【実施例】
【0022】
つぎに本発明の実施例による自着ラベルおよびその接着剤不活性化方法を
図1ないし
図4にもとづき説明する。
図1は、上記自着ラベル7A(
図4)の材料となる自着ラベル7の複数枚を帯状に連続して構成した自着ラベル連続体1の平面図、
図2は、
図1のII−II線断面図である。
自着ラベル連続体1は、帯状のラベル基材2と、ラベル基材2の裏面側に設けた自着接着剤層3と、ラベル基材2の表面側に設けた感熱発色剤層4と、感熱発色剤層4の上層に設けた剥離剤層5と、を有する。
【0023】
ラベル基材2としては、たとえば、紙、PETフィルム、PPフィルム、合成紙、紙と合成樹脂の複合材料が使用可能である。
ラベル基材2には、所定のラベルピッチでミシン目などによる分離用切断線6を形成し、単葉の自着ラベル7を形成可能としている。
【0024】
自着接着剤層3の自着接着剤としては、天然ゴムラテックスおよびスチレン・アクリルニトリル共重合体水性エマルジョンを含む、たとえばサイデン化学株式会社のサイビノール加圧接着剤E、あるいは天然ゴムおよびスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体を含むエラストマーなどを用いることができる。
【0025】
感熱発色剤層4は、任意の感熱発色剤を塗工した層であって、所定の加熱操作により任意の印字パターンによる情報の印字が可能である。
【0026】
剥離剤層5は、紫外線硬化型シリコーンなどの剥離剤を塗工した層であって、自着ラベル連続体1をロール状に巻いた形態であっても、自着接着剤層3と感熱発色剤層4とが互いに貼り付いてしまうことを防止可能である。
【0027】
ラベル基材2の裏面側には、自着ラベル7の位置検出用マーク8を設けている。
ただし、位置検出用マーク8としては、ラベル基材2の裏面側(
図2中、実線)あるいは自着接着剤層3の裏面側(
図2中、仮想線)のいずれであってもよい。
【0028】
なお感熱発色剤層4の上層側には、たとえば「部品リスト」などの固定情報9をあらかじめ印刷しておくことができる。
【0029】
図3は、熱転写プリンター10の概略側面図であって、自着ラベル連続体1は、ロール状としてこれを熱転写プリンター10に装填し、必要に応じて、自着ラベル連続体1の自着接着剤層3の一部領域または全領域を不活性化可能としている。
すなわち、熱転写プリンター10は、自着ラベル連続体1の供給部11と、位置検出部12と、印字部13と、を有する。
【0030】
供給部11は、帯状の自着ラベル連続体1をロール状に保持し、位置検出部12および印字部13の方向に自着ラベル連続体1を帯状に繰り出し可能である。
【0031】
位置検出部12は、たとえば光学的な位置検出センサー14を有し、自着ラベル連続体1(自着ラベル7)の位置検出用マーク8を検出して、印字部13に対する自着ラベル7の相対的位置を検出する。
【0032】
印字部13は、サーマルヘッド15と、プラテンローラー16と、熱転写インクリボン17の供給軸18および巻取り軸19と、を有する。
サーマルヘッド15およびプラテンローラー16の間に自着ラベル連続体1を挟持して、プラテンローラー16の回転にともなってサーマルヘッド15の発熱走査により、熱転写インクリボン17のインクを自着ラベル連続体1(自着ラベル7)の自着接着剤層3上に転写積層することにより、接着剤不活性化層20(
図4)を形成する。
【0033】
図4は、自着ラベル7Aの複数枚を帯状に連続して構成した自着ラベル連続体1Aの断面図であって、自着ラベル連続体1A(自着ラベル7A)は、自着ラベル連続体1(自着ラベル7)を熱転写プリンター10に装填して、熱転写インクリボン17のインクを自着接着剤層3に転写印字して構成した接着剤不活性化層20を有する。
当該熱転写インクリボン17としては、たとえば(株)サトーの熱転写インクリボンT222Aが好ましい。
【0034】
こうした構成の自着ラベル連続体1A(自着ラベル7A)は、上述のように、ロール状にした自着ラベル連続体1を熱転写プリンター10(
図3)に装填し、印字部13において、自着接着剤層3に接着剤不活性化層20を転写積層し、分離用切断線6で切断して単葉の自着ラベル7Aとすることができる。
【0035】
この接着剤不活性化層20の印字パターンとしては、熱転写プリンター10における印字信号を適宜制御することによって任意のものを転写印字可能である。
たとえば、
図5は、接着剤不活性化層20の印字パターン21の一例を示す自着ラベル連続体1Aの裏面図であって、一般的に入手可能な熱転写プリンター10を用いることにより、接着剤不活性化層20および自着接着剤層3を、従来の大型印刷機では対応が困難な市松模様に印字している。
もちろん、必要に応じてこれ以外の任意の印字パターンを形成可能である。
【0036】
また、接着剤不活性化層20は、所定の可変情報として自着接着剤層3にこれを形成することもできる。
図6は、自着接着剤層3への可変情報22として、たとえば「糊どうし以外は、貼り付かないラベルです。」などの注意書きを印字した自着ラベル連続体1Aの裏面図であり、熱転写プリンター10により印字作成した可変情報22による説明を自着ラベル7Aに表示可能である。
【0037】
図7は、自着接着剤層3への可変情報23として、たとえば「(株)○×△専用」などの管理表示をした自着ラベル連続体1Aの裏面図であって、熱転写プリンター10により可変情報23を自着ラベル7Aに必要に応じて表示可能である。
【0038】
もちろん、本発明の自着ラベル連続体1A(自着ラベル7A)によれば、ラベル基材2の感熱発色剤層4に第1の可変情報を印字しているとともに、自着接着剤層3にこの第1の可変情報に関連する第2の可変情報を印字して、自着ラベル7Aの表裏面に互いに関連する可変情報を表示することができる。
図8は、ラベル基材2の感熱発色剤層4内に第1の可変情報を印字するためのサーマルプリンター24の概略側面図であって、サーマルプリンター24は、前述した熱転写プリンター10(
図3)と同様の構成であり、熱転写インクリボン17の供給軸18および巻取り軸19を備えていない点のみが異なる。
【0039】
ただし、熱転写プリンター10(
図3)によってあらかじめ自着接着剤層3に接着剤不活性化層20による第2の可変情報を印字しておくとともに、自着ラベル連続体1の感熱発色剤層4および剥離剤層5を表側にしてロール状に巻いた状態で自着ラベル連続体1をサーマルプリンター24(
図8)の供給部11に装填し、印字部13において感熱発色剤層4内に第1の可変情報、たとえば自着ラベル7の表書きとしての情報を印字することができる。
【0040】
さらに、本発明による自着ラベル連続体1Aは、両面印字プリンター25により、上記第1の可変情報および第2の可変情報を印字するように構成することもできる。
図9は、第1の可変情報および第2の可変情報を印字するための両面印字プリンター25の概略側面図であって、両面印字プリンター25は、熱転写プリンター10(
図3)およびサーマルプリンター24(
図8)と同様に、自着ラベル連続体1の供給部11および位置検出部12を有するとともに、第1の印字部26および第2の印字部27を備えている。
【0041】
第1の印字部26は、前記サーマルヘッド15およびプラテンローラー16を有し、自着ラベル連続体1の表面側に位置する感熱発色剤層4内に第1の可変情報を印字可能である。
第2の印字部27は、前記サーマルヘッド15およびプラテンローラー16と、熱転写インクリボン17の供給軸18および巻取り軸19と、を有し、自着ラベル連続体1の裏面側に位置する自着接着剤層3上に接着剤不活性化層20を転写印字可能である。
【0042】
したがって、自着ラベル連続体1を両面印字プリンター25に装填することにより、自着ラベル連続体1の表裏面にそれぞれ必要な可変情報を印字可能である。
たとえば
図10は、自着ラベル連続体1A(自着ラベル7A)を封筒として作成した場合を例にとって説明する自着ラベル7Aの表面側を示す平面図、
図11は、自着ラベル7Aの裏面図である。
自着ラベル7Aの表面側には、自着ラベル7Aの中心に位置する折畳み線28を境界として、その左右に第1の領域29および第2の領域30を画成する。
第1の領域29には、両面印字プリンター25の第1の印字部26において、自着ラベル7Aの感熱発色剤層4内に、第1の可変情報として、封筒の差出し人の住所氏名31を印字するとともに、第2の領域30には受取り人の住所氏名32を印字する。
【0043】
さらに、自着ラベル7Aの裏面側の自着接着剤層3に、折畳み線28を境界として、その左右に第3の領域33および第4の領域34を画成する。
第3の領域33には、両面印字プリンター25の第2の印字部27において、第2の可変情報として、所定の印字パターン(たとえば、長方形状のパターン)による接着剤不活性化層35を積層印字するとともに、第4の領域34には、所定の可変情報(たとえば、「拝啓・・・」などの内容)としての接着剤不活性化層36を積層印字する。
ただし、接着剤不活性化層35が占める範囲を、接着剤不活性化層36が占める範囲36Aより大きくしておくことにより、接着剤不活性化層35が確実に接着剤不活性化層36を覆うことができるようにしておくことが望ましい。
【0044】
このような積層印字後に、折畳み線28の部分で自着ラベル7Aを半分に折り畳めば、自着ラベル7Aの裏面側において、接着剤不活性化層36には接着剤不活性化層35が対向するので、互いに貼り付くことがなく、接着剤不活性化層36および接着剤不活性化層35以外の周縁部における自着接着剤層3が互いに貼り付いてしまうため、接着剤不活性化層36による内容は保護しつつ、封筒37として完成することができる。
【0045】
図12は、完成した封筒37の平面図であって、封筒37を受け取った受取り人は、周縁部の自着接着剤層3の部分において第3の領域33を第4の領域34からはがすか、あるいは、ハサミなどにより切断することにより、第4の領域34における接着剤不活性化層36の内容(可変情報)を見ることになる。
ただし、このはがし操作において、周縁部の自着接着剤層3の部分は、ラベル基材2からはがれてしまうほどであるため、開封されたことが明瞭となる。
したがって封筒37は、事実上、親展としての機能を果たすことも可能であり、このような封筒37を両面印字プリンター25(
図9)により容易に、かつ状況に応じて臨機応変に作成可能である。
【0046】
もちろん、熱転写プリンター10(
図3)により接着剤不活性化層35および接着剤不活性化層36を形成するとともに、サーマルプリンター24(
図8)により差出し人の住所氏名31および受取り人の住所氏名32を印字するように、二段階に印字操作を分けて封筒37を作成することもできる。
【0047】
かくして、本発明の自着ラベル連続体1A(自着ラベル7A)によれば、必要に応じて任意の印字パターン(たとえば印字パターン21(
図5))で自着接着剤の不活性化を行うことが可能であるとともに、固定情報9(
図1)の表示に加えて、必要に応じて可変情報22、23(
図6、
図7)、さらには接着剤不活性化層35および接着剤不活性化層36(
図11)を表示可能であり、例示した封筒37(
図12)はもちろん、その利用範囲を各種の情報伝達、広告表示や管理表示などに拡大可能である。
【0048】
さらに、従来の感圧ラベルとは異なって剥離紙(台紙)を用いる必要がないので、省資源であるとともに、環境への負荷を低減することができる。