(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の目的で、これらの用語の定義は以下の通りである。
【0018】
「BDD電極」は、p型ダイヤモンド材料で少なくとも部分的に覆われている電極であって、炭素原子が純粋なダイヤモンド材料にある共有結合部位のうちのいくつかにおいて、代りにボロン原子が共有結合されている、電極を意味する。BDD電極は、そのBDD電極がアノードである電気化学セルで使用される。
【0019】
「ブランクサンプル」は、反応物を含まない液体サンプルを意味する。
【0020】
「ブート水」は、石油の蒸留留分の水相から取り出された液体サンプルであって、その留分が凝縮され水相及び有機相に分離され、一般に(但し必ずしもではなく)熱交換器から下流のアキュムレータから収集される、液体サンプルを意味する。
【0021】
「比色計」は、サンプルを通過する、特定の波長での透過光の強度を測定する装置を意味する。
【0022】
「コントローラ」は、プロセッサ、メモリデバイス、デジタル記憶媒体、ブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチスクリーンあるいは他のモニタ、及び/または他のコンポーネント等のコンポーネントを有し、1つまたは複数の特定用途向け集積回路、プログラム、コンピュータ実行可能命令あるいはアルゴリズム、1つまたは複数の配線デバイス、無線デバイス及び/または1つまたは複数の機械的装置と統合して動作可能であり、フィードバックループ、フィード−フォワードループまたは予測ループを組み込むように動作可能である、手動オペレータまたは電子機器を意味し、その機能を、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット接続、マイクロ波リンク、赤外線リンク等による通信のために、ネットワークサーバ等の中央位置に置くことができ、信号伝送アルゴリズム及び信号処理アルゴリズムを容易にするために、信号コンディショナまたはシステムモニタ等の他のコンポーネントを含めることができる。
【0023】
「露点水」は、蒸気から水への初期凝縮点、または液体水の相が水蒸気及び液体炭化水素から分離し、蒸気が冷却すると液体水を形成し始める温度で、取得される液体サンプルを意味する。このサンプルを、冷却水が中を循環しているコイルによって冷却される収集器において形成することができる。露点水は、更に下流で取得される水サンプルに対して最大量のHCl及び他の酸を含む。
【0024】
「フェロジン」は、3−(2−ピリジル)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4−トリアジン、モノナトリウム塩及びチオグリコール酸アンモニウムの混合物を意味する。
【0025】
「蛍光光度計」は、蛍光を発する際のサンプルによって生成される光(サンプル内に投影される光とは異なる波長を有する)の強度を測定する装置を意味する。蛍光を、サンプル内に投影される光に対してある角度で(90°であり得る)測定することができる。
【0026】
「インタフェース」は、分析器と少なくとも1つの他の物品との間の、電気、プラズマ、光、放射線、流体、データ、情報、物体、反応物、廃棄物、サンプリングされる物質、エネルギー、熱、液体及び/またはガスが分析器と物品との間を通る際に通過する、中実、電磁、光、仮想または他の相互接続を意味する。
【0027】
「PTSA」は、ピレンテトラスルホン酸を意味する。
【0028】
「スパージング」は、液体内に気体を、複数の泡を生成する目的で導入することであって、複数の泡は、液体内を上方に移動して、液体から特定の物質をその泡と特定の物質との間の接触により除去する。
【0029】
「スイートニングする(sweeten)」とは、限定されないが硫化水素及び他の硫黄系化合物を含む、水留分に存在する特定の望ましくない組成物を除去するかまたは非反応性にすることを意味する。
【0030】
「TPPTSA」は、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン−テトラスルホン酸、テトラナトリウム水和物を意味する。
【0031】
「濁度計(Turbidity MeterまたはTurbidimeter)」は、液体内の光であって、光源ビームが液体内の粒子と相互作用する結果として光源ビームから散乱する光の強度を測定する装置を意味する。散乱光の波長は、サンプル内に投影される光の波長と同じである。
【0032】
上記定義または本明細書の他の場所で述べられる定義が、一般に使用されるか、辞書で使用されるか、または参照により本明細書に組み込まれる出典に述べられている(明示的または暗示的)意味と矛盾する場合、本明細書及び特に特許請求の範囲における用語は、一般的な定義、辞書の定義または参照により組み込まれた定義に従うのではなく、本明細書における定義または説明に従って解釈されるべきであると理解される。上記に鑑みて、用語を、辞書によって解釈される場合にのみ理解することができる場合に、その用語が、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 5th Edition, (2005)(Wiley, John & Sons, Inc.出版)によって定義されている場合、この定義が、その用語が特許請求の範囲においていかに定義されるべきかを決めるものとする。
【0033】
本発明の実施形態は、水サンプルの特性及び中身を分析する方法及び分析する装置を含む。水サンプルは、原油装置の塔頂凝縮器からであり得る。分析を使用して、化学的腐食制御システムを制御することができる。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、原油精油所において生成物供給を制御するためのシステムパラメータを測定する方法に関する。少なくとも1つの実施形態は、測定されたパラメータを利用することにより、原油精油所における腐食を低減させる方法に関する。少なくとも1つの実施形態は、それらのパラメータを検出することができる少なくとも1つのセンサと協働して動作する熱交換器に関する。パラメータは、金属濃度、塩化物濃度、pH及びそれらのあらゆる組合せからなるリストから選択された1つの項目である。本発明によって検出される金属としては、限定されないが、鉄、銅、モリブデン、ニッケル及び亜鉛が挙げられる。少なくとも1つの実施形態においては、パラメータのうちの1つまたは複数は、少なくとも1つのセンサを有する分析器によって測定される。
【0035】
様々な凝縮水留分の特性及び組成の測定は、複雑になる可能性がある。分析される留分は、通常、水、軽質炭化水素、硫化水素、ならびにより重量のある有機物、アミン、アンモニア、有機酸(酢酸等)及びシリカと凝集することができる、硫化鉄及び酸化鉄の浮遊(懸濁)物質を含む、多岐にわたる(少なくとも部分的に)水性組成物である。留分は、通常、pH、塩化物濃度及び鉄濃度が変化し、これらの値を知ることが、適切な施設運用に重要である。pHが低すぎる場合、下流機器の腐食が発生する可能性がある。過剰な塩化物は、過剰な腐食性塩酸の存在の指標である。過剰な鉄は、鋼の腐食を示し、硫化物と反応して、内部システム面に堆積するFeS粒子を形成する。特に有用なのは、凝縮領域において早期にパラメータ値を求めることにより、適切な時間で、中和アミン(pH調整のため)、被膜抑制剤(filming inhibitor)(鉄調整のため)、苛性溶液(HCI調整のため)等を戦略的に注入する等、腐食制御プログラムを適切に実施することが可能になることである。
【0036】
しかしながら、これらの測定を行うことは、留分の組成が大部分のセンサに対して有害であるために極めて困難である。従来技術のセンサでは、小径プラスチック配管、蠕動ポンプ、バルブ及び他の機械的部品において、急速にファウリングかつ/または詰まりが発生する。粒子、油及び他の有機物が、光学部品においてベースラインのドリフト及び校正誤差をもたらす。比色機器は特に、背景色、濁度干渉及び光学面のファウリングにより不正確になる可能性がある。電気化学機器及び特にイオン選択電極は、何百ppmを超える量で存在することが多い硫化物化合物によって乱される可能性がある。
【0037】
理想的には、それらのパラメータは、留分が熱交換器に入る時または入る前に、かつ/または蒸気の露点またはその前で求められる。露点で収集されるパラメータの値は、下流の腐食が最終的にどの程度までかつどの形態で発生するかの最も正確な予測を提供し、腐食制御プログラムの正確な使用を可能にし、熱交換器の耐用年数を最大限にする。
【0038】
不都合なことに、実際には、露点サンプルは通常入手不可能である。その結果、一般的に実施されているのは、代りに、留分における水が完全に凝縮したブート水に対する測定値を取得し、その測定値を使用した化学物質使用量及び腐食制御プログラムに対する必要の制御である。露点サンプルを、米国特許第4,355,072号明細書及び同第5,425,267号明細書ならびに米国特許出願第12/263904号明細書の開示に従って得ることができる。
【0039】
比色計を用いてpH、塩化物及び鉄等のパラメータを測定する従来技術による方法は、反応物に基づく。それらの方法は、所定容量のサンプルに既知の量の反応物を添加することを含む。これには複数の不都合がある。第1に、正確な量の反応物を添加するのに誤差がある場合、測定される吸光度は反応物の量によって決まるため、読取値が不正確となる。第2に、動的システムから所定容量のサンプルを取り除かなければならないため厄介である。正確な結果のために、スタート−ストッププロセスが通常使用される。このプロセスは、サンプルを取得することと、既知の容量のサンプルを容器内に計量しながら供給することとからなる。そして、既知の量の反応物が添加され混合される。はるかにより優れているシステムは、反応物の量を制御する必要なく、流動サンプル内に少量の反応物を添加することによってパラメータを測定することを含む。こうしたシステムでは、添加される反応物が流動サンプル内に分散する際、その濃度は連続的に低下する。従って、測定される吸光度はサンプルにおける反応物のこの時点で未知の量によって決まるため、従来技術による方法によって誤差が出ることになる。これを、サンプル内の反応物の容量またはサンプル内の反応物濃度に関連する値によってサンプルの量を参照することによって克服することができる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態においては、精油所プロセスの流れの液体サンプルにある量の反応物を添加し、反応物のその量に直接関連する光学特性を直接測定することによって、パラメータが直接測定され、測定されるパラメータは、液体サンプルにおける反応物の濃度の把握に依存しない。少なくとも1つの実施形態においては、測定されるパラメータは、pH、鉄(または他の金属)濃度及び塩化物濃度からなるリストから選択された1つの項目である。
【0041】
少なくとも1つの実施形態においては、pHは、比色染料の等吸収点を使用することによって直接測定される。
図1は、様々なpH値を有するサンプルにおける比色染料の同じ濃度の吸光度対波長のグラフを示す。種々のpHサンプルの各々がそのpH波長において一意の吸光度を有しているが、それらは全て、比色染料がpHに関らず一定の吸光度レベルを示す単一波長、即ち等吸収点を共有している。等吸収点における吸光度に対するそのpH波長における吸光度の比率をみることにより、得られるpH値は、反応物またはサンプルの相対的な量とは無関係である。従来技術では、pHを求めるために、サンプル容量及び最大吸光度波長を知ることに依存するアルゴリズムが使用される。
【0042】
しかしながら、本発明では、pHを求めるために単に最大吸光度を使用するのではなく、pHは、代りに、等吸収点に対する最大吸光度の比率をみることによって求められる。使用される所定の比色染料に対する等吸収点は、その濃度のみによって決まる染料の所定の特徴である。更に、その染料に対しては、様々なpH値に対して最大吸光度も既知である。その結果、サンプルに対して比色読取値が取得されると、等吸収吸光度及び最大吸光度が既知となり、読取値が所定の等吸収点を裏付ける場合、その読取値を、所定pHのグラフに対応するものとして特定することができ、サンプルに対するpHを、反応物濃度を知る必要なしに知ることができる。初期ブランクサンプル測定値により、測定された最大吸光度に干渉する濁度が高いかまたは着色されたサンプル等、従来技術の方法での測定をより困難にするサンプルに対してさえも、正確な読取値を取得することが可能になる。同様に、ブランクサンプル測定値は、光学管の蓄積したファウリングを補正する。等吸収吸光度に対する最大吸光度の比率をみることにより、光源強度の変動及び検出器応答性の変動の影響が相殺される。少なくとも1つの実施形態においては、色、濁度及び管のファウリング等、付加的な影響が、ブランク減算によって補正される。少なくとも1つの実施形態においては、光強度及び検出器感度等、比例する影響は比演算によって補正される。
【0043】
少なくとも1つの実施形態においては、光学読取は、反応したサンプルが比色計を通って流れる間に、複数の測定値に対して複数回のポンプの押し行程に対して行われる。データアレイは、等吸収点及びpH帯に対する全ての透過率データで満たされる。両LEDに対する基準フォトダイオードもまた読み取られ、それを使用して、光源発光強度におけるあらゆる変動が補正される。校正標準に対する3回の実験(run)に対する代表的なデータを
図2においてプロットにしており、そこでは、左軸は2つのチャネルに対する吸光度である。等吸収曲線は、pH染料濃度がいかにピークまで上昇し、その後、ベースラインまで戻るように低下するかを示している。全ての実験が作用は同じであるため、等吸収曲線は同じに見えるが、pH曲線はpHが高いほど上昇している。右軸は、ブランク補正されたpH及び等吸収吸光度の計算された比である。比曲線(ph/Isos)は、等吸収補正が有効である場合、理想的には平坦な線であるべきである。ピーク領域の周辺でそれらは水平であることが分かる。これらのプロットは、本出願人による比演算技法の値と正確な値がいかにしてもたらされるかを明確に示す。例えば、正確にピークではなく、所望の誤差許容範囲内で比が一定であるあらゆる場所において、読取値を取得した可能性がある。比較として、同じ範囲の読取値を使用する従来技術の方法では、pH波長のみにおける吸光度が大幅に変動するため結果として著しい誤差が発生した。
【0044】
最初の4つのベースライン点またはブランクサンプル点が平均され格納される。これらは、反応物注入箇所と光学管との間のサンプル液体が光学管を通って流れる際に存在する。サンプル液体が光学管を流れ続けるに従い、反応物と混合されるサンプルは、読取値が取得される光学管を通って流れる。全ての読取値が収集された後、アレイに対して、等吸収応答におけるピークが探索される。pH曲線における対応するピークもまた抽出される。吸光度は、ピーク透過率及び基準値がlog
10として計算され(ピーク基準/ピーク透過率)、ブランク吸光度を減算することにより管のファウリング及びサンプルの濁度に対して補正される。
【0045】
補正された等吸収吸光度に対する補正されたpHの比は、校正式に入力される。
【0046】
pH校正式は、以下の線形関数に従う。
pH=pK+pHSlope×log(Absl(Abs
11−Abs))
【0047】
Abs
11は、pH11標準に対する比であり、pH波長における最大吸光度を表す式において定数である。他の2つのpH標準比を使用することにより、pK及びpHSlopeが定数として計算される。未知のサンプルが測定される時、サンプルに対する比Absが式に代入され、pHが発見される。
図3は、典型的な検量線及びpHを計算する際に使用される式を示す。染料はpH7.5を超えると感度が低下するため、この領域には幾分かの不正確さがある。少なくとも1つの実施形態においては、補正率を使用してpH7.5を超える不正確さが補正される。
【0048】
少なくとも1つの実施形態においては、使用される比色染料はブロムクレゾールパープルである。ブロムクレゾールパープルは、pHのために488nmの等吸収点及び590nmの最大吸光度を有している。その結果、精油所プロセスの流れからサンプルが常に取得され、それに対してブロムクレゾールパープルが添加される場合、サンプル容量または反応物濃度が既知であるか否かに関らず、488nmの吸光度に対して590nmの吸光度の比率をみることにより、pHを正確に求めることができる。その結果、それを使用して、反応物の容量を最初に求めるかあるいは更には知ることなく、または反応物の容量を対照値と比較する必要なしに、正確な測定値を得ることができる。これにより、分析器を、流動サンプルにおける反応物の分散が常に正確な結果を与える、真のオンラインアプリケーションとすることができる。これは、流動サンプルの流れでは知ることができない反応物/サンプル容量比が既知であった場合にのみ正確な値を与える従来技術と比較して、著しい改良である。従って、本発明は、従来技術にて使用される非効率的なスタート−ストップ法を回避することができる。
【0049】
少なくとも1つの実施形態においては、2つの比色染料の蛍光の比を使用して直接パラメータが測定される。従来技術では、蛍光染料を使用して、染料及びサンプルの量がともに既知である場合にサンプルにおける染料の蛍光を測定することにより、サンプルの塩化物含有量及びpHが測定されてきた。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルに2種以上の蛍光染料が添加され、それらの各々は、一定の波長で明確な蛍光を示す。特定の波長における1つの染料の蛍光強度は、所望のパラメータに直接依存し、別の染料の蛍光強度は、所望のパラメータとは完全に無関係である。第2染料の蛍光強度は、サンプル混合物におけるその濃度のみによって決まる。パラメータが既知である対照サンプルにおける2つの波長の2つの染料の蛍光比を、未知のサンプルの蛍光比と比較することにより、未知のサンプルのパラメータを求めることができる。
【0050】
実施形態のうちの少なくとも1つでは、蛍光消光によって塩化物濃度を求めるために、使用される染料はルシゲニン(9,9’−ビス−N−メチルアクリジニウム硝酸塩)及びPTSAである。510nmでは、ルシゲニンの蛍光は塩化物濃度によって決まり、PTSAはそこでは蛍光がない。405nmでは、PTSAの蛍光は、塩化物濃度とは無関係であり、ルシゲニンはそこでは蛍光を発しない。対照における510nm及び405nmでの蛍光の比を測定されたサンプルと比較することにより、測定されたサンプルのパラメータを求めることができる。
【0051】
別の好適な基準染料は、670nmで蛍光を発するTPPTSAであり、その蛍光は塩化物濃度とは無関係である。670nmでのTPPTSAの蛍光に対する510nmでのルシゲニンの蛍光の比率をみることにより、染料濃度及びサンプル容量の変動が補正される。
図4は、塩化物がある場合及びない場合のTPPTSA及びルシゲニンに対するそれぞれのスペクトルを示す。
【0052】
少なくとも1つの実施形態においては、所望のパラメータの内容は、1つの染料のみを使用して蛍光消光を測定することによって直接求められる。少なくとも1つの実施形態においては、単一の蛍光染料は、蛍光が希釈によって特定の波長で減少し、特定の組成物の存在によって、例えば塩化物イオンを含む組成物の存在により蛍光が減少する、染料である。
図5に示すように、少なくとも1つの実施形態においては、この単一の染料はルシゲニンであり、433nmにおけるルシゲニンの吸光度はルシゲニンの濃度のみによって決まり、510nmにおけるルシゲニンの蛍光は、塩化物イオンの存在及びルシゲニンの濃度によって決まる。ルシゲニンの吸光度に対するルシゲニンの蛍光の比率をみることにより、サンプルにおける染料の希釈または濃度の影響が相殺される。対照値と測定されたサンプルとの間の比の変化を使用して、サンプルにおける塩化物の量を求めることができる。
【0053】
少なくとも1つの実施形態においては、比色吸光度読取値は、パラメータと添加された反応物との間に形成された複合体から取得される。所与の波長ではそれ自体が比色結果を示さない反応物が添加されるが、それが、パラメータが存在する場合に特定の着色複合体を形成する場合、その複合体の存在により、明白な吸光度読取値がもたらされる。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルにフェロジンが添加される。560nmでは、フェロジン自体は吸光度をそれほど示さない。しかしながら、鉄が存在する場合、フェロジンは鉄と複合体を形成し、560nmで吸光度を示し、それを使用して、存在する鉄の正確な量を求めることができる。過剰なフェロジンが存在する時に吸光度が読み取られる場合、どれくらいフェロジンまたはサンプルが存在するかを正確に知ることなく、鉄に対する値は正確である。少なくとも1つの実施形態においては、フェロジン反応物緩衝剤は、センサのバックグラウンド読取値を変化させ、560nmにおいて誤りのある読取値を与えるため、鉄−フェロジン複合体が光を吸収しない690nmにおいて第2読取値が取得され、この波長におけるバックグラウンド読取値が、560nmにおける読取値から減算される。濁度または色によるバックグラウンドレベルが、読取値から除去される。
【0054】
少なくとも1つの実施形態においては、サンプルに硝酸銀が添加される。硝酸銀は、680nmではそれほど光を吸収しないが、塩化物を反応して塩化銀を形成する。サンプル内を通過する光ビームの経路から680nmでの吸光度を測定することにより、懸濁する塩化銀を検出することができる。それはまた、680nmにおいて濁度計における濁度を測定することによっても検出することができる。そのため、測定値は、硝酸銀濃度のレベルに依存しない。
【0055】
ここで
図6を参照すると、比色読取値、濁度読取値または蛍光読取値を使用してパラメータを求めるために有用な装置(100)が示されている。本装置はマニホルド(101)を備え、その中に、供給源からの液体サンプルが導入される。そして、液体はチャンバ(103)内に入ることができ、その中に、1つまたは複数の反応物源(104)が注入される。チャンバは、機械的、フラックスベース、超音波、または本技術分野における他のあらゆる既知の混合技術に基づくことができる混合装置(105)を備えている。一実施形態では、サンプル及び反応物の拡散が発生する可能性があるデッドボリュームを最小限にするように、チャンバ(103)には細管により反応物ポンプが接続されている。これにより、反応物ポンプ内に逆拡散したサンプルを大部分含む反応物注入によってもたらされる不正確さが回避される。他の実施形態では、本装置は、エラストマーダックビルによりまたは本技術分野において既知である他の逆流防止装置により、この問題を回避するように構成されかつ配置されている。
【0056】
反応物の添加の後、液体サンプルはセンサチューブ経路(110)を通過し、そのセンサチューブ経路(110)に沿って、少なくとも1つの比色計、濁度計または蛍光センサ(106)が存在する。比色計(106)は、少なくとも1つの光学センサ(107)を備え、少なくとも1つの光源(108)も備えることができる。センサ(107)は、直列にかつ/またはゼロより大きく180度未満である角度で配置され得る。少なくとも1つの実施形態においては、センサ(107)は、光源(108)に対して90度の角度で位置している。任意選択的に、基準比色計及び蛍光光度計読取値に対する光源の光出力を読み取ることのみを目的とする、光源の真上に位置する1つの光学センサ(107)であり得る。経年または温度変化によるいかなる変動も、センサ(107)の読取値に対して比率をみることによって補正することができる。
【0057】
少なくとも1つの実施形態においては、同じ平面で、光源が投影し、セル貫通検出器がサンプルを見る。少なくとも1つの実施形態においては、この平面は、サンプルが通過しているセンサチューブ経路に対して垂直である。少なくとも1つの実施形態においては、センサの全てがチューブに対して垂直であり、チューブに沿って同じ変位に配置されており、それにより、全ての検出器によって正確な同じサンプル容量が同時に測定されるため、それらは、センサチューブを通って流れているサンプルの同じ「像」を取得する。
【0058】
センサ(107)の下流かつ上方に角度付きチューブ(109)がある。角度付きチューブ(109)は、より垂直に角度が付けられたセンサチューブ経路(110)より水平角度に延在する経路に沿って延在するチューブの長さの一部を含む。センサチューブ経路(110)及び角度付きチューブ経路(109)の位置決め及び形状により、気泡が比色計または蛍光光度計センサ(106)から離れて上方に移動するのが促進される。少なくとも1つの実施形態においては、センサチューブ経路(110)は実質的に垂直である。少なくとも1つの実施形態においては、角度付きチューブ(109)の少なくとも一部は実質的に水平である。少なくとも1つの実施形態においては、
図6に示すように、角度付きチューブ(109)の少なくとも一部は逆U字型である。少なくとも1つの実施形態においては、センサ読取値はサンプルポンプと同期して取得され、それにより、ポンプが、サンプル流が瞬間的に停止する吸入行程にある時に、読取値が取得される。これにより、いかなる泡も光路から出て浮遊するため、真の光学吸光度または蛍光読取値が得られる。
【0059】
図7に示すように、少なくとも1つの実施形態においては、装置(100)は2つ以上のセンサ(106a、106b)を備えている。少なくとも1つの実施形態においては、センサのうちの2つ以上は、センサチューブ経路(110)に対して平面である。平面センサにより、2つ以上のパラメータを同時に測定することができる。少なくとも1つの実施形態においては、装置(100)は、サーミスタ、RTD、熱電対等の温度センサを含むことができ、そのため、吸光度読取値または蛍光読取値の温度補償を行うことができる。
【0060】
少なくとも1つの実施形態においては、サンプルは、角度付きチューブ(109)を通過した後、廃棄されるか、またはそれが出てきた工業流体の流れに戻される。様々なセンサが、サンプルの容量とは無関係なパラメータ測定を行うため、本装置を、サンプル液体を連続して受け取るように構成しかつ配置することができ、本装置は、サンプル容量に対して制御するために液体の入力を常に停止させることなく、連続測定を可能にすることができる。
【0061】
少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、センサ(複数可)によるその分析の前にサンプルにスパージングする機構を備えている。スパージングにより、センサ分析を阻害するか、阻止するか、または別の方法で複雑にする物質を、サンプルから容易に除去できる。少なくとも1つの実施形態においては、スパージングは、サンプルに空気、窒素または他の任意の気体を混入して、揮発性である物質を除去するか、またはそれら揮発性である物質をそれらの悪影響を除去する目的で気体と反応させることによって達成される。
【0062】
少なくとも1つの実施形態においては、スパージングの前またはその間に、揮発性の望ましくない物質の除去の速度を上昇させるかまたは望ましくない物質と反応するように、サンプルに硝酸、または過酸化水素等の酸化剤と組み合わされた酸が添加される。
【0063】
少なくとも1つの実施形態においては、サンプルは、分析される前に粗粒子を除去するためにフィルタを通過する。フィルタは、10マイクロメートル〜200マイクロメートルの孔径を有することができる。流れセンサまたは圧力センサが、分析器を通るサンプルの進行を追跡することも可能である。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルは、分析器及び反応物の化学的性質と適合するように、冷却器または加熱器を通過する。少なくとも1つの実施形態においては、分析器は、分析器内のファウリングを除去するために洗浄剤反応物を含む。洗浄剤は、エタノールアミンまたはメトキシプロピルアミン等の1種または複数種の有機アミン、または次亜塩素酸または過酸化水素等の酸化剤であり得る。洗浄剤を、3方向弁、ポンプを介して、または他の任意の好適な機構により分析器内に導入することができる。
【0064】
少なくとも1つの実施形態においては、少なくとも1つのパラメータは、米国特許第5,326,482号明細書、同第5,324,665明細書及び同第5,302,253号明細書に開示されている方法及び装置に従って測定される。少なくとも1つの実施形態においては、分析器は、セラミックピストン体、ソレノイドポンプ(蠕動ポンプの代り)、非可動部乱流ミキサ(コイル状チューブまたはスタティックミキサの代り)からなるリストから選択された1つの物品を備えている。少なくとも1つの実施形態においては、漏れ検出器が存在する。漏れ検出器は、マニホルド(または装置の他の部分)における圧力センサ、またはマニホルドの下に位置する伝導率センサであり得る。
【0065】
少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、米国特許第5,734,098号明細書に開示されているようなモニタリングセンサのうちの少なくとも1つを備えている。少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、温度、圧力、流量及びサンプル重量を測定する機器を更に備えている。少なくとも1つの実施形態においては、センサチューブ経路(110)の幅は、反応物のサンプルとの混合を維持するのに最適である。少なくとも1つの実施形態においては、混合装置は、センサ読取値が取得されるのと同じ位置において反応物をサンプルと混合させるように構成されかつ配置されている。
【0066】
本装置が流体プロセスシステム全体のモジュール式構成要素であり得るように、本装置の寸法を決め、その様々な構成要素を配置し構成することができる。これにより、プロセスシステムのただ1つの要素の変更(設置、除去、保守及び/または更新等)が、システム全体の他の部分の変更を必要とせずに可能になる。少なくとも1つの実施形態においては、インタフェースのうちの少なくともいくつかは、エラストマーシールを備えている。少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、壁または取付具の事前に確立されたサイズに適合するようにサイズが決められた固体板と係合する。少なくとも1つの実施形態においては、分析器自体を収容する分析器マニホルド及び/またはハウジングはそうなるようにサイズが決められている。これにより、分析器を、用語が本技術分野において理解されているように「ターンキー(turnkey)」装置または「ペグ−ボード(peg−board)」装置として使用することができる。少なくとも1つの実施形態においては、マニホルドは、米国国家規格、ANSI/ISA−76.00.02−2002,ISA(2002)に記載されている標準規格に従って、表面取付流体分配コンポーネントに対する標準規格に従って構成される。少なくとも1つの実施形態においては、本装置の1つまたは複数の構成要素(または全体としての装置)は、米国特許第7,178,556号明細書に記載されているような1つまたは複数のモジュール式コンポーネントコネクタ基材アセンブリシステムから構成されかつ配置される。
【0067】
少なくとも1つの実施形態においては、サンプルの1種または複数種の成分は、サンプルがセンサ(複数可)によって分析される前にスイートニングされる。様々な硫黄系化合物が様々な分析(特に比色分析)を妨げる。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルからH
2Sを除去するために気体がスパージングされる。少なくとも1つの実施形態においては、スパージング気体は、空気、水素、窒素、ヘリウム及びそれらの何らかの組合せからなるリストから選択された気体である。
【0068】
少なくとも1つの実施形態においては、塩化物分析の前に、サンプルにおける硫黄担持物質をスイートニングするように、サンプルは事前調整される。硫黄は、硫化物及びチオ硫酸の形態で留分内に存在することが多い。従来技術による方法は、酸化硫黄を、水素イオンと反応させて亜硫酸水素塩または硫酸水素塩を形成するようにスイートニングすることを教示しているが、チオ硫酸をスイートニングすることに関するそれらの教示では、過酸化水素との反応及び沸騰が必要であり、こうした沸騰反応は、オンライン分析器の状況では実際的ではない。硫黄及びチオ硫酸は特に、塩化物検出に使用される銀の作用を損なわせ、イオン選択電極を破壊するため、特に有害である。更に、硫化銀は不溶性であり、様々な構成要素を詰まらせるかまたは閉塞させる可能性がある。また、いくつかの硫化物は不揮発性であるため、スパージングのみではそれらを除去することができない。BDDセルを使用して、これらの不揮発性種が除去される。
【0069】
少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、リアルタイム分留分析を行うことができる。工業プロセスの流れでは、システムで発生する様々な変化により、流れの組成が経時的に変化することはよくある。これは、種々の時点で様々な位置を通過する液体サンプルが種々の特性を有することを意味する。本装置は連続分析を行うことができるため、各留分の特性を、それらが発生する際に連続的に求めることができる。
【0070】
ここで
図8を参照すると、少なくとも1つの本発明の実施形態に存在するいくつかの構成要素の概略表現が示されている。本装置は、サンプルが通過する締切弁を備えている。温度計が温度を測定し、粗フィルタが大きい粒子状物質を除去する。比色センサの上流または下流に、逃し弁及び圧力センサがある。流量及び濁度もまた、適切な機器によって測定される。第2微細フィルタが、比色分析の前にサンプルを更に浄化する。少なくとも1つのセンサを用いて、pH、鉄及び塩化物の各々が測定される。各センサは、反応物源、反応(reagent)ポンプ及び混合チャンバに対応する。BDDセルが、比色センサの上流、下流または両方にあってもよい。校正溶液を注入するポートが設けられている。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルを、粗フィルタ及び微細フィルタに加えてまたはその代りにタンジェンシャルフィルタによってろ過することができる。少なくとも1つの実施形態においては、本装置は2つの行程に分割されて、2つの主な別個の化学的性質を分離する(例えば、一方の行程はスパージングされ、他方はされない)。
【0071】
少なくとも1つの実施形態においては、本装置はBDDセルを備えている。スパージング及び化学的スイートニングに耐えられるいくつかのサンプル成分を、代りにBDDセルで対処することができる。例えば、スルホキシ化合物は、比色分析を妨げ、スパージングするかまたは化学的にスイートニングすることが困難である。しかしながら、BDDセルは、スルホキシ化合物を酸化させ、例えばチオ硫酸を酸化させて硫酸塩にし、それにより、スルホキシ化合物によってもたらされる問題を中和する。少なくとも1つの実施形態においては、BDDはまた、個々のプロセスの流れから取り除かれる時のサンプルの温度に関係なく、サンプル内に一様な温度を課す。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルの温度は行われる分析のうちの1つまたは複数に対して最適な温度で維持される。
【0072】
BDD電極セルは、水を分解することなく大きい電圧範囲を提供し、低い静電容量バックグラウンドを有し、ブート水サンプルの刺激の強い性質に対して耐性が高く、化学的に不活性であり、サンプルの成分を吸収する傾向がないため、本発明において特に有用である。BDD電極セルは、ガス形成に対する過電圧が高く、それにより、硫黄担持物質を酸化させてヒドロキシルラジカルを発生させるために使用される非常に高くかつ非常に有効な電圧を使用することができる。
【0073】
少なくとも1つの実施形態においては、BDD電極セルはアノードであり、カソードは不活性導体である。カソードは、炭素、ガラス状炭素、白金、ステンレス鋼、ハステロイ及びそれらのあらゆる組合せからなるリストに類似しかつ/またはそのリストから選択される1つの品目であり得る。少なくとも1つの実施形態においては、BDD電極セルは、5mlと100mlとの間の内部容積を有する内腔内にある。少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、カソードメッシュによって包囲されたBDD電極を有するモジュールを備えている。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルの導電性を上昇させ酸化を促進するために、サンプルに硝酸が加えられる。少なくとも1つの実施形態においては、BDD電極モジュールには、廃棄物除去及びガス排気のために上部穴がある。
【0074】
少なくとも1つの実施形態においては、BDD電極セルを使用して、ヒドロキシルラジカル、オゾン、二酸化炭素及び次亜塩素酸塩を含む様々な生成物を発生させる。少なくとも1つの実施形態においては、BDD生成物を使用して、本装置の少なくとも1つの部分における生物学的汚染物質を破壊する。
【0075】
少なくとも1つの実施形態においては、本装置は、米国特許出願第12/263904号明細書に記載されているような情報を制御システムに提供する。少なくとも1つの実施形態においては、求められるパラメータ読取値は、制御システムにインタフェースされ、それら読取値により、酸、塩基、腐食剤、腐食抑制剤、中和剤、膜抑制剤、水及びそれらのあらゆる組合せがより多く添加され、より少なく添加され、または全て添加が停止される。少なくとも1つの実施形態においては、サンプルはブート水由来である。
【0076】
少なくとも1つの実施形態においては、本装置を使用して、ブート水サンプルとは異なりかつそれ以外の液体サンプルの特性が測定される。
【0077】
少なくとも1つの実施形態においては、サンプル内の鉄レベルは以下のように測定される。即ち、反応物及び液体サンプルが、吸光度が読み取られる前にある期間反応し、それにより不溶性の鉄が可溶化し複合体になる。少なくとも1つの実施形態においては、この時間間隔は少なくとも2分間である。通常通り、最初の4つのブランクサンプル点が読み取られ、チューブのファウリングに対して最終的な吸光度を補正するためにベースライン読取値として格納される。反応物注入の後、反応したサンプルが、所定の時間、即ち7秒間圧送され、サンプルのピークが比色計の光路に置かれる。2分間の後、複数の読取値が取得され(20個等)、結果が平均される。
【0078】
各波長に対して、純粋なサンプルブランク読取値が、2分間の後に取得された読取値から減算される。そして、690nmでの補正された吸光度が、560nmでの吸光度から減算される。結果としての値は、Absが最終的な補正された吸光度である場合、[Fe]=k×Absの形式の単純な校正式に代入される。690nmブランキングステップの平均を、濁度が添加されたサンプルに対する結果を示す
図9を参照することによって理解することができる。補正は、補正のない場合に対する改良である。別の利点は、懸濁物質の可溶化等、緩衝剤によってもたらされる吸光度の変化に対する補正である。
【0079】
少なくとも1つの実施形態においては、塩化物は以下のように測定される。即ち、酸性溶液におけるルシゲニン蛍光が、Cl
−及びHS
−等の陰イオンによって消光される。それは、K
SV=390M
−1の塩化物に対する最も感度の高い指標である。塩化物に対する線形応答は、F
0/F−1によって得られ、ここで、F
0は塩化物のない場合の蛍光強度であり、Fは塩化物を含むサンプルの測定された蛍光強度である。応答の勾配は、2点校正中に求められる。分析手続きに対して、サンプルは酸性化され、その後、干渉するH
2Sを除去するためにスパージングされる。そして、ルシゲニンが添加され、混合サンプルが蛍光光度計を通って流れる。最初の4つのブランクサンプル点が、ベースライン吸光度及び蛍光として読み取られる。混合サンプルが蛍光速度計を通って流れる際に、全てのチャネルに対するデータアレイが収集される。
図5は、0ppm及び150ppmの塩化物に対する応答のプロットを示す。1つの蛍光曲線は、150ppmプロットにおいて2倍で消失されていることが分かる。ルシゲニンに対する透過率曲線は、蛍光曲線がピークに達する場所でピークを示し、塩化物が計算されるのはこの点である。比率が反応物濃度を補正するために、他の点を使用することも可能である。補正されたピーク吸光度は、ピークからベースライン吸光度を減算することによって計算される。同様に、補正された蛍光は、ピークからベースライン蛍光を減算することによって見つけられる。2つの補正値の比が校正式で使用されることにより、サンプルにおける塩化物濃度が得られる。
【0080】
少なくとも1つの実施形態においては、塩化物は以下のように測定される。即ち、サンプルに硝酸銀等の反応物が添加され、ベースライン吸光度値が得られる。サンプルは流れる際に読み取られ、濁度が形成されるのに約6秒間〜8秒間を与える。
図10は、サンプルが装置内を流れる際の濁度及び透過率応答を示す。塩化物濃度に応じて、極めて異なる曲線が見られる。10ppmを超えて、ピークの回数が濃度によって変化するダブレット形成が発生する。この影響により、ピークが抽出される時点が既知でないため、静的サンプル方法を使用することができない(ここでの1つの実施形態は、ピーク位置が塩化物濃度によって変化するため、濁度は、指定された時刻の後ではなく流動サンプルのピークで測定される、というものである。)。最良の結果は、第2透過率ピークが使用される時に得られた。ベースライン補正がピーク吸光度に適用され、そこから塩化物濃度が導出される。
図11に示すように、応答は非線形であり、2次の多項式がデータに適合された。標準方程式を使用して、3点校正中にAbs
2項及びAbs項に対する係数が計算される。任意選択的に、塩化物濃度が低い場合、応答は略線形であるため、Abs項のみを使用することができる。
【0081】
少なくとも1つの実施形態においては、硫化水素、チオ硫酸及び亜硫酸塩等の硫化物及びスルホキシ化合物を破壊するために、かつ塔頂凝縮水またはブート水等の工業水における塩化物の分析に対するそれらの干渉影響を十分に除去するために、過酢酸が使用される。硫化水素H
2S、及びチオ硫酸S
2O
32−及び亜硫酸塩SO
32−等のスルホキシ化合物
等の硫黄化合物は、塩化物分析の反応物ベースの方法を著しく妨げる。上述したように、銀化合物及び蛍光消光
指示薬は、サンプル水を分析するのに有用である。不都合なことに、これらの硫黄化合物は、まず全てのAg
+と不可逆的にかつ完全に反応してそれを消耗し、黒い不溶性沈殿物を形成し、それらは、全ての面を被覆して汚染し、それにより、適切な分析に必要な塩化物のAg
+との反応を阻止する。例えば、ルシゲニンの蛍光消光の場合、これらの硫黄化合物は、蛍光を著しく消光し、従って、分析に対するその有効性を損なう。その結果、全ての硫化物が、塩化物分析の前に、少なくとも痕跡レベル以下まで低減されるか、または実質的にあるいは完全に無害な硫酸塩に転化される時、有効な分析方法が改善される。
【0082】
揮発性硫化物を除去する既知の方法は気体スパージングを含み、その方法においては、サンプルを酸性化して気体、空気または通常は窒素を泡にし、揮発性H
2Sがサンプルから蒸発し得るようにする必要がある。この方法の主な問題点は、不揮発性スルホキシ化合物が除去または破壊されないということである。これらの化合物は、依然としてサンプルに残り、干渉をもたらす。
【0083】
スパージングを、一般に使用される硫化物の過酸化水素との反応と結合させて、幾分かのスルホキシ化合物を除去することができるが、完全な除去を確実にするために、最短時間の沸騰が必要である。こうしたプロセスは、不都合なことに、オンライン分析器には適合しない。30%の過酸化水素を使用する場合であっても、沸騰なしには完全には効果的ではない。高原子価金属イオンCe
4+、Fe
3+等の他の酸化剤を使用することもまた効果的ではない。
【0084】
上述したように、硫化物及びスルホキシ化合物を酸化させるためのBDD電極を使用する電気化学的方法により、スルホキシ化合物が存在する場合の分析の質が向上する。これは有効であるが、追加して必要な構成要素及び手続きが、分析器を更に複雑にする。また、この手続きは最適化が困難であり、それは、全ての硫化物がいつ転化されるのかが未知であり、場合によっては塩化物が酸化する可能性があるためである。
【0085】
少なくとも1つの実施形態においては、過酢酸を使用して、全ての硫化物及びスルホキシ化合物が有効に完全に破壊される。少なくとも1つの実施形態においては、過酢酸は、20分以下の間しか作用しない。少なくとも1つの実施形態においては、過酢酸は25℃で作用する。過酢酸を使用するプロセスは、スパージングが不要であるほど効果的である(但し、少なくとも1つの実施形態においては、スパージングと一斉に行われる)。過酸化水素自体はスルホキシ物質を酸化させないが、過酢酸と組み合わせると、除去は非常に効果的である。少なくとも1つの実施形態においては、過酢酸との過酸化水素の組合せは、完全に効果的である。残留過酢酸反応物は、後続するAg
+との反応に影響を与えない。少なくとも1つの実施形態においては、使用される反応物は、水中で10%〜35%の過酸化水素(好ましくは23%)と平衡状態である2%〜10%の過酢酸(好ましくは5%)である。
【0086】
この過酢酸の適用は非常に有益でありかつ極めて想定外である。過酢酸の使用は、一般に、食品及び水の衛生設備において汚染する生物学的物質を衛生的にする間にS−S結合及びS−H結合を破壊するために使用されるが、精油所の水における硫黄化合物を破壊するその能力は完全に想定外である。更に、スルホキシ化合物に影響を与えることが既知である大部分の化学作用は、水分析に必要な銀ベースの化学作用も劣化させるかまたは完全に妨害する。過酢酸が、精油所水からスルホキシ化合物を効果的に除去する一方で、銀ベースの化学作用に影響を与えないままにするという事実は、過酢酸を非常に有用なものとする。
【0087】
本発明を多くの異なる形態で具現化することができるが、本発明の所定の好ましい実施形態について図面に示しかつ本明細書に詳細に説明している。本開示は、本発明の原理を例証するものであり、例示する特定の実施形態に本発明を限定するようには意図されていない。本明細書で言及した全ての特許、特許出願、科学論文及び他のあらゆる参照資料は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。更に、本発明は、本明細書に開示し本明細書に組み込まれた様々な実施形態のうちのいくつかまたは全てのあらゆる可能な組合せを包含する。
【0088】
上記開示は、網羅的ではなく例示的であるように意図されている。本説明は、当業者に対して多くの変形形態及び代替形態を示唆する。これらの全ての代替形態及び変形形態は、「〜を具備する、〜を備える」という用語が「限定されないが〜を含む」を意味する特許請求の範囲内に含まれるように意図されている。当業者は、本明細書に記載する所定の実施形態に対する他の均等物も理解することができ、それら均等物もまた特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。
【0089】
本明細書に開示した全ての範囲及びパラメータは、そこに含まれるありとあらゆる部分範囲及び端点間の全ての数字を包含するように理解される。例えば、「1から10」という範囲が述べられている場合、それは、1という最小値と10という最大値との間(それらを含む)のありとあらゆる部分範囲、即ち、1以上の最小値(例えば1から6.1)で始まり10以下の最大値(例えば、2.3から9.4、3から8、4から7)で終わる全ての部分範囲、最終的にはその範囲内に含まれる各数字1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10までを含むと見做されるべきである。
【0090】
これで本発明の好ましい実施形態及び代替実施形態の説明を完了する。当業者は、本明細書に記載されている所定の実施形態に対する他の均等物を理解することができ、それらの均等物は、本明細書に添付されている特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。