特許第6095694号(P6095694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095694
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】加工用薄膜材料
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/00 20060101AFI20170306BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20170306BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20170306BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   C08J9/00 ACER
   C08J9/00CEZ
   C08L101/00
   C08K3/00
   B32B27/20 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-556395(P2014-556395)
(86)(22)【出願日】2013年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2013085225
(87)【国際公開番号】WO2014109267
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2013-3619(P2013-3619)
(32)【優先日】2013年1月11日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】311018921
【氏名又は名称】株式会社TBM
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】角 祐一郎
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/165311(WO,A1)
【文献】 特開2001−080208(JP,A)
【文献】 特開2001−205927(JP,A)
【文献】 特開2003−320744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00− 9/42
B32B 1/00−43/00
C08K 3/00
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と炭酸カルシウム粉末とを重量比18:82〜50:50で含有する加工用薄膜材料であって、前記加工用薄膜材料の比重が、0.60以上1.40以下であり、JIS P 8140によるコッブ法吸水度が、0.5g/m・120秒以上11.0g/m・120秒以下である、表面の水の接触角が40度以上90度以下に調整された単層である加工用薄膜材料。
【請求項2】
前記コッブ法吸水度が、0.5g/m・120秒以上5.0g/m・120秒以下である請求項1記載の加工用薄膜材料。
【請求項3】
ガーレー試験機法透気度が800秒以上である請求項1又は2記載の加工用薄膜材料。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の加工用薄膜材料の少なくとも一方の表面に加工材料からなる層を有する積層フィルム。
【請求項5】
請求項1〜3記載の薄膜材料の少なくとも一方の表面に加工材料を積層して積層フィルムを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工材料を効率よく強固に付着する加工用薄膜材料に関する。
【背景技術】
【0002】
無機物質のなかでも炭酸カルシウムは、原料の石灰石が地球上に極めて豊富に存在するため、どこでも容易に且つ安価に購入できる。そのため、炭酸カルシウムを高配合したプラスチック薄膜材料が、近年環境に優しい紙として提案され、実用化され始めている。(特許文献1)。
【0003】
前記薄膜材料は、紙及びプラスチックが使われる多岐に渡る分野に、同じように適用できるものと期待できるが、品質上の問題から、その使用が極めて狭い範囲に限定されているのが現状である。
【0004】
他方、従来のパルプからつくられる紙も、抄紙の方法の変更のほか、紙力増強剤をはじめ様々な薬品や加工材料を塗布することによって、用途に適した品質にして出荷されるのが常である。しかしながら、紙は通気性が高くパルプの繊維間へのこれら薬品等の浸み込みが高いため、機能薬品や加工材料を均一に付着させるためには、その塗布量を少なくとも前記浸み込み量以上に高める必要があった。
【0005】
飛躍的に発展しつつある機能材料の分野でも、薄膜状のニーズが多く、フィルムの延伸による通気性が優れたフィルムの開発が進むほか、他方で、機能薬品を効率よく低コストで付着させることを可能とする薄膜材料が必要となっている。
【0006】
機能薬品を付着させる場合、薄膜材料に機能薬品を強固に付着させることが重要であるが、特に、ポリエチレンやポリプロピレン等は、極性が小さいため、コーティングやラミネートを行なった際の接着力が弱い。そのため、フィルム基材に対しては、物理的もしくは化学的処理を行なって表面を改質してから加工処理を行なうことが多い。
フィルムの接着性向上のための表面改質は、大別して、次の二つの効果に依存している。
【0007】
一つは、機械的又は腐食により粗面化してアンカー効果により接着力を高める方法で、他は、化学反応により電気的極性をもつ官能基を表面に形成させて、接着力を高める方法である。
【0008】
しかしながら、上記加工処理工程を薄膜材料の製造プロセスに追加することは、薄膜材料のコスト増大を招くことから、その実用化を阻む一つの要因ともなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−277623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、無機物質粉末を高充填したプラスチック薄膜材料を広い用途に使用するため、加工材料を低コストで効率よく塗布あるいは蒸着でき、積層した層が強固に接着する加工用薄膜材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、無機物質粉末を高充填した薄膜材料を基材とし、これを延伸処理することにより、加工材料を均一且つ強固に付着でき、また、その付着量も少なくできることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0012】
本発明の第1の態様は、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを重量比18:82〜50:50で含有する加工用薄膜材料であって、その比重が0.60以上1.40以下であり、JIS P8140によるコッブ法吸水度が0.0g/m・120秒以上11.0g/m・120秒以下としたものである。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様の薄膜材料の表面に加工材料を積層して積層フィルムを製造する方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特性を有する加工用薄膜材料は、加工する際に加工材料の付着量を低減でき、且つ、強固に付着させることができるため、安いコストで効率よく加工できるので、機能材料の基材として、また、記録材料、あるいは壁紙等建材分野等で幅広く使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0016】
[第1実施態様]
本発明の第1実施形態は、熱可塑性樹脂と無機物質粉末とを重量比18:82〜50:50で含有する加工用薄膜材料であって、その比重が0.60以上1.40以下であり、JIS P 8140によるコッブ法吸水度が0.0g/m・120秒以上11.0g/m・120秒以下のものである。
【0017】
なお、本発明においては、薄膜材料とはシート状の基材のことをいい、加工用薄膜材料とは、加工材料を積層して使用するための薄膜材料のことを指す。また、加工材料とは、薄膜材料に所望の機能を付与することを目的に、塗工等によってその表面に形成される機能層を構成する組成物をいう。
【0018】
以下、本発明の加工用薄膜材料及びその製造方法について、詳細に説明する。
【0019】
本発明の加工用薄膜材料の原料に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される一種類以上の樹脂を使用することができる。
【0020】
製造の容易さの点から、全熱可塑性樹脂の50重量%〜100重量%として、メルトマスフローレイトが0.02〜0.5g/10分のものを使用し、残部に、0.5〜1.2g/10.0分のメルトマスフローレイトを有するものを使用することが好ましい。得られる薄膜材料の強度の点からは、ポリエチレン樹脂の使用が好ましく、特に高密度ポリエチレン樹脂を用いることがより好ましい。また、薄膜材料の剛度を向上させるために、これにポリスチレン等の硬質の樹脂を併用することも好ましい。
【0021】
本発明に使用される無機物質粉末としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム等、プラスチック製品に充填材として添加されるものが特に限定されることなく使用できる。加工用薄膜材料中への分散性向上のために、その表面を常法に従い改質すると良い。前記無機物質粉末の平均粒子径は、薄膜材料の表面粗さと、無機物質粉末が薄膜材料から大きな粒子が離脱するのを防ぐために、15μm以下のものを使用するのが好ましい。特に、その粒径分布において、粒子径50μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。他方、粒子が細かくなり過ぎると、熱可塑性樹脂と混練した際に粘度が著しく上昇し、薄膜材料の製造が困難になるとともに、作成した薄膜材料の表面の平滑性が高くなりすぎる。そのため、その平均粒子径は0.5μm以上とすることが好ましい。なお、本発明における無機物質粉末の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した、積算%の分布曲線から得られる50%粒子径(d50)である。
【0022】
本発明の第1実施形態の加工用薄膜材料は、加工材料を積層するためのシート状の薄膜材料であり、上記熱可塑性樹脂と無機物質粉末とをそれぞれ秤量して、重量比18:82〜50:50の範囲で混合し、これを二軸のスクリューを装備した押出成形機に投入して混練する。各材料を上記重量比で混合することにより、投入した原料に対し高い剪断応力を作用させることが可能となるため、各成分を均一に分散させることができ、その結果、延伸前の薄膜材料やペレット等の中間体を好適に作製することができる。また、延伸を行った場合に、無機物質粉末の周囲に生じる空隙量を適当な範囲に設定できるため、最終的な空隙の容積及び連続空隙と独立空隙の比率を適切な範囲に調節できるため、見かけ比重や通気性を後述の所望の範囲に調整することができる。
【0023】
本発明の加工用薄膜材料には、上記した熱可塑性樹脂と無機物質粉末の他に滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色用顔料、分散剤、帯電防止剤、難燃剤等の中から選ばれる1種以上の補助剤を、目的に反しない範囲で添加することができる。以下に。これらのうち、特に重要と考えられるものについて例を挙げて説明するが、これらに限られるものではない。
【0024】
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪族アルコール系滑剤、ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、リシノールアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘンアミド、高級脂肪酸のビスアミド酸、複合型アミド等の脂肪族アマイド系滑剤、ステアリン酸−n−ブチル、ヒドロキシステアリン酸メチル、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、エステル系ワックス等の脂肪族エステル系滑剤、脂肪酸金属石鹸系族滑剤等を挙げることができる。
【0025】
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール系酸化防止剤が使用できる。リン系、より具体的には亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系酸化防止安定剤が好ましく用いられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
【0026】
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらリン系酸化防止剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
フェノール系の酸化防止剤としては、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネイト、2−tert−ブチル−6−(3'−tert−ブチル−5'−メチル−2'−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネイトジエチルエステル、及びテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が例示され、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0028】
本発明の加工用薄膜材料は、その比重が0.60以上1.40以下であることを要し、好ましくは、0.80以上1.30以下にあることが好ましい。比重がこの範囲内にあれば、重さがパルプから製造される通常の紙と同等となるため、パルプから製造される通常の紙と同様の使用感を得ることができるし、その取り扱いや加工に際しての搬送その他の機械的な条件を通常の紙と共通にすることができる。
【0029】
なお、ここでいう比重とは、熱可塑性樹脂及び無機物質粉末と空隙を含む加工材料全体の見かけの比重、すなわちJIS P8118でいうバルク密度を指し、次の計算式によって求めることができる。
バルク密度(g/cm)= 坪量(g/m)/(バルク厚さ(mm)×1000)
ここで、坪量とは、面積(m)あたりの重量(g)である(JIS P8124)。
【0030】
本発明の加工用薄膜材料は、その吸水度がJIS P8140によるコッブ法で評価された場合に、0.0〜11.0g/m・120秒であることを要し、0.5g/m・120秒以上5.0g/m・120秒以内とすることが特に好ましい。吸水度は、薄膜材料中の連続の空隙量に関連するパラメータであるが、吸水度がこの範囲にあれば、加工材料の塗布等の際に過度の吸収をおさえて、少ない塗布量で均一な膜を形成することが可能となる。また、薄膜材料表面に形成された凹部の量も適切で、適切なアンカー効果を発現することができるため、加工材料の塗布量が少なくとも均一で接着強度の高い膜を形成することが可能となる。
【0031】
本発明の加工用薄膜材料は、JIS P8117によるガーレー試験機法において、その透気度が800秒以上であることが好ましい。薄膜材料中に形成された連続空隙の容積が少なくなり、加工材料の塗布等の際に過度の吸収をおさえて、少ない塗布量で均一な膜を形成することが可能となる。
【0032】
本発明の加工用薄膜材料は、上記の構成材料を用い、従来から汎用されているカレンダー法、押出法、インフレーション法等の公知の手段でフィルム化したものを、公知の方法で、縦あるいは横方向に一軸あるいは二軸の延伸処理を行うことにより製造することができる。
【0033】
上記方法の中でも生産性や得られる加工用薄膜材料の機械的特性、フィルム厚みの制御のし易さ、種々の樹脂への適用性、環境への負荷等を考慮すると、溶融押出成形で製造する方法が好ましい。なかでも、シート構造を変更して透気度や比重を任意に調整するには、まずTダイ方式による押出成形で薄膜材料中間体を作成し、その薄膜材料中間体を縦横同時延伸機による延伸、もしくは、縦延伸機及び横延伸機を使用する逐次延伸をする方法を取ることが好ましい。
【0034】
前記薄膜材料中間体の作製は、上記の構成材料を所定の配合比で予め混合し、Tダイをセットした押出機に投入し、溶融混練しながらフィルム化を直接行う方法が適用できる。更に、一旦別の押出成形機に構成材料を所定配合比で投入し、溶融混練してマスターバッチ化して後、得られるペレットあるいはコンパウンドを更にTダイをセットした押出成形機に投入して製造することもできる。使用する押出機が二軸押出機であれば、その強い剪断力の作用でこれらの成分を均一に溶融・分散させて無機物質粉末高充填シートを容易に得ることができるため特に好ましい。また、組み合わせる成分の分散性に問題がない場合には、Tダイをセットした単軸押出機でシート化を実施しても構わない。
【0035】
本発明の薄膜材料中間体の厚さは、用途に応じて、また、シート化後の延伸倍率も考慮して、任意の厚さを選択することができる。薄膜材料中間体から得られる、最終的な加工用薄膜材料のフィルム膜厚を考慮すると、薄膜材料中間体の厚みは、40〜1000μmが好ましく、100〜400μmであることが更に好ましい。薄膜材料中間体の厚さが40μmより薄いと、本発明の数値範囲内に比重や透気度を調整することが困難である。また、1000μmより厚いと延伸が困難となる。延伸後の加工用薄膜材料の厚みは、使用の目的に応じ異なるが、30〜350μm、通常80〜300μmが好適に用いられる。30μm未満の場合にはフィラーが高充填されているため機械的特性が劣るので不適となる。
【0036】
延伸倍率は、本発明の薄膜材料の使用目的と、用いる樹脂の特性を考慮して決定する。通常は1.2〜4.0倍であり、好ましくは1.5〜3.0倍の範囲内で延伸する。
【0037】
必要な延伸倍率は、計算により算出することも可能である。延伸をかける前の薄膜材料の1平方メートルあたりの重量(坪量ともいう。)W(g/m)を測定し、生産計画で定められた製品の見かけ比重D及び縦横比(縦方向と横方向の延伸倍率の比)Rと、横延伸後の製品の厚さの目標値T(cm)を使って、次式により延伸倍率(縦方向X倍、横方向Y倍)を決め、延伸を行うことができ、更に装置ごとの操業経験で容易に推定可能である。
(式1)
=W×10−4/(D×Z×R×T)
X=RY
式中、 D:生産計画で定められた製品の見かけ比重
R:生産計画で定められた縦横比(縦方向と横方向の延伸倍率の比)
W:縦延伸をかける前の薄膜材料の1平方メートルあたりの重量(g)
X:縦方向の延伸倍率
Y:横方向の延伸倍率
Z:縦延伸によるシートの横方向の長さの収縮倍率もしくは伸長倍率
【0038】
この延伸を、原料樹脂の融点より30℃〜40℃低い温度で行なうと、薄膜材料中に空隙ができやすいため好ましい。特に、高密度ポリエチレン樹脂を使用する場合には、延伸を95℃〜105℃でおこなうことが好ましい。
【0039】
前記延伸に伴う空隙形成に従い、加工用薄膜材料の比重が低減する。更に、縦延伸と横延伸を組み合わせ、且つ、その延伸倍率を適宜に設定することにより、生成した独立空隙同士が連結して一部に連続空隙を形成するため、本発明の好適な透気度の範囲とすることができる。一方、縦延伸と横延伸をそれぞれ2倍以上にまで高めると、薄膜材料の透気度は200秒以下になり本発明の目的には好ましくない場合がある。他方、薄膜材料の吸水度は、前記の延伸倍率の範囲内で、比重が1.4以下0.6以上となるように延伸した薄膜材料の大部分は0〜5.0g/m120秒の範囲内にとどまる。
【0040】
上記加工用薄膜材料に、目的に応じ、両面あるいは片面に表面改質を行うと良い。このような表面改質としては、親水性やガスバリヤ性の付与等、数多くの処理法がしられており、これらの中から所望の機能を付与する方法を適宜選択することが可能である。
【0041】
例えば、加工用薄膜材料を親水性化するためには、基材である加工用薄膜材料に主剤として水性高分子を含有する水系処理剤を用いて塗工もしくは含浸処理する、あるいは酸素プラズマ処理等の方法が適用できる。前者の場合、水系処理剤中のカチオン基含有水性高分子を特定量の水溶性架橋剤で架橋させると良い。使用することのできる水性高分子はポリビニルアルコールやポリアクリル酸のように、本来水溶性である高分子であってもよいし、各種カチオン基を導入することによって初めて水溶性を付与された高分子であってもよい。
【0042】
加工用薄膜材料表面に付与する親水性の程度は、その後形成する加工材料により異なるが、JIS R3257:1999における水接触角測定において、接触角が90度以下、好ましくは、40度以上90度以下となるように調整することが好ましい。水接触角が90度を超えると、均一な加工材料による層を形成することが事実上困難となる。
【0043】
更に、本発明において、ガスバリア性付与のための表面改質を行う場合には、例えば、酸化珪素からなるガスバリア層を真空中において加工用薄膜材料表面に成膜する。高いガスバリア性を発現させるためには、現時点ではプラズマ化学蒸着(CVD)法が好ましく、上記加工用薄膜材料の片面もしくは両面に成膜することができる。この時、ロール状の加工用薄膜材料を巻取式にて連続蒸着を行うことが好ましい。例えば、公知の巻取式の真空蒸着成膜装置を用いることができる。この時、プラズマ発生装置としては、直流(DC)プラズマ、低周波プラズマ、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、3極構造プラズマ、マイクロ波プラズマ等の低温プラズマ発生装置が用いられる。
【0044】
プラズマCVD法により積層される酸化珪素からなるガスバリア層は、分子内に炭素を有するシラン化合物と酸素ガスを原料として成膜することができ、この原料に不活性ガスを加えて成膜することもできる。分子内に炭素を有するシラン化合物としては、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラメチルシラン(TMS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシラン等の比較的低分子量のシラン化合物を選択することができる。これらシラン化合物の一つ又は複数を選択しても良い。
【0045】
プラズマCVD法による成膜では、上記シラン化合物を気化させ酸素ガスと混合したものを電極間に導入し、低温プラズマ発生装置にて電力を印加してプラズマ化して成膜する。この時、バリア層の膜質を、シラン化合物やガス種の変更、シラン化合物と酸素ガスの混合比や、印加電力の増減等様々な方法で変えることが可能である。
【0046】
上記加工用薄膜材料に目的に応じた加工材料を採用し、機能層を設けることで、幅広い用途に対応できる積層フィルムとすることができる。加工材料によって形成される層としては、例えば、インク受容層、帯電防止層、金属層、印刷着色層、接着剤層等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらのなかから複数選択して積層することもできる。その詳細については、次の第2実施態様において説明する。
【0047】
[第2実施態様]
本発明の第2実施形態は、第1の実施態様の薄膜材料の表面に加工材料を積層して積層フィルムを製造する方法である。
【0048】
積層フィルムは、第1の実施態様の薄膜材料の表面に、溶液状の加工材料を塗布したり、液状や個体状の加工材料を蒸着する等の公知の方法で機能層を積層することができる。延伸後、機能層を設ける前に、延伸して得られた薄膜材料中間体をカレンダーで処理して薄膜材料の表面の平滑性を向上させることも可能である。
【0049】
以下に、加工材料を用いて作製した機能層の形成方法の一例として、表面改質層及びインクジェット用受像シート用のインク受容層を設ける場合について説明するが、本発明の加工材料及び機能層はこれに限られない。
【0050】
インク受容層としては少なくとも水溶性樹脂と、無機微粒子と媒染剤とを含むものが使用できる。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂(メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、キチン類、デンプン、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE)、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等が挙げられ、これらから一種以上を採用することができる。
【0051】
無機微粒子としては、例えばシリカ微粒子、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等が使用される。これらの中でもシリカ微粒子が好ましい。また、無機微粒子の平均一次粒子径は20nm以下(好ましくは10nm以下、特に3〜10nm)のものが好ましい。
【0052】
シリカ粒子は、表面のシラノール基による水素結合により粒子同士が付着しやすい為、上記のように平均一次粒子径が10nm以下の場合に於いて空隙率の大きい構造を形成することができインクの吸収特性を向上することができる。シリカ粒子のなかでも含水シリカ及び無水シリカは表面のシラノール基の密度、空孔の有無等の相違があり異なった性質を示すが、無水シリカの場合に特に空隙率が高い三次元構造を形成し易く好ましい。
【0053】
上記無機微粒子と水溶性樹脂の比率はインク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。その比が大きくなると空隙率、細孔容積、表面積(単位重量当たり)が大きくなる。10を超えた場合は、膜強度、乾燥時のひび割れに対する効果が無く、1.5未満では空隙が樹脂で塞がれ易く、空隙率が減少してインク吸収性能が低下する。例えば、平均一次粒子径が10nm以下の無水シリカと水溶性樹脂を比2〜5で水溶液中に完全に分散し塗布乾燥した場合、シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔が30nm以下、空隙率が50%以上、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の透光性の多孔質膜を形成することができる。
【0054】
インク受容層形成のための塗布液は、上記無機微粒子を、水中に添加して、高速回転湿式コロイドミル(例、クレアミックス(エム・テクニック(株)製))のごとき分散機を用いて、5000〜20000rpmの高速回転の条件で、通常10〜30分間分散させた後、水溶性樹脂を加えて更に、上記と同じ条件で分散を行なう。インク受容層形成用の塗布液に媒染剤を添加する場合には、最後に媒染剤を添加して分散させることにより得ることができる。このようにして得られた塗布液は、均一ゾルであり、これを用いて下記の塗布方法により、支持体上に塗布層を形成することにより、三次元網目構造を有するインク受容層を得ることができる。
【0055】
インク受容層の形成には、前記成分の他に水溶性樹脂を硬化させるための架橋剤を用いることが好ましい。架橋剤を用いることにより塗布乾燥時にヒビ割れが発生することが防止される。用いられる架橋剤の例としては、硼砂、硼酸、硼酸塩、メタ硼酸塩、四硼酸塩、五硼酸塩、メチロール尿素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ基含有硬化剤等を挙げることができる。また、水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合には特に、ゼラチンの硬膜剤として知られている下記の化合物を架橋剤として用いることができる。ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;アジリジン系化合物;カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒトロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等。なお、これらの架橋剤は単独でも、また二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0056】
架橋剤は上記インク受容層用塗布液に加えず、架橋剤の溶液を別途調製して、無機微粒子及び水溶性樹脂を主成分とするインク受容層用塗布液の塗布と同時に塗布(重層塗布)することが好ましい。あるいは前記インク受容層用塗布液からの層が減率乾燥速度を示すようになる前に架橋剤の溶液を前記層に付与する方法もまた好ましい方法である。更に、媒染剤をインク受容層用塗布液に添加する代わりに、前記架橋剤溶液に媒染剤も加えたものを同様に塗布することも好ましい。
【0057】
インク受容層の層厚は、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、これは塗膜の空隙率との関連で決定する必要がある。例えばインク量が8nL/mmで、空隙率が60%の場合であれば膜厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層は10〜50μmの範囲の膜厚を持つことが好ましい。
【0058】
本発明のインク受容層を形成するための塗布液には、無機微粒子、水溶性樹脂及び媒染剤ならびに架橋剤以外に、粒子の分散性を高める為に各種の無機塩類、PH調整剤として酸アルカリを含ませてもよい。また塗布適性や表面品質を高める目的で各種の界面活性剤を使用してもよい。表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する為、あるいは電子写真法に於いて表面電気抵抗を調整する為にイオン導電性を持つ界面活性剤や電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を含ませてもよい。また表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。更に、色材の劣化を抑制する目的で各種の酸化防止剤、紫外線吸収剤、一重項酸素クエンチャーを含ませてもよい。
【0059】
本発明において、インク受容層の形成は受容層が形成できれば特に制限されるものではなく、公知の方法が採用でき、インク受容層形成用塗布液の性質等を考慮し好ましい方法を適宜採用すればよい。具体的には、インク受容層形成用塗布液を、スプレー法、口一ルコーター法、ブレードコーター法、ノーコーター法、カーテンコーター法等で、加工用薄膜材料上に塗布した後、乾燥することによって形成することができる。また、基材薄膜材料は予めプライマー処理して用いてもよい。加工用薄膜材料にインク受容層を形成するに先立ち、予め加工用薄膜材料に上記した親水性を付与するための表面改質層の形成を行っておくことが形成される受容層の品質上好ましい。
【実施例】
【0060】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
<実施例1>
高密度ポリエチレン樹脂と炭酸カルシウム粉末とを、重量比40:60となるように調節し、更に、マグネシウムステアレートを両原料に対し1重量%となるように配合して、Tダイを備え付けた同方向回転式押出成形機を用いて混合、混練と同時に薄膜材料中間体を形成する直接法成形を行なった。作成した厚さが270μm及び350μmの薄膜材料中間体について、原反幅305mm、入口速度0.7m/min、延伸部温度95℃で、ロールの周速差を利用する縦延伸を実施した。
【0062】
延伸した薄膜材料について、比重、コッブ法吸水度、ガーレー試験機法による透気度、及び表面粗さ(中心線平均粗さRaで表示)を測定した。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
本実施例において各サンプルの特性評価は以下に従って行った。
(比重)
各サンプルの坪量(g/m)を厚さ(mm)で割って求めた。
(吸水度)
JIS P8140に規定される紙及び板紙の片面が一定時間水に接触する場合の吸水度を測定するものであり、接触時間は一般的には120秒を基準とするが必要に応じて変化させて測定することができる。
【0065】
本発明においてもJIS P8140に準拠して測定を行った。具体的には約15cm×15cmの試験片の質量を1mg単位まで測定し、平坦な台座と試験面積100cmのシリンダーにクランプで固定した。水深10mmになるように脱イオン水をシリンダー内に注ぎ、同時にタイマーを作動させ、タイマー作動後、105±2秒後にシリンダー内の水を試験部位以外につかないように廃棄した。続いて試験片をシリンダーと台座から外し、試験面を上にして平面に置き、タイマー作動後、120±2秒後に乾燥した吸水紙を上に載せ、その後、金属ローラーを圧力を加えずに2回(1往復)転がし余分な水を除去し、ただちに試験片の質量を1mgの単位で測定した。
【0066】
吸水度の計算は次の式を用いて算出した。
(式2)
A=(m2−m1)×10000÷S
ここに A:吸水度(g/m
m1:試験片の乾燥質量(g)
m2:試験片の湿潤質量(g)
S:試験面積(cm
【0067】
(透気度)
JISP8117:2009「紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法」に規定される方法により、サンプルの表及び裏からガーレー試験機で測定し小数点以下四捨五入で表示した。
【0068】
本発明においてもJIS P8117に準拠して測定を行った。具体的にはガーレー式透気抵抗試験機を用いて測定した。内筒が垂直になるように試験機を水平に置き、外筒部には、その内面約120mmの標線まで油を満たした。内筒を頭部が掛金に固定されるまで引上げ、締付板の間に試験片を締め付け、掛金を外し油中に浮くまで内筒を静かに下降させた。内筒が降下し0mLの標線が外筒の淵を通過してから100mLの標線が外筒の淵を通過するまでの時間を測定した。
【0069】
表1の結果から、同じ原反を使用した場合、延伸が強くなるに従い、比重は低下するが、吸水度は上昇すること、吸水度が10g/m・120秒程度に大きい場合には表面粗さの影響が大きく出ているが、吸水度が5g/m・120秒以下では表面粗さとは相関しないことが分った。
【0070】
<実施例2>
実施例1と同様な方法により直接法で成形を行ない、厚さが270μm及び350μmの薄膜材料中間体を作成した。この原反について、ロールの周速差を利用する縦延伸、つづいてシート端部固定式テンターによる横延伸を実施した。縦延伸の条件は実施例1と同じで、横延伸の条件は、原反幅270〜280mm、温度95℃であった。逐次延伸を行なった薄膜材料について、比重、吸水度及び透気度を測定した。
【0071】
【表2】
【0072】
<実施例3>
縦延伸のみの場合及び縦延伸、横延伸を続けた逐次延伸の場合について、吸水度測定の際の吸水時間の影響を比較した。その結果は次表のとおりで、吸水時間がJIS法で規定された120秒の場合と、30秒の場合で大きな差はなく、水の吸水は比較的短時間で行なわれることが分った。
【0073】
【表3】
【0074】
<実施例4>
炭酸カルシウムを高充填したポリエチレン樹脂薄膜材料(ポリエチレン樹脂と炭酸カルシウムとの重量比が20:80で吸水度4.0g/m・120秒、透気度1300秒以上の薄膜材料)に対し、リバース式のマイクログラビア式のコーターで1μm程度のポリビニルアルコール樹脂を塗布した。コート面を純水を使用して接触角を評価したところ、77°であった。なお、接触角は、対象となる材料の表面上に純水の水滴を乗せ、平衡になったとき液体表面と材料表面のなす角度を測定して求めた。
【0075】
続いて、リバース式のマイクログラビア式のコーターで同様に、インクジェット受容層用樹脂(高松油脂(株)製)の水溶液を、乾燥後の塗布量が14g/mとなるよう塗布した。
【0076】
<比較例>
パルプ紙に対し、実施例4で使用したのと同じ樹脂を、乾燥後の塗布量が30g/mとなるよう塗布した。
【0077】
<評価>
実施例4及び比較例を用い、設けたインクジェット受容層の付着性をJIS K 5600のクロスカット法により測定した。また、A4サイズの薄膜材料を作製し、インクジェットプリンタ「Canon IPF6100」を用いて、出力モード600dpiでA3サイズの大きさの絵柄を水性インクを用いてカラープリントし、目視で画像の評価を行った。表4に、その結果を示す。
【0078】
(付着性試験:クロスカット法)
得られた受容層形成後の実施例4及び比較例のシートを使用して、受容層に対しJIS5600−5−6に準じてクロスカット試験を行い、接着性の評価を行って、良好及び不良で判定した。
(画像評価)
黒色のテストパターンを印刷し、目視で画像の鮮明さを評価した。
【0079】
【表4】
【0080】
本発明の加工用薄膜材料を用いた場合、インクジェット受容層を形成する樹脂量が少ないにもかかわらず、形成された受容層の接着力も十分であり、更に、インクジェット用紙としても、インクの発色等にも優れ、従来のパルプを使用したものと遜色がない。すなわち、通常のパルプを使用した場合と比べて、インクジェット受容層を形成する際に必要な樹脂の量を低減することができ、且つ鮮明さが良好な画像を得ることができるので、低コストで良品質のインクジェット用紙を提供可能である。