(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095940
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】車両のハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 77/04 20140101AFI20170306BHJP
E05B 79/06 20140101ALI20170306BHJP
E05B 79/08 20140101ALI20170306BHJP
E05B 85/16 20140101ALI20170306BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
E05B77/04
E05B79/06 C
E05B79/08
E05B85/16 Z
B60J5/04 H
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-231541(P2012-231541)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-84563(P2014-84563A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】上村 勇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】井ヶ田 誠
【審査官】
古屋野 浩志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−256961(JP,A)
【文献】
特開2000−264064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/04
B60J 5/04
E05B 79/06
E05B 79/08
E05B 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドルをハンドルベースに連結し、該操作ハンドルを移動操作してドアラッチを解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドルは、初期位置において係止部をハンドルベースに係止させてドアラッチ開放操作が規制されるとともに、該初期位置から前記ドアラッチ解除操作方向と異なる方向への操作ハンドルへの操作により前記係止部の係止が解除されてドアラッチ開放操作が可能となり、
かつ、前記操作ハンドルには、開放操作可能位置においてハンドルベースを押圧して操作ハンドルを初期位置に付勢する押圧部材が装着されるとともに、
前記係止部は、前記押圧部材を突出方向に付勢するスプリングにより押圧部材の突出方向と反対方向に突出するように付勢されてラッチ解除操作位置から初期位置に至る復路においてハンドルベースに弾発係止可能な車両のハンドル装置。
【請求項2】
ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドルをハンドルベースに連結し、該操作ハンドルを移動操作してドアラッチを解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドルは、不使用時に押圧部材により保持される初期位置において係止部をハンドルベースに係止させてドアラッチ開放操作が規制され、該初期位置から前記ドアラッチ解除操作方向と異なる方向への操作ハンドルへの操作により係止部の係止が解除されてドアラッチ開放操作が可能になる車両のハンドル装置。
【請求項3】
前記操作ハンドルには開放操作可能位置から初期位置に向けて付勢して操作ハンドルを不使用時に初期位置に保持する付勢力が付与される請求項2記載の車両のハンドル装置。
【請求項4】
前記係止部は、ラッチ解除操作位置から初期位置に至る復路においてハンドルベースに弾発係止する請求項2または3記載の車両のハンドル装置。
【請求項5】
前記操作ハンドルには、開放操作可能位置においてハンドルベースを押圧して操作ハンドルを初期位置に付勢する押圧部材が装着されるとともに、
係止部は、前記押圧部材を突出方向に付勢するスプリングにより押圧部材の突出方向と反対方向に突出するように付勢されてラッチ解除操作位置から初期位置に至る復路においてハンドルベースに弾発係止する請求項2記載の車両のハンドル装置。
【請求項6】
ハンドルベースに連結され、ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドルをハンドルベースとの回転中心周りに初期位置から回転操作してドアラッチを解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドルは、係止部をハンドルベースに係止させて前記回転操作が規制された初期位置において、前記回転操作に加え、該回転操作の回転方向と異なる回転軸周りの第2の回転操作が可能にハンドルベースに連結され、
かつ、操作ハンドルは、前記第2の回転操作により係止部の係止が解除されてドアラッチ解除方向への回転操作が可能に形成される車両のハンドル装置。
【請求項7】
前記操作ハンドルのハンドルベースへの連結部位には、前記初期位置からドアラッチ解除方向への回転操作時の回転軸に対して直交する回転軸周りの回転自由度が設定される請求項6記載の車両のハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カウンタウエイト等の慣性力相殺質量を使用することなく車両への衝突力が付与された際の慣性によるドア開放を防止した車両のハンドルとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、ハンドルにはサイドドアの係止部に係止する係止位置と係止解除位置との間で回転自在なレバーが連結される。レバーはバネにより係止位置に付勢されて係止部に係止するために、非操作状態においてはハンドルのサイドドアに対する相対移動が規制さて衝撃によるサイドドアの開放動作が防止される。
【0004】
また、上記レバーはハンドルを操作する際に操作者の手がぶつかる位置に配置されており、ハンドル操作時に係止解除位置に移動し、ハンドルを使用したサイドドアの操作が許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-264064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、ハンドルの操作を可能にするためには、ハンドル裏面に配置されるレバー位置を探って該レバーを操作する必要があるために、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、衝突によるドアの開放を確実に防止可能で、かつ、使い勝手が良好な車両のハンドル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドル1をハンドルベース2に連結し、該操作ハンドル1を移動操作してドアラッチ3を解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドル1は、初期位置において係止部4をハンドルベース2に係止させてドアラッチ開放操作が規制されるとともに、該初期位置から前記ドアラッチ解除操作方向と異なる方向への操作ハンドル1への操作により前記係止部4の係止が解除されてドアラッチ開放操作が可能となり、
かつ、前記操作ハンドル1には、開放操作可能位置においてハンドルベース2を押圧して操作ハンドル1を初期位置に付勢する押圧部材5が装着されるとともに、
前記係止部4は、前記押圧部材5を突出方向に付勢するスプリング6により押圧部材5の突出方向と反対方向に突出するように付勢されてラッチ解除操作位置から初期位置に至る復路においてハンドルベース2に弾発係止可能な車両のハンドル装置を提供することにより達成される。
【0009】
操作ハンドル1は車両に固定されるハンドルベース2に対して所定の開放操作方向に移動操作することによりドアラッチ3を解除操作するように構成されており、初期位置、すなわち、不使用状態においては、上記ドアラッチ3を解除する操作は操作ハンドル1の係止部4をハンドルベース2に係止させて規制される。
【0010】
また、操作ハンドル1は、初期位置において上記開放操作方向と異なる方向に並進、あるいは回転等の移動操作をして初期位置からラッチ解除操作位置に移動する自由度を有してハンドルベース2に装着されており、ラッチ解除操作位置において操作ハンドル1のハンドルベース2との係止状態は解除され、以後、ドアラッチ解除操作が可能になる。
【0011】
したがってこの発明において、操作ハンドル1は初期位置においてドアラッチ3の解除操作が規制されているために、衝突時に発生する慣性力等の作用によって操作ハンドル1がドアラッチ解除操作方向に作動してドアが不用意に開放されることが防止される。また、係止解除操作は、操作ハンドル1自体のラッチ解除操作位置への移動操作により行われるために、従来例のように、操作ハンドル1に連結されたレバー等の付属物を別途操作する必要がないために、操作性が良好で、かつ、操作信頼性を高めることができる。
【0012】
また、ハンドル装置は、
ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドル1をハンドルベース2に連結し、該操作ハンドル1を移動操作してドアラッチ3を解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドル1は、不使用時に
押圧部材により保持される初期位置において係止部4をハンドルベース2に係止させてドアラッチ開放操作が規制され、該初期位置から前記ドアラッチ解除操作方向と異なる方向への操作ハンドル1への操作により係止部4の係止が解除されてドアラッチ開放操作が可能になるように構成することができる。
【0013】
操作ハンドル1は
押圧部材により初期位置に保持することができるが、
前記操作ハンドル1には開放操作可能位置から初期位置に向けて付勢して操作ハンドル1を不使用時に初期位置に保持する付勢力が付与されるように構成すると、構造が簡単で、かつ、初期位置への復帰動作が確実になる。
【0014】
さらに、ハンドル装置は、
前記係止部4は、ラッチ解除操作位置から初期位置に至る復路においてハンドルベース2に弾発係止するように構成することができる。
【0015】
ドアラッチ解除操作は、操作ハンドル1を初期位置から開放操作可能位置まで操作した後、さらにラッチ解除操作位置まで移動させて行い、同様のルートでを辿って初期位置に復帰させることも可能であるが、係止部4を弾発係止可能に形成すると、復路において係止部4は弾性的に縮退してハンドルベース2の被係止部4を乗り越えることができる。この結果、操作ハンドル1は、ラッチ解除操作位置から初期位置に向けて開放操作可能位置を経由することなく復帰させることが可能になるために、スプリング6等を使用してラッチ解除操作位置から初期位置に復帰させる構成を取る場合には、復帰動作の信頼性を高めることが可能になる。
【0016】
また、ハンドル装置は、
前記操作ハンドル1には、開放操作可能位置においてハンドルベース2を押圧して操作ハンドル1を初期位置に付勢する押圧部材5が装着されるとともに、
係止部4は、前記押圧部材5を突出方向に付勢するスプリング6により押圧部材5の突出方向と反対方向に突出するように付勢されてラッチ解除操作位置から初期位置に至る復路においてハンドルベース2に弾発係止するように構成することができる。
【0017】
さらに、
ハンドルベース2に連結され、ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドル1をハンドルベース2との回転中心周りに初期位置から回転操作してドアラッチ3を解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドル1は、係止部4をハンドルベース2に係止させて前記回転操作が規制された初期位置において、前記回転操作に加え、該回転操作の回転方向と異なる回転軸周りの第2の回転操作が可能にハンドルベース2に連結され、
かつ、操作ハンドル1は、前記第2の回転操作により係止部4の係止が解除されてドアラッチ解除方向への回転操作が可能に形成される車両のハンドル装置を構成することが可能である。
【0018】
操作ハンドル1の第2の回転操作の際の回転軸は、初期位置からドアラッチ解除方向に回転操作する際の回転軸を傾斜させる方向に設定し、操作ハンドル1をドアラッチ解除方向への回転面に直交する平面内で回転させることも可能であるが、
前記操作ハンドル1のハンドルベース2への連結部位には、前記初期位置からドアラッチ解除方向への回転操作時の回転軸に対して直交する回転軸周りの回転自由度が設定される車両のハンドル装置を構成すると、第2の回転操作を意識することなく係止部4の係止解除動作が行われるために、操作性が低下することがない。
【0019】
すなわち、初期位置において、操作ハンドル1の一側面に回転操作力を与えた場合、例えば、車長方向に長いグリップ式の操作ハンドル1の上端縁に回転操作力を与えた場合、操作ハンドル1は、回転面への移動が規制されているために、操作ハンドル1上縁には接触位置に発生している摩擦力による操作力が発生し、まず、上述した第2の回転操作が発生して係止部4の係止が解除された後、引き出し方向の操作力によりドアラッチ解除方向の回転操作が発生し、ドアラッチ3を解除させることができる。
【0020】
また、車両に側方衝突が発生した場合、このような摩擦力により第2の回転操作力は発生しないために、操作ハンドル1が開放操作可能位置に移動することはなく、ドアの不用意な開放が確実に防がれる。
なお、本発明によれば、
ドア開閉の際の手掛けとなる操作ハンドル1をハンドルベース2に連結し、該操作ハンドル1を移動操作してドアラッチ3を解除操作する車両のハンドル装置であって、
前記操作ハンドル1は、不使用時に適宜手段で保持される初期位置において係止部4をハンドルベース2に係止させてドアラッチ開放操作が規制され、該初期位置から前記ドアラッチ解除操作方向と異なる方向への操作ハンドル1への操作により係止部4の係止が解除されてドアラッチ開放操作が可能になる車両のハンドル装置を提供することも可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、操作ハンドル1が初期位置においてドアラッチ3を解除する方向への移動が規制されるために、車体に衝突力が負荷され、操作ハンドル1に慣性力が発生しても、操作ハンドル1がドアラッチ解除操作方向に動作することがないために、ドアの開放を確実に防止することができる。
【0022】
また、ドアラッチ解除操作方向への移動を規制している係止部4の係止は、操作ハンドル1を該ドアラッチ解除操作方向と異なる方向に移動操作することにより解除することができるために、使い勝手の低下を招くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1の断面図で、(a)は初期位置における2A-2A線断面図、(b)はラッチ解除操作位置における2A-2A線断面図である。
【
図3】操作ハンドルの連結部を示す図で、(a)は
図1の3A-3A線断面図、(b)は初期位置における
図3(a)の3B方向矢視図、(c)はラッチ解除操作位置における
図3(a)の3B方向矢視図である。
【
図5】本発明の動作を示す図で、(a)は開放操作可能位置における
図1の4A-4A線断面図、(b)はラッチ解除操作位置における
図1の4A-4A線断面図である。
【
図6】開放操作可能位置における
図1の3A-3A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1以下に示すように、ハンドル装置は、車両のドアパネルに固定されるハンドルベース2に操作ハンドル1を連結して形成される。ハンドルベース2は図外のドアパネルの裏面に沿って適宜手段によりドアパネルに固定される。
【0025】
操作ハンドル1は、車長方向に長寸で、前端部(以下、本明細書において
図1に示す姿勢を基準に右を「前」、紙面手前側の「正面」、反対方を「裏面」とする。)にヒンジ脚部7を、後端部に作動脚部8を各々突設して形成され、ヒンジ脚部7をハンドルベース2に係止させて
図2(a)に示す初期位置から
図2(b)に示すラッチ解除位置まで回転操作可能に連結される。
【0026】
ヒンジ脚部7をハンドルベース2に回転自在に連結するために、ヒンジ脚部7には、ベース係止溝7aが形成されるとともに、ハンドルベース2の前方部の側壁にはヒンジ突部2aが突設され、ハンドルベース2の前部開口2bから挿入されたヒンジ脚部7のベース係止溝7aをヒンジ突部2aに係止させてヒンジ回転中心が形成される。
【0027】
操作ハンドル1のハンドルベース2への連結は、車両にハンドルベース2を固定した後行われ、装着状態でのがたつきを防止するために、ハンドルベース2には操作ハンドル1の前端を弾性的に当接して該操作ハンドル1を後方に付勢する弾性舌片2cが設けられ、操作ハンドル1の後方への移動は、作動脚部8をハンドルベース2に固定されるストッパ9に当接させて規制される。
【0028】
また、操作ハンドル1の作動脚部8には、係止段部8aが形成されるとともに、ハンドルベース2には中継レバー10が装着される。中継レバー10は、ハンドルベース2の後部開口2dから挿入された作動脚部8の係止段部8aに係止するアーム部10aを有して前後方向を向く回転軸(C0)周りに回転自在に連結される。この中継レバー10は、トーションスプリング11によりアーム部10aが
図2(b)に示す作動回転位置から
図2(a)に示す初期回転位置側に向けて付勢されており、当該トーションスプリング11の付勢力により操作ハンドル1は初期位置に付勢、保持される。
【0029】
さらに、
図4に示すように、中継レバー10には回転軸(C0)から適宜間隔離れた位置に伝達部材連結部10bが形成される。伝達部材連結部10bには、
図1に示すように、一端がドアパネルに固定されるドアラッチ3に連結される伝達部材12の他端が連結される。
【0030】
本例において伝達部材12にはアウターケーブル内にインナーケーブルを移動自在に挿通させたケーブル装置が使用されており、ハンドルベース2にはケーブル装置のアウターケーブルを固定するためのケーブル固定部2eが設けられる。
【0031】
したがってこの実施の形態において、操作ハンドル1を初期位置からラッチ解除位置まで回転操作すると、中継レバー10はアーム部10aが操作ハンドル1の係止段部8aにより正面側に押し出され、
図4に示す初期回転位置から
図5(b)に示す作動回転位置まで回転する。中継レバー10の回転に伴って中継レバー10の伝達部材連結部10bも移動して伝達部材12に引張方向の変位を付与し、ドアラッチ3の解除動作が行われる。
【0032】
以上の操作ハンドル1が初期位置から直接ラッチ解除位置まで移動することを規制するために、
図4に示すように、操作ハンドル1には初期位置においてハンドルベース2に形成される被係止部13に係止する係止部4が設けられる。
【0033】
係止部4は、作動脚部8の先端に形成される上下方向を向く係止部収容孔14内に上下方向移動自在に収容され、圧縮スプリング6により突出方向に付勢される。この係止部4を係止する被係止部13は、作動脚部8の表裏方向への移動をガイドするガイド壁面15に形成されており、操作ハンドル1が表面方向に移動した際に突出状態の係止部4に当接して該操作ハンドル1の表面側への移動を規制する。
【0034】
係止部4が被係止部13に当接した際に係止部4に没入方向の分力が発生しないように、係止部4と被係止部13は作動脚部8の移動方向に対して直交する面で当接する。
【0035】
係止部4の被係止部13との係止を解除して操作ハンドル1をラッチ解除位置まで回転操作可能にするために、操作ハンドル1には、操作ハンドル1の回転軸(C0)に対して直交する軸周りに回転して開放操作可能位置まで回転操作するための自由度が与えられる。回転自由度は、
図4に示すように、ガイド壁面15の被係止部13形成壁面に対して対向する壁面を裏面側に行くにしたがって漸次幅広となるように傾斜面15aにより形成するとともに、
図3(a)に示すように、ヒンジ脚部7のベース係止溝7aとハンドルベース2のヒンジ突部2aとの間に回転クリアランス(θ)を設けることにより与えられる。
【0036】
さらに、
図4に示すように、上記係止部4が収容される係止部収容孔14には、圧縮スプリング6を介して押圧部材5が収容され、係止部収容孔14に開設される開口から突出する。圧縮スプリング6により突出方向に付勢される押圧部材5は突出端が球面により形成されて傾斜面を押圧し、操作ハンドル1を開放操作可能位置から初期位置側に付勢して初期位置に保持する。
【0037】
したがってこの実施の形態において、操作ハンドル1を使用しない初期位置においては、操作ハンドル1は係止部4がハンドルベース2の被係止部13に係止しているためにヒンジ回転軸(C0)周りの回転操作が規制される。この状態から操作ハンドル1の中央部に
図1において矢印F方向、すなわち、下方向の操作力を付与すると、操作ハンドル1には回転クリアランス(θ)を解消する方向の回転力が発生し、
図5(a)、
図6に示すように、操作ハンドル1は開放操作可能位置に移動する。
【0038】
図5(a)に示すように、開放操作可能位置において係止部4と被係止部13との係止は解除されるために、この後、操作ハンドル1にヒンジ回転軸(C0)周りに回転させる操作力を付与すると、
図5(b)に示すように、操作ハンドル1をラッチ解除操作位置まで引き出すことができ、引き出し操作途中において、被係止部13を乗り越えた係止部4はガイド壁面15に押されて係止部収容孔14内に没入する。
【0039】
また、この状態で、操作ハンドル1への操作力を解除すると、操作ハンドル1は中継レバー10に付与されたトーションスプリング11からの付勢力により初期位置側へ移動する。操作ハンドル1の移動に伴って押圧部材5は傾斜面15aに押されて没入し、初期位置において係止部4が圧縮スプリング6の復元力により原位置に復帰して被係止部13に弾発的に係止し、
図5(a)に示す開放操作可能位置を経由することなく直接初期位置に復帰する。
【0040】
なお、以上においては、操作ハンドル1を回転操作して開放操作可能位置に移動させる場合が示したが、開放操作可能位置への移動操作は、初期位置からのラッチ解除操作方向と異なる方向への操作であれば、例えば、操作ハンドル1の前方、あるいは後方に並進移動等、種々の方向に設定することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 操作ハンドル
2 ハンドルベース
3 ドアラッチ
4 係止部
5 押圧部材
6 スプリング