなく、各粒子群11の階調電圧を連続して印加した場合、期間T1の画素間電位差は(V1+V2)であり、期間T2の画素間電位差は(V2+V3)であることから、表示媒体10の各画素に含まれる粒子群11が3種類となった場合であっても、画素間電位差が各画素の粒子群11に与える影響が軽減される。
【0102】
なお、各画素に含まれる移動開始電圧及び色が異なる粒子群11の種類が3種類より多い場合であっても、本実施形態に係る電圧印加処理により同様の効果が期待されることは言うまでもない。また、本実施形態では各粒子群の色として、シアン色C、赤色R、マゼンタ色Mの3色を用いて例示したが、シアン色C、マゼンタ色M、イエロー色Yの3色組み合わせや、赤色R、緑色G、青色Bの3色組み合わせなども、用いることができる。
【0104】
次に、本発明の第3実施形態に係る電圧印加処理を実行する際の表示装置100の作用に関して説明する。
【0105】
第3実施形態では、
図6で示した第1実施形態での電圧印加処理に加えて、更に、粒子群11の電圧印加タイミングを遅らせる処理を追加する。なお、本実施形態に係る表示装置100の構成及び表示媒体10の各画素に含まれる粒子群11の閾値特性は、第1実施形態に係る表示装置100と同様とする。
【0106】
図11は、本実施形態に係る表示装置100の制御部40のCPU40Aにより実行される表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM40Bの予め定められた領域に予め記憶されており、表示媒体10への画像の表示要求が行われる毎にCPU40Aにより実行される。
【0107】
本実施形態に係る電圧印加処理において第1実施形態と異なる点は、ステップS112の処理が追加されている点であり、その他の処理は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
ステップS112では、表示媒体10に含まれる画素の各々で粒子群11Cの階調電圧を印加し終えた後から、更に予め定めた期間経過するまで、各画素への電圧の印加を停止する。
【0109】
この予め定めた期間とは、電圧印加部30が制御部40から指示された電圧を精度よく各画素の電極3、4に印加するのに必要な期間である。
【0110】
電圧印加部30では、印加する電圧を変化する際、電圧を一旦停止してから次の目的とする電圧を印加するようにした方が、電圧を一旦停止しない場合と比較して、目的とする電圧が精度よく印加される、という効果が期待される。
【0111】
図12はこの状態を説明した図である。
【0112】
画素Aでは粒子群11Cの階調電圧V1を印加後、予め定めた期間である期間T3が経過してから、粒子群11Rの階調電圧−V2が印加される。
【0113】
また、画素Bでは電圧V1印加後から、画素Aに対する電圧V1の印加が終了するまでの期間T1が経過した後、更に期間T3が経過してから、電圧−V2が印加される。
【0114】
なお、本実施形態に係る電圧印加処理を、3種類以上の粒子群11を含む表示媒体10の各画素に実施してもよいことは言うまでもない。
【0115】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0116】
また、上記実施の形態では、
図6及び
図11に係る電圧印加処理をソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該電圧印加処理をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
【0117】
この場合の形態例としては、例えば、制御部40と同一の処理を実行する機能デバイスを作成して用いる形態がある。この場合は、上記実施の形態に比較して、処理の高速化が期待される。
【0118】
なお、各実施形態において、粒子群11の階調制御を実施する際、階調電圧の電圧値を固定して階調電圧の印加時間を調整するようにしたが、階調電圧の電圧値及び印加時間の双方を調整して階調制御を実施してもよい。