(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の回転刃物は互いに対向する側とは反対の側が凸の切頭円錐部になっており、前記第2の回転刃物は前記切頭円錐部の外周面の傾斜度と同じ傾斜度をもって傾斜して前記搬送方向で見てハの字形の対称配置である請求項1から3の何れか一項に記載の魚処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されている魚処理装置は、背部切り開き工具と腹部切り開き工具とによって魚の背部と腹部とを同時に開き、その後に切り離しナイフによって背骨の側面から切り身を分離することにより、「三枚下ろし」するため、「三枚下ろし」専用機になり、「二枚下ろし」を行うことはできない。
【0006】
特許文献2に示されている魚処理装置は、上側の切り落とし丸刃に対する魚の進入高さを調整することにより、切り落とし丸刃によって魚の背部まで切り込みを入れることにより、「三枚下ろし」を行うことができるが、無駄がない綺麗な「三枚下ろし」を行うことは難しい。特に、切り落とし丸刃が魚の搬送方向で見てハの字形の左右対称配置であると、背びれが片側の切り身(フィレ)に付くなど、綺麗な「三枚下ろし」を行うことは難しい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、魚処理装置において、「二枚下ろし」も「三枚下ろし」も、無駄なく綺麗に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による魚処理装置は、魚体を魚体の頭尾方向に沿って搬送する搬送部(10)と、前記搬送部(10)による魚体の搬送路(A)を挟んで搬送方向で見て左右対称に互いに対向して配置され、対向間隔を変更可能且つ上下方向に移動可能な2枚の第1の回転刃物(68)と、前記第1の回転刃物(68)より前記魚体の搬送方向進み側に偏倚し、且つ前記第1の回転刃物(68)より上方に偏倚した位置に前記搬送路(A)を挟んで搬送方向で見て左右対称に配置され、前記第1の回転刃物(68)が最降下位置にあっても左右方向から見て一部が前記第1の回転刃物(68)の外側に間隔をおいてオーバラップする2枚の第2の回転刃物(72)と、前記第2の回転刃物(72)より更に前記魚体の搬送方向進み側に偏倚し、且つ前記第2の回転刃物(72)より上方に偏倚した位置に前記搬送路(A)を挟んで搬送方向で見て左右対称に、且つ左右方向に間隔をおいて配置された2枚の第3の回転刃物(86)と、前記第1の回転刃物(68)と前記第2の回転刃物(72)と前記第3の回転刃物(86)とを各々個別に回転駆動する回転駆動装置(78、82、88)と、前記第1の回転刃物(68)による切り込み処理位置に進入する魚体の左右方向の幅を逐次感知する魚体幅感知部(96)と、前記魚体幅感知部(96)によって感知された魚体の幅の増大に応じて前記第1の回転刃物の対向間隔を増加させると共に前記第1の回転刃物を降下移動させる位置変更機構部(106、108、112)とを有する。
【0009】
この構成によれば、第1の回転刃物(68)と第2の回転刃物(72)によって有効刃渡りが可変の複合切り丸刃が構成され、複合切り丸刃によって魚体の大きさに応じた適切な腹開きが行われ、背切りの第3の回転刃物(86)が選択的に使用されることによって「二枚下ろし」と「三枚下ろし」とを選択的に行うことができる。
【0010】
本発明による魚処理装置は、好ましくは、第3の回転刃物(86)は、互いに平行に配置、あるいは前記搬送方向で見て上下反転のハの字形の対称配置であってよい。平行配置は小〜中形の魚体の「三枚下ろし」に適し、上下反転のハの字形の対称配置は中〜大形の魚体の「三枚下ろし」に適する。
【0011】
本発明による魚処理装置は、好ましくは、前記第3の回転刃物(86)は上下方向に移動可能である。
【0012】
この構成によれば、第3の回転刃物(86)を通常の作業位置より上方の退避位置に位置させることができ、より確実な「二枚下ろし」を行うことができる。
【0013】
本発明による魚処理装置は、好ましくは、前記第1の回転刃物(68)は互いに対向する側とは反対の側が凸の切頭円錐部(70)になっており、前記第2の回転刃物(72)は前記切頭円錐部(70)の外周面の傾斜度と同じ傾斜度をもって傾斜して前記搬送方向で見てハの字形の対称配置である。
【0014】
この構成によれば、第1の回転刃物(68)と第2の回転刃物(72)による腹開きが良好に行われる。
【0015】
本発明による魚処理装置は、好ましい一つの実施形態として、前記搬送部(A)による魚体の搬送路は略水平な搬送路であり、前記搬送部(A)は、魚体を左右両側から挟んで搬送する左右一対の無端ベルトコンベア(10)を有しており、前記搬送路(A)の上側には魚体の背側と係合して魚体搬送を案内する樋状の上部案内部(44)が配置され、前記搬送路(A)の下側には魚体の腹側と係合して魚体搬送を案内する樋状の下部案内部(50)が配置されている。
【0016】
この構成によれば、左右一対の無端ベルトコンベア(10)と上部案内部(44)と下部案内部(50)によって処理対象の魚体を、第1の回転刃物(68)による切り込み処理位置に確実に送り込むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による魚処理装置によれば、第1の回転刃物と第2の回転刃物によって有効刃渡りが可変の複合切り丸刃が構成され、複合切り丸刃によって魚体の大きさに応じた適切な腹開きが行われ、背切りの第3の回転刃物が選択的に使用されることによって「二枚下ろし」と「三枚下ろし」とが選択的に行われる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明による魚処理装置の一つの実施形態を、
図1〜
図7を参照して説明する。なお、以下の説明において、X方向は魚体の搬送方向であり、Y方向は搬送方向進み側を正面に見た左右方向である。
【0020】
魚処理装置は、処理対象の魚体を搬送するため搬送部として、
図4に示されているように、左右一対の水平配置の無端ベルトコンベア10を有する。無端ベルトコンベア10は、入口プーリ12と、出口プーリ14と、入口プーリ12と出口プーリ14とに架け渡された可撓性材製の帯状の無端ベルト16と、無端ベルト16の途中経路を設定する複数個のアイドルガイドローラ18、20、22とを有する。
【0021】
左右の出口プーリ14の中心軸24は、垂直配置であって、各々、図示されていない機枠に固定された軸受部材26によって垂直軸線周りに回転可能に支持され、ベベル歯車28、30によってコンベア駆動電動機32の出力軸34とトルク伝達関係で連結され、コンベア駆動電動機32によって回転駆動される。
図4で見て、左側の出口プーリ14は反時計廻り方向に駆動され、右側の出口プーリ14は時計廻り方向に駆動される。
【0022】
これにより、左右の無端ベルト16は、アイドルガイドローラ18と20との間に存在する平行区間に略水平な魚体搬送路Aを構成し、魚体を左右両側から挟んで、魚体を魚体の頭尾方向に沿って矢印X方向(魚体搬送方向X)に搬送する。
【0023】
左右の入口プーリ12の中心軸36は、各々、垂直配置であって、旋回アーム38の一端部に垂直軸線周りに回転可能に取り付けられている。左右の旋回アーム38の他端部には垂直配置の歯車軸40の下端部が固定されている。左右の歯車軸40は、各々、機枠(図示省略)に固定された軸受部材41によって垂直軸線周りに回転可能に支持されている。左右の歯車軸40の上端部には、互い噛合する扇形歯車42が固定されている。これにより、左右の歯車軸40および旋回アーム38は、互いに相反する回転方向に同一回転角をもって同期回転し、左右の中心軸36の軸間距離が増減する。この軸間距離の増減によって左右の入口プーリ12の左右方向間隔により決まる左右の無端ベルト16の入口幅(左右幅)が可変設定される。
【0024】
左右の歯車軸40は、左右の扇形歯車42間に取り付けられた引張ばね43によって互いに近付く方向に付勢されている。これにより、左右の入口プーリ12は、入口幅が小さくなる側にばね付勢される。この入口幅は、左右の無端ベルト16間に進入する魚体の横幅、つまり、魚体搬送路Aを左右水平に直交する方向(Y方向)の魚体幅に応じて受動的に引張ばね43のばね力に抗して押し拡げられる。
【0025】
図3に示されているように、前述の魚体搬送路Aを含む無端ベルト16の上方には、魚体の背側と係合して無端ベルトコンベア10による魚体搬送を案内する下方開口の樋状の上部案内部材44が配置されている。上部案内部材44は、先端側(出口プーリ14側)を調節ねじ機構部46によって機枠(図示省略)よりの支持部である枢点の上下高さ位置を変更可能に略上下方向に回動可能に機枠(図示省略)より支持され、手前側(入口プーリ12側)を引張ばね48によって下方へストッパ49による制限付きでばね付勢されている。
【0026】
前述の魚体搬送路Aを含む無端ベルト16の下方には、換言すると、上部案内部材44の真下位置には、魚体の腹側と係合して無端ベルトコンベア10による魚体搬送を案内する上方開口の樋状の下部案内部材50が配置されている。下部案内部材50は、入口プーリ12の側(入口側)から見て上り勾配の傾斜配置で、リンク部材52、54による不等長リンク機構によって傾斜角を変更しながら上下方向に変位しつつ前後方向に変位する可動支持になっている。下部案内部材50は、引張ばね56によって上部案内部材44の側へばね付勢されており、引張ばね56のばね力に抗して降下変位しつつ後退変位(入口プーリ12側への変位)する。
【0027】
図1に示されているように、無端ベルトコンベア10の搬送出口側の上方には機枠(図示省略)に固定された軸受部材62によって刃物支持軸60が回転可能に設けられている。刃物支持軸60は、魚体搬送路Aを左右方向(Y方向)に水平に横切って延在し、左右2個の刃物支持アーム64の一端部を、各々、不図示の滑りキー等によって、回転運動伝達関係で、個別に軸線方向(Y方向)に移動可能に支持している。
【0028】
左右の刃物支持アーム64の互いに対向する側部のアーム長手方向中間部には、各々、マウント部材76によって第1の丸刃駆動電動機78が取り付けられている。左右の第1の丸刃駆動電動機78の出力軸80は、互いに対向する側に左右方向に水平な同一軸線上に延在しており、先端部に第1の回転刃物である主骨切り丸刃68が一枚ずつ交換可能に固定装着されている。主骨切り丸刃68は第1の丸刃駆動電動機78によって回転駆動される。
【0029】
左右の主骨切り丸刃68は、無端ベルトコンベア10による魚体搬送路Aの途中にあって、刃物支持アーム64より支持された形態で、魚体搬送路Aに挟んで魚体搬送方向Xで見て左右対称に鉛直姿勢で互いに平行に対向して配置されている。左右の主骨切り丸刃68は、左右の刃物支持アーム64が刃物支持軸60の軸線方向(Y方向)に互いに相反する方向に変位することにより、対向間隔を増減変更し、且つ刃物支持軸60を中心とする刃物支持アーム64の上下方向の回動によって上下方向位置を変更する。なお、左右の主骨切り丸刃68は、左右の第1の丸刃駆動電動機78の出力軸80が同一軸線上に延在していることにより、同一の回転軸線上に同心に配置されることになる。
【0030】
左右の主骨切り丸刃68は、互いに対向する側とは反対の側の外周に切刃を付けられた片刃のものであり、無端ベルトコンベア10によって上側の回転位置、つまり、頂点側の領域に搬送されてくる魚体の腹部の横幅中央部に腹部側から各々切り込みを与える。これにより、左右の主骨切り丸刃68の対向間隔をもって魚体の中骨(背骨)の左右両側に切り込みが与えられる。
【0031】
左右の主骨切り丸刃68は、互いに対向する側とは反対の側に、凸の切頭円錐部70を一体形成されている。切頭円錐部70は、左右の主骨切り丸刃68によって中骨の左右両側に切り込みを与えられた魚体の切り込み面に当接し、魚体の腹部を左右に開く作用をする。
【0032】
主骨切り丸刃68による切り込み処理位置(主骨切り丸刃68の上側領域)より魚体の搬送方向進み側、つまり無端ベルトコンベア10の搬送出口側に少し偏倚し、且つ主骨切り丸刃68の径方向に魚体搬送路Aより離れる方向の位置には、つまり、主骨切り丸刃68の頂点領域より無端ベルトコンベア10の搬送出口側に少し偏倚し、且つ主骨切り丸刃68より上方の位置には、魚体搬送路Aを挟んで魚体搬送方向Xで見て左右対称に第2の回転刃物である左右の副骨切り丸刃72が配置されている。
【0033】
左右の副骨切り丸刃72は、各々、機枠(図示省略)に固定された第2の丸刃駆動電動機82の出力軸84の先端部に取り付けられ、第2の丸刃駆動電動機82によって回転駆動される。左右の第2の丸刃駆動電動機82の出力軸84は、上下に傾斜して左右方向に延在しており、魚体搬送方向Xで見て上下反転のハの字形の対称配置になっている。これにより、左右の副骨切り丸刃72は、魚体搬送方向Xで見てハの字形の対称配置で、出力軸84の傾斜角の設定によって切頭円錐部70の外周面の傾斜度と同じ傾斜度をもって傾斜し、切頭円錐部70の外周に一定間隔(空隙)をおいてオーバラップしている。副骨切り丸刃72の上下方向の配置位置は、
図6に示されているように、主骨切り丸刃68が最降下位置(
図7(B)参照)にあっても、左右方向から見て副骨切り丸刃72の一部が主骨切り丸刃68にオーバラップする位置である。
【0034】
左右の副骨切り丸刃72は、主骨切り丸刃68と同様に、互いに対向する側とは反対の側の外周に切刃を付けられた片刃のものであり、切頭円錐部70によって腹部を左右に開かれて無端ベルトコンベア10によって上側領域に搬送されてくる魚体に腹部側から更に切り込みを与える。
【0035】
副骨切り丸刃72による切り込み処理位置(副骨切り丸刃72の上側領域)より更に魚体の搬送方向進み側、つまり無端ベルトコンベア10の搬送出口側に少し偏倚し、且つ主骨切り丸刃68の径方向に魚体搬送路Aより離れる方向の位置には、つまり、副骨切り丸刃72の頂点領域より無端ベルトコンベア10の搬送出口側に少し偏倚し、且つ副骨切り丸刃72より上方の位置には、魚体搬送路Aを挟んで魚体搬送方向Xで見て左右対称に第3の回転刃物である左右の切り落とし丸刃86が配置されている。左右二枚の切り落とし丸刃86の配置位置は左右方向から見て下側が副骨切り丸刃72の上側にオーバラップする位置である。
【0036】
左右二枚の切り落とし丸刃86は、一つの第3の丸刃駆動電動機88の出力軸90の先端部に軸線方向(左右方向)に間隔をおいて互いに平行に取り付けられ、第3の丸刃駆動電動機88によって回転駆動される。出力軸90は左右方向に水平に延在していることにより、左右二枚の切り落とし丸刃86は、主骨切り丸刃68と同様に、鉛直な姿勢で配置されている。
【0037】
左右二枚の切り落とし丸刃86は、主骨切り丸刃68と同様に、互いに対向する側とは反対の側の外周に切刃を付けられた片刃のものであり、無端ベルトコンベア10によって下側領域に搬送されてくる魚体の背部中央に背部側から各々切り込みを与える。
【0038】
第3の丸刃駆動電動機88は電動式の送りねじ装置92によって上下方向に移動可能に機枠(図示省略)に取り付けられている。これにより、切り落とし丸刃86は、通常の切り落としを行う作業位置より上方に移動して切り落としを行わない退避位置に移動することができる。
【0039】
つぎに、主骨切り丸刃68、副骨切り丸刃72および切り落とし丸刃86と無端ベルトコンベア10と上部案内部材44と下部案内部材50との位置関係について、
図3を参照して説明する。
【0040】
左右の無端ベルト16により画定される魚体搬送路Aは、魚体搬送方向Xで見て左右の刃物支持アーム64の対向間隔位置に整合し、主骨切り丸刃68および副骨切り丸刃72の上側領域を通過する高さ位置をもって略水平に延在している。
【0041】
上部案内部材44は、魚体搬送路Aの真上位置にあって、主骨切り丸刃68および副骨切り丸刃72の上側領域を通過するように延在している。上部案内部材44と略同じ高さ位置にある。上部案内部材44と副骨切り丸刃72の頂点との上下間隔は、調節ねじ機構部46によって調節することができる。上部案内部材44は、副骨切り丸刃72の配置位置で終わっており、切り落とし丸刃86の配置位置には存在せず、切り落とし丸刃86の下側領域に魚体を送り込む。切り落とし丸刃86は、上部案内部材44の終端(先端)より魚体の搬送方向進み側にあり、下側領域に上部案内部材44より魚体を送り込まれる。
【0042】
下部案内部材50は、魚体搬送路Aの真下位置にあって、先端が主骨切り丸刃68の上下方向の中間部の外周に接近する位置にある。
【0043】
図2、
図4に示されているように、左右の無端ベルト16の内側、つまり、魚体搬送路Aを水平に直交する方向の両外側には、各々、垂直配置のローラ軸94によって左右の感知ローラ96が魚体搬送路Aを水平に直交する方向(Y方向)に変位可能に設けられている。感知ローラ96は、機械的に魚体幅感知部をなすものであり、魚体搬送路Aによる魚体搬送方向Xで見て、主骨切り丸刃68の回転中心に等しい位置か、それより少し入口プーリ12の側に偏倚した位置にあり、その位置において主骨切り丸刃68による切り込み処理位置に進入する魚体によって押し広げられる方向に変位し、その変位量をもって魚体搬送路Aに水平に直交する方向の魚体の幅を、逐次、定量的に感知する。換言すると、感知ローラ96は、魚体搬送路Aを水平に直交する方向の魚体幅(厚さ)に応じて互いに離接する方向に変位して魚体幅を定量的に感知する。
【0044】
魚体搬送路Aの上方には機枠(図示省略)に固定配置の左右の軸受部材98が設けられている。軸受部材98は垂直配置の支持軸100を回転可能に支持している。左右の支持軸100の下端部には、各々、回動アーム102の基端部が固定されている。左右の回動アーム102の先端部には,各々、ローラ軸94の上端部が固定されている。これにより、感知ローラ96は、魚体幅に応じて支持軸100を中心として回動変位することにより、弧の軌跡を描いて魚体搬送路Aを水平に直交する方向(Y方向)に変位することになる。
【0045】
左右の支持軸100の上端部には互い噛合する同期歯車87が取り付けられている。これにより、左右の感知ローラ96は、左右対称に互いに同一量をもってY方向に変位(支持軸100を中心とした回動変位)することになる。また、左右の回動アーム102には当該回動アーム102を互いに近付ける方向に付勢する引張ばね104が取り付けられている。これにより、左右の感知ローラ96は、引張ばね104のばね力によって互いに近付く方向に付勢されている。なお、左右の感知ローラ96が互いに近付く方向の移動は、ストッパ(図示省略)によって制限され、所定の間隔をおいて接近した初期位置を設定されている。
【0046】
左右のローラ軸94には、各々、カム取付部材106が固定されている。左右のカム取付部材106には、各々、傾斜カム面108を有するカム部材110が交換可能に取り付けられている。左右のカム部材110の傾斜カム面108は、魚体搬送方向Xで見て上下反転のハの字形の対称形をなす方向に傾斜している。左右の傾斜カム面108には、各々、左右の刃物支持アーム64に取り付けられたカムフォロワローラ112が当接可能になっている。
【0047】
図1に示されているように、左右の刃物支持アーム64の前側(入口プーリ12の側)には、垂直に配置された案内カム板114が固定配置されている。案内カム板114には、魚体搬送方向Xで見てハの字形の対称形をなす方向に傾斜した左右のカム溝116が形成されている。カム溝116の傾斜度は切頭円錐部70の外周面の傾斜度に等しい。左右のカム溝116には左右の刃物支持アーム64に取り付けられたカムフォロワローラ118が移動可能に嵌合している。
【0048】
左右の刃物支持アーム64は、引張ばね120のばね力によって上側(
図1で見て反時計廻り方向)に付勢されている。これにより、感知ローラ96が初期位置に位置している状態では、カムフォロワローラ118がカム溝116の上端に当接することによって左右の刃物支持アーム64の初期位置が決まる。左右の刃物支持アーム64が初期位置にある状態では、左右の主骨切り丸刃68は、
図7(A)に示されているように、対向間隔が最小で、最上昇位置に位置する。
【0049】
図1、
図2、
図5に示されているように、刃物支持軸60には回動アーム122の基端部が固定されている。回動アーム122の先端部にはブシュ124が回動可能に取り付けられている。ブシュ124にはロッド126が軸線方向に移動可能に貫通している。
【0050】
ロッド126の一端部にはリンク部材128の一端部が枢動可能に連結されている。リンク部材128の他端部は機枠(図示省略)に固定配置の軸受部材130に回転可能に支持された軸132に枢動可能に連結されている。軸132には手動操作アーム134の基端部が固定されている。刃物部分の洗浄時等には、手動操作アーム134の手操作によって刃物支持アーム64を降下方向に回動させ、主骨切り丸刃68の対向間隔を拡げることができる。
【0051】
ロッド126の他端部はねじ部136になっている。ねじ部136にはナット138がねじ係合している。ナット138とブシュ124との間には圧縮コイルばね140が取り付けられている。圧縮コイルばね140は回動アーム122を
図5で見て反時計廻り方向に付勢している。
【0052】
次に上述の構成による魚処理装置の作用について説明する。
【0053】
背側を上にして処理対象の魚体を、左右の無端ベルトコンベア10の入口部分に入れる。すると、魚体は、両腹を左右の無端ベルト16によって挟まれ、背側(背びれ)が上部案内部材44に係合し、腹側(腹ひれ)が下部案内部材50に係合し、これらに案内されて頭尾を前後にして魚体搬送路Aを矢印X方向に移動(進行)する。この搬送案内において、下部案内部材50は魚体の体高に応じて上下方向に傾斜移動すると共に、上部案内部材44の入口側も上下に変位する。これにより、体高の変化に対応して魚体搬送が的確且つ良好に行われる。
【0054】
この魚体は、先ず、第1の丸刃駆動電動機78によって回転駆動されている左右の主骨切り丸刃68の頂点領域を通過することにより、左右の主骨切り丸刃68の対向間隔をもって腹部の側から魚体の中骨の左右両側に切り込みを与えられる。そして、切り込みを与えられた魚体は、左右の主骨切り丸刃68の切頭円錐部70によって腹部を左右に開かれる。その後、回転している左右の副骨切り丸刃72によって腹部の側から中骨の左右両側に更に深く切り込みを与えられる。
【0055】
副骨切り丸刃72による切り込みは、調節ねじ機構部46による上部案内部材44と副骨切り丸刃72の頂点との上下間隔を調節することによって加減でき、この調節によって魚体の背部の手前まで切り込まれるようにすることにより、「二枚下ろし」の調理状態になる。
【0056】
この処理過程で、魚体が左右の感知ローラ96間を通過することにより、左右の感知ローラ96が、切り込み処理位置に進入しょうとする魚体の幅に応じて左右対称に互いに同一量をもってY方向に押し広げられるようにして引張ばね104のばね力に抗して変位する。これにより、左右のカム部材110も同様にY方向に移動することにより、傾斜カム面108によってカムフォロワローラ112が下方に押され、左右の刃物支持アーム64が刃物支持軸60を回転中心として、降下方向に同一回転角をもって回動する。
【0057】
この降下移動に伴い左右の刃物支持アーム64のカムフォロワローラ118が、各々、引張ばね120および圧縮コイルばね140のばね力に抗して案内カム板114の左右の傾斜したカム溝116に沿って降下移動することにより、左右の刃物支持アーム64は、
図7(A)、(B)に示されているように、降下方向に回動しつつ互い離れる方向に移動する。
【0058】
この左右の刃物支持アーム64の移動により、左右の主骨切り丸刃68は魚体の幅に比例して対向間隔を増大しつつ切頭円錐部70との左右方向の空隙を変化することなく副骨切り丸刃72より下方に離れる方向に移動する。このようにして主骨切り丸刃68と副骨切り丸刃72とは有効刃渡りが可変の腹開きの複合切り丸刃をなし、主骨切り丸刃68が副骨切り丸刃72より下方に離れることによって主骨切り丸刃68と副骨切り丸刃72による合計の切り込み深さが大きくなり、魚体幅に相関する体高に応じた適切な切り込み深さになる。
【0059】
これにより、魚体幅に相関して体高も変化する魚体の中骨取り開き処理が歩留まりよく適切に行われる。左右の主骨切り丸刃68の対向間隔は魚体の幅に相関して自動的に増減するので、2枚の主骨切り丸刃68の間隔を、処理する魚の種類、大きさに応じて前もって調節する必要がないから、多種少量の処理や、大きさが異なる魚の大量の処理も、対向間隔調整等を行うことなく効率よく行うことができる。
【0060】
魚体幅に対する左右の主骨切り丸刃68の対向間隔および降下量変化の比率は、カム部材110の傾斜カム面108の傾斜度によって決まる。この比率を変更したい場合には、傾斜カム面108の傾斜度が異なるカム部材110の交換が行われればよい。左右の主骨切り丸刃68の対向間隔と降下量との変化比率は、案内カム板114のカム溝116の傾斜角により決まり、この比率を変更したい場合には、カム溝116の傾斜度が異なる案内カム板114の交換が行われればよい。
【0061】
主骨切り丸刃68の降下は引張ばね120および圧縮コイルばね140のばね力に抗して行われるので、ナット138によって圧縮コイルばね140の予荷重を増減することにより、魚体幅に対する左右の主骨切り丸刃68の対向間隔を微調整することができる。
【0062】
上述したように、主骨切り丸刃68と副骨切り丸刃72によって腹開きの二枚下ろしの調理状態になった魚体は、引き続き、切り落とし丸刃86の下方に向けて送り込まれる。
この時、切り落とし丸刃86が作業位置にあって第3の丸刃駆動電動機88によって切り落とし丸刃86が回転駆動されていれば、切り落とし丸刃86によって魚体背部の左右2箇所に背部から切り込みが与えられる。これにより、魚体は、2枚のフィレと背びれ付きの中骨とに切り離された綺麗な「三枚下ろし」の調理状態になる。
【0063】
これに対し、切り落とし丸刃86が作業位置にあっても、切り落とし丸刃86が第3の丸刃駆動電動機88によって回転駆動されていなければ、切り落とし丸刃86は魚体の背部に当たった状態で空転し、背部に切り込みを与えることがない。この場合には、「二枚下ろし」になる。背部が柔らかい魚種の「二枚下ろし」を行う場合や、より確実に「二枚下ろし」を行いたい場合には、切り落とし丸刃86を退避位置に移動させればよい。
【0064】
このようにして、背開きの「二枚下ろし」と「三枚下ろし」とを選択的に、しかも何れも無駄なく綺麗に行うことができる。
【0065】
上述の実施形態のように、左右二枚の切り落とし丸刃86が互いに平行に配置される場合には、小〜中形の魚体の「三枚下ろし」に適している。左右二枚の切り落とし丸刃86は、
図8に示されているように、魚体搬送方向で見て上下反転のハの字形の対称配置であってよい。上下反転のハの字形の対称配置は、背部が大きい中〜大形の魚体の「三枚下ろし」に適している。
【0066】
なお、図示の都合上、副骨切り丸刃72と切り落とし丸刃86とがオーバラップしていないが、実際にはこの実施形態でも、
図6に示されているものと同様に、副骨切り丸刃72と切り落とし丸刃86とは互いにオーバラップしている。
【0067】
本発明による魚処理装置は、上述の実施形態に限られることなく、本発明の範囲内において種々の実施形態が可能である。
【0068】
たとえば、感知ローラ96の変位量を電気信号に変換し、刃物支持アーム64の移動を、変位量信号に応じて作動するサーボ制御により電気的に行うことも可能である。
【0069】
また、左右の主骨切り丸刃68は、必ずしも平行配置でなくてもよく、平面視で、前側(入口プーリ12側)が狭まったハの字形の配置、副骨切り丸刃72と同等のハの字形の配置であってもよい。副骨切り丸刃72と同等のハの字形の配置の場合、副骨切り丸刃72との干渉をさけるために、副骨切り丸刃72より鋭角のハの字形配置であればよい。
【0070】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。