(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095607
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】体液吸引チューブ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61M1/00 161
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-98790(P2014-98790)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-213661(P2015-213661A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】502131442
【氏名又は名称】徳器技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】徳永 修一
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−103492(JP,A)
【文献】
特開2011−062300(JP,A)
【文献】
特表2009−506817(JP,A)
【文献】
特開2004−215787(JP,A)
【文献】
特開2010−042159(JP,A)
【文献】
特公昭39−026338(JP,B1)
【文献】
実開昭51−002770(JP,U)
【文献】
特開2001−046327(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3004466(JP,U)
【文献】
特開2007−260080(JP,A)
【文献】
特開2002−000737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61C 17/06 − 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部が吸引ポンプに接続されて先端部から体液を吸引するために用いられる体液吸引チューブにおいて、
内管と外管とで二重管を形成し、内管の内側に形成される内側流路を吸引ポンプに連通する体液吸引流路とし、外管の基端部に内外に連通する貫通孔を形成して、内管の外側と外管との間に形成される外側流路を基端部側で大気開放させた開放流路としたことを特徴とする体液吸引チューブ。
【請求項2】
基端部が吸引ポンプに接続されて先端部から体液を吸引するために用いられる体液吸引チューブにおいて、
内管と外管とで二重管を形成し、内管の外側と外管との間に形成される外側流路を吸引ポンプに連通する体液吸引流路とし、外管の基端部に内側に連通する貫通孔を形成するとともにその貫通孔に内管の基端部を内側から外側に向けて挿通させて、内管の内側に形成される内側流路を基端部側で大気開放させた開放流路としたことを特徴とする体液吸引チューブ。
【請求項3】
前記内管の先端部に螺旋形状のスリットを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体液吸引チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基端部が吸引ポンプに接続されて先端部から体液を吸引するために用いられる体液吸引チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者の痰や唾液などの体液を吸引除去するために、吸引ポンプに接続した体液吸引チューブで体液を吸引するように構成した体液吸引装置が医療用途で広く利用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の体液吸引装置で用いられる体液吸引チューブは、基端部を吸引ポンプに接続する一方、先端部を患者の体内に挿入して使用される。
そして、体液吸引チューブは、吸引ポンプの吸引力によって先端部から体液を吸引するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−307185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の体液吸引チューブでは、先端部から体液を吸引する際に、先端部の吸引口が患者の身体(気管壁等)の近傍に位置しており、吸引ポンプによって強制的に吸引が行われる状態となっている。
【0006】
そのため、上記従来の体液吸引チューブでは、吸引ポンプの吸引力によって誤って吸引口から患者の身体を吸引してしまい、体液を円滑に吸引することができないばかりか、患者に苦痛を与えてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、基端部が吸引ポンプに接続されて先端部から体液を吸引するために用いられる体液吸引チューブにおいて、内管と外管とで二重管を形成し、
内管の内側に形成される内側流路を吸引ポンプに連通する体液吸引流路とし、
外管の基端部に内外に連通する貫通孔を形成して、内管の外側と外管との間に形成される外側流路を基端部側で大気開放させた開放流路とすることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、
基端部が吸引ポンプに接続されて先端部から体液を吸引するために用いられる体液吸引チューブにおいて、内管と外管とで二重管を形成し、内管の外側と外管との間に形成される外側流路を吸引ポンプに連通する体液吸引流路とし、外管の基端部に内側に連通する貫通孔を形成するとともにその貫通孔に内管の基端部を内側から外側に向けて挿通させて、内管の内側に形成される内側流路を基端部側で大気開放させた開放流路とすることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記内管の先端部に螺旋形状のスリットを形成することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、基端部が吸引ポンプに接続されて先端部から体液を吸引するために用いられる体液吸引チューブにおいて、内管と外管とで二重管を形成し、内管の内側に形成される内側流路又は内管の外側と外管との間に形成される外側流路のいずれか一方の流路を吸引ポンプに連通する体液吸引流路とし、他方の流路を基端部側で大気開放させた開放流路とすることにしているために、先端部から誤って患者の身体を吸引してしまうのを防止することができ、患者に苦痛を与えることなく体液を円滑に吸引することができる。
【0012】
特に、内管及び外管の先端部分を円形状に丸めて円形先端部を形成し、円形先端部の内側に体液吸引流路の体液吸引口を形成した場合には、円形先端部によって先端部から誤って患者の身体を吸引してしまうのをより確実に防止することができる。
【0013】
また、内管の先端部に螺旋形状のスリットを形成した場合には、二重管に形成した体液吸引チューブの先端部を円滑に湾曲させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】第3の体液吸引チューブを示す断面説明図(a)、第4の体液吸引チューブを示す断面説明図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る体液吸引チューブの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、第1の体液吸引チューブ1は、円筒状の内管2と円筒状の外管3とで二重管を形成し、内管2及び外管3の先端部を開口する一方、内管2及び外管3の基端部に接続具4の先端部を着脱自在に取付けている。接続具4は、基端部の吸引口5に吸引ポンプ6が接続される。この接続具4は、吸引口5に内管2の基端部だけが連通連結されている。なお、内管2の先端部の開口を外管3の先端部の開口よりも基端部側に位置させて、内管2の開口と外管3の開口との間に連通路を形成している。
【0017】
この第1の体液吸引チューブ1では、外管3の基端部に内外に連通する貫通孔7を形成している。
【0018】
これにより、第1の体液吸引チューブ1は、内管2の内側に形成される内側流路8を接続具4を介して吸引ポンプ6に連通させている。また、第1の体液吸引チューブ1は、内管2の外側と外管3の内側との間に形成される外側流路9を外管3の基端部側に形成した貫通孔7を介して大気開放させている。そのため、第1の体液吸引チューブ1では、内側流路8が体液を吸引するための体液吸引流路として機能する一方、外側流路9が大気開放された開放流路として機能する。
【0019】
この第1の体液吸引チューブ1は、使用時に内管2の先端部の開口が体液吸引口10として機能し、体液吸引口10から吸引された体液が内側流路8を通って吸引ポンプ6に吸引されるようになっている。
【0020】
そして、使用時に誤って使用者(患者)の身体(気管壁等)が体液吸引口10から吸引されて、外管3の先端部の開口が閉塞されても、外側流路9が大気開放されていることによって、体液吸引口10での吸引圧が軽減される。これにより、第1の体液吸引チューブ1では、先端部から誤って患者の身体を吸引してしまうのを防止することができ、患者に苦痛を与えることなく体液を円滑に吸引することができる。
【0021】
図2に示すように、第2の体液吸引チューブ11は、円筒状の内管12と円筒状の外管13とで二重管を形成し、内管12及び外管13の先端部を開口する一方、外管13の基端部に接続具14の先端部を着脱自在に取付けている。接続具14は、基端部の吸引口15に吸引ポンプ16が接続される。この接続具14は、吸引口15に外管13の基端部だけが連通連結されている。なお、内管12の先端部の開口を外管13の先端部の開口よりも基端部側に位置させて、内管12の開口と外管13の開口との間に連通路を形成している。
【0022】
この第2の体液吸引チューブ11では、外管13の基端部に内側に連通する貫通孔17を形成し、その貫通孔17に内管12の基端部を内側から外側に向けて挿通させている。
【0023】
これにより、第2の体液吸引チューブ11は、内管12の内側に形成される内側流路18を内管12の基端部側において大気開放させている。また、第2の体液吸引チューブ11は、内管12と外管13との間に形成される外側流路19を接続具14を介して吸引ポンプ16に連通させている。そのため、第2の体液吸引チューブ11では、内側流路18が大気開放された開放流路として機能する一方、外側流路19が体液を吸引するための体液吸引流路として機能する。
【0024】
この第2の体液吸引チューブ11は、使用時に外管13の先端部の開口が体液吸引口20として機能し、体液吸引口20から吸引された体液が外側流路19を通って吸引ポンプ16に吸引されるようになっている。
【0025】
そして、使用時に誤って使用者(患者)の身体(気管壁等)が体液吸引口20から吸引されて、外管13の先端部の開口が閉塞されても、内側流路18が大気開放されていることによって、体液吸引口20での吸引圧が軽減される。これにより、第2の体液吸引チューブ11では、先端部から誤って患者の身体を吸引してしまうのを防止することができ、患者に苦痛を与えることなく体液を円滑に吸引することができる。
【0026】
上記第1及び第2の体液吸引チューブ1,11において、
図3及び
図4に示すように、少なくとも先端部に螺旋状のスリット21を形成した内管2',12'を用いることもできる。
【0027】
このように、内管2',12'に螺旋状のスリット21を形成することで、外管3,13よりも細い径の内管2',12'を円滑に湾曲させることができ、第1又は第2の体液吸引チューブ1,11を使用状態(使用者の体型等)に応じて自由に屈曲させて使用することができて使い勝手を向上させることができる。
【0028】
また、
図4に示す第3及び第4の体液吸引チューブ22,23のように、内管2',12'及び外管3,13の先端部分を強制的に円形状に丸めて円形先端部24,25を形成し、円形先端部24,25の内側(丸められた外管3,13で囲まれた領域の内側)に体液吸引口10,20を形成してもよい。なお、外管3,13は、単に曲げ癖を付けた状態でもよく、或いは、丸めた状態で外管3,13の外周部の外側と内周部の内側とを接着させた状態でもよい。また、外管3,13の先端部にも体液を吸引する貫通孔を形成してもよい。この
図4に示す第3及び第4の体液吸引チューブ22,23では、第1及び第2の体液吸引チューブ1,11と同様の構成となる部分には同一の符号を付している。
【0029】
このように、円形先端部24,25の内側に体液吸引流路の体液吸引口10,20を形成することで、円形先端部24,25によって先端部から誤って患者の身体を吸引してしまうのをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0030】
1,11,22,23 体液吸引チューブ 2,2',12,12' 内管
3,13 外管 4,14 接続具
5,15 吸引口 6,16 吸引ポンプ
7,17 貫通孔 8,18 内側流路
9,19 外側流路 10,20 体液吸引口
21 スリット 24,25 円形先端部