特許第6095673号(P6095673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095673
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】リニア直流モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/18 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   H02K33/18 B
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-535346(P2014-535346)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2013000238
(87)【国際公開番号】WO2014041711
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2015年11月12日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2012/005910
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 利喜
(72)【発明者】
【氏名】寺島 智樹
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−129750(JP,A)
【文献】 特開2008−035645(JP,A)
【文献】 特開平05−328696(JP,A)
【文献】 特開2003−088082(JP,A)
【文献】 特開平02−065645(JP,A)
【文献】 特開昭58−211363(JP,A)
【文献】 特開平05−062383(JP,A)
【文献】 特開2011−237507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/00−33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象物(9)が搭載されるスライド部材(6)と、
前記スライド部材(6)を、モータ前後方向に直線状に延びるガイドレール(5)に沿ってスライド可能な状態で支持しているリニアガイド(3)と、
前記スライド部材(6)に取り付けられていると共に、第1駆動コイル(11)および第2駆動コイル(12)を備えたモータ可動子(10)と、
前記第1、第2駆動コイル(11、12)との間に前記ガイドレール(5)に沿ったスライド方向への磁気駆動力を発生させる第1駆動マグネット(14、14A)および第2駆動マグネット(15、15A)を備えたモータ固定子(13)と、
前記スライド部材(6)の前記スライド方向の位置を検出するために、固定側検出部(18)および前記スライド部材(6)に取り付けた可動側検出部(17)を備えた検出部(16)と、
前記リニアガイド(3)、前記モータ固定子(13)および前記検出部(16)の前記固定側検出部(18)が取り付けられているベース部材(2)とを有しており、
前記第1駆動コイル(11)および前記第2駆動コイル(12)は、それぞれ、前記スライド方向に平行に延びるコイル中心軸線(11a、12a)を中心として円筒状にコイル巻線が巻回されている同一形状および同一大きさの円筒状コイルであり、
前記第1駆動コイル(11)および前記第2駆動コイル(12)は、前記スライド部材(6)の中心を通り前記スライド方向に平行に延びるモータ中心軸線(1a)を中心として、左右対称の位置に配置されており、
前記第1駆動マグネット(14、14A)および前記第2駆動マグネット(15、15A)は、前記モータ中心軸線(1a)を中心として、左右対称の位置において、前記第1駆動コイル(11)および前記第2駆動コイル(12)に対峙しており、
前記第1、第2駆動コイル(11、12)の双方の前記コイル中心軸線(11a、12a)を含む平面(P)に対して、一方の側に前記リニアガイド(3)が配置され、他方の側に前記検出部(16)が配置されており、
前記モータ可動子(10)は、前記スライド部材(6)に対して、前記モータ中心軸線(1a)を中心として左右対称の位置に取り付けた非磁性材からなる第1、第2円筒状コイルフレーム(21、22)を備え、前記第1、第2駆動コイル(11、12)は、前記第1、第2円筒状コイルフレーム(21、22)の円筒状外周面に巻回されたものであり、
前記モータ固定子(13)は、前記モータ中心軸線(1a)を中心として左右対称の位
置に配置されている同一形状および同一大きさの第1アウターヨーク(23)および第2アウターヨーク(24)と、前記モータ中心軸線(1a)を中心として左右対称の位置に配置されている同一形状および同一大きさの第1インナーヨーク(25)および第2インナーヨーク(26)とを備えており、
前記第1アウターヨーク(23)および前記第2アウターヨーク(24)のそれぞれは、前記第1駆動コイル(11)および前記第2駆動コイル(12)を同心状に取り囲んでおり、
前記第1インナーヨーク(25)および前記第2インナーヨーク(26)のそれぞれは、前記第1円筒状コイルフレーム(21)および前記第2円筒状コイルフレーム(22)の中空部を同心状に貫通して延びている円柱状のインナーヨークであり、
前記リニアガイド(3)の前記モータ前後方向の後端が、前記ベース部材(2)に固定され、
前記第1、第2アウターヨーク(23、24)の前記モータ前後方向の後端および前記第1、第2インナーヨーク(25、26)の前記モータ前後方向の後端が、それぞれ、前記ベース部材(2)に固定され、
前記検出部(16)の前記固定側検出部(18)は、前記ベース部材(2)に固定したセンサプレート(19)に搭載されているリニア直流モータ(1、1A)。
【請求項2】
前記第1駆動マグネット(14)および前記第2駆動マグネット(15)のそれぞれは、前記第1アウターヨーク(23)および前記第2アウターヨーク(24)の内部において、これらのヨーク円形内周面(23a、24a)に沿って、等角度間隔で配置されている矩形断面の複数の駆動マグネットである請求項1に記載のリニア直流モータ(1)
【請求項3】
前記第1駆動マグネット(14A)および前記第2駆動マグネット(15A)のそれぞれは、前記第1駆動コイル(11)および前記第2駆動コイル(12)を同心状に取り囲む状態で、前記第1アウターヨーク(23)および前記第2アウターヨーク(24)の内周面(23a、24a)に固定したC形マグネットである請求項1に記載のリニア直流モータ(1A)。
【請求項4】
前記第1アウターヨーク(23)および前記第2アウターヨーク(24)は、それぞれ、第1ヨーク部分(23A、24A)と、この第1ヨーク部分(23A、24A)の前記モータ中心軸線(1a)の方向の前後に連続している同一形状の第2ヨーク部分(23B、24B)および第3ヨーク部分(23C、24C)とを備えており、
前記第1、第2駆動コイル(11、12)に対して、前記第1ヨーク部分(23A、24A)のヨーク円形内周面(23a、24a)が一定のギャップで対峙しており、
前記第2ヨーク部分(23B、24B)および前記第3ヨーク部分(23C、24C)のヨーク円形内周面(23b)は、前記第1ヨーク部分(23A、24A)の前記ヨーク円形内周面(23a)よりも内径が大きく、
前記第1ヨーク部分(23A、24A)と前記第1、第2インナーヨーク(25、26)の円形外周面との間のギャップよりも大きなギャップで、前記第2、第3ヨーク部分(23B、24B)、(23C、24C)の前記ヨーク円形内周面(23b、24b)は、前記第1、第2インナーヨーク(25、26)の前記円形外周面に対峙している請求項1、2または3に記載のリニア直流モータ(1A)。
【請求項5】
前記モータ可動子(10)の前記モータ中心軸線(1a)のスライド範囲を規定する第1ストッパ(30)および第2ストッパ(31)を有し、
前記第1ストッパ(30)は、前記第1、第2インナーヨーク(25、26)と、前記第1、第2アウターヨーク(23、24)の前記第2ヨーク部分(23B、24B)との間に、それぞれ配置されており、
前記第2ストッパ(31)は、前記第1、第2インナーヨーク(25、26)と、前記第1、第2アウターヨーク(23、24)の前記第3ヨーク部分(23C、24C)との間に、それぞれ配置されている請求項4に記載のリニア直流モータ(1A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズなどの位置決めに用いるのに適したリニア直流モータに関し、特に、高応答および高精度で位置決めを行うことのできるリニア直流モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイスコイルモータを利用して、応答性良くレンズを移動させて焦点合わせ等の動作を行うリニアアクチュエータが広く用いられている。特許文献1に開示のリニアアクチュエータは、直線往復移動する可動子の重心と、この可動子をガイドするリニアガイドの中心を一致させて、位置決め精度および耐久性を向上させている。
【0003】
特許文献1に開示のリニアアクチュエータは、コイル、および、これを支持する矩形枠状のコイルフレームからなるコイルアセンブリを有している。コイルアセンブリの内側に、リニアガイド、レンズ取り付け用のフレーム、可動子の位置検出用のセンサ等の部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−35645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリニアアクチュエータにおいては、矩形枠状のコイルアセンブリの内側に各部品が組み込まれる。このため、コイルアセンブリの寸法が比較的大きくなり、剛性が低下することがある。コイルアセンブリと固定子側の永久磁石との間で発生する推力で、レンズフレーム、センサ等の可動部を移動させる際に、矩形枠状のコイルアセンブリが推力に耐えられずに変形することがある。可動部の移動時に矩形枠状のコイルアセンブリが変形すると、可動子の移動に僅かな遅れが生じ、応答性が低下するおそれがある。また、コイルアセンブリに共振が発生し、可動子の位置決め応答性、位置決め精度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、可動子の剛性を高め、高応答および高精度で位置決め動作を行うことのできるリニア直流モータを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のリニア直流モータは、
移動対象物が搭載されるスライド部材と、
前記スライド部材を、モータ前後方向に直線状に延びるガイドレールに沿ってスライド可能な状態で支持しているリニアガイドと、
前記スライド部材に取り付けられていると共に、第1駆動コイルおよび第2駆動コイルを備えたモータ可動子と、
前記第1、第2駆動コイルとの間に前記ガイドレールに沿ったスライド方向への磁気駆動力を発生させる第1駆動マグネットおよび第2駆動マグネットを備えたモータ固定子と、
前記スライド部材の前記スライド方向の位置を検出するために、固定側検出部および前記スライド部材に取り付けた可動側検出部を備えた検出部と、
前記リニアガイド、前記モータ固定子および前記検出部の前記固定側検出部が取り付けられているベース部材とを有しており、
前記第1駆動コイルおよび前記第2駆動コイルは、それぞれ、前記スライド方向に平行に延びるコイル中心軸線を中心として円筒状にコイル巻線が巻回されている同一形状および同一大きさの円筒状コイルであり、
前記第1駆動コイルおよび前記第2駆動コイルは、前記スライド部材の中心を通り前記スライド方向に平行に延びるモータ中心軸線を中心として、左右対称の位置に配置されており、
前記第1駆動マグネットおよび前記第2駆動マグネットは、前記モータ中心軸線を中心として、左右対称の位置において、前記第1駆動コイルおよび前記第2駆動コイルに対峙しており、
前記第1、第2駆動コイルの双方の前記コイル中心軸線を含む平面に対して、一方の側に前記リニアガイドが配置され、他方の側に前記検出部が配置されており、
前記モータ可動子は、前記スライド部材に対して、前記モータ中心軸線を中心として左右対称の位置に取り付けた非磁性材からなる第1、第2円筒状コイルフレームを備え、前記第1、第2駆動コイルは、前記第1、第2円筒状コイルフレームの円筒状外周面に巻回されたものであり、
前記モータ固定子は、前記モータ中心軸線を中心として左右対称の位置に配置されている同一形状および同一大きさの第1アウターヨークおよび第2アウターヨークと、前記モータ中心軸線を中心として左右対称の位置に配置されている同一形状および同一大きさの第1インナーヨークおよび第2インナーヨークとを備えており、
前記第1アウターヨークおよび前記第2アウターヨークのそれぞれは、前記第1駆動コイルおよび前記第2駆動コイルを同心状に取り囲んでおり、
前記第1インナーヨークおよび前記第2インナーヨークのそれぞれは、前記第1円筒状コイルフレームおよび前記第2円筒状コイルフレームの中空部を同心状に貫通して延びている円柱状のインナーヨークであり、
前記リニアガイドの前記モータ前後方向の後端が、前記ベース部材に固定され、
前記第1、第2アウターヨークの前記モータ前後方向の後端および前記第1、第2インナーヨークの前記モータ前後方向の後端が、それぞれ、前記ベース部材に固定され、
前記検出部の前記固定側検出部は、前記ベース部材に固定したセンサプレートに搭載されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のリニア直流モータでは、レンズ等の移動対象物が搭載されるスライド部材の中心を通るモータ中心軸線に対して、左右対称の位置に、円筒状の第1、第2駆動コイルおよび第1、第2駆動マグネットを配置している。可動側の第1、第2駆動コイルは、スライド部材の両側に位置している。よって、スライド部材、リニアガイド、検出部などの形状、大きさ、配置位置等の影響を受けることなく、これらとは独立に、第1、第2駆動コイルを設計できる。この結果、スライド部材を磁気駆動力によってスライドさせる際に、第1、第2駆動コイルに変形が生じないように、これらの駆動コイルに十分な剛性をもたせることが容易になる。また、スライド部材に必要とされる推力が得られるように、第1、第2駆動コイルおよび第1、第2駆動マグネットを設計することも容易になる。
【0009】
本発明では、磁気駆動力は、スライド部材の中心を通るモータ中心軸線に対して左右対称の位置において発生する。また、スライド部材を中心として、第1、第2駆動コイルが配置されている方向とは直交する方向の両側には、リニアガイドおよび検出部が配置されている。よって、スライド部材に取り付けられるリニアガイドに沿ってスライドする部材、検出部におけるスライド部材の側に取り付けられる部材を、スライド部材を中心として、バランス良く配置することが容易である。
【0010】
この結果、磁気駆動力によってスライド部材に作用するスライド方向への推力の中心を、スライド部材の重心に一致させるように設計することが容易である。これらを一致させることで、スライド部材に推力が作用する場合に、スライド部材をスライド可能に支持しているリニアガイドに無理な応力が加わることを防止あるいは抑制でき、スライド部材とリニアガイドの間のスライド抵抗を低減できる。これにより、スライド部材を応答性良くスライドさせ、精度良く位置決めすることができる。また、リニアガイド等に無理な応力が生じないので、これらの部位の寿命も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1のリニア直流モータの正面図、底面図および側面図である。
図2図1のリニア直流モータを正面側から見た場合の斜視図および背面側から見た場合の斜視図である。
図3図1のリニア直流モータをA−A線で切断した場合の断面図、B−B線で切断した場合の断面図およびC−C線で切断した場合の断面図である。
図4図1のリニア直流モータの斜視図であり、そのスライド側の部分を取り出した状態を示す。
図5図1のリニア直流モータの改変例を示す要部の概略横断面図である。
図6】本発明の実施の形態2のリニア直流モータの斜視図である。
図7図6のリニア直流モータの正面図、平面図、底面図および左側面図である。
図8図6のリニア直流モータをa−a線で切断した場合の縦断面図、b−b線で切断した場合の横断面図、背面図、d−d線で切断した場合の断面図およびe−e線で切断した場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したリニア直流モータの実施の形態を説明する。以下に述べるリニア直流モータは、例えばレンズの焦点合わせを行うためのレンズ駆動用のリニアアクチュエータとして用いられるものである。レンズ以外の移動対象物を直線往復移動させるために本発明のリニア直流モータを用いることが可能なことは勿論である。
【0013】
[実施の形態1]
図1(a)、(b)および(c)は、実施の形態1のリニア直流モータの正面図、底面図および側面図である。図2(a)および(b)は、リニア直流モータを正面側から見た場合の斜視図および背面側から見た場合の斜視図である。なお、以下においては、説明の便宜上、図示のモータ設置姿勢に従って、モータ幅方向をX、モータ上下方向をY、モータ前後方向をZとして説明する。
【0014】
これらの図に示すように、リニア直流モータ1は全体として直方体形状をしており、その背面は、一定厚さの長方形輪郭をしたベースプレート2によって規定されている。ベースプレート2には、リニア直流モータ1の固定側の構成部品が取り付けられている。
【0015】
ベースプレート2には、固定側の構成部品であるリニアガイド3が取り付けられている。リニアガイド3は、ベースプレート2におけるモータ幅方向Xの中央から、モータ前後方向Zに沿って前方に向かって延びている。リニアガイド3は、リニアプレート4と、この上面に取り付けたガイドレール5を備えている。リニアガイド3には、ガイドレール5に沿ってモータ前後方向Zにスライド自在の状態で、リニア直流モータ1の可動側の構成部品であるスライド部材6が搭載されている。
【0016】
スライド部材6は、ガイドレール5にスライド自在の状態で搭載されているスライダ7と、この上に固定されている直方体形状のレンズフレーム8を備えている。レンズフレーム8の中央にはモータ前後方向Zに円形開口部8aが貫通している。円形開口部8aには、レンズ9が同心状態に固定されている。ベースプレート2の中心部にも円形開口部2a(図2(b)参照)が形成されており、これによって、レンズ9を通ってモータ前後方向Zにリニア直流モータ1を貫通して延びる光路が形成されている。
【0017】
図3(a)〜(c)はリニア直流モータ1をA−A線、B−B線およびC−C線で切断した場合の断面図である。図4はリニア直流モータ1の斜視図であり、そのスライド側の部分を取り出した状態を示す。
【0018】
これらの図も参照して説明すると、スライド部材6にはリニア直流モータ1のモータ可動子10が搭載されている。モータ可動子10は、スライド部材6のモータ幅方向Xの一方の側に配置した第1駆動コイル11と、他方の側に配置した第2駆動コイル12を備えている。第1、第2駆動コイル11、12は、モータ中心軸線1aを中心として、左右対称の位置に配置されている。モータ中心軸線1aは、スライド部材6の中心である円形開口部8aの中心を通って、当該スライド部材6のスライド方向であるモータ前後方向Zに延びている。
【0019】
リニア直流モータ1のモータ固定子13は、複数個の第1駆動マグネット14および複数個の第2駆動マグネット15を備えている。第1駆動マグネット14と第2駆動マグネット15は、モータ中心軸線1aを中心として、左右対称の状態に配置されている。第1、第2駆動コイル11、12を励磁すると、第1、第2駆動コイル11、12と第1、第2駆動マグネット14、15の間に、それぞれ、ガイドレール5に沿ったスライド方向(モータ前後方向Z)への磁気駆動力が発生する。
【0020】
リニア直流モータ1には、スライド部材6のスライド位置を検出するための検出部16が搭載されている。検出部16は、図2図4から分かるように、スライド部材6の上面に搭載されている可動側検出部17と、ベースプレート2の側に取り付けられている固定側検出部18とを備えている。固定側検出部18は、ベースプレート2に固定したセンサプレート19に搭載されている。検出部16は、例えば、可動側検出部17に搭載された発光部と固定側検出部18に搭載されている受光部とを備えた光学式の位置検出器である。
【0021】
スライド部材6と、ここに搭載されているレンズ9、モータ可動子10および可動側検出部17によって、リニア直流モータ1の可動部が構成されている。これに対して、ベースプレート2に取り付けられているリニアガイド3、モータ固定子13および固定側検出部18によって、リニア直流モータ1の固定部が構成されている。
【0022】
モータ可動子10およびモータ固定子13の構成を更に説明する。まず、モータ可動子10について説明する。モータ可動子10の第1駆動コイル11は円筒コイルであり、そのコイル巻線は、スライド部材6のスライド方向(モータ前後方向Z)に平行に延びるコイル中心軸線11aを中心として、円筒状に巻回されている。本例では、非磁性材からなる第1円筒状コイルフレーム21がレンズフレーム8の一方の側面に取り付けられている。この第1円筒状コイルフレーム21の円形外周面に沿ってコイル巻線が巻回されている。
【0023】
他方の第2駆動コイル12も同一構成である。第2駆動コイル12は円筒コイルであり、そのコイル巻線は、スライド部材6のスライド方向(モータ前後方向Z)に平行に延びるコイル中心軸線12aを中心として、円筒状に巻回されている。非磁性材からなる第2円筒状コイルフレーム22がレンズフレーム8の他方の側面に取り付けられている。この第2円筒状コイルフレーム22の円形外周面に沿ってコイル巻線が巻回されている。
【0024】
第1、第2駆動コイル11、12は、同一形状および同一大きさの円筒状コイルである。また、先に述べたように、第1駆動コイル11および第2駆動コイル12は、スライド部材6の中心(円形開口部8aの中心)を通ってスライド方向(モータ前後方向Z)に平行に延びるモータ中心軸線1aを中心として、モータ幅方向Xにおいて左右対称の位置に配置されている。
【0025】
次に、モータ固定子13について説明する。モータ固定子13の第1駆動マグネット14および第2駆動マグネット15は、第1、第2駆動コイル11、12に対応して、モータ中心軸線1aを中心として、左右対称の位置に配置されている。モータ固定子13は、第1、第2アウターヨーク23、24と、第1、第2インナーヨーク25、26を備えている。第1、第2アウターヨーク23、24は、モータ中心軸線1aを中心として左右対称の位置に配置されており、同一形状および同一大きさのものである。同様に、第1、第2インナーヨーク25、26は、モータ中心軸線1aを中心として左右対称の位置に配置されており、同一形状および同一大きさのものである。
【0026】
第1アウターヨーク23は、全体として直方体の輪郭をしており、強磁性板を積層した積層構造のものである。本例の第1アウターヨーク23は、第1ヨーク部分23Aと、この第1ヨーク部分23Aの前後に連続している同一形状の第2ヨーク部分23Bおよび第3ヨーク部分23Cとを備えている。モータ前後方向Zの後側の第3ヨーク部分23Cの後端はベースプレート2に固定されており、前側の第2ヨーク部分23Bの前端には、同一輪郭の第1エンドヨーク27が固定されている。
【0027】
この構成の第1アウターヨーク23の内部には、図4から分かるように、円形断面の中空部がモータ前後方向Zに延びている。この中空部の円形内周面は、スライド部材6の側に開口している。また、中空部内には、同軸状態で、第1駆動コイル11が装着された第1円筒状コイルフレーム21が挿入されている。第1駆動コイル11に対しては、中空部を規定している第1ヨーク部分23Aのヨーク円形内周面23aが一定のギャップで対峙している。これに対して、前後の第2ヨーク部分23B、第3ヨーク部分23Cのヨーク円形内周面23bは、ヨーク円形内周面23aよりも内径が大きい。したがって、第1ヨーク部分23Aと第1インナーヨーク25の円形外周面の間のギャップよりも大きなギャップで、第2、第3ヨーク部分23B、23Cのヨーク円形内周面23bは第1インナーヨーク25の円形外周面に対峙している。これにより、モータ可動子10とモータ固定子13の間でマグネット磁路が短絡しないようにしている。
【0028】
第1ヨーク部分23Aの内部には、そのヨーク円形内周面23aに沿って、円周方向に等角度間隔で、複数個、例えば5個の第1駆動マグネット14が埋め込まれている。本例では、偏平な矩形断面の第1駆動マグネット14が、第1ヨーク部分23Aのモータ前後方向Zの略全長に亘って延びている。また、各第1駆動マグネット14は、ヨーク円形内周面23aの内側において、当該ヨーク円形内周面23aにおける最も近い点に引いた接線の方向に延びる姿勢で配置されている。
【0029】
第1インナーヨーク25は、第1駆動コイル11の中空部を同心状態で貫通して延びている。第1インナーヨーク25の後端はベースプレート2に固定されており、その前端面25aは、第1エンドヨーク27に形成されている円形貫通穴27aから前方に露出している。
【0030】
他方の第2アウターヨーク24も第1アウターヨーク23と同一構成のものである。本例の第2アウターヨーク24は、第1ヨーク部分24Aと、この第1ヨーク部分24Aの前後に連続している同一形状の第2ヨーク部分24Bおよび第3ヨーク部分24Cとを備えている。モータ前後方向Zの後側の第3ヨーク部分24Cの後端はベースプレート2に固定されており、前側の第2ヨーク部分24Bの前端には、同一輪郭の第2エンドヨーク28が固定されている。
【0031】
第2アウターヨーク24の内部には、円形断面の中空部がモータ前後方向Zに延びている。この中空部の円形内周面は、スライド部材6の側に開口している。また、中空部内には、同軸状態で、第2駆動コイル12が装着された第2円筒状コイルフレーム22が挿入されている。第2駆動コイル12に対しては、中空部を規定している第1ヨーク部分24Aのヨーク円形内周面24aが一定のギャップで対峙している。これに対して、前後の第2ヨーク部分24B、第3ヨーク部分24Cのヨーク円形内周面24bは、ヨーク円形内周面24aよりも内径が大きい。したがって、第1ヨーク部分24Aと第2インナーヨーク26の円形外周面の間のギャップよりも大きなギャップで、第2、第3ヨーク部分24B、24Cのヨーク円形内周面24bは第2インナーヨーク26の円形外周面に対峙している。これにより、モータ可動子10とモータ固定子13の間でマグネット磁路が短絡しないようにしている。
【0032】
第1ヨーク部分24Aの内部には、そのヨーク円形内周面24aに沿って、円周方向に等角度間隔で、複数個、例えば5個の第2駆動マグネット15が埋め込まれている。偏平な矩形断面の第2駆動マグネット15が、第1ヨーク部分24Aのモータ前後方向Zの略全長に亘って延びている。また、各第2駆動マグネット15は、ヨーク円形内周面24aの内側において、当該ヨーク円形内周面24aにおける最も近い点に引いた接線の方向に延びる姿勢で配置されている。
【0033】
第2インナーヨーク26は、第2駆動コイル12の中空部を同心状態で貫通して延びている。第2インナーヨーク26の後端はベースプレート2に固定されており、その前端面26aは、第2エンドヨーク28に形成されている円形貫通穴28aから前方に露出している。
【0034】
図3に示すように、第1インナーヨーク25と第1アウターヨーク23の間の前後の部位、および第2インナーヨーク26と第2アウターヨーク24の間の前後の部位には、それぞれ緩衝材からなるストッパ30、31が配置されている。すなわち、第1インナーヨーク25と、第1アウターヨーク23の第2ヨーク部分23Bとの間に、ストッパ30が配置されており、第1インナーヨーク25と、第1アウターヨーク23の第3ヨーク部分23Cとの間に、ストッパ31が配置されている。同様に、第2インナーヨーク26と、第2アウターヨーク24の第2ヨーク部分24Bとの間に、ストッパ30が配置されており、第2インナーヨーク26と、第2アウターヨーク24の第3ヨーク部分24Cとの間に、ストッパ31が配置されている。前側の各ストッパ30は、第1、第2エンドヨーク27、28に取り付けられており、後側の各ストッパ31は、ベースプレート2に取り付けられている。前後のストッパ30、31の間で、モータ可動子10(スライド部材6)がモータ前後方向Zにスライド可能である。
【0035】
次に、図1(a)、図3(a)、(b)から分かるように、リニア直流モータ1では、第1、第2駆動コイル11、12の双方のコイル中心軸線11a、12aを含む平面Pに対して、一方の側にリニアガイド3が配置され、他方の側に検出部16が配置されている。すなわち、スライド部材6におけるモータ上下方向Yの一方の側にはスライダ7が取り付けられ、他方の側には可動側検出部17が搭載されている。
【0036】
スライド部材6においては、そのモータ幅方向Xの両側に左右対称の状態でモータ可動子10の第1、第2駆動コイル11、12が取り付けられている。モータ固定子13の第1、第2駆動マグネット14、15とモータ可動子10の第1、第2駆動コイル11、12の間にそれぞれ発生する磁気駆動力によって、スライド部材6にはスライド方向の推力が作用する。スライド部材6に作用する推力の中心は、モータ中心軸線1a上に位置し、モータ可動子10の重心もモータ中心軸線1a(スライド部材6の中心)に位置する。
【0037】
したがって、スライド部材6を挟み上下に配置されているスライダ7および可動側検出部17をバランス良く配置することで、スライド部材6自体の重心位置を、その中心(モータ中心軸線1a)に位置させることができる。このようにすれば、スライド部材6のスライド時に無理な力がリニアガイド等に作用することが無く、スライド部材6を応答性良く移動させ、精度良く位置決めすることができる。また、無理な力が各部に生ずることを抑制できるので、耐久性を高めることもできる。
【0038】
[実施の形態1の改変例]
図5は、上記のリニア直流モータ1の改変例に係るリニア直流モータの主要部を示す概略横断面図である。改変例に係るリニア直流モータ1Aは、基本的に、上記のリニア直流モータ1と同一構成である。よって、図5においては、リニア直流モータ1の各部に対応するリニア直流モータ1Aの部位には同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0039】
リニア直流モータ1Aでは、モータ固定子13の第1、第2駆動マグネット14A、15Aが、一定厚および一定幅のC形マグネットから形成されている。すなわち、第1アウターヨーク23のヨーク部分23Aの円形内周面23aに、スライド部材6の側に開口しているC形マグネットからなる第1駆動マグネット14Aが同心状に固定されている。第1駆動マグネット14Aは、例えば、略270度の角度を張る円弧形状をしており、その円形内周面14aが一定のギャップで第1駆動コイル11に対峙している。
【0040】
同様に、第2アウターヨーク24のヨーク部分24Aの円形内周面24aに、スライド部材6の側に開口しているC形マグネットからなる第2駆動マグネット15Aが同心状に固定されている。第2駆動マグネット15Aは、例えば、略270度の角度を張る円弧形状をしており、その円形内周面15aが一定のギャップで第2駆動コイル12に対峙している。
【0041】
第1、第2駆動マグネット14A、15Aは同一形状および同一大きさのものであり、モータ中心軸線1aに対して左右対称な位置に、左右対称な状態で配置されている。
【0042】
この構成のリニア直流モータ1Aは、前述のリニア直流モータ1と同様な作用効果を奏する。
【0043】
なお、上記のリニア直流モータ1、1Aにおいては、第1、第2アウターヨーク23、24は、強磁性板の積層構造体として構成されている。この代わりに、第1、第2アウターヨーク23、24を一体構造のもの、例えば焼結体からなる一体物とすることもできる。この場合においても、上記のリニア直流モータ1、1Aの場合と同様な作用効果が得られる。
【0044】
[実施の形態2]
次に、図6図7および図8を参照して本発明の実施の形態2のリニア直流モータを説明する。図6は実施の形態2のリニア直流モータを正面側から見た場合の斜視図であり、図7(a)〜(d)はそれぞれリニア直流モータの正面図、平面図、底面図および左側面図である。また、図8(a)〜(e)はそれぞれリニア直流モータをa−a線で切断した場合の縦断面図、b−b線で切断した場合の横断面図、背面図、d−d線で切断した場合の断面図およびe−e線で切断した場合の断面図である。なお、以下においては、説明の便宜上、図示のモータ設置姿勢に従って、モータ幅方向をX、モータ上下方向をY、モータ前後方向をZとして説明する。
【0045】
リニア直流モータ100は全体として直方体形状をしており、そのモータフレーム101は、一定厚さの長方形輪郭をした底板102と一定厚さの長方形輪郭の背板104とを備えている。底板102には、一定幅、一定厚さの長方形の側板部105が形成されている。側板部105は、正面から見た場合に、底板102の左側の端部から上方に直角に折れ曲がって延びている。側板部105の後端は、背板104に対して、固定ネジ103によって締結固定されている(図8(c)参照)。
【0046】
モータフレーム101の側板部105の内側の垂直側面105aには、リニアガイド106が配置されている。リニアガイド106は、固定側の部品であるガイドレール107と可動側の部品であるスライダ108から構成されている。ガイドレール107は、固定ネジ109によって、側板部105の垂直側面105aに固定されている。ガイドレール107は、垂直側面105aにおける底板102の表面102aから所定の高さの位置に配置されており、垂直側面105aの前端から背板104まで、モータ前後方向Zに水平に延びている。スライダ108は、ガイドレール107に沿ってモータ前後方向Zにスライド自在の状態で、ガイドレール107に係合している。
【0047】
スライダ108には、モータ上下方向Yおよびモータ前後方向Zに延びる平坦な垂直表面108aが形成されている。この垂直表面108aには、レンズフレーム110(スライドフレーム)が搭載されている。レンズフレーム110は、モータ前後方向に延びる長方形輪郭をした一定厚さの垂直底板111と、垂直底板111における前端からモータ幅方向Xに延びる長方形輪郭をした一定厚さの垂直前板112と、垂直底板111の後端からモータ幅方向Xに延びる長方形輪郭をした一定厚さの垂直背板113とを備えている。垂直底板111は、固定ネジ114によって、スライダ108の垂直表面108aに固定されている。
【0048】
垂直前板112には、モータ前後方向Zに貫通する円形開口部112aが形成されている。円形開口部112aには、移動対象物であるレンズ(図示せず)が同心状態に固定されている。垂直背板113にも、円形開口部113aと同軸となるように、モータ前後方向Zに貫通する円形開口部113aが形成されている。モータフレーム101の背板104にも、円形開口部112aと同軸となるように、円形開口部104aが形成されている。モータフレーム101における垂直前板112の前側の部分は前方に開口しているので、レンズおよび円形開口部113a、104aによって、モータ前後方向Zにリニア直流モータ100を貫通して延びる光路が形成されている。
【0049】
正面から見た場合に、レンズフレーム110に対して、モータ幅方向Xおける右側の位置(リニアガイド106とは反対側の位置)には、検出部115が配置されている。検出部115は、スライダ108の位置、正確には、レンズフレーム110に搭載されているレンズのモータ前後方向Zの位置を検出する。検出部115は、レンズフレーム110に搭載されている可動側検出部116と、モータフレーム101の側に取り付けられている固定側検出部117とを備えている。検出部115は、例えば、可動側検出部116に搭載された発光部118と固定側検出部117に搭載されている受光部119とを備えた光学式の位置検出器である。
【0050】
固定側検出部117は、モータフレーム101の背板104に固定ネジ120によって固定した取付けフランジ121に搭載されている。取付けフランジ121は、正面から見た場合に、背板104の右側の端からモータ側面に沿ってモータ前方に延びる長方形輪郭の板部材である。取付けフランジ121の内側の垂直側面には、長方形の固定側回路基板122が積層されている。固定側回路基板122の内側表面に、受光部119が搭載されている。
【0051】
可動側検出部116は、レンズフレーム110の垂直前板112および垂直背板113の先端面の間に架け渡した長方形輪郭の可動側回路基板123と、この可動側回路基板123の表面に搭載した発光部118とを備えている。発光部118は、固定側検出部117の受光部119に一定の間隔で対峙した位置にあり、受光部119の受光面に沿ってモータ前後方向Zに移動する。
【0052】
次に、レンズフレーム110に対して、そのモータ上下方向Yの上側には、リニア直流モータ100のモータ可動子130およびモータ固定子140が配置されている。モータ可動子130は駆動コイル131を備えている。駆動コイル131は円筒コイルであり、円筒状コイルフレーム132の外周面に巻回したコイル巻線を備えている。円筒状コイルフレーム132は非磁性材からなり、その両側(モータ前後方向Z)の開口縁部が、レンズフレーム110の垂直前板112、垂直背板113におけるモータ上下方向の上側の側部に、連結固定されている。
【0053】
ここで、レンズフレーム110のスライドに伴って発生するピッチング方向のモーメントを低減するためには、モータ幅方向Xにおいて、モータ推力中心と可動部重心とが一致するか、なるべく近い位置となるように、設定しておくことが望ましい。一例として、モータ推力中心が、モータ中心軸線上(円筒状コイルフレーム132の中心軸線132a上)に位置し、可動部重心がレンズフレーム110に搭載されたレンズの光軸上に位置する場合には、例えば、これらを同一の垂直平面Pa上に位置させる。
【0054】
リニア直流モータ100のモータ固定子140は、複数個の駆動マグネット141と、アウターヨーク142と、インナーヨーク143とを備えている。駆動マグネット141を励磁すると、駆動コイル131と駆動マグネット141の間に、ガイドレール107に沿ったスライド方向(モータ前後方向Z)への磁気駆動力が発生する。
【0055】
アウターヨーク142は、全体として直方体の輪郭をしており、強磁性板を積層した積層構造のものである。アウターヨーク142は、第1ヨーク部分142Aと、この第1ヨーク部分142Aの前後に連続している同一形状の第2、第3ヨーク部分142B、142Cとを備えている。モータ前後方向Zの後側の第2ヨーク部分142Cの後端は背板104に固定されており、前側の第2ヨーク部分142Bの前端には、同一輪郭のエンドヨーク144が固定されている。すなわち、4本の固定ボルト145によって、モータ前側から、アウターヨーク142を挟み、エンドヨーク144が背板104に締結固定されている。
【0056】
アウターヨーク142の内部には、円形断面の中空部がモータ前後方向Zに延びている。この中空部の円形内周面は、スライダ108の側に開口している。また、中空部内には、同軸状態で、駆動コイル131が装着された円筒状コイルフレーム132が挿入されている。駆動コイル131に対しては、中空部を規定している第1ヨーク部分142Aのヨーク円形内周面が一定のギャップで対峙している。これに対して、前後の第2ヨーク部分142B、142Cのヨーク円形内周面は、第1ヨーク部分142Aのヨーク円形内周面よりも内径が大きい。したがって、第1ヨーク部分142Aとインナーヨーク143の円形外周面の間のギャップよりも大きなギャップで、第2、第3ヨーク部分142B、142Cのヨーク円形内周面はインナーヨーク143の円形外周面に対峙している。これにより、モータ可動子130とモータ固定子140の間でマグネット磁路が短絡しないようにしている。
【0057】
第1ヨーク部分142Aの内部には、そのヨーク円形内周面に沿って、円周方向に等角度間隔で、複数個、例えば5個の駆動マグネット141が埋め込まれている。本例では、偏平な矩形断面の駆動マグネット141が、第1ヨーク部分142Aの前後方向Zの略全長に亘って延びている。また、各駆動マグネット141は、ヨーク円形内周面の内側において、当該ヨーク円形内周面における最も近い点に引いた接線の方向に延びる姿勢で配置されている。
【0058】
インナーヨーク143は、駆動コイル131の中空部を同心状態で貫通して延びている。インナーヨーク143の後端はモータフレーム101の背板104に、固定ネジ146によって固定されており、その前端面143aは、第1エンドヨーク144に形成されている円形貫通穴から前方に露出している。また、インナーヨーク143の前端面143aと第1エンドヨーク144の前端面は同一の垂直平面上に位置している。
【0059】
図8(a)に示すように、インナーヨーク143とアウターヨーク142の間の前後の部位には、それぞれ緩衝材からなるストッパ170、171が配置されている。すなわち、インナーヨーク143と、アウターヨーク142の第2ヨーク部分23Bとの間に、ストッパ170が配置されており、インナーヨーク143と、アウターヨーク142の第3ヨーク部分142Cとの間に、ストッパ171が配置されている。前側のストッパ170はエンドヨーク144に取り付けられており、後側のストッパ171は、背板104に取り付けられている。前後のストッパ170、171の間で、モータ可動子130がモータ前後方向Zにスライド可能である。
【0060】
このように、リニア直流モータ100では、スライダ108と、レンズフレーム110と、モータ可動子130および可動側検出部116とによって、可動部が構成されている。これに対して、モータフレーム101と、ここに取り付けられているガイドレール107、モータ固定子140および固定側検出部117とによって、固定部が構成されている。
【0061】
可動部と固定部の間は、モータ前方にU字状に突出しているフレキシブルプリント配線基板160を介して電気的に接続されている。すなわち、フレキシブルプリント配線基板160の一端は、モータフレーム101の側に取り付けた固定側回路基板122に搭載されたコネクタ(図示せず)に接続され、他端は、可動側のレンズフレーム110に取り付けた可動側回路基板123に搭載したコネクタ(図示せず)に接続されている。また、外部配線群161は、取付けフランジの前端に沿ってモータ上下方向Yの上方に引き出されている。
【0062】
なお、リニア直流モータ100においても、図5に示す場合と同様に、複数の駆動マグネット141の代わりに、一定厚、一定幅のC形マグネットを用いることができる。アウターヨーク142は、強磁性板の積層構造体として構成されている。この代わりに、アウターヨーク142を一体構造のもの、例えば焼結体からなる一体物とすることもできる。
【0063】
以上説明したように、実施の形態2のリニア直流モータ100は、
レンズが搭載されるレンズフレーム(110)と、
前記レンズフレーム(110)を、モータ前後方向(Z)に直線状に延びるガイドレール(107)に沿ってスライド可能な状態で支持しているリニアガイド(106)と、
前記レンズフレーム(110)に取り付けられていると共に、駆動コイル(131)を備えたモータ可動子(130)と、
前記駆動コイル(131)との間に前記ガイドレール(107)に沿ったスライド方向への磁気駆動力を発生させる駆動マグネット(141)を備えたモータ固定子(140)と、
前記レンズフレーム(110)の前記スライド方向の位置を検出する検出部(115)と、
前記リニアガイド(106)、前記モータ固定子(140)および前記検出部(115)の固定側の部位が取り付けられているモータフレーム(101)と、
を有しており、
前記駆動コイル(131)は、前記スライド方向に平行に延びる中心軸線(132a)を中心として円筒状にコイル巻線が巻回されている円筒状コイルであり、
前記レンズフレーム(110)、前記リニアガイド(106)および前記検出部(115)は、前記モータ固定子(140)およびモータ可動子(130)に対して、モータ上下方向(Y)の下側に配置され、
前記レンズフレーム(110)に対して、モータ幅方向(X)の一方の側に、前記リニアガイド(106)が配置され、他方側に、前記検出部(115)が配置されている。
【0064】
ここで、前記リニアガイド(106)のスライド方向の中心線と前記検出部(115)の検出位置とが、モータ上下方向(Y)において、同一位置(図8(b)における同一平面Pb上の位置)あるいは、なるべく近い位置にあることが望ましい。
【0065】
また、前記モータ可動子(130)および前記レンズフレーム(110)を含む可動部に作用するモータ推力の中心と、前記可動部の重心とが、モータ幅方向(X)において、同一位置、あるいは、なるべく近い位置にあることが望ましい。
【0066】
さらに、前記モータ可動子(130)を、非磁性材からなる円筒状コイルフレーム(132)の円筒状外周面に、前記駆動コイル(131)を巻回した構成とすることができる。前記モータ固定子(140)を、アウターヨーク(142)と、インナーヨーク(143)とを備えた構成とすることができる。この場合、前記アウターヨークによって前記駆動コイル(131)を同心状に取り囲み、前記インナーヨーク(143)を、前記円筒状コイルフレーム(132)の中空部を同心状に貫通して延びている円柱状のインナーヨークとすることができる。
【0067】
さらにまた、前記駆動マグネット(141)を、前記アウターヨーク(142)の内部において、その内周面に沿って、等角度間隔で配置されている複数の駆動マグネットとすることができる。この代わりに、前記駆動マグネットを、前記駆動コイル(131)を同心状に取り囲む状態で、前記アウターヨーク(142)の内周面に固定したC形マグネットとすることができる。
【0068】
次に、前記アウターヨーク(142)は、第1ヨーク部分(141A)と、この第1ヨーク部分(142A)の前記モータ前後方向(Z)の前後に連続している同一形状の第2ヨーク部分(142B)および第3ヨーク部分(142C)とを備えており、
前記駆動コイル(131)に対して、前記第1ヨーク部分(142A)のヨーク円形内周面が一定のギャップで対峙しており、
前記第2ヨーク部分(142B)および前記第3ヨーク部分(142C)のヨーク円形内周面は、前記第1ヨーク部分(142A)の前記ヨーク円形内周面よりも内径が大きく、
前記第1ヨーク部分(142A)と前記インナーヨーク(143)の円形外周面との間のギャップよりも大きなギャップで、前記第2、第3ヨーク部分(142B、142C)の前記ヨーク円形内周面は、前記インナーヨーク(143)の前記円形外周面に対峙していることが望ましい。
【0069】
前記モータ可動子(130)のスライド範囲を規定する第1ストッパ(170)および第2ストッパ(171)を有している場合には、
前記第1ストッパ(170)は、前記インナーヨーク(143)と、前記アウターヨーク(142)の前記第2ヨーク部分(142B)との間に配置し、
前記第2ストッパ(171)は、前記インナーヨーク(143)と、前記アウターヨーク(142)の前記第3ヨーク部分(143C)との間に配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8