特許第6095811号(P6095811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6095811
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】家具の壁取付け構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 55/00 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A47B55/00
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-20368(P2016-20368)
(22)【出願日】2016年2月5日
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】710010906
【氏名又は名称】アクシス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 尚義
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−230439(JP,A)
【文献】 特開昭62−074306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00−55/06
A47B 96/06
A47B 47/00−47/05
E04F 19/08
F16B 12/00−12/60
F16B 5/00− 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる背板と、この背板の正面側に板材取付け具を介して取り付けられる板材を備え、前記板材取付け具が、ジョイントピンと、このジョイントピンの先端頭部に係合して、回転操作により当該ジョイントピンを引き込む回転ジョイント金具とから成り、前記ジョイントピンは、前記背板の正面側に突設され、前記板材には、その側面に、回転ジョイント金具が回転自在に嵌合する回転ジョイント金具嵌合孔と、前記背板に当接する端面から前記回転ジョイント金具嵌合孔に至るジョイントピン挿入孔が設けられた家具の壁取付け構造において、前記ジョイントピンは、前記背板と壁面との間に挟まれた状態で壁面に取付けネジにより固定される取付け用基板から突設されて、前記背板に設けられた貫通孔を通って背板の正面側に突出している、家具の壁取付け構造。
【請求項2】
前記取付け用基板には、前記ジョイントピンと平行に突設されて、前記背板に設けられた貫通孔を通って背板の正面側に突出する筒状柱状体が設けられ、前記取付けネジは、前記筒状柱状体の中央貫通孔を貫通して壁面側に螺入され、前記板材には、前記ジョイントピン挿入孔と平行に、前記筒状柱状体が嵌め込まれる筒状柱状体嵌入孔が設けられている、請求項1に記載の家具の壁取付け構造。
【請求項3】
前記取付け用基板は、前記ジョイントピンが突設された一端部よりも肉厚の他端部を備え、この肉厚他端部が前記取付けネジによって壁面に取付けられる、請求項1又は2に記載の家具の壁取付け構造。
【請求項4】
前記背板と壁面との間には、前記取付け用基板の最大厚さより薄くない厚さの背板支持部材が挟まれている、請求項1〜3の何れか1項に記載の家具の壁取付け構造。
【請求項5】
前記背板は、左右2枚が互いに隣接する状態で、各背板の左右両側辺が前記板材取付け具によって壁面に取り付けられ、各背板の外側辺に位置する前記板材取付け具によって、家具の左右両側板が取り付けられ、各背板の互いに隣接する内側辺に位置する前記板材取付け具は、上下方向に位置がずらされてジグザグ状に配置されると共に、この両背板の内側辺にジグザグ状に位置する前記板材取付け具によって、板厚の厚い1枚の中間仕切り板が取り付けられている、請求項1〜4の何れか1項に記載の家具の壁取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面にネジ止めされた背板の正面側に、例えば左右両側板などを取り付けて成る家具の壁取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面にネジ止めされた背板の正面側に取り付けられる左右両側板などを有する家具としては、例えば特許文献1に記載のような、床面から一定高さに取り付けられる小型の収納家具から、家具の下端が床面に接する大型の収納家具まで、各種の物が知られている。このような家具では、複数本の取付けネジによって壁面所定位置に取り付けられた背板に左右両側板などを取り付ける手段として、ジョイントピンと、このジョイントピンの先端頭部に係合して、回転操作により当該ジョイントピンを引き込む回転ジョイント金具とから成る板材取付け具が使用される。この板材取付け具の前記ジョイントピンは、前記背板の正面側に突設され、前記左右両側板などには、その側面に、回転ジョイント金具が回転自在に嵌合する回転ジョイント金具嵌合孔と、前記背板に当接する端面から前記回転ジョイント金具嵌合孔に至るジョイントピン挿入孔が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−223470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような従来の家具の壁取付け構造では、背板を取付けネジにより直接壁面に固定しなければならないことと、この背板に板材取付け具のジョイントピンを直接ネジ止めしなければならないことによって、背板として、家具を構成する左右両側板などの板材と少なくとも同程度の板厚のある板材を使用しなければならない。即ち、家具完成後は、当該家具の収納空間の内側面となるだけの背板でありながら、この背板を、一般的な据置き型の家具のように、薄いベニヤ板のようなもので構成することが出来ず、コスト高になっていた。又、壁面への背板の取付け手間と、背板へのジョイントピンの取付け手間とが必要であり、家具の壁取付けを能率的に行うことが出来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる家具の壁取付け構造を提案するものであって、本発明に係る家具の壁取付け構造は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、壁面(16a)に取り付けられる背板(4a,4b)と、この背板(4a,4b)の正面側に板材取付
け具を介して取り付けられる板材(左右両側板(2a,2b)、中間仕切り板(5))を備え、前記
板材取付け具が、ジョイントピン(11)と、このジョイントピン(11)の先端頭部(11c)に係合
して、回転操作により当該ジョイントピン(11)を引き込む回転ジョイント金具(23)とから
成り、前記ジョイントピン(11)は、前記背板(4a,4b)の正面側に突設され、前記板材には
、その側面に、回転ジョイント金具(23)が回転自在に嵌合する回転ジョイント金具嵌合孔
(22)と、前記背板(4a,4b)に当接する端面から前記回転ジョイント金具嵌合孔(22)に至る
ジョイントピン挿入孔(20)が設けられた家具の壁取付け構造において、前記ジョイントピ
ン(11)は、前記背板(4a,4b)と壁面(16a)との間に挟まれた状態で壁面(16a)に取付けネジ(
19)により固定される取付け用基板(10)から突設されて、前記背板(4a,4b)に設けられた貫
通孔(を通って背板の正面側に突出する構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
前記本発明の構成によれば、背板は取付けネジにより直接壁面に取り付けられるのではなく、壁面にネジ止めされる板材取付け具の取付け用基板と、家具の左右両側板などの板材との間で、挟み付けられて固定される。そして前記板材取付け具のジョイントピンは、背板に直接ネジ止めされない。即ち、背板には、壁面への取付け強度やジョイントピンのネジ止め強度を高めるために、板厚を厚くする必要が無くなり、ベニヤ板のような薄板を活用してコストを下げることが出来る。勿論、壁面にネジ止めされる前記板材取付け具の取付け用基板からジョイントピンが突設されていることと、そのジョイントピンが背板を貫通していることによって、壁面に対する背板の固定位置や、この背板に対するジョイントピンの取付け位置が不安定になることが無く、精度良く家具を組み立てると同時に壁面に取り付けることが出来る。更に、ネジ止め作業としては、壁面に対する前記板材取付け具の取付け用基板の取付けのみとなり、作業能率を大幅に高めることが出来る。
【0007】
上記本発明を実施する場合、前記取付け用基板(10)には、前記ジョイントピン(11)と平
行に突設されて、前記背板に設けられた貫通孔(14)を通って背板(4a,4b)の正面側に突出
する筒状柱状体(12)を設け、前記取付けネジ(19)は、前記筒状柱状体(12)の中央貫通孔(1
2a)を貫通して壁面(16a)側に螺入させるようにし、前記板材には、前記ジョイントピン挿
入孔(20)と平行に、前記筒状柱状体(12)が嵌め込まれる筒状柱状体嵌入孔(21)を設けてお
くことが出来る。この構成によれば、背板の背面側で前記取付け用基板を壁面にネジ止めしなければならない場合と比較して、前記取付け用基板を薄くしても十分な取付け強度を得ることが出来るだけでなく、前記取付け用基板から突設された筒状柱状体とジョイントピンの2本を背板に貫通させて、背板に対する前記取付け用基板の位置と向きを確定させた状態で、背板の外側から、背板の内側の前記取付け用基板を壁面にネジ止めすることが出来る。従って、前記取付け用基板を壁面にネジ止めした後に、背板を前記取付け用基板の外側に、背板のジョイントピン挿入孔に前記取付け用基板から突出するジョイントピンが嵌まり込むように配置しなければならない場合と比較して、作業を容易且つ能率的に行える。
【0008】
又、前記取付け用基板(10)は、前記ジョイントピン(11)が突設された一端部(10a)より
も肉厚の他端部(10b)を備えた構造とし、この肉厚他端部(10b)が前記取付けネジ(19)によ
って壁面に取付けられるように構成するのが望ましい。この構成によれば、前記取付け用基板を、全域にわたって同一厚さの板材から構成している場合と比較して、ジョイントピンが突設された一端部が、壁面又は背板の少なくとも何れか一方に対して遠近方向に撓み変形出来るので、壁面の平滑精度がある程度悪くとも、背板を垂直平面に沿うように確実強固に固定することが出来る。
【0009】
又、前記背板(4a,4b)と壁面(16a)との間には、前記取付け用基板(10)の最大厚さより薄
くない厚さの背板支持部材(15)を挟んでおくことが出来る。この背板支持部材としては、
前記取付け用基板の最大厚さより少し厚めの弾性材(例えばスポンジ材)を使用するのが好ましい。又、板材取付け具の取付け用基板が当接する部分を除く背板のほぼ全面にシート状の背板支持部材を配置することも出来るが、適当巾の帯状の背板支持部材を使用し、この帯状の背板支持部材を、板材取付け具の取付け用基板が当接する背板の側辺や、背板の両側辺間の中間適当位置に配置することが出来る。何れにしても背板支持部材は、背板の背面に粘着テープなどにより予め貼付しておくのが望ましい。
【0010】
更に、壁面に取り付けられる家具の左右横巾が大きくて、棚板が架設される収納空間を中間仕切り板により左右に二分する必要のある家具の場合には、前記背板(4a,4b)は、左
右2枚が互いに隣接する状態で、各背板(4a,4b)の左右両側辺が前記板材取付け具によって
壁面に取り付けられ、各背板(4a,4b)の外側辺に位置する前記板材取付け具によって、家
具の左右両側板(2a,2b)が取り付けられ、各背板(4a,4b)の互いに隣接する内側辺に位置す
る前記板材取付け具は、上下方向に位置がずらされてジグザグ状に配置されると共に、この両背板(4a,4b)の内側辺にジグザグ状に位置する前記板材取付け具によって、板厚の厚
い1枚の中間仕切り板(5)が取り付けられる構成とするのが望ましい。この構成によれば、使用時の荷重負担が大きくなるために板厚が厚くなる中間仕切り板を、2枚の背板の互いに隣接する内側辺に配置された前記板材取付け具によって、両背板の内側辺それぞれと共に、強固に固定することが出来るのであるが、2枚の背板の互いに隣接する内側辺に配置された前記板材取付け具が互いに左右横方向に隣接している場合と比較して、中間仕切り板の板厚を必要最小限に抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、壁付け家具の一例を示す斜視図、図1Bは、同壁付け家具の開閉扉を省いた正面図、図1Cは、同壁付け家具の縦断側面図である。
図2図2は、本発明の実施例において使用される板材取付け具の斜視図である。
図3図3Aは、同上板材取付け具の平面図、図3Bは、同上板材取付け具の左側面図、図3Cは、同上板材取付け具の正面図、図3Dは、図3AのX-X線断面図、図3Eは、図3CのY−Y線断面図である。
図4図4は、本発明の実施例において使用される左右2枚の背板の背面図である。
図5図5Aは、前記背板の1か所の板材取付け具配置箇所を示す拡大正面図、図5Bは、図5Aの縦断側面図である。
図6図6は、背板に対する左側板上部の取付け構造を示す縦断右側面図である。
図7図7は、背板に対する左右両側板と中間仕切り板の取付け構造を示す要部の横断平面図である。
図8図8は、背板の外側辺に対する側板の取付け手順の第一段階を示す要部の横断平面図である。
図9図9Aは、同上第二段階を示す要部の横断平面図、図9Bは、同上第三段階を示す要部の横断平面図である。
図10図10は、背板の外側辺に対する側板の取付け完了時の状態を示す要部の縦断側面図である。
図11図11Aは、右側背板の内側辺に取り付けられた板材取付け具を示す要部の横断平面図、図11Bは、左側背板の内側辺に取り付けられた板材取付け具を示す要部の横断平面図、図11Cは、左側背板の内側辺に取り付けられる中間仕切り板の筒状柱状体嵌入孔を示す要部の横断平面図、図11Dは、左側背板の内側辺に取り付けられる中間仕切り板の筒状柱状体嵌入孔と回転ジョイント金具を示す要部の横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す壁付け収納家具1は、左右両側板2a,2bと天井板3、これらによって囲まれた収納空間の背面を閉じる左右2枚の背板4a,4b、左右両側板2a,2b間に架設され且つ中央を中間仕切り板5によって支持される固定棚板6、左右両側板2a,2bと中間仕切り板5との間に高さ変更自在に架設される複数枚の可動棚板7、及び前記収納空間の正面側を開閉自在に閉じる左右一対の折れ戸8a,8bから構成されている。各折れ戸8a,8bは従来周知のものであるから、構造の説明は省略する。
【0013】
本発明は、上記のような壁付け収納家具1における背板4a,4bの壁面への取付けと、この背板4a,4bの左右両外側辺の正面側に対する左右両側板2a,2bの取付け、及び背板4a,4bの互いに隣接する左右両内側辺の正面側に対する中間仕切り板5の取付けに適用されている。天井板3や固定棚板6、及び各可動棚板7の取付け構造としては、従来周知の取付け構造が適用されるので、説明は省略する。
【0014】
図2及び図3は、本発明の実施例において使用される板材取付け具の、背板側に取り付けられるユニット9を示している。このユニット9は、長方形状の取付け用基板10と、この取付け用基板10の一端部の表面上に当該取付け用基板10と一体に突設したジョイントピン11、及び取付け用基板10の他端部の表面上に当該取付け用基板10と一体に突設した筒状柱状体12から構成されている。取付け用基板10は、その平坦な表面上の長手方向に沿った中心線上にジョイントピン11と筒状柱状体12が突設されており、ジョイントピン11が先端近傍に突設されている矩形の一端側大領域10aの底面は、筒状柱状体12が中央位置に突設されている矩形の他端側小領域10bの底面に対して平坦な表面側に凹入して、一端側大領域10aの板厚が他端側小領域10bの板厚よりも薄くなっている。筒状柱状体12の中央貫通孔12aは、この筒状柱状体12の先端面から取付け用基板10の底面にわたって貫通するもので、筒状柱状体12の先端面側の開口端は、使用される取付けネジの皿形頭部が入り込むように、円錐状に座ぐりされている。
【0015】
ジョイントピン11は、大径円柱状部11aの先端に、細くなった首部11bを介して、大径円柱状部11aと略同一径の頭部11cが形成されたもので、前記首部11bは、一般に知られている家具組立て用ジョイントのジョイントピンが有する首部、即ち、大径円柱状部11aと同心状の小径円柱状首部ではなく、図3Eに示すように横断面形状が、大径円柱状部11aの軸心位置から、当該大径円柱状部11aの筒状柱状体12のある側の周面位置に達する、横長形状となっている。これは、使用状態におけるジョイントピン12の軸方向から見たときの向きが一定になるところから、使用時に支障のない方向に横長の横断面形状にして、強度を高めるためである。尚、肉厚になっている他端側小領域10bには、その底面側に切欠凹部を形成して、材料節減と、成形時の歪発生を抑えている。
【0016】
2枚の背板4a,4bは、ベニヤ板などの薄板から成るもので、図4に示すように、その左右両側辺には、上記板材取付け具のユニット9が配置される。具体的には、両背板4a,4bの互いに隣接する内側辺に対して反対側の外側辺には、その上下端位置と中間等間隔の複数位置(図示例では夫々5か所)に前記ユニット9が配置され、両背板4a,4bの互いに隣接する内側辺には、図1に示した固定棚板6の取付け高さの直下の位置と下端位置、及びこの上下両位置間の等間隔の偶数位置(図示例では2か所で、合計4か所)に配置される前記ユニット9を、上下両端のユニット9が各背板4a,4bに振り分けられるように、左右交互ジグザグ状に配置される。この背板4a,4bの各ユニット配置位置には、ジョイントピン11が背板4a,4bの背面側から挿通される貫通孔13と、筒状柱状体12が背板4a,4bの背面側から挿通される貫通孔14とが、これら両孔を結ぶ方向が背板4a,4bの左右両側辺と平行になるように穿設されている。又、図示例では、ジョイント11が挿通される貫通孔13の下側に筒状柱状体12が挿通される貫通孔14が位置しているが、逆であっても良い。
【0017】
図1及び図5Aの仮想線で示すように、左右両側板2a,2bは、背板4a,4bの左右両外側辺の正面側に後側端面が重なるように、そして左右両側板2a,2bから外側に背板4a,4bの左右両外側辺が突出しないように、取り付けられるものであり、左右両側板2a,2bよりも板厚の厚い中間仕切り板5は、その板厚の中心が背板4a,4bの互いに隣接する内側辺と一致するように、背板4a,4bの左右両内側辺の正面側に後側端面が重なるように取り付けられるものである。従って、背板4a,4bの左右両外側辺の貫通孔13,14は、上記のように取り付けられる左右両側板2a,2bの板厚内で、当該板厚の中心位置より内側(中間仕切り板5のある側)に寄った位置に穿設されており、背板4a,4bの互いに隣接する左右両内側辺の貫通孔13,14の内、背板4a側の貫通孔13,14は、上記のように取り付けられる中間仕切り板5の後側端面の背板4a側の半分の領域内に位置するように穿設され、背板4b側の貫通孔13,14は、上記のように取り付けられる中間仕切り板5の後側端面の背板4b側の半分の領域内に位置するように穿設されている。
【0018】
上記のように配置される各ユニット9は、ジョイントピン11を貫通孔13に挿通させると共に筒状柱状体12を貫通孔14に挿通させるように、取付け用基板10を背板4a,4bの背面に当接させるが、この状態で背板4a,4bを容易に取り扱えるように、取付け用基板10を両面粘着テープなどにより背板4a,4bの背面に固定するか又は、筒状柱状体12を、取付け用基板10側の端部直径より先端部直径を若干小さくすると共に、貫通孔14の内径を、筒状柱状体12の取付け用基板10側の端部直径と同一か又は若干小さくして、この貫通孔14に筒状柱状体12を圧入したときの貫通孔14と筒状柱状体12との間の摩擦抵抗により、ユニット9が背板4a,4b固定されるように構成するのが望ましい。
【0019】
上記のように各背板4a,4bの背面側にユニット9を配置したとき、各背板4a,4bの背面より取付け用基板10が突出しているので、図4に示すように、背板4a,4bの背面に対する取付け用基板10の最大突出量、即ち、取付け用基板10の他端側小領域10bの厚さより薄くない、適当巾の帯状背板支持部材15を、各背板4a,4bの背面周囲や中間適当箇所に、ユニット9の取付け用基板10を避けて貼付している。この帯状背板支持部材15として、スポンジ材などの適度の弾性のある弾性材製のものを使用するときは、その厚さは、取付け用基板10の他端側小領域10bの厚さより厚くして、背板取付け時に圧縮されるように構成するのが望ましい。尚、図4及び図5Aの仮想線で示すように、背板4a,4bの互いに隣接する内側辺に配置されるユニット9の取付け用基板10は、両側の背板4a,4bに跨ることになるので、これら背板4a,4bの内側辺の背面に貼付される帯状背板支持部材15を、両方とも、ユニット9の取付け用基板10の位置で分断している。しかしながら、取付け用基板10の巾や帯状背板支持部材15の貼付位置によっては、取付け用基板10の側辺に帯状背板支持部材15が重なる状況になるのを無くすことが出来るので、このように構成して、背板4a(又は背板4b)に貼付される帯状背板支持部材15は、同じ背板4a(又は背板4b)に配置されるユニット9の取付け用基板10のみを避けるように分断させることが出来る。
【0020】
壁付け収納家具1を床面上に設置する場所には、図6及び図7に示すように、当該壁付け収納家具1が丁度嵌まり込む大きさの凹入空間が、背面壁16、左右両側壁17a,17b、及び天井壁18によって形成されているので、以上のように、所定位置にユニット9を配置すると共に背面の所定の箇所に帯状背板支持部材15を貼付した背板4a,4bは、その2枚を左右横方向に互いに隣接させて、背面壁16の壁面16aに張り付けるように配置する。この結果、全てのユニット9の取付け用基板10は、壁面16aと背板4a,4bとの間に挟み付けられるので、この状態で背板4a,4bの表面側に突出している各ユニット9の筒状柱状体12の中央貫通孔12aをガイドにして取付けネジ19を壁面16aに打ち込むことにより、背板4a,4bを背面壁16の壁面16aに固着する。尚、背面壁16の壁面16aは石膏ボード16bによって形成されており、取付けネジ19が打ち込まれる箇所の石膏ボード16bの裏側には、適当厚さの合板16cが配置され、取付けネジ19は、この合板16cを貫通し得る程度の長さを有する。
【0021】
上記のように背板4a,4bを背面壁16の壁面16aに固着したならば、左右両側板2a,2bと中間仕切り板5を取り付ける。図8図10に示すように、左右両側板2a,2bには、背板4a,4bの左右両外側辺から突出している各ユニット9のジョイントピン11が挿入されるジョイントピン挿入孔20と、筒状柱状体12が嵌まり込む筒状柱状体嵌入孔21とが、後側端面から水平に刻設され、ジョイントピン挿入孔20の内端には、回転ジョイント金具嵌合孔22が、ジョイントピン挿入孔20と連通するように、左右両側板2a,2bの内側面(中間仕切り板5に対面する側面)から刻設され、この回転ジョイント金具嵌合孔22内に回転ジョイント金具23が自転可能に嵌合せしめられている。この回転ジョイント金具23は、従来周知のものであって、左右両側板2a,2bの内側からドライバーなどにより回転操作出来るものであって、ジョイントピン挿入孔20からこの回転ジョイント金具23内にジョイントピン11の頭部11cが入り込んだ状態でこの回転ジョイント金具23を所定の方向に回転操作することにより、頭部11cを介してジョイントピン11を引き込むカムを内蔵している。
【0022】
尚、この実施例の左右両側板2a,2bは、図7に示すように、左右両側壁17a,17bの壁面から突出する突条部17c,17dに内側から横向きに嵌合する嵌合部を備えるものであるから、この左右両側板2a,2bは、図8に示すように、その後側端面を背板4a,4bの表面に当接させた状態で横方向にスライドさせて、背板4a,4bの外側辺位置に配置するようになっている。従って、この左右両側板2a,2bの後側端面から穿設された前記ジョイントピン挿入孔20と筒状柱状体嵌入孔21には、図8に示すように、これらジョイントピン挿入孔20と筒状柱状体嵌入孔21から水平横向きに連設されて、左右両側板2a,2bの外側面(中間仕切り板5に対面する側とは反対側の側面)に開放された導入路20a,21aが併設されている。従って、左右両側板2a,2bを、その後側端面を背板4a,4bの表面に当接させた状態で、床面上で外向きに水平にスライドさせることにより、図9に示すように、ジョイントピン挿入孔20と筒状柱状体嵌入孔21内に、夫々の導入路20a,21aを経由させて、背板4a,4bの外側辺から突出している各ユニット9のジョイントピン11及び筒状柱状体12を所定位置まで挿入することが出来る。この後は、従来周知のように、各ユニット9と対をなす回転ジョイント金具23を、左右両側板2a,2bの内側から回転操作して、図10に示すように、各ユニット9のジョイントピン11に対する引込み反力で、左右両側板2a,2bの後側端面を背板4a,4bの外側辺の表面に圧接させて、これら左右両側板2a,2bを背板4a,4bに直角向きに固定することが出来る。
【0023】
中間仕切り板5には、図11に示すように、背板4a,4bの互いに隣接する内側辺に沿って上下方向ジグザグ状に配置されている各ユニット9のジョイントピン11と筒状柱状体12に対応するように、後側端面からジョイントピン挿入孔20と筒状柱状体嵌入孔21が穿設され、背板4a側に寄った位置にあるジョイントピン挿入孔20の内端と連通する回転ジョイント金具嵌合孔22は、中間仕切り板5の背板4a側の側面から刻設され、背板4b側に寄った位置にあるジョイントピン挿入孔20の内端と連通する回転ジョイント金具嵌合孔22は、中間仕切り板5の背板4b側の側面から刻設される。この中間仕切り板5は、背板4a,4bの互いに隣接する内側辺に向かって床面上で水平にスライドさせるだけで、各ユニット9のジョイントピン11と筒状柱状体12を、対応するジョイントピン挿入孔20と筒状柱状体嵌入孔21に挿入することが出来るので、左右両側板2a,2bに併設したような導入路20a,21aは不要である。中間仕切り板5を所定位置に配置して、各ユニット9のジョイントピン11と筒状柱状体12を、対応するジョイントピン挿入孔20と筒状柱状体嵌入孔21に挿入したならば、回転ジョイント金具嵌合孔22に嵌合されている回転ジョイント金具23を、この中間仕切り板5の左右両側から回転操作することにより、左右両側板2a,2bと同様に中間仕切り板5を、背板4a,4bの互いに隣接する内側辺と重なる位置に固定することが出来る。
【0024】
以上のようにして、壁面16aに固着した背板4a,4bに対して、左右両側板2a,2bと中間仕切り板5を固定したならば、左右両側板2a,2bの上端内側に嵌まり込む天井板3や、中間仕切り板5で支持された状態で左右両側板2a,2b間に水平に嵌め込まれる固定棚板6を取り付け、必要に応じて可動棚板7を架設することにより、壁付け収納家具1が完成する。尚、天井板3や固定棚板6の取付け方法は特に限定されるものではなく、採用可能な種々の方法、例えばジョイントピンと回転ジョイント金具から成る従来周知の板材取付け具を利用して、取り付けることが出来る。
【0025】
又、2枚の背板4a,4bを並設し、その互いに隣接する内側辺に重なるように中間仕切り板5を配設した構成の壁付け収納家具1について説明したが、背板と左右両側板を備えた構成であれば、如何なる構造の壁付け収納家具であっても良い。又、本発明の家具の壁取付け構造は、背板に対する天井板や棚板の取り付けにも適用出来る。更に、基本的には、板材取付け具としては、取付け用基板10から突設されたジョイントピン11と、回転ジョイント金具23とからものであって、筒状柱状体12の無い構造であっても良い。この場合、背板4a,4bに設けられたジョイントピンの貫通孔13に対してジョイントピン11が正確に位置決めされるように、取付け用基板10を先に壁面16aの所定位置に精度良く取付けネジ19で固定することも考えられるが、取付け用基板10を背板4a,4bの背面に粘着テープなどにより貼付すると共に、取付け用基板10に設けられた取付け孔と合致するように背板4a,4bに、取付けネジ19が挿通される貫通孔、又は取付けネジ19の頭部よりも大きな内径のばか孔を設けておけば、上記実施例と殆ど変りなく取付け作業が行える。勿論、上記実施例のような筒状柱状体12を設けておけば、背板4a,4bに対して取付け用基板10の取付け位置や向きを正確に決めることが容易であるだけでなく、取付けネジ19を、板厚の薄い背板4a,4bに対して正確に直角向きに打ち込むことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の家具の壁取付け構造は、背板を介して壁面に取り付けられる家具の壁取付け構造として活用出来る。
【符号の説明】
【0027】
1 壁付け収納家具
2a,2b 左右両側板
3 天井板
4a,4b 背板
5 中間仕切り板
6 固定棚板
7 可動棚板
8a,8b 折れ戸
9 ユニット
10 取付け用基板
10a 一端側大領域
10b 他端側小領域
11 ジョイントピン
11a 大径円柱状部
11b 首部
11c 頭部
12 筒状柱状体
12a 中央貫通孔
13 ジョイントピンの貫通孔
14 筒状柱状体の貫通孔
15 帯状背板支持部材
16 背面壁
16a 壁面
16b 石膏ボード
16c 合板
17a,17b 左右両側壁
17c,17d 突条部
18 天井壁
19 取付けネジ
20 ジョイントピン挿入孔
20a,21a 導入路
21 筒状柱状体嵌入孔
22 回転ジョイント金具嵌合孔
23 回転ジョイント金具
【要約】
【課題】背板を介して壁面に取り付けられる家具の壁取付け構造を提供する。
【解決手段】背板4aの正面側に側板2aを取り付ける板材取付け具が、ジョイントピン11と、このジョイントピン11の先端頭部11cに係合して、回転操作により当該ジョイントピン11を引き込む回転ジョイント金具23とから成り、ジョイントピン11は、背板4aの正面側に突設され、側板2aには、その側面に、回転ジョイント金具23が回転自在に嵌合する回転ジョイント金具嵌合孔22と、背板4aに当接する端面から回転ジョイント金具嵌合孔22に至るジョイントピン挿入孔20が設けられた家具の壁取付け構造において、ジョイントピン11は、背板4aと壁面16aとの間に挟まれた状態で壁面16aに取付けネジ19により固定される取付け用基板10から突設されて、背板4aに設けられた貫通孔13を通って背板4aの正面側に突出する。
【選択図】図10
図1
図2
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図10
図11