特許第6095657号(P6095657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6095657遷移金属窒化物を含有する電極を有するウルトラキャパシタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095657
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】遷移金属窒化物を含有する電極を有するウルトラキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/30 20130101AFI20170306BHJP
   C30B 29/38 20060101ALI20170306BHJP
   C30B 7/10 20060101ALI20170306BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20170306BHJP
   H01G 11/68 20130101ALI20170306BHJP
   H01G 11/24 20130101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01G11/30
   C30B29/38 Z
   C30B7/10
   H01G11/60
   H01G11/68
   H01G11/24
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-518618(P2014-518618)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公表番号】特表2014-523646(P2014-523646A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】US2012042679
(87)【国際公開番号】WO2013003073
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】61/501,656
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/505,758
(32)【優先日】2011年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510123264
【氏名又は名称】シックスポイント マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】橋本 忠朗
【審査官】 佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−040480(JP,A)
【文献】 特表2001−522133(JP,A)
【文献】 特開2005−183556(JP,A)
【文献】 特表2009−533303(JP,A)
【文献】 特開2010−183059(JP,A)
【文献】 特開2008−098151(JP,A)
【文献】 Pietro Chirico et al.,"Solvothermal synthesis of group 5 and 6 nitrides via reactions using LiNH2 and ammonia nitrogen sou,Dalton Transactions,2010年,Vol.39,p.6092-6097
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00、
H01G 11/00−11/86、
H01M 4/00− 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アノード電極;
(b)カソード電極;
(c)前記アノード電極と前記カソード電極との間のセパレーター;
(d)前記アノード電極と前記カソード電極との間の電解質
を含む、電気エネルギー蓄積装置であって、
少なくとも1つの電極が、無視できる量のハロゲン化物不純物を有するかもしくはハロゲン化物不純物を有さない、遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物の粒子を含有し、
前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物が、アルカリ金属添加剤をさらに含有する、
電気エネルギー蓄積装置。
【請求項2】
前記アノード電極およびカソード電極の両方が、前記無視できる量のハロゲン化物不純物を有する、前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物の粒子を含有する、請求項1に記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項3】
前記アルカリ金属添加剤が、Li、Na、およびKからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属を含む、請求項2に記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項4】
前記アノード電極、前記カソード電極、前記セパレーター、および前記電解質を封入するハウジングの外側に露出した、各電極に接続した電気端子をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項5】
前記アノード電極、前記セパレーター、および前記カソード電極の複数のセットのスタックをさらに含み、前記スタックは、前記電解質を有するハウジング中に封入されており、電気端子は、最外側の電極に接続しており、かつ前記ハウジングの外側に露出している、請求項1から3のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項6】
前記電極が、金属箔上に形成された、前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物の粒子を含有する多孔性膜を含む、請求項1から5のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項7】
前記多孔性膜が、10重量パーセント超の前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物の粒子を含有する、請求項6に記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項8】
前記金属箔は、アルミニウムを含む、請求項6または請求項7に記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項9】
前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の前記混合物の粒子が、10m/g超の比表面積を有する、請求項1から8のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項10】
前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の前記混合物の粒子が、100nm未満のサイズを有する、請求項1から9のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項11】
前記遷移金属窒化物が、窒化バナジウムを含む、請求項1から10のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項12】
前記電解質が、炭酸プロピレンまたはアセトニトリルを含む、請求項1から11のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項13】
前記電解質が、塩基性溶液である、請求項1から12のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項14】
前記遷移金属窒化物が、ハロゲン化物不純物を含有しない、請求項1から13のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【請求項15】
前記遷移金属窒化物が1ppm未満のハロゲン化物不純物を含有する、請求項1から13のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、「SYNTHESIS METHOD FOR TRANSITION METAL NITRIDE AND TRANSITION METAL NITRIDE」と題された、橋本忠朗を発明者とする、2011年6月27日に出願された米国仮特許出願第61/501,656号、および「ULTRA CAPACITORS USING VANADIUM NITRIDE−CONTAINING ELECTRODE AND SYNTHESIS METHOD OF TRANSITION METAL NITRIDE AND TRANSITION METAL NITRIDE」と題された、橋本忠朗を発明者とする、2011年7月8日に出願された米国仮特許出願第61/505,758号への優先権を主張する。これらの特許出願の内容は、あたかも以下ですべてが示されるように、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、スーパーキャパシタとしてもまた公知であるウルトラキャパシタに関する。ウルトラキャパシタの用途は、ハイブリッド/電気自動車、宇宙船、無中断の電源およびメモリーバックアップ電源を含み得る。また、本発明は、遷移金属窒化物およびこれらの合成方法に関する。遷移金属窒化物が取り得る形態には、薄膜層、マイクロメートルサイズの粒子、およびナノメートルサイズの粒子が含まれ得る。用途には、摩耗保護層としての薄膜、ウルトラキャパシタのための粒子、触媒の粒子、耐摩耗コーティングの添加剤としての粒子、および磁石を含み得る。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ウルトラキャパシタは、イオン吸着(電気二重層コンデンサ、EDLC)または速い表面酸化還元(還元−酸化)反応(擬似コンデンサ)のいずれかを使用してエネルギーを貯える。ウルトラキャパシタは、通常のコンデンサより数桁高い電荷を貯えることができる。通常のバッテリーと比較して、ウルトラキャパシタは、化学的酸化還元反応が関与しないため、非常により速く荷電−放電することができる。さらに、極めて低い内部抵抗によって、ウルトラキャパシタは通常のバッテリーより非常に高い電流を供給することができる。総エネルギー密度は、通常のバッテリーの総エネルギー密度より約一桁低いが、ウルトラキャパシタの独自の特徴によって、メモリーバックアップ、ハイブリッド/電気自動車のためのブースター電源、および短い電源異常のための一時的電源におけるこれらの用途が見出された。重量に敏感な用途、例えば、ハイブリッド/電気自動車、航空機、および宇宙船のために、より高いエネルギー密度を有するウルトラキャパシタが必要とされる。通常のバッテリーに匹敵するエネルギー密度を有するウルトラキャパシタの需要が近年高まっている。
【0004】
ウルトラキャパシタは通常、炭素ベースの電極と共に構成される。しかし、炭素ベースの電極の低い比キャパシタンスによって、エネルギー密度は、通常のバッテリーのエネルギー密度より2桁以上低い。比エネルギー密度は比キャパシタンスに比例しており、したがって、電極の比キャパシタンスを増加させることが非常に重要である。通常のコンデンサと同様に、比キャパシタンスは、比表面積および誘電率に比例しており、このように多くの改善がされ、電極が改善されてきた。
【0005】
例えば、米国特許(特許文献1)[1]は、ナノサイズの多孔性炭素構造を利用することによる極めて大きな比表面積(1500m/g)を開示している。しかし、比キャパシタンスは、100F/gのオーダー程度に低い。米国特許(特許文献2)[2]において、比キャパシタンスは、高い誘電率を有するナノサイズの粒子を炭素ベースの電極上に加えることによって増加する。このアプローチは比キャパシタンスを増加させるのに有効であるが、炭素ベースの電極は、本質的に低い比キャパシタンスという不都合を有する。代替の材料、例えば、金属酸化物が調査されており、酸化ルテニウム(RuO)は、600F/gの高い比キャパシタンスを有することが報告されている[3]。しかし、Ruの極めて高いコストによって、これは実用には好ましくない。対照的に、金属窒化物は、高い比キャパシタンスを有することが報告されている。窒化バナジウムは、1340F/gもの高い比キャパシタンスを記録した[4]。また、米国特許(特許文献3)[5]は、三元遷移金属窒化物、すなわち、遷移金属窒化物の混合物の高い比キャパシタンスを開示した。
【0006】
遷移金属窒化物はウルトラキャパシタの性能を改善させる大きな潜在力を有するが、その化学的安定性のために、その合成は困難なものである。参考文献4および5は、クロリド前駆体を使用した遷移金属窒化物の合成方法を開示している。しかし、この方法は、ハロゲン化物不純物が残り、これは電極のための支持金属、電気端子またはハウジングの腐食を潜在的にもたらし得る。遷移金属窒化物を有する信頼できるウルトラキャパシタを達成するために、ハロゲン化物元素が関与しない合成方法が好ましい。
【0007】
遷移金属窒化物は、歴史的に、その強力な機械的および熱的性質によって、耐摩耗コーティングおよびサーマルバリアとして使用されてきた。構造工学および機械工学の発展と共に、コーティングおよびバリアは、複雑および微細な構造をカバーすることが必要とされている。すなわち、その体積に対する表面積は、近年大きくなりつつある。
【0008】
遷移金属窒化物は、ウルトラキャパシタ、触媒、および磁石のための機能材料として有用であることがまた報告されている。ウルトラキャパシタ、触媒、または磁石として遷移金属窒化物を使用するために、材料の表面積を増加させることが重要である。ナノサイズの粒子を使用したナノテクノロジーは、その重量に対する極めて大きな表面積によって優れた特徴を得る潜在力を有する。大きな表面積を必要とする機能材料、例えば、ウルトラキャパシタおよび触媒は、ナノテクノロジーから途方もない利益を受ける。
【0009】
大きな表面積を有する小さなサイズの材料をカバーする需要の高まりと共に、既存の合成方法は、いくつかの難題に直面している。遷移金属は、窒化されるより容易に酸化されるため、遷移金属窒化物の合成は、酸素および水分の除去を必要とする。合成方法は典型的には、真空/気密性のある反応器における気相反応が関与する。遷移金属パーツ上に窒化物層を形成するために、物理蒸着またはプラズマ蒸着が使用される。しかし、これらの方法によると、気相反応物は、深い穴の底面に達しないため、深い止まり穴を有する複雑な構造をコーティングすることができない。
【0010】
粒子合成の場合は、気相方法は、カバーする極めて高い表面積のためにさらにより効率的でない。粒子が10nm未満のサイズまたは10m/g超の比表面積を有するとき、ガス状作用物質が全表面をカバーすることは困難である。例えば、窒化バナジウムナノ粒子は、前駆体としてVClを使用して合成される。グローブボックス内で、VClを無水クロロホルムに溶解し、撹拌する。次いで、溶液をArで充填されたグローブバッグに移し、ここで溶解したクロリドを、溶液上で無水アンモニアガスと8時間反応させる。調製したままの粉末を、NHガスの連続流下で100℃にて溶媒をエバポレートさせることによって集める。窒化のための最終熱処理は、5℃/分の加熱および冷却速度で無水アンモニア雰囲気下にて行う。熱処理のための温度は、400℃である[4]。この例において示すように、最終熱処理は、高温でのアンモニアの一定流量を伴う気相反応が関与する。このような高温は、焼結を引き起こし、より低温の工程を使用して達成されるものより大きな粒径をもたらすことができる。また、この工程は、合成した遷移金属窒化物中に塩素不純物を残し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0180881号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0149473号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0019207号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
遷移金属窒化物の既存の合成方法における難題を、下記のように要約する。(1)既存の方法は、気相反応を使用し、これは複雑な構造または小さな粒子の表面をカバーすることができない。(2)既存の方法は、一定流量の原料ガス、例えば、アンモニアまたは窒素を必要とする。(3)いくつかの既存の方法は、ハロゲン化金属前駆体を使用し、これによって、ウルトラキャパシタ用途に好ましくないハロゲン不純物が残る。(4)いくつかの既存の方法は、遷移金属窒化物を得るための複数のステップを必要とする。(5)いくつかの既存の方法は、より大きな粒径をもたらす高温を必要とする。
【0013】
発明の要旨
ウルトラキャパシタと関連する難題を克服するために、本発明は、ハロゲン化物不純物を含有しない遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物を利用する新規なウルトラキャパシタを提供する。ウルトラキャパシタの構成は、通常の様式に従ってもよい。本発明は、アルカリ金属鉱化剤を有する超臨界アンモニア中で合成された遷移金属窒化物の小さな粒子を利用する。この工程は、ハロゲン化物元素が関与せず、したがってハロゲン化物不純物を有さない遷移金属窒化物を生成する。さらなるメリットは、いくつかのアルカリ金属を、生成された遷移金属窒化物中にドープしてもよく、これによって電解質の効率性が増加し得ることである。この新規な構成は、高度に信頼でき、高いエネルギー密度のウルトラキャパシタを実現することが期待されている。
【0014】
本発明によって提供される超臨界アンモニア中で遷移金属窒化物を合成する新規な方法において、遷移金属を含有する原料物質を、アンモニアおよび鉱化剤と一緒に高圧反応器に供給する。還元剤として作用する鉱化剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムから選択される。次いで、反応器を132℃または132℃超で加熱し、アンモニアの超臨界状態を達成する。反応器は、加熱によってアンモニアの自己加圧を達成するために典型的には密封される。しかし、供給源、鉱化剤またはアンモニアのさらなる給送を可能とする半開放の反応器がまた使用可能である。鉱化した超臨界アンモニアの高い反応性は、通常の方法より低い温度にて遷移金属を窒化するのに非常に有効であり、したがって、例えば、より高温で粒子を焼結する工程より小さな粒径の触媒粒子を生成する。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
(a)アノード電極;
(b)カソード電極;
(c)前記アノード電極と前記カソード電極との間のセパレーター;
(d)前記アノード電極と前記カソード電極との間の電解質
を含む、電気エネルギー蓄積装置であって、
少なくとも1つの電極が、無視できる量のハロゲン化物不純物を有する、遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物を含有する、電気エネルギー蓄積装置。
(項目2)
前記アノード電極およびカソード電極の両方が、前記無視できる量のハロゲン化物不純物を有する、前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物を含有する、項目1に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目3)
前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物が、アルカリ金属添加剤をさらに含有する、項目1または項目2に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目4)
前記アルカリ金属添加剤が、Li、Na、およびKからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ金属を含む、項目3に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目5)
前記アノード電極、前記カソード電極、前記セパレーター、および前記電解質を封入するハウジングの外側に露出した、各電極に接続した電気端子をさらに含む、項目1から4のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目6)
前記アノード電極、前記セパレーター、および前記カソード電極の複数のセットのスタックをさらに含み、前記スタックは、前記電解質を有するハウジング中に封入されており、電気端子は、最外側の電極に接続しており、かつ前記ハウジングの外側に露出している、項目1から4のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目7)
前記電極が、金属箔上に形成された、遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物の粒子を含有する多孔性膜を含む、項目1から6のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目8)
前記多孔性膜が、10重量パーセント超の遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物を含有する、項目7に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目9)
金属箔をさらに含み、前記金属箔は、アルミニウムを含む、項目7または項目8に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目10)
前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の前記混合物の粒子が、10m/g超の比表面積を有する、項目1から9のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目11)
前記遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の前記混合物の粒子が、100nm未満のサイズを有する、項目1から10のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目12)
前記遷移金属窒化物が、窒化バナジウムを含む、項目1から11のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目13)
前記電解質が、炭酸プロピレンまたはアセトニトリルを含む、項目1から12のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目14)
前記電解質が、塩基性溶液である、項目1から13のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目15)
前記遷移金属窒化物が、超臨界アンモニア中で合成される、項目1から14のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目16)
第1の電極および第2の電極を有する電気エネルギー蓄積装置であって、前記電極の少なくとも1つが、
(a)反応器において1つまたは複数の遷移金属を含有する1つまたは複数の原料物質を供給することと、
(b)前記反応器においてアンモニアを供給することと、
(c)前記原料物質と前記アンモニアとの間の反応を増強させる鉱化剤を任意選択で供給することと、
(d)前記反応器を加熱し、前記アンモニアの超臨界状態を達成することと
を含む方法によって合成された遷移金属窒化物粒子を使用して形成される、電気エネルギー蓄積装置。
(項目17)
前記鉱化剤が、Li、Na、K、Ca、MgおよびAlから選択される少なくとも1つを含有する、項目16に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目18)
前記反応器が、Ni−Crベースの合金から作製されたものである、項目16または項目17に記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目19)
前記反応器を、132℃または132℃より高い温度に加熱する、項目16から18のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目20)
前記反応器が、密封され、加熱したアンモニアにより自己加圧されるバッチ反応器である、項目16から19のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目21)
前記反応器が、合成の間に前記原料物質、前記アンモニア、もしくは前記鉱化剤の供給またはガス、生成物、もしくは副生成物の排出を可能とするセミバッチ反応器である、項目16から19のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目22)
前記遷移金属が、Vである、項目16から21のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目23)
前記原料物質が、金属バナジウム、酸化バナジウム、五酸化バナジウム、メタバナジウム酸アンモニウム、またはその1つもしくは複数の混合物である、項目16から22のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目24)
粒径が10nm未満である、項目16から23のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目25)
前記粒子の比表面積が、10m/g超である、項目16から24のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目26)
前記粒子の表面が酸化されている、項目24から25のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
(項目27)
前記粒子が、ハロゲン不純物を含有しない、項目24から26のいずれかに記載の電気エネルギー蓄積装置。
【0015】
ここで図面を参照するが、ここでは同様の参照番号は、全体に亘って相当するパーツを表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ウルトラキャパシタの1つの構成である。 100 アノード電極;200 カソード電極;300 アノードのための金属箔;400 カソードのための金属箔;500 セパレーター;600 アノード電気端子;700 カソード電気端子;800 電解質;900 ハウジング
図2図2は、積み重ねたウルトラキャパシタの1つの構成である。 100 アノード電極;200 カソード電極;300 アノードのための金属箔;400 カソードのための金属箔;500 セパレーター;600 アノード電気端子;700 カソード電気端子;800 電解質;900 ハウジング;1000 積重ねのためのコンデンサの1つの単位セット
図3図3は、反応器の1つの構成である。 3100 高圧反応器;3200 ガス吸入ポートを有する高圧反応器の蓋;3201 ガス吸入ポート;3202 高圧バルブ;3300 ガスケットシール;3400 外部ヒーター;3500 アンモノ塩基性(ammonobasic)溶液(溶解した鉱化剤を有するアンモニア);3600 遷移金属を含有する原料物質
図4図4は、本発明の標準的工程フローである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
下記の好ましい実施形態の説明において、本明細書の一部を形成する添付図面について参照し、ここでは例示として、本発明を実施し得る特定の実施形態を示す。他の実施形態を利用してもよく、本発明の範囲から逸脱することなく構造上の変更を行ってもよいことが理解されるべきである。
【0018】
本発明の技術的記載
本発明のウルトラキャパシタは、遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物を含有する1つまたは複数の電極を利用し、ここではハロゲン化物不純物の濃度は無視でき、これによって様々な金属部品の腐食の防止を助ける。遷移金属窒化物粒子中に存在するハロゲン化物の量は典型的には、1ppm未満、より好ましくは一般に使用される分析設備(例えば、今日利用可能な、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、グロー放電質量分析法(GDMS)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、二次イオン質量分析法(SIMS))の検出限界未満である。また、遷移金属窒化物粒子中のハロゲン化物不純物の許容されるレベルは、ウルトラキャパシタの寿命試験によって決定し得る。寿命は典型的には、サイクル寿命として測定する。ハロゲン化物不純物レベルは好ましくは、100,000のサイクル寿命、またはより好ましくは500,000のサイクル寿命を達成するほど十分に低い。遷移金属窒化物または混合遷移金属窒化物の粒子は好ましくは、アルカリ金属鉱化剤を使用してアモノサーマル方法によって合成され、これによってハロゲン化物を含有しない環境を実現する。遷移金属窒化物粒子が「ハロゲン化物を含有しない」、または「無視できる量のハロゲン化物不純物」を有するとは、したがって、粒子中に存在するハロゲンの量が、例えば、遷移金属のための原料物質、溶媒として使用されるアンモニア、遷移金属窒化物粒子を作製するために使用する任意選択の鉱化剤、ならびに反応器の荷電および使用の間に反応器環境において任意の材料からもたらされ得るもの(例えば、バルブ、チューブ、パイプ、金属、または他の供給源から浸出した、例えば、任意のハロゲン化物)における、夾雑物から存在するその量のみであることが本発明者らにより意味される。レーザーベースの粒子分析器または他の方法によって測定されるような遷移金属窒化物粒子の平均粒径は好ましくは、100nm未満であり、BET多孔度測定器(porosimiter)または他の方法によって測定される得られた比表面積は好ましくは、10m/g超である。粒径が小さいほど、比表面積はより大きく、これはより大きな比キャパシタンスを実現する。しかし、小さすぎる粒子は、粒子の完全酸化という問題を有し得る。結果的に、サイクル使用の間に完全酸化を生じさせるものより大きい平均粒径が好ましい。したがって、信頼できるウルトラキャパシタを達成するために、適当な粒径を選択すべきである。
【0019】
図1は、本発明におけるウルトラキャパシタの一例を示す。遷移金属窒化物粒子を含有し得るアノード電極100は、アノード金属箔300上に形成され、このアノード金属箔300は、アノード電気端子600に接続している。他の側上では、カソード電極200(これは代わりにまたはこれもまた遷移金属窒化物粒子を含有し得る)が、カソード金属箔400上に形成され、このカソード金属箔400は、カソード電気端子700と接続している。セパレーター500を、アノード電極100とカソード電極200との間に置く。これらの構成要素を、電解質800と共にハウジング900中に置く。ウルトラキャパシタが外部電気回路に接続し得るように、アノード電気端子600およびカソード電気端子700はハウジングの外側に延びている。
【0020】
本発明におけるウルトラキャパシタの別の例を、図2に示す。単位コンデンサは、アノード電極100(これは、アノード金属箔300上に形成された遷移金属粒子を含有し得る)、セパレーター500、およびカソード電極200(これはさらに、または代わりに、カソード金属箔400上に形成された遷移金属粒子を含有し得る)からなる。単位コンデンサを、ハウジング900内のコンデンサの直列接続中に置く。最外側の電極は、アノード電気端子600およびカソード電気端子700に接続しており、これらは、より大きな出力電圧を生じさせるためにこれらに接続された電極を有する。構成要素を、電解質800と共にハウジング900中に置く。ウルトラキャパシタが外部電気回路に接続することができるように、アノード電気端子600およびカソード電気端子700はハウジングの外側に延びている。
【0021】
本発明における遷移金属窒化物または遷移金属窒化物の混合物の粒子は好ましくは、塩基性アモノサーマルプロセスによって合成され、これは、アルカリ鉱化剤を有する超臨界アンモニアを利用する。132.4℃および11.28MPaの臨界点を超えて、アンモニアは超臨界状態となり、これは液体と気体の間の状態である。本発明者らは、強力な還元性鉱化剤(例えば、アルカリ金属)を有する超臨界アンモニアが、遷移金属窒化物を形成することができることを見出した。この工程は、閉鎖した反応器における1ステップ工程であり、一定流量のアンモニアを必要としない。工程温度、圧力、鉱化剤および時間を変化させることによって、粒径は、ナノスケールからミクロンスケールに制御されることが期待される。塩基性アモノサーマル合成の利点は、そのハロゲン化物を含有しない環境である。ハロゲン化物不純物(例えば、塩素)が、内部の構成要素(例えば、金属箔および金属ハウジング)を腐食するため、ハロゲン化物不純物を含有する遷移金属窒化物は、ウルトラキャパシタの信頼性のために好ましくない。さらに、塩基性アモノサーマルプロセスは、合成された遷移金属窒化物にアルカリ金属を意図的にドープすることができ、これは電解質の効率性を助け得る。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
塩基性アモノサーマルプロセスによって合成された窒化バナジウム粒子を、アノード電極およびカソード電極の両方のために使用する。粒径は100nm未満であり、これは10m/gより大きい比表面積を提供する。窒化バナジウム粒子を、通常の伝導性粉末材料(例えば、黒鉛粉末)および結合剤と混合し、溶媒に分散させ、そして電気端子ワイヤと共にアルミ箔上でコーティングする。任意のコーティング方法、例えば、ディップコーティング、スプレーコーティング、および印刷を使用することができる。電極/アルミ箔をベーキングした後、窒化バナジウム粒子を含有するコーティングされた膜は、当初の粉末に近い比表面積を有する多孔性膜を形成する。2つの電極は、これらの間のコンデンサグレードの多孔性紙のセパレーターと係合される。絶縁シートを、アノード箔の裏面に付着させる。絶縁シートを使用する代わりに、アルミ箔の裏面上に絶縁酸化膜を形成することができる。次いで、全アセンブリーを、希KOH中に浸漬し、ローリングし、アルミニウムでできた円柱状ハウジング中に置く。電極端子リードワイヤを、適当なゴムまたはプラスチックのブッシングを使用してハウジングから取り出し、ハウジングを注意深く蓋で密封する。必要に応じて、孔を空けたゴムまたはプラスチックのキャップを使用した通気機構を使用し得る。
【0023】
(実施例2)
実施例1において全アセンブリーをローリングする代わりに、複数のセットのコンデンサアセンブリーを、電気的にこれらを接続することによって積み重ね、希薄KOH中に浸漬し、ボックスハウジング中に置く。適当なゴムまたはプラスチックのブッシングを使用して最外側の電気端子ワイヤをハウジングの外側に取り出した後、蓋を注意深く締め付ける。必要に応じて、孔を空けたゴムキャップを使用した通気機構を使用し得る。
【0024】
(実施例3)
窒化バナジウムを使用する代わりに、窒化バナジウム−窒化ニオブ(vanadium−niobium nitride)粒子を使用して、電極材料の安定性を増強する。
【0025】
本発明における遷移金属窒化物の合成の方法は、超臨界アンモニアを利用し得る。132.4℃および11.28MPaの臨界点を超えて、アンモニアは超臨界状態となり、これは液体と気体との間の状態である。任意選択で、しかし望ましくは、強力な還元性鉱化剤、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムを有する超臨界アンモニアは、遷移金属窒化物を形成することができることを本発明者らは見出した。
【0026】
遷移金属を含有する原料物質は、特定の目的を達成するのに有効な量の遷移金属を含有する。例えば、基材は、窒化物に変換し得る遷移金属の層でコーティングされてもよく、その結果、表面層は、熱バリアまたは摩耗保護表面として有効であり得る。別の例は、粒子が、窒化物への変換によって触媒活性であるか、またはウルトラキャパシタ内に形成されたときに特定の量の電荷を担持する、ある量の遷移金属を含有し得る。原料物質は、10重量パーセント超の遷移金属を含有し得る。
【0027】
この工程は、ある場合においては、閉鎖した反応器における1ステップ工程でよく、一定流量のアンモニアを必要としない。工程温度、圧力、鉱化剤および時間を変化させることによって、層厚さまたは粒径を、ナノスケールからミクロンスケールに制御することが期待される。したがって、このようなバッチ工程によって、反応材料の全てを高圧反応器中に置き、反応が完了した後、生成物を反応器から分離することを可能とし得る。
【0028】
上記工程は、別の場合において、アンモニアの一定流量によって、または高圧反応器へのアンモニアの周期的添加によって行ってもよい。したがって、このようなセミバッチ工程によって、反応材料、例えば、原料物質および任意選択の鉱化剤のいくらかを、反応器に最初に加え、アンモニアを連続的または周期的に反応の間に加えることを可能とし得る。さらに、供給源または鉱化剤は、代わりにまたはさらに、連続的または周期的に、反応の間に反応器に加え得る。
【0029】
図4において図示するような標準的工程を、図3に示す。記載したような標準的工程は、高圧反応器3100を使用する。遷移金属3600を含有する原料物質を、鉱化剤と一緒に高圧反応器3100中に置く。鉱化剤は酸素と高度に反応性であるため、窒素またはアルゴンで充填されたグローブボックスにおいて作動させることが好都合である。蓋3200は、ガス吸入ポート3201を有し、これは高圧バルブ3202に接続している。原料物質3600および鉱化剤を高圧反応器3100中にチャージした後、ガスケット3300を使用して蓋3200を閉鎖し、高圧でのアンモニアの漏れを防止する。高圧バルブ3202をまた閉鎖する。次いで、高圧反応器3100をグローブボックスから取り出し、高圧バルブ3202をガス/真空ラインに接続する。高圧バルブ3202を開放することによって、高圧反応器3100を、ガス吸入ポート3201を通してポンピングする。十分な真空レベルを達成した後、高圧反応器3100を液体窒素で外部から冷却し、ガス吸入ポート3201を通してガス状アンモニアで充填する。高圧反応器3100において、ガス状アンモニアを液相に濃縮させる。代わりに、十分な圧力を加えることによって、液体アンモニアを高圧反応器3100に直接導入し得る。所定の量の液体アンモニアを満たした後、高圧バルブ3202を閉鎖し、ガス/真空ラインから切り離す。高圧反応器3100を炉に移し、外部から加熱する。高圧反応器3100は密封してあるため、加熱したアンモニアにより自己加圧され、アンモニアは超臨界状態に達する。鉱化剤をアンモニアに溶解し、アンモノ塩基性溶液3500を生じさせる。高圧反応器3100内の遷移金属3600を含有する原料物質を、アンモノ塩基性溶液3500で窒化する。所定の時間の後、高圧バルブ3202を開放することによってアンモニアを放出する。高圧反応器3100を冷却した後で、遷移金属窒化物を高圧反応器3100から取り出す。遷移金属窒化物を水ですすぎ、鉱化剤を除去する。最後のステップによって、遷移金属窒化物の上面上に酸化薄層が生じる。
【0030】
合成される金属窒化物に基づいて、鉱化剤を選択することができる。ナトリウム金属を一般に使用するが、より高い反応性が必要とされる場合、カリウムベースの鉱化剤を選択してもよい。逆に、より穏やかな反応性が好ましい場合、リチウムベースの鉱化剤を選択してもよい。さらにより穏やかな反応性が好ましい場合、マグネシウムまたはカルシウムベースの鉱化剤を選択し得る。また、酸素の除去が鉱化剤の第一の目的である場合、金属カルシウム、アルミニウムまたはマグネシウムが、鉱化剤に適切であり得る。これらの材料の混合物をまた使用して、反応を制御し得る。
【0031】
(実施例4)
概ね直径13mmのバナジウム箔および2.6gのNaを、グローブボックスにおいて127ccの内部体積を有する高圧反応器中に置いたが、その中で酸素および水分濃度を0.1ppm未満にレギュレートする。次いで、高圧反応器を密封し、反応器中の窒素を、ガス吸入ポートを通してターボ分子ポンプによって排除した。反応器を10−6ミリバール未満にポンピングした後、液体窒素中に反応器を浸すことによって反応器を冷却し、ガス吸入ポートを通してガス状無水アンモニアを反応器中に導入した。概ね43.7gの液体無水アンモニアを反応器中で濃縮した。次いで、密封した反応器を炉に移し、530〜535℃で5日間加熱した。このように得られた圧力は、167MPa(24,170psi)であった。工程の後、バナジウム箔は、金色がかった色を示したが、これはバナジウム箔の表面が窒化されたことを示す。Vの黄色がかった粉末を出発材料として使用したとき、黒色の粉末(VNであると予測される)が得られた。
【0032】
(実施例5)
実施例1と同様の実験を、モリブデンおよびチタンについて行い、これらの金属において色の変化を確認した。
【0033】
(実施例6)
実施例1と同様の実験を、ガス吸入ポートおよび高圧バルブを有する高圧反応器で行う。工程の間に、加圧アンモニアを供給し、工程の間に消費されたアンモニアを補充する。
【0034】
(実施例7)
同様の高圧反応器を使用して、バナジウムを含有するツールまたはパーツを、金属の表面を窒化することによって遷移金属窒化物でコーティングする。また、これらのツールまたはパーツを、アモノサーマルプロセスの前に金属バナジウムでコーティングし、遷移金属窒化物のより厚い保護層を形成する。
【0035】
(実施例8)
高圧反応器は、逐次的に鉱化剤およびアンモニアと共にその中に置かれた下記の粒子を有する。ニオブ、スズ、インジウム、白金、タンタル、ジルコニウム、銅、鉄、タングステン、クロム、モリブデン、ハフニウム、チタン、バナジウム、コバルト、マンガン、セリウム、水銀、プルトニウム、金、銀、イリジウム、パラジウム、イットリウム、ルテニウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムおよびニッケル。反応器を加熱し、アンモニアを、高圧反応器内で超臨界状態に置く。それぞれの窒化ニオブ、窒化スズ、窒化インジウム、窒化白金、窒化タンタル、窒化ジルコニウム、窒化銅、窒化鉄、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化ハフニウム、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化マンガン、窒化セリウム、窒化水銀、窒化プルトニウム、窒化金、窒化銀、窒化イリジウム、窒化パラジウム、窒化イットリウム、窒化ルテニウム、窒化ランタン、窒化セリウム、窒化プラセオジム、窒化ネオジム、窒化プロメチウム、窒化サマリウム、窒化ユウロピウム、窒化ガドリニウム、窒化テルビウム、窒化ジスプロシウム、窒化ホルミウム、窒化エルビウム、窒化ツリウム、窒化イッテルビウム、窒化ルテチウムおよび窒化ニッケルのナノ粒子を得る。工程温度を調節することによって、遷移金属窒化物の好ましい相を得ることができた。
【0036】
利点および改善
本発明は、無視できる量のハロゲン化物不純物を有する遷移金属窒化物を使用したウルトラキャパシタを開示する。遷移金属窒化物は好ましくは、ハロゲン化物を含有しない塩基性アモノサーマルプロセスによって合成され、ここでは遷移金属供給源は、反応器中に給送されるときに遷移金属ハロゲン化物を殆ど含有しないか、または全く含有せず、溶媒は、今日商業的に購入され得るようなハロゲン化物を含有しないアンモニアを含み、任意選択の鉱化剤は、ハロゲン化物を殆ど含有しないか、または全く含有しない。この構成の利点は、下記の通りである。
1)電極材料のために遷移金属窒化物粒子を使用することによって高い比エネルギー密度を達成すること。
2)ハロゲン化物不純物による金属部品の潜在的腐食を回避することによって高い信頼性を達成すること。
【0037】
本発明はまた、下記の利点の1つまたは複数を有する遷移金属窒化物を生成する新規な方法を開示する。
1)閉鎖した反応器システムによって高度にコスト競争力がある。
2)超臨界アンモニアの高い反応性によって、複雑な構造の表面上に窒化物層を形成することができる。
3)超臨界アンモニアの高い反応性によって、窒化物粒子を形成することができる。
4)好ましくない不純物、例えば、ハロゲンが存在しない。
【0038】
参照文献
本願において考察した全ての参照文献は、参照により本明細書中に援用される。
[1]米国特許出願第2008−0180881A1号。
[2]米国特許出願第2011−0149473A1号。
[3]Patrice SimonおよびYury Gogots、Nature Materials、第7巻(2008年)、845頁。
[4]D.Choi、G.E.BlomgrenおよびP.N.Kumta、Advanced Materials、18巻(2006年)1178頁。
[5]米国特許出願第US2010−0019207A1号。
【0039】
結論
これで、本発明の好ましい実施形態の記載を終了する。下記は、本発明を達成するためのいくつかの代替の実施形態を記載する。
【0040】
実施例は、窒化バナジウムまたは窒化バナジウム−窒化ニオブの粒子を含有する電極を記載したが、他の遷移金属窒化物、例えば、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化マンガン、窒化鉄、窒化コバルト、窒化ニッケルを使用することができる。
【0041】
実施例は、金属箔のためのアルミ箔を記載したが、他の金属箔、例えば、銅箔および銀箔を使用することができる。
【0042】
実施例は、多孔性紙のコンデンサグレードのシートをセパレーターとして記載したが、他のポリマー材料、例えば、セルロースメッシュを使用することができる。
【0043】
実施例は、希KOHを電解質として記載したが、他の一般に使用される物質、例えば、炭酸プロピレン、アセトニトリル、ホウ酸、ホウ酸ナトリウムまたは他の弱酸(ジプロピルケトン、氷酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、クロトン酸、アクリル酸、フェノール、クレゾールなど)を、塩(酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アルミニウム、乳酸カルシウム、シュウ酸アンモニウム、過ホウ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなど)、および溶媒(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール、グリセロールなど)を加えて使用することができる。実施例は、窒化バナジウム、窒化モリブデンおよび窒化チタンを合成する方法を記載するが、他の遷移金属窒化物、例えば、窒化クロム、窒化スカンジウム、窒化ジルコニウムを同じ方法で合成することができる。また、遷移金属窒化物の合金を、同じ方法で合成することができる。
【0044】
実施例は、窒化バナジウム、窒化モリブデン、および窒化チタンの箔の合成を記載するが、遷移金属窒化物の他の形態、例えば、ナノ結晶性粒子、微結晶性粒子、薄層、およびバルク単結晶を、同じ方法で生成することができる。また、遷移金属窒化物の低温相、例えば、Fe16を好ましくは、合成し得る。
【0045】
実施例は、Naを鉱化剤として使用した合成方法を記載するが、他のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアルミニウムを、鉱化剤として使用することができる。また、2種または2種より多い鉱化剤の混合物を使用することができる。
【0046】
好ましい実施形態は、特定の温度および圧力における合成方法を記載するが、アンモニアが超臨界状態である限り、他の温度および圧力の設定を使用することができる。
【0047】
好ましい実施形態は、特定の形状の高圧反応器を使用した合成方法を記載するが、他のタイプの高圧反応器、例えば、2つの蓋を有するもの、外部高圧ポンプを有するもの、供給源、鉱化剤またはアンモニアの一定の給送を可能とする高圧吸入ポートを有するものを使用することができる。
図1
図2
図3
図4