【文献】
M. J. Freire et al.,Planar magnetoinductive wave transducers: Theory and applications,Applied Physics Letters,2004年,Vol. 85, No. 19,pp.4439-4441
【文献】
Christopher W. T. Chan et al.,Two-Dimensional Magneto-Inductive Wave Data Structures,Proceedings of the 5th European Conference on Antennas and Propagation (EUCAP),2011年 4月,pp.1071-1075
【文献】
Christopher J. Stevens et al.,Magnetic Metamaterials as 1-D Data Transfer Channels: An Application for Magneto-Inductive Waves,IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques,2010年,Vol. 58, No. 5,pp.1248-1256
【文献】
E. Shamonina et al.,Magnetoinductive waves in one, two, and three dimensions,Journal of Applied Physics,2002年,Vol. 92, No. 10,pp.6252-6261
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
γは、伝播定数、dは、前記複数の共振素子の周期、Zは、各共振素子のインピーダンス、ωは、前記磁気誘導波の角周波数、Mは、前記共振素子間の相互インダクタンス、及びj=O−1であるときに、cosh(γd)=2Z/(Z−jωM)で与えられる分散関係を有する、
請求項11に記載の磁気誘導導波路。
前記複数の共振素子は、外部装置の共振素子と磁気誘導的に結合可能なように配置され、前記磁気誘導導波路と前記外部装置との間で前記電力又はデータの少なくとも一つを転送可能とする、
請求項11又は12に記載の磁気誘導導波路。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様によれば、複数の共振素子を備える磁気誘導導波路であって、前記複数の共振素子は、少なくとも一つの容量性ギャップにより切断される導電ループを備える第一の共振素子と、少なくとも一つの容量性ギャップにより切断される導電ループを備える第二の共振素子と、を備え、第二の共振素子は、前記第一の共振素子と磁気誘導的に結合する。ここで、前記第一の共振素子と第二の共振素子とは導電結合しており、前記第一の共振素子の大きさは、前記第一の共振素子の共振周波数に等しい周波数を有する自由空間電磁波の波長の約1/20倍以下である。
【0006】
第一及び第二の共振素子のそれぞれの導電ループが共通の部分を有してもよく、これにより、第一及び第二の共振素子が導電結合する。
【0007】
第一及び第二の共振素子のそれぞれの導電ループは、共通の容量性ギャップを有してもよい。
【0008】
磁気誘導導波路は、導波路と自由空間放射との間に実質的に結合がないように配置してもよい。
【0009】
第一の共振素子の大きさは、第一の共振素子の共振周波数に等しい周波数を有する自由空間電磁波の波長の約1/30倍以下としてもよい。
【0010】
第一の共振素子の大きさは、第一の共振素子の共振周波数に等しい周波数を有する自由空間電磁波の波長の約1/100倍以下としてもよい。
【0011】
第一の共振素子の大きさは、第一の共振素子の共振周波数に等しい周波数を有する自由空間電磁波の波長の約1/150倍以下としてもよい。
【0012】
幾つかの実施形態によれば、第一又は第二の共振素子はいずれも、接地面に結合しない。
【0013】
磁気誘導導波路は、格子状の線に沿って配置される導線を備えてもよく、導線は、複数の共振素子を規定する。ここで、導線は、格子状の線が交差するノードで交わり、隣接するノードが導電性パスによって接合されないように隣接ノード対間の導線内に容量性ギャップが形成される。
【0014】
導線は、正方形、矩形、三角形のいずれかになるよう、共振素子の形状を規定してもよい。
【0015】
複数の共振素子は、磁気誘導波によって電力又はデータの少なくとも一つを伝播するよう配置してもよい。
【0016】
磁気誘導導波路は、γが伝播定数、dが前記複数の共振素子の周期、Zが各共振素子のインピーダンス、ωが磁気誘導波の角周波数、Mが共振素子間の相互インダクタンス、
であるときに、cosh(γd)=2Z/(Z−jωM)で与えられる分散関係を有してもよい。
【0017】
複数の共振素子は、外部装置の共振素子と磁気誘導的に結合可能なように配置され、磁気誘導導波路と外部装置との間で電力又はデータの少なくとも一つを転送可能としてもよい。
【0018】
本発明の実施形態の利点は、入力装置及び出力装置が、装置の実質的に任意の位置で、導波路により互いに結合可能である点である。さらに、3つ以上の装置が、コネクタ及び関連するスイッチング電子素子を設ける必要なく、装置に結合可能である。
【0019】
幾つかの実施形態は、磁界の代わりに電界により結合される一つ以上のアレイ状の共振回路を備える。
【0020】
磁気的に結合されるアレイ状の共振子により、主成分が各回路を循環する電流及びそれらが共有する磁束である電磁波の伝播をサポート可能である。そのような波は、磁気誘導(MI)波として知られている(E.Shamonina, V.E.Kalinin,K.H.Ringhoferand and L.Solymar, 'Magneto-inductive waveguide', Electron. Letters 38, 371-3(2002)を参照)。
【0021】
MI波は、共振回路が存在する領域だけで伝播する。そのため、二次元構造体では、三次元構造体の場合における1/r
2ではなく、1/rで波の電力が減衰する。
【0022】
本発明は、MI波をサポートする構造体の隣に配置される外部装置が、近傍界で、その構造体に接している場合にのみ、MI波のローカルな磁束が、そのような外部装置に結合可能であることを利用している。
【0023】
アレイ内の共振子の半径rが、自由空間波長λと比べて概して小さい場合、放射損失R
radは問題にならない。
【0024】
このことは、近傍界領域でMI波を利用する装置を、遠方界領域で電磁放射を放出しないよう配置可能となり、電磁スペクトル送信帯域に関するライセンス上の考慮事項の要件を排除することができるという利点を有する。さらに、所望であれば、シールドを追加可能であるが、ほとんどの実施例では必要でないと予想される。
【0025】
また、帯域幅は、動作周波数を上げることにより広くすることができるが、動作周波数の制限は、製作上の問題及び(数百GHzオーダーで)使用される金属導体の複素導電率により設定される。
【0026】
MI波をサポートする、アレイ状の結合共振子(又は、磁束線ではなく電束線により、互いに結合された対応する共振子)は、離散的に結合されたアレイ状の素子から形成されているにも関わらず、これらが自由空間波長スケール上で連続媒体のように動作するため、「メタマテリアル」と類似しており、それらの見掛け上のバルク特性が設計可能である。
【0027】
装置は、データ送信又はデータ受信ユニットが当接して置かれるように配置された自由表面を有してもよく、これにより、ユニットと装置の共振素子との間に近傍界結合を実現する。
【0028】
例えば、共振素子は、シート状のプラスチック材料、任意で、柔軟なシート状のプラスチック材料等のホスト媒体に埋め込まれてもよい。
【0029】
自由表面は、平らな、平面、曲面、或いは、任意の他の適切な表面でよいと理解すべきである。
【0030】
装置の共振素子の各ループ面は、それぞれのループにローカルな自由表面の部分に対して、実質的に平行になるように配置されてもよい。
【0031】
「ローカルな」とは、それぞれのループに最も近い自由表面の部分を意味する。
【0032】
あるいは、装置の共振素子の各ループ面は、それぞれのループにローカルな自由表面の部分に対して、実質的に垂直に設けられてもよい。
【0033】
装置の共振素子の各ループ面は、それぞれのループにローカルな自由表面の部分に対して、約30度から約70度の範囲の角度、好ましくは約45度の角度で設けられてもよい。
【0034】
共振素子の隣接したそれぞれの対は、それらのループ部分が、各ループ部分の面に横たわる軸の周りの反対方向に傾斜され、それぞれの軸が、互いに実質的に平行になるように配置されてもよい。
【0035】
素子の隣接したそれぞれの対は、互いに実質的に垂直に向けられてもよい。
【0036】
装置は、第1層及び第2層の共振素子を備えてもよい。
【0037】
第1層の共振素子の各ループ面は、第2層の共振素子の各ループ面に対して、実質的に平行であってもよい。
【0038】
或いは、第1層の共振素子の各ループ面は、第2層の共振素子の各ループ面に対して、実質的に垂直であってもよい。
【0039】
装置は、第3層の共振素子を備え、第1層と第3層とが、その間に第2層を挟むように配置されてもよい。
【0040】
第3層の共振素子の各ループは、第3層の各ループの上方にある、第1層の共振素子の対応するループに平行であってもよい。
【0041】
第1層の共振素子は、第2層の共振素子とは異なる共振周波数を有してもよい。
【0042】
データ送信ユニット又はデータ受信ユニットの結合素子の共振周波数は、第1層及び第2層の共振素子の共振周波数とは異なってもよい。
【0043】
第1層の共振素子の上方で、適切な向きにあるデータ送信ユニット又はデータ受信ユニットの結合部分が存在するよう配置され、これにより、第1層の一つ以上の共振素子の共振周波数をシフトさせて、第2層の共振素子とデータ送信ユニット又はデータ受信ユニットの結合素子を結合させてもよい。
【0044】
これにより、権限のない者には、共振素子を装置に容易に結合させにくくするという利点がある。
【0045】
装置の共振素子は、共振素子のループ部分に流れる電流の大きさが所定値を超える場合には、無効(disabled)になるように配置されてもよく、これによって、共振素子は、一つ以上の隣接した共振素子と結合されなくなる。
【0046】
このことにより、権限のない者が装置に共振素子を結合しようとした場合、場合によって、装置が無効になるようにできるという利点がある。装置は、恒久的に無効(ワンショット配置)となるよう配置してもよい。或いは、装置は、可逆的に無効になるように配置してもよい。
【0047】
装置の第1層の共振素子は、ループ部分に流れる電流の大きさが所定値を超える場合には、無効になるように配置してもよい。
【0048】
装置は、第3層の共振素子をさらに備え、第1層と第3層とが、その間に第2層を挟むように配置されてもよい。
【0049】
第1層及び第3層は、構造体を通じた送信信号の結合を強化するよう配置してもよい。
【0050】
第1層及び第3層の結合素子のループ部分の各面は、実質的に平行であってもよい。
【0051】
第1層及び第3層の結合素子のループ部分の各面は、第2層のループ部分の対応する面に実質的に垂直であってもよい。
【0052】
データ送信ユニット及びデータ受信ユニットは、磁気誘導(MI)波により、互いに通信するよう配置してもよい。
【0053】
或いは又は追加的に、データ送信ユニット及びデータ受信ユニットは、電気誘導(EI)波により、互いに通信するよう配置してもよい。
【0054】
共通通信装置の共振素子は、基板上に、又は基板内に設けてもよい。
【0055】
基板は、プラスチック材料及びファブリックから選択された一つの材料を備えてもよい。
【0057】
導波路を備える製品は、衣類、カーペット片、壁紙片、建築用パネル、流体導管、回路基板、マザーボード、集積回路から選択される製品であってもよい。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、輸送装置の構造体の一部分上に又は一部分内に設けられた本発明に係る導波路を有する輸送装置が提供される。
【0059】
構造体は、好ましくは、船舶の船体、航空機の胴体、自動車の車体、自動車の運転台から選択される一つである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
上述の有線接続の問題を解決するため、特許出願GB0921401.6及びPCT/GB2010/052040は、それぞれがコンデンサによりギャップを橋絡した分割リングで形成可能な、複数の磁気誘導(MI)結合共振回路を開示しており、その内容を参照することにより本明細書に援用する。
【0062】
図1aは、このような装置の一例を示しており、各回路210のループ部に誘導された電流により発生する磁束を介して結合された平面結合共振回路210のアレイ201を有する。なお、一対の共振回路間の面又は平面結合とは、その対の各ループの中心を接続する名目上のラインが、
図1aにも示されるように、各ループ面に対して平行な、少なくとも無視できない成分を有することである。特許出願GB0921401.6及びPCT/GB2010/052040にて説明されるように、共振回路を軸方向に結合する等の他の配置も可能である。
【0063】
図1b及び1cは、
図1aの配置に対応可能な共振回路の例を示す図である。
図1bには、一対の同心の分割リング共振子110’及び110”を有する共振回路110を示す。分割リング共振子110’、110”はそれぞれ、ギャップを規定する一対の自由端を有する不連続リング素子の形状である。幾つかの実施形態において、このギャップは空気のギャップである。幾つかの実施形態において、自由端間には空気以外の媒体が設けられる。
図1bの実施形態において、共振子のそれぞれのギャップは、互いに180°の向きにある。
図1cの実施形態において、共振回路110は、単一の分割リングを有し、このリングの自由端は、コンデンサ119により接続される。共振子は、螺旋状の分割リング等の他の形状をとってもよい。
【0064】
図1aにはさらに、送信ユニットの共振回路220が示されているが、これは別の装置であってもよい。信号Txは、送信ユニットの共振回路に(例えば有線接続により)送出され、MI結合によりアレイ201上の共振回路210に転送される。その後、信号は、MI結合によりアレイ内を伝播する。別個の装置であってもよく、共振回路220を有する、受信ユニットがアレイ210に近接して配置されると、アレイ内を伝播した信号は、MI結合により受信ユニットの共振回路220により受信可能である。その後、信号は、受信ユニットの共振回路220から有線接続により搬送可能である。
【0065】
送信及び受信ユニットとの通信には、軸方向結合又は平面結合、又はその他の配置を利用可能である。
【0066】
図1の配置において、共振粒子間の分離の関数としての結合係数の変動は、
(面内結合係数)が増加すると、共振周波数の近傍で通過帯域の増加を示す。無限構造では、通過帯域(すなわち、減衰αの大きさが実質的に最小である領域)は、結合が増加すると、略直線状に増加する。有限構造では、反射及び定常波が役割を果たすと見られ、通過帯域は、分散ピークで変調されるようになる。
【0067】
図1のアレイにより互いに通信する装置は、通過帯域の一つ以上のピークの位置等の、アレイの一つ以上の特性に応じて、信号の送信及び/又は受信の周波数を選択するよう配置可能である。
【0068】
図1の構造体の端部や縁部は、反射信号量を減らすために、複素インピーダンス又は直列インピーダンスにより終端可能である。例えば、Syms et al, 'Absorbing terminations for magneto - inductive waveguides', IEE Proceedings-Microwaves Antennas and Propagation 152,pp.77-81(2005)を参照。
【0069】
図1の配置により、装置間を導電性電気接続する必要なく、装置間で信号(例えば、データや電力)を送信可能となる。これにより、上述の電気的なコネクタの制限が解消される。さらに、上述の配置は、装置に電力を供給するよう構成可能である。
【0070】
上述の配置では、接続を行うために導電性素子を露出させる必要がないため、防水コネクタの設置を大幅に簡略化可能である。
【0071】
さらに、マイクロプロセッサや同等の部品との有線接続の場合、コネクタ間の複雑な接続や正確な位置合わせが必要となり、これにより製造時の複雑さやコストが増加することになる。上述の配置を適用すれば、導電性電気接続を形成する必要がなく、このような部品の接続を簡略化可能である。
【0072】
一般的な無線通信において、意図された受信者ではない第三者によって通信が受信される可能性があるので、セキュリティが低下する場合がある。さらに、管轄区域によっては、幾つかの無線通信方法に免許が要求される場合がある。上述の配置は、近距離のMI結合を利用しており、このような問題を回避または低減可能である。
【0073】
上述の配置により、導電性有線接続の代替案も提供される。
【0074】
上述のアレイ201内を伝播するMI波は、減衰する。アレイ201内の波は、装置依存帯域幅内の周波数でのみ伝播する。
【0075】
本発明の実施形態は、従来の有線コネクタ、無線コネクタ、及び/又はアレイ201についての一つ以上の制限又は欠点を解決する目的を有する。
【0076】
図2に、本発明の一実施形態に係るMI導波路1の等価回路図を示す。
図2は、網又は格子を形成する容量成分20aの連続的な格子体として説明可能である。
【0077】
図2の実施形態によれば、複数の導線10によりMI導波路1が形成される。導線10は、格子状に配置されており、格子体の線5の交点によりノード50が形成される。格子体5の線によって接続されるノード50のうち、隣接するノード50の各対の間には、容量素子20aが設けられる。この素子は、容量性ギャップ20の形状をとってもよい。格子体により、ループが規定され、
図2の場合、ループは正方形であって、各ループは4辺を有し、各辺は、容量素子20aを有しており、これによりループが切断される。
図2にはさらに、ループの各辺上の誘導素子30が示される。好適な実施形態において、これらの誘導素子は、導線10の構造からループ内に発生するインダクタンスを表し、別の又は追加の誘導素子の必要はない。別の実施形態において、別の又は追加の誘導素子を設けてもよい。
【0078】
容量性ギャップ20は、
図3aに示すように、導線内の空間、切れ目、又はギャップである。容量性ギャップ20は、
図3bに示すように、容量を増すために、1D容量「プレート」部25を有してもよい。当業者であれば、その他の配置を想起すると思われ、本発明は、容量素子20aの配置により特に限定されるものではない。
【0079】
各ループにより、特定の集合の周波数内での磁気誘導波により励起されると共振する共振素子40が形成される。ループにより形成される共振素子40は、
図1のアレイ201状のループ部210と同様に、近傍のループと磁気誘導により結合するよう配置される。ただし、
図1のループ部210は、互いに電気的に絶縁されており、相互インダクタンスを介してのみ結合している。一方、本実施形態によれば、近傍の共振素子40はさらに、導電結合されており、共振素子40間又は共振素子40の各部分間で電流が直接流通可能である。
【0080】
図2の場合、共振素子40が共有する辺により、共振素子40間の導電結合が得られる。この場合、近傍の共振素子40のループは、共通の(共有の)導電部分を有する。本実施形態によれば、近傍の共振素子40は、共通の(共有の)容量素子20aも有する。
【0081】
共振素子40間のMI結合は、最近傍の近傍素子を超えて、第2近傍素子にまで、及びより遠い共振素子40にまで延長可能である。
【0082】
好適な実施形態において、MI導波路1は、接地面を有さず、共振素子40は、接地面に結合されない。接地面が存在すると、隣接する共振素子40間の相互誘導結合の強度が減少する。この結果、導波路1の帯域幅が狭くなり、導波路1の損失が大きくなってしまう。
【0083】
好ましくは、MI導波路1は、共振素子40が共振する周波数を有する放射の自由空間波長(以降単に自由空間波長と称する)が、各共振素子40の大きさより十分に大きくなるよう調整する。この条件が満たされると、導波路1と自由空間放射との間の相互作用が減少し、これにより放射損失が減少する。理想的には、導波路1と自由空間放射との間の相互作用が存在しない。このような相互作用は、自由空間波長より十分に小さい大きさの共振素子40を配置することにより、とても弱くすることができ、無視できる。例えば、共振素子40の大きさは、自由空間波長の1/20より小さくしてもよく、好ましくは自由空間波長の1/30より小さくする。
図2の実施形態の特定の例によれば、共振素子40は、1cm四方の大きさであり、共振周波数は約400MHzであり、対応する自由空間波長は75cmであって、共振素子40の大きさの75倍の大きさである。
【0084】
好適な実施形態において、共振素子40の大きさは、自由空間波長の1/100より小さくてもよい。より好適な実施形態において、共振素子40の大きさは、自由空間波長の1/150より小さくてもよい。350MHzの共振周波数がこれらの実施形態に好ましいが、他の値を用いてもよい。当業者には明らかであるが、共振素子40の共振周波数は、様々な方法、例えば、容量性ギャップや容量プレート(があれば)の大きさを選ぶことにより、又は、素子の自己インダクタンスを制御することにより、制御可能である。
【0085】
図2の実施形態において共振素子40の大きさは、格子体の隣接するノード50間の距離に対応する。当業者であれば理解されるように、共振素子40の形状に応じて、他の大きさが適当となる。なお、大きさは、共振素子40と自由空間波との相互作用を考慮した際の、共振素子40の関連する長さの単位に関する。
【0086】
図2の実施形態は、正方形の共振素子40を有するが、共振素子の形状は特に限定されない。他の実施形態において、共振素子は、矩形、三角形等であってよい。導波路内の共振素子が、異なる大きさ及び形状であってもよいが、導波路の好適な実施形態において、共振素子は同じ大きさ及び形状を有する。共振素子は好ましくは、正多角形であるが、これには限定されない。
【0087】
幾つかの実施形態において、導波路により互いに通信する装置は、通過帯域の一つ以上のピークの位置等の、導波路の一つ以上の特性に応じて、信号の送信及び/又は受信の周波数を選択するよう配置可能である。
【0088】
幾つかの実施形態において、反射信号の量を減らすために、構造体の端部や縁部は、複素インピーダンス又は直列インピーダンスにより終端可能である。例えば、Syms et al, 'Absorbing terminations for magneto-inductive waveguides', IEE Proceedings - Microwaves Antennas and Propagation 152, pp 77-81 (2005)を参照。
【0089】
本発明の実施形態に係る導波路は、基板410上に導電パターンを印刷することにより、又はリソグラフィにより製造可能である。当業者であれば、他の方法も想起すると思われ、導線やその他の部品に要求される大きさ、抵抗、その他の特性に応じて、適切となる。導線は、銅やその他の任意の適切な導電材料で形成可能である。半導体材料が適切な場合もある。当業者の能力の範囲で、適切な基板410の選択が可能である。基板410は、好ましくは、誘電体基板である。幾つかの実施形態において、
図4に示すように、スーパーストレート420(好ましくは誘電体)は、導線10を封入するように設けてもよく、これにより、導線10を保護及び絶縁する。導波路の幾つかの部位又は導波路の一方の側で外部装置との共振素子40の結合を防止することが望ましい場合には、誘電体ではない絶縁基板をこれらの部位又は導波路1の該当する側に使用してもよい。
【0090】
図4に示すように、導波路1と外部装置430との間の通信は、外部装置430の共振素子440が導波路1の共振素子40と磁気誘導的に結合するように、導波路1の共振素子40の近くに、適切な共振素子440を有する外部装置を配することによってなされる。有線接続450により、外部装置430の共振素子440と外部装置430の他の部品460と間で電力やデータを転送可能である。外部装置430内で他の配置が可能である。例えば、外部装置430は、共振素子440と部品460との間で電力や信号を搬送するためにMI導波路を利用可能であろう。
【0091】
外部装置430の共振素子440は、導波路1の共振素子40と磁気誘導的に結合するのに適切な任意の共振素子であってよい。例えば、共振素子440は、本発明に係る導波路の素子であってよい。共振素子は、例えば
図1に示したようなループ部として配置してもよい。
【0092】
本発明の実施形態において、外部装置430の共振素子440と導波路1の共振素子40との間の結合は、様々な構成によりなされる。例えば、共振素子440は、共振素子40の面内に実質的に位置してよい。共振素子440の面は、共振素子40の面に平行であると例示されているが、垂直又はある中間角をなすようにしてもよい。共振素子40、440を設けることにより、相互に結合が可能となり、その相対位置及び角度は制限されない。
【0093】
幾つかの実施形態において、導波路1の一つ以上の共振素子40は、処理装置や導電コネクタ等の、他の素子との導電接続(有線接続)を備えてもよい。これにより、MI結合以外の方法により、データ及び電力を導波路1内に入力及び/又は出力可能となる。
【0094】
本発明の更なる実施形態を、
図5(a)に示す。
図5(a)の実施形態において、2層の共振子が設けられる。送信層510Lである一層の共振子510は、共振子510により規定される直線又は面に沿ったMI波の伝播をサポートするよう配置される。インタフェース層511Lを形成する共振回路511は、送信層510Lに平行な面内に設けられる。送信層の共振回路511は、送信層410Lの共振子を、外部装置(例えば、送信又は受信ユニット)の共振子520、530に結合しやすくするよう配置される。
【0095】
インタフェース層511Lの共振回路511は、送信層510Lの共振子510に比べて、互いの結合強度が弱くなるよう配置される。
【0096】
インタフェース層511Lの共振子511の共振周波数は、適切な送信又は受信ユニットの結合器が無い場合には、送信層510Lからの電力出力がインタフェース層511Lに実質的に結合しないよう、送信層510LのMI波通過帯域の範囲外になるよう調整される。
【0097】
図5(b)は、周波数の関数として電力伝達関数、S21(dB)を示す概略図である。パターンAは、受信ユニットや送信ユニットの結合器のような外部結合器520、530が無い場合のインタフェース層511Lの共振子の通過帯域に対応する。パターンBは、送信層510Lの共振子の通過帯域に対応する。
【0098】
適切な送信又は受信ユニット520、530の結合器がインタフェース層511Lの近傍に存在する場合は、ユニットの結合器とインタフェース層511Lとの間の結合が生じるように配置される。この理由は、送信又は受信ユニット520、530の結合器の存在により、インタフェース層511Lの通過帯域がシフトし、インタフェース層511Lと送信層510Lとの通過帯域に重複が生じるためである。このことは、
図5(b)に示されており、パターンCは、インタフェース層511Lの通過帯域の分割を示し、これにより、Cと示した2つの不連続の通過帯域が識別可能となる。このように、インタフェース層511Lの通過帯域は、送信層510LのMI波の通過帯域の範囲(パターンBにより例示)へとシフトする。
【0099】
そのような状況下で、ユニットの結合器は、信号を送信層510Lに入射できるが、結果として生じるMI波は、適切な結合器(例えば、他の適切な送信又は受信ユニットの結合器)がインタフェース層511Lの近傍に存在しない限り、インタフェース層511に戻って結合することはできない。
【0100】
この特徴を有する本発明の実施形態の利点は、適切な送信又は受信装置の結合器が置かれた場所でのインタフェース層511Lにのみ電力が送信され、これにより、送信層510L内を伝播するMI波から失われる電力量を減らすことができる点である。
【0101】
本発明の実施形態によれば、送信層510Lとインタフェース層511Lのうちの少なくとも一つは、本発明の実施形態に係る導波路1を含む。好ましくは、少なくとも送信層510Lは、本発明の実施形態に係る導波路1である。送信層510L又はインタフェース層511Lの一つは、例えば
図1に示すような、別の構造を有してもよい。
【0102】
幾つかの実施形態において、導波路1の共振素子40は、例えば、波状基板610上に設けることにより、個々の共振素子40が平面状でない、又は、少なくとも一方向において隣接する共振素子40の面が、互いに平行でない等のように、波状であってよい。これにより、外部物体に結合する際の、結合形状についての制約を少なくできる。
【0103】
図6aは、近傍の共振素子が波状方向(以降、この方向について、波形の畝部に垂直な方向と称する)に平行でないように配置された、波状基板610の例を示す、平面及び側面図である。
【0104】
このように、波状方向に隣接する各共振素子40の面は、互いに角度θで傾斜している。θは、略90°であってよい。θの値は、他の値を用いてもよい。θの値によっては、他の値に比べてデータ容量が増加する可能性がある。共振素子40は、基板面に対して45°傾いていてもよい。
【0105】
上述の配置により、外部装置430の共振素子440は、導波路1の共振素子40に異なる角度の範囲で結合可能となる。例えば、外部装置430の共振素子440は、共振素子440の長手方向の軸が導波路1の長手方向の軸に略平行となるような方向へ向けてもよい。或いは、受信機の共振素子440の長手方向の軸は、導波路1の長手方向の軸に略垂直となるような方向へ向けてもよい。
【0106】
図6bは、共振素子40の少なくとも幾つかが平面状でないよう配置された波状基板610の一例を示す平面及び側面図である。
【0107】
図6a及び6bにおいて、必須ではないものの、波状は、共振素子と同じ周期性を有しており、波状は、共振素子と異なる周期性を有してもよい。
【0108】
図7は、3つの層751、752、753の共振素子を有する本発明の実施形態を示す図である。各層はそれぞれ、サブアレイ状の共振回路710A、710B、710Cを備える。
【0109】
層のうち外側の対(
図7において、最上層751、最下層753として示す)は、
図5に関して上述したように、中間層752との強い相互作用によって、それぞれの外部ユニット725及び735(それぞれ送信及び受信ユニットとして示す)の共振素子720、730間の結合を強化するよう配置される。外側層751、753の共振回路間の結合は、中間層752との強い相互作用により強化される。
【0110】
このような配置により、帯域幅が増加する。例えば、配置によっては、上述のように強化された結合により、帯域幅が約2倍に増加する場合がある。
【0111】
図8は、一次元アレイ状の共振回路を有する本発明の実施形態を示す図であり、回路は、
図2のものと同様である。
図4、5、6及び7に示したもののような
図2の配置の変形例も、
図8の実施形態に適用可能である。
【0112】
本発明の幾つかの実施形態により、スマートデバイスが提供される。例えば、装置は、リアルタイムで導波路1の通過帯域の範囲を変更するように配置可能である。例えば、可変コンデンサは、装置の共振素子内に組み込まれてもよい。幾つかの実施形態において、媒体の比誘電率を変更してもよく、これにより通過帯域の範囲を変更する。
【0113】
幾つかの実施形態において、導波路は、集積回路装置(IC)内で使用可能である。例えば、MI波を用いた、電力及び/又は信号のICへの結合及びICからの結合、あるいは、IC内部の結合であってもよい。幾つかの実施形態において、一つ以上の共振子がIC上に設けられ、ICが取り付けられるか他の方法で近接して設けられた回路基板又は他の基板上に設けられた一つ以上の対応する共振子と結合されるように配置されてもよい。電力は、これにより、ICに伝達され、データ信号、制御信号、及びその他の必要な信号が、ICと基板と間で送信可能である。そのような基板を組み込む計算装置の部品を、導波路の実施形態を用いて互いに通信するよう配置してもよい。例えば、記憶装置、ランダムアクセスメモリ装置、グラフィック処理装置及び他の任意の装置や回路が、導波路により通信するよう配置してもよい。これにより、PCBに部品を搭載する、高価な壊れやすい機械的コネクタに対する要件を排除できるという利点がある。
【0114】
図9に、3層の共振回路素子1310A、1310B、1310Cをそれぞれ有する共通通信装置1300が設けられる装置の配置を示す。
【0115】
第1層1310A(データ層1310Aともいう)は、通信信号を搬送する高帯域幅バス層を設けるよう配置される。
【0116】
第2層1310B(制御層1310Bともいう)は、制御信号を搬送する比較的低帯域幅の制御層を設けるよう配置される。制御信号用通信チャネルの帯域幅は、通常、通信データチャネルの帯域幅より小さくできると理解される。制御層は、例えば、通信装置1300に結合される装置又は回路の制御に関連する信号を伝達可能である。
【0117】
第3層1310C(電力層1310Cともいう)は、装置1300に結合されたユニットに電力を伝達するよう配置される。電力は、電磁誘導により、電力層1310Cに供給され及び電力層1310Cから供給される。
【0118】
図9に示した実施形態において、電力を電力層1310Cに結合するよう配置した共振回路素子1310を有する端子の形態の電力結合器1390により、電力が電力層1310Cに結合される。
【0119】
同様に、それぞれの共振回路により、制御信号は制御層1310Bに結合可能であり、データ信号はデータ層1310Aに結合可能である。
【0120】
データ、制御、及び電力の層1319A,1310B,1310Cの共振回路1310の共振周波数は、それぞれ十分に異なるよう調整され、データ、制御、及び/又は電力の信号の交差通信量ができるだけ小さくなると理解される。
【0121】
幾つかの実施形態において、チップスタック1351、1352のようなユニットが共通通信装置1300上に設けられ、電力の供給を受けるよう配置されて、それを通じて通信する。チップスタック1351、1352は、メモリ回路、マイクロプロセッサ回路のような一つ以上の集積回路を備えてもよい。各スタック1351、1352には、装置1300の、それぞれの層1310A、1310B、1310Cと結合するよう配置された、それぞれの共振回路素子が設けられる。スタック1351、1352の各共振回路素子には、適切なフィルタ素子が設けられ、その特定の共振回路素子がピックアップするよう意図されているものに対応する信号を搬送しない回路素子によりピックアップされる信号を取り除くことを可能にする。このように、データ層1310Aに対応するスタック1351、1352の共振回路素子は、制御層1310B及び電力層1310Cからのいずれの信号もピックアップしないよう配置される。
【0122】
データ層1310Aに対応するスタック1351、1352の共振回路素子によりピックアップされた制御層1310B、電力層1310Cからの任意の信号は、適切なフィルタにより取り除かれる。
【0123】
幾つかの実施形態によれば、一つ以上の層1310A、1310B及び1310Cは、
図1に記載の共振素子で形成可能である。少なくとも一つの層1310A、1310B及び1310Cは、例えば、
図2のように、共振素子同士が導電結合するよう配置される。
【0124】
図10に、「煉瓦壁」配置として説明可能な、共振回路素子1410の配置を有する共通通信装置1400を示す。図示された実施形態において、装置は、2層1410A、1410Bの共振素子を有する。少なくともの一つの層の共振素子は、(例えば、
図2のように)導電結合している。各層の共振素子1410は、実質的に同一平面上にあり、それぞれの層の共振素子は、煉瓦壁構造体の煉瓦に類似した方法で、互いに千鳥形状の関係にある。このように、それぞれの層1410A、1410Bの素子1410は、実質的に180°で互いに位相がずれていると言える。
【0125】
図10に示した配置は、共振素子の面内結合の増加が、素子の交互の垂直結合を介して、得られるという利点がある。これには、面内信号用通信装置1400の帯域幅を高める効果がある。
【0126】
本発明の実施形態は、物理的に柔軟な装置を製造するために、柔軟な基板を含んでもよい。このような装置は、比較的単純な方法で製造可能である。場合によっては、共振子内部の形状が変化すると、結合特性が変化する可能性がある。幾つかの実施形態において、共振子は十分に小さく、連鎖内の個々の共振子間の角度は十分に小さいため、特に基板の予期される変形範囲にわたって、結合特性は維持される。
【0127】
柔軟な基板を有する実施形態の応用例として、人体に結合する線形アレイ状の共振回路がある。幾つかの実施形態において、このような回路は、一つ以上の衣料品に埋め込まれるか又は別の方法で結合される。このようなアレイ状の回路により、人体の通信網が提供され、ユーザの体に結合された又は密接した装置同士が、互いに無線により通信可能となる。例えば、アレイ状の回路により、ヘッドセットと電気的に通信する携帯電話装置が提供可能であり、共振回路は互いに実質的に平面結合する。装置間の無線通信に現在用いられている、ブルートゥース等のシステムは、混雑した場所では性能の制限を受ける。本発明の実施形態によれば、非放射性のローカルデータ転送チャンネルが用いられ、これによりセキュリティが強化され、混雑した場所での性能制限の問題が回避される。このような配置により、例えば、装置の電力及びデータ記憶部を、携帯可能な装置から、及び携帯可能な装置に対して離れた体の場所に設け、アレイ状の回路を介して装置に電力やデータを通信させてもよい。
【0128】
装置は、LCDスクリーン、衣類、医療用埋め込み装置、車両や、ボートの船体、船舶、潜水艇等のボートの表面、PCやノート型パソコンの筐体、印刷回路基板、書籍、広告用ポスター、及び任意の他の適切な非導電性基板を含む、実質的に任意の平面状非導電表面内に作成可能である。したがって、例えば、装置をPCB上に設け、PCBに結合された集積回路間のデータ通信に使用するバスラインの替わりとすることが可能である。
【0129】
幾つかの実施形態において、ユーザが、携帯電話、音楽プレーヤ、及び/又は動画プレーヤ等の通信又は記憶装置の導波路の一部に触り、データをダウンロードできるよう、導波路を配置するようにする。例えば、ユーザは、携帯機器上の映画のポスターに触れて、ポスターに対応する映画の予告編をダウンロードすることができる。
【0130】
本発明の実施形態に係る導波路装置は、ケーブル、パイプ、他の導管、及び任意の他の適切な構造体の上又は周囲にある、カーペット、カーペットタイル、壁紙、ビル製作用ボードのような構造体の範囲内に設けることが可能である。
【0131】
本発明の実施形態は、共振素子が互いに電気的に絶縁されており、相互インダクタンスを介してのみ結合している点で、
図1の配置と異なる。本発明の実施形態は、メッシュ状のループにより形成された共振素子を有する。ループは、接続されたコンデンサにより形成され、インダクタンス並びに近隣との相互インダクタンスを有する。特許出願GB 0921401.6及びPCT/GB2010/052040に記載の端子配置を、本発明の実施形態と共に使用可能である。
【0132】
図2の実施形態について、キルヒホッフの式は以下のとおりである。
0=4Zi
m,n+(jωM
1−Z)[i
m-1,n+i
m+1,n+i
m,n-1+i
m,n+1]
なお、Z=R+jωL+1/(jωC)であり、M
1は、最近傍の近傍相互インダクタンスであり、i
x,yは、ループx,y内の電流であり、R、L及びCはそれぞれ、ループの各辺の抵抗、インピーダンス及び容量である。ωは、角周波数であり、
である。
【0133】
これは、
図1に示した一次結合磁気誘導波装置のキルヒホッフの式と同様であり、インピーダンス項Zにより生まれる追加の結合を備える。
図2の構造の分散式は以下のとおりである。
cosh(γd)=2Z/(Z−jωM)
【0134】
比較により、
図1の配置の分散式は以下の通りとなる。
cosh(γd) =2Z/(jωM)
【0135】
なお、γは、伝播定数であり、dは、共振素子の周期(例えば、
図2の格子の周期であって、近隣のノード間の距離により定義される)である。減衰定数は、分散式の実数部から導出され、代表的な値を
図11に示す。
図1の配置の減衰定数を線1110で示し、
図2の配置の減衰定数は、線1120に対応する。図に示すように、
図2の配置は、
図1の配置と比較すると、中間周波数帯での減衰が半分以下となっている。
【0136】
平面構造の場合、相互インダクタンスが負なので、全体的効果としては、最近傍の近隣素子間の結合が増加する。
図12は、有効帯域幅を示す。白い領域1210は、1D構造での伝播が可能な周波数の領域である。
図2の正方形構造の平面相互インダクタンスにおいて実現可能な最大値に相当するM/L=−0.7の結合定数において、実線で示す
図2の配置の帯域幅は、点線で示す
図1の配置の帯域幅のほぼ2倍である。この点において、
図2の配置の帯域幅は、その中心周波数の97%であり、真に超広帯域のチャンネルとなっている。
【0137】
本発明の実施形態の効果は、導波路を機能させるために導波路に電力を供給する必要がないことである。所望されない限り、本発明の実施形態に係る導波路に沿って伝達される信号を制御するための制御装置も必ずしも必要ではない。
【0138】
本明細書の記載および特許請求の範囲全体において、「備える(comprise)」及び「含む(contain)」の用語や、「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」等のその用語の変形は、「含むがそれらに限定されない」ことを意味し、他の部分、付加的な物、構成成分、整数もしくは工程を排除することを意図していない(及び排除しない)。
【0139】
本明細書の記載および特許請求の範囲全体において、単数形は、文脈が別途要求しない限り、複数形を含む。特に、不定冠詞が使用される場合は、本明細書は、文脈により別途要求しない限り、単数だけでなく複数も意図していると理解すべきである。
【0140】
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例と組み合わせて記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分もしくは化学基は、矛盾していない限り、本明細書に記載した任意の他の態様、実施形態もしくは実施例に適用できると理解すべきである。