特許第6095654号(P6095654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095654
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】電池構成部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20170306BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20170306BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20170306BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01M4/62 Z
   H01M4/139
   H01M4/04 A
   H01M2/16 P
   H01M2/16 L
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-516286(P2014-516286)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公表番号】特表2014-520378(P2014-520378A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】EP2012061424
(87)【国際公開番号】WO2012175418
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年5月15日
(31)【優先権主張番号】11171201.4
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】アブスレメ, ジュリオ ア.
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ, リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】フォサーティ, パオロ
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−525124(JP,A)
【文献】 特開平09−231977(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/049318(WO,A1)
【文献】 特開2001−357854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/62
H01M 4/139
H01M 2/16
H01M 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池のための電極及びセパレータを製造する方法であって、前記方法が、以下のステップ:
(i)以下:
−3〜6の炭素原子を含む脂肪族ケトン、1〜3の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状脂肪族鎖で置換されていてもよい脂環式ケトン、1〜3の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状脂肪族鎖で置換されていてもよい脂環式エステル及びこれらの混合物からなる群から選択される液体媒質と;
−フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及び式(I):

(式中、
−R、R及びRは、互いに同じか、又は異なり、独立して、水素原子及びC〜C炭化水素基から選択され、
−Rは、水素原子であるか、又はヒドロキシル、カルボキシル、エポキシド、エステル及びエーテル基から選択される少なくとも1つの官能基を含むC〜C炭化水素部分である)
を有する少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)に由来する反復単位を含む少なくとも1種のフッ素化ポリマー[ポリマー(F)]
を含む液体組成物を調製するステップ;及び
(ii)前記液体組成物を処理して、フィルムを形成するステップ
を含み、
ここで、前記ポリマー(F)が、1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位及び0.1モル%〜5モル%の、前記式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位を含む、方法。
【請求項2】
前記(メト)アクリル系モノマー(MA)が、式(III):

(式中、
−R’’、R’’及びR’’は、水素原子であり、
−R’’は、水素原子であるか、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC〜C炭化水素部分である)
に従う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(メト)アクリル系モノマー(MA)が、アクリル酸又はアクリル酸ヒドロキシエチルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー(F)が、以下:
−1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位と、
−0.5モル%〜1.5モル%の、前記式(III)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位
から構成される、フッ素化ポリマー[ポリマー(F)]であり、
ここで、フッ化ビニリデン(VDF)由来の反復単位が、全反復単位の100モル%までを補充する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記液体組成物が粉末状電極材料を含む電極形成組成物であり、これを金属支持体上へのコーティング及びフィルムの乾燥により処理して、二次電池での使用に好適な電極を取得する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(ii)から得られる前記フィルムを、照射、フィルム伸長、テンプレート抽出、溶液沈殿法の少なくとも1つを用いて、さらに処理することにより、二次電池での使用に好適な多孔質セパレータを取得する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(ii)から得られる前記フィルムを、流延及び/又は融液形成によってさらに処理することにより、二次電池での使用に好適な稠密セパレータを取得する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(ii)から得られる前記フィルムを、セパレータ上へのコーティング及び乾燥によりさらに処理することにより、二次電池での使用に好適な複合セパレータを取得する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複合セパレータが、ステップ(ii)から得られる前記フィルムの、ポリオレフィン製セパレータ上へのコーティング及び乾燥によって得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの混合物から選択される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年6月23日に提出された欧州特許出願第11171201.4号明細書に対する優先権を請求する。尚、この文献の全内容は、あらゆる目的で本明細書に組み込むものとする。
【0002】
本発明は、二次電池に用いられる構成部品を製造する方法に関する。さらに具体的には、本発明は、二次電池に用いられる電極及び/又はセパレータを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フッ化ビニリデン(VDF)樹脂は、広い温度範囲での卓越した機械的性質、並びに高温、有機溶媒及び様々な化学浸食性環境に対する優れた耐性を備えている。
【0004】
その特性のために、これらの樹脂は、二次電池、特に、リチウムイオン電池に用いられる電極及び/又はセパレータなどの製品を製造するのに有利に用いられている。
【0005】
例えば、国際公開第2008/129041号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)(2008年10月30日)は、0.05〜10モル%の(メト)アクリル系モノマーを含む直鎖状半結晶質フッ化ビニリデン(VDF)コポリマーであって、(メト)アクリル系モノマー由来の反復単位が、フッ化ビニリデン骨格全体を通してランダムに分布している、コポリマー、並びに電極及び/又はセパレータを製造するためのその使用を開示している。これらのVDFコポリマーを溶解させるために一般に用いられる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリエチル及びリン酸トリメチルがある。
【0006】
また、欧州特許出願公開第1621573A号明細書(株式会社クレハ)(2006年2月1日)は、エポキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アミド及び酸無水物基から選択される少なくとも1つの基を有するモノマーを0.01〜10モル%含有するフッ化ビニリデン(VDF)コポリマーと、可塑剤及び好適な溶媒を含む組成物によって製造される多孔質膜を開示している。この文献の代表的実施形態は、N−メチル−2−ピロリドン中のこれらコポリマーの組成物によって製造される多孔質中空糸膜である。
【0007】
さらに、米国特許出願公開第2002/0197536号明細書(SAMSUNG SDI CO.LTD.)(2002年12月26日)には、ヘキサフルオロプロピレンを含むフッ化ビニリデン(VDF)コポリマー、又はアクリル酸及びマレイン酸モノアルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物の反復単位をさらに含むコポリマーを含む、リチウム電池用のポリマー電極が開示されている。この文献の代表的実施形態は、N−メチル−2−ピロリドン中のこれらコポリマーの電解質溶液に関する。
【0008】
しかし、ある環境上の懸念から、VDFポリマーから製造される電極及び/又はセパレータなどの二次電池の構成部品を、より好ましい毒性プロフィールを有する別の溶媒を用いて製造する方法が、一層の関心を集めている。
【0009】
従って、有毒かつ汚染溶媒の使用を回避することにより、前記溶媒の大量処理に関する費用、安全及び環境面での課題を解消することができる、VDFポリマーから製造される電極及び/又はセパレータなどの二次電池の構成部品の製造方法が、当分野では依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の目的は、二次電池の構成部品を製造する方法であり、前記方法は、以下のステップを含む:
(i)以下:
−脂肪族ケトン、脂環式ケトン、脂環式エステル及びこれらの混合物からなる群から選択される液体媒質と;
−フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及び式(I):

(式中、
−R、R及びRは、互いに同じか、又は異なり、独立して、水素原子及びC〜C炭化水素基から選択され、
−Rは、水素原子であるか、又はヒドロキシル、カルボキシル、エポキシド、エステル及びエーテル基から選択される少なくとも1つの官能基を含むC〜C炭化水素部分である)
を有する少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)に由来する反復単位を含む少なくとも1種のフッ素化ポリマー[ポリマー(F)]
を含む液体組成物を調製するステップ;及び
(ii)前記液体組成物を処理して、フィルムを形成するステップ。
【0011】
本出願人は、驚くことに、フッ素化ポリマーの適切な選択によって、有毒かつ汚染有機溶媒の使用を回避することにより、二次電池の構成部品の製造を可能にする均質液体組成物を有利に取得することができることをみいだした。
【0012】
「液体組成物」とは、本明細書では、25℃の温度で、液状で利用可能な組成物を意味するものとする。
【0013】
本発明の方法の液体組成物は、有利には、液体組成物の総重量に基づき、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも10重量%の少なくとも1種の前述のフッ素化ポリマー[ポリマー(F)]を含む。
【0014】
本発明の方法の液体組成物は、有利には、前述の液体媒質中に溶解した少なくとも1種の前述のポリマー(F)を含む溶液である。
【0015】
「溶解した」という用語は、ポリマー(F)が、液体媒質中に可溶化した状態で存在することを意味する。
【0016】
本出願人は、前述した液体媒質中の少なくとも1種の前述のポリマー(F)の均質溶液が、好適に得られることをみいだし、その際、20℃〜65℃の温度で、ポリマー(F)を、溶液の総重量に基づき、少なくとも8重量%の量で溶解させる。
【0017】
「液体媒質」とは、本明細書では、25℃の温度で、液状で利用可能な媒質を意味するものとする。
【0018】
本発明の方法の液体組成物の液体媒質は、20℃〜65℃の温度で、液体組成物の総重量に基づき、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも10重量%の少なくとも1種の前述のフッ素化ポリマー[ポリマー(F)]を溶解させるのが有利である。
【0019】
本発明の方法の液体組成物の液体媒質は、典型的に、以下からなる群から選択される:
(a)直鎖状又は分枝状脂肪族ケトン、好ましくは炭素数3〜6の直鎖状又は分枝状脂肪族ケトン、
(b)任意選択で、直鎖状又は分枝状脂肪族鎖で置換されている、脂環式ケトン(前記直鎖状又は分枝状脂肪族鎖は、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む)、
(c)任意選択で、直鎖状又は分枝状脂肪族鎖で置換されている、脂環式エステル(前記直鎖状又は分枝状脂肪族鎖は、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む)、及び
(d)これらの混合物。
【0020】
本発明の方法に好適な方法に好適な液体媒質の非制限的例として、特に、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンがある。
【0021】
200℃より低い標準沸点を有する液体媒質で、優れた結果が得られている。標準沸点は、標準大気圧で測定する。
【0022】
本発明の方法の液体組成物の液体媒質は、120℃より低い、好ましくは100℃より低い、より好ましくは70℃より低い標準沸点を有する直鎖状脂肪族ケトンからなる群から選択するのが好ましい。
【0023】
本発明の方法の液体組成物の液体媒質がアセトンである場合に、非常に優れた結果が得られている。
【0024】
本発明の方法の液体組成物のフッ素化ポリマー[ポリマー(F)]が、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及び前述した式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)に由来する反復単位を含むことが重要である。
【0025】
フッ化ビニリデン(VDF)由来の反復単位、及び前述の式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位を含むフッ素化ポリマーを用いる場合、前記フッ素化ポリマーには、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位がなく、このようにして得られたポリマーは、20℃〜65℃の温度で、前述した液体媒体に溶解しないか、又は液体組成物の総重量に基づき、8重量%に満たない量で、一部がそこに溶解する。
【0026】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、典型的に、0.5モル%〜10モル%、好ましくは1モル%〜5モル%、より好ましくは1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位を含む。
【0027】
1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位を含むポリマー(F)を用いて、非常に優れた結果が得られている。
【0028】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、典型的に、0.1モル%〜5モル%の、前述の式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位を含む。
【0029】
ポリマー(F)は、好ましくは、少なくとも0.3モル%、より好ましくは少なくとも0.5モル%の、前述の式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位を含む。
【0030】
ポリマー(F)は、好ましくは、多くとも3モル%、より好ましくは多くとも1.5モル%の、前述の式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位を含む。
【0031】
ポリマー(F)の(メト)アクリル系モノマー(MA)は、好ましくは、以下の式(II)に従う:

式中、
−R’、R’及びR’は、水素原子であり、
−R’は、水素原子であるか、又はヒドロキシル、カルボキシル及びエステル基から選択される少なくとも1つの官能基を含むC〜C炭化水素部分である。
【0032】
(メト)アクリル系モノマー(MA)は、より好ましくは、以下の式(III)に従う:

式中、
−R’’、R’’及びR’’は、水素原子であり、
−R’’は、水素原子であるか、又は少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC〜C炭化水素部分である。
【0033】
(メト)アクリル系モノマー(MA)の非制限的例としては、特に、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、ヒドロキシエチルヘキシル(メト)アクリレートがある。
【0034】
モノマー(MA)は、以下のものから選択するのがさらに好ましい:
−式:

のアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA);
−式:

のいずれかのアクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPA);
−式:

のアクリル酸(AA);及び
−これらの混合物。
【0035】
モノマー(MA)が、アクリル酸(AA)又はアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)であるとき、非常に優れた結果が得られている。
【0036】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、さらに、少なくとも1種の他のコモノマー[コモノマー(C)]に由来する反復単位を含んでもよい。
【0037】
コモノマー(C)は、水素化コモノマー[コモノマー(H)]又はフッ素化コモノマー[コモノマー(F)]のいずれであってもよい。
【0038】
「水素化コモノマー[コモノマー(H)]」という用語は、本明細書において、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和コモノマーを意味するものとする。
【0039】
好適な水素化コモノマー(H)の非制限的例として、特に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどのビニルモノマーがある。
【0040】
「フッ素化コモノマー[コモノマー(F)]」という用語は、本明細書において、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和コモノマーを意味するものとする。
【0041】
好適なフッ素化コモノマー(F)の非制限的例として、特に、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)及びフッ化ビニルがある。
【0042】
コモノマー(C)が存在する場合、本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、典型的に、1モル%〜10モル%、好ましくは2モル%〜5モル%の前記コモノマー(C)の反復単位を含む。
【0043】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、好ましくは、以下:
−1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位と、
−0.5モル%〜1.5モル%の、前述の式(I)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位
を含み、フッ化ビニリデン(VDF)由来の反復単位が、全反復単位の100モル%までを補充する、
フッ素化ポリマー[ポリマー(F)]である。
【0044】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、好ましくは、以下:
−1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位と、
−0.5モル%〜1.5モル%の、前述の式(III)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位
を含み、フッ化ビニリデン(VDF)由来の反復単位が、全反復単位の100モル%までを補充する、
フッ素化ポリマー[ポリマー(F)]である。
【0045】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、好ましくは、以下:
−1.5モル%〜3.5モル%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の反復単位と、
−0.5モル%〜1.5モル%の、前述の式(III)の少なくとも1種の(メト)アクリル系モノマー(MA)由来の反復単位
から構成され、フッ化ビニリデン(VDF)由来の反復単位が、全反復単位の100モル%までを補充する、
フッ素化ポリマー[ポリマー(F)]である。
【0046】
本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、水性懸濁重合又は水性乳化重合法によって製造することができる。本発明の方法の液体組成物のポリマー(F)は、国際公開第2008/129041号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)(2008年10月30日)に記載されているような水性懸濁重合よって製造するのが好ましい。
【0047】
「二次電池」とは、本明細書において、再充電可能な電池を意味するものとする。
【0048】
本発明の二次電池は、好ましくは、アルカリ又はアルカリ土類二次電池である。
【0049】
本発明の二次電池は、より好ましくは、リチウムイオン電池である。
【0050】
本発明の方法のステップ(ii)において、液体組成物を、典型的に、押出成形、圧縮成形及び/又は流延によって処理することにより、フィルムを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の方法の第1の実施形態によれば、液体組成物を金属支持体上にコーティングし、フィルムを乾燥させることにより処理して、二次電池での使用に好適な電極を取得する。
【0052】
本発明の方法の第1の実施形態の液体組成物は、典型的に、粉末状の電極材料、並びに、任意選択で、1種以上の添加剤、例えば、導電性を付与する添加剤及び/又は粘度調整剤をさらに含む電極形成組成物である。
【0053】
本発明の方法の第1の実施形態の電極形成組成物は、典型的に、以下:
−有利には20℃〜80℃、好ましくは21℃〜70℃、より好ましくは22℃〜65℃の温度で、バインダー溶液の総量に基づき、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも10重量%の前述の少なくとも1種のポリマー(F)を、前述の液体媒質中に溶解させることにより、バインダー溶液を取得するステップ、並びに
−前述した粉末状電極材料と、任意選択で1種以上の添加剤を前記バインダー溶液に添加し、分散させることにより、前記電極形成組成物を取得するステップによって調製する。
【0054】
リチウムイオン電池の正極を形成する場合、粉末状電極材料は、LiMY(式中、Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr及びVなどの遷移金属の少なくとも1種を示し;Yは、O若しくはSなどのカルコゲンを示す)の一般式で表される複合金属カルコゲニドを含んでもよい。中でも、LiMO(式中、Mは、上に定義した通りである)の一般式で表されるリチウムを基材とする複合金属酸化物を用いるのが好ましい。その好ましい例として、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−x(0<x<1)、及びスピネル型構造のLiMnが挙げられる。
【0055】
別の態様として、やはりリチウムイオン電池の正極を形成する場合に、粉末状電極材料は、組成式:AB(XO1−fのリチオ化若しくは部分的リチオ化遷移金属オキシアニオンを基材とする電極材料を含んでもよく、上記式中、Aは、リチウムであり、これは、A金属の20%未満を占める別のアルカリ金属で部分的に置換されていてもよく、Bは、Fe、Mn、Ni若しくはこれらの混合物から選択される酸化レベル+2の主要レドックス遷移金属であり、これは、主要+2レドックス金属の35%未満を占める(0を含む)酸化レベル+1〜+5の1種以上の別の金属で部分的に置換されていてもよく、XOは、XがP、S、V、Si、Nb、Mo若しくはこれらの組合せのいずれかである任意のオキシアニオンであり、Eは、フッ化物、水酸化物若しくは塩化物陰イオンであり、fは、XOオキシアニオンのモル分率であり、一般に、0.75〜1である。
【0056】
前述のAB(XO1−f粉末状電極材料は、リン酸塩を基材とするのが好ましく、規則的若しくは改変オリビン構造を有していてもよい。
【0057】
さらに好ましくは、前述した活性物質は、式:Li3−xM’M’’2−y(XOに従い、式中、0≦x≦3、0≦y≦2;M’及びM’’は、同じか、若しくは異なる金属であり、そのうち少なくとも1つは、レドックス遷移金属であり;XOは、主としてPOであり、これは、別のオキシアニオンで部分的に置換されていてもよく、Xは、P、S、V、Si、Nb、Mo若しくはこれらの組合せのいずれかである。さらにまた好ましくは、粉末状電極材料は、組成式:Li(FeMn1−x)POを有する、リン酸塩を基材とする電極材料であり、式中、0≦x≦1であり、ここで、xは、好ましくは1である(すなわち、式:LiFePOのリン酸鉄リチウム)。
【0058】
リチウムイオン電池の負極を形成する場合、粉末状電極材料は、好ましくは、グラファイト、活性化炭素などの炭素質材料、又はフェノール樹脂、ピッチなどの炭化によって得られる炭素質材料を含んでもよい。炭素質材料は、平均粒径が約0.5〜100μmの粒子状で用いるのが好ましい。
【0059】
特に、限定的な導電性を示すLiCoO又はLiFePOなどの活性物質を用いる場合、本発明の電極形成組成物の塗布及び乾燥により形成して、得られた複合電極層の導電性を改善するために、導電性を付与する添加剤を添加してもよい。その例として、カーボンブラック、グラファイト微粉末及び繊維などの炭素質材料、並びにニッケル及びアルミニウムなどの金属の微粉末及び繊維が挙げられる。
【0060】
正極用の好ましい電極形成組成物は、以下を含む:
(a)(a)+(b)+(c)の総重量に基づき、1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜9重量%、より好ましくは約3重量%の量の、少なくとも1種のポリマー(F)と;
(b)(a)+(b)+(c)の総重量に基づき、2重量%〜10重量%、好ましくは4重量%〜6重量%、より好ましくは約5重量%の量の、導電性付与添加剤としてのカーボンブラックと;
(c)80重量%〜97重量%、好ましくは85重量%〜94重量%、より好ましくは約92重量%の量の、粉末状電極材料、好ましくは、上に詳述した一般式:LiMYで表される複合金属カルコゲニド、又は上に詳述した組成式:AB(XO1−fで表されるリチオ化若しくは部分的リチオ化遷移金属オキシアニオンを基材とする電極材料。
【0061】
本発明の方法の第2の実施形態によれば、ステップ(ii)から得られるフィルムをさらに処理して、二次電池での使用に好適なセパレータを取得する。
【0062】
本発明の目的のために、「セパレータ」という用語は、それと接触する化学種の透過を緩和する、個別の、一般に薄い、界面を指すものとする。この界面は、均質、すなわち、完全に均質な構造をしていてもよいし(稠密セパレータ)、又は化学的若しくは物理的に非均質であってもよく、例えば、有限次元の間隙、孔若しくは穴を含む(多孔質セパレータ)。「孔」、「間隙」及び「穴」という用語は、本発明に関して同義語として用いる。
【0063】
多孔質セパレータは、一般に、多孔度(ε)及び平均孔径(d)を特徴とし、多孔度は、前記多孔質であるセパレータの体積率の測度である。
【0064】
本発明の方法の第2実施形態によって得られるセパレータは、無機粒子、好ましくはアルミナ及びシリカをさらに含んでもよい。
【0065】
本発明の方法の第2実施形態の第1変形例によれば、ステップ(ii)から得られるフィルムをさらに処理して、多孔質セパレータを取得する。
【0066】
セパレータが多孔質セパレータである場合、本発明の方法は、有利には、照射、フィルム伸長、テンプレート抽出、溶液沈殿法の少なくとも1つを用いて、本発明のステップ(ii)から得られるフィルムをさらに処理することを含む。
【0067】
照射法によれば、本発明の方法のステップ(ii)から得られるフィルムをまず、好適な線源からの荷電粒子で照射し、前記粒子が、典型的に、ポリマー鎖を破壊して、増感/損傷トラックを残した後;前記照射フィルムを好適な腐食溶液に通過させて、増感トラックに沿って優先的にエッチングすることにより、孔を形成する。
【0068】
フィルム伸長法によれば、本発明の方法のステップ(ii)から得られるフィルムの後の延伸及び引張により、多孔質セパレータを製造し;こうして、ポリマー(F)の延伸フィルムを、典型的に、ドローダウン下で押し出し;冷却した後、フィルムを有利には、本来の配向に対して直角に引っ張ることにより、典型的に、ポリマーの結晶構造が変形し、スリット様の間隙が有利に形成される。
【0069】
テンプレート抽出法によれば、抽出可能な成分をさらに含む前述の液体組成物からポリマー(F)のフィルムを得た後、抽出可能な成分を好適な溶媒で除去した後、多孔質セパレータを形成する。抽出可能な成分は、可溶性低分子量固体若しくは液体であってよく、例えば、可塑剤、低分子量VDFポリマーなどがある。
【0070】
可塑剤としては、一般に水素化可塑剤を用いてよい。特に、クエン酸塩、フタル酸塩、トリメット酸塩、セバシン酸塩、アジピン酸塩、アゼライン酸塩などのエステル又はポリエステルを挙げることができる。これらの例として、以下のものが挙げられる:例えば、アジピン酸−プロピレングリコールタイプ、及びアジピン酸−1,3−ブチレングリコールタイプのアジピン酸を基材とするポリエステル;例えば、セバシン酸−プロピレングリコールタイプのセバシン酸を基材とするポリエステル;例えば、アゼライン酸−プロピレングリコールタイプ、及びアゼライン酸−1,3−ブチレングリコールタイプのアゼライン酸を基材とするポリエステル;例えば、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのフタル酸アルキル;クエン酸アルキル及びアシル、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸アセチル−トリ−n−ブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチル−トリ−オクチルクエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチル−トリヘキシル、クエン酸ブチリル−トリヘキシル若しくはクエン酸トリヘキシル−o−ブチリル;特に、トリメット酸トリメチル、トリメット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメット酸トリ−(n−オクチル,n−デシル)、トリメット酸トリ−(ヘプチル,ノニル)、トリメット酸n−オクチルなどのトリメット酸アルキル。
【0071】
一般に、本発明の方法のステップ(ii)から得られるポリマー(F)のフィルムを抽出溶媒に浸漬して、可塑剤及び液体媒質を抽出する。室温で抽出を実施することにより、厚さ、抽出溶媒の種類及び撹拌に応じて、数分から数時間の時間で、完全な可塑剤抽出を達成することができる。一般に、可塑剤を完全に抽出するには、数分の時間で十分である。抽出後、多孔質セパレータが得られる。
【0072】
抽出溶媒としては、可塑剤は可溶性であるが、ポリマーの膨潤が起こらないように、ポリマー(F)とは相溶性でない溶媒を一般に用いる。最も一般的に用いられるクラスの溶媒は、好ましくは短鎖、例えば、1〜6個の炭素原子を有する脂肪族アルコールのクラスであり、より好ましくは、メタノール及びイソプロパノールである。
【0073】
溶液沈殿法によれば、前述のポリマー(F)を含む溶液を2つの相、すなわち、固体で、ポリマーが豊富な相(セパレータのマトリックスを形成する)と、液体で、ポリマーが希薄な相(セパレータの気孔を形成する)に沈殿させる。溶液からのポリマー沈殿は、複数の方法、例えば、冷却、溶媒蒸発、非溶媒中への浸漬による沈殿、蒸気相からの非溶媒の吸収などによって達成することができる。
【0074】
本発明の方法の第2実施形態の第2変形例によれば、ステップ(ii)から得られるフィルムをさらに処理して、稠密セパレータを取得する。
【0075】
セパレータが、稠密セパレータである場合、本発明の方法は、有利には、本発明の方法のステップ(ii)から得られるフィルムを流延及び/又は融液形成するステップを含む。
【0076】
流延は、一般に、溶液流延を含み、典型的に、鋳造ナイフ又はドローダウンバーを用いて、前述の液体媒質中のポリマー(F)の適切な溶液の均一なフィルムを好適な支持体上で延ばす。流延が実施されると、一般に、液体は蒸発して、均一な稠密セパレータが残る。
【0077】
融液形成は、一般に、ダイからのシートとして押出により、又はインフレートフィルムとしてのいずれかで、稠密セパレータを製造するのに用いられる。
【0078】
本発明の方法の第2実施形態の第3変形例によれば、ステップ(ii)から得られるフィルムをさらに処理して、複合セパレータを取得する。
【0079】
本発明の方法の第2実施形態の第3変形例の複合セパレータは、典型的に、本発明の方法のステップ(ii)から得られたフィルムをセパレータ上にコーティングして、乾燥させることによって得られる。
【0080】
本発明の方法の第2実施形態の第3変形例の複合セパレータは、好ましくは、本発明の方法のステップ(ii)から得られたフィルムを、ポリオレフィン製のセパレータ上にコーティングして、乾燥させることにより得られるが、前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの混合物から選択するのが好ましい。
【0081】
万一、参照として本明細書に組み込まれるいずれかの特許、特許出願及び刊行物の開示内容が、ある用語を不明にする程度まで、本願の記載内容と矛盾する場合には、本明細書の記載内容が優先されるものとする。
【0082】
以下の実施例を参照にしながら、本発明をさらに詳しく説明することにする。尚、これらの実施例の目的はあくまで説明であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0083】
電極の接着性の決定
電極の接着性は、ASTM D903に従い、20℃で10mm/分の速度で測定した。
【0084】
イオン導電率の決定
ポリマー(F)のフィルムを、炭酸エチレン/炭酸プロピレン(1:1重量比)中のLiPF1Mの電解質溶液に浸漬し、乾燥グローブボックス内に24時間室温で保存した。得られたポリマー電解質を2つのステンレス鋼電極の間に配置して、容器内に密封した。
【0085】
ポリマー電解質の抵抗を測定した後、以下の等式を用いて、イオン導電率([σ])を計算した:

式中、dは、フィルムの厚さであり、Rは、体抵抗であり、Sは、ステンレス鋼電極の面積である。
【0086】
固有粘度の決定
ポリマー(F)の固有粘度([η])の測定は、25℃で、濃度約0.2g/dlのN,N−ジメチルホルムアミド中にポリマー(B)を溶解させることにより、以下の等式に従い、Ubbelohde粘度計を用いて実施する:

式中、cは、ポリマー濃度(g/dl)であり;
ηは、相対粘度、すなわちサンプル溶液の滴下時間と溶媒の滴下時間の比であり;
ηspは、比粘度、すなわちη−1であり;
Γは、実験係数であり、ポリマー(F)の場合、3である。
【0087】
実施例1
a)VDF/HFP/HEAコポリマーの調製
880rpmの速度で作動するインペラーを備えた4リットル反応器内に、2455gの脱イオン水と0.63gのMETHOCEL(登録商標)K100GR沈殿防止剤を順に導入した。
【0088】
反応器をガス抜きしてから、窒素で1バールまで加圧し、イソドデカン中のt−アミルパーピバレート開始剤の75容量%溶液8.55gを反応器に導入した後、107gのHFPモノマーと947gのVDFモノマーを導入した。次に、最終圧力110バールまで反応器を52℃に徐々に加熱した。試験全体を通して、温度を55℃に一定に維持した。合計709mlまでアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA)モノマーの19.96g/l水溶液を供給することにより、試験全体を通して圧力を110バールに一定に維持した。510分後、大気圧に達するまで懸濁液をガス抜きすることにより、重合ランを停止した。このようにして得られたポリマーを回収し、脱イオン水で洗浄した後、50℃のオーブンで乾燥させた(814g)。
【0089】
このようにして得られたポリマーは、NMRにより測定して、2.3モル%のHFPと、1.0モル%のHEAを含有していた。ポリマーは、10℃/分の加熱速度でASTM D3418に従い測定して、融点が157.7℃であり、また、ASTM D1238に従い(230℃、5Kg)測定して、メルトフローインデックスが5.1g/10分であった。
【0090】
b)VDF/HFP/HEAコポリマーの液体組成物の調製
完全な溶解が起こるまで、23℃で磁気撹拌しながらポリマーを液体媒質に溶解させることにより、透明な単相溶液を得た。均質溶液を有利に得るために、VDF/HFP/HEAコポリマーをアセトンに溶解させる上限の量は、23℃で15w/v%であった。
【0091】
また、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンから選択される液体媒質中に、45℃で10w/v%の量でVDF/HFP/HEAコポリマーを溶解させることによっても均質溶液を得た。
【0092】
実施例2
a)VDF/HFP/AAコポリマーの調製
速度880rpmで作動するインペラーを備えた4リットル反応器内に、2460gの脱イオン水と0.63gのMETHOCEL(登録商標)K100GR沈殿防止剤を順に導入した。
【0093】
反応器をガス抜きしてから、窒素で1バールまで加圧し、イソドデカン中のt−アミルパーピバレート開始剤の75容量%溶液9.98gと5.35gの炭酸ジエチルを反応器に導入した後、0.5gのアクリル酸(AA)モノマー、107gのHFPモノマー及び949gのVDFモノマーを導入した。次に、反応器を徐々に55℃及び最終圧力110バールまで加熱した。試験全体を通して、温度を55℃に一定に維持した。合計750mlまでAAモノマーの17.44g/l水溶液を供給することにより、試験全体を通して圧力を110バールに一定に維持した。516分後、大気圧に達するまで懸濁液をガス抜きすることにより、重合ランを停止した。このようにして得られたポリマーを回収し、脱イオン水で洗浄した後、50℃のオーブンで乾燥させた(852g)。
【0094】
このようにして得られたポリマーは、NMRで測定して、2.5モル%のHFPと、1.0モル%のAAを含有していた。ポリマーは、10℃/分の加熱速度でASTM D3418に従い測定して、融点が152.4℃であり、また、ASTM D1238に従い(230℃、5Kg)測定して、メルトフローインデックスが2.7g/10分であった。
【0095】
b)VDF/HFP/AAコポリマーの液体組成物の調製
完全な溶解が起こるまで、23℃で磁気撹拌しながらポリマーを液体媒質に溶解させることにより、透明な単相溶液を得た。均質溶液を有利に得るために、VDF/HFP/AAコポリマーをアセトンに溶解させる上限の量は、23℃で15w/v%の量であった。
【0096】
また、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンから選択される液体媒質中に、45℃で10w/v%の量でVDF/HFP/AAコポリマーを溶解させることによっても均質溶液を得た。
【0097】
比較例1
a)VDF/AAコポリマーの調製
HFPモノマーを含まない以外は、実施例2に詳述したのと同じ手順に従った。
【0098】
このようにして得られたポリマーは、NMRにより測定して、1.0モル%のAAを含有していた。このポリマーは、ASTM D3418に従い、10℃/分の加熱速度で測定して、融点が162.0℃であった。
【0099】
b)VDF/AAコポリマーの液体組成物の調製
23℃で磁気撹拌しながら、ポリマーをアセトンに部分的に溶解させた。アセトン中のVDF/AAコポリマーの溶解度は、23℃で5重量%であった。
【0100】
従って、少なくとも1種のポリマー(F)の均質溶液が首尾よく得られ、23℃で最大5w/v%の量でアセトン中に部分的に溶解した比較例1のVDF/AAコポリマーと比較して、本発明の実施例1及び2のポリマー(F)は、23℃で最大15w/v%の量でアセトン中に有利に溶解することがわかった。
【0101】
実施例3−電極の製造
炭酸ジエチルを含まない以外は、実施例2−a)に詳述した手順に従って得られたVDF/HFP/AAコポリマーのアセトン中の10w/v%溶液を用いて、陰極を調製した。
【0102】
このようにして得られたポリマーは、NMRにより測定して、2.5モル%のHFPと、1.0モル%のAAを含有していた。ポリマーは、ASTM D3418に従い、10℃/分の加熱速度で測定して、融点が149℃であり、また、固有粘度は、約3.3dl/gであった。
【0103】
フラットPTFEディスクを備えたDispermatを用いて、室温で機械的に撹拌しながら、溶液を調製した。これに、導電性カーボンブラック及びコバルト酸リチウム(LiCoO)を穏やかに撹拌しながら添加することにより、ポリマー(F)、カーボンブラック及びLiCoOの量が、それぞれ5重量%、5重量%及び90重量%である固形物濃度40%のスラリーを取得した。
【0104】
高度の均質性を確実にするように、スラリーを入念に混合した。スラリー調製物に含まれる材料はすべて、4Åの分子篩を用いた乾燥(溶媒の場合)又は100℃で一晩の乾燥(粉末の場合)のいずれかに付した。
【0105】
次に、スラリーを真空下でガス抜きし、事前に脱脂したアルミホイル上にDoctor Bladeコーティング器具を用いて延ばした。最後に、一定温度で、溶媒を確実に除去するのに十分な時間、典型的には:130℃で15分、80℃で30分、及び40℃で4時間にわたり、コーティングをバキュームオーブンで乾燥させた。乾燥したコーティングの厚さは約50μmであった。
【0106】
比較例2−電極の製造
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)中の10w/v%のN−メチル−2−ピロリドン溶液を用いる以外は、本発明の実施例3で詳述した同じ手順に従った。
【0107】
PVDFのN−メチル−2−ピロリドン溶液から調製したものと比較して、本発明のポリマー(F)のアセトン溶液から調製した電極の優れた接着性が達成されたことがみとめられた(以下の表1を参照)。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例4−多孔質セパレータの製造
本発明の実施例1で得られたVDF/HFP/HEAポリマー及び本発明の実施例2で得られたVDF/HFP/AAポリマーのアセトン溶液を2w/v%ずつ用いて、2つの多孔質セパレータを製造した。このセパレータに、水を7.5重量%の量で添加し、次にSiOを1:10(SiO:ポリマー(F))の重量比で添加した。次に、溶液を薄膜状に流延し、アセトンが完全に蒸発するまで、室温で放置した。こうして得られた厚さ約20μmの多孔質フィルムをエタノールで洗浄した後、60℃で2時間乾燥させた。
【0110】
本発明の実施例1及び2に従い得られたポリマー(F)のアセトン溶液から調製した多孔質セパレータの優れたイオン導電率値が達成されたことがわかった(以下の表2を参照)。
【0111】
【表2】
【0112】
以上のことから、本発明の方法に従い液体組成物を処理することによって得られるフィルムは、二次電池に使用するための電極及び/又はセパレータの製造に好適であるとみとめられた。