特許第6095807号(P6095807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6095807メッシュサセプタを備えるエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095807
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】メッシュサセプタを備えるエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-563166(P2015-563166)
(86)(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公表番号】特表2016-524458(P2016-524458A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】EP2015060731
(87)【国際公開番号】WO2015177046
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2015年10月23日
(31)【優先権主張番号】14169230.1
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】トーレンス ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第97/048293(WO,A1)
【文献】 特表平08−511175(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/083638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、前記エアロゾル発生システムが、エアロゾル発生装置であって、前記カートリッジが前記装置とともに使用するよう構成されており、前記装置が装置ハウジングを含むものと、前記ハウジング上またはその内部に配置されたインダクタコイルと、前記インダクタコイルに接続され、かつ高周波で振動する電流を前記インダクタコイルに供給するよう構成された電源とを備え、エアロゾル形成基質および前記エアロゾル形成基質を加熱するために配置されたメッシュサセプタ素子を備えたカートリッジハウジングを持つ前記カートリッジとを含む装置ハウジングを含み、前記エアロゾル形成基質が室温で液体であり、また前記メッシュサセプタ素子の隙間にメニスカスを形成することができる、カートリッジ。
【請求項2】
前記メッシュサセプタ素子がフェライトまたは鉄系のメッシュサセプタ素子である、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記メッシュサセプタ素子のメッシュサイズが160〜600メッシュUSである、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記メッシュサセプタ素子が複数のフィラメントを備え、各フィラメントの直径が8 μm〜100 μmであり、8 μm〜50 μmであることが好ましく、8 μm〜39 μmであることがさらに好ましい、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記メッシュサセプタ素子の相対浸透性が500〜40000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記メッシュサセプタ素子がカートリッジハウジングの開口部全体に広がる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記メッシュサセプタ素子が前記カートリッジハウジングに溶接される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記カートリッジハウジング内部に毛細管材料をさらに備え、前記毛細管材料が前記エアロゾル形成基質を保持する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記毛細管材料が前記メッシュサセプタ素子の間隙内に延びる、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
エアロゾル発生装置および請求項1に記載のカートリッジを備え、前記カートリッジが前記装置とともに使用されるよう構成され、また前記装置が、装置ハウジングと、前記ハウジング上またはその内部に配置されたインダクタコイルと、前記インダクタコイルに接続され、高周波で振動する電流を前記インダクタコイルに供給するよう構成された電源とを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記インダクタコイルがフラットスパイラルインダクタコイルである、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記コイルの直径が10mm未満である、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記インダクタコイルが使用時に前記サセプタ素子に隣接して位置する、請求項10〜12のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
使用時に前記インダクタコイルと前記サセプタ素子の間に気流チャネルがある、請求項10〜13のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記システムが手持ち式喫煙システムである、請求項10〜14に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエアロゾル形成基質を加熱することにより作動するエアロゾル発生システムに関する。特に本発明は、電源を含む装置部分と、消耗品であるエアロゾル形成基質を含む交換可能なカートリッジ部分とを備えるエアロゾル発生システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
一つのタイプのエアロゾル発生システムは電子たばこである。電子たばこは一般に、気化されてエアロゾルを形成する液体エアロゾル形成基質を使用する。電子たばこは一般に、電源と、1回分の液体エアロゾル形成基質を保持するための液体貯蔵部分と、アトマイザーとを備える。
【0003】
液体エアロゾル形成基質は使用時に枯渇状態になり、そのため補充される必要がある。液体エアロゾル形成基質の詰め替え品を供給する最も一般的な方法は、カトマイザー型のカートリッジ入りである。カトマイザーは1回分の液体基質およびアトマイザーの両方を含み、通常はエアロゾル形成基質に浸された毛細管材料の周りに巻かれた電気的に作動する抵抗ヒーターの形態である。カトマイザーを単一のユニットとして交換することはユーザーにとって便利であるという利点があり、またユーザーが掃除またはその他の方法でアトマイザーを維持しなければならないという必要性が回避される。
【0004】
しかし、現時点で入手できるカトマイザーよりも安価に製造でき堅牢性の高いエアロゾル形成基質の詰め替え品が許容されるシステムを提供できながら、なおも消費者にとって使用が簡単で便利であることが望ましい。さらに、はんだ付けされた継ぎ目の必要性がなく、清掃が簡単な密封された装置が許容されるシステムが提供されることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第一の態様では、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供されており、そのエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置を備え、そのカートリッジは装置とともに使用されるように構成されるが、ここで装置は、装置ハウジングと、ハウジング上またはその内部に配置されたインダクタコイルと、インダクタコイルに接続され、かつ高周波で振動する電流をインダクタコイルに供給するよう構成された電源と、エアロゾル形成基質およびエアロゾル形成基質を加熱するために配置されたメッシュサセプタ素子を備えたカートリッジハウジングを持つカートリッジとを含む装置ハウジングを含み、ここで、エアロゾル形成基質は室温で液体であり、またメッシュサセプタ素子の隙間にメニスカスを形成することができる。
【0006】
動作時に、高周波で振動する電流がフラットスパイラルインダクタコイルを通過して、サセプタ素子内で電圧を誘起する交番磁界を発生させる。誘起された電圧はサセプタ素子内に電流を流させ、この電流がサセプタのジュール加熱を起こし、これがエアロゾル形成基質を加熱する。サセプタ素子は強磁性であるため、サセプタ素子内のヒステリシス損失によっても有意な量の熱が発生する。気化されたエアロゾル形成基質はサセプタ素子を通過でき、その後で冷却してユーザーに送達されるエアロゾルが形成される。
【0007】
誘導性の加熱を利用したこの配列はカートリッジと装置の間に電気的な接点が一切形成される必要がないという利点を持つ。また、発熱体(この場合には、サセプタ素子)は、それ以外のいかなる構成要素にも電気的に結合されている必要がなく、はんだまたはその他の結合要素の必要性が除去される。さらに、単純で安価かつ堅牢なカートリッジの構成を可能にする装置の部品としてコイルが提供されている。カートリッジは作動に用いる装置よりもずっと大量に製造される一般に使い捨ての物品である。従って、より高価な装置を必要とする場合でも、カートリッジのコストを低減することが、製造者および消費者の両者にとって有意なコスト節約につながりうる。
【0008】
高周波で振動する電流は本明細書で使用される時、500kHz〜30MHzの周波数を持つ振動する電流を意味する。高周波で振動する電流の周波数は1〜30MHzとすることができ、1〜10 MHzであることが好ましく、5〜7 MHzであることがより好ましい。
【0009】
「サセプタ素子」は本明細書で使用される時、変動する磁場に晒された時に加熱する導体素子を意味する。これはサセプタ素子内で誘起された渦電流および/またはヒステリシス損失の結果でありうる。有利なことに、サセプタ素子はフェライト素子である。サセプタ素子の材料および幾何学的形状は望ましい電気抵抗および発熱を提供するために選択できる。
【0010】
室温で液体であり、かつメッシュサセプタ素子の間隙にメニスカスを形成するエアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質の効率的な加熱を提供する。
【0011】
メッシュサセプタ素子はフェライトメッシュサセプタ素子としうる。別の方法として、メッシュサセプタ素子は鉄系メッシュサセプタ素子でもよい。
【0012】
「メッシュ」という用語は本明細書で使用される時、その間に間隙を持つフィラメントの格子およびアレイを含み、織物および不織布を含みうる。
【0013】
メッシュは多数のフェライトまたは鉄系のフィラメントを含みうる。フィラメントはフィラメント間の間隙を画定でき、間隙の幅は10 μm〜100 μmとしうる。フィラメントは、使用時に気化されることになる液体が間隙内に引き出され、サセプタ素子と液体の間の接触面積が増えるように、間隙内に毛細管作用を引き起こさせることが好ましい。
【0014】
フィラメントは160〜600メッシュUS(+/- 10%)(すなわち、1インチ当たりのフィラメント数が160〜600個(+/- 10%))のサイズのメッシュを形成しうる。間隙の幅は75 μm〜25 μmが好ましい。メッシュの合計面積に対する間隙の面積の比であるメッシュの開口部分の面積率は25〜56%が好ましい。メッシュは異なるタイプの織物または格子の構造を使用して形成してもよい。別の方法として、フィラメントは互いに平行に並べられた一連のフィラメントで構成される。
【0015】
メッシュはまた、当該技術分野において周知の通り、液体を保持するその能力によって特性付けられうる。
【0016】
フィラメントの直径は8 μm〜100 μmとすることができ、8 μm〜50 μmであることが好ましく、8 μm〜39 μmであることがより好ましい。
【0017】
メッシュサセプタの面積は小さくてもよく、好ましくは25 mm2以下で、手持ち式のシステムに組み込むことができるようにすることが好ましい。メッシュは例えば長方形で5 mm×2 mmの寸法を持つものでもよい。
【0018】
有利なことに、サセプタ素子は1〜40000の相対浸透性を持つ。大半の加熱のために渦電流に依存することが望ましい時には低めの浸透性の材料を使用してもよく、またヒステリシス効果が望ましい時には高めの浸透性の材料を使用してもよい。材料の相対浸透性は500〜40000であることが好ましい。これにより効率的な加熱が提供される。
【0019】
サセプタ素子の材料は、そのキュリー温度を理由に選択してもよい。そのキュリー温度を超えるとヒステリシス損失がもはや発生しないため、材料はもはや強磁性ではなくなり、そのため加熱されなくなる。サセプタ素子が単一の材料でできている場合、キュリー温度はサセプタ素子が持つべき最高温度に対応しうる(すなわち、キュリー温度はサセプタ素子が加熱されるべき最高温度と等しいか、またはこの最高温度から約1〜3%だけ逸脱した温度である)。これにより、急激な過熱の可能性が低減される。
【0020】
サセプタ素子が複数の材料でできている場合、サセプタ素子の材料はさらなる態様に関して最適化できる。例えば材料は、サセプタ素子の第一の材料がサセプタ素子が加熱されるべき最高温度を超えるキュリー温度を持ちうるように選択できる。その後、サセプタ素子のこの第一の材料は、例えば最大発熱に関して最適化し、一方でエアロゾル形成基質に移動して、サセプタの効率的な加熱が提供されるようにしうる。ところが、サセプタ素子はその後、追加的にサセプタが加熱されるべき最高温度に対応するキュリー温度を持つ第二の材料を備えることができ、サセプタ素子がこのキュリー温度に達すると、サセプタ素子全体の磁性が変化する。この変化は検出されてマイクロコントローラに通信されることができ、その後、温度が再びキュリー温度よりも低い温度まで冷めるまでAC電力の発生が妨害され、冷めた後でAC電力の発生が再開される。
【0021】
サセプタ素子はカートリッジハウジング内の開口部を横切って延びるシートの形態としうる。サセプタ素子はカートリッジハウジングの周囲に沿って延びうる。メッシュサセプタ素子はカートリッジハウジングに溶接されてもよい。
【0022】
カートリッジは単純なデザインを持ちうる。カートリッジは、その内部にエアロゾル形成基質が保持されるハウジングを持つ。カートリッジハウジングは液体に対して不浸透性の材料を含む剛性のハウジングであることが好ましい。「剛性のハウジング」は本明細書で使用される時、自立型のハウジングを意味する。エアロゾル形成基質はエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基質である。揮発性化合物はエアロゾル形成基質の加熱により放出されうる。エアロゾル形成基質は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。
【0023】
エアロゾル形成基質は植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基質はたばこを含みうる。エアロゾル形成基質は加熱に伴いエアロゾル形成基質から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基質は非たばこ含有材料を含みうる。エアロゾル形成基質は均質な植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基質は均質なたばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基質は少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含んでもよい。エアロゾル形成剤は、使用において、密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にする、およびシステムの操作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は本技術で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。エアロゾル形成基質は、その他の添加物および成分(芳香成分など)を含みうる。
【0024】
エアロゾル形成基質は担体または支持体に吸着、被覆、含浸またはその他の方法で装填される場合がある。一例において、エアロゾル形成基質は毛細管材料内に保持される液体基質である。毛細管材料は繊維質または海綿状の構造を有する場合がある。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は、一般的に液体をヒーターに移動するように整列されたものとしうる。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。毛細管材料の構造は多数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体が毛細管作用によって移動できる。毛細管材料は適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は毛細管作用により毛細管材料を通過して移動できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。毛細管材料はエアロゾル形成基質をサセプタ素子に運ぶように構成されうる。毛細管材料はサセプタ素子内の間隙内に延びうる。
【0025】
サセプタ素子は、カートリッジハウジングが装置ハウジングと係合した時に、インダクタコイルに隣接して配置されるように構成されたカートリッジハウジングの壁上に提供しうる。使用時に、サセプタ素子で誘起される電圧を最大化するために、サセプタ素子をインダクタコイルに近くに配置させることが有利である。
【0026】
第二の態様では、エアロゾル発生システムが提供されており、これはエアロゾル発生装置およびカートリッジを備えるが、そのカートリッジは装置とともに使用されるように構成され、ここで装置は、装置ハウジングと、ハウジング上またはその内部に配置されたインダクタコイルと、インダクタコイルに接続され、かつ高周波で振動する電流をインダクタコイルに供給するよう構成された電源と、エアロゾル形成基質およびエアロゾル形成基質を加熱するために配置されたメッシュサセプタ素子を備えたカートリッジハウジングを持つカートリッジとを含む装置ハウジングを含み、ここで、エアロゾル形成基質は室温で液体であり、またメッシュサセプタ素子の隙間にメニスカスを形成することができる。
【0027】
メッシュサセプタ素子はフェライトメッシュサセプタ素子としうる。別の方法として、メッシュサセプタ素子は鉄系メッシュサセプタ素子でもよい。
【0028】
装置ハウジングは少なくともカートリッジの一部分を受けるためのくぼみを備え、そのくぼみは内部表面を持つ。インダクタコイルは電源に最も近いくぼみの表面上またはそれに隣接して配置しうる。インダクタコイルは、くぼみの内部表面と一致する形状としうる。
【0029】
別の方法として、インダクタコイルはカートリッジがくぼみ内に受けられる時にくぼみ内にあるようにしてもよい。一部の実施形態で、インダクタコイルはカートリッジが装置に係合した時にカートリッジの内部経路内にある。
【0030】
装置ハウジングは本体およびマウスピース部分を備えうる。くぼみは本体内とすることができ、またマウスピース部分は出口を持つことができ、システムによって生成されたエアロゾルはその出口を通してユーザーの口へと引き出される。インダクタコイルはマウスピース部分内または本体内としうる。
【0031】
別の方法として、マウスピース部分はカートリッジの部品として提供されてもよい。「マウスピース部分」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾル発生システムにより生成されたエアロゾルを直接吸い込むために、ユーザーの口に入れられる装置またはカートリッジの部分を意味する。エアロゾルはマウスピースを通してユーザーの口に運ばれる。
【0032】
システムは空気吸込み口から空気出口に延びる空気経路を備えうるが、ここで空気経路はインダクタコイルを通過する。空気の流れがシステムを通してコイルを通過できるようにすることで、コンパクトなシステムを達成できる。
【0033】
インダクタコイルは使用中のサセプタに隣接して配置しうる。カートリッジが装置のハウジング内に受けられた時、またはそれと係合した時に、気流通路をインダクタコイルとサセプタ素子の間に提供しうる。気化したエアロゾル形成基質は気流通路内の空気の流れに混入させることができ、その後、冷めてエアロゾルを形成する。
【0034】
装置は単一のインダクタコイルまたは多数のインダクタコイルを備えうる。インダクタコイル(単一または複数)は、らせんコイルまたはフラットスパイラルコイルとしうる。インダクタコイルはフェライトコアの周りに巻かれうる。「フラットスパイラルコイル」は本明細書で使用される時、一般的に平面のコイルで、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを意味する。ただし、「フラットスパイラルコイル」という用語は本明細書で使用される時、平面であるコイルのほか、曲面と一致するような形状のフラットスパイラルコイルも網羅する。フラットスパイラルコイルの使用により、堅牢でかつ製造が安価な単純なデザインを持つコンパクトな装置デザインが許容される。コイルはコイルへの付着物および潜在的な腐食を防止できるように、装置ハウジング内に保持でき、また生成されたエアロゾルに晒される必要がない。また、フラットスパイラルコイルの使用により、装置とカートリッジの間の単純な境界面が許容され、単純かつ安価なカートリッジ設計ができるようになる。
【0035】
フラットスパイラルインダクタはコイルの平面内で望ましい任意の形状を持たせることができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形形状を持つことも、一般的に長楕円形の形状を持つこともできる。
【0036】
インダクタコイルはサセプタ素子の形状と一致する形状を持ちうる。インダクタコイルは電源に最も近いくぼみの表面上またはそれに隣接して配置しうる。これにより装置内の電気的接続の量および複雑さが低減される。システムは多数のインダクタコイルを備えることも、また多数のサセプタ素子を備えることもできる。
【0037】
インダクタコイルの直径は5 mm〜10 mmとしうる。
【0038】
システムはさらに、インダクタコイルおよび電源に接続された電気回路を備えうる。電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向けICチップ(ASIC)または制御能力を持つその他の電子回路としうる。電気回路はさらなる電子構成要素を備えうる。電気回路はフラットスパイラルコイルへの電流供給を調節するよう構成しうる。電流はシステムの起動後、インダクタコイルに連続的に供給することも、毎回の吸入ごとなど断続的に供給することもできる。電気回路は有利なことにDC/ACインバータを備えることができ、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を備えうる。
【0039】
システムはハウジングの本体内に電源(一般にリチウムイオンリン酸型電池などの電源)を備えることが有利である。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置としうる。電源は再充電を要するものとすることができ、1回以上の喫煙体験のために十分なエネルギーの蓄積が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分の時間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の例で、電源は所定回数の喫煙、またはインダクタコイルの不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0040】
システムは電気的に作動する喫煙システムとしうる。システムは手持ち式のエアロゾル発生システムでもよい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを持ちうる。喫煙システムの全長は、およそ30 mm〜およそ150 mmとしうる。喫煙システムの外部直径は、およそ5 mm〜およそ30 mmとしうる。
【0041】
一つの態様に関連して説明した特徴は本開示の他の態様に適用されうる。特に、本開示の第一の態様に関連して説明した有利なまたは随意的な特徴は本発明の第二の態様に適用されうる。
【0042】
ここで本開示によるシステムの実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1はフラットスパイラルインダクタコイルを使用したエアロゾル発生システムの第一の実施形態の概略図である。
図2図2図1のカートリッジを示す。
図3図3図1のインダクタコイルを示す。
図4図4図2のカートリッジ用の代替的なサセプタ素子を示す。
図5図5はフラットスパイラルインダクタコイルを使用した第二の実施形態の概略図である。
図6図6は第三の実施形態の概略図である。
図7図7はフラットスパイラルインダクタコイルを使用した第四の実施形態の概略図である。
図8図8図7のカートリッジを示す。
図9図9図7のインダクタコイルを示す。
図10図10は第五の実施形態の概略図である。
図11図11図10のカートリッジを示す。
図12図12図10のコイルを示す。
図13図13は第六の実施形態の概略図である。
図14図14は第七の実施形態の概略図である。
図15図15Aはインダクタコイル用の高周波信号を生成するための駆動回路の第一の例である。図15Bはインダクタコイル用の高周波信号を生成するための駆動回路の第二の例である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図に示す実施形態はすべて誘導性の加熱に依存する。誘導性の加熱は時間的に変化する磁場内に加熱される導電性の物品を配置することで機能する。渦電流は導電性の物品内で誘起される。導電性の物品が電気的に孤立されている場合、渦電流は導電性の物品のジュール加熱により分散される。エアロゾル形成基質を加熱することにより動作するエアロゾル発生システムで、エアロゾル形成基質は一般に、その方法で誘導的に加熱されるのに十分な導電性をエアロゾル形成基質自体が備えているとはいえない。そのため、図に示す実施形態で、サセプタ素子は加熱される導電性の物品として使用されてから、エアロゾル形成基質がサセプタ素子によって熱伝導、熱対流および/または熱放射により加熱される。強磁性のサセプタ素子が使用されるため、熱は磁区がサセプタ素子内で切り換わる時にヒステリシス損失によっても発生する。
【0045】
説明した実施形態はそれぞれ、時間的に変化する磁場を生成するためにインダクタコイルを使用する。インダクタコイルは著しいジュール加熱を受けないように設計されている。対照的に、サセプタ素子はサセプタの著しいジュール加熱があるように設計されている。
【0046】
図1は本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略的な断面図である。システムは装置100およびカートリッジ200を備える。装置はリチウムイオンリン酸型電池102および制御電子回路104を含むメインハウジング101を備える。メインハウジング101はまた、その中にカートリッジ200を受けるくぼみ112を画定する。装置はまた、出口124を含むマウスピース部分120も含む。マウスピース部分は、この例ではヒンジによる接続でメインハウジング101に接続されているが、スナップ式装着またはねじ式取付など、任意の種類の接続を使用しうる。吸気口122は図1に示す通り、マウスピース部分が閉位置内にある時にマウスピース部分120と本体101との間に画定される。
【0047】
マウスピース部分の内部にはフラットスパイラルインダクタコイル110がある。コイル110は銅板からスパイラルコイルをスタンピングまたは切断することにより形成される。コイル110は図3で明瞭に図示されている。コイル110は入口122を通り出口124に引き出される空気がコイルを通過するように、吸気口122と空気出口124の間に位置する。
【0048】
カートリッジ200は、毛細管材料を保持し、液体エアロゾル形成基質で充填されたカートリッジハウジング204を備える。カートリッジハウジング204は流体不浸透性であるが、浸透性のサセプタ素子210により覆われた開放端を持つ。カートリッジ200は図2で明瞭に図示されている。この実施形態でのサセプタ素子はフェライト鋼を含むフェライトメッシュを備える。エアロゾル形成基質はメッシュの間隙内にメニスカスを形成できる。
【0049】
カートリッジ200が装置と係合し、くぼみ112内に受けられた時、サセプタ素子210はフラットスパイラルコイル110に隣接して位置する。カートリッジ200は装置内に逆さまに挿入できないことを確保するためにキー付きの特徴を含みうる。
【0050】
使用時に、ユーザーはマウスピース部分120で吸入して、空気を吸気口122を通してマウスピース部分120に引き出し、出口124からユーザーの口に出す。装置は制御電子回路104の部品としてマイクの形態の吸入センサー106を含む。ユーザーがマウスピース部分で吸入すると、小さな空気の流れがセンサー入口121を通り、マイク106を通過し、マウスピース部分120にまで引き出される。吸入が検出されると、制御電子回路は高周波で振動する電流をコイル110に供給する。これにより、図1で点線で示す通り、振動する磁場が生成される。また、LED 108が作動し、装置が起動されたことを示す。振動する磁場はサセプタ素子を通過し、サセプタ素子内に渦電流を誘起する。サセプタ素子は、ジュール加熱の結果として、またヒステリシス損失の結果として加熱され、そのサセプタ素子に近いエアロゾル形成基質を気化するのに十分な温度に達する。気化されたエアロゾル形成基質は吸気口から空気出口への空気の流れに混入され、ユーザーの口に入る前に冷めてマウスピース部分の内部でエアロゾルを形成する。制御電子回路は、吸入が検出されると、振動する電流をコイルに所定の持続期間(この例では5秒間)にわたり供給し、その後、新しい吸入が検出されるまで電流がオフになる。
【0051】
カートリッジが単純でかつ堅牢なデザインを持ち、市場で入手可能なカトマイザーと比較して安価に製造できることが分かる。この実施形態で、カートリッジは円形の円柱形状を持ち、サセプタ素子はカートリッジハウジングの円形の開放端を補う。ただし、その他の構成も可能である。図4はサセプタ素子がカートリッジハウジング204内の長方形の開口部を補う鋼製メッシュ220の細片である、代替的なカートリッジ設計の端面図である。
【0052】
図5は第二の実施形態を図示したものである。図5ではシステムの前部端のみが、吸入検出メカニズムを含めて図1に示すものと同一の電池および制御電子回路を使用できるものとして表示されている。図5ではフラットスパイラルコイル136が装置の本体101内のマウスピース部分120に対するくぼみの反対側の端部に位置するが、システムは本質的に同一の方法で動作する。スペーサー134はコイル136とサセプタ素子210との間に気流スペースがあることを確保する。気化されたエアロゾル形成基質はサセプタを通過する入口132から出口124への空気の流れ内に混入される。図5に示す実施形態で、一部の空気はサセプタ素子を通過することなく、入口132から出口124に流れることができる。この直接的な空気の流れはマウスピース部分で蒸気と混合され、冷却の速度が増し、エアロゾル内の最適な水滴サイズが確保される。
【0053】
図5に示す実施形態では、カートリッジは図1のカートリッジと同一のサイズおよび形状であり、同一のハウジングおよびサセプタ素子を持つ。ところが、図5のカートリッジ内の毛細管材料は図1のそれとは異なる。図5のカートリッジには別個の2つの毛細管材料202、206がある。第一の毛細管材料206のディスクが、使用中のサセプタ素子210と接触するために提供されている。第二の毛細管材料202の大きい方の本体はサセプタ素子への第一の毛細管材料206の反対側に提供されている。第一の毛細管材料および第二の毛細管材料はどちらも、液体エアロゾル形成基質を保持する。サセプタ素子と接触する第一の毛細管材料206は第二の毛細管材料202よりも高い熱分解温度(少なくとも160℃以上、例えば約250℃など)を持つ。第一の毛細管材料206は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、使用時に非常に高温になるヒーターサセプタ素子を第二の毛細管材料202から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。第一の毛細管材料全体での熱勾配は第二の毛細管材料がその熱分解温度を下回る温度に晒されるようにするためである。第二の毛細管材料202は第一の毛細管材料206への優れた芯の性能を持つものを選択でき、単位体積あたり第一の毛細管材料よりも多くの液体を保持でき、また第一の毛細管材料よりも安価なものとしうる。この例では第一の毛細管材料はガラス繊維またはガラス繊維を含む要素などの耐熱素子であり、また第二の毛細管材料は高密度ポリエチレン密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリエチレンテレフタラート(PET)などのポリマーである。
【0054】
図6は第三の実施形態を図示したものである。図6ではシステムの前部端のみが、吸入検出メカニズムを含めて図1に示すものと同一の電池および制御電子回路を使用できるものとして表示されている。第三の実施形態は、らせんコイルが使用され、カートリッジを囲んでいることを除き、第二の実施形態と類似している。図6では、らせんコイル138は、カートリッジが使用中の位置の時、装置の本体101内でマウスピース部分120に対するくぼみの反対側の端のサセプタの周りに位置する。システムは第二の実施形態と本質的に同一の方法で動作する。スペーサー134は装置とサセプタ素子210との間に気流スペースがあることを確保する。気化されたエアロゾル形成基質は空気の流れ内に混入され、空気の流れはサセプタを通過し、入口137から出口124へ流れ、気流チャネル135を通る。図5に示す実施形態の通り、一部の空気はサセプタ素子を通過することなく、入口137から出口124に流れることができる。
【0055】
図6に示す実施形態では、カートリッジは図1のカートリッジと同一のサイズおよび形状であり、同一のハウジングおよびサセプタ素子を持つ。ところが、図5で示した第二の実施形態の通り、カートリッジはサセプタが装置内のくぼみの基部内の電池の最も近くにあるように挿入される。
【0056】
図7は第四の実施形態を図示したものである。図7ではシステムの前部端のみが、吸入検出メカニズムを含めて図1に示すものと同一の電池および制御電子回路を使用できるものとして表示されている。図7ではカートリッジ240は立方体であり、カートリッジの反対側面にあるサセプタ素子242の2つの細片で形成されている。カートリッジは図8に単独で示す。装置は、カートリッジがくぼみ内に受けられている時に、サセプタ素子細片242がコイル142に隣接するように、くぼみの反対側に位置する2つのフラットスパイラルコイル142を備える。コイル142は図9に示す通り、サセプタ細片の形状に対応するように長方形である。気流通路は、ユーザーがマウスピース部分120で吸入した時に、入口144からの空気がサセプタ細片を通過し出口124に向かうように、コイル142とサセプタ細片242の間に提供されている。
【0057】
図1の実施形態に示す通り、カートリッジは毛細管材料および液体エアロゾル形成基質を含む。毛細管材料は液体基質をサセプタ素子細片242に運ぶように配列されている。
【0058】
図10は第五の実施形態の概略図である。図10ではシステムの前部端のみが、吸入検出メカニズムを含めて図1に示すものと同一の電池および制御電子回路を使用できるものとして表示されている。
【0059】
図10でカートリッジ250は円筒形で、カートリッジの中央部分の周りに延びる帯状のサセプタ素子252で形成される。帯状のサセプタ素子は剛性のカートリッジハウジング内に形成される開口部を覆う。カートリッジは図11に単独で示す。装置は、カートリッジがくぼみに受けられた時、サセプタ素子252がコイル152内になるように、くぼみの周りに位置する、らせんコイル152を備える。コイル152は図12に単独で示す。気流通路は、ユーザーがマウスピース部分120で吸入した時に、入口154からの空気がサセプタ細片を通過し出口124に向かうように、コイル152とサセプタ252の間に提供されている。
【0060】
使用時に、ユーザーはマウスピース部分120で吸入して、空気を吸気口154に通してサセプタ素子262を通過させてマウスピース部分120に引き出し、出口124からユーザーの口に出す。吸入が検出されると、制御電子回路は高周波で振動する電流をコイル152に供給する。これが振動する磁場を発生させる。振動する磁場はサセプタ素子を通過し、サセプタ素子内に渦電流を誘起する。サセプタ素子はジュール加熱およびヒステリシス損失の結果として加熱され、そのサセプタ素子に近いエアロゾル形成基質を気化するのに十分な温度に達する。気化されたエアロゾル形成基質はサセプタ素子を通過し、吸気口から空気出口への空気の流れに混入され、ユーザーの口に入る前に冷めて通路およびマウスピース部分の内部でエアロゾルを形成する。
【0061】
図13は第六の実施形態を図示したものである。図13ではシステムの前部端のみが、吸入検出メカニズムを含めて図1に示すものと同一の電池および制御電子回路を使用できるものとして表示されている。図13の装置は図7の装置と類似した構造を持ち、フラットスパイラルコイルはカートリッジが受けられるくぼみを囲むハウジングの側壁に位置する。ただし、カートリッジは異なる構造を持つ。図13のカートリッジ260は図10に示すカートリッジのそれと類似した中空の円筒形状を持つ。カートリッジは毛細管材料を含み、液体エアロゾル形成基質で充填される。カートリッジ260の内部表面、すなわち、内部通路166を囲む表面は流体浸透性のサセプタ素子、この例ではフェライトメッシュを備える。フェライトメッシュはカートリッジの内部表面全体を、またはカートリッジの内部表面の一部分のみを裏打ちしうる。
【0062】
使用時に、ユーザーはマウスピース部分120で吸入して、空気を吸気口164に通してカートリッジの中央通路に通し、サセプタ素子262を通過させマウスピース部分120に引き出し、出口124からユーザーの口に出す。吸入が検出されると、制御電子回路は高周波で振動する電流をコイル162に供給する。これが振動する磁場を発生させる。振動する磁場はサセプタ素子を通過し、サセプタ素子内に渦電流を誘起する。サセプタ素子はジュール加熱およびヒステリシス損失の結果として加熱され、そのサセプタ素子に近いエアロゾル形成基質を気化するのに十分な温度に達する。気化されたエアロゾル形成基質はサセプタ素子を通過し、吸気口から空気出口への空気の流れに混入され、ユーザーの口に入る前に冷めて通路およびマウスピース部分の内部でエアロゾルを形成する。
【0063】
図14は第七の実施形態を図示したものである。図14ではシステムの前部端のみが、吸入検出メカニズムを含めて図1に示すものと同一の電池および制御電子回路を使用できるものとして表示されている。図14に示すカートリッジ270は図13に示すものと同一である。ただし、図14の装置はカートリッジの中央通路内に延びてサセプタ素子272の近くに振動する磁場を発生させる保持用ブレード176上のインダクタコイル172を含むという、異なる構成を持つ。
【0064】
説明したすべての実施形態は本質的に同一の電子回路104により駆動されうる。図15AはクラスE電力増幅器を使用してインダクタコイルに高周波で振動する電流を供給する回路の第一の例を図示したものである。図15Aから分かる通り、回路には電界効果トランジスタ(FET)1110(例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ電界効果トランジスタ(MOSFET))、切換信号(ゲート・ソース間電圧)をFET 1110に供給するための矢印1120で示したトランジスタスイッチ供給回路、および分路コンデンサーC1、およびコンデンサーC2とインダクタコイルL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク1130を備えた、トランジスタスイッチ1100を含む、クラスE電力増幅器が含まれる。電池101を備えたDC電源はチョークL1を含み、DC供給電圧を供給する。図16Aには合計オーム負荷1140を表すオーム抵抗Rも示されており、これは記号L2の付いたインダクタコイルのオーム抵抗RCoilと、サセプタ素子のオーム抵抗RLoadの和である。
【0065】
構成要素の数が非常に少ないため、電源回路の体積は極端に小さく保つことができる。この極端に小さい体積の電源回路はLC負荷ネットワーク1130のインダクタL2がサセプタ素子との誘導結合のためのインダクタとして直接的に使用されているために可能であり、またこの体積が小さいことから、誘導性の加熱装置の全体寸法が小さく保たれうる。
【0066】
クラスE電力増幅器の概略的な動作原理は公知であり、既に言及した記事「Class-E RF Power Amplifiers(クラスE RF電力増幅器)」(Nathan O. Sokal、American Radio Relay League(ARRL)(米国コネティカット州ニューイントン)の隔月誌QEX、2001年1月/2月号、9〜20ページに公表)に詳細に説明されており、いくつかの概略的原理を以下に説明する。
【0067】
トランジスタスイッチ供給回路1120は長方形のプロフィールを持つ切換電圧(FETのゲート・ソース間電圧)をFET 1110に対して供給すると仮定する。FET 1321が導通している限り(「オン」状態)、基本的に短絡(低抵抗)を構成し、電流全体がチョークL1およびFET 1110を通過して流れる。FET 1110が非導通の時(「オフ」状態)、FET 1110は基本的に開回路(高抵抗)を表すため、電流全体がLC負荷ネットワークに流れ込む。これら2つの状態間でのトランジスタの切換は供給されるDC電圧およびDC電流をAC電圧およびAC電流に転換させる。
【0068】
サセプタ素子を効率的に加熱するために、供給されたDC電力のできるだけ多くがAC電力の形態でインダクタL2に転送され、その後でインダクタL2に誘導結合されたサセプタ素子に転送される。上記でさらに詳しく説明した通り、サセプタ素子(渦電流損失、ヒステリシス損失)内で分散される電力がサセプタ素子内で熱を発生する。言い換えれば、FET 1110での電力損失が最小化され、サセプタ素子での電力損失が最大化されなければならない。
【0069】
AC電圧/電流の一つの期間中のFET 1110での電力損失は、交流電圧/電流のその期間中の各時点でのトランジスタ電圧と電流の積をその期間全体について積分し、その期間全体について平均化したものである。その期間の一部ではFET 1110は高い電圧を持続しなければならず、またその期間の一部では高い電流を伝導しなければならないため、高い電圧と高い電流が同時に発生することは避けなければならない。これはFET 1110での著しい電力損失につながるためである。FET 1110の「オン」状態では、トランジスタ電圧はほぼゼロであり、高い電流がFETを通過して流れる。FET 1110の「オフ」状態では、トランジスタ電圧は高いが、FET 1110を通過する電流はほぼゼロである。
【0070】
また、不可避的な切換の移行は期間のいくらかの部分全体にわたる。それでもなお、FET 1110での高い電力損失を表す高い電圧・電流の積は、以下の追加的な手段によって回避できる。第一に、トランジスタを通過する電流がゼロに低下するまで、トランジスタ電圧の上昇を遅延する。第二に、トランジスタを通過する電流が増大し始める前に、トランジスタ電圧がゼロに戻る。これは分路コンデンサーC1およびコンデンサーC2とインダクタL2の直列接続を含む負荷ネットワーク1130によって達成されるが、この負荷ネットワークはFET 1110と負荷1140の間のネットワークである。第三に、ターンオン時のトランジスタ電圧は事実上ゼロである(バイポーラジャンクショントランジスタ「BJT」については、飽和オフセット電圧Vo)。ターンオントランジスタは充電された分流コンデンサーC1を放電せず、そのため分流コンデンサーの蓄積エネルギーの分散が回避される。第四に、ターンオン時のトランジスタ電圧の勾配はゼロである。次に、負荷ネットワークによってターンオントランジスタに注入される電流は制御された適度なレートでゼロから滑らかに増大し、その結果として電力損失が低くなり、その一方、トランジスタのコンダクタンスはターンオン移行時にゼロから高まる。その結果、トランジスタの電圧および電流が同時に高くなることは決してない。電圧および電流の切換の移行は相互に時間がずらされている。L1、C1およびC2の値はサセプタ素子内での電力の効率的な分散が最大となるように選択できる。
【0071】
本開示によるほとんどのシステムでクラスE電力増幅器が好ましいが、その他の回路構造を使用することも可能である。図15BはクラスD電力増幅器を使用してインダクタコイルに高周波で振動する電流を供給する回路の第二の例を図示したものである。図15Bの回路は2つのトランジスタ1210、1212に接続された電池101を備える。2つのトランジスタ1210、1212のオン・オフを切り換えるための2つの切換要素1220、1222が提供されている。スイッチは、2つのトランジスタのうちもう一方がオンになっている時に、2つのトランジスタ1210、1212のうちの一方が確実にオフになるような方法で高周波で制御される。インダクタコイルはここでもL2で表示され、コイルとサセプタ素子の合計オーム抵抗はRで表示され、C1およびC2の値はサセプタ素子内での電力の効率的な分散が最大となるように選択できる。
【0072】
サセプタ素子はサセプタ素子が加熱されるべき望ましい温度に近いキュリー温度を持つ材料または材料の組み合わせで製造できる。サセプタ素子の温度がこのキュリー温度を超えると、材料は強磁性から常磁性に変化する。従って、常磁性を持つ材料のヒステリシス損失は強磁性を持つ材料のそれよりもずっと低いため、サセプタ素子内のエネルギー分散は著しく低減される。サセプタ素子内でのこの電力損失の低減は検出可能であり、またそのため、例えば、DC/ACインバータによるAC電力の発生は、サセプタ素子がキュリー温度を再び下回るまで冷却され、再び強磁性となるまで中断されうる。その後で、DC/ACインバータによるAC電力の発生が再開されうる。
【0073】
当該技術分野において通常の技量を持つ者であれば、本開示によるサセプタ素子を組み込んだその他のカートリッジ設計を思い付くことができる。例えば、カートリッジはマウスピース部分を含んでもよく、望ましい任意の形状を持つものでよい。その上、本開示によるコイルおよびサセプタの配列は既に説明したその他のタイプのシステムで使用することができ、これには加湿器、エアフレッシュナー、およびその他のエアロゾル発生システムなどがある。
【0074】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B