特許第6095802号(P6095802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095802
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】修飾炭化赤泥
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/06 20060101AFI20170306BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20170306BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20170306BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20170306BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20170306BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20170306BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20170306BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20170306BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20170306BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20170306BHJP
   C05D 3/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   C01F7/06 C
   C08L101/00
   C08K3/34
   C08L33/04
   C09C1/00
   C09C3/12
   C09C3/08
   C09C3/06
   C09C3/10
   C09K21/02
   C05D3/00
【請求項の数】37
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-553009(P2015-553009)
(86)(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公表番号】特表2016-514077(P2016-514077A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】DE2014000013
(87)【国際公開番号】WO2014114283
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年10月22日
(31)【優先権主張番号】102013001520.0
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514024860
【氏名又は名称】フルオシュミ ゲーエムベーハー フランクフルト
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロックテシェル,クリスチャン
【審査官】 佐藤 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−518902(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/126487(WO,A1)
【文献】 特表2006−527698(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0110647(US,A1)
【文献】 特開昭52−051428(JP,A)
【文献】 特開昭54−141027(JP,A)
【文献】 米国特許第04270875(US,A)
【文献】 特開昭54−137027(JP,A)
【文献】 米国特許第04285726(US,A)
【文献】 特表2004−530544(JP,A)
【文献】 国際公開第02/089940(WO,A2)
【文献】 米国特許第05051243(US,A)
【文献】 米国特許第04119698(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0280788(US,A1)
【文献】 堀口義一 他,赤泥の炭酸化,軽金属,1965年,Vol.15 No.2,Pages85-91
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00 − 17/00
C05D 3/00
C08K 3/34
C08L 33/04
C08L 101/00
C09C 1/00 − 3/12
C09K 21/02
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
の鉱物組成を有する修飾炭化赤泥(MKRS−HT)であって、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比が少なくとも1であることを特徴とする、修飾炭化赤泥。
【請求項2】
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
の鉱物組成を有する修飾炭化再水和赤泥であって、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比並びに水酸化鉄及び酸化水酸化鉄の総量の重量比が少なくとも1であることを特徴とする、修飾炭化再水和赤泥。
【請求項3】
NaOの重量パーセントで表される水溶性ナトリウム化合物の割合が0.03重量%を超えない、請求項1又は2に記載の修飾赤泥。
【請求項4】
平均粒径(d50)が50μmを超えないものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の修飾赤泥。
【請求項5】
残留水分含量が0.4重量%を超えない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の修飾赤泥。
【請求項6】
前記修飾赤泥の表面に、該修飾赤泥の粒子とポリマーマトリックスとの相溶性を改善する少なくとも1つの物質を付加する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の修飾赤泥。
【請求項7】
前記物質がオルガノシラン、有機チタン酸塩、有機アルミン酸ジルコニウム、カルボン酸誘導体、オリゴマー及びポリマー前駆体、アイオノマー、ホウ酸並びにその金属塩及び誘導体、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、又はそれらの組合せからなる群から選択される表面修飾剤である、請求項6に記載の修飾赤泥。
【請求項8】
機粘土(ナノクレイ)、スズ化合物及びホウ酸塩と組み合わせて与えられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の修飾赤泥。
【請求項9】
最大70重量%の割合で少なくとも1つの更なる難燃添加剤を更に含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の修飾赤泥。
【請求項10】
前記更なる難燃添加剤の少なくとも1つが吸熱反応物質である、請求項9に記載の修飾赤泥。
【請求項11】
前記吸熱反応物質が、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ギブサイト、ゲーサイト、水酸化マグネシウム、ハンタイト、ブルーサイト又はそれらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項10に記載の修飾赤泥。
【請求項12】
請求項1に記載の修飾赤泥を作製する方法であって、
a)赤泥を準備する工程と、
b)酸性溶液中で前記赤泥に含まれる鉄(III)化合物を鉄(II)化合物へと還元する工程と、
c)工程b)で得られる鉄(II)化合物を含有する溶液に炭酸塩化合物を添加する工程であって、炭酸鉄(II)(シデライト)を形成する、工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の修飾赤泥を作製する方法であって、
a)赤泥を準備する工程と、
b)利用可能な出発物質から炭酸鉄(II)を別個に作製する工程と、
c)赤泥と炭酸鉄(II)とを混合する工程と、
d)修飾炭化赤泥(MKRS−HT)を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項14】
バライト(BaSO)に代わるプラスチックシステムの充填剤としての請求項1又は2に記載の修飾赤泥の使用。
【請求項15】
プラスチックシステムにおける遮音材としての請求項1又は2に記載の修飾赤泥の使用。
【請求項16】
物建築システムにおける遮音添加剤としての請求項1又は2に記載の修飾赤泥の使用。
【請求項17】
前記鉱物建築システムが、石膏ボード、スクリードおよびコンクリートから選択されるものである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
電磁放射線及び粒子放射線からなる群から選択される放射線を減衰又は遮蔽するための請求項1又は2に記載の修飾炭化赤泥及び任意に赤泥を含むその混合物の使用。
【請求項19】
前記放射線がα放射線、β放射線、γ放射線及び/又は中性子放射線である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記修飾赤泥が、粉末形態で又はプレス部品若しくは成型体として使用される、請求項18又は19に記載の使用。
【請求項21】
前記修飾赤泥が、少なくとも1つの更なる作用物質と併せて、又は複合材料(複合材)の形態で使用される、請求項18又は19に記載の使用。
【請求項22】
前記作用物質がコンクリートである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記修飾赤泥が、マトリックスに存在する、請求項18、19、21又は22に記載の使用。
【請求項24】
前記修飾赤泥が、少なくとも1つの膨潤性材料と併せて使用される、請求項18、19、21、22又は23に記載の使用。
【請求項25】
前記膨潤性材料が、ベントナイト及び/又は超吸収性ポリマーである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
水の放射物質用の貯蔵施設への浸透を低減する又は妨げるための請求項24又は25に記載の使用。
【請求項27】
掘削泥又は掘削液における比重調整材としての請求項1又は2に記載の修飾炭化赤泥及び任意に赤泥を含むその混合物の使用。
【請求項28】
比重が増大するように、前記修飾赤泥が熱処理されている、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記修飾赤泥が150℃〜350℃の温度で熱処理されており、及び/又は前記修飾赤泥の比重が4g/cmより大きい、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記修飾赤泥の比表面積が、2m/g〜200m/g(BETに従って測定)の範囲である、請求項2729のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記修飾赤泥の粒径が10mm未満である、請求項2730のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記修飾赤泥の嵩密度(未充填嵩密度、UTBD)が100g/L〜3000g/Lの範囲である、請求項2731のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
植物基質としての又は肥料としての又は植物の生育を促進するための請求項1又は2に記載の修飾炭化赤泥及び任意に赤泥を含むその混合物の使用。
【請求項34】
前記修飾赤泥が、粉末形態で、粒状形態で、及び/又は成型体として存在している、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
植物の生育が少なくとも25%増大するか、又はバイオマスが少なくとも25%増える、請求項33又は34に記載の使用。
【請求項36】
植物の細根の網目構造の形成を改善するための請求項3335のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
水容量及び/又は保水容量(保水)を増大させるための請求項3336のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温域において難燃剤として使用することができる修飾炭化赤泥(MKRS−HT)、並びに低温域及び更には高温域の両方において防炎剤として使用することができる修飾炭化再水和赤泥に関し、更にはこれらを作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
赤泥は、水酸化アルミニウム(ATH)をボーキサイトから抽出するバイヤー法の廃棄物から作製されることが知られている。以下の記載において、赤泥(RM)はボーキサイトからのATHの抽出において生じるバイヤー法の残渣として理解される。
【0003】
ボーキサイトからATHを差し引いたものとして或る程度表すことができる赤泥(RM)は、その化学組成及び鉱物組成、その吸熱特性、そのpH値等に関して極めて不均一な物質である。不均一性の原因は使用されるボーキサイトの異なる組成、中でもバイヤー法がオートクレーブ消化又はチューブ消化のいずれで行われるかによる場合がある。オートクレーブプロセスでは、消化は6バール〜8バールの圧力が確立されるように170℃〜180℃の温度の30%〜35%苛性ソーダ溶液を用いて行われる。チューブ消化プロセスは、温度を270℃まで上昇させることによって6時間〜8時間の反応時間を1時間未満へと短縮するために開発された。しかしながら、この温度では反応器の最後に60バールの水蒸気圧が確立される。より高いチューブ消化の温度は赤泥の組成にも影響を与える。例えば、チューブ消化プロセスの水酸化/酸化水酸化鉄系では、平衡はほぼ完全にヘマタイト(Fe)へとシフトする。赤泥(RM)の不均一性のために、その使用の経済的実行可能性は制限され、これを主に廃物として廃棄場所で処分する必要がある。
【0004】
特許文献1には、ワイヤー及びケーブル分野における技術的用途、又は建設用途及びプラスチック加工用途に費用効率の高いOHFR系として好適な修飾再水和赤泥(MR2S)をベースとする、いわゆる「ゼロハロゲン難燃剤」(OHFR)系が記載されている。特許文献1に開示の修飾再水和赤泥を用いると、およそ200℃〜350℃の温度範囲で難燃効果を達成することができる。難燃効果は、赤泥の再水和において生じるアルミニウム及び鉄の水酸化物及び酸化水酸化物、例えばギブサイト及びベーマイト又はゲーサイト等が酸化物及び水に分解することからもたらされる。かかる生成物は例えばPVC又はEVA(PE)等のポリマー系に適用される。これまで市場で使用されてきたATH又はAPP等の製品は180℃〜220℃で反応し、低温製品とみなされる。220℃〜340℃では、MDH及びブルーサイト等の製品が使用され、これらは高温製品とみなされる。再水和によってRMから作製される難燃剤(MR2S)はおよそ220℃〜350℃で反応するため、現在慣例の定義には低温域及び高温域の両方が包含される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/126487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、再現性があり、化学組成が確定されている、商業的に利用可能なより費用効果の高い基本物質が得られるように赤泥を修飾することである。
【0007】
酸性媒体中での赤泥の還元により、赤泥中に存在するFe(III)化合物からFe(II)塩溶液を得ることが可能であり、例えばNaHCO、NaCO又はCaCOの添加によって炭酸鉄(II)(シデライト)を沈殿させることができる。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、赤泥の再炭化により炭酸鉄(II)の形成とともに最大で500℃を超える温度で酸化物及びCOへの分解によってその吸熱効果を示す高温(HT)防炎剤を得ることができると考える。吸熱反応作用に加えて、放出されたCOが防炎剤として作用する。
【0008】
したがって、本発明は、
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
の鉱物組成を有する修飾炭化赤泥(MKRS−HT)であって、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比が少なくとも1である、修飾炭化赤泥に関する。
【0009】
この生成物は再炭化によって作製されるため、MKRS(修飾炭化赤泥)と名付けられる。高温難燃剤であることから接尾語HT(高温)が付けられ、その呼称はMKRS−HTとなる。
【0010】
さらに、本発明は、
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
の鉱物組成を有する修飾炭化再水和赤泥であって、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比並びに水酸化鉄及び酸化水酸化鉄の総量の重量比が少なくとも1である、修飾炭化再水和赤泥に関する。
【0011】
この場合、水酸化/酸化水酸化鉄及び炭酸Fe(II)に加えて、例えばその吸熱特徴に基づいて難燃効果の更なる強化をもたらし得る水酸化/酸化水酸化アルミニウムも存在するのが好ましい。加えて、赤泥の種々の構成要素への相変態も吸熱的に効果を生じ得る。総合すると、このような本発明によるOHFR生成物を備えるポリマー化合物では、吸熱反応は180℃〜最大500℃を超える温度範囲にわたって進行する。さらに、難燃剤COが放出される。
【0012】
また、本発明は、修飾炭化赤泥(MKRS−HT)を作製する方法であって、
a)赤泥を準備する工程と、
b)酸性溶液中で前記赤泥に含まれる鉄(III)化合物を鉄(II)化合物へと還元する工程と、
c)工程b)で得られる鉄(II)化合物を含有する溶液に炭酸塩化合物を添加する工程であって、炭酸鉄(II)(シデライト)を形成する、工程と、
を含む、方法に関する。
【0013】
また、本発明は、可燃性材料と本発明による修飾赤泥とを含む防炎材料系に関する。
【0014】
また、本発明は、可燃性材料、特に可燃性建築材料、ゴム、チップボード材料、プラスチック、特にケーブルシース、ケーブル絶縁化合物又はケーブル充填化合物の防炎剤又は難燃剤としての本発明による修飾赤泥の使用に関する。
【0015】
また、本発明は、防炎材料系を作製する方法であって、
a)可燃性材料を準備する工程と、
b)前記可燃性材料に本発明による修飾赤泥をコーティング又はブレンドする工程と、それにより、
c)防炎材料系を得る工程と、
を含む、方法に関する。
【0016】
さらに、化学修飾した再水和炭化赤泥及びそれらの混合物はおよそ3.8〜3.9 10kg/mの密度を有するため、4.43 10kg/mの密度を有するBaSO(バライト)に近いことが見出されている。その比重のために、BaSOはとりわけプラスチックの重質充填剤としても使用されている。本発明による化学修飾した赤泥であるMR2S−LT若しくはMKRS−HT、又はそれらの混合物をバライトの代わりに使用することができる。
【0017】
さらに、化学修飾した再水和炭化赤泥及び担体マトリックスと併せたそれらの混合物は遮音効果を示す。このため、プラスチック又は例えば建築材料にこれらの生成物を付加すると、難燃効果に加えて遮音効果ももたらされる。この二重効果は自動車製造及び建築業において使用される場合に特に興味が持たれている。建築材料はスクリード、コンクリート、石膏プラスターボード等の無機製品であってもよく、対応する遮音効果を有するようになる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
「防炎剤」、「難燃化剤」、「難燃剤」及び「OHFR剤」という用語、又は更に略語「FR」は、本発明において同義語として理解されるものとする。これらの用語は本発明において特に非毒性のハロゲンフリー無機防炎剤を含むものとして理解される。
【0019】
本発明において、「低温域」は220℃〜350℃の温度範囲として理解される。
【0020】
本発明において、「高温域」は350℃〜500℃の温度範囲として理解される。
【0021】
「防炎材料系」という用語は、物体中に存在する可燃性材料の火又は熱による発火を防ぐ又は遅くするために、可燃性材料を難燃化剤と接触させた物体を意味するものとして理解される。特に、難燃化剤は、例えばブレンド又はコーティングによって可燃性材料と永久的に結合している。
【0022】
「可燃性材料」又は「燃焼性材料」は可燃性又は燃焼性の任意の材料、特にポリマー及び不揮発性炭化水素として理解される。例はアクリル分散液、アクリル樹脂、エラストマー、エポキシ樹脂、ラテックス分散液、メラミン樹脂、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、PEコポリマー、熱可塑性PEコポリマー、架橋PEコポリマー、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂(UP)、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、PVCプラスチゾル、熱可塑性エラストマー、例えばTPE、TPA、TPU等、ビニルエステル樹脂及びビチューメンである。「可燃性」及び「燃焼性」は本明細書中で同義語として理解される。
【0023】
赤泥(RM)は、ボーキサイトからのATHの抽出において生じるバイヤー法の残渣として理解される。赤泥に関する更なる情報は、特許文献1に見ることができる(その開示が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)。修飾炭化赤泥(MKRS−HT)は、赤泥(RM)から再炭化により作製され、任意に乾燥、粉砕、他の物質の混合、表面のコーティング等を行った生成物として理解される。修飾炭化再水和赤泥は、赤泥(RM)から再炭化及び再水和によって作製され、任意に乾燥、粉砕、他の物質の混合、表面のコーティング等を行った生成物として理解される。
【0024】
本発明は、
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
の鉱物組成を有する修飾炭化赤泥(MKRS−HT)から作製される無機ハロゲンフリー防炎剤であって、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比が少なくとも1である、無機ハロゲンフリー防炎剤に関する。
【0025】
修飾再炭化赤泥(MKRS−HT)から作製される無機ハロゲンフリー防炎剤では、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比は好ましくは少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも7、より好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも19である。明確にするために、例えば酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比が19に相当する場合、全ての鉄化合物が炭酸Fe(II)又は酸化鉄として存在すると仮定すると、鉄化合物の95重量%が炭酸Fe(II)として存在し、鉄化合物の5重量%が酸化鉄として存在する。
【0026】
また、本発明は、
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
の鉱物組成を有する修飾炭化再水和赤泥(MKRS−HT/MR2S−NT)から作製される無機ハロゲンフリー防炎剤であって、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比並びに水酸化鉄及び酸化水酸化鉄の総量の重量比が少なくとも1である、無機ハロゲンフリー防炎剤に関する。
【0027】
修飾炭化再水和赤泥から作製される無機ハロゲンフリー防炎剤では、酸化鉄に対する炭酸Fe(II)及び水酸化/酸化水酸化鉄の重量比は好ましくは少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも7、より好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも19である。
【0028】
明確にするために、例えば酸化鉄に対する炭酸Fe(II)の重量比が2に相当し、酸化鉄に対する水酸化鉄及び酸化水酸化鉄の総量の重量比が同様に2に相当する場合、全ての鉄化合物が炭酸Fe(II)、水酸化鉄、酸化水酸化鉄又は酸化鉄として存在すると仮定すると、鉄化合物の40重量%が炭酸Fe(II)として存在し、鉄化合物の40重量%が水酸化鉄又は酸化水酸化鉄として存在し、鉄化合物の20重量%が酸化鉄として存在する。
【0029】
修飾炭化再水和赤泥から作製される無機ハロゲンフリー防炎剤では、水酸化/酸化水酸化鉄及び炭酸Fe(II)に加えて、その吸熱特徴に基づいて難燃効果の更なる強化をもたらし得る水酸化/酸化水酸化アルミニウムも存在するのが好ましい。この場合、酸化アルミニウムに対する水酸化アルミニウム及び酸化水酸化アルミニウムの総量の重量比は好ましくは少なくとも1、より好ましくは少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも7、より好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも19である。
【0030】
明示的に指定されない限り、以下の記載は、修飾炭化赤泥(MKRS−HT)から作製される無機ハロゲンフリー防炎剤及び修飾炭化再水和赤泥(MKRS−HT/MR2S−NT)から作製される本発明による無機ハロゲンフリー防炎剤の両方に適用され、これらはまとめて下記で簡潔に「修飾赤泥」又は「(本発明による)防炎剤」とも表記される。
【0031】
修飾赤泥の鉱物組成は、
10重量%〜50重量%の鉄化合物、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物、
5重量%〜17重量%のケイ素化合物、
2重量%〜10重量%の二酸化チタン、
0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物、及び、
可避的不純物、
を含む。
【0032】
この場合、修飾赤泥の鉱物組成は10重量%〜45重量%、30重量%〜50重量%又は20重量%〜40重量%の鉄化合物を含み得る。
【0033】
この場合、鉱物組成は12重量%〜30重量%、20重量%〜35重量%又は15重量%〜25重量%のアルミニウム化合物を含み得る。
【0034】
この場合、鉱物組成は5重量%〜15重量%、8重量%〜17重量%又は7重量%〜16重量%のケイ素化合物、特にSiOを含み得る。
【0035】
この場合、鉱物組成は4重量%〜10重量%、2重量%〜8重量%又は3重量%〜9重量%の二酸化チタン(TiO)を含み得る。
【0036】
この場合、鉱物組成は1重量%〜6重量%、0.5重量%〜2.5重量%又は0.6重量%〜1.5重量%のカルシウム化合物、特にCaOを含み得る。
【0037】
この場合、上記に与えられる範囲の各々を組み合わせることができる。
【0038】
「不可避的不純物」は出発材料、例えばバイヤー法に供したボーキサイト中に不純物として生じる構成要素、又は製造許容差のために生成物中に生じる若しくは導入される不純物であるものとして理解される。特に、序論にて言及した赤泥の不均一性から、かかる不純物は避けられない。しかしながら、かかる不純物は修飾赤泥の難燃効果に決定的に寄与するものではない。
【0039】
本発明の変更形態において、修飾赤泥中のNaOの重量パーセントで表される水溶性ナトリウム化合物の割合は0.03重量%を超えない、好ましくは0.003重量%〜0.03重量%である。
【0040】
本発明の更なる変更形態において、修飾赤泥の平均粒径(d50)は50μmを超えない、好ましくは0.5μm〜10μm又は1μm〜5μm(マイクロスケールの修飾赤泥)又は100nm〜900nm又は200nm〜750nm(ナノスケールの修飾赤泥)である。
【0041】
本発明の更なる変更形態において、修飾赤泥の残留水分含量は0.4重量%を超えない、好ましくは0.3重量%を超えない、好ましくは0.2重量%を超えない。
【0042】
赤泥の化学組成を表1に示し、MKRS−HTの化学組成を表2に示し、修飾炭化再水和赤泥の化学組成を表3に示す(MKRSHT/MR2S−NT)。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
また、前記修飾赤泥の表面に、該修飾赤泥の粒子とポリマーマトリックスとの相溶性を改善する少なくとも1つの物質を付加することが好ましい。このようにして、概してポリマーマトリックスを含む保護すべき可燃性材料への修飾赤泥の組込みを簡易化することができ、構成部分の接着を改善することができる。同様に、このようにして、ポリマー化合物の特徴的なプロファイルを標準化方式で制御することができる。
【0047】
この場合、前記物質がオルガノシラン、有機チタン酸塩、有機アルミン酸ジルコニウム、カルボン酸誘導体、軟化剤、オリゴマー及びポリマー前駆体、アイオノマー、ホウ酸並びにその金属塩及び誘導体、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、又はそれらの組合せからなる群から選択される表面修飾剤であることが有利である。
【0048】
更に好ましい実施の形態では、防炎剤が、共力剤、特に有機粘土(ナノクレイ)、スズ化合物及びホウ酸塩と組み合わせて与えられる。
【0049】
同様に、防炎剤が最大70重量%、好ましくは5重量%〜60重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%、より好ましくは15重量%〜40重量%の割合で少なくとも1つの更なる難燃添加剤を更に含有することが好ましい。
【0050】
更なる特に好適な難燃添加剤が吸熱反応物質、好ましくは水酸化アルミニウム、ベーマイト、ギブサイト、ゲーサイト、水酸化マグネシウム、ハンタイト、ブルーサイト又はそれらの混合物からなる群から選択される吸熱反応物質である。
【0051】
また、本発明は、可燃性材料、特に可燃性建築材料、ゴム、チップボード材料、プラスチック、特にケーブルシース、ケーブル絶縁化合物又はケーブル充填化合物の難燃剤としての本発明による防炎剤の使用に関する。
【0052】
さらに、本発明は、可燃性材料と本発明による防炎剤とを含む防炎材料系に関する。
【0053】
可燃性材料を特に建築材料、ゴム製品、チップボード、ファサードクラッド又はプラスチック製品、特にケーブルシース、ケーブル絶縁化合物又はケーブル充填化合物とすることができる。
【0054】
防炎材料系は好ましくは3重量%〜95重量%、より好ましくは5重量%〜90重量%、より好ましくは10重量%〜80重量%、より好ましくは20重量%〜75重量%、より好ましくは25重量%〜70重量%、特に30重量%〜60重量%の割合で防炎剤を含有する。
【0055】
変更形態において、防炎材料系に使用される防炎剤は本発明による修飾赤泥を30重量%〜100重量%、より好ましくは40重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜90重量%、より好ましくは60重量%〜85重量%の割合で含むのが好ましく、0重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜60重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%、より好ましくは15重量%〜40重量%というそれぞれの残存割合は更なる難燃組成物によって形成される。この場合、更なる難燃組成物がAPP、MC、MIC等の有機非毒性吸熱反応物質及び/又は共力剤を含むのが有利である。この場合、更なる難燃組成物が含水塩、水酸化物、酸化水酸化物、並びに炭酸塩、オキシ炭酸塩及びヒドロキシ炭酸塩を含むのが同様に有利である。
【0056】
また、本発明は、防炎材料系を作製する方法であって、
a)可燃性材料を準備する工程と、
b)前記可燃性材料に本発明による防炎剤をコーティング又はブレンドする工程と、それにより、
c)防炎材料系を得る工程と、
を含む、方法に関する。
【0057】
この場合、工程b)において防炎剤をコーティング又はブレンドする前に、好ましくは共力剤、特に有機粘土(ナノクレイ)、スズ化合物及びホウ酸塩、及び/又は少なくとも1つの更なる難燃添加剤とともに物理的に処理する、特に粉砕又は解砕するのが有利である。
【0058】
工程b)において言及される防炎剤を表面修飾に供するのが好ましい。これは好ましくは可燃性材料のコーティング又はブレンドの前に行われる。
【0059】
防炎剤の表面修飾はオルガノシラン、有機チタン酸塩、有機アルミン酸ジルコニウム、カルボン酸誘導体、軟化剤、オリゴマー及びポリマー前駆体、アイオノマー、ホウ酸並びにその金属塩及び誘導体、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、又はそれらの組合せからなる群から選択される表面修飾剤を防炎剤の表面に付加することを含むのが好ましい。
【0060】
特に本発明による防炎剤を弾性、熱可塑性及び熱硬化性の系に使用する場合、いわゆる「マスターバッチ」(活性物質濃縮物)の形態の共力剤を液体、ペースト又は粒質物の形態で加工中に添加することも同様に有利である。
【0061】
修飾炭化赤泥(MKRS−HT)を作製する本発明による方法は、
a)赤泥を準備する工程と、
b)酸性溶液中で赤泥に含まれる鉄(III)化合物を鉄(II)化合物へと還元する工程と、
c)工程b)で得られる鉄(II)化合物を含有する溶液に炭酸塩化合物を添加する工程であって、炭酸鉄(II)(シデライト)を形成する、工程と、
を含む。
【0062】
工程b)に使用することができる好ましい還元剤は硫黄含有還元剤、特に(Na)及び二酸化硫黄(SO)である。
【0063】
工程b)に従う赤泥に含まれる鉄(III)化合物の鉄(II)化合物への還元は、例えば4〜6のpH値、特に4.5〜5.5のpH値の弱酸性溶液中で行うのが好ましい。
【0064】
工程c)に使用することができる好ましい炭酸塩化合物はアルカリ炭酸塩、アルカリ水素炭酸塩及びアルカリ土類炭酸塩、特に炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)及び炭酸カルシウム(CaCO)である。専門知識に基づいて当業者には明らかなように、工程b)において得られる酸性鉄(II)化合物を含有する溶液のpH値は、炭酸塩化合物の添加によって炭酸鉄(II)(シデライト)を得るために、適切な場合に工程c)の前に好適な方法で調整する必要がある。
【0065】
本発明は更に、修飾赤泥を作製する方法であって、
a)赤泥(RM)を準備する工程と、
b)利用可能な出発物質から炭酸鉄(II)を別個に作製する工程と、
c)RMと炭酸鉄(II)とを混合する工程と、
d)修飾炭化赤泥(MKRS−hat)を得る工程と、
を含む、方法に関する。
【0066】
このようにして、炭酸鉄(II)は、物理的及び/又は化学的な方法による修飾を受けることで、特別な用途に特化した特性を容易に実現することができる。
【0067】
修飾炭化再水和赤泥は、例えば上記のような修飾炭化赤泥(MKRS−HT)及び例えば特許文献1(その開示全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載のような修飾再水和赤泥(MR2S−NT)を別々に作製した後、混合して修飾炭化再水和赤泥を得ることで作製することができる。
【0068】
しかしながら、好適な反応の実行によって、再水和及び再炭化の両方を赤泥において進行させ、修飾炭化再水和赤泥を得ることも可能である。修飾を一方又は他方の方向への標的化方式で導くために、例えば(酸化)不活性プロセスガス下で反応を実行し、特別に乾燥させた直後に、シデライトの方向に好ましい修飾のための表面修飾(「シーリング」)を行うような好適な技術的手段を採用することができる。一方で、主にゲーサイトを作製する場合、Fe(II)塩溶液をFe(III)塩溶液へと酸化する大気酸素又は代替的にはオゾンを用いて反応を進行させる。pH値が上昇するにつれてゲーサイトが生成し、これを同様に乾燥させ、表面にシーリングすることができる。
【0069】
さらに、表面修飾/シーリングは、界面相中のポリマー分子のOHFR難燃剤への最適な接着を保証するのに役立つ。このようにして、化合物の特徴を標的化方式で制御する。
【0070】
不活性ガス下での又は大気酸素による標的化したプロセス管理、乾燥及び表面修飾によって、所要の用途に合わせた炭化再水和赤泥を作製することが可能である。
【0071】
いわゆる不活性プロセスガス/保護ガスはいかなる酸化成分、とりわけ(大気)酸素も含まないものとする。特に、等量の窒素及びアルゴン(TIG溶接品質が十分である)から構成され、循環するプロセスガスが使用される。
【0072】
実施例、実験及び更なる実施の形態を下記に記載するが、これらは本発明を限定するものではない。それどころか、これらは本発明による教示及びその利点の明確化に役立つものである。
【0073】
修飾赤泥の作製:
実施例
実施例1
Fe含量が40%(1.6gのFe=0.01mol)の赤泥4gを、ビーカー内で60mlの濃塩酸(0.6mol)と混合し、室温で24時間撹拌した。
【0074】
この期間後に、3.2gの残渣を分離することができた。すなわち0.8gのFeを溶解した(50%)。比較的長い撹拌時間及び高い温度で、更なるFeを溶解することができる。
【0075】
濾過溶液のpH値を希NaOH(水100ml中0.5molのNaOH)で4.5に合わせた。次いで、50mlのHO中0.05molのNaSO・7HO(1.3g)を添加した。数時間後、黄色の溶液がほぼ無色となった。0.8gのNaCOの添加によって1.2gの沈殿物がこの溶液から生じた。PXRDによると、この生成物は各50%のシデライト及びゲーサイトからなるものであった。比較的長い期間の後、沈殿生成物は初め緑色がかっており、次いで褐色となる。すなわち、炭酸Fe(II)が空気中でFe(III)化合物へと酸化する。一方で、酸素を排除すると、長時間安定を保つシデライトが主に沈殿する。
【0076】
このため、不活性条件下でシデライトが沈殿し、酸化条件下で最終的にゲーサイトが沈殿することが明らかである。シデライト及びゲーサイトを含有する中間段階を任意の時点で妨害することができ、乾燥させ、表面をシーリングすることができる。
【0077】
実施例2
使用する機器は相応に装備された噴霧塔(NIRO Atomizer,Copenhagen)であるのが好ましい。この場合、乾燥させ、任意に同時に表面修飾した材料を例えば表面修飾「A」(下記を参照されたい)に従ってマイクロスケールで作製する。ナノスケール材料が用途特有の理由で必要とされる場合、旋回フリューダイザーを用いて乾燥した後、下流に接続した流動ミキサー/高速ミキサーで表面コーティングを行うことができる。
【0078】
噴霧塔:
乾燥、粒度分布曲線(トップカット;d90、d50及びd10)の設定、及び任意に材料の表面修飾は噴霧塔で行うのが好ましい。
【0079】
本明細書中で例示した場合、すなわち表面修飾「A」を用いる場合には、広い範囲内で変化し得る例えば50%の固形分を導入するスラリーに、激しく撹拌しながら適切な量のアミノプロピルトリエトキシシラン(固形分ベースで1重量%のAMEO(Evonik/Degussa);「表面修飾」の項を参照されたい)を添加する。オルガノシランは加水分解によってオリゴ−オルガノシラノールへと反応し、これが乾燥させる材料の表面へと吸着し、定着し、共有結合を形成する(Edwin S. Plueddeman, Silane Technology, Elsevier, NY, USAを参照されたい)。
【0080】
更に0.3重量%(固形分ベース)のDISPEX A 80をスラリーに分散剤及び液化剤として添加し、最初の段階で圧送可能なスラリーとする。
【0081】
二次粒径(すなわち所要の凝集度)をプロセスガスの入口温度(典型的には500℃〜300℃)及び出口温度(典型的には120℃〜60℃)、噴霧盤回転速度、ノズル開口部の数及び配置、スラリー濃度(固形分)を超えての範囲内のスラリーの1時間当たりの処理量を変更することによって設定する。
【0082】
噴霧塔をアミノシラン表面修飾なしに使用する場合、MR2S−NT又はMKRS−HTを最適化ゲーサイト又はシデライト含量(上記のプロセス管理に従う所望の最適化に応じて異なる)を用いてマイクロスケールで作製する。
【0083】
任意に「解砕」を下流に接続したピン止めディスクミル(Fa. Alpine)で行う。すなわち、平均粒径を1μm〜1.5μmの帯域幅に設定する(d50)。
【0084】
粒度分布曲線は微粉化沈降水酸化アルミニウム、例えばMARTINAL OL 104(Martinswerk/Albemarle)又はSUPERFINE SF4ESD(Alcan Ltd.)等、又は合成水酸化マグネシウム、例えばMAGNIFIN H5(Magnesit Prod. Gesellschaft)等の粒度分布曲線にほぼ一致する。
【0085】
この粒度分布曲線は大半の熱可塑性及び熱硬化性ポリマー系並びにゴム系への実質的に最適な配合を可能にする。同じことが全ての熱可塑性エラストマー(TPE)系に当てはまる。
【0086】
旋回フリューダイザー:
ナノスケール生成物の乾燥及び調整は、旋回フリューダイザー内で行うのが好ましい。
【0087】
任意の表面修飾は下流に接続した流動ミキサー(高速ミキサー)内でのみ行う。
【0088】
この場合、固体、液体又はペースト状の粘稠度の複数の表面修飾剤を使用することができる。MR2S−NT又はMKRS−HT等のOHFR系の表面上でのin situ重合が可能である。
【0089】
旋回フリューダイザーにおいて、噴霧塔と同じプロセスガス条件下で、本発明による材料を、周波数制御モノスクリューを用いて反応チャンバに移送する。相応に構成された器具によりプロセスガス中の乾燥させる材料が分けられ、ナノスケール一次粒子が主に作製される。
【0090】
生成物がナノスケールで生じるようにプロセスを1時間当たりの処理量、プロセスガスの入口温度及び出口温度、並びに制御変数として選択される本発明による材料の残留水分含量、並びに器具の構成及び回転速度によって標的化方式で制御する。
【0091】
表面修飾を行うべき場合には、乾燥材料(通常は0.05%の残留水分含量)を、回転弁を用いて下流に接続した流動ミキサーに計量し、「表面修飾A、B、C及びD」の記載に従ってコーティングする。
【0092】
この場合、流動ミキサー内でおよそ50℃平衡まで冷却した最適化MR2S−NT又はMKRS−HTの出口温度(典型的には80℃)を使用すると、材料混合物がそれぞれの反応温度まで迅速に加熱されることから、表面修飾プロセスがより効果的に設定される。
【0093】
冷却ミキサーにより生成物を室温まで冷却し、中間サイロ貯蔵を行うことなく即座に生成物を袋詰めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
DTA及びTG分析
図1】赤泥(比較例)のDTA及びTG曲線を示す図である。220℃〜350℃ではギブサイト/ベーマイト及びゲーサイトの残渣に起因する吸熱反応を見ることができる。赤泥では、アルミニウム及び鉄の水酸化物/酸化水酸化物の分解間隔は幾らか高い温度範囲へとシフトする。
図2】ギブサイトの方向に再水和した赤泥(参照例)のDTA及びTG曲線を示す図である。この場合、ゲーサイトが更に生じる。吸熱反応は210℃〜350℃で起こる。
図3】ゲーサイトの方向に再水和した赤泥(参照例)のDTA及びTG曲線を示す図である。この場合、ギブサイトが更に生じる。吸熱反応は210℃〜350℃で起こる。
図4】シデライトの方向に再炭化した赤泥(本発明による実施例:修飾炭化赤泥(MKRS−HT))のDTA及びTG曲線を示す図である。吸熱反応は350℃〜500℃、すなわち高温域で起こる。
図5】ゲーサイトの方向に再水和し、更にシデライトの方向に再炭化した赤泥(本発明による実施例:修飾炭化再水和赤泥(MKRS−HT/MR2S−NT))のDTA及びTG曲線を示す図である。水酸化物/酸化水酸化物 ゲーサイト/ギブサイトの吸熱反応は低温域(LT)の220℃〜350℃、シデライトの吸熱反応は高温域(HT)のおよそ350℃〜500℃で起こる。このため、このタイプの生成物はおよそ220℃〜500℃で吸熱反応を示す。X線分析:
図6】ギブサイトの方向に再水和した赤泥のX線図である(図表1)(図2のDTA及びTG曲線を参照)。線図は以下のものを示す: 線図A:タイプ:2Th/Thロック−開始:5.000度−終了:70.000度−ステップ:0.040度−ステップ時間:℃(室温)−開始時間:15s−2−シータ:5.000度−シータ:2.500度−カイ:0.00度mm オペレーション:インポート 線図B:タイプ:2Th/Thロック−開始:5.000度−終了:70.000度−ステップ:0.040度−S(室温)−開始時間:15s−2−シータ:5.000度−シータ:2.500度−カイ オペレーション:Y Scale Add 125I Background 0.000,1.0001 Y Scale M インポート 凡例:■00 033 0664(*)−合成ヘマタイト−Fe−Y:1.36%−d x by:1.−WL:1.5406−Rhombo.H.axes−a 5.03560−b 5.03560−c 13 120.000−プリミティブ−R−3c(167)−6−301.926−1/k PDF ●01−070−2038(C)−ギブサイト−Al(OH)−Y:7.80%−d x by:1.−WL:1.5406−単斜晶系−a 8.68400−b 5.07800−c 9.73600−α プリミティブ−P21/n(14)−8−427.985−I/Ic PDF 1.8−F30=6 ▲ 00−049−0007(*)−ケイ酸ナトリウムアルミニウム−Na1.15Al1.15Si0.8504−Y:0.65%−d x by:1.−WL:1.5406−斜方晶系−a 90.000−ベータ 90.000−ガンマ 90.000−プリミティブ−Pc21b
図7】ゲーサイトの方向に再水和した赤泥のX線図を示す(図表2)(図3のDTA及びTG曲線を参照)。線図は以下のものを示す: 線図A:タイプ:PSD高速スキャン−開始:5.000度−終了: 時間:1.s−温度:25℃(室温)−時間 シータ:1.544度−ファイ:0.00度−Aux1:0 0A Add 83 〜 レンジOp. A+B インポート 線図B:タイプ:2Th/Thロック−開始:5.000度−終了: 時間:10.s−温度:25℃(室温)−時間 シータ:2.500度−カイ:0.00度−ファイ:0.00度−ファイ: 凡例:■00−033−0664(*)−合成ヘマタイト−Fe−Y:21.62%−d x by:1.−WL:1.5406−Rhombo.H.axes−a 5.03560−b 5.03 90.000−ガンマ 120.000−プリミティブ−R−3c(167)−6−301.9 ▼00−021−1276(*)−合成ルチル−TiO−Y:8.94%−d x by:1.−WL:1.5406−正方晶系−a 4.59330−b 4.59330−c 2.95 90.000−プリミティブ−P42/mnm(136)−2−62.4344−I/Ic ▲▲t01−081−0463(C)−合成ゲーサイト−FeO(OH)−Y:34.21%−d x by:1.−WL:1.5406 −斜方晶系−a 4.61580−b 9.95 90.000−ガンマ 90.000−プリミティブ−Pbnm(62)−4−138.915
図8】シデライトの方向に再炭化した赤泥のX線図である(図表3)(図4のDTA及びTG曲線を参照)。線図は以下のものを示す: 線図A:タイプ:2Th/Thロック−開始:5.000度−終了:7 温度:25℃(室温)−開始時間:15.s 度−ファイ:0.00度−X:0 オペレーション:Y Scale Add 線図B:タイプ:2Th/Thロック−開始:5.000度 時間:10.s−温度:25℃(室温) 度−シータ:2.500度−カイ:0.00度−ファイ: インポート 凡例:■00−033−0664(*)−合成ヘマタイト−Fe−Y:1.83% d x by:1.−WL:1.5406−Rhombo.H.axes−a 5.03560−b 5.03 90.000−ガンマ 120.000−プリミティブ−R−3c(167)−6−301.926−I/Ic PDF ◆01−083−1764(C)−シデライト−Fe(CO) Y:439% d x by:1.−WL:1.5406−Rhombo.H.axes−a 4.691 60−b 4.69160 90.000−ガンマ 120.000−プリミティブ−R−3c(167)−6−293.169−I/Ic PDF 3.6 ▲00−049−0007(*)−ケイ酸ナトリウムアルミニウム−Na1.15Al1.15Si0.8504−Y:0.53%−d x by:1.−WL:1.5406−斜方晶系 10.21400−アルファ 90.000−ベータ 90.000−ガンマ 90.000−プリミティブ−Pc21b( ▼00−021−1276(*)−合成ルチル−TiO−Y:0.49%−d x by:1.WL:1.5406−正方晶系−a 4.59330−b 4.59330−c 2. ガンマ 90.000−プリミティブ−P42/mnm(136)−2−62.4344−I/Ic PDF 3.4−F3
図9】シデライトの方向に再炭化し、かつゲーサイトの方向に再水和した赤泥のX線図である(図表4)(図5のDTA及びTG曲線を参照)。線図は以下のものを示す: 線図A:33%赤泥+33%シデライト+33% 終了:70.000度−ステップ:0.040度−ステップti 14s−2シータ:5.000度−シータ オペレ 凡例:■00−033−0664(*)−合成ヘマタイト−Fe−Y:1.36%、−d x by:1.−WL:1.5406−Rhombo.H.axes−a 5.03560−b 5.03560−.c ガンマ 120.000−プリミティブ R 3c(167)−6−301.926−I/Ic PDF ◆01−083−1764(C) シデライト Fe(CO) Y:6.22% d x by:1.−WL:1.5406−Rhombo.H.axes−a 4.691 60−b 4.69160−c 15 ガンマ 120.000−プリミティブ−R−3c(167)−6−293.169−I/Ic PDF 3.6 ▼00−021−1276(*)−合成ルチル−TiO−Y:0.69%−d x by:1.−WL:1.5406−正方晶系−a 4.59330−b 4.59330−c 2.95920 90.000−プリミティブ−P42/mnm(136)−2−62.4344−I/Ic PDF 3.4−S ▲▲01−081−0463(C)−合成ゲーサイト−FeO(OH)−Y:3.95% d x by:1.−WL:1.5406−斜方晶系−a 4.61580−b 9.95450 ガンマ 90.000−プリミティブ−Pbnm(62)−4−138.91 5−I/Ic PDF 2.
【発明を実施するための形態】
【0095】
論考
粉末形態のサンプルの相組成の定性的及び定量的決定の標準方法は粉末X線回折法である。これは、天然の材料及び合成的に作製された材料の両方から原子構造及び結晶構造に関して詳細な情報を提供することもできる汎用的非破壊方法である。この場合、各々の結晶性材料はX線放射を照射すると、サイズ、対称性及び原子構造によって規定され、明確な同定に使用することができる固有の特徴的な回折パターンを示す。
【0096】
「熱分析」という表現は、温度に応じた化合物の化学的及び/又は物理的特徴を測定する方法を包含する。この場合、温度及び/又は時間に応じたサンプル質量の変化を熱重量分析(TG)によって測定する。測定器に組み入れた熱天秤がこの目的に適う。一方で、示差熱分析(DTA)では、定量的及び定性的分析のために相転移の特徴的な熱エネルギー転換を用いる。この場合、サンプルの温度を参照物質の温度と比較する。
【0097】
X線図並びにDTA及びTG曲線により、赤泥を再水和し、更には再炭化することができることが実証される。いずれの場合にも、チューブ消化装置(270℃/60バール)で生成される赤泥を使用した。
【0098】
再炭化ではシデライトが主に生じ、再水和では主にギブサイト/ベーマイト、とりわけゲーサイトが生じる。
【0099】
これらの生成物の作製では、第1の工程で赤泥が酸性溶液中で還元された。第2の工程では、NaHCO、NaCO又はCaCOの添加による酸化的に不活性の条件を受けてシデライトがこの溶液から沈殿した。ギブサイト又はゲーサイトの方向への最適化が必要とされる場合、ゲーサイト及びギブサイトを酸化条件下でのpH値の増大によって沈殿させる。
【0100】
したがって総合すると、また本発明によれば、その吸熱難燃効果を210℃〜310℃又は350℃〜500℃の範囲で示すOHFR系を再水和又は再炭化によって赤泥から作製することができる。
【0101】
このため、再炭化及び再水和を交互に配置すること又は炭化赤泥及び再水和赤泥の混合によって、全てのタイプのプラスチック系に適合したOHFR生成物が低温域及び高温域の両方で作製される。
【0102】
図面から、主にギブサイト/ベーマイト及びゲーサイト/レピドクロサイト/アカガネイトの方向又は主にシデライトの方向に修飾された修飾再水和又は修飾炭化赤泥が熱分解される方法、及びこれが生じる温度範囲が明らかである。
【0103】
この場合、それぞれの酸化物及び水がアルミニウム及び鉄の水酸化物又は酸化水酸化物から生じ、対応する酸化物及びCOが炭酸鉄(II)から生じる。生じるCOは更に消火剤として作用する。
【0104】
特に、シデライトは水酸化物及び酸化水酸化物が既に分解されている温度範囲で分解され、耐炎に効果的に寄与することができない。
【0105】
シデライトの顕著に高い分解温度は、UL 94垂直に従う試験中に、水酸化物及び酸化水酸化物の完全な脱水後に燃焼プロセスが再度生じ得る限りにおいて有利である。このため、高いシデライト含量について最適化したMKRS−HTでは、好適なOHFR難燃剤をより高い温度範囲で利用可能である。
【0106】
総合すると、ATH又はゲーサイト、レピドクロサイト、アカガネイト等の低温OHFR剤と、好ましくは炭酸鉄(II)等の高温OHFR剤との巧妙な組合せによって、必要な耐炎効果又はそれぞれの系に固有の火の拡散を、最適なOHFR効果が各々のポリマー系又はそれぞれのFR化合物系について達成されるように制御することができるFR系を開発する可能性がもたらされる。
【0107】
このため、本発明によると、修飾再水和赤泥(MR2S−NT)及び/又は炭化赤泥(MKRS−HT)を用いて標的化方式及び高度に特異的な方式で「適合した」OHFR材料を合成することができる。かかる耐炎生成物を、MR2S−NTの方向又はMKRS−HTの方向に修飾した赤泥を混合することによって作製することも可能である。
【0108】
この効果は記載の表面修飾及び記載の共力剤、特にナノクレイとの組合せによっても高めることができる。
【0109】
原則として、防炎加工される材料系の加工温度によって修飾赤泥が含有すべき生成物が決まると確証することができる。高温火炎保護の分野では、ATH、ゲーサイト、レピドクロサイト及びアカガネイト等の低温火炎保護用の製品は、これらの製品が加工時に既に分解されているため不適切である。本発明による特異的方式及び標的化方式で再水和及び/又は再炭化され、所要条件を満たす赤泥を、再水和プロセス又は再炭化プロセスを相応に制御することによって作製することができる。逆に言えば、低温火炎保護では高温火炎保護製品は、これらの材料の分解温度がポリマー加工温度よりもはるかに高いため原則として破壊的ではない。対照的に、このことはシデライト最適化MKRS−HTの分解によって耐炎能が実質的に増大するために有利である。
【0110】
表面修飾:
表面修飾はFR系の品質及び配合時のその加工性に多大な影響を与える。さらに、選択された表面修飾はFR効果及び界面相での接着(相溶化効果)を支持する。
【0111】
以下の処方を例えば表面修飾に使用する:
1)表面修飾A:
非ポリマー成分の全質量をベースとして1重量%のDegussa/Evonikのn−アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)
2)表面修飾B:
非ポリマー成分の全質量をベースとして、
1重量%のEDENOR C 12/98−100(Henkel,Germany)、
1.5重量%のSFR 100(General Electric Silicones,Schenectady,NY,USA)
3)表面修飾C:
非ポリマー成分の全質量をベースとして、
2重量%のTrilene 66(Uniroyal)(液状EP(D)Mポリマー)、
1重量%のUnichema 4900(ステアリン酸)Unichema、
1重量%のLevapren 600(EVA−コポリマー)
4)表面修飾D:
非ポリマー成分の全質量をベースとして、
1重量%のLithsolvent PL(Fa. Keller & Bohacek(Duesseldorf,Germany))、
2重量%のEpikote Resin 1163、
1重量%のEDENOR C 14(Henkel)
【0112】
流動ミキサー又は更にはマルチレベル可変器具を備え、外筒を温度制御することができるタービンミキサーを表面修飾に使用する。
【0113】
静止した又はゆっくりと開始するターボミキサーにおいて修飾される材料を用いた混合サイクルの開始時に、反応添加剤を混合/反応チャンバに計量する。修飾添加剤が液体状からペースト状であることが意図される場合、それらをミキサーの漏斗に計量する。
【0114】
反応の終了後に、熱い材料を下流に接続した冷却ミキサー内で室温又は袋詰め温度(典型的には35℃〜23℃)まで徐々に冷却する。この材料を粉体工学によって特性化した後、下記のポリマー化合物に使用する。
【0115】
記載の本発明によるOHFR材料は任意の期間にわたって耐久性であり、記載の変更形態では化学的に識別可能な有効期限はなく、好ましくは密閉した元の包装での適切な乾燥貯蔵を前提とする。粒径分布のために、例えば移送プロセスによる又は配合ユニットのサイロ若しくは秤量器からの取出し時の部分的又は完全な分離の永続的なリスクは、平均粒径値(d50)の異なる個々の成分をブレンドしたFR組成物の場合のように存在しない。上述の本発明によるOHFR材料は、それぞれの配合時にそのまま、すなわち例えば予備乾燥なしに使用することができる。特に、本発明によるOHFR材料の表面修飾変形物は外気から水分を取り込むことがないため、変化/予備乾燥せずに使用することができる。
【0116】
実施例に言及されるOHFR化合物を作製する本発明による材料を加工する方法:
使用試験材料:
ポリマー
EVAコポリマー ExxonMobilの「ESCORENE ULTRA UL 00119」
PPランダムコポリマー 「VESTOLENE PP 8400」
ポリアミド6 BASFの「ULTRAMID B3L」
PVC ICI(UK)のDS 7060
難燃剤
水酸化アルミニウム Alcan Chemicals Ltd.(Burntisland,Scotland,UK)の「SUPERFINE SF4 ESD」(ゼロサンプル)
水酸化マグネシウム Veitscher Magnesit Produktionsgesellschaft(Breitenau,Austria)の「Magnifin H 5」(ゼロサンプル)
ペンタブロモジフェニルエーテルp.a.及び三酸化アンチモンp.a.(ゼロサンプル)
MR2S−NT(ゼロサンプル)
MKRS−HT(本発明によるサンプル)
MR2S−NT/MKRS−HT(本発明によるサンプル)
添加剤/共力剤
ナノクレイ:Elementis Inc.(USA)の「Bentone 104」又はSuedchemie / Rockwood Clay Additives GmbH(Germany)の「Nanofil SE 3000」
スズ酸亜鉛 Joseph Storey(UK)の「FLAMTARD S」
【0117】
配合ユニット
それぞれの表に示される引用した全てのポリマー化合物を以下の配合ユニットで加工し、対応する成形化合物を作製した:
1)平均処理量が15kg/時間〜20kg/時間のBUSS同軸ニーダー(MDK 46 E、15 L/D、GS 70 3.5 D)
2)共回転二軸シャフト(スクリュー)押出機(DSE又はSSE) 平均処理能力が12kg/時間〜25kg/時間のWerner & Pfleiderer ZSK 25、又は平均処理能力が60kg/時間〜250kg/時間のLeistritz GL 50mm(44 L/D)。
【0118】
計量機器
主要取入口(BUSSコニーダーのELS 1)及びポリマー粒質物秤量器が主秤量器として機能する「下流」の両方において、重量秤量器(ロスインウェイトフィーダー)がポリマー、添加剤/安定剤及びOHFR剤の全ての供給ステーションに位置する。
【0119】
いずれの場合にも、分割供給様式でOHFR剤を3つの計量ステーションに分配されるポリマー流へと計量する。
【0120】
次いで、粒質物の形態で存在する化合物を射出成形及び押出の両方を用いて加工し、DIN/ISO及びASTMに従う対応する試験対象物を作製した後、試験する。比接触抵抗の試験のための試験対象物を、加熱/冷却可能パネルプレスの温度制御実験室用ダブルローラーで粒質物を溶融することによって圧延シートブランクから作製する。それぞれの試験の前に、完成した試験対象物を標準室内気候で平衡化する。
【0121】
試験
引張強度(MPa) DIN EN ISO 527 (本明細書でTSと称される)
引張弾性係数(MPa) DIN EN ISO 527 (本明細書でE−Modと称される)
破断点伸び(m/m) DIN EN ISO 527 (本明細書でELと称される)
引裂抵抗(MPa) DIN EN ISO 527 (本明細書でTRと称される)
衝撃強度(kg/m) DIN EN ISO 8256 (本明細書でa(n)と称される)
酸素指数(%) DIN EN ISO 4589−2 (本明細書でLOIと称される)
シャルピー衝撃強度(kg/m) DIN EN ISO 179 (本明細書でa(k)と称される)
IEC/DIN 60695−10/−11/−20及びCSA C 22.2に準拠したUL 94垂直
ISO 5660−1/ASTM E 1354に準拠したコーン熱量計値
比接触抵抗DIN ISO 53482(Ω×cm)(本明細書でSCRと称される)
X℃でのMFI(メルトフローインデックス)、及び
荷重y(kg)(g/10分)
ここで、EVA/PEの場合、通常は低流動性ポリマーについて190℃で5kg又は10kg。PPの場合、通常は低流動性押出タイプについて230℃及び2.16kg又は5kg荷重。
【0122】
表4に、例えばケーブル化合物/ケーブルシースについて欧州で通例の最低必要条件を示す。
【0123】
【表4】
【0124】
概して、本発明によるOHFR材料の全ての変形物は、(高)充填ポリマー化合物の作製のために(プラスチック)産業で使用される全ての加工機/配合ユニット、例えば(Banbury)内部ミキサー;ダブルロールミル;内部ミキサー;Farrel連続ミキサー(FCM);遊星シャフト押出機;効果的な均質化を可能にするスクリューを有するSSE(単軸スクリュー押出機)(Maddoxミキサーヘッド、締付リング);強力ミキサー等で作製することができる。
【0125】
修飾RMの低温変形物及び高温変形物の両方の高嵩密度(UTBD)、並びに極めて良好な注加性の結果として、従来の容量計量機器及び(好ましくは)重量計量機器(例えばK-Tron-Soder又はBrabenderのいわゆる「ロスインウェイトフィーダー」)の両方を用いて材料を配合機に極めて良好に添加することができる。
【実施例】
【0126】
EVAの実施例:
0)ゼロサンプルとしての基本配合物
配合:
EVA 00119 40%
ATH 60%
結果:
TS: 8.9
TR: 6.5
EL: 0.29
SCR: E13
MFI(190/10): 1.6
UL 94 V(3.2mm): V−0
LOI: 28
注釈:
この配合物はケーブル産業において標準であると認められているものに相当し、ポリマー系PE/EVAの実施例の比較の基礎となる。
【0127】
1)
配合:
EVA 40%
MKRS−HT 60%
結果:
TS: 9.8
EL: 1.6
SCR: E14/E12
UL 94 V(3.2mm): (V−2)*
LOI: 26
MFI(190/10): 1.4
*:残燼時間は非常に長く、その結果としてUL 94垂直に準じる分類はn.m.(満たされない)である
注釈:
この配合物では修飾再炭化RM(MKRS−HT)のみを使用する。機械的値は標準と一致する。残燼時間は対応する共力剤、例えばスズ酸亜鉛、ホウ酸塩等の添加によって抑制することができる。
【0128】
2)
配合:
EVA 40%
MKRS−HT 60%;コーティングによる表面修飾「D」
結果:
TS: 14.4
EL: 1.5
SCR: E15/E14
UL 94 V(3.2mm): V−1
LOI: 29
MFI(190/10): 2.3
注釈:
この配合物では、配合「D」に従う表面修飾を有する修飾炭化RM(MKRS−HT)のみを使用する。機械的値は標準と比較して非常に良好であり、電気的値も同様に非常に良好であり、加工性が顕著に改善される(2倍)。耐炎値も同様に改善される。該化合物は非常に多くのW&C用途に使用することができる。
【0129】
3)
配合:
EVA 35%
MR2S−NT 30%
MKRS−HT 30%
ナノクレイ 5%
MRRSとナノクレイとの混合物に表面修飾「A」を付加する。
結果:
TS: 16.6
EL: 3.41
E−Mod: 189
SCR: E15/E15
UL 94 V(3.2mm): V−0
LOI: 28
注釈:
この配合物では、表面修飾「A」を有する修飾再水和RM(MR2S−NT)と修飾炭化RM(MKRS−HT)との標的混合物、すなわち修飾炭化再水和赤泥を使用する。機械的値及び電気的値は非常に良好である。優れた比接触抵抗値が示される。耐炎性は同等のATH防炎化合物に一致する。
【0130】
4)
配合:
EVA 40%
MKRS−HT 26%
MDH 26%
ナノクレイ 5%
Flamtard S 3%
全ての非ポリマー成分に表面修飾「C」を付加する。
結果:
TS: 15
EL: 1.75
SCR: E15/E14
UL 94V(1.6mm): V−0
LOI: 49
注釈:
この配合物では、従来のOHFR充填剤(ここではMDH)との標的組合せの修飾炭化RM(MKRS−HT)を共力剤(ナノクレイ、スズ酸亜鉛)と組み合わせて使用する。機械的、電気的及びFR特徴は上述の標準と比較して優れている。
【0131】
5)
配合:
EVA 55%
MKRS−HTナノスケール 18.5%
MDH 18.5%
ナノクレイ 5%
Flamtard S 3%
非ポリマー成分に表面修飾「B」を付加する。
結果:
TS: 19.6
EL: 2.9
SCR: E15/E15
UL 94 V(1.6mm): V−0
LOI: 41
注釈:
この配合物では配合「B」に従う表面修飾を有する、配合物4)と比較して減少した量の難燃剤(ナノスケールのMKRS−HTとMDH及び共力剤(ナノクレイ及びFlamtard S)との組合せ)を使用する。それにもかかわらず、配合物4)と同等の結果が達成される。
【0132】
PVCの実施例:
0)ゼロサンプルとしての基本配合物
配合:
PVC DS 7060 24.7%
可塑剤DIOP 12.3%
ATHスーパーファインSF4 ESD 61.7%
Irgastab EZ 712 1.3%
結果:
発火時間(sec) 34
PHRR(KW/m) 118
THR(MJ/m) 50.8
比減光面積(m/kg) 116.5
防火性能指数(m s/KW) 0.3
煙パラメーター(MW/kg) 18.7
注釈:
この配合物はPVC配合物の参照標準である。
【0133】
1)
配合:
PVC DS 7060 24.7%
可塑剤DIOP 12.3%
MKRS−HT 61.7%
Irgastab EZ 712 1.3%
結果:
発火時間(sec) 69
PHRR(KW/m) 106
THR(MJ/m) 23.1
比減光面積(m/kg) 122.0
防火性能指数(m s/KW) 0.7
煙パラメーター(MW/kg) 14
注釈:
この配合物では修飾炭化RM(MKRS−HT)を使用する。耐炎値はATHベースの標準と比較して改善される。
【0134】
PPの実施例:
0)ゼロサンプルとしての基本配合物
配合:
PP 8400 35%
MDH 65%
結果:
TS: 24.3
TR: 10.8
EL: 0.021
E−Mod: [3400]:
a(n): 5.8
UL 94 V(3.2mm): V−0
MFI(230/5): 4.6
注釈:
この配合物は、プラスチック産業で認められているMDHをベースとする参照標準である。
【0135】
1)
配合:
PP 8400 35%
MKRS−HT 65%
結果:
TS: 17.5
EL: 0.23
UL 94 V(3.2mm): V−2
MFI(230/5): 1.5
注釈:
この配合物では修飾炭化RM(MKRS−HT)のみを使用する。破断点伸びはゼロサンプルと比較して改善されているが、耐炎値は本明細書で規定された値のレベルに到達しない。
【0136】
2)
配合:
PP 8400 35%
MKRS−HT 60%
Nano 5%
非ポリマー成分に表面修飾「D」を付加する。
結果:
TS: 19.1
EL: 0.56
a(n): o.Br(67)
UL 94 V(3.2mm): V−0
MFI(230/5): 6.1
注釈:
この配合物では、修飾炭化赤泥(MKRS−HT)に加えてナノクレイも共力剤として使用され、配合「D」に従う表面コーティングを使用する。機械的値及び耐炎性値は標準と一致する。加工性は大幅に改善する。
【0137】
耐炎有機臭素を有するポリプロピレンの実施例
0)ゼロサンプルとしての基本配合物
配合:
PP 8400 63%
ペンタブロモジフェニルエーテル 12%
三酸化アンチモン 5%
マイカ 20%
結果:
TS: 23.6
EL: 0.023
a(n): 15.5
UL 94 V(1.6mm): V−2
MFI(230/5): 7
注釈:
これは以下の配合物に対する比較サンプルとなるポリオレフィンFR配合物を構成する。
【0138】
1)
配合:
PP 8400 63%
ペンタブロモジフェニルエーテル 6%
三酸化アンチモン 2%
MKRS−HT 29
結果:
TS: 25.8
EL: 0.17
a(n) 破断なし(w. br.)
UL 94 V(1.6mm): V−0
MFI(230/5): 6
解説:
有機ハロゲン/三酸化アンチモン耐炎系への負荷量(パーセント)を半減し、マイカの代わりに本発明によるMKRS−HTを使用することによって、UL 94垂直に準じた燃焼試験においてV−0を達成する化合物が得られる。これに関連して、機械的値はゼロサンプルよりも大幅に良好となる。
【0139】
ポリアミドの実施例:
0)ゼロサンプルとしての基本配合物
配合:
PA B3L 45%
MDH(H−7) 55%
結果:
E−Mod: 5000
TS(TR): 58(58)
EL: 0.023
a(n): 21
UL 94(3.2mm): V−0
注釈:
PA B3LはとりわけFI保護回路等のFR用途に使用される、広く用いられている「エンジニアリングプラスチック」PAの衝撃強度修飾モデルである。この配合物は、対応するプラスチック産業において防炎ポリアミド参照標準とみなされている。
【0140】
1)
配合:
PA B3L 45%
MKRS−HT 55%
結果:
TS: 55
TR: 55
EL: 0.018
E−Mod: 4520
a(n): 19
UL 94 V(3.2mm): V−2
注釈:
この配合物では修飾炭化RM(MKRS−HT)を使用する。機械的値は標準に一致し、耐炎性値は標準よりも低い。
【0141】
2)
配合:
PA B3L 45%
MKRS−HT 55%(表面修飾Aを付与する)
結果:
TS(TR): 65(65)
EL: 0.09
E−Mod: 5600
a(n): 32
UL 94V(3.2mm): V−1;(1.6mm):n.e.
注釈:
この配合物では、修飾炭化RM(MKRS−HT)に加えて「A」を使用する。表面修飾Aはとりわけ化合物の耐炎性を極めて大幅に改善し、標準のレベルには達しないが配合物1)よりも大幅に良好である。加えて、機械的特徴も大幅に改善し、技術的に要求の厳しい用途に有用である。
【0142】
3)
配合:
PA B3L 45%
MKRS−HT 50%
ナノクレイ 5%
非ポリマー成分に表面修飾「D」を付加する。
結果:
TS: 63
TR: 63
EL: 0.29
E−Mod: 5500
a(n): 34
UL 94 V(3.2mm):V−0;(1.6mm):V−1
注釈:
この配合物では、修飾炭化赤泥(MKRS−HT)に加えて、共力剤ナノクレイ及び配合「D」に従う表面修飾を使用する。この複合配合物は優れた耐炎性をもたらし、電気部品の壁厚の低減を可能にする。この場合、機械的値は業界標準に達する。
【0143】
論考
優れた無機ハロゲンフリー防炎剤は再水和によって、また本発明によるとバイヤー法に従ってATHをボーキサイトから得る場合に廃棄物として生じる赤泥の再炭化によって得ることができる。化学的処理を行わない場合、赤泥は同様にギブサイト/ベーマイト又はゲーサイトの残渣に起因する或る特定の難燃効果、及び赤泥における他の相乗効果を示すが、全体として程度の差はあるが変動し、すなわち不確定である。規定の特徴を有する難燃剤は再水和、とりわけRMの再炭化によってのみ作製される。
【0144】
アルミニウム及び鉄の水酸化物/酸化水酸化物の含量は再水和によって増大する。これらの生成物はおよそ220℃〜350℃でその難燃作用を示す。酸化鉄及びCOへの分解によっておよそ350℃〜500℃でその難燃効果を示す炭酸Fe(II)は、とりわけ赤泥の再炭化によって作製される。
【0145】
このため、350℃〜500℃の温度範囲で作用する、すなわち高温難燃剤を構成するか、又は220℃〜350℃の温度範囲で作用する、すなわち低温域難燃剤を構成する難燃剤は、反応の特別な実行又は混合によって作製することができ、低温域及び高温域の両方をカバーし、220℃〜500℃で活性である。
【0146】
同様に特異的又は相乗的に作用する、本来は赤泥中に存在する物質、例えばケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、TiO等と合わせると、各々のポリマーに合わせた新規の費用効率の高いOHFR生成物を利用可能である。これまでに市販されている製品はATH及びMDHであり、180℃〜およそ350℃で作用する。ATHは180℃〜およそ220℃の範囲をカバーし、いわゆる「高温難燃剤」であるMDHは最大350℃の範囲をカバーする。赤泥から再水和によって、又は本発明によると再炭化によって得られる生成物は、単一の生成物によって220℃〜350℃、350℃〜500℃、すなわち220℃〜500℃の温度範囲をカバーする。
【0147】
赤泥から作製される生成物を物理的変化及び化学的変化の両方に供することができる。物理的変化は、特に平均粒径及び残留水分含量の調整と理解される。化学的変化は「可溶性NaO」(水溶性ナトリウム化合物)の割合の調整、並びに例えばオルガノシラン、有機チタン酸塩、有機アルミン酸ジルコニウム、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸誘導体、軟化剤、オリゴマー、ポリマー前駆体、ポリマー、アイオノマー、ホウ酸及びその金属塩誘導体、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛又はそれらの組合せ等の物質による表面コーティングを含む。さらに、これらの生成物は例えば有機粘土(ナノクレイ)、スズ化合物、ホウ酸、フルオロポリマー(5%未満)等の共力剤と組み合わせることができる。
【0148】
実施例では以下のポリマーを用いて試験を行った:EVA、PP、ポリアミド6及びPVC。試験はゼロサンプルであるATH、MDH及びペンタブロモフェニルエーテル/三酸化アンチモンとの比較によって実行した。MKRS−HT又はMR2S−NT/MKRS−Hを本発明による生成物として使用した。
【0149】
以下の結果を達成することができた。
【0150】
EVA
実施例で言及される配合物により、非常に良好な機械的値、優れた比接触抵抗値、及びATHを付加した化合物と同等の耐炎値をもたらす化合物が得られた。化合物は全てのW&C用途で使用することができる。
【0151】
PVC
実施例1)に示す配合物は、ATHベースの標準と比較してその耐炎値の点で改善されている。
【0152】
PP
実施例2)に示す配合物はその機械的値及び耐炎値が標準と一致している。
【0153】
耐炎有機臭素を付加するPPの場合、配合物1)ではゼロサンプルと比較すると、ペンタブロモジフェニルエーテル/酸化アンチモンの量が半減し、マイカが除外されている。この目的で、MKRS−HTを組み入れた。この配合物はより良好な機械的特徴を示し、防火UL 94垂直(VO)を達成した。
【0154】
PA
実施例3)に示す配合物は標準と一致する機械的値を達成する。耐炎性が優れている。
【0155】
このため、全体として修飾炭化赤泥(MKRS−HT)若しくは修飾再水和赤泥(MR2S−NT)、又はそれらの混合物は、例えば特別なプロセス管理又はMR2S−NT及びMKRS−HTの混合によって、これまでATH及びMDHによって包含されていた技術の生成物と一致するOHFR系を生じることを確証することができる。本発明によると、MKRS−HTを用いて高温域(350℃〜500℃)に非常に好適な更なる製品が市場に導入される。さらに、修飾によって作製される生成物MR2S−NT及び/又はMKRS−HTを組み込んだ赤泥マトリックスは、アルミニウム及び鉄の水酸化物/酸化水酸化物が作用する反応間隔が、より高い温度範囲へとシフトするようである。
【0156】
シデライト最適化MKRS−HT変形物の表面修飾は水保持の優れた挙動によって得られる。すなわち、比接触抵抗の低下はほとんど観察されない。これは無機防炎剤の驚くべき結果である。
【0157】
概して、修飾炭化及び/又は再水和赤泥、すなわちMKRS−HT又はMR2S−NT又はMKRS−HT/MR2S−NTを用いると、これまで使用されてきた製品と比較して顕著により経済的な各々のポリマーに合わせたOHFR系を発見することができ、この場合に機械的値、中でも耐炎値に関して同等の結果を達成することができることを確証することができる。これらのOHFR系を市販の製品、例えばATH、MDH、ブルーサイト又はハンタイト等と混合し、特別な効果を達成又は強調することもできる。
【0158】
さらに、本発明によると赤泥、修飾再水和及び炭化赤泥、並びにそれらの混合物を特定の用途においてバライトの代替とすることができることを確証することができる。このようにして準備された生成物は、「バライトと同等の効果」に加えて難燃効果も示す。このため二重効果が存在する。かかる用途の例は例えばフェンダーである。
【0159】
さらに、本発明によると赤泥、修飾再水和及び炭化赤泥、並びにそれらの混合物が遮音効果を有することを確証することができる。このため、それらを備える生成物は難燃効果に加えて遮音効果も示す。このため、この場合も二重効果が存在する。かかる用途の例は特に建築業に使用されるプラスチック系に対するものである。
【0160】
赤泥、修飾再水和及び炭化赤泥、並びにそれらの混合物は遮音を目的として無機材料系に添加することもできる。この場合の例は石膏プラスターボード、スクリード、コンクリート等である。重要な用途は特に建築業でのものである。
【0161】
驚くべきことに、本発明による修飾赤泥には、バライトと比較して放射能の遮蔽において及び掘削液用の比重調整材として以下に記載されている多くの利点があることが見出された。
【0162】
更なる非常に興味深い用途は、いわゆる培養土中の泥炭に代わるものとして生態学的に正しい代替物を得ることへの要求に起因するものであり、この代替物は、従来の材料の場合には恒久的な問題であり、バイオマスの成長を制限する風食(高密度!)及び脱水に対する抵抗性が高く、更には遍在する胞子により急速にカビが生えることもない。
【0163】
放射線に対する遮蔽としての修飾赤泥の使用が以下に記載されている。本発明により修飾された赤泥は、高密度であることから(掘削泥用途における比重調整材としての適用について詳述されているように更に増大することもできる)、現在バライトに見られる以外の用途にも使用することができる。文献には、鉄化合物が特に高エネルギー電離放射線の分野における遮蔽媒体として非常に効果的であることが記載されている。また、(主に工業用の沸騰水型)原子炉において、いわゆる「鉄外壁」が放射線防護の理由からバライトコンクリート製の第2のケーシング及び任意の第3「プレート」に囲まれた一次遮蔽として使用されている。欧州及び更にはアメリカ大陸のどちらにおいても既に比較的長い間、広義での(軍事、発電及び更には医療を発端とするいずれのもの)原子力産業由来の高放射性廃棄物の最終貯蔵所設計について集中的な調査が行なわれている。本件では簡略化のために、基本設計を2つにしている:
a)岩塩ドームでの貯蔵、
b)花崗岩山地での貯蔵。
【0164】
a)には、例えば岩塩ドームの上にある「石膏ドーム」を通って水の浸透が起こるとしたら、岩塩ドームは長期に亘って地質に溶け込むであろうという誤った前提がある。残念なことに、そうではない。
【0165】
変法b)でもこの危険性が存在する。結果として、地質構造事象により水の浸透が引き起こされる可能性があったとしても、水溶性であった場合に地下水へと入り込む可能性がある放射性同位体の放出、及び多孔質岩の形成により表面へと拡散する可能性がある放射性ガス(ラドン、クリプトン等)の放散を排除する見込みを高くすることができる方法について技術的に実行/実現可能な予防措置を考慮しなければならない。
【0166】
本発明による修飾赤泥は、驚くべきことにこの目的に非常に適している。以下の特性は放射線遮蔽効果に寄与するものである:
いわゆるナノクレイ(例えばモンモリロナイト)と組み合わせた複合システムであり、この複合システムは粉末混合物として若しくは粉末から押し出された成型体として使用されるか、又は水を吸収し、永続的な水の浸入に対抗し、システム全体を安定化させる貯蔵システム全体において非常に高い水圧を構築する、吸水性のいわゆる「超吸着」ポリマーシステム(すなわちポリアクリレート誘導体)において配合される;
加えて、非常に高いBET表面積が、最終貯蔵システム内の放出物質、特に放射性ガスの吸収に影響し、結果として有害な物質が(地下)水では可溶性同位体として又は更には大気中では放射性ガスとして生物圏に放出されるのを防ぐ。その結果、複数の調製システムにおいて、本発明による化合物は高放射性、及び中間レベルから低レベルの放射性の廃棄物の最終貯蔵所での充填剤として使用することを目的としている。
【0167】
修飾赤泥の使用の上述の利点に加えて、充填剤である本発明による化合物及びその調製物は、いつでも「回収可能」であり、再生可能な材料の「宝庫」として最終貯蔵所を後で使用することには何ら障害がないことも有益である。
【0168】
さらに本発明による化合物及びその調製システムは完全に再生可能であり、緊急の場合にはそれらを、ガラス固化した高放射性廃棄物の入った最終貯蔵所のケーシングから多大な費用を伴わずにいつでも分離することができる。
【0169】
さらに本発明は、電磁放射線の減衰又は遮蔽への修飾赤泥の使用に関する。
【0170】
放射線は空間内のエネルギーの自由伝搬と理解されている。この場合、粒子放射線と電磁放射線とが区別される。粒子放射線は質量を有し、光よりもゆっくりと伝搬する荷電粒子又は非荷電粒子からなる。電磁放射線は、光子放射線とも称され、周期的に変化する電場及び磁場からなる。これには可視光、紫外線及び熱放射線に加えて、X線、宇宙放射線及びγ放射線も含まれる。電磁放射線は波長、周波数及び振幅に特徴があり、真空中でのその伝搬速度量は光の速度とほぼ等しい。
【0171】
光子放射線は物質に衝突すると、吸収又は散乱によって減衰する。自然法則に従う指数関数的な放射線の減衰により、理論上放射線の範囲を無限のものとすることが可能である。この場合、減衰が高エネルギー電子の形成により起こり、次いで高エネルギー電子が他の原子と相互作用し得る(光電効果、コンプトン効果、ペアリング、従来の散乱)。
【0172】
減衰の程度は一般に、物体密度、物体に含まれる原子の原子数、及び物体層の厚さによって変わる。
【0173】
粒子放射線又は電磁放射線は、正に帯電したイオン又は分子残基が残るように原子又は分子から電子を除去することが可能であり、電離放射線とも呼ばれる。
【0174】
組織に対する電離放射線の生物学的影響は細胞における巨大分子、特にDNAの変化に基づくものである。この場合、直接的な放射線による損傷(確率的及び確定的な放射線による損傷、並びに放射線の催奇形的影響)又は間接的な放射線による損傷(損傷を与えるラジカルの形成)が起こる場合がある。高い細胞交替及び高い増速速度を有する組織が特に放射線による損傷を受けやすい。
【0175】
そのため、放射線防護はほとんどの国において法的規制の対象であり、集団及び職業上の被曝者又は被曝患者を防護するために電離放射線への接触が規制されている。
【0176】
これに関連して本発明によると、本発明による化合物が電磁放射線、特にx線及び/又はガンマ線に対する減衰効果及び/又は遮蔽効果を示すことが確認されている。
【0177】
本発明による使用の特定の有益な実施形態では、電磁放射線は特にx線又はガンマ線である。
【0178】
本発明の他の有益な実施形態では、本発明による修飾赤泥は例えば撮像医療機器において使用される。
【0179】
図10は、層の厚さd=10cmの異なる材料についてのガンマ線の減衰IO/Iのエネルギー依存を示すグラフ図である。材料1−表4による材料、材料2−炭酸鉄(II)。比較のために、SiO2を図に含めている。
【0180】
【表5】
【0181】
表4に、試験対象の材料1及び材料2、並びに参照材料SiOの組成(質量%[m%]単位)を示す。材料混合物の算出密度は最下行に示している。
【0182】
図10において、X軸は100keV〜3MeVで選択されたエネルギー範囲である。Y軸にはIM比を示しており、IM比は厚さd=10cmの吸収体に衝突するガンマ線の強度が減衰する因子を表す。200keV付近の低エネルギー範囲では、減衰が非常に大きく、SiO、材料1及び材料2ではおよそ50、50000及び500に達する。ガンマ線のエネルギーが増大するにつれて減衰は低減する。概して、材料1の遮蔽効果は他の2つの材料のものよりも大幅に良好であることを確認することができる。
【0183】
掘削泥用の比重調整材としての修飾赤泥の使用が以下に記載されている。
【0184】
現在、バライト(硫酸バリウム)が、4.2g/cmを超える密度から掘削泥の比重調整材として主に使用されている。この場合、バライトに存在する付随物質(多くの場合ストロンチウム及び水銀化合物)は批判的に見られている。これは後に掘削プロセスにおいて、掘削孔の壁から遊離させるために酸を用いて溶解することを可能にするために、バライトと比べて密度が低いにもかかわらず炭酸カルシウムを比重調整材として使用しなければならないためである。この場合に本発明による物質の利点が発揮される。本発明による化合物において最大含量の炭酸鉄(II)へと反応を導くことにより、後の掘削プロセスにおける酸を用いたCOの放出による掘削孔の遊離が特に有益となる。この場合、本発明による化合物、すなわち4.5g/cmを超える高密度の利点が保持される。結果として、第2の比重調整材として炭酸カルシウムを使用する必要がなくなる。環境適合性は本発明による化合物の生成に基づくモニタリングにより確保することができる。本発明による化合物は磁性であることから、「掘削液」から比重調整材を分離する全く新しい可能性が生じる。比較的低い温度での本発明による化合物の焼結プロセスにより、密度はおよそ3.7g/cmから4.5g/cm超へと増大する。
【0185】
本発明による修飾赤泥の比重は、ゆっくりと回転する直接加熱型又は間接加熱型の回転炉にて、非酸化雰囲気下において1時間〜2時間の経過時間、少なくとも150℃の温度〜多くとも350℃の温度に加熱することで増大する。この場合例えば、含有されるゲーサイト(比重4g/cm〜4.1g/cm)はヘマタイト(比重4.9g/cm〜5.1g/cm)へと一部又は完全に変換される。本発明による修飾赤泥の比重の増値により、掘削液システムにおけるバライトの直接置換が可能となり、本発明による化合物の粒径分布及び比表面積(BETに従うものである)は実質的に一定に保たれる。本発明による修飾赤泥の比重は3.9g/cmであり、上記のプロセスを用いて4.65g/cmへと増大した本発明による化合物の比重がマイクロメトリクスガス比重瓶を用いて求められている。掘削液用の比重調整材として一般に市販されているバライト(例えばGWE Pumpenboese GmbH、ドイツ)は、データシートによるとおよそ4.25g/cmの比重を有する。
【0186】
掘削液の充填容量はマーシュファンネルを用いてTAZとして求められている。
【0187】
AZ(フロー時間)及びRAZ(残りのフロー時間)を測定するための標準的な掘削液(1mの水+30kgのベントナイト+ポリマー+各比重調整材;密度を1.5kg/Lに調整)における比較試験において、バライトでは41秒のAZ、32秒のRAZが得られ、比重を増大させた本発明による化合物では39秒のAZ及び29秒のRAZが得られた。
【0188】
土壌類似基質としての修飾赤泥の使用が以下に記載されている。
【0189】
植物を栽培するのに現在使用されることの多い方法は多少の泥炭を含む材料の使用である。これは欧州では泥炭抽出のために枯渇寸前の泥炭地の排水が未だに行われており、一方でロシアにおいても同様の計画を実行する恐れがあるため、この湿地帯環境の保護の理由から厳しく批判されている。これらの理由から、泥炭基質の使用は持続することが不可能であり、利用可能な泥炭の量は年々否応なく低減している。世界規模で考えると、数十億トンの本発明の化合物の原材料である赤泥が言うならば廃棄物として利用可能である。
【0190】
本発明による修飾赤泥の驚くべき発見である施肥効果は上記の明細書での更なる利点を構成するものである。
【0191】
試験の説明:
(a)土壌基質
95箇所の土壌地点でのJuelicher Buerdeの土壌(サトウダイコン品質)
本発明による修飾赤泥
AOS-Stade製の(ex)赤泥、1回洗浄
Floratorfの培養土(25%泥炭を含む)
(b)プランター
貯水器を備えたEMSA製のAquaGreen 100cm
c)水
完全に脱塩した水(ミリポア品質)
d)試験植物
リーフレタス(ラクトゥカ・サティバ変種クリスパ)
ケシ(パパベル・ソムニフェラム亜種)
マルメロ(シドニア・オブロンガ)
【0192】
2011年から開始し、2013年10月までの植物試験の実施:
植物試験は、プランターへの基質の導入から開始し、基質は20cmの高さまで入れる。「満水」の表示が示されるまで、脱ミネラル水を貯水器の底に注ぐ。水を定期的に点検し、再度満たす。この場合水の添加量は満水時の高さに戻すようなものである。2つの植物ポットそれぞれに同じ植物を植え、3ヶ月毎に1つの植物を採り出し、目視検査して、生育の高さを測定する。細根の網目構造を比較評価する。リーフレタスの種を、種の入った袋に指定されているように、評価をより容易にする目的で、根の網目構造がぶつからないように15cm間隔で土壌に蒔く。次いでそれぞれに200mLの脱ミネラル水を給水する。ケシの場合、ケシの種それぞれを1cmの深さに押し込んだ後、200mLの脱ミネラル水を給水する。層状のマルメロの種も同様に各基質に15cm間隔で1cmの深さで蒔く。多年生植物であるマルメロ植物の場合、生育の高さのみを測定する。ケシは二年生植物であり、播種を前の年の晩夏に行い、育ち始めた植物を屋外にて越冬された場合に最良の結果が得られる。リーフレタスの生育期間は6ヶ月から7ヶ月である。プランターを屋外の半影下で東から南東の向きに置き、試験中は動かさなかった。各基質及び3種の植物タイプについての測定値は下記の表に見ることができる。
【0193】
結果:
本発明による化合物は3種の試験植物タイプにおいて最も適した基質であることが分かる。
【0194】
【表6】
【0195】
【表7】
【0196】
全体の印象から、サトウダイコン土壌及び修飾赤泥でのマルメロの木が、枝の数、植物の高さ及び葉の数を反映して最もバランスの良い生育を示していた。
【0197】
【表8】
【0198】
サトウダイコン土壌及び本発明による化合物上の植物が最も大きな満開の花をつけ、その色は白色からピンク色及び暗赤色、暗紫色と様々であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10