【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴により達成される。本発明の好適な改変の特徴は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の風洞天秤は少なくとも1つのベルトユニットを有していてもよい。このベルトユニットは少なくとも1つのベルトユニットフレームを有していてもよく、このベルトユニットフレームは少なくとも1つのコンベヤベルトが設けられている。このコンベヤベルトは少なくとも2つのローラーの周りに巻かれていてもよい。
【0010】
風洞天秤は、コンベヤベルトに対して所定の位置に車を締着するのに好適な少なくとも1つの締着装置を有していてもよい。
【0011】
風洞天秤はフレームとプラットフォームとを有していてもよい。プラットフォームは、フレームに対して移動可能に支持されていてもよい。力測定要素はプラットフォームとフレームとの間に設けることができ、フレームとプラットフォームとの間の力(車および/またはベルトユニットおよび/またはコンベヤベルトに作用する力に由来する)を測定することができる。
【0012】
締着装置はプラットフォームに取り付けることができる。
【0013】
加えて、上記少なくとも1つのベルトユニットはフレーム上に本質的に、無摩擦の状態で支持することができる。プラットフォームは、少なくとも1つのベルトユニットに少なくとも1つの接続マウントを用いて、xおよび/またはy方向の力がベルトユニットからプラットフォームに伝達できるように、結合することができる。加えて、接続マウントは、プラットフォームとベルトユニットをz方向に本質的に無摩擦の状態で接続することができる。
【0014】
本発明の風洞天秤は、測定精度を向上することが可能である。ベルトユニットと自動車の重量はフレームに支持されるがプラットフォームには支持されないので、プラットフォームとその上に置かれた力測定要素とにかかる応力がより小さくて済む。これにより測定感度または測定精度が向上し、当面必要とされている約1Nの測定感度または測定精度を達成することが可能である。加えて、測定精度の向上がなされるが、これはプラットフォームとフレームとの間に設けられたz力測定要素によりz方向の寄生力が個別に検出できることによる。
【0015】
「ベルトユニットフレーム」という用語は、例えば、ベルトユニットのローラーやコンベヤベルトをその上に配置することができる基礎フレームを構成する全ての構成要素を包含することができる。ベルトユニットフレームは1個または複数個から構成することができる。
【0016】
一般的に、ベルトユニットは本質的にベルトユニットフレーム、コンベヤベルトおよび2つのローラーを備える。ベルトユニットは、また、コンベヤベルトを駆動するための駆動ユニット、油圧系、電気部品等のような他のベルトユニット構成部品を備えていてもよいが、それらについてはここでは説明しない。
【0017】
締着装置(拘束系)は、例えば、2つの締着ブラケットまたはロッド(第1の締着要素)であって、それぞれコンベヤベルトに対して横に配置できるものから構成することができ、またケーブル、ストラップ、ベルト、ロッドおよび/またはそれらの組合せのような固定要素(第2の締着要素)を備えることができる。該固定要素は締着ブラケット上に配置することができ、また、例えばロッカー取付具を用いて自動車フレームの対応するソケット内に配置してもよい。
【0018】
車をコンベヤベルトに固定することは、空気力学的試験または他の試験の間、車がコンベヤベルト上でその所定の位置を維持すること、すなわちこの位置から逸れないことを意味する。
【0019】
プラットフォーム上の締着装置の固定された配置は、例えば摩擦係合を用いて、または形状適合係合を用いて実現することができる。
【0020】
本質的に、「無摩擦の」という用語は、マウントが指定された方向において技術的に可能な限り摩擦力のないことを意味するものとする。接続マウントは、例えばz方向に(本質的に)何の力も伝達しないが、これはz方向においてマウントが本質的に無摩擦であるためである。
【0021】
接続マウントはベルトユニットとプラットフォームを接合または接続する。この場合、接続マウントは、好ましくは、ベルトユニットフレーム上に設けられている。
【0022】
加えて、ベルトユニットは、浮動マウントにより実質的に無摩擦状態でフレーム上に支持されていてもよい。
【0023】
「浮動マウント」は、例えば、マウントがz方向の力を吸収し、xおよび/またはy方向の力を吸収しないこと、すなわちベルトユニットが滑動式に支持されることを意味する。本発明による力の分離、すなわちz力がフレームにより直接吸収され、xおよび/またはy方向の力は接続マウントを介してプラットフォームに運ばれることにより、風洞天秤の測定精度が向上する。
【0024】
風洞天秤の浮動マウントは、xおよびy方向においてフレームに対するベルトユニットの相対運動を許容してもよい。
【0025】
加えて、風洞天秤の少なくとも1つの接続マウントは液圧および/または気圧マウントであってもよい。この場合、少なくとも1つのガイドピンを少なくとも1つのガイドソケット内に本質的に無摩擦状態で配置することができる。
【0026】
液圧マウントは、例えば、油圧または水圧を用いて本質的に無摩擦の支持を可能にする全てのマウントを含む。気圧マウントは、例えば、空気圧マウントである。
【0027】
ガイドピン/ガイドピストン/ガイドロッド/ガイド機構はガイドソケット内で無摩擦で滑動し、例えば液式または気圧式でz方向に配置される。ガイドソケットはガイドピンの形状に応じて、および必要とされる力伝達方向に応じて具現化される。本質的に円筒状のガイドピンを用い、x方向およびy方向におけるベルトユニットとプラットフォームとの間の所望の力伝達を行う場合、ガイドソケットは、好ましくは本質的に円筒状穴または開口部であってもよい。
【0028】
加えて、少なくとも1つの接続マウントはx方向にベルトユニットからプラットフォームへの力の伝達を許容し、プラットフォームをフレームにy方向およびz方向に本質的に無摩擦状態で接続することができる。これにより、本質的にx方向の力に関心がある場合の測定が可能である。
【0029】
風洞天秤は、少なくとも1つのx力測定要素と少なくとも1つのy力測定要素および/またはz力測定要素を有していてもよく、それぞれプラットフォームとフレームとの間に設けられる。
【0030】
少なくとも1つのx力測定要素は、プラットフォームとフレームとの間でx方向の力を検出することが可能であるように配置することができる。
【0031】
少なくとも1つのy力測定要素は、プラットフォームとフレームとの間でy方向の力を検出することが可能であるように配置することができる。
【0032】
少なくとも1つのz力測定要素は、プラットフォームとフレームとの間でz方向の力を検出することが可能であるように配置することができる。
【0033】
これらの力測定要素は、例えば、プラットフォームとフレームとの間の小さな相対運動を経路変化として検出し、それを力値として出力することができる。
【0034】
この結果、各測定装置はそれらの力を個別に検出することが可能である。力値は、例えば評価ユニット、すなわちコンピュータ、へ供給してもよい。
【0035】
力測定要素(または力検出要素)は、例えば、歪みゲージに基づいて圧電式またはピエゾ抵抗式に機能して、経路変更、膨張、圧縮、張力および/または圧力を電気力信号に変換するロードセルであってもよい。
【0036】
力測定要素はそれぞれ2つのオイラー柱の間に配置することができるので、オイラー柱の方向に垂直な力のみが力測定要素に伝達される。オイラー柱は、例えば、本質的にロードセルに柱の軸心に対して垂直方向に配向された力のみを伝達するために、相互に、例えば、90°ねじれるように配置される形状/曲率を有していてもよい。
【0037】
風洞天秤は、また、少なくとも1つの換気損失力測定要素を有していてもよい。換気損失力測定要素はベルトユニットとプラットフォームとの間に配置することができるので、プラットフォームとベルトユニットとの間においてx方向に力を検出することが可能であり、従って、車輪の換気損失を個別に検出することが可能になる。
【0038】
ベルトユニットとプラットフォームとの間の小さな相対運動を検出することで換気損失を分離し、個別に評価し、そして検出することが可能になり、従って、風洞天秤全体の測定精度が向上する。
【0039】
換気損失力測定要素は、好ましくは、x、yおよびz力測定要素に加えて、プラットフォーム上に設けられる。
【0040】
加えて、風洞天秤は少なくとも1つのロッカーパッドを有していてもよく、このロッカーパッドは少なくとも1つのコンベヤベルトの上方行程の下に位置している。ロッカーパッドの配置は次の通りである。すなわち、車がコンベヤベルトに取り付けられる場合、車輪が少なくとも1つのロッカーパッドの頂部上にあるように車がコンベヤベルト上に置かれるように配置することができる。加えて、少なくとも1つのロッカーパッドは、z方向の力、特に車の重力並びに揚力および/または反揚力を検出することができる。
【0041】
ロッカーパッドは車輪接触領域の力を検出し、これらの力を足し算して、z力、すなわち車両の重力、揚力および反揚力並びにz方向の寄生力の合計を検出する。加えて、ロッカーパッドのゼロ位置からの偏位を検出することにより、x軸および/またはy軸の周りの追加のモーメントを検出することが可能になる。
【0042】
「ロッカーパッド」という用語はz力を測定することができる、特にベルト貫通測定用の任意の測定装置を意味する。好ましくは、各車輪にはそれぞれロッカーパッドが設けられている。すなわち、通常4つのロッカーパッドが設けられている。
【0043】
加えて、締着装置は車を少なくとも1つのロッカーパッドの上方の定位置においてコンベヤベルトに固定することができる。締着装置は車両を固定する場合、x、yおよび/またはz方向の力が車からプラットフォームに締着装置を介して伝達できるようにしてもよい。
【0044】
これにより、x方向およびy方向の寄生力が力測定要素により検出されない内力として生じることが可能となる。すなわち、これらの寄生力が測定値の歪みをもたらすことはない。
【0045】
風洞天秤は、また、少なくとも1つのz力測定要素を用いて、締着装置とプラットフォームとを介してz力測定要素に伝達される寄生z力を個別に検出することができる。
【0046】
これによりロッカーパッドの測定値に含まれる寄生z力を個別に検出することが可能になる。z力測定要素は寄生z力のみを示すので、これらの力はロッカーパッドに検出される力値を用いて相殺できる。相殺された力値は、従って、実際の測定状況のより正確な表示を提供する。
【0047】
加えて、風洞天秤は1つ、3つまたは5つのベルトユニットを有していてもよい。これは、本発明の思想を多重ベルト系、例えば3ベルト系または5ベルト系に自由自在に使用可能である点で有利である。個々の系の間で転換可能である可能性さえもある。