(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エネルギー線が入射される第1の主面と、前記第1の主面に対向すると共に少なくとも一つの電極が配置された第2の主面と、入射されたエネルギー線を光電変換して信号電荷を発生する光電変換部とを含む撮像素子を用意する第1の工程と、
厚さ方向に延びる貫通孔が少なくとも一つ設けられると共に互いに対向する第3及び第4の主面を有する支持基板を用意する第2の工程と、
前記第2の主面と前記第3の主面とが対向し且つ一つの前記貫通孔から一つの前記電極が露出するように前記撮像素子と前記支持基板とを位置合わせして、前記撮像素子と前記支持基板とを接合する第3の工程と、
前記第3の工程の後に、導電部材の一部が前記支持基板の前記第4の主面よりも外側に突出した状態となると共に前記電極に電気的に接続されるように前記導電部材を前記貫通孔内に埋め込む第4の工程とを有し、
前記導電部材の前記一部の表面は、前記第4の主面よりも外側に向かう凸面状を呈し、
前記第1の工程で用意された前記撮像素子の前記電極及び前記第2の主面は、平坦化膜によって覆われており、
前記第3の工程の後で且つ前記第4の工程の前に、前記電極の表面の少なくとも一部が露出するように前記平坦化膜の一部を除去する、固体撮像装置の製造方法。
前記第4の工程では、導電性を有する第1の導電体を前記貫通孔内に配置し、当該第1の導電体を溶融することで、前記貫通孔内に前記導電部材を埋め込む、請求項1に記載の方法。
前記第4の工程では、導電性を有する第1の導電体を前記貫通孔内に配置し、当該第1の導電体を溶融した後に、導電性を有する第2の導電体を前記貫通孔内に配置し、当該第2の導電体を溶融することで、前記貫通孔内に前記導電部材を埋め込む、請求項1に記載の方法。
エネルギー線が入射される第1の主面と、前記第1の主面に対向すると共に少なくとも一つの電極が配置された第2の主面と、入射されたエネルギー線を光電変換して信号電荷を発生する光電変換部とを含む撮像素子を用意する第1の工程と、
厚さ方向に延びる貫通孔が少なくとも一つ設けられると共に互いに対向する第3及び第4の主面を有する支持基板を用意する第2の工程と、
前記第2の主面と前記第3の主面とが対向し且つ一つの前記貫通孔から一つの前記電極が露出するように前記撮像素子と前記支持基板とを位置合わせして、前記撮像素子と前記支持基板とを接合する第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記貫通孔内に導電部材を埋め込む第4の工程とを有し、
前記第4の工程では、導電性を有する第1の導電体を前記貫通孔内に配置し、当該第1の導電体を溶融した後に、導電性を有する第2の導電体を前記貫通孔内に配置し、当該第2の導電体を溶融することで、前記貫通孔内に前記導電部材を埋め込む、固体撮像装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
裏面照射型の上記固体撮像装置では、光や各種のエネルギー線(例えば、紫外線、電子線、放射線、荷電粒子線など)が裏面からセンサに入射されるので、センサをできる限り薄型化して受光感度を高める必要がある。しかしながら、薄型化に伴ってセンサの機械的強度が低下してしまい、センサの取り扱いが困難になってしまう。
【0006】
センサの機械的強度を確保するために、センサの受光部分を部分的に薄型化し、受光部分を取り囲む外縁部分を肉厚とすることも考えられる。しかしながら、この場合、外縁部分の存在によりセンサの面積に対する受光部分の面積が相対的に小さくなるため、センサの単位面積あたりの受光効率が低下してしまう。そこで、センサの機械的強度を確保しつつ、センサの全面を薄型化して受光効率を高めるために、上記固体撮像装置では、センサを単体で用いずに支持基板と接合している。
【0007】
しかも、上記固体撮像装置では、貫通電極を用いてセンサとICチップとを電気的に接続している。そのため、ワイヤボンディングによるセンサとICチップとの電気的な接続が必要なくなり、小型化が図られる。
【0008】
しかしながら、センサと支持基板とを接合した後に支持基板に貫通孔を設けることは、技術的に難易度が高く、歩留まりが低下しうる。また、貫通孔に電極を形成する際に支持基板(貫通孔の内壁面)と電極との間で絶縁を確保するためには、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法で、膜厚が均一な質の高い酸化膜を貫通孔の内壁面に形成する必要があるが、十分な品質の絶縁膜を得るには難易度が高く、信頼性を確保することが困難である。
【0009】
そのため、本発明の目的は、容易に製造でき且つ製品として優れた信頼性を有する固体撮像装置の製造方法及び固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る固体撮像装置の製造方法は、エネルギー線が入射される第1の主面と、第1の主面に対向すると共に少なくとも一つの電極が配置された第2の主面と、入射されたエネルギー線を光電変換して信号電荷を発生する光電変換部とを含む撮像素子を用意する第1の工程と、厚さ方向に延びる貫通孔が少なくとも一つ設けられると共に互いに対向する第3及び第4の主面を有する支持基板を用意する第2の工程と、第2の主面と第3の主面とが対向し且つ一つの貫通孔から一つの電極が露出するように撮像素子と支持基板とを位置合わせして、撮像素子と支持基板とを接合する第3の工程と、第3の工程の後に、貫通孔内に導電部材を埋め込む第4の工程とを有する。
【0011】
本発明の一側面に係る固体撮像装置の製造方法では、撮像素子に接合された支持基板の貫通孔内に導電部材を埋め込んでいる。そのため、固体撮像装置を製造する際に、電気的な接続工程が容易である。従って、固体撮像装置を容易に製造でき、歩留まりの向上が図られる。また、支持基板の貫通孔の内壁面に、熱酸化等により、膜厚が均一な高品質の酸化膜を予め形成した場合、支持基板と電極との間で十分な絶縁を確保でき、信頼性の高い固体撮像装置を得ることができる。
【0012】
第4の工程では、導電性を有する第1の導電体を前記貫通孔内に配置し、当該第1の導電体を溶融することで、貫通孔内に前記導電部材を埋め込んでもよい。この場合、固体の第1の導電体が貫通孔内に配置された状態で溶融されるので、溶融状態の導電物質を貫通孔内に流し込む場合と比較して、導電部材が貫通孔の外部にはみ出す虞が殆どない。
【0013】
第1の導電体ははんだボールでもよい。この場合、第1の導電体を容易に貫通孔内に配置できる。
【0014】
第4の工程では、導電性を有する第1の導電体を貫通孔内に配置し、当該第1の導電体を溶融した後に、導電性を有する第2の導電体を貫通孔内に配置し、当該第2の導電体を溶融することで、貫通孔内に導電部材を埋め込んでもよい。この場合、固体の第1及び第2の導電体が貫通孔内に配置された状態で溶融されるので、溶融状態の導電物質を貫通孔内に流し込む場合と比較して、導電部材が貫通孔の外部にはみ出す虞が殆どない。また、大きな導電体を用いて1回で貫通孔内に導電部材を埋め込もうとすると導電部材内に気泡が残存する場合がある。しかしながら、この場合、導電部材が2回に分けて貫通孔内に埋め込まれるので、導電部材内に気泡が残存する虞が極めて少なくなる。
【0015】
第1及び第2の導電体は共にはんだボールでもよい。この場合、第1及び第2の導電体を容易に貫通孔内に配置できる。
【0016】
第3の工程の後で且つ第4の工程の前に電極にめっき膜を形成してもよい。この場合、導電部材がめっき膜を介してより確実に電極に接続される。
【0017】
貫通孔は第3の主面から第4の主面に向かうにつれて拡径していてもよい。この場合、第3の工程において、導電部材を貫通孔内に埋め込みやすくなる。
【0018】
貫通孔の内壁面に金属膜が形成されていてもよい。この場合、貫通孔の内壁面にもめっき膜を形成できるようになる。
【0019】
第1の工程で用意された撮像素子は、平坦化膜によって電極及び第2の主面が覆われており、第3の工程の後で且つ第4の工程の前に、電極の表面の少なくとも一部が露出するように平坦化膜の一部を除去してもよい。この場合、撮像素子の表面が平坦化膜により平坦化されるので、撮像素子と支持基板との接合がより確実となる。
【0020】
本発明の他の側面に係る固体撮像装置は、エネルギー線が入射される第1の主面と、第1の主面に対向すると共に少なくとも一つの電極が配置された第2の主面と、入射されたエネルギー線を光電変換して信号電荷を発生する光電変換部とを含む撮像素子と、厚さ方向に延びる貫通孔が設けられると共に互いに対向する第3及び第4の主面を有し、第3の主面が第2の主面と対向し且つ一つの貫通孔から一つの電極が露出するように撮像素子と接合された支持基板と、貫通孔内に埋め込まれると共に各電極に電気的に接続された導電部材とを備える。
【0021】
本発明の他の側面に係る固体撮像装置は、撮像素子に接合された支持基板の貫通孔内に導電部材を埋め込み、導電部材と電極とを電気的に接続することで製造される。そのため、固体撮像装置を製造する際に、電気的な接続工程が容易である。従って、固体撮像装置を容易に製造でき、歩留まりの向上が図られる。また、支持基板の貫通孔の内壁面に、熱酸化等により、膜厚が均一な高品質の酸化膜を予め形成した場合、支持基板と電極との間で十分な絶縁を確保でき、信頼性の高い固体撮像装置を得ることができる。
【0022】
電極にめっき膜が形成されていてもよい。この場合、導電部材がめっき膜を介してより確実に電極に接続される。
【0023】
貫通孔は第3の主面から第4の主面に向かうにつれて拡径していてもよい。この場合、固体撮像装置の製造の際に、貫通孔内に導電部材を埋め込みやすくなる。
【0024】
貫通孔の内壁面に金属膜が形成されていてもよい。この場合、貫通孔の内壁面にもめっき膜を形成できるようになる。
【0025】
第2の主面を覆う平坦化膜をさらに備え、電極の表面の少なくとも一部は平坦化膜から露出していてもよい。この場合、撮像素子の表面が平坦化膜により平坦化されるので、撮像素子と支持基板との接合がより確実となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の種々の側面によれば、容易に製造でき且つ製品として優れた信頼性を有する固体撮像装置及びその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0029】
図1〜
図4を参照して、本実施形態に係る固体撮像装置1がICチップ2に搭載された電子部品3の構成について説明する。固体撮像装置1は、
図1に示されるように、CCDタイプの裏面照射型撮像素子10と、撮像素子10を支持する支持基板20と、複数の導電部材30とを備える。
【0030】
撮像素子10は、
図2に示されるように、素子本体11と、ARコート12と、配線13と、複数の電極14とを有する。素子本体11は、p型半導体層11aと、n型半導体層11bと、p+型半導体層11cと、絶縁層11dと、電極膜11eと、層間絶縁層11fとを含む。
【0031】
p型半導体層11aは、他の部分よりも厚みの厚い突出部を有する。n型半導体層11bは、当該突出部上において所定厚さで形成されている。p型半導体層11aとn型半導体層11bとの界面においてPN接合が形成される。当該界面の近傍が光電変換部として機能し、当該界面に入射された各種のエネルギー線(例えば、光、紫外線、電子線、放射線、荷電粒子線など)を光電変換して信号電荷を発生する。
【0032】
p+型半導体層11cは、n型半導体層11bの主面は覆わないが、n型半導体層11bの側面とp型半導体層11aの表面とを覆うように形成されている。絶縁層11dは、n型半導体層11bの主面とp+型半導体層11cの表面とを覆うように形成されている。絶縁層11dは、例えばSiO
2などによって構成される。絶縁層11dのうちn型半導体層11bの主面を覆っている部分の厚さは、絶縁層11dのうちp+型半導体層11cの表面を覆っている部分の厚さよりも小さい。
【0033】
電極膜11eは、
図2に示されるように、絶縁層11dの薄い部分とその近傍を覆うように延びる帯状膜である。電極膜11eは、
図3に示されるように、撮像素子10の幅方向に複数並んでいる。隣り合う電極膜11eは、絶縁膜により互いに絶縁されており、撮像素子10の厚さ方向から見て端部同士が重なり合っている。電極膜11eは、例えばpoly−Siによって構成される。層間絶縁層11fは、電極膜11e及び絶縁層11dを覆うように形成されている。層間絶縁層11fは、例えばホウリンケイ酸塩ガラス層(BPSG:BoronphosphosilicateGlass)などによって構成される。
【0034】
ARコート12は、所定の波長帯域内にある光の反射を防止する機能を有する。ARコート12は、例えばSiO
2、SiNなどによって構成されている。ARコート12は、p型半導体層11aの表面に形成されている。配線13及び複数の電極14は、層間絶縁層11fの表面(光電変換部11の主面S2)にパターニングされている。配線13及び電極14は、例えばAlなどによって構成される。配線13及び電極14の厚さは、例えば0.1μm〜1μm程度に設定される。
図4(b)に示されるように、主面S1,S2の対向方向から見て、光検出領域A1の両側に複数の電極14(本実施形態では5つの電極14)がそれぞれ一列ずつ並んでいる。
【0035】
上記の構成を有する撮像素子10においては、p型半導体層11aと、n型半導体層11bと、絶縁層11dと、電極膜11eとが積層されている領域が光検出領域A1として機能し、他の領域が配線領域A2として機能する。撮像素子10におけるARコート12側の表面は、エネルギー線が入射される主面S1として機能する。撮像素子10における層間絶縁層11f側の表面は、支持基板20に向かう主面S2として機能する。
【0036】
平坦化膜16は、
図2に示されるように、撮像素子10の主面S2上に設けられている。平坦化膜16は、層間絶縁層11fと、配線13と、電極14の一部とを覆うように形成されている。そのため、配線13及び電極14の存在により凹凸状となっている層間絶縁層11fの表面が、平坦化膜16により平坦化される。平坦化膜16は、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)などによって構成される。
【0037】
支持基板20は、
図1に示されるように、平坦化膜16を介して撮像素子10と接合されている。支持基板20は、
図2に示されるように、基板21と、基板21の表面全体を覆う絶縁膜22とを有する。基板21は、例えばSiによって構成される。絶縁膜22は、例えば熱酸化等によって形成された酸化膜によって構成される。
【0038】
支持基板20には、その厚さ方向に延びる貫通孔23が電極14と同数形成されている。本実施形態では、貫通孔23は8つ形成されている。貫通孔23は、
図1(a)及び
図4に示されるように、主面S1,S2の対向方向から見て光検出領域A1の両側に4つずつ配置されている。各貫通孔23からは、
図4(b)に示されるように、電極14の一部が露出している。基板21の表面と同様に、各貫通孔23も絶縁膜22によって覆われている。すなわち、支持基板20には、その厚さ方向に延び且つ内壁面が絶縁膜によって覆われた貫通孔23が設けられている。
【0039】
各貫通孔23は、
図1(b)及び
図2に示されるように、支持基板の一方の主面S3から他方の主面S4に向かうにつれて拡径している。つまり、各貫通孔23の内壁面はテーパ状を呈する。貫通孔23における主面S3側及び主面S4側の開口は、共に正方形状を呈する。
【0040】
各貫通孔23の内壁面及び各貫通孔23における主面S4側の開口近傍には、後述するめっき膜25の下地となる金属膜24が設けられている。金属膜24は、例えばAlなどによって構成される。
【0041】
電極14のうち平坦化膜16によって覆われていない部分と、金属膜24の表面とには、めっき膜25が形成されている。めっき膜15は、例えばAu、Niなどによって構成される。
【0042】
導電部材30は、導電性を有する金属であり、例えばはんだによって構成されている。導電部材30は、
図1、
図2及び
図4(a)に示されるように、各貫通孔23内に埋め込まれている。各導電部材30は、各電極14及び各めっき膜15と一対一に対応しており、各電極14及び各めっき膜15と電気的に接続されている。
【0043】
ICチップ2は、
図1(b)及び
図2に示されるように、チップ本体2aと、複数のリード端子2bと、電極2cと、めっき膜2dと、絶縁膜2eとを有する。チップ本体2aは、撮像素子10から出力された電気信号の信号処理や、撮像素子10の動作制御などを行う。複数のリード端子2bは、チップ本体2aから延びており、図示しない回路基板等にICチップ2が搭載されたときに当該回路基板の電極と電気的に接続される。
【0044】
電極2cは、チップ本体2a上にパターニングされている。電極2cは、例えばAlなどによって構成される。めっき膜2dは、本実施形態において、電極2cにおける主面の一部に形成されている。めっき膜2dは、例えばAu、Niなどによって構成される。絶縁膜2eは、めっき膜2dの主面は露出する一方、チップ本体2a及び電極2cを覆うように形成されている。絶縁膜2eは、例えばSiO
2などによって構成される。
【0045】
固体撮像装置1とICチップとを確実に固定するため、固体撮像装置1とICチップ2との間には樹脂材料40が充填されている。樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0046】
続いて、
図2、
図3及び
図5〜
図13を参照して、本実施形態に係る固体撮像装置1を備えた電子部品3を製造する方法について説明する。まず、
図5(a)及び
図6に示されるように、撮像素子10の前駆体10aを製造する。具体的には、
図6に示されるように、はじめにp+半導体基板11gの表面にp型半導体層11aがエピタキシャル成長された、所謂エピウエハを用意する。この基板11gの厚さは、例えば620μm程度であり、p型半導体層11aの厚さは、例えば10μm〜30μmである。
【0047】
次に、エピウエハ(p型半導体層11a)の上に、所謂LOCOS法により、Si
3N
4膜(図示せず)をマスクとしてイオン注入法によりp型の不純物を添加してp+型半導体層11cを形成する。次に、同じSi
3N
4膜をマスクとして、酸化により絶縁層11dを形成する。次に、Si
3N
4膜を除去した後、イオン注入法によりn型の不純物を添加することによりn型半導体層11bを形成して、さらに電極膜11e及び層間絶縁層11fをこの順に積層する。この際、隣り合う電極膜11eの端部同士が撮像素子10の厚さ方向から見て重なり合うように、帯状を呈する複数の電極膜11eが形成される(
図7参照)。これにより、基板11g上に素子本体11が形成される。次に、層間絶縁層11f上(主面S2上)に配線13及び電極14をパターニングする。こうして、
図5(a)及び
図6に示される撮像素子10の前駆体10aが形成される。
【0048】
続いて、
図8に示されるように、配線13及び電極14を覆うように層間絶縁層11f上(主面S2上)に平坦化膜16を形成する。平坦化膜16の厚さは、例えば1μm〜5μm程度に設定できる。続いて、
図9に示されるように、平坦化膜16の表面を化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により平坦化する。これにより、
図5(b)及び
図9に示される撮像素子10の前駆体10bが形成される。このとき、配線13及び電極14は平坦化膜16により覆われたままである。
【0049】
続いて、
図5(c)に示されるように、貫通孔23が設けられた支持基板20を用意する。ここで、貫通孔23の内壁面には、例えば熱酸化等により、膜厚が均一な高品質の酸化膜が形成されている。続いて、
図5(d)及び
図10に示されるように、主面S2と主面S3とが対向し且つ一つの貫通孔23から一つの電極14が露出するように撮像素子10の前駆体10bと支持基板20とを位置合わせして、前駆体10bと支持基板20とを接合する。前駆体10bと支持基板20との接合にあたっては、例えば常温接合により前駆体10bと支持基板20とを押しつけあって直接接合してもよいし、前駆体10bの主面S2に樹脂などの接着剤(図示せず)を塗布した状態で前駆体10bと支持基板20とを接合してもよい。これにより、
図5(e)に示されるように、固体撮像装置1の前駆体1aが形成される。
【0050】
続いて、前駆体1aにおける基板11gをエッチングや研磨などにより除去し、p型半導体層11aを露出させる。このときのp型半導体層11aから平坦化膜16までの厚さは、例えば10μm〜30μm程度に設定される。これにより、
図5(f)及び
図11に示される固体撮像装置1の前駆体1bが形成される。続いて、固体撮像装置1の前駆体1bにおけるp型半導体層11aの表面にARコート12を形成する。次に、レジスト等を用いたエッチングにより、電極14のうちめっき膜15を形成すべき領域を露出させる。これにより、
図5(g)及び
図12に示される固体撮像装置1の前駆体1cが形成される。
【0051】
続いて、露出した電極14と、支持基板20の内壁面における金属膜24とを覆うようにめっき膜25を形成する。これにより、
図13に示される固体撮像装置1Aの前駆体1Adが形成される。続いて、各貫通孔23内に、球状を呈するはんだボール(図示せず)をそれぞれ一つずつ配置し、リフローにより当該はんだボールを溶融して、各貫通孔23内にはんだを埋め込む。このとき、はんだボールが貫通孔23に対して大きすぎると、はんだボールと貫通孔23との間に生ずる空間が大きくなり、リフローによりはんだボールが溶融した際はんだ中に気泡が生ずる場合がある。そのため、はんだボールは、貫通孔23内に配置された際にめっき膜15のうち電極14を覆う部分と接する程度の大きさを有すると好ましい。
【0052】
次に、再びはんだボールを各貫通孔23内に一つずつ配置し、リフローにより当該はんだボールを溶融して、各貫通孔23内にはんだを埋め込む。これにより、各貫通孔23内にはんだが充填され、導電部材30が形成される。こうして固体撮像装置1が完成する。
【0053】
続いて、固体撮像装置1をICチップ2に搭載する。具体的には、導電部材30とICチップ2の電極2cとを位置合わせして、導電部材30と電極2cとをフリップチップボンディングにより接合する。これにより、固体撮像装置1とICチップ2とが導電部材30を介して電気的に接続される。次に、固体撮像装置1とICチップ2との間に、樹脂材料40を充填する。こうして、
図2に示される電子部品3が完成する。
【0054】
以上のような本実施形態では、撮像素子10に接合された支持基板20の貫通孔23内に導電部材30を埋め込み、導電部材30と電極14とを電気的に接続している。そのため、固体撮像装置1を製造する際に、電気的な接続工程が容易である。従って、固体撮像装置1を容易に製造でき、歩留まりの向上が図られる。また、支持基板20の貫通孔23の内壁面に、熱酸化等により、膜厚が均一な高品質の酸化膜を予め形成しておくことにより、支持基板20(貫通孔23の内壁面)と電極との間で十分な絶縁を確保でき、信頼性の高い固体撮像装置1Aを得ることができる。
【0055】
本実施形態では、一つ目のはんだボールを貫通孔23内に配置し、当該はんだボールを溶融した後に、二つ目のはんだボールを貫通孔23内に配置し、当該はんだボールを溶融することで、貫通孔23内に導電部材30を埋め込んでもよい。この場合、固体のはんだボールが貫通孔23内に配置された状態で溶融されるので、溶融状態の導電物質を貫通孔23内に流し込む場合と比較して、導電部材30が貫通孔23の外部にはみ出す虞が殆どない。また、大きなはんだボールを用いて1回で貫通孔内に導電部材を埋め込もうとすると導電部材内に気泡が残存する場合がある。しかしながら、この場合、導電部材30が2回に分けて貫通孔23内に埋め込まれるので、導電部材30内に気泡が残存する虞が極めて少なくなる。
【0056】
本実施形態では、導電部材30を貫通孔23に埋め込むにあたり、はんだボールを用いている。そのため、はんだボールを容易に貫通孔23内に配置できる。
【0057】
本実施形態では、電極14及び金属膜24にめっき膜25を形成している。そのため、めっき膜25を介してより確実に導電部材30を電極14に接続できる。
【0058】
本実施形態では、貫通孔23は主面S3から主面S4に向かうにつれて拡径している。そのため、導電部材30を形成するにあたり、導電部材30を貫通孔23内に配置しやすくなる。また、導電部材30を貫通孔23に埋め込むにあたり、はんだボールを用いる場合に、はんだボールが貫通孔23内において安定する。
【0059】
本実施形態では、支持基板20には複数の貫通孔23が設けられており、一つの貫通孔23に対して一つの電極14(めっき膜15)が対応している。そのため、導電部材30を形成するにあたり、この貫通孔23内にはんだボール部材を一つずつ配置してリフローをするだけで、導電部材30と電極14との対応付けを簡単に行うことができる。
【0060】
本実施形態では、固体撮像装置1が、層間絶縁層11fの表面と配線13とを覆う平坦化膜16をさらに備える。そのため、撮像素子10の表面が平坦化膜16により平坦化されるので、撮像素子10と支持基板20との接合がより確実となる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では平坦化膜16をCMPにより平坦化していたが、撮像素子10と支持基板20とを接着剤等によって貼り付ける場合には常温接合する場合と比較して接合面の平坦性がそれほど要求されないので、平坦化膜16をCMPにより平坦化しなくてもよい。
【0062】
上記の実施形態では、光電変換部11の主面S2上に平坦化膜16を設けていたが、平坦化膜16を設けなくてもよい。
【0063】
上記の実施形態では、主面S3から主面S4に向かうにつれて貫通孔23が拡径していたが、貫通孔23の開口の大きさは、その延在方向において一定でもよい。また、主面S3から主面S4に向かうにつれて貫通孔23が縮径していてもよい。
【0064】
上記の実施形態では、固体撮像装置1とICチップ2との間に樹脂材料40が充填されていたが、樹脂材料40を充填しなくてもよい。
【0065】
上記の実施形態では、導電部材30を貫通孔23に埋め込むにあたり、球状のはんだボールを用いたが、一部が球面を呈する導電体や、例えば直方体形状、筒形状、円柱形状、角柱形状、多面体形状など、球状以外の形状を呈する導電体を用いることができる。
【0066】
上記の実施形態では、固体撮像装置としてCCD型固体撮像装置を例にして説明したが、本発明は、CCD型固体撮像装置に限定されず、CMOS型固体撮像装置をはじめ種々の裏面照射型の受光素子アレイに適用可能であることは言うまでもない。