【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる家具の壁取付け構造を提案するものであって、本発明に係る家具の壁取付け構造は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、壁面(16a)に取り付けられる背板(4a,4b)と、この背板(4a,4b)の正面側に板材取付
け具を介して取り付けられる板材(左右両側板(2a,2b)、中間仕切り板(5))を備え、前記
板材取付け具が、ジョイントピン(11)と、このジョイントピン(11)の先端頭部(11c)に係合
して、回転操作により当該ジョイントピン(11)を引き込む回転ジョイント金具(23)とから
成り、前記ジョイントピン(11)は、前記背板(4a,4b)の正面側に突設され、前記板材には
、その側面に、回転ジョイント金具(23)が回転自在に嵌合する回転ジョイント金具嵌合孔
(22)と、前記背板(4a,4b)に当接する端面から前記回転ジョイント金具嵌合孔(22)に至る
ジョイントピン挿入孔(20)が設けられた家具の壁取付け構造において、前記ジョイントピ
ン(11)は、前記背板(4a,4b)と壁面(16a)との間に挟まれた状態で壁面(16a)に取付けネジ(
19)により固定される取付け用基板(10)から突設されて、前記背板(4a,4b)に設けられた貫
通孔(を通って背板の正面側に突出する構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
前記本発明の構成によれば、背板は取付けネジにより直接壁面に取り付けられるのではなく、壁面にネジ止めされる板材取付け具の取付け用基板と、家具の左右両側板などの板材との間で、挟み付けられて固定される。そして前記板材取付け具のジョイントピンは、背板に直接ネジ止めされない。即ち、背板には、壁面への取付け強度やジョイントピンのネジ止め強度を高めるために、板厚を厚くする必要が無くなり、ベニヤ板のような薄板を活用してコストを下げることが出来る。勿論、壁面にネジ止めされる前記板材取付け具の取付け用基板からジョイントピンが突設されていることと、そのジョイントピンが背板を貫通していることによって、壁面に対する背板の固定位置や、この背板に対するジョイントピンの取付け位置が不安定になることが無く、精度良く家具を組み立てると同時に壁面に取り付けることが出来る。更に、ネジ止め作業としては、壁面に対する前記板材取付け具の取付け用基板の取付けのみとなり、作業能率を大幅に高めることが出来る。
【0007】
上記本発明を実施する場合、前記取付け用基板(10)には、前記ジョイントピン(11)と平
行に突設されて、前記背板に設けられた貫通孔(14)を通って背板(4a,4b)の正面側に突出
する筒状柱状体(12)を設け、前記取付けネジ(19)は、前記筒状柱状体(12)の中央貫通孔(1
2a)を貫通して壁面(16a)側に螺入させるようにし、前記板材には、前記ジョイントピン挿
入孔(20)と平行に、前記筒状柱状体(12)が嵌め込まれる筒状柱状体嵌入孔(21)を設けてお
くことが出来る。この構成によれば、背板の背面側で前記取付け用基板を壁面にネジ止めしなければならない場合と比較して、前記取付け用基板を薄くしても十分な取付け強度を得ることが出来るだけでなく、前記取付け用基板から突設された筒状柱状体とジョイントピンの2本を背板に貫通させて、背板に対する前記取付け用基板の位置と向きを確定させた状態で、背板の外側から、背板の内側の前記取付け用基板を壁面にネジ止めすることが出来る。従って、前記取付け用基板を壁面にネジ止めした後に、背板を前記取付け用基板の外側に、背板のジョイントピン挿入孔に前記取付け用基板から突出するジョイントピンが嵌まり込むように配置しなければならない場合と比較して、作業を容易且つ能率的に行える。
【0008】
又、前記取付け用基板(10)は、前記ジョイントピン(11)が突設された一端部(10a)より
も肉厚の他端部(10b)を備えた構造とし、この肉厚他端部(10b)が前記取付けネジ(19)によ
って壁面に取付けられるように構成するのが望ましい。この構成によれば、前記取付け用基板を、全域にわたって同一厚さの板材から構成している場合と比較して、ジョイントピンが突設された一端部が、壁面又は背板の少なくとも何れか一方に対して遠近方向に撓み変形出来るので、壁面の平滑精度がある程度悪くとも、背板を垂直平面に沿うように確実強固に固定することが出来る。
【0009】
又、前記背板(4a,4b)と壁面(16a)との間には、前記取付け用基板(10)の最大厚さより薄
くない厚さの背板支持部材(15)を挟んでおくことが出来る。この背板支持部材としては、
前記取付け用基板の最大厚さより少し厚めの弾性材(例えばスポンジ材)を使用するのが好ましい。又、板材取付け具の取付け用基板が当接する部分を除く背板のほぼ全面にシート状の背板支持部材を配置することも出来るが、適当巾の帯状の背板支持部材を使用し、この帯状の背板支持部材を、板材取付け具の取付け用基板が当接する背板の側辺や、背板の両側辺間の中間適当位置に配置することが出来る。何れにしても背板支持部材は、背板の背面に粘着テープなどにより予め貼付しておくのが望ましい。
【0010】
更に、壁面に取り付けられる家具の左右横巾が大きくて、棚板が架設される収納空間を中間仕切り板により左右に二分する必要のある家具の場合には、前記背板(4a,4b)は、左
右2枚が互いに隣接する状態で、各背板(4a,4b)の左右両側辺が前記板材取付け具によって
壁面に取り付けられ、各背板(4a,4b)の外側辺に位置する前記板材取付け具によって、家
具の左右両側板(2a,2b)が取り付けられ、各背板(4a,4b)の互いに隣接する内側辺に位置す
る前記板材取付け具は、上下方向に位置がずらされてジグザグ状に配置されると共に、この両背板(4a,4b)の内側辺にジグザグ状に位置する前記板材取付け具によって、板厚の厚
い1枚の中間仕切り板(5)が取り付けられる構成とするのが望ましい。この構成によれば、使用時の荷重負担が大きくなるために板厚が厚くなる中間仕切り板を、2枚の背板の互いに隣接する内側辺に配置された前記板材取付け具によって、両背板の内側辺それぞれと共に、強固に固定することが出来るのであるが、2枚の背板の互いに隣接する内側辺に配置された前記板材取付け具が互いに左右横方向に隣接している場合と比較して、中間仕切り板の板厚を必要最小限に抑えることが出来る。