特許第6095676号(P6095676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095676
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】風洞天秤
(51)【国際特許分類】
   G01M 9/06 20060101AFI20170306BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   G01M9/06
   G01M17/00 P
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-539322(P2014-539322)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2014-535053(P2014-535053A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2012071536
(87)【国際公開番号】WO2013064525
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】102011085640.4
(32)【優先日】2011年11月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513110296
【氏名又は名称】エムアーハーアー アーイーペー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】クネステル,アントン
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,クリスチアン
(72)【発明者】
【氏名】ベヒャラー,トマス
【審査官】 後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−014431(JP,A)
【文献】 特表2007−503573(JP,A)
【文献】 特表2009−506305(JP,A)
【文献】 特開昭62−038333(JP,A)
【文献】 特表2011−513747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 9/00−10/00
G01M 17/00−17/06
G01L 5/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風洞天秤であって、
−少なくとも2つのローラ(3c)の周りに巻かれた少なくとも1つのコンベヤベルト(3b)を備えた少なくとも1つのベルトユニットフレーム(3a)を有する少なくとも1つのベルトユニット(3)を有し、
前記風洞天秤は、
−車(9)を所定の位置において前記コンベヤベルト(3b)に締着するのに適した少なくとも1つの締着装置(6)と、
−フレーム(4)と、
−前記フレーム(4)に対して移動可能なように支持されるプラットフォーム(1)とを有し、
力測定要素(2)が前記フレーム(4)と前記プラットフォーム(1)の間に設けられ、前記フレーム(4)と前記プラットフォーム(1)との間の力を検出可能であり、
前記締着装置(6)は前記プラットフォーム(1)に取り付けられており、
前記少なくとも1つのベルトユニット(3)が前記フレーム(4)上に技術的に可能な限り摩擦力のない状態で支持され、
前記プラットフォーム(1)は、前記少なくとも1つのベルトユニット(3)に少なくとも1つの接続マウント(7)によりxおよび/またはy方向の力が前記ベルトユニット(3)から前記プラットフォーム(1)に伝達されるように接合され、
前記接続マウント(7)は前記プラットフォーム(1)を前記ベルトユニット(3)にz方向に技術的に可能な限り摩擦力のない状態で接続することを特徴とする風洞天秤。
【請求項2】
請求項1に記載の風洞天秤において、
前記ベルトユニット(3)は技術的に可能な限り摩擦力のない状態で前記フレーム(4)上に浮動マウント(8)により支持されることを特徴とする風洞天秤。
【請求項3】
請求項2に記載の風洞天秤において、
前記浮動マウント(8)は、前記フレーム(4)に対する前記ベルトユニット(3)のxおよびy方向の相対運動を許容することを特徴とする風洞天秤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
前記少なくとも1つの接続マウント(7)は液圧式および/または気圧式マウントであり、
少なくとも1つのガイドピン(7)が技術的に可能な限り摩擦力のない状態で少なくとも1つのガイドソケット(7b)内に配置されていることを特徴とする風洞天秤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
前記少なくとも1つの接続マウント(7)は前記ベルトユニット(3)から前記プラットフォーム(1)へのx方向の力の伝達を許容し、前記接続マウント(7)は前記プラットフォーム(1)を前記ベルトユニットフレーム(3a)にyおよびz方向に技術的に可能な限り摩擦力のない状態で接続することを特徴とする風洞天秤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
少なくとも1つのx力測定要素(2a)、少なくとも1つのy力測定要素(2b)および/または少なくとも1つのz力測定要素(2c)が前記プラットフォーム(1)と前記フレーム(4)との間に設けられ、
前記少なくとも1つのx力測定要素(2a)は、前記プラットフォーム(1)と前記フレーム(4)との間でx方向の力を検出することが可能なように配置され、
前記少なくとも1つのy力測定要素(2b)は、前記プラットフォーム(1)と前記フレーム(4)との間でy方向の力を検出することが可能なように配置され、かつ
前記少なくとも1つのz力測定要素(2b)は、前記プラットフォーム(1)と前記フレーム(4)との間でz方向の力を検出することが可能なように配置されていることを特徴とする風洞天秤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
記ベルトユニット(3)と前記プラットフォーム(1)との間に配置され、前記プラットフォーム(1)と前記ベルトユニット(3)との間のx方向の力を検出可能な、少なくとも1つの追加の力測定要素(10)を備えることを特徴とする風洞天秤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
少なくとも1つのロッカーパッド(5)が前記少なくとも1つのコンベヤベルト(3b)の上方行程の下に位置し、
前記ロッカーパッド(5)は、前記車(9)が前記コンベヤベルト(3b)に取り付けられている場合、前記車(9)は前記コンベヤベルト(3b)上に載置され、前記車の車輪が前記少なくとも1つのロッカーパッド(5)の頂部にあるように、配置され、
前記少なくとも1つのロッカーパッド(5)はz方向の力、特に前記車(9)の重力並びに揚力および/または反揚力を検出することを特徴とする風洞天秤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
前記締着装置(6)は前記車(9)を前記コンベヤベルト(3b)に固定位置において前記少なくとも1つのロッカーパッド(5)の上方に固定し、
前記締着装置(6)は、x、yおよび/またはz方向の力を前記車(9)から前記プラットフォーム(1)に前記締着装置(6)を介して伝達できるように前記車(9)を固定することを特徴とする風洞天秤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
前記少なくとも1つのz力測定要素(2c)は、前記締着装置(6)と前記プラットフォーム(1)とを介してz力測定要素(2c)に伝達されるz方向の寄生力(z力)を個別に測定することが可能であることを特徴とする風洞天秤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の風洞天秤において、
1つ,3つ、5つまたは7つのベルトユニット(3)を含むことを特徴とする風洞天秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度の測定が可能な風洞天秤に関する。特に、本発明の風洞天秤は、例えば、コンベヤベルトに不正確に固定された車両により生成されるz方向の寄生力(parasitaereKraefte)を個別に検出するのに使用することができる。加えて、プラットフォームに作用する重力が最小化されるので、測定精度が向上する。これは風洞天秤のプラットフォームをフレームに対して移動可能に支持することにより達成できる。ベルトユニットとその上に置かれている(自動)車の重力がフレームに対して支持されている。
【背景技術】
【0002】
風洞内での空気力学試験の際に自動車に作用する力を測定するために、種々の試験ベッドまたは試験スタンドの設定が知られている。例えば1ベルト系、3ベルト系または5ベルト系がある。座標系は、x軸が試験スタンドのコンベヤベルトの走行方向に一致するように選択される。y軸はコンベヤベルトに垂直である。z軸は、コンベヤベルトの上方行程の表面から出発し、コンベヤベルトから離れる方向を示す(図面の座標系参照)。
【0003】
1ベルト系は、2つのローラまたはドラムの周りを走行する幅広の連続コンベヤベルトを有するベルトユニットを1つ有する。空気力学試験のために、自動車は4つの車輪がすべて1本のコンベヤベルトに接して配置され、このコンベヤベルトに対して固定される。これは、例えば、コンベヤベルトの横方向に配置された固定装置を用いて達成される。車輪はマウント(ロッカーパッド)上に支持され、該マウントはコンベヤベルトの上方行程の下でローラ間に配置される。一般に、ロッカーパッドは測定センサに接続されているので、例えばz方向の力、例えば自動車の重力、揚力または反揚力を検出することが可能である。従って、z方向の力はコンベヤベルトを介して測定される。この意味において、これはベルト貫通測定(Durchbandmessung)と呼ばれる。
【0004】
ベルト貫通測定は3ベルト系、5ベルト系および7ベルト系においても用いられる。3ベルト試験スタンドでは、自動車のタイヤは狭い側のベルトユニット上に置かれる。道路表面をシミュレーションするために、いわゆる中央ベルトが側面ベルトユニットの間を走行する。ベルト貫通測定は2つの側面ベルトユニット間で行われる。5ベルト試験スタンド設定では、中央ベルトと、その側面の4つの小ベルトユニットとが設けられている。通常、自動車は4つの側面ベルトユニット上に置かれ、ベルトユニット自体が計量される。この場合、ベルト貫通測定はしばしば用いられないが、用いることは可能である。5ベルト系では、ベルト貫通測定は、特に、自動車のトラック幅が中央ベルトの幅以下であり、自動車が中央ベルト上にのみ置かれている場合に用いられる。
【0005】
既知の風洞天秤では、(自動)車に作用する空気力学的力の測定は、風洞天秤上で試験されている場合、寄生力により歪曲され得る。これらの寄生力は、就中、車の車輪の滑り、車のコンベヤベルトに対する固定が不正確であることにより引き起こされるか、またはいわゆるウォーク力および/またはロール力(Walk−und/oder Rollkraefte)による。z方向の寄生力は、例えば、コンベヤベルト上で車をその位置に保つ拘束系(締着装置)の固定ケーブルが水平に対して平行な向きになっていないためロッカーパッドにより検出される寄生(仮想的)力を生成することにより生じる。従来の風洞天秤はこれらの寄生力を個別に検出することができないか、またはできるとしても複雑性が相当程度増してしまい、結局測定がさらに不正確になってしまうことがあり得る。
【0006】
寄生力の話題に関して、EP1656541は単一のコンベヤベルトを有する風洞天秤試験ベッドを単一の計量プレートであって静止基準系に対して移動可能に支持されたものの上に置くことを提案している。空気力学的力の検出は、静止基準系に対する計量プレートの移動によって行われる。この装置では、x、yおよびz方向の寄生力は内力として生じるため、それらを個別に表示または検出することができない。従って、EP1656541による試験ベッドの一つの欠点は、例えば車の固定により生成される寄生(仮想的)力はz方向の空気力学的力(空気力学的揚力および反揚力並びに車の重量により生成されるもの)から容易に表示または個別に検出することができないことである。これは測定結果の歪曲の原因となり得る。EP1656541の装置では、車輪の換気損失を個別に(分離して)検出することもできない。EP1656541の風洞天秤は、同時に力を検出するためにも用いられる単一の計量プレート上に全重量を置いていることも不都合である。その結果計量プレートにかかる重量も大きくなるので測定精度が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、測定精度の高い風洞天秤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴により達成される。本発明の好適な改変の特徴は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の風洞天秤は少なくとも1つのベルトユニットを有していてもよい。このベルトユニットは少なくとも1つのベルトユニットフレームを有していてもよく、このベルトユニットフレームは少なくとも1つのコンベヤベルトが設けられている。このコンベヤベルトは少なくとも2つのローラーの周りに巻かれていてもよい。
【0010】
風洞天秤は、コンベヤベルトに対して所定の位置に車を締着するのに好適な少なくとも1つの締着装置を有していてもよい。
【0011】
風洞天秤はフレームとプラットフォームとを有していてもよい。プラットフォームは、フレームに対して移動可能に支持されていてもよい。力測定要素はプラットフォームとフレームとの間に設けることができ、フレームとプラットフォームとの間の力(車および/またはベルトユニットおよび/またはコンベヤベルトに作用する力に由来する)を測定することができる。
【0012】
締着装置はプラットフォームに取り付けることができる。
【0013】
加えて、上記少なくとも1つのベルトユニットはフレーム上に本質的に、無摩擦の状態で支持することができる。プラットフォームは、少なくとも1つのベルトユニットに少なくとも1つの接続マウントを用いて、xおよび/またはy方向の力がベルトユニットからプラットフォームに伝達できるように、結合することができる。加えて、接続マウントは、プラットフォームとベルトユニットをz方向に本質的に無摩擦の状態で接続することができる。
【0014】
本発明の風洞天秤は、測定精度を向上することが可能である。ベルトユニットと自動車の重量はフレームに支持されるがプラットフォームには支持されないので、プラットフォームとその上に置かれた力測定要素とにかかる応力がより小さくて済む。これにより測定感度または測定精度が向上し、当面必要とされている約1Nの測定感度または測定精度を達成することが可能である。加えて、測定精度の向上がなされるが、これはプラットフォームとフレームとの間に設けられたz力測定要素によりz方向の寄生力が個別に検出できることによる。
【0015】
「ベルトユニットフレーム」という用語は、例えば、ベルトユニットのローラーやコンベヤベルトをその上に配置することができる基礎フレームを構成する全ての構成要素を包含することができる。ベルトユニットフレームは1個または複数個から構成することができる。
【0016】
一般的に、ベルトユニットは本質的にベルトユニットフレーム、コンベヤベルトおよび2つのローラーを備える。ベルトユニットは、また、コンベヤベルトを駆動するための駆動ユニット、油圧系、電気部品等のような他のベルトユニット構成部品を備えていてもよいが、それらについてはここでは説明しない。
【0017】
締着装置(拘束系)は、例えば、2つの締着ブラケットまたはロッド(第1の締着要素)であって、それぞれコンベヤベルトに対して横に配置できるものから構成することができ、またケーブル、ストラップ、ベルト、ロッドおよび/またはそれらの組合せのような固定要素(第2の締着要素)を備えることができる。該固定要素は締着ブラケット上に配置することができ、また、例えばロッカー取付具を用いて自動車フレームの対応するソケット内に配置してもよい。
【0018】
車をコンベヤベルトに固定することは、空気力学的試験または他の試験の間、車がコンベヤベルト上でその所定の位置を維持すること、すなわちこの位置から逸れないことを意味する。
【0019】
プラットフォーム上の締着装置の固定された配置は、例えば摩擦係合を用いて、または形状適合係合を用いて実現することができる。
【0020】
本質的に、「無摩擦の」という用語は、マウントが指定された方向において技術的に可能な限り摩擦力のないことを意味するものとする。接続マウントは、例えばz方向に(本質的に)何の力も伝達しないが、これはz方向においてマウントが本質的に無摩擦であるためである。
【0021】
接続マウントはベルトユニットとプラットフォームを接合または接続する。この場合、接続マウントは、好ましくは、ベルトユニットフレーム上に設けられている。
【0022】
加えて、ベルトユニットは、浮動マウントにより実質的に無摩擦状態でフレーム上に支持されていてもよい。
【0023】
「浮動マウント」は、例えば、マウントがz方向の力を吸収し、xおよび/またはy方向の力を吸収しないこと、すなわちベルトユニットが滑動式に支持されることを意味する。本発明による力の分離、すなわちz力がフレームにより直接吸収され、xおよび/またはy方向の力は接続マウントを介してプラットフォームに運ばれることにより、風洞天秤の測定精度が向上する。
【0024】
風洞天秤の浮動マウントは、xおよびy方向においてフレームに対するベルトユニットの相対運動を許容してもよい。
【0025】
加えて、風洞天秤の少なくとも1つの接続マウントは液圧および/または気圧マウントであってもよい。この場合、少なくとも1つのガイドピンを少なくとも1つのガイドソケット内に本質的に無摩擦状態で配置することができる。
【0026】
液圧マウントは、例えば、油圧または水圧を用いて本質的に無摩擦の支持を可能にする全てのマウントを含む。気圧マウントは、例えば、空気圧マウントである。
【0027】
ガイドピン/ガイドピストン/ガイドロッド/ガイド機構はガイドソケット内で無摩擦で滑動し、例えば液式または気圧式でz方向に配置される。ガイドソケットはガイドピンの形状に応じて、および必要とされる力伝達方向に応じて具現化される。本質的に円筒状のガイドピンを用い、x方向およびy方向におけるベルトユニットとプラットフォームとの間の所望の力伝達を行う場合、ガイドソケットは、好ましくは本質的に円筒状穴または開口部であってもよい。
【0028】
加えて、少なくとも1つの接続マウントはx方向にベルトユニットからプラットフォームへの力の伝達を許容し、プラットフォームをフレームにy方向およびz方向に本質的に無摩擦状態で接続することができる。これにより、本質的にx方向の力に関心がある場合の測定が可能である。
【0029】
風洞天秤は、少なくとも1つのx力測定要素と少なくとも1つのy力測定要素および/またはz力測定要素を有していてもよく、それぞれプラットフォームとフレームとの間に設けられる。
【0030】
少なくとも1つのx力測定要素は、プラットフォームとフレームとの間でx方向の力を検出することが可能であるように配置することができる。
【0031】
少なくとも1つのy力測定要素は、プラットフォームとフレームとの間でy方向の力を検出することが可能であるように配置することができる。
【0032】
少なくとも1つのz力測定要素は、プラットフォームとフレームとの間でz方向の力を検出することが可能であるように配置することができる。
【0033】
これらの力測定要素は、例えば、プラットフォームとフレームとの間の小さな相対運動を経路変化として検出し、それを力値として出力することができる。
【0034】
この結果、各測定装置はそれらの力を個別に検出することが可能である。力値は、例えば評価ユニット、すなわちコンピュータ、へ供給してもよい。
【0035】
力測定要素(または力検出要素)は、例えば、歪みゲージに基づいて圧電式またはピエゾ抵抗式に機能して、経路変更、膨張、圧縮、張力および/または圧力を電気力信号に変換するロードセルであってもよい。
【0036】
力測定要素はそれぞれ2つのオイラー柱の間に配置することができるので、オイラー柱の方向に垂直な力のみが力測定要素に伝達される。オイラー柱は、例えば、本質的にロードセルに柱の軸心に対して垂直方向に配向された力のみを伝達するために、相互に、例えば、90°ねじれるように配置される形状/曲率を有していてもよい。
【0037】
風洞天秤は、また、少なくとも1つの換気損失力測定要素を有していてもよい。換気損失力測定要素はベルトユニットとプラットフォームとの間に配置することができるので、プラットフォームとベルトユニットとの間においてx方向に力を検出することが可能であり、従って、車輪の換気損失を個別に検出することが可能になる。
【0038】
ベルトユニットとプラットフォームとの間の小さな相対運動を検出することで換気損失を分離し、個別に評価し、そして検出することが可能になり、従って、風洞天秤全体の測定精度が向上する。
【0039】
換気損失力測定要素は、好ましくは、x、yおよびz力測定要素に加えて、プラットフォーム上に設けられる。
【0040】
加えて、風洞天秤は少なくとも1つのロッカーパッドを有していてもよく、このロッカーパッドは少なくとも1つのコンベヤベルトの上方行程の下に位置している。ロッカーパッドの配置は次の通りである。すなわち、車がコンベヤベルトに取り付けられる場合、車輪が少なくとも1つのロッカーパッドの頂部上にあるように車がコンベヤベルト上に置かれるように配置することができる。加えて、少なくとも1つのロッカーパッドは、z方向の力、特に車の重力並びに揚力および/または反揚力を検出することができる。
【0041】
ロッカーパッドは車輪接触領域の力を検出し、これらの力を足し算して、z力、すなわち車両の重力、揚力および反揚力並びにz方向の寄生力の合計を検出する。加えて、ロッカーパッドのゼロ位置からの偏位を検出することにより、x軸および/またはy軸の周りの追加のモーメントを検出することが可能になる。
【0042】
「ロッカーパッド」という用語はz力を測定することができる、特にベルト貫通測定用の任意の測定装置を意味する。好ましくは、各車輪にはそれぞれロッカーパッドが設けられている。すなわち、通常4つのロッカーパッドが設けられている。
【0043】
加えて、締着装置は車を少なくとも1つのロッカーパッドの上方の定位置においてコンベヤベルトに固定することができる。締着装置は車両を固定する場合、x、yおよび/またはz方向の力が車からプラットフォームに締着装置を介して伝達できるようにしてもよい。
【0044】
これにより、x方向およびy方向の寄生力が力測定要素により検出されない内力として生じることが可能となる。すなわち、これらの寄生力が測定値の歪みをもたらすことはない。
【0045】
風洞天秤は、また、少なくとも1つのz力測定要素を用いて、締着装置とプラットフォームとを介してz力測定要素に伝達される寄生z力を個別に検出することができる。
【0046】
これによりロッカーパッドの測定値に含まれる寄生z力を個別に検出することが可能になる。z力測定要素は寄生z力のみを示すので、これらの力はロッカーパッドに検出される力値を用いて相殺できる。相殺された力値は、従って、実際の測定状況のより正確な表示を提供する。
【0047】
加えて、風洞天秤は1つ、3つまたは5つのベルトユニットを有していてもよい。これは、本発明の思想を多重ベルト系、例えば3ベルト系または5ベルト系に自由自在に使用可能である点で有利である。個々の系の間で転換可能である可能性さえもある。
【発明の効果】
【0048】
要約すると、本発明の風洞天秤は向上された測定精度を達成するという特別の利点を有している。この利点は、寄生z力が個別に検出されることができ、かつ、風洞天秤のかなりの重力が別々のマウントに分散することができるからであり、すなわち、プラットフォームを介して伝達されることはないからである。
【0049】
本発明を、添付図面を参照しながら下記の実施例により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の実施例1の風洞天秤の側面図のスケッチである。
図2】本発明の実施例1の風洞天秤の上面図のスケッチである。
図3】本発明の実施例2の風洞天秤の側面図のスケッチである。
図4】本発明の実施例2の風洞天秤の上面図のスケッチである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明の風洞天秤の好適な実施例を示す。プラットフォーム(1)が用いられている。プラットフォーム(1)はベルトユニット(3)および/またはベルトユニットフレーム(3a)に接続マウント(7)によりxおよびy方向についてのみ摩擦係合で接続または接合されている。z方向の力は(本質的に)無摩擦マウント(8)、例えば浮動マウントまたは滑動マウントを介して逸らされる。無摩擦マウント(8)は、また、関節式マウント(Knicklager)として具現化することができる。すなわち、その場合、マウントはロッド状または柱状支持体であって、軸線方向に例えば90°相互にねじれるように配置された断面テーパ部(湾曲部、凹部)を有するものから構成される。各支持体に2つより多い断面テーパ部を設けることも可能である。
【0052】
図1はベルトユニット(3)のベルトユニットフレーム(3a)が回転可能に支持された2つのローラ(3c)を有することを示している。連続コンベヤベルト(3b)がこれらのローラ(3c)の周りに配置されて(巻かれて)おり、例えば、ローラ(3c)の回転運動により運動状態に設定することができる。ベルトユニットフレーム(3a)はベルトユニット(3)の重量を支持し、それぞれフレーム(4)上にそれぞれの浮動マウント(8)により支持されるスタンド要素(3d)を有する。その結果、ベルトユニット(3)の重力とおそらくはベルトユニット(3)の上にある自動車(9)の重力はフレーム(4)に逸らされる。加えて、フレーム(4)はその周囲(図示しない)に対してz軸の周りに回転可能であるように支持することができる。
【0053】
プラットフォーム(1)は、例えば、フレーム(4)の中央に配置されるユニットである。図1に示されるプラットフォーム(1)とフレーム(4)の間の距離は説明し易くするために示したものであり、より小さいまたは大きい距離にすることもできる。プラットフォーム(1)の形状は、図1に示すように、基本的形状が矩形のプレート状に具現化することができる。しかしながら、本発明によれば、プラットフォーム(1)の形状はより複雑な形状にすることも可能である。プラットフォーム(1)は必ずしもプレート形状にする必要はない。
【0054】
図1から明らかなように、2つの接続マウント(7)を用いて、ベルトユニット(3)および/またはそのベルトユニットフレーム(3a)とプラットフォーム(1)との間のxおよびy運動を結合することも可能である。図1が示すように、接続マウント(7)は、ベルトユニットに向いている側に載置されたガイドピストン(7a)を有し、ガイドピストンはプラットフォーム(1)上に載置された関連するガイドソケット(7b)に係合する。ガイドピストン(7a)はz方向、すなわち上下にガイドソケット内に(本質的に)無摩擦状態で滑動する。z方向の支持は液圧式または気圧式で実施され、ベルトユニット(3)からプラットフォーム(1)にz方向に本質的に力が伝達されない。これに対して、好ましくは相補的形状のガイドピストン(7a)の積極的な形状適合係合−この場合円筒状−により、ガイドソケット(7b)はベルトユニット(3)および/またはそのベルトユニットフレーム(3a)のx方向およびy方向の運動がプラットフォーム(1)に伝達/移動可能になる。
【0055】
z力測定要素(2c)−2つだけが図示されているが、3つまたは4つ設けるのが特に好ましい−によりプラットフォーム(1)がフレーム(4)に垂直軸(z方向)の方向に支持される。検出された力は、例えば、評価ユニット(図示しない)により表示することができる。
【0056】
駆動軸に沿う力(x力)は少なくとも1つのx力測定装置(2a)を用いて検出される。x力測定装置(2a)は、図1では、プラットフォーム(1)のx方向の前端とフレーム(4)の部分との間に設けられている。
【0057】
駆動軸に垂直な力(y力)は少なくとも1つの、好ましくは2つのy力測定要素(2b)を用いて検出/測定される。2つのy力測定要素をプラットフォーム(1)の側面に設けることができ、x方向に相互に離隔して配置される。y力測定要素(2b)の他端はフレーム(4)に固着されている。
【0058】
図中、力測定要素(2)はすべてバネ要素の形で概念的に示されている。実際の装置では、好ましくはロードセルまたは歪みゲージ(またはロードセルに統合された歪みゲージ)が用いられる(しかしながら、他の力測定要素を使用することも可能である)。これらは1つのオイラー柱もしくはピラーの中心または2つのオイラー柱もしくはピラーの間の中心に配置される。当然、力測定要素の代替的な締着および/または配置を提供することも可能である。
【0059】
図1は、また、プラットフォーム(1)が、締着装置(6)(拘束系)の少なくとも2つの(またはおそらくは3つ以上の)第1の締着要素(6a)(締着ブラケット)に接続されていることを示す。2つの締着ブラケット(6a)はz方向に、好ましくは垂直に、それぞれ、コンベヤベルト(3b)の側に、好ましくはプラットフォーム(1)上の風洞天秤の−x方向に関して−中央位置に立っている。第1の締着ブラケット(6a)はプラットフォーム(1)に強固に固定されている。図1は、また、締着ブラケット(6a)の−z方向の−上端がコンベヤベルト(3b)の上方行程のz高さを超えて突出していることを示している。好ましくは、少なくとも1つの第2の締着要素(6b)が締着ブラケット(6a)の突出端部分に締着されている。第2の締着要素(6b)は、好ましくは、ケーブル、ベルト、非常に細いロッドまたはケーブル、ベルト等の種々の部品から構成され、かつ車(9)に向かう端部においてロッカー取付具を有していてもよい。好ましくは、少なくとも2つの第2の締着要素(6b)が車の(y方向における)各側面に設けられ、それらは車(9)上の対応するソケット内にロッカー取付具を用いて配置されている。第2の締着要素(6b)は車(9)をコンベヤベルト(3b)上(に対して)所定の位置に保持する。ケーブルに作用する任意のx/y力はケーブル(6b)を介して逸らされ、内力として作用するだけである。すなわち、それらの力は力測定要素(2a,2b)によって検出されない。
【0060】
第2の締着要素(6b)が、例えば、水平方向に正確に案内されない場合、これによる寄生z力が生成し、コンベヤベルト(3)の上方行程の下の少なくとも1つのロッカーパッド(5)により検出される。加えて、これらの寄生z力も締着装置(6)を介してz力測定要素(2c)に個別に伝えられる。これにより、ロッカーパッド(5)およびz力測定要素(2c)における測定されたz力の相殺/補正が可能となり、従って測定精度の向上が可能になる。
【0061】
図2図1の実施例の概念的上面図である。図2から明らかなように、y力測定要素(2b)を一方の側に配置すれば正確な測定を行うには十分である。図2は、また、プラットフォーム(1)は横に(y方向に)コンベヤベルト(3b)の外側縁を十分に超えて突出し、突出部分に締着ブラケット(6a)のための余裕があることを示している。
【0062】
図2は、また、プラットフォーム(1)の配置を示している。プラットフォーム(1)はフレーム(4)の中央に位置しているか、または少なくとも本質的にその中心にある。
【0063】
コンベヤベルト(3b)の下方に、図2において正方形で示されるロッカーパッド(5)が設けられ、その上に車輪が位置する。車(9)は図2においては図示されていない。ロッカーパッド(5)はベルト貫通測定を用いて重力、すなわちここではz力を検出するが、z力は種々の成分を有していることがある。例えば、ロッカーパッド(5)により検出されたz力は、とくに車(9)の重力、揚力、反揚力および寄生z力の和であり得る。既に何度も説明したように、本発明の風洞天秤は寄生z力を個別に検出することができるので、寄生z力はロッカーパッド(5)において測定されたz力を用いて相殺(補正)することができる。
【0064】
図2は、また、第2の締着要素(6b)を示す。第2の締着要素(6b)の端部はそれぞれ車のフレーム上のソケットと関連する第1の締着要素(6a)とを相互に接続する。
【0065】
本発明の風洞天秤の他の実施例(図3および図4)では、少なくとも1つのベルトユニット(3)またはベルトユニットフレーム(3a)またはコンベヤベルト(3b)は追加の力測定要素(10)を介してプラットフォーム(1)に接続されている。これにより、車輪に生じる力、例えばロール力、ウォーク力、および/または換気損失測定要素(10)において測定される換気損失を分離することが可能になる。他の空気力学的力は力測定要素(2a−2c)において引き続き入手可能である。具体的には、図3は、換気損失力測定要素(10)がプラットフォーム(1)のx方向の前端(異なる位置も可能であるが)に固定載置されていることを示す。他の力測定要素(2a−2c)に対して、換気損失力測定要素(10)の第2の端部はベルトユニット(6)上に位置している。この場合、この第2の端部は一方のスタンド要素(3d)上に位置している。従って、例えば、プラットフォーム(1)とベルトユニット(3)の間のx方向の相対運動を検出することが可能であり、従って、車両(9)の車輪における換気損失を追加的に個別に決定することができる。これらの換気損失は、例えば、他の検出された力値を用いて相殺し、風洞天秤の測定精度を向上することができる。
【0066】
加えて、図3は、図4とともに、また、本発明の接続マウント(7)の他の実施例を示す。ここで、注意すべきことは、接続マウント(7)の追加の実施例は追加の換気損失力測定要素(10)の実施例とともにのみ示されているが、これは説明の便宜のためである。当然、図1の実施例も追加の換気損失力測定要素(10)を有していてもよい。
【0067】
図3に特に示すように、2つのレール(7c)がベルトユニット上に固定載置され、x方向に相互に離隔して配置されている。プラットフォーム(1)の各側に固定載置された2つの係合要素(7d)がレール(7c)の受け入れ開口部に係合する−図1の実施例と同様に−ので、x/y運動の結合が可能であるが、z方向においては無摩擦の支持が提供される。
【0068】
当然、次のような風洞天秤の実施例または実施形態も可能である。すなわち、例えば、x方向のみ、またはy方向のみの運動結合が実現され、無摩擦支持がz方向と、xまたはy方向とに提供されるようにしてもよい。
【0069】
要約すれば、本発明の風洞天秤はz方向の寄生力が締着装置(6)を介してz力測定要素(2c)に伝達され後者により分離して測定されることができるという利点を有する。その結果、ロッカーパッド(5)の測定値は補正することが可能であり、より正確な測定を行うことができる。風洞天秤の重力が浮動マウント(8)を介して逸らされ、そのためプラットフォーム(1)を歪ませないことにより、測定精度はさらに向上する。
【0070】
図示の実施例は他の実施例と、当業者に自明な任意の仕方で、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 プラットフォーム
2 力測定要素
2a x力測定要素
2b y力測定要素
2c z力測定要素
3 ベルトユニット
3a ベルトユニットフレーム
3b コンベヤベルト
3c ローラ
3d スタンド要素
4 (風洞天秤の)フレーム
5 ロッカーパッド
6 締着装置
6a 第1の締着要素(横ブラケット)
6b 第2の締着要素(ベルト、ケーブル等)
7 接続マウント
7a ガイドピン/駆動ピン
7b ガイドソケット
7c レール
7d 係合要素
8 浮動/滑動マウント
9 (自動)車
10 換気損失力測定要素
図1
図2
図3
図4