特許第6095491号(P6095491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許6095491-通話の話題を予測する方法 図000002
  • 特許6095491-通話の話題を予測する方法 図000003
  • 特許6095491-通話の話題を予測する方法 図000004
  • 特許6095491-通話の話題を予測する方法 図000005
  • 特許6095491-通話の話題を予測する方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095491
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】通話の話題を予測する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20170306BHJP
   G06F 19/00 20110101ALI20170306BHJP
【FI】
   G06F17/30 220Z
   G06F19/00 130
   G06F17/30 340B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-118390(P2013-118390)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-6898(P2014-6898A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2016年6月3日
(31)【優先権主張番号】13/529,111
(32)【優先日】2012年6月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チャンジュン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】シャンムガ−ネイサン・グナナサムバンダム
(72)【発明者】
【氏名】ギュヨン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シ・ツァオ
【審査官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0276396(US,A1)
【文献】 特開2012−039638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06F 13/00
G06F 19/00
G06Q 10/00−99/00
H04M 3/00
H04M 3/16− 3/20
H04M 3/38− 3/58
H04M 7/00− 7/16
H04M 11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話の話題を予測する方法であって、
パターン特定エンジンが、各々ウェブアクセスの記録、タイムスタンプ、及びウェブサイトにアクセスしたユーザの識別子が含まれる、ウェブサイトの複数のウェブログの記録を有するウェブログを受信するステップと、
前記パターン特定エンジンが、各々1つ以上の電話番号での通話に関する情報、通話の話題、タイムスタンプ、及びユーザの識別子を含む複数の通話ログの記録を有する通話ログを受信するステップと、
前記ウェブログのウェブサイトアクセスに関するユーザと、ウェブ−電話セッションの通話ログの前記通話に関するユーザとが同じであるように、前記パターン特定エンジンが、前記ウェブサイトアクセスと共に前記通話ログの前記通話を前記ウェブ−電話セッションのグループにまとめるステップと、
前記パターン特定エンジンが、前記ウェブ−電話セッションの前記ウェブログの記録の前記ウェブサイトアクセスでの話題、又は前記ウェブ−電話セッションの前記通話ログの記録の通話の話題に基づいて、前記ウェブ−電話セッションを、予め定められた複数の特定の内容の中の話題の何れか1つに割り当て、前記ウェブ−電話セッションの中の、前記特定の内容における特定の情報に繋がる1つ以上のパターンを識別するステップと、
前記パターン特定エンジンが、発信者から新しい通話を受信するステップと、
前記パターン特定エンジンが、1つ以上の以前のウェブサイトアクセスが、前記新しい通話に関連する前記発信者からの前記ウェブログの記録に存在することを特定するステップと、
コンピュータ装置が、前記新しい通話におけるクリック履歴のパターンが前記以前のウェブサイトアクセスにおけるクリック履歴のパターンに存在するかどうかを判定するステップと、
前記コンピュータ装置が、前記以前のウェブサイトアクセスにおけるクリック履歴のパターンに存在する前記新しい通話におけるクリック履歴のパターンに基づいて、前記新しい通話に関する通話の話題を予測するステップと、
前記コンピュータ装置が、前記予測された通話の話題を出力するステップと、
含む方法。
【請求項2】
前記コンピュータ装置が、前記発信者に前記予測された通話の話題を提供するステップと、
前記コンピュータ装置が、前記予測された通話の話題が正しいという肯定的な応答を、前記発信者から受信するステップと、
前記コンピュータ装置が、前記肯定的な応答の受信に応じて、前記予測された通話の話題に基づいて前記新しい通話を受信することができる業者又はシステムに、前記新しい通話を転送するステップと、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェブサイトアクセスには、タイムスタンプが含まれ、
前記通話ログの記録には、時間が含まれ、
前記グループにまとめるステップは、同じ時間に生じたウェブサイトアクセスと通話ログの記録とを一致させるステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のパターンを識別するステップは、前記ウェブ−電話セッションの間にアクセスされた1つ以上のウェブサイトのページに基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各ウェブログの記録には、予め定められた一定の順序での複数のクリックを更に含む、
前記識別されたパターンには、1つ以上のウェブサイトアクセスのためのクリックの順番と、前記順番の各クリックの間の時間とが更に含まれる、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンを探索するためにデータをマイニングするシステム及び方法に関する。パターンが見つかると、本方法およびシステムはこれらのパターンを実行環境に対してリアルタイムで利用する。
【背景技術】
【0002】
人材サービス、金融サービス、及びITサービスなどの種々のデータ集中型サービスでは、「エピソードマイニング」又は「頻出パターンマイニング」が有益な手段として用いられている。エピソードマイニングとは一般に、対象のパターンを判定するシステムのことを言うことができる。エピソードマイニングのシステムにより、これらのパターンを判定することで、例えば、顧客との通信等の作業を速く、正確に、且つ、効率的に完了させるメカニズムを有する実行環境を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、速く、正確に、且つ効率的に作業を完了させるためには、データマイニングを用いて、パターンを探索し、特定のパターンが見つかると、それらのパターンを実行環境に対してリアルタイムで利用する試みがなされてきた。しかし、この方法に関しては、さらなる改良の必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、データマイニングを実行する方法が提供される。この方法は、複数のウェブログの記録を有するウェブログを受信するステップであって、各ウェブログの記録には、ウェブアクセス、タイムスタンプ、及び関連ユーザが含まれるステップと、複数の通話ログの記録を有する通話ログを受信するステップであって、各通話ログの記録には、通話の話題、タイムスタンプ、及び関連ユーザが含まれるステップと、処理装置により、通話ログの記録ごとに、1つ以上のウェブログの記録を通話ログの記録に関連付けるステップであって、関連付ける1つ以上のウェブログの記録、及び通話ログの記録のそれぞれに関する関連ユーザは同じであるステップと、処理装置により、複数の通話ログの記録に関するウェブログの記録の中から、1つ以上のパターンを特定するステップであって、各パターンには、1つ以上のウェブアクセスと、1つ以上のウェブアクセスが行われた時刻のタイムスタンプと、通話ログの記録に関する通話の話題とが含まれるステップと、処理装置により、新しい通話に関連する1つ以上のウェブログの記録を特定するステップと、処理装置により少なくとも1つのパターン及び1つ以上のウェブログの記録に基づいて、新しい通話に関する通話の話題を予測するステップと、を含むことができる。
【0005】
一実施形態では、データマイニングを実行するシステムが提案される。このシステムは、処理装置と、この処理装置と通信する持続性コンピュータ可読記憶媒体とを含むことができる。このコンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプログラム命令を含むことができる。このプログラム命令を実行すると、処理装置が、(1)複数の通話記録のそれぞれに関して、1つ以上のウェブログの記録を通話ログの記録に関連付け、但し、各ウェブログの記録には、ウェブアクセス及びタイムスタンプが含まれ、各通話ログの記録には、通話の話題及びタイムスタンプが含まれ、それぞれの1つ以上のウェブログの記録及び通話ログの記録は1人のユーザに関連し、(2)複数の通話ログの記録に関するウェブログの記録の中から1つ以上のパターンを特定し、但し、各パターンには、1つ以上のウェブアクセスと、各ウェブアクセスが行われる時刻のタイムスタンプと、通話ログの記録に関する通話の話題とが含まれ、(3)新しい通話に関連する1つ以上のウェブログの記録を特定し、(4)少なくとも1つのパターン及び1つ以上のウェブログの記録に基づいて、新しい通話に関する通話の話題を予測する。
【0006】
一実施形態では、通話の話題を予測する方法が提案される。この方法は、複数のウェブログの記録を有するウェブログを供給するステップであって、各ウェブログの記録には、ウェブアクセスと、タイムスタンプと、関連ユーザとが含まれるステップと、複数の通話ログの記録を有する通話ログを、通話ログの記録ごとに供給するステップであって、各通話ログの記録には、通話の話題と、タイムスタンプと、関連ユーザとが含まれるステップと、処理装置により、1つ以上のウェブログの記録を通話ログの記録に関連付けるステップであって、それぞれの関連付けられる1つ以上のウェブログの記録、及び通話ログの記録に関する関連ユーザは同じであるステップと、処理装置により、複数の通話ログの記録に関するウェブログの記録の中から1つ以上のパターンを特定するステップであって、各パターンには、1つ以上のウェブアクセスと、1つ以上のウェブアクセスが行われる時刻のタイムスタンプと、通話ログの記録に関する通話の話題とが含まれるステップと、処理装置により、新しい通話に関連する1つ以上のウェブログの記録を特定するステップと、処理装置により、少なくとも1つのパターン及び1つ以上のウェブログの記録に基づいて、新しい通話に関する通話の話題を予測するステップと、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態による、行動パターンのマイニングのために使用するシステムの例示的な全体概略を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態による、クリック及び通話をまとめてグループ分けする処理を示すフローチャートである。
図3図3は、一実施形態による、通話を受信し、各通話の話題を予測する処理を示すフローチャートである。
図4図4は、一実施形態による、グループ分けしたクリック及び通話の概略図である。
図5図5は、一実施形態による、プログラム命令を含むために、又は実装するために用いることができる内部ハードウェアの実例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は変更する可能性があるため、記載の特定なシステム、装置、及び方法には限定されない。本明細書で使用する専門用語は、特定なバージョン又は実施形態を説明することだけが目的であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0009】
本明細書で使用する、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」には、文脈により明らかに示されている場合を除き、複数への言及も含まれる。特に規定されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、一般的に当業者が理解していることと同じ意味を有する。先行発明によって、本開示に記載する実施形態が、それらの開示に先行する権利がないことを認めるものとして、本開示のどの部分も解釈されることはない。本明細書で使用する、用語「含む」とは、「含むが、それらには限定されない」ことを意味する。
【0010】
本明細書で使用する、用語「和」、「積」及びこれらと同様の数学用語は広く解釈され、複数の入力数値から単一の数値を導きだす、又は算出する、全ての方法又はアルゴリズムを含む。
【0011】
「コンピュータ装置」とは、1つ以上のプログラム命令により、1つ以上の動作実行するコンピュータ、プロセッサ及び/又はその他の全てのコンポーネント、装置又はシステムのことを指す。図5を参照して、コンピュータ装置の実例を説明する。
【0012】
「通話」とは、通信装置を用いて行われる全ての種類の通信のことを指す。通信を行うための手段の例として、固定電話、携帯電話、ボイスオーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)、ファクシミリ送信、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディア・メッセージ・サービス(MMS)、トランスミッション・コントロール・プロトコル上のシンプルメール・トランスファー・プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP上のSMTP)、インスタントメッセージング、ビデオメッセージング、ビデオチャット、及び/又は現在周知の又は今後開発されるその他の通信プロトコルが含まれ得る。
【0013】
「エピソードマイニング」とは、データの分析処理のことを指し、このエピソードマイニングにより、事象ログファイルからパターンを抽出する。エピソードマイニングでは、システムを用いて、事象ログファイルからユーザの活動を含むユーザの行動パターン等の頻出パターン(エピソード)を、時系列で抽出することができる。一般的な事象ログファイルは、ウェブサーバのアクセスログを含み、このウェブサーバのアクセスログにより、一定の期間又はセッションの間のユーザからのページ要求の履歴、通話センター等からの通話ログの記録が保持される。大抵の企業では、事象ログファイルを分析して、1日ごと、1週間ごと、1年ごと等のウェブサイトのアクセス数のパターン又はユーザの活動パターン等の有益な情報を見つけ出すことが所望される。特定されたパターンのエピソードルールを生成して、その後の事象を予測する。一般に、事象ログファイルは、結果として特定されるパターンよりも数桁大きくなる可能性がある。
【0014】
「相関ルール学習」とは、データを取得する順番を考慮せずデータを集めるデータマイニングの技術のことを指す。例えば、ウェブクリックデータのマイニングのインスタンスでは、相関ルール学習は、パターン(即ち、ウェブページからクリックされるいくらかのテーマ)をマイニングすることはできるが、クリックされるウェブページの順番は記録しない。したがって、ページA、ページB、及びページCが全て1つのセッションでクリックされ、それらが全てウェブページの同じカテゴリーに関する場合、相関ルール学習では、それらのページが、A−B−C、A−C−B、B−A−C、B−C−A、C−A−B、又はC−B−Aのどの順番で現れるかに関係なく同じパターン値をクリックに割り当てる。
【0015】
これとは対照的に、「逐次パターンマイニング」は、相関ルール学習と同様に動作するが、データを取得する順番もさらに記録する。再度ウェブクリックデータを参照すると、クリックされるウェブページのグループが記録され、それと同時に、それらのページがクリックされる順番も記録される。したがって、ページA、ページB、及びページCの全てが、同じセッション内でクリックされ、それらのページが全て、ウェブページの同じカテゴリーに関連する場合、お互いが異なるようにA−B−C、A−C−B、B−A−C、B−C−A、C−A−B又はC−B−Aの順番が記録される。ウェブページのクリックからのデータマイニングでは、互いの相関関係が存在するため、この逐次パターンマイニングが特に有益である。(例えば、メインページが、一般化したリンクの種数を含むことができ、それらのリンクのうちの1つがクリックされるとき、作成されたページ上に追加されたリンクは、さらに分化した種類のリンクでよい。)
【0016】
「行動パターンマイニング」では、取得したデータの順番と、データがそれぞれ取得された時間の関係との両方を評価することにより、逐次パターンマイニング有する追加のステップが行われる。したがって、例えば、ウェブページのグループは、ウェブページのページがクリックされる順番に関して監視され、それと同時に、それらのクリックとクリックとの間の時間の長さに関しても監視される。したがって、ページA、ページB、及びページCが全て、同じセッション内でクリックされ、それらのページがウェブページの同じカテゴリーに関連する場合、例えば、A−B−−−−−−Cは、A−−−−−−−B−Cとは区別され、それぞれのダッシュ記号は、例えば、10秒間というように、クリックとクリックとの間に経過した時間を示す。
【0017】
本明細書は、ユーザのウェブサイトの活動を監視して、その後にユーザが行う通話を予測するためのクリックデータを得る方法及びシステムに関する。
【0018】
図1には、行動パターンマイニングのために用いるシステムの全体概略図が示される。このシステムは、ログモジュール101と、パターン特定エンジン115と、特定パターンモジュール120とを含むことができる。このログモジュール101には、ウェブログ105と、通話ログ110とが含まれ得る。
【0019】
一般にウェブログ105には、複数のウェブログの記録が含まれ得る。各ウェブログの記録には、ウェブサイトの個々のユーザに関する情報、及びそのユーザの使用データが含まれ得る。より具体的には、各ウェブログの記録には、(1)IPアドレス等の特定のコンピュータ装置の身元と、(2)名前、アドレス、電話番号、ウェブサイトのログイン情報等の特定のユーザの身元と、(3)ウェブサイトがアクセスされた日時(即ち、タイムスタンプ)と、(4)ウェブサイト内の特定のページがアクセスされた日時(即ち、タイムスタンプ)と、(5)クリックパターンと、及び/又は(6)アクセスされたウェブサイト内の特定のページに関する情報と、が含まれ得るが、これらには限定しない。ウェブログ105は、検索可能なデータベース内、知識ベース内等に含まれ得る。
【0020】
一般に通話ログ110には、複数の通話ログの記録が含まれ得る。各通話ログの記録には、1つ以上の指定電話番号にかけられた通話に関する情報が含まれ得る。より具体的には、 各通話ログの記録には、(1)発信者のID等により得られる電話番号等の1つ以上の指定電話番号に通話するために用いられる特定の電話の身元と、(2)名前、アドレス、電話番号、ウェブサイトのログイン情報等の特定の発信者の身元と、(3)かけられた通話の日時(即ち、タイムスタンプ)と、及び/又は(4)各通話の話題に関する情報とが含まれ得るが、これらには限定しない。通話ログ110は、検索可能なデータベース、知識ベース等内に含まれ得る。
【0021】
本明細書でより詳細に説明する通り、パターン特定エンジン115は、通話を受信し、通話の話題をリアルタイムで予測する前に、一連の3つの前処理ステップを実行することができる。この3つの前処理ステップには、(1)データを抽出するステップと、(2)セッションをグループ分けするステップと、(3)パターン特定するステップとが含まれ得る。データを抽出するステップでは、パターン特定エンジン115が、ログモジュール101から各通話ログの記録、及び各ウェブログの記録等のデータを受信し、さらに、これらの通話ログの記録、及びウェブログの記録から追加データを抽出することができる。セッションをグループ分けするステップでは、クリックや通話が行われた時間に基づいて、及び同じユーザの各クリックや各通話に対応したかどうかに基づいて、パターン特定エンジン115が、ウェブページ上でクリックされたセッション、及び通話を1つ以上の監視された電話線にグループ分けすることができる。本明細書でより詳細に説明する通り、パターンを特定するステップでは、パターン特定エンジン115が、ウェブログ105からアクセスされた、話題の中から特定なパターンを特定することができ、これらの特定なパターンは、セッションをグループ分けするステップにおいて特定されたグループ内の通話ログ110からの通話の話題に対応する。本明細書でより詳細に説明する通り、パターン特定エンジン115により、3つの前処理ステップが終了した後、発見されたパターンに関するデータを、特定パターンモジュール120内に格納することができ、その後、これらのパターンには、アクセスして使用することができる。
【0022】
特定パターンモジュール120は、データベース、知識ベース等でよく、これを用いてパターン特定エンジン115により特定されたパターンに関する全ての種類のデータを格納することができる。特定パターンモジュール120は、メモリ内に含まれ得、このメモリはコンピュータ装置内に配置され、コンピュータ装置と動作可能に通信する。あるいは、本明細書でより詳細に説明する通り、特定パターンモジュール120は、遠隔地に格納され、インターネット上で、又は通信ポートを介するなど遠隔的にアクセスされるメモリ内に含まれ得る。
【0023】
図2に示す通り、パターン特定エンジン115は、クリック及び通話をまとめてグループ分けする処理を用いることができる。パターン特定エンジンは、ステップ205で、ウェブサイトクリックからログを取得し、ステップ210で、個々のユーザ及びクリックパターンを特定することができる。インターネット上で一意のユーザを特定するための、現在周知の又は今後開発される全ての方法で、個々のユーザを発見することができる。そのような方法の例には、コンピュータのインターネットプロトコル(IP)アドレスを確認してウェブサイトを閲覧する方法、及び/又はセキュリティで守られたウェブサイトの一部にアクセスするために用いるユーザのログイン情報を記録し、個々のユーザのコンピュータごとに一意の識別子を含むブラウザのクッキーをインストールする方法が含まれるが、これらには限定しない。
【0024】
個々のユーザがウェブサイト上のどのページをアクセスするかを判定する、現在周知の又は今後開発される全ての方法を用いて、クリックパターンを特定することができる。そのような方法の例には、クリックトラッキング等が含まれるが、これらには限定しない。クリックトラッキングには、ウェブサーバが対話型インタフェースをユーザに提供し、ユーザID、クリックされたユニフォームリソースロケータ(URL)、タイムスタンプ、インターネットプロトコル(IP)アドレス等のクリック情報を履歴ファイル等のファイルとして格納することに関与し得る。
【0025】
ウェブサイトクリックが取得され特定されるときとほとんど同時に又はその後に、パターン特定エンジンは、ステップ215で通話からログを取得し、ステップ220で通話ログからユーザ及び通話パターンを特定することができる。顧客サポート用電話番号等の特定の電話番号又は複数の電話番号にかけられた全ての通話に対して、現在周知の又は今後開発される全ての方法を用いて、通話を監視し、追跡し、且つ/又は特定することができる。通話を監視し、追跡し、且つ/又は特定する方法の例には、発信者IDを監視する、且つ/又は顧客サポート用電話番号への通話に用いられた電話番号を監視する方法、自動システムを使用することにより、又は担当者により、発信者に問い合わせて、発信者の身元等を判定する方法が含まれるが、これらには限定しない。
【0026】
ステップ210でクリックパターンが特定され、ステップ220で通話パターンが特定された後、パターン特定エンジンは、ステップ225でウェブサイト及び通話ログから追加のデータを抽出することができる。追加データには、ウェブページ及びウェブサイトがアクセスされた日時、及び通話がかけられた日時が含まれ得るが、これらには限定しない。
【0027】
ステップ230で、パターン特定エンジンは日時データを用いて、ウェブサイトクリックと、個々のユーザによりかけられた通話との間の相関を発見することができ、それに伴ってユーザのクリックと通話とを一致させることができる。ウェブサイトクリックと通話とを一致させるためには、ステップ235でクリックと通話が両方のインスタンス内で同じユーザにより行われたどうかと、通話と同じ一定期間内にクリックされたかどうかとを判定するためのエンジンが必要である。「同じ一定期間」とは、ユーザにより行われた最初の通話と最後のクリックとの間に経過した期間でよい。この期間は、ユーザがウェブサイト内を見回して問題を解決し、疑問等に対する答えを見つけ、解決法を見つけ損ない、担当者に通話して解決法を見つけるまでに要し得る適度な長さの時間に基づいて設定することができる。例えば、この期間は、10分より短い時間、20分より短い時間、30分より短い時間、45分より短い時間、又は60分より短い時間でよい。
【0028】
この期間を事前に判定する方法には、電話の通話と最後のウェブクリックとの間の時間差の平均を計算するステップが含まれ得る。この計算により、全てのユーザに関する時間差の平均が算出される、又は一部のユーザの時間差の平均が算出される。この計算により、特定の種類だけのクリックと通話との間の時間差(即ち、特定の主題に関するクリック及び通話)の平均算出される、又は主題に関係なく全ての通話に関する時間差の平均が算出される。
【0029】
図4には、期間415に渡って、一人の特定されたユーザにより行われた通話及びクリックが示される。実線の矢印410はクリックを示し、点線の矢印405はかけられた通話を示している。本明細書に記載する通り、複数のクリック410及び通話405を囲む点線のボックス420は、同じ一定期間内で行われたクリック及び通話を示す。したがって、パターン特定エンジンは、同じ一定の期間420内のクリック410及び通話405は互いに関連しているとして認識し、一定の期間420から外側にはみ出した(即ち、点線のボックスの外側の)クリック410及び通話405は関連していない認識し、それに伴って、「ノイズ」として片付ける。
【0030】
本明細書で使用する用語ノイズとは、偶発的なクリック又は通話等の不要のデータのことを指し、そのデータは単発で発生し、関連するクリック及び/又は通話等の周囲のデータには対応しない。そのようなノイズと見なされる可能性のあるクリックの一例として、例えば、顧客が5秒より長い期間、10秒より長い期間、又は30秒より長い期間等の有効期間そのページに留まらなかったときのクリックが含まれるがこれには限定されない。パターン特定エンジンは、この場合、ユーザが間違ったリンク上で誤ってクリックしてしまい、即座に彼の/彼女のブラウザの戻るボタンをクリックして、又はその他のリンク上をクリックして、もともと意図するページに移動した際の「ミスクリック」と見なすことができる。
【0031】
図2を参照すると、ユーザのクリックと通話とが同じ一定期間内で行われた場合、パターン特定エンジンは、ステップ240で、それぞれ一致するウェブセッション及び電話セッションを1組にして、単一のウェブ−電話セッションを作成し、このウェブ−電話セッションを分析して、そのウェブ−電話セッションの全般的な話題を見出すことができる。ウェブ−電話セッションの全般的な話題の例は多岐に渡り得、本開示が実行される業界に依存する。例えば、会社の人事部(HR)ウェブサイト及び電話システムにおける、ウェブ−電話セッションの全般的な話題の例としては、給与支払名簿の情報、福祉手当の情報、有給休暇の情報、病欠の情報等が含まれ得るが、これらには限定しない。
【0032】
パターン特定エンジンは、ステップ245で、それぞれのウェブ−電話セッションを、類似する一般的な話題を含むウェブ−電話セッションの一般的な話題のグループに割り当てることができる。したがって、上記の例では、ウェブ−電話セッションは、それらの一般的な話題に基づく、次のような一般的な話題グループである、給与支払名簿グループ、福祉手当グループ、有給休暇グループ、及び病欠グループのうちの1つに割り当てることができる。
【0033】
パターン特定エンジンは、セッションの一般的な話題グループ内のそれぞれのウェブ−電話セッション内のパターンを特定することができ、ステップ250で、ウェブ−電話セッションをそれぞれの一般的な話題グループ内のパターンに割り当てることができる。上記の例では、福祉手当の一般的な話題グループ内のパターンの例には、健康保険情報、歯科保険情報、眼科保険情報、及び確定拠出年金(401(k))情報等の情報に繋がるパターンが含まれ得る。
【0034】
ステップ255で、ユーザ、日時、全般的な話題、及びパターンに関連する情報を含む、ウェブ−電話セッションに関連する情報を、後の参照や検索のために、データベース、知識ベース等に格納することができる。さらに、本明細書に記載する処理では、処理を頻繁に変更することができ、それに伴い、パターン特定エンジンが、処理をリアルタイムで繰り返すことができ、それに伴い、より多くのクリック及び通話を記録・分析するごとに、一般的な話題のグループ、及び下位の話題グループを動的に変更することができる。したがって、新しいウェブ−電話セッションを特定することにより、及びもはや必要のない、及び/又は既に取り除かれた陳腐化したウェブページに関連するウェブ−電話セッション等の、使用されないウェブ−電話セッションを削除することにより、一般的な話題グループ及びパターンを縮小したり拡張したりすることができる。さらに、例えば、ウェブ−電話セッションの新しい話題が判定されたらいつでも、新しく一般的な話題グループ及びパターンを必要に応じて作成することができる。
【0035】
図3には、以前に顧客が行ったウェブクリックに基づいて通話の話題を予測する、コンピュータ装置により実行可能な方法が示される。ステップ305で、ユーザから通話を受信することができる電話番号、インターネットプロトコル(IP)アドレス、スクリーンネーム等で、通話を受信することができる。ステップ310で、コンピュータ装置は、発信者の身元を判定することができる。本明細書でより詳細に説明する通り、発信者の身元は、発信者のIDを介して、且つ/又は双方向音声応答システムを用いて取得することができる。ステップ315で、発信者の身元をユーザ識別子と一致させ、ウェブサイトクリック履歴に関するデータベース内で、発信者のクリック履歴を見つけることができるようにする。
【0036】
最初にコンピュータ装置は、ステップ320で、その発信者に関するユーザクリック履歴が存在するかどうか判定することができる。存在する場合、ステップ325で、そのクリック履歴が現在の通話と同じ一定期間内かどうかを判定することができる。この一定期間とは、関連するクリックが行われたときと通話がかけられたときの間に経過時間の長さでよい。ステップ320で発信者に関するクリック履歴が存在しないと判定された場合、又はステップ325でクリック履歴が同じ一定の期間内でないと判定された場合、コンピュータ装置は、ステップ335で、双方向音声応答システム等を用いて通話の話題を見出すことができる。ステップ340で、コンピュータ装置はこの通話を、後で参照するために、データベース、知識ベース等に保存し、ステップ370で、通話の話題に基づいて、受信可能な適切な業者又はシステムにその通話データを転送することができる。
【0037】
本明細書でより詳細に議論する通り、ユーザクリックの履歴が、ステップ320で存在すると判定され、そのユーザクリックの履歴が、ステップ325で同じ一定の期間内であると判定された場合、コンピュータ装置は、ステップ330で最近のクリック履歴を確認し、任意のパターンが存在するかどうかを判定することができる。任意のパターンが存在するかどうかの判定には、ステップ345でデータベースにアクセスして、監視した最近のクリック履歴のパターンとデータベース内のクリック履歴と比較することにもさらに含まれる。ステップ350でパターンが見つからない場合、コンピュータ装置は、ステップ335で双方向音声応答システム等を用いて、発信者にオプションのデフォルト設定を提供して、通話の話題を見つけることができる。オプションのデフォルト設定は静的でよく、最も可能性のある話題が最初に表示される状態で、一般的に話題になりそうな可能性に基づいて順番付けされ得る。例えば、システム内の全ての発信者の最も可能性の話題(クリック履歴に関係なく)が401(k)の残高に関する場合、401(k)オプションが最初に表示され得る。ステップ340で、コンピュータ装置は通話を、後で参照するために、データベース、知識ベース等に保存し、ステップ370で、通話の話題に基づいて、受信可能な適切な業者又はシステムにその通話データを転送することができる。
【0038】
ステップ350で、パターンが見つけられた場合、本明細書でより詳細に説明する通り、コンピュータ装置はそのパターン履歴を用いて、ステップ355で、その通話の話題(又は複数の話題)を予測することができる。コンピュータ装置は、長ったらしい双方向音声応答システムを避ける方法として、ステップ360で、動的な話題のリストを発信者に表示することができる。動的な話題リストには、正解である可能性に基づいて順位付けされた予測リストが含まれ得る。したがって、最も可能性のある応答を最初に発信者に表示することができ、可能性の少ない応答をより可能性のある応答の次に発信者に表示することができる。発信者は、予測した話題を正しいかどうかを、ステップ365で、選択するためのオプションを持つことができ、発信者が肯定的な応答を選択した場合、通話の話題に基づいて、ステップ370で、受信可能な適切な業者又はシステムにその通話データを転送することができる。
【0039】
発信者が否定的な応答を選択した場合、コンピュータ装置は、ステップ335で、双方向音声応答システム等を用いて通話の話題を見つけることができる。ステップ340で、コンピュータ装置は通話を、後で参照するために、データベース、知識ベース等に保存し、ステップ370で、通話の話題に基づいて、受信可能な適切な業者又はシステムにその通話データを転送することができる。
【0040】
一般にパターンを特定する処理では、(1)シードステップと、(2)結合ステップと、を含む2ステップの処理を有する「シードと結合」の手法を用いて、ウェブサイト上での進行パターン(即ち、クリック順番)特定することができ、これらの進行パターンによりその後の通話に繋がる。
【0041】
シードステップには、ステップ245(図2)で、ウェブクリックを監視し、どのウェブクリックが、話題に関連するウェブ−電話セッションのグループに対応するかを判定すること、及び/又はステップ250(図2)で、どのウェブクリックが同じ話題を含むウェブ−電話セッションのグループに対応するかを判定することが含まれ得る。したがって、このシステムは、そのグループ内のどのクリックに対して各ユーザが最も時間をかけているかをグループごとに判定する。さらに、クリックの順番を記録することもできる。システムは、この判定から、どのクリックが「重要」なのか即ち、どのクリックがグループの話題と非常に相関しているのかを特定することができる。
【0042】
結合ステップには、シードステップの間に見つけたパターンを分析し、時系列に関して近いパターンどうしを結合させることが含まれ得る。時間に関連するパターンを1つに結合させることにより、システムは、ウェブ−電話セッションのグループをより正確に記述することができ、それに伴い、その後の話題の予測に対して大幅に向上した精度を実現することができる。例えば、シードステップにより、パターン「A」、「B」、「D」、「E」、「M」、「P」、及び「X」等の複数のパターン、並びに、各パターンに関するタイムスタンプ及び持続時間情報を生成することができる。各パターンを分析し、持続時間情報に基づいて、それらのパターンが密接に関連しているどうかを判定する。例えば、全てのセッションの70%でパターン「B」がパターン「A」の直後に発生した場合、パターン「A」及びパターン「B」をまとめて、パターン「A−B」を形成することができる。さらに、時間に関してパターン「D」がパターン「B」に隣接している場合、パターン「A−B」にパターン「D」を結合させて、パターン「A−B−D」を形成することができる。その他の例では、パターン「M−P」が全てのセッションの40%で発生し、パターン「P−M」が全てのセッションの別の40%で発生した場合、それらのパターンを結合してパターン「{P−M}」を形成することができる。
【0043】
シードステップ中に見つけたが、類似の時間のパターンがないために、結合ステップで結合させることができないパターンは、それでもなお「結合」パターンとして、個々に格納することができる。したがって、例えば、結合させるその他の類似パターンのないパターン「X」は、まさにパターン「X」としてのみ識別することができ、後でアクセスし変更するために、データベース内に格納することができる。
【0044】
図5には、実施形態による、内部ハードウェアの例示的なブロック図が示され、これらの内部ハードウェアを、図2及び図3を参照して、上記に議論した処理ステップ等のプログラム命令を含むために、又は実行するために用いることができる。バス500は、その他のハードウェアの例示的な構成要素を相互接続するメイン情報ハイウェイとして機能する。CPU505は、システムの中央処理ユニットであり、プログラムを実行するために必要な計算及び論理演算を行う。単独で又は図5に開示するその他の要素の1つ以上と連動して動作するCPU505は、例示的な処理装置、コンピュータ装置、又はプロセッサであり、これらの用語は本開示内で使用されている。例示的なメモリ装置(即ち、持続性プロセッサ可読記憶媒体)は、リードオンリーメモリ(ROM)510、及びランダムアクセスメモリ(RAM)515により構成される。
【0045】
制御装置520は、1つ以上の随意的なメモリ装置525と、システムバス500とをインタフェースを介して接続する。これらのメモリ装置525には、例えば、外付けDVDドライブ、又は内蔵DVDドライブ、CDROMドライブ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、USBドライブ等が含まれ得る。上記に示す通り、これらの種々のドライブ及び制御装置は、随意的な装置である。
【0046】
インタフェースを提供し、1つ以上のデータのセットに関連する任意のクエリ又は分析を実行するためのプログラム命令、ソフトウェア、又は対話式モジュールを、ROM510、及び/又はRAM515内に格納することができる。随意的に、プログラム命令を、コンパクトディスク、デジタルディスク、フラッシュメモリ、メモリカード、USBドライブ、Blu−ray(登録商標)ディスク等の光ディスク記憶媒体、及び/又はその他の持続性記憶媒体等の有形のコンピュータ可読媒体上に格納することができる。
【0047】
随意的なディスプレイインタフェース530により、バス500からの情報を、音声、画像、映像、又は英数字のフォーマットで、ディスプレイ535上に表示することができる。プリント装置等の外部装置との通信は、種々の通信ポート540を用いて実行することができる。例示的な通信ポート540をインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークに接続させることができる。
【0048】
ハードウェアには、インタフェース545も含まれ得、このインタフェース545により、キーボード550等の入力装置又はマウス、ジョイスティック、タッチスクリーン、リモートコントロール、ポインティング装置、ビデオ入力装置、及び/又は音声入力装置等のその他の入力装置555からのデータを受信することができる。
図1
図2
図3
図4
図5