特許第6095503号(P6095503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095503
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】トイレットペーパーロール用巻芯紙管
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/18 20060101AFI20170306BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20170306BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   B65H75/18 Z
   A47K10/16 A
   B65H75/10
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-133007(P2013-133007)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-6946(P2015-6946A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】矢口 忠平
(72)【発明者】
【氏名】村田 剛
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−142996(JP,U)
【文献】 特開昭62−179463(JP,A)
【文献】 特開2009−148326(JP,A)
【文献】 特開昭62−86064(JP,A)
【文献】 実開昭62−197660(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K7/00、10/16
B65H75/00−75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーロールの巻芯紙管において、該巻芯紙管の紙面pHが2.4以上3.5以下であり、前記巻芯紙管中のアルミニウム含有量が300〜1000ppmであり、前記巻芯紙管にリンゴ酸及び又はクエン酸が0.05〜0.5g/m塗布されていることを特徴とするトイレットペーパーロール用巻芯紙管。
【請求項2】
請求項1に記載のトイレットペーパーロール用巻芯紙管を芯としたことを特徴とするトイレットペーパーロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーロール用巻芯紙管に関する。特に、消臭効果を有するトイレットペーパーロール用巻芯紙管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレ内の環境改善のために、トイレットペーパーロールに使用される紙管に芳香剤、香料、消臭剤、脱臭剤などを付与し、トイレ内を好ましい香りに置き換える、あるいは好ましくない臭いを脱臭・中和することが行われている。
特許文献1には、芳香物質及び/又は消臭物質を内包するマイクロカプセルを含有させた紙管を芯としたロール状シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−242065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている紙管は含有されているマイクロカプセルに所定の荷重が付与されたときに、芳香効果あるいは消臭効果を発現する。このため、所定の荷重がかかりにくい状態で使用した場合には、芳香効果あるいは消臭効果が全く発現しない問題があった。
そこで、本発明は、トイレットペーパーロールの使用状態に拘らず、消臭効果を発現するトイレットペーパーロール用巻芯紙管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、トイレットペーパーロールの巻芯紙管において、該巻芯紙管の紙面pHが3.5以下であることを特徴とする。第2の発明は、前記巻芯紙管中のアルミニウム含有量が300〜1000ppmであることを特徴とする。第3の発明は、巻芯紙管にリンゴ酸及び又はクエン酸を0.05〜0.5g/m2塗布することを特徴とする。第4の発明は、トイレットペーパーロールであって、上記巻芯紙管を芯としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トイレットペーパーロールの使用状態に拘らず、消臭効果を発現するトイレットペーパーロール用巻芯紙管を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の紙面pHを3.5以下にしたことを特徴とするトイレットペーパーロール用巻芯紙管(以下、「巻芯紙管」と略すことがある)は、トイレ内の悪臭、特にアンモニア臭に対して非常に高い効果を示す。
【0008】
本発明において、巻芯紙管の紙面pHを3.5以下にすることが重要であり、巻芯紙管の紙面pHを3.0以下にすることがより好ましい。紙面pHが3.5を超えると十分な効果を得ることができない。また、紙面pHが低すぎると紙が劣化する問題が発生することがあるため、pHは2.4以上であることが好ましい。
また、紙、板紙及びパルプ−水抽出液pHの試験方法(JIS P 8133:1998)における抽出pHとしては、冷水の場合pH5.0以下、熱水の場合pH4.5以下であることが好ましい。
【0009】
本発明において、トイレットペーパーロール用巻芯紙管は、紙面pHを調整した巻芯紙管用の原紙(以下、「原紙」と略すことがある)を中空筒状に形成したものであり、その形成方法は特に限定されるものではないが、原紙をスパイラル巻きにして巻き間に接着剤を介して中空筒状に形成することが一般的である。なお、スパイラル巻きにして巻き間に接着剤を介して中空筒状に形成させた場合、貼り合わせる一方の原紙のみに紙面pHを調整したものを使用することも可能である。
【0010】
本発明において、原紙の紙面pHを調整する方法は特に限定されないが、内添により紙面pHを調整した原紙は、パルプスラリーに酸性物質、その他必要な薬品を添加した紙料を公知の方法を用いて抄造することで得ることができる。また、外添により紙面pHを調整した原紙は、公知の方法で抄造した紙に、サイズプレス、カレンダーサイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーターなどの公知の塗布装置を用いて酸性物質を塗布することで得ることができる。
【0011】
紙面pHを調整するために使用される酸性物質は、酢酸、硫酸、塩酸、硝酸、リンゴ酸、クエン酸などの酸、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどの化合物を例示することができるが、これらの物質に限定されるものではない。これらの化合物の中では製紙分野で汎用に使用される硫酸アルミニウム(硫酸バンド)を使用することが取り扱いの点などから好ましい。
なお、原紙の製造において、内添、外添する酸性物質の種類及び添加量などは、パルプの種類や酸性物質以外で必要に応じて添加する薬品の種類などにより、紙面pHが異なるため、適宜調整することが好ましい。
【0012】
本発明において、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの水中でアルミニウムイオンに電離する化合物を酸性物質として使用した場合、巻芯紙管原紙中のアルミニウム含有量を300〜1000ppmになるように添加することが好ましい。なお、原紙の製造において、内添、外添するアルミニウム化合物の添加量などは、パルプの種類やアルミニウム化合物以外で必要に応じて添加する薬品の種類などにより、原紙中の歩留りが異なるため、適宜調整することが好ましい。
アルミニウム化合物とは、水中でアルミニウムイオンに電離する化合物であればよく、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが例示できるが、製紙分野で汎用に使用される硫酸アルミニウムを使用することが取り扱いの点などから好ましい。
【0013】
本発明において、紙面pHを3.5以下に調整した原紙に、さらにリンゴ酸及び又はクエン酸を固形分が0.05〜0.5g/m2となる範囲で塗布することにより消臭効果を向上させることができる。リンゴ酸及び又はクエン酸の塗布量が0.05g/m2未満であると消臭効果の向上が見られない。一方、リンゴ酸及び又はクエン酸の塗布量が0.5g/m2を超えてもそれ以上十分な効果が得られない。なお、リンゴ酸及び又はクエン酸を塗布した後の原紙のpHが3.5以下であることが重要であり、紙面pHは2.4〜3.0にすることが好ましい。
【実施例】
【0014】
次に本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
[実施例1]
濾水度(CSF)が400mlとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)にロジン系サイズ剤 0.5%、PAM系内添紙力剤0.2%及び抄造後の紙面pHが3.0となるように硫酸バンドをそれぞれ添加し、長網抄紙機により目標坪量160g/mの原紙を抄造した。紙中のアルミニウム含有量は、883ppmであった。アンモニアに対する高い消臭効果が得られ、品質も実用上問題がなかった。
【0016】
[実施例2]
抄造後の紙面pHが3.4となるように硫酸バンドの添加率を調整した以外は実施例1と同様に原紙を抄造した。紙中のアルミニウム含有量は、382ppmであった。アンモニアに対する高い消臭効果が得られ、品質も実用上問題がなかった。
【0017】
[実施例3]
実施例1で得た原紙に、リンゴ酸の原紙両面における塗布量が0.2g/m(固形分)となるように濃度を調整したリンゴ酸水溶液を浸漬塗布した。紙面pHは2.4、紙中アルミニウム含有量は、410ppmであった。アルミニウム含有量の減少は、浸漬塗布時にリンゴ酸水溶液中にアルミニウムが溶出したためである。アンモニアに対する高い消臭効果が得られ、品質も実用上問題がなかった。
【0018】
[比較例1]
抄造後の紙面pHが3.8となるように硫酸バンドの添加率を調整した以外は、実施例1と同様に原紙を抄造した。紙中のアルミニウム含有量は、267ppmであった。品質は実用上問題なかったが、十分な消臭効果が得られなかった。
【0019】
<消臭効果試験(アンモニア)>
上記実施例、比較例で抄造した原紙から採取した試験片3cm×3cm 1枚を入れたガスバック(PVDFバック2L A−6SN 近江オドエアサービス社製)に空気1.5Lを注入後、試験片を入れていないガスバック内に注入したときの2分後のアンモニア濃度が90〜100ppmとなるように濃度を調整したアンモニアガスを一定量注入し、2分後、10分後、30分後、1時間後、2時間後のガスバック中のアンモニア濃度を検知管3La(ガステック社製)を用いて測定した。試験は温度23℃の恒温室内で実施した。
【0020】
<アルミニウム含有量>
精秤した試験片約0.2gを525℃で灰化し、希釈後の硝酸濃度が30mMとなるように濃硝酸で灰を溶解した後蒸留水で希釈し、30mM硝酸を加えて10.0mlとし、更に30mM硝酸を加えて100倍に希釈し、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)により測定した。
<紙面pH>
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.49−2:2000 に規定される「紙−表面pH測定方法−第2部:指示薬法」に従って測定した。
測定結果を、表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
紙面pHが3.5以下である実施例1〜3は、紙面pHが3.8である比較例1と比較して、アンモニアを中和する能力にすぐれており、良好な消臭効果を発揮した。特に、クエン酸を塗布した実施例3はアンモニア中和能が秀でていた。