特許第6095600号(P6095600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パンパシフィック・カッパー株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社中園工業所の特許一覧

<>
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000002
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000003
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000004
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000005
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000006
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000007
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000008
  • 特許6095600-電極板搬送装置のロッド取付構造 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095600
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】電極板搬送装置のロッド取付構造
(51)【国際特許分類】
   C25C 7/02 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   C25C7/02 302A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-70844(P2014-70844)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-190055(P2015-190055A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】500483219
【氏名又は名称】パンパシフィック・カッパー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591031566
【氏名又は名称】株式会社中園工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】塩地 崇
(72)【発明者】
【氏名】中園 安志
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−081826(JP,A)
【文献】 実開昭62−132175(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板を吊下支持するフックを有するロッドを電極板搬送装置のフレームへ着脱自在に取り付けるための電極板搬送装置のロッド取付構造において、
前記フレームには、前記ロッドを取り付けるために当該フレームの縁部に開口部を有して穿設された収容部が形成され
前記ロッドには、前記収容部よりも大きな直径の鍔部を有すると共に前記開口部の開口幅よりも大きな直径を有し、当該ロッドに沿って移動可能な軸受部材取り付けられ
前記収容部に前記軸受部材を介在させた状態で当該軸受部材を固定部材によって固定することにより前記ロッドを前記フレームの横方向から着脱可能としたことを特徴とする電極板搬送装置のロッド取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、
前記ロッドの上端部側に、前記フレームに沿って水平移動可能に配置されたラックギアと螺合するピニオンギアを取り付けることにより前記ロッドを軸として前記フックを少なくとも90°旋回可能としたことを特徴とする電極板搬送装置のロッド取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、
前記フレームは、水平方向に張り出した上部フレームと、前記上部フレームの下方側に当該上部フレームと平行、且つ、水平方向に張り出した下部フレームを備え、
前記上部フレームの縁部に第一の開口部を有して穿設された第一の収容部が形成され
前記下部フレームの縁部に第二の開口部を有して穿設された第二の収容部形成され
前記ロッドには、上部側に前記第一の収容部よりも大きな直径の第一の鍔部を有すると共に前記第一の開口部の開口幅よりも大きな直径を有する第一の軸受部材と、下部側に前記第二の収容部よりも大きな直径の第二の鍔部を有すると共に前記第二の開口部の開口幅よりも大きな直径を有して当該ロッドに沿って移動可能な第二の軸受部材取り付けられ
前記第一の収容部に前記第一の軸受部材を介在させ、さらに前記第二の収容部に前記第二の軸受部材を介在させた状態で前記第二の軸受部材を固定部材によって固定することにより前記ロッドを前記フレームの横方向から着脱可能としたことを特徴とする電極板搬送装置のロッド取付構造。
【請求項4】
請求項1から3のずれか1項に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、
前記固定部材と前記軸受部材若しくは前記第二の軸受部材との間に弾性部材を介在させたことを特徴とする電極板搬送装置のロッド取付構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、
前記固定部材は、セットカラーであることを特徴とする電極板搬送装置のロッド取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極板搬送装置のロッド取付構造に関し、さらに詳しくは、金属の電解精製に使用する複数の電極板を吊下支持するフックが先端に取り付けられたロッドを電極板搬送装置のフレームへ取り付けるための電極板搬送装置のロッド取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
銅や亜鉛などの金属の電解精製は、電解液が貯えられた電解槽内に複数(Cuの場合、通常、20枚から60枚程度)の陰極板(カソード板)と耳付き型陽極(アノード板)とを交互に平行になるようにして浸漬し、電圧を印加することによって行なわれる。そして、これらの電極板の電解槽への装入及び引き上げ並びに搬送は、電極板搬送装置にロッドの先端側に設けられたフックで掛止し、吊下支持することによって行なわれる。すなわち、電極板搬送装置にはアノード板を支持する一対のアノード用フックとカソード板を支持する一対のカソード用フックが吊枠にそれぞれ複数設置されており、多数の電極板を吊り下げた電極板搬送装置を天井クレーン等の移動装置によって電解槽の上方まで水平移動させ、所定の位置で電極板搬送装置の吊枠を昇降することにより電極板を電解槽の所定位置への装入又は引き上げが行なわれる。そして、電解が終了したカソード板は、剥ぎ取り機受け入れ口のコンベアに装入され、その表面に電着した金属の剥ぎ取りが行なわれる。そして、剥ぎ取りが終わったカソード板は剥ぎ取り機搬出口のコンベアから、電極搬送装置によって搬送されて再び電解槽内へ装入され電解精製に供される。
【0003】
従来の電極板搬送装置のロッドの取付構造としては、例えば、特許文献1に示すものがある。すなわち、平行に配置された2つの主ビームの間に電極板の数に対応する50〜60個程度のハンガーを備えており、各ハンガーはそれぞれ両側端部にアノード極板用吊りフックを、中央部にカソード極板用吊りフックを一対ずつ具備しており、垂直方向に延在した各フック軸は軸受を介してハンガーにそれぞれ回転自在に軸支されている。そして、各フック軸はその頂部に連結されたガイドレール駆動手段等を駆動手段であるエアシリンダ機構によって動作させることで所定の角度旋回できるように構成されている。また、各ハンガーは中央部に配置されたリンク機構によって互いに、且つ、各ハンガー間のピッチが可変とされるようにして連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−96788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電極板搬送装置のロッドの取付構造の場合、各フック軸はハンガーに設けられた貫通孔に挿通された状態でフック軸を軸に回転自在に取り付けられているため、メンテナンスやフックの交換など作業のために電極板搬送装置から取り外す場合にはフック軸の頂部に連結されているガイドレール駆動手段等の連結を解除し、貫通孔から下方側に引き抜いて取り外す必要があった。そのため、作業が面倒であり、フック軸が歪んでいるような場合には貫通孔から引く抜くことができないという問題があった。また、フック軸を貫通孔から下方側に引き抜くためにはその下方側にフック軸の長さに対応したクリアランスを確保する必要があるのでフック軸の引き抜き作業は電極板搬送装置を所定の高さ以上に保持した状態で作業を行わなければならないのに対し、ガイドレール駆動手段等はフック軸の頂部に連結されているので連結の解除作業を行うためには作業を行いやすい位置まで電極板搬送装置を下げる必要があり作業性が阻害されるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、電極板搬送装置のフックを簡便、且つ、迅速に着脱することが可能な電極板搬送装置のロッド取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、電極板を吊下支持するフックを有するロッドを電極板搬送装置のフレームへ着脱自在に取り付けるための電極板搬送装置のロッド取付構造において、前記フレームには、前記ロッドを取り付けるために当該フレームの縁部に開口部を有して穿設された収容部が形成され、前記ロッドには、前記収容部よりも大きな直径の鍔部を有すると共に前記開口部の開口幅よりも大きな直径を有し、当該ロッドに沿って移動可能な軸受部材取り付けられ、前記収容部に前記軸受部材を介在させた状態で当該軸受部材を固定部材によって固定することにより前記ロッドを前記フレームの横方向から着脱可能としたことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、ロッドの上端部側に、フレームに沿って水平移動可能に配置されたラックギアと螺合するピニオンギアを取り付けることによりロッドを軸としてフックを少なくとも90°旋回可能としたことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、前記フレームは、水平方向に張り出した上部フレームと、前記上部フレームの下方側に当該上部フレームと平行、且つ、水平方向に張り出した下部フレームを備え、前記上部フレームの縁部に第一の開口部を有して穿設された第一の収容部が形成され、前記下部フレームの縁部に第二の開口部を有して穿設された第二の収容部形成され、前記ロッドには、上部側に前記第一の収容部よりも大きな直径の第一の鍔部を有すると共に前記第一の開口部の開口幅よりも大きな直径を有する第一の軸受部材と、下部側に前記第二の収容部よりも大きな直径の第二の鍔部を有すると共に前記第二の開口部の開口幅よりも大きな直径を有して当該ロッドに沿って移動可能な第二の軸受部材取り付けられ、前記第一の収容部に前記第一の軸受部材を介在させ、さらに前記第二の収容部に前記第二の軸受部材を介在させた状態で前記第二の軸受部材を固定部材によって固定することにより前記ロッドを前記フレームの横方向から着脱可能としたことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のずれか1項に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、固定部材と軸受部材若しくは第二の軸受部材との間に弾性部材を介在させたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の電極板搬送装置のロッド取付構造において、固定部材は、セットカラーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電極板搬送装置のロッド取付構造によれば、ロッドを貫通孔ではなく、C字形状の収容部又は第一の収容部と第二の収容部に装着するようにしたのでロッドの着脱を上下方向ではなく水平方向(横方向)から行うことが可能となり、下方側にロッドの長さ分のクリアランスがなくても着脱作業を行うことができるという効果がある。また、ロッドに多少の歪みがあっても取り外しを容易に行うことができるという効果がある。
【0013】
また、本発明に係る電極板搬送装置のロッド取付構造によれば、ロッドとロッドを旋回させるための駆動手段となるラックギアとの連結をラックギアとピニオンギアのとの螺合によるものとしたのでロッドと駆動手段との連結及び取り外しを極めて簡単、且つ、迅速に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電解精製設備の概要を示す斜視図である。
図2】吊枠に取り付けられたカソード用フックFを示す正面図である。
図3】カソード用フックF及びアノード用フックFが取り付けられた吊枠を示す側面図である。
図4】アノード用フックFを吊枠に取り付けた状態を示し、(a)はアノード用フックFの水平移動前の状態を示す正面図、(b)はアノード用フックFを移動した水平状態を示す正面図である。
図5】電極板の配列状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係る電極板搬送装置のロッド取付構造を示す説明図である。
図7図6に示した軸受部材、フランジに設けた開口部の構成及び第一の軸受部材の構成を示す説明図である。
図8】(a)〜(e)はロッドRの取り外し手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[電解精製設備の構成]
初めに、図1を参照して電解精製設備の概要について説明し、その後に本発明に係る電極板搬送装置のロッド取付構造の好ましい一実施形態について説明する。図1は電解精製設備の概要を示す斜視図である。図示された電解精製設備100は、概略として、ワイヤWによって図示しない天井クレーンから吊り下げられた状態で前後左右方向に移動可能に配置されている電極板搬送装置10と、希硫酸等の電解液が貯留される複数の電解槽32,32を備えた電解槽ユニット30と、電解槽32,32から引き上げられた電極板20,20を次工程へ搬送するためのコンベア40とを備えて構成されている。
【0016】
電解槽ユニット30は、全体が枠組み固定された同一容積の複数の電解槽32,32からなり、これらは複数の脚34,34によってガタつきが生じないように調整して床上に設置されている。そして、各電解槽32,32のそれぞれには複数の電極板20,20が浸漬され、これによって電解が行なわれる。電極板20,20は、アノード側電極であるアノード板Aと、カソード側電極であるカソード板Kであり、アノード板Aとカソード板Kは交互に並列支持されて電解槽32,32内に配置される。一方、各電解槽32,32の上縁面30a上には、上方に突出する左右一対の凸部材36,36が電解槽32,32の長手方向に沿って複数配置されており、この凸部材36,36は電極板搬送装置10に設けられた後述するガイドロッド14と嵌合するようになっている。
【0017】
電極板搬送装置10は、吊枠12を備え、この吊枠12の上面の4箇所に設けられた吊り部材18,18の部分でワイヤWにより水平に吊り下げられている。ワイヤWの上方には、ワイヤWを巻き上げる天井クレーン等の巻き上げ機構(図示せず)と、この巻き上げ機構を搭載したフレームが、多数並列配置された電解槽32,32の縦方向Xまたは横方向Y(図1においては横方向Yに連続する複数の電解槽32,32のみを示している。)に移動する位置制御された図示しない水平移動手段と、所望の電解槽32の上方にフレームを停止させる図示しない位置制御手段とを備えている。
【0018】
そして、電極板搬送装置10は、電解槽32,32の所定位置の上方と電解が終了したカソード板Kとを図示しない剥ぎ取り装置へ搬送して排出するコンベア40の上方との間を水平移動すると共に、Z方向に昇降して電解槽32,32の所定位置又は図1に示すコンベア40の所定位置に多数のカソード板Kをレール41,41にまとめて装入又は吊り下げ可能とされている。
【0019】
吊枠12の長手方向の両端部近傍には、左右一対となるガイドロッド14,14がそれぞれ一対のスライド軸受16,16により上下方向にスライド自在に取付けられている。ガイドロッド14,14の下端面には、円錐形状の凹部が形成されており、電解槽32,32の上縁面30aに上方に向って突設された凸部材36,36と嵌合し簡単且つ精密に位置合わせできるようになっている。
【0020】
図2はカソード用フックFが取り付けられた吊枠を示す正面図、図3はカソード用フックF及びアノード用フックFが取り付けられた吊枠を示す側面図である。図2及び図3に示すように、吊枠12の上部には巻上げ装置42が設置されている。巻上げ装置42は、同軸上に3個設けられた第1チェーンホイール44,44の両端の2個を介して下方に向かう2本の第1チェーン45,45を巻上げ又は巻出しすることができるようになっている。また、第1チェーンホイール44の中央の1個を介すると共に図2の右方に示す第2チェーンホィール46を介して下方に向う第2チェーン47を巻上げ又は巻出しすることができるようになっている。
【0021】
そして、2本(図3参照)の第1チェーン45,45及び1本の第2チェーン47の下端は、図2に示すようにカソード用枠22に連結されている。即ち、カソード用枠22は、上記3本のチェーンによって水平に三点吊りされ、巻上げ装置42の駆動により上下動可能とされている。また、カソード用枠22は、図3に示すように、吊枠12に固定されて下方に延在する一対のガイド機構50,50により、両側から挟まれるようにして上下移動が案内されるようになっている。このガイド機構50,50は、カソード用枠22の側面にローラブラケット50cにより複数のガイドローラ50bを回転自在に設け、これらのガイドローラ50bがガイド部材50aの内壁を転がることにより、カソード用枠22をガイドしながら滑らかに上下移動させる機構であり、図2に示されるように、吊枠12の長手方向に2箇所設けられている。
【0022】
そして、吊枠12の下部には、カソード板Kを吊すためのカソード用フックF,Fが一定の間隔を有して長手方向に沿って多数のロッドRの先端に軸垂直に回転可能に配置されている。また、ガイド部材50aの下方側にはアノード板Aを吊すためのアノード用フックF,Fが一定の間隔を有して長手方向に沿って多数のロッドRの先端に軸垂直に回転可能に配設されている。
【0023】
さらに、吊枠12の下方には、図4(a)に示すように、アノード用枠52が複数のブラケット54によって連結固定されている。そして、ブラケット54、アノード用枠52及びアノード用フックFは、カソード用枠22の両側に対となって設けられている。また、アノード用フックF,Fの先端にはJ字形に曲げ加工された吊り部23が形成されており、この吊り部23によってアノード電極の耳部Aa,Aa(図5参照)を掛止する。また、図4(a)に示すように、ブラケット54は水平移動する移動部材56に吊下されており、この移動部材56は吊枠12に取り付けられたシリンダ58を駆動源として図4(b)に示すようにブラケット54上部のローラ59,59を介して水平方向へ1ストローク分(隣接するアノード用フックF,Fとの距離分)を移動できるようになっている。このようにアノード用フックFにスライド機構を設けることにより天井クレーンによる操作が不要になるので、アノード板の装入及び引上時にアノード用フックF,Fの位置を容易に微調整することが可能になる。
【0024】
次に、図5を参照して電極板20の構成を説明する、電極板20には、図5に示すように、カソード板K及びアノード板Aがあり、カソード板Kは、略方形平板状のカソード電極であり、電解槽32の上縁に掛止する導体バーKaを上部に有している。そして、この導体バーKaの下部の2箇所に一対のカソード用フックF,Fを挿入して掛止するための方形状の窓部Kbが形成されている。一方、アノード板Aは、略方形平板状のアノード電極であり、その上部には左右一対に突出する本体部分の厚みよりやや薄い耳部Aa,Aaが形成されている。この耳部Aa,Aaは、電解槽32の上縁に掛止されると共に一対のアノード用フックF,Fに掛止されるようになっている。これら一対の耳部Aa,Aaの間には凹状に窪んだ凹部Abが形成されている。そして、カソード板K及びアノード板Aは、一定間隔を隔てて交互に且つ多層状に配列された状態で多数のカソード用フックF又はアノード用フックFによってそれぞれ吊下げられた状態で搬送される。
【0025】
[電極板搬送装置のロッド取付構造の構成]
次に、本発明に係る電極板搬送装置のロッド取付構造について説明する。図6は電極板搬送装置のロッド取付構造の一実施形態を示す説明図である。ここではカソード用フックFを備えたロッドRを着脱可能にフレーム25に取り付ける場合を例としているが、アノード用フックFを備えたロッドRの取り付け構造についても同様に構成することができる。尚、ロッドR,Rは電解槽32に装入する電極板20(K,A)の数に即してそれぞれ用意されるが、図6では2つのロッドRのみを示している。カソード用フックF,Fを備えた各ロッドR,Rは、上述のカソード枠22を構成するフレーム25に長手方向に沿って配置される。フレーム25は、H型鋼を横置きにしてフランジが上下に位置するようにしたような形状を有しており、横置きしたH型鋼の上側のフランジに相当する上部フレーム25a及び下側のフランジに相当する下部フレーム25bと、これら上部フレーム25a及び下部フレーム25bを中央部で縦方向に連結するH型鋼のウェブに相当する本体25cを備えて形成されている。そして、図7(b)に示すように、上部フレーム25aの縁部にはロッドR,Rを取り付けるための第一の開口部25eを備えた平面視略C字形状の第一の収容部25dが一定間隔で複数連設されており、また、下部フレーム25bの縁部にも同様にロッドR,Rを取り付けるための第二の開口部25fを備えた平面視略C字形状の第二の収容部25gが一定間隔で複数連設されている。尚、第一の収容部25dの中心と第二の収容部25fの中心は鉛直方向に沿って一致するように配置されている。
【0026】
第一の収容部25d及び第二の収容部25gにはロッドRが取り出せる幅、即ち、ロッドRの直径Dよりやや大きいサイズの開口幅Lを有する第一の開口部25e及び第二の開口部25fがそれぞれ形成されており、第一の収容部25d及び第二の収容部25gの平面視は略C字形状となっている。そして、第一の開口部25e及び第二の開口部25fを介してロッドRを第一の収容部25d及び第二の収容部25g内へ挿入すると共に、図6における手前側へ引き抜いて取り外すことが可能となっている。
【0027】
一方、ロッドR,Rの上端にはピニオンギア24,24が取付部材60,60によって取り付けられている。取付部材60,60は、例えば、株式会社椿本チエイン社製の「パワーロック」を用いることができる。「パワーロック」はロッドRをピニオンギア24の回転中心に挿入した状態で締付ボルトを締め付けることによって、キーを用いずにピニオンギア24をロッドRに固定することができる。一方、フレーム25には、ピニオンギア24,24に螺合するラックギア26が図示しないシリンダを駆動源としてフレーム25の長手方向(水平方向)に往復移動可能に配設されている。シリンダによってラックギア26を往復移動させることによって第一の収容部25d及び第二の収容部25gに取り付けられた各ロッドR,Rが各ピニオンギア24,24を介して一斉に同じ姿勢及び角度で回動する。
【0028】
ロッドR,Rには第一の収容部25dよりも大きな直径の第一の鍔部28aを有すると共に第一の開口部25eの開口幅Lよりも大きな直径を有する第一の軸受部材28と、第二の収容部25fよりも大きな直径の第二の鍔部61aを有すると共に第二の開口部25gの開口幅Lよりも大きな直径を有する第二の軸受部材61が取り付けられており、第二の軸受部材61はロッドRに沿って自由に移動可能とされている。第一の軸受部材28及び第二の軸受部61材はロッドR,Rをフレーム25に回動可能に支持するための軸受けであり、例えば、オイルレスブッシュを用いることがでる。オイレスブッシュには種々の形状のものがあるが本実施形態では、図7(c)に示す様に、鍔28a(61a)を備えた片翼糸巻形のものを用いている。そして、第一の収容部25dに配置される第一の軸受部材28は第一の鍔部28aが上部フレーム25a上面よりも上側に位置するようにして配置され、第二の収容部25gに配置される第二の軸受部材61は第二の鍔部61aが下部フレーム25bの下面よりも下側に位置するようにして配置される。また、ピニオンギア24と上部フレーム25aとの間には、糸巻形の保持部材27が介在しており、ピニオンギア24が定位置から下がるのを防止している。
【0029】
第二の収容部25fに配置される第二の軸受部材61の下側には、コイルバネによる弾性部材62が配置され、さらにその下側には弾性部材62を介して第二の軸受部材61を固定する固定部材63が外嵌されている。固定部材63は、例えば、セットカラーを用いることができる。すなわち、図7(a)に示すように、固定部材63は、スリット63bが設けられて略C字形状に形成された本体63aを備え、この切欠を貫通するようにして螺着されるネジ63cによって締め付けることによりロッドRに固定されるようになっている。そして、第二の軸受部材61と固定部材63の間に弾性部材62を介在させた状態で第二の軸受部材61を下部フレーム25bの下面に押圧するようにしてロッドRに固定することにより、万一ロッドRに下側から負荷がかかった場合に弾性部材62によってその負荷を吸収させることで安全かつ確実にロッドRを保持することができるようになっている。尚、保持部材27、第一の軸受部材28、第一の軸受部材29、第二の軸受部材61、弾性部材62及び固定部材63は、ピニオンギア24をロッドRに取り付ける前にロッドRに予め装着しておく。
【0030】
[ロッドRの着脱]
次に、ロッドRの着脱の手順について説明する。初めに、ロッドRをフレーム25から取り外す手順について説明する。図8はロッドRの取り外し手順を示す説明図でり、図8(a)〜(d)はフレーム25に取り付けられたロッドRを正面側から見た状態を示しており、図8(e)は側面から見た状態を示している。図8(a)に示すように、フレーム25にロッドRが取り付けられた状態において、固定部材63であるセットカラーの締結ネジ63aを緩め、図8(b)に示すように固定部材63を下方へ下げる。固定部材63が下方に下がることで、図8(c)に示すように、弾性部材62及び第二の軸受部材61がフリーの状態となるので弾性部材62と共に第二の軸受部材61を下方に下げて第二の軸受部材61を収容部25fから抜き出す。第一の軸受部材28の鍔部28aは上部フレーム25aの上面に当接した状態となっているが弾性部材62及び第二の軸受部材61が下方に下がったことで第一の軸受部材28と第二の軸受部材61との間隔が相対的に長くなった状態となる。そして、この状態を維持したままロッドRを上方へ持ち上げると、図8(d)に示すように、第一の軸受部材28が第一の収容部25dから抜き出される。第一の収容部25dの第一の開口部25eと第二の収容部25fの第二の開口部25gの開口幅LはロッドRの直径Dよりも大きく形成されているので、図8(d)に示す状態のまま、図8(e)に示すようにしてロッドRを手前(図8(e)における左側方向)へ引き抜くことによりロッドRを第一の開口部25e及び第二の開口部25gから横方向に取り外すことができる。このようにしてロッドRをフレーム25から取り外すことができる。
【0031】
[ロッドRの取り付け]
次に、ロッドRをフレーム25に取り付ける手順について説明する。具体的には、上述したロッドRをフレーム25から取り外す手順とは逆の手順となる。尚、ロッドRには、ピニオンギア24、保持部材27、第一の軸受部材28、第二の軸受部材61、弾性部材62及び固定部材63が予め取り付けられた状態とする。まず、固定部材63のネジ63aを緩め、図8(d)に示すように、ロッドRを取り付けるべき所定のフレーム25の第一の収容部25d及び第二の収容部25fに正対させ、図8(e)に示すように、第二の軸受部材61及び弾性部材62を下方に下げた状態とする。そして、ロッドRの本体部分を水平方向(横方向)から第一の開口部25e及び第二の開口部25gを介してロッドRを第一の収容部25d及び第二の収容部25fに配置する。このとき、第一の軸受部材28の第一の鍔部28aは上部フレーム25aの上面よりも上方に位置し、第二の軸受部材61の第二の鍔部61aは下部フレーム25bの下面よりも下方に位置するようにして配置する。
【0032】
そして、必要があればロッドRの上端の保持部材27の取り付け位置を調整してラックギア25に対するピニオンギア24の高さ位置を調整した後、第二の軸受部材61及び弾性部材62を上方に移動させて第二の軸受部材61の鍔部61aを下部フレーム25bの下面に当接させる。そして、固定部材63によって弾性部材62押圧するようにして第二の軸受部材61を第二の収容部25f内に位置させた状態でネジ63aにて固定部材63をロッドRに固定する。第一の軸受部材28及び第二の軸受部材61の直径はそれぞれ第一の開口部25e及び第二の開口部25gの開口幅Lよりも大きく形成されているので第一の軸受部材28及び第二の軸受部材61がフレーム25から抜け出ることはない。以上によりロッドRのフレーム25への取り付けが完了する。
【0033】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る電極板搬送装置のロッド取付構造によれば、ロッドRを貫通孔ではなく、第一の開口部25eを備えた略C字形状の第一の収容部25d及び第二の開口部25gを備えた略C字形状の第二の収容部25fに装着するようにしたのでロッドRの着脱を上下方向ではなく水平方向(横方向)から行うことができる。そのため、下方側にロッドRの長さ分のクリアランスがない場合であってもロッドRの着脱作業を行うことができるという効果がある。また、ロッドRに多少の歪みがあっても取り外しを容易に行うことができるという効果がある。
【0034】
また、本実施形態に係る電極板搬送装置のロッド取付構造によれば、ロッドRと、ロッドRを旋回させるための駆動手段となるラックギア26との連結をラックギア26とピニオンギア24との螺合によるものとしたのでロッドRと駆動手段との連結及び取り外しを極めて簡単、且つ、迅速に行うことができるという効果がある。
【0035】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。上記実施形態では、フレーム25は上部フレーム25a及び下部フレーム25bの2段形状とされているが、フレームは1段であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 電極板搬送装置
12 吊枠
20 電極板
23 吊り部
24 ピニオンギア
25 フレーム
25a 上部フレーム
25b 下部フレーム
25c 本体
25d 第一の収容部
25e 第一の開口部
25f 第二の収容部
25g 第二の開口部
26 ラックギア
27 保持部材
28 第一の軸受部材
28a 第一の鍔部
30a 上縁面
30 電解槽ユニット
60 取付部材
61 第二の軸受部材
61a 第二の鍔部
62 弾性部材
63 固定部材
100 電解精製設備
A アノード板
カソード用フック
アノード用フック
K カソード板
R ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8