(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
その先端にノズルヘッドを備え、内部にガスが供給されるノズルと、前記ノズル内に挿通され、混合するとゲル化する少なくとも2種の液体を前記ノズルヘッドに供給するための少なくとも2つの内管と、前記各内管に各液体を供給する液体供給部とを有し、前記ノズルヘッドは、前記各内管が接続され、内部で前記各液体が合流し、混合される混合部本体と、前記混合部本体の先端側に設けられ、前記各液体の混合液を前記ガスとともに噴出させるための開口部とを備える塗布具であって、
前記混合部本体では、前記各液体の合流部より少なくとも後端側から前記ガスが供給され、
前記混合部本体には、前記ガスを透過させ、前記少なくとも後端側から前記ガスを前記合流部に供給するガス導入部が、前記合流部の後端側に設けられており、
前記ガス導入部は、筒状のガス透過部材で構成されており、前記後端側の端部が封止されていることを特徴とする塗布具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の塗布具を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の塗布具を示す模式図である。
【0013】
塗布具10は、ノズル12と、ノズル12が挿入されるシース14とを有する。ノズル12は、スプレーヘッド20と、スプレーヘッド20が基端に接続される管状のノズル本体22と、ノズル本体22の先端に接続されるノズルヘッド24とを有する。
スプレーヘッド20には、第1のシリンジ34aと接続される第1の接続部30a、および第2のシリンジ34bと接続される第2の接続部30bが設けられている。
【0014】
第1の接続部30aには、第1のシリンジ34aから供給される第1の液体をノズルヘッド24に供給するための第1の内管32aが接続され、第2の接続部30bには、第2のシリンジ34bから供給される第2の液体をノズルヘッド24に供給するための第2の内管32bが接続されている。
第1の内管32aおよび第2の内管32bは、それぞれノズル本体22内を挿通されて、ノズルヘッド24の混合部本体26に接続される。
【0015】
なお、第1の内管32aと第2の内管32bとは内径が同じであっても、異なっていてもよく、用いられる液体の種類および用途によって、その内径は適宜決定することができる。また、第1の内管32aおよび第2の内管32bの混合部本体26への接続形態については、後に詳細に説明する。
【0016】
第1のシリンジ34aおよび第2のシリンジ34bは、それぞれ押し子35a、35b(
図1では図示せず、
図4参照)を有し、押し子35a、35bが押圧部36に接続されている。押し子35a、35bを押圧部36で押圧することにより、ノズルヘッド24に、第1の液体および第2の液体が供給される。
なお、第1のシリンジ34aおよび第2のシリンジ34bは、一般的な構成のものを用いることができ、例えば、特開2009−131590号公報または特開2009−226189号公報に記載のシリンジを用いることもできる。また、押圧部36の構成は、特に限定されるものではなく、押し子35a、35bを押圧することができれば手動および自動のいずれでもよい。
なお、第1のシリンジ34a、第2のシリンジ34bおよび押圧部36で液体供給部が構成される。
【0017】
第1のシリンジ34aに充填される第1の液体と、第2のシリンジ34bに充填される第2の液体とには、混合するとゲル化する組み合わせのものが用いられる。例えば、癒着防止材、生体組織接着材となる組み合わせである。なお、第1の液体と第2の液体との組み合わせは、塗布具10の用途、使用目的、および症例等に応じて適宜選定される。第1の液体と第2の液体とが混合したもの(以下、混合液という)がゲル化することにより、塗布された目的部位に確実に留まることができる。
【0018】
スプレーヘッド20には、ノズル本体22に連通したポート23が設けられている。このポート23にはチューブ37を介してガス供給部38が設けられている。
ガス供給部38は、無菌状態のガスGを、ノズル本体22をガス流路としてノズルヘッド24に所定のガス流量で供給し、混合液Lcを噴射させるためのものである。このガス供給部38の構成は、特に限定されるものではなく、従来の塗布具に用いられるものを適宜利用することができる。例えば、ガス供給部38は、ガスGが充填されたガスボンベ、ガスGの供給停止を制御するバルブ、ガスG流量を計測する流量計、およびガスG供給圧力を調整するためのレギュレーター等を備える。なお、ガスGのガス流量は、例えば、1〜2L/分である。この程度であれば、混合液Lcを霧状に噴射させることができる。ガスGとしては、空気または窒素が望ましい。
【0019】
ここで、ノズル本体22およびノズルヘッド24がその長手方向に沿って相対的に移動可能にシース14に挿通されている。ノズル本体22は、例えば、中空ステンレスシャフトで構成される。シース14は、両端が開口した、例えば、ポリエチレン製の長尺状の管体で構成される。なお、シース14とノズル本体22との隙間14dは排気路として機能する。シース14の先端部14bから隙間14dを通り、シース14の後端部14cを経て外部に排出される。
【0020】
ノズルヘッド24は、先端部24aから混合液LcをガスGとともに外部に噴射させるためのものである。ノズルヘッド24は、内部に混合部本体26と、開口部27aを有する先端部材27が設けられている。
以下、混合部本体26に対して、ノズルヘッド24の先端部24a側を先端側といい、ノズルヘッド24の先端部24aの反対側を後端という。
混合部本体26の先端側に先端部材27が設けられ、先端部材27がノズルヘッド24の先端部24aに取り付けられている。なお、先端部材27の開口部27aがノズルヘッド24の開口部に相当する。先端部材27は、例えば、ステンレス鋼で構成される。また、先端部材27は、ノズルヘッド24と一体構造であってもよい。
【0021】
混合部本体26では、例えば、供給された第1の液体と第2の液体とが混合され、ゲル化のために撹拌される。
混合部本体26は、例えば、筒状のガス透過部材、すなわち、ガス透過チューブで構成される。このガス透過チューブは、気体を透過させるが、液体を透過させないものである。ガス透過チューブは、例えば、疎水性の材料で形成されており、具体的には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の多孔質チューブが用いられる。
【0022】
混合部本体26は、合流部40、撹拌部42およびガス導入部44(以下、単に導入部44ともいう)を有する。
合流部40は、第1の内管32aから供給される第1の液体と、第2の内管32bから供給される第2の液体とが合流する領域である。合流部40の周面29に、その長手方向において、すなわち、軸方向Dにおいて、混合部本体26の軸線Cを中心として対象な位置に第1の内管32aと第2の内管32bが接続されている。
第1の内管32aと第2の内管32bは、端部が、それぞれ混合部本体26の内面と面一となるように接続されることが好ましい。これにより、第1の液体および第2の液体が合流部40で対流することが抑制され、第1の液体および第2の液体が合流部40に停滞することが抑制される。
【0023】
撹拌部42は、周囲および後端側のうち、少なくとも一方からのガスGを用いて第1の液体と第2の液体とをゲル化のために撹拌させる領域である。この撹拌部42は、合流部40の先端側にあり、合流部40と先端部材27との間に設けられている。
【0024】
導入部44は、ノズル本体22を通るガスGを混合部本体26内部に透過させ、ガスGを各液体の合流部40の後端側から供給し、かつ合流部40に対して軸方向Dに流して、混合部本体26内の混合液Lc、および未混合の第1の液体と第2の液体を先端側に移動させ、開口部27aから排出させるための領域である。導入部44は合流部40の後端側にある。
導入部44は、後端側の端部が封止部46で封止されている。ガスGは封止部46を透過できない。なお、封止部46の形態は、特に限定されるものではない。
なお、混合部本体26を透過したガスGは、混合部本体26内の混合液Lc中でマイクロバブルとなり、均一な混合液Lcが得られる。
【0025】
塗布具10では、混合液Lcの噴射時には、合流部40および撹拌部42に対してガスGが上述のように流入し、第1の液体および第2の液体が混合され、かつゲル化のために撹拌される。さらには、混合液Lcは、ガスGとともに、先端部材27の開口部27aから噴射される。
噴射時では、常時、ガスGが所定のガス流量で供給されており、合流部40の後端側から流入したガスGにより、合流部40では軸方向Dの流れが発生する。この軸方向D流れは、混合部本体26の軸方向Dに直交する方向の流路全域を、押し出すような流れである。この軸方向Dの流れにより、第1の液体と第2の液体が先端側に移動され、開口部27aから外部に排出される。
また、第1の液体および第2の液体の供給が停止した場合、後端側からの上記ガスGの軸方向Dの流れにより、混合部本体26内部に、未混合の第1の液体および第2の液体ならびに混合液Lcが残存していても、先端側に移動され、開口部27aから外部に排出されて、未混合の第1の液体および第2の液体ならびに混合液Lcの残存が抑制される。
【0026】
これに対して、上記特開2009−131590号公報の
図19に示すノズルの構成、すなわち、後述する
図3に示す混合部本体100では、合流部に対して、周囲からガスGが供給されるものの、合流部に対して後端側からガスGが供給されない。このため、合流部にある液体が先端側に押出されることがなく、合流部に液体が残存することがある。
【0027】
塗布具10では、押圧部36の操作により、混合液Lcをノズルヘッド24の先端部24aから確実に噴射させることができ、しかも、一度、混合液Lcを噴射させた後、所定の時間をあけて、再度混合液Lcを噴射させる際でも目詰まりが発生することもない。よって、繰り返し、間欠的に混合液Lcを噴射させても、ガスGのガス流量が低下することが抑制され、更には押圧部36の摺動抵抗の増加、すなわち、混合液Lcを液体供給部から押し出すのに要する力の増加を抑制することができる。さらには、ガスGのガス流量の低下が抑制されるため、第1の液体と第2の液体との混合不良等も抑制され、間欠的に混合液Lcを噴射させても、混合比等が適正な混合液を一定の噴射量で噴射することができる。
【0028】
本実施形態においては、ノズルヘッド24の混合部本体26の構成は
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。例えば、
図2(b)に示す混合部本体26aのように、合流部40、撹拌部42および導入部44を、それぞれ別々の部材で構成してもよい。
図2(b)に示す混合部本体26aは、合流部40がガスGを透過するものではない点以外、
図2(a)の混合部本体26と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
図2(b)に示す混合部本体26aでは、例えば、合流部40を、非ガス透過性の筒状の合流部材50で構成し、撹拌部42をガス透過性の筒状の撹拌部材52で構成し、導入部44をガス透過性の筒状の導入部材54で構成する。なお、導入部44を構成する導入部材54の後端に封止部46が形成されている。非ガス透過性の合流部材50は、ガス透過部材よりもガス透過性が悪い材料で構成されており、例えば、塩化ビニル等の樹脂で構成される。ガス透過性の撹拌部材52、導入部材54は、例えば、混合部本体26と同じガス透過チューブで構成される。
【0029】
混合部本体26aでは、混合部本体26と同様に、合流部40に供給された第1の液体と第2の液体とが混合され、撹拌部42に流入するガスGにより混合され、ゲル化のために撹拌される。さらには、導入部44から流入するガスGにより、合流部40の混合液Lc等が先端側に流される。これにより、
図2(a)に示す混合部本体26と同様に、混合液Lcがノズルヘッド24の先端部24aから噴射される。しかも、この混合液Lcが混合部本体26内部に残存することが抑制される。このため、上述のように繰り返し、間欠的に混合液Lcを噴射した場合でも、ガスGの流量が低下することが抑制され、更には押圧部36の摺動抵抗の増加、すなわち、混合液Lcを目的部位に供給するに要する抵抗の増加を抑制することができる。
【0030】
また、混合部本体として、
図2(c)に示す混合部本体26bの構成であってもよい。
図2(c)に示す混合部本体26bは、
図2(a)に示す混合部本体26に比して、導入部44が短く、導入部44の後端に設けられた封止部46に代えて、ガスGが透過可能な透過膜部48が設けられている点以外、
図2(c)に示す混合部本体26bは
図2(a)の混合部本体26と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
透過膜部48は、ガスGが透過できれば、その構成は特に限定されるものではない。例えば、ガスGを透過させるための穴が、少なくとも1つ設けられていればよい。ガスGを透過させるための穴の大きさ、位置および数は、予め実験等により混合部本体26b内に混合液Lc等が残存しないように適宜決定されるものである。
【0031】
図2(c)に示す混合部本体26bでは、合流部40に供給された第1の液体と第2の液体とは、合流部40および撹拌部42に流入するガスGが混合されて撹拌される。さらには、導入部44の端部から流入したガスGにより、合流部40の混合液Lcが先端側に流されて排出される。
これにより、
図2(a)に示す混合部本体26と同様に、混合液Lcがノズルヘッド24の先端部24aから噴射される。しかも、この混合液Lcが混合部本体26内部に残存することが抑制される。このため、上述のように繰り返し、間欠的に混合液Lcを噴射した場合でも、ガスGの流量が低下することが抑制され、更には押圧部36の摺動抵抗の増加、すなわち、混合液Lcを目的部位に供給するに要する抵抗の増加を抑制することができる。
図2(c)に示す混合部本体26bでは、合流部40を、
図2(b)に示す混合部本体26aと同様に、ガス透過部材よりもガス透過性が悪い材料、例えば、塩化ビニルで構成してもよい。この場合でも、
図2(a)に示す混合部本体26と同様の効果を得ることができる。
【0032】
なお、合流部40では、合流の他、第1の液体と第2の液体とが混合されてもよい。
また、いずれの混合部本体においても、撹拌部42がなく、合流部40に先端部材27が直接接続される構成でもよい。この場合、合流部40で、液体が合流し、さらには混合がなされて先端部材27の開口部27aから混合液Lcは噴射される。
【0033】
本実施形態の塗布具10は、例えば、腹腔鏡下手術および開腹手術に用いることができ、癒着防止材および生体組織接着材等を、臓器および腹壁等の目的部位に塗布することができる。
塗布具10の腹腔内への挿入は、腹壁に予め留置されたトロカーを介してなされる。
トロカーとしては、腹腔鏡下手術に用いられる公知の種々のものを用いることができ、例えば、特開2009−226189号公報の
図1に開示されているトロカール管を用いることができる。
また、塗布具10は、ノズルヘッド24の構成に関し、湾曲する構成でもよい。この場合、例えば、シース14により、ノズルヘッド24の湾曲部分の形状が規制し、ノズルヘッド24が湾曲した状態で、癒着防止材または生体組織接着材等を目的部位に塗布することができる。
【0034】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の塗布具について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の塗布具の効果について、より具体的に説明する。なお、本発明の塗布具は、以下に示す例に限定されるものではない。
本実施例においては、本発明の塗布具の効果を確認するために、後に詳細に説明するノズルヘッドの構造が異なる実施例1および比較例1の塗布具を作製し、実施例1および比較例1の塗布具について、ガス流量、および噴霧に要する抵抗値を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0036】
まず、実施例1および比較例1について説明する。
実施例1は、
図2(a)に示す構成の混合部本体26を有する
図1に示す塗布具10と同様の構成である。このため、実施例1について、その詳細な説明は省略する。なお、混合部本体26には、全長35mmの円筒状のPTFE製のガス透過チューブを用いた。また、第1の内管32aおよび第2の内管32bの取り付け位置は、混合部本体26の軸方向Dにおいて先端から15mmの位置とした。
実施例1の塗布具は、ノズル本体22の長さを30cmとし、ノズル本体22の外径を3.7mmとし、シース14の内径を4.5mmとした。また、ガスには空気を用いた。
【0037】
比較例1の塗布具は、特許文献1の
図19に示す構成と同様のノズルを有するものであり、具体的には、
図3に示す構成のノズルヘッドの混合部本体100を有する。これ以外、比較例1の塗布具は、実施例1の塗布具と同様の構成である。このため、比較例1に関しては、混合部本体100の構成について詳細に説明し、それ以外の構成については、その詳細な説明は省略する。
図3に示す比較例1の混合部本体100には、全長35mmの円筒状のPTFE製のガス透過チューブを用いた。混合部本体100の先端部に先端部材27が接続され、開口部混合部本体100の後端部に第1の内管32aと第2の内管32bとが接続されている。
比較例1では、第1の液体および第2の液体が、混合部本体100の後端から供給され、混合部本体100の周面100aから、第1の液体および第2の液体の合流部に流入するガスGにより、第1の液体および第2の液体が混合され、撹拌されて、混合液Lcとして先端部材27の開口部27aから噴射される。
【0038】
次に、本実施例でのガス流量および噴霧に要する抵抗値の測定に用いられる測定装置ならびにガス流量および抵抗値の測定方法について説明する。
図4は、塗布具のガス流量および抵抗値の測定方法に用いられる測定装置を示す模式図である。なお、
図4において塗布具10については一部図示を省略している。
【0039】
図4に示す測定装置110は、オートグラフ112と、ガス流量計114と、レギュレーター116と、ガス供給部118とを有する。
塗布具10は、シリンジ34a、34bが固定ジグ120で固定されてオートグラフ112に取り付けられる。
このオートグラフ112は、棒状の治具122(以下、押込み治具122という)を介してシリンジ34a、34bの押し子35a、35bを押し込み、この押し込み時に発生する力を抵抗値として記録する。なお、ゲル状の混合液がノズルヘッド内にあると、すなわち、目詰まりしていると、押し子35a、35bを押し込む際の抵抗になる。このため、押込み時の抵抗値は、目詰まりの程度を示す指標となる。
【0040】
また、塗布具10のポート23に、ガス流量計114とレギュレーター116とを介してガス供給部118を接続する。ガス流量計114でのガス流量を、塗布具のガス流量とする。ガス流量についても、ゲル状の混合液がノズルヘッド内にあると、すなわち、目詰まりしていると、最初に設定したガス流量に対して減少する。このため、設定したガス流量に対するガス流量の変化は、目詰まりの程度を示す指標となる。
なお、オートグラフ112には、精密万能試験機(AG−X 1kN(型式) 島津製作所製)を用い、流量計114には、コフロック社製 モデル8500MM−0−1−1(型式)を用いた。ガス供給部118は、空気が充填されたガスボンベである。
【0041】
以下、塗布具のガス流量および摺動抵抗の測定方法について説明する。
まず、粉末Aに、マイクロピペットを用いて3.6mlの蒸留水を滴下し、滴下後、十分に攪拌し、溶解させた。また、粉末Bに、マイクロピペットを用いて1.55mlの蒸留水を滴下し、滴下後、十分に攪拌し、溶解させた。
なお、粉末Aには、NHS化デキストリン1.25gとトレハロース1.25gの粉末を用いた。また、粉末Bには、炭酸水素ナトリウム0.042gと炭酸ナトリウム0.11gの粉末を用いた。
【0042】
溶解後、粉末Aの溶解液をシリンジ34aに、粉末Bの溶解液をシリンジ34bに充填した。そして、充填後、プライミング操作を行い、シリンジ34a、34b内のエアーを取り除いた。
次に、シリンジ34a、34bの先端に逆止弁を取り付けて、先端まで溶解液を充填した。そして、シリンジ34a、34bを実施例1または比較例1の塗布具に接続し、固定ジグ120を介してオートグラフ112に取り付けた。
次に、ポート23にガス流量計114を接続し、更にレギュレーター116およびガス供給部118を接続した。
【0043】
オートグラフ112のロードセルに押込み治具122を取り付け、押し子35a、35bに接触するまで降下させた。
次に、ガス供給部118からのガスの圧力をレギュレーター116で調整し、ガス流量を1.5L/分にした。
次に、オートグラフ112で、圧縮速度40mm/分で、押し子35a、35bを7.6mm押込み、プライミング操作した。
【0044】
プライミング操作後、ガス流量を測定した後、押し子35a、35bを3.8mm押込み混合液Lcを噴射させ、この押込み時の抵抗値を計測する。これにより、1回目の計測を終える。
そして、3.8mm押込んだ後、押込み治具122を押し子35a、35bから離し、この状態で1分間待機する。その後、再度、押込み治具122を押し子35a、35bに接触させ、ガス流量を測定した後、再度、押し子35a、35bを3.8mm押込み、この押込み時の抵抗値を計測する。これにより、2回目の計測を終える。
【0045】
2回目の計測後、押込み治具122を押し子35a、35bから離し、この状態で1分間待機した後、再度、1回目の計測と同じ方法で、ガス流量および押込み時の抵抗値を計測し、3回目の計測を終える。
そして、押込み治具122を押し子35a、35bから離し、この状態で1分間待機した後、1回目の計測と同じ方法で、ガス流量および押込み時の抵抗値を計測し、4回目の計測を終える。そして、押込み治具122を押し子35a、35bから離し、この状態で1分間待機した後、1回目の計測と同じ方法で、ガス流量および押込み時の抵抗値を計測し、5回目の計測を終える。このように、押込み治具122を押し子35a、35bから離した状態での1分間待機を挟んで、ガス流量の計測、および押込み時の抵抗値の計測を繰り返し行い、プライミング後、合計5回の間欠噴霧を実施し、各回ごとに抵抗値の測定前にガス流量を測定し、押込み時の抵抗値を測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
上記表1に示すように、実施例1では、ガス流量は、噴霧を5回繰り返しても設定したガス流量(1.5L/分)に対して大きな変化がない。抵抗値に関しても、実施例1では、噴霧を5回繰り返しても大きな変化はない。
一方、比較例1では、ガス流量は、噴霧を5回繰り返すと、設定したガス流量(1.5L/分)に対して回数を重ねるごとに低下した。抵抗値に関しても、噴霧を5回繰り返すと回数を重ねるごとに抵抗値が増加した。
以上のことから、本発明の構成では、間欠的に噴霧しても、混合液によって目詰まりが発生していないことが分かる。