(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095938
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】クローラ及び建設機械
(51)【国際特許分類】
B62D 55/253 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
B62D55/253 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-228113(P2012-228113)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-80067(P2014-80067A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】村手 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 高好
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−046387(JP,U)
【文献】
特開2004−136753(JP,A)
【文献】
特開平11−278326(JP,A)
【文献】
特開平11−165664(JP,A)
【文献】
特開平05−278646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/20−55/275
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属製のクローラシューをリンクピンにて無端状に連結するとともに、前記クローラシューの外面にゴムパッドを着脱可能に装着したクローラにおいて、
前記クローラシューは、車体幅方向の長辺及び車体前後方向の短辺を有する長方形状の基板と、該基板の各長辺からそれぞれ突出して、隣接するクローラシューに前記リンクピンにて連結される連結部と、前記基板の各長辺に沿って基板外面方向にそれぞれ突設した一対のゴムパッド保持片と、該一対のゴムパッド保持片の間に、該ゴムパッド保持片と平行な方向に突設された中間保持片と、前記基板の内面中央部に突設された係合突起と、前記基板の短辺側両端部の内面にそれぞれ形成された、前記短辺に至るゴムパッド固定ボルト装着用凹部と、各ゴムパッド固定ボルト装着用凹部にそれぞれ設けられたボルト挿通孔とを備え、
前記ゴムパッドは、前記ゴムパッドの外側面に設けられた、前記ゴムパッド保持片及び前記中間保持片の突出端より外側に突出する接地部と、前記ゴムパッドの内側面に形成された、前記一対のゴムパッド保持片と前記中間保持片とにより形成された2条の凹部に嵌入する車体幅方向の2条の凸部と、前記ボルト挿通孔に対応する位置にそれぞれ埋め込まれた、前記ボルト挿通孔に挿通されるゴムパッド固定ボルトと、前記ボルト挿通孔から前記ゴムパッド固定ボルト装着用凹部の内面に突出した前記ゴムパッド固定ボルトの先端に螺着されるナットとを備えている
ことを特徴とするクローラ。
【請求項2】
前記連結部は、一方の長辺からそれぞれ突出した2個の幅広の第1係合凸部と、他方の長辺の前記2個の第1係合凸部を両側から挟み込む位置にそれぞれ突出した4個の幅狭の第2係合凸部とを有し、前記第1係合凸部及び前記第2係合凸部に、前記クローラシューの車体幅方向に貫通するピン挿通孔がそれぞれ形成され、
前記クローラシューの車体幅方向両側端部にそれぞれ位置する第2係合凸部の外側に、隣接する一方のクローラシューの前記第1係合凸部と隣接する他方のローラシューの前記第2係合凸部との噛み合わせ状態における前記ピン挿通孔に挿入された前記リンクピンの端部に当接して前記リンクピンを抜け止めするリンクピン抜け止めボルトを取り付けるための通孔を形成した突片がそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のクローラ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のクローラを履いたことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ及び建設機械に関し、詳しくは、複数のクローラシューを無端状に連結するとともに、前記クローラシューの外面にゴムパッドを着脱可能に装着した大型建設機械に適したクローラ及びこのクローラを履いた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
各種建設機械に用いられている金属製のクローラは、一般的に、前後両端に配置されたスプロケットホイールとアイドラホイールとに、ローラーチェーン状に連結したリンク部材を掛け回すとともに、該リンク部材の外周にシューを着脱可能に取り付けた構造を有している。また、シューの外面(接地面側)には、舗装路面の保護などを目的としてゴムパッドが取り付けられるように形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−136753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
比較的小型のバックホーのように、作業場所が特定されない建設機械の場合は、舗装路面での作業や走行を考慮してシューの外面にゴムパッドを装着できるようにしており、比較的大型のバックホーであっても、ゴムパッドを装着した状態で荷台に積載しても輸送制限高さを超えないように設計されている。
【0005】
一方、大型の建設機械、例えば大型の杭打機やクレーンは、安定した状態で杭打ち作業を行わなければならないことから、敷鉄板を敷いた場所で作業を行うようにしているため、舗装路面を走行することは想定しておらず、シューの外面が接地した状態で全高が輸送制限高さ未満になるように設計している。したがって、走行時の静粛性を求めるため、杭打機に標準的に設けられているクローラの外面にゴムパッドを装着すると、トレーラの荷台に載置したときに輸送制限高さを超えてしまう場合がある。この場合は、輸送前に少なくとも接地する部分のシューからゴムパッドを取り外さなければならず、輸送後に再びゴムパッドを装着する作業を行わなければならなかった。
【0006】
そこで本発明は、ゴムパッドを装着しても全高を輸送制限高さ未満に抑えることができるとともに、走行時の駆動力をゴムパッドに確実に伝達することができる構造を備えたクローラ及びこのクローラを履いた大型の建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のクローラは、複数の金属製のクローラシューをリンクピンにて無端状に連結するとともに、前記クローラシューの外面にゴムパッドを着脱可能に装着したクローラにおいて、前記クローラシューは、
車体幅方向の長辺及び車体前後方向の短辺を有する長方形状の基板と、該基板の
各長辺からそれぞれ突出し
て、隣接するクローラシューに前記リンクピンにて連結される連結部と、前記基板の各長辺に沿って基板外面方向にそれぞれ突設した一対のゴムパッド保持片と、
該一対のゴムパッド保持片の間に、該ゴムパッド保持片と平行な方向に突設された中間保持片と、前記基板の内面中央部に突設された係合突起と、前記基板の短辺側両端部の内面にそれぞれ形成
された、前記短辺に至るゴムパッド固定ボルト装着用凹部と、
各ゴムパッド固定ボルト装着用凹部にそれぞれ設けられたボルト挿通孔とを備え、前記ゴムパッドは、
前記ゴムパッドの外側面に設けられた、前記ゴムパッド保持片及び前記中間保持片の突出端より外側に突出する接地部と、前記ゴムパッドの内側面に形成された、前記一対のゴムパッド保持片と前記中間保持片とにより形成された2条の凹部に嵌入する車体幅方向の2条の凸部と、
前記ボルト挿通孔に対応する位置にそれぞれ埋め込まれた、前記ボルト挿通孔に挿通されるゴムパッド固定ボルトと
、前記ボルト挿通孔から前記ゴムパッド固定ボルト装着用凹部の内面に突出した前記ゴムパッド固定ボルトの先端に螺着されるナットとを備えていることを特徴としている。
【0008】
また、
前記連結部は、一方の長辺からそれぞれ突出した2個の幅広の第1係合凸部と、他方の長辺の前記2個の第1係合凸部を両側から挟み込む位置にそれぞれ突出した4個の幅狭の第2係合凸部とを有し、前記第1係合凸部及び前記第2係合凸部に、前記クローラシューの車体幅方向に貫通するピン挿通孔がそれぞれ形成され、前記クローラシューの車体幅方向両側端部にそれぞれ位置する第2係合凸部の外側に、隣接する一方のクローラシューの前記第1係合凸部と隣接する他方のローラシューの前記第2係合凸部との噛み合わせ状態における前記ピン挿通孔に挿入された前記リンクピンの端部に当接して前記リンクピンを抜け止めするリンクピン抜け止めボルトを取り付けるための通孔を形成した突片がそれぞれ設けられていることを特徴としている。さらに、本発明の建設機械は、このようなクローラを履いた建設機械であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のクローラによれば、リンク部材を設けずに基板から前後方向に突出させた連結部をリンクピンにて連結するとともに、基板の外面に突設したゴムパッド保持片の間でゴムパッドを凹凸嵌合させた状態で保持するので、リンク部材の分だけ高さを低く抑えることができるだけでなく、駆動力をゴムパッドに効率よく確実に伝達することができる。したがって、このようなクローラを履いた大型の建設機械は、クローラにゴムパッドを装着しても全高が輸送制限高さを超えることがなくなる。さらに、駆動力を凹凸嵌合によって受ける状態になるので、ゴムパッド固定ボルトの負荷を軽減でき、ゴムパッドの接地面から連結部やリンクピンまでの距離を短くできるので、これらに掛かる負担を軽減することができる。加えて、中間保持片を設けることによってゴムパッドをより確実に保持することができる。また、リンク部材を省略できるので部品点数の低減及び製造コストの削減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の一形態例を示すクローラの要部一部断面図である。
【
図4】本発明のクローラを用いた建設機械の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図4は、本発明のクローラを、大型の建設機械の一つである杭打機の下部走行体に適用した一形態例を示している。
図4に示す杭打機21は、ベースマシンとして、クローラ11を備えた下部走行体22と、該下部走行体22の上に旋回可能に設けられた上部旋回体23とを備えており、上部旋回体23の前部には、図示しないリーダを装着するためのリーダアーム23aが設けられ、上部旋回体23の天井部には、手摺23bが着脱可能に設けられている。
【0012】
下部走行体22の本体部両側面に突設されたアーム24,24には、左右一対の走行フレーム25が着脱可能にそれぞれ取り付けられている。この走行フレーム25の後端部には、駆動輪となるスプロケットホイール26が設けられ、走行フレーム25の前端部には、クローラ11の張りを調節するためのアイドラホイール27が設けられている。また、走行フレーム25の下部には、サスペンション機構を備えた複数の転輪28が設けられ、上部には、複数のガイド部材25aが設けられている。
【0013】
前記クローラ11は、複数の金属製のクローラシュー12をリンクピン13にて無端状に連結し、スプロケットホイール26とアイドラホイール27とに掛け回したものであって、クローラシュー12は、車体幅方向に長辺12aを、車体前後方向に短辺12bを有する長方形状の基板12cと、該基板12cの長辺12a側からそれぞれ前後方向に突出して隣接するクローラシュー12に前記リンクピン13にて連結される連結部12d,12dと、前記基板12cの各長辺12aに沿って基板外面方向にそれぞれ突設した一対のゴムパッド保持片12e、12eと、前記基板12cの内面中央部に突設された係合突起12fと、前記基板12cの短辺12b側端部の内面にそれぞれ形成したゴムパッド固定ボルト装着用凹部12g,12gとを備えている。また、両ゴムパッド保持片12e、12eの間には、これらと平行に中間保持片12hが設けられ、各ゴムパッド固定ボルト装着用凹部12gには、ボルト挿通孔12iがそれぞれ設けられている。
【0014】
前記連結部12dは、一方の長辺12aから突出した2個の幅広の第1係合凸部12k,12kと、該第1係合凸部12k,12kを両側から挟み込む位置に他方の長辺12aから突出した4個の幅狭の第2係合凸部12m,12mとを有しており、各係合凸部12k,12mには、幅方向に貫通したピン挿通孔12nが形成されている。また、長辺12aの中央下部には、第2係合凸部12mの外側の形状に対応した突出片12pが設けられ、幅方向両側端部に位置する第2係合凸部12mの外側には、リンクピン抜け止めボルト14を取り付けるための通孔12qを形成した突片12rが設けられている。
【0015】
クローラシュー12の連結は、第2係合凸部12m,12mの間に形成される二つの凹部12sに、隣接するクローラシュー12から突出した第1係合凸部12kをそれぞれ挿入して両係合凸部を噛み合わせた状態とし、前記ピン挿通孔12nに、両側から前記リンクピン13,13をそれぞれ挿入し、通孔12qに挿通したリンクピン抜け止めボルト14をナットで螺着してリンクピン13を抜け止めすることにより行われる。走行フレーム25に組み付けられたクローラ11は、係合突起12fがスプロケットホイール26の係合凹部26aに係合することによって駆動され、係合突起12fがアイドラホイール27、転輪28及びガイド部材25aの溝部(図示せず)にガイドされて走行フレーム25の外周を循環する状態になる。
【0016】
クローラシュー12の外面に着脱可能に装着されるゴムパッド15は、ウレタンなどの合成ゴムによって形成されるものであって、反接地面側となる内側面には、ゴムパッド保持片12e、12e及び中間保持片12hによって形成される凹凸に対応した凹凸、すなわち、クローラシュー12の外面に形成された幅方向の2条の凹部12t,12tに嵌入する2条の凸部15a及び中間保持片12hが挿入される係合溝15bが設けられ、各凸部15aの幅方向両端部には、前記ボルト挿通孔12iに挿通されるゴムパッド固定ボルト16がそれぞれ埋め込まれている。また、ゴムパッド15の外側面には、ゴムパッド保持片12e、12e及び中間保持片12hの突出端より外側に突出する接地部15cが設けられている。
【0017】
このゴムパッド15は、ゴムパッド固定ボルト16をボルト挿通孔12iに挿通するとともに、各凸部15aを各凹部12tにそれぞれ嵌入させ、ボルト挿通孔12iから突出したゴムパッド固定ボルト16にナット16aを締結することにより、クローラシュー12の外面に凹凸嵌合した状態で装着される。このとき、基板12cの端部にゴムパッド固定ボルト装着用凹部12gを形成しているので、ゴムパッド固定ボルト16やナット16aがクローラ11の内周側に突出することはない。
【0018】
ゴムパッド15をクローラシュー12の外面に装着した状態では、ゴムパッド15の凸部15aが、ゴムパッド保持片12e、12e及び中間保持片12hで形成された凹部12tに嵌入しているので、ゴムパッド固定ボルト16にはほとんど負荷が掛からない状態で、クローラシュー12からの駆動力をゴムパッド15に効率よく伝達することができる。さらに、基板12cの前後に連結部12dが直線的に突出しているので、スプロケットホイール26からの駆動力をリンクピン13を介して各クローラシュー12に効率よく伝達することができる。
【0019】
また、クローラ11の内周側にリンク部材が設けられていないため、ゴムパッド15を装着したときの杭打機21の全高を、従来の構造のクローラにゴムパッドを装着した場合に比べて低くすることができる。これにより、リーダや手摺などを取り外すことによって杭打機21の全高を輸送制限高さ未満に抑えることができ、杭打機21を低床トレーラの荷台に積載して運搬することができる。しかも、クローラ11の構造を変更するだけでゴムパッド15の装着に対応することが可能となるので、各種機器配置の変更を伴うおそれがある上部旋回体23の設計変更を行わずにすみ、製造後の杭打機への対応も可能となる。さらに、本発明のクローラは、前記杭打機に限らず、各種大型建設機械に適用可能である。
【符号の説明】
【0020】
11…クローラ、12…クローラシュー、12a…長辺、12b…短辺、12c…基板、12d…連結部、12e…ゴムパッド保持片、12f…係合突起、12g…ゴムパッド固定ボルト装着用凹部、12h…中間保持片、12i…ボルト挿通孔、12k…第1係合凸部、12m…第2係合凸部、12n…ピン挿通孔、12p…突出片、12q…通孔、12r…突片、12s…凹部、12t…凹部、13…リンクピン、14…リンクピン抜け止めボルト、15…ゴムパッド、15a…凸部、15b…係合溝、15c…接地部、16…ゴムパッド固定ボルト、16a…ナット、21…杭打機、22…走行部、23…上部旋回体、23a…リーダアーム、23b…手摺、24…アーム、25…走行フレーム、25a…ガイド部材、26…スプロケットホイール、26a…係合凹部、27…アイドラホイール、28…転輪