(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高層建築物の鉄骨建方工事においては、工事が進行して、鉄骨建方エリアが上層に移動するに従って、地上のトータルステーションから全ての鉄骨柱頂部を見通せない場合が出てくる。
この場合、トータルステーションを建物の周囲でかつ鉄骨建方エリア全体を見通せる場所に盛り替える必要があるが、適当な設置場所を見付けるのは困難である。
【0007】
本発明は、計測対象点である柱部材の頂部を容易かつ確実に計測して、建方工事を円滑に実施できる建方方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の建方方法は、一組の複数の柱部材(例えば、後述の鉄骨柱3)を組み立てる建方方法であって、当該一組の柱部材を取り付けた状態で、前記各柱部材の頂部を計測対象点(例えば、後述の計測対象点M1〜M8)とし、前記各柱部材の頂部のうち当該計測対象点を見通せる位置を計測点(例えば、後述の計測点P)とするとともに、当該計測点から見通せる2箇所に基準点(例えば、後述の基準点O1、O2)を設ける設定手順(例えば、後述のステップS1、S2)と、前記計測点に対する前記基準点の相対位置および前記計測点に対する前記計測対象点の相対位置を測定することで、前記基準点を基準として前記計測対象点の位置を求める計測手順(例えば、後述のステップS3〜S5)と、当該計測対象点の位置に基づいて、前記一組の柱部材の建て入れを修正する修正手順(例えば、後述のステップS6〜S8)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の建方方法は、箱状のフレーム(例えば、後述のフレーム21)、当該フレームの内部に収容された計測装置(例えば、後述の計測装置22)、および、当該計測装置を前記フレームの外部に向かって突没させる駆動機構(例えば、後述の駆動機構23)を備える計測ユニット(例えば、後述の計測ユニット11)を用いて、前記計測装置は、ターゲット(例えば、後述の反射プリズム12)に向かって光を照射し、当該ターゲットの反射光に基づいて、当該計測装置に対する前記ターゲットの相対位置を計測するものであり、前記設定手順は、前記一組の柱部材を取り付ける前に、前記計測点が設けられる柱部材に前記計測装置が収納された状態で前記計測ユニットを取り付けるとともに、前記計測対象点が設けられた柱部材および前記基準点に前記ターゲットを設置する手順(例えば、後述のステップS1)と、前記一組の柱部材を取り付ける手順(例えば、後述のステップS2)と、を備え、前記計測手順は、前記計測ユニットの駆動機構を駆動させて、前記計測装置を前記フレームの外部に突出させる手順(例えば、後述のステップS3)と、当該計測装置を前記計測点として、前記計測装置により当該計測装置に対する前記基準点の相対位置および当該計測装置に対する前記計測対象点の相対位置を測定して、前記基準点を基準として前記計測対象点の位置を求める手順(例えば、後述のステップS4、S5)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の計測ユニットは、箱状のフレームと、当該フレームの内部に収容された計測装置と、当該計測装置を前記フレームの外部に向かって突没させる駆動機構と、を備え、前記計測装置は、ターゲットに向かって光を照射し、当該ターゲットの反射光に基づいて、当該計測装置に対する前記ターゲットの相対位置を計測すること
が好ましい。
【0011】
この発明によれば、1つの柱部材の頂部を計測点として、この計測点から計測対象点である各柱部材の頂部を計測したので、計測対象点を容易かつ確実に計測して、建方工事を円滑に実施できる。
また、地上にて、1つの柱部材の頂部に計測ユニットを取り付けたので、一組の柱部材を取り付けると、計測装置も一体的に高所に据え付けられる。よって、計測作業員が計測装置の取付けのために高所に上る必要がなく、計測作業員の安全性を確保できる。
また、このとき、計測装置をフレームに収納した状態で部材を高所に取り付けたので、部材の組立て作業中、計測装置はフレームに保護されるから、計測装置に他の部材が衝突して計測装置が故障するのを防止できる。
【0012】
また、一組の柱部材を取り付けた後は、計測作業時のみ駆動機構を駆動して計測装置をフレームから突出させることにより、計測装置に他の部材や風雨が当たって計測装置が故障するのをより確実に防止できる。
また、駆動機構を遠隔操作すれば、計測作業員が計測装置を動作させるために高所に移動する必要がなく、計測作業員の安全性を確保できる。
【0013】
本発明の計測ユニットは、前記フレームの内部に設けられて前記計測装置を挟み込んで保持するロック機構(例えば、後述のロック機構24)をさらに備えること
が好ましい。
【0014】
この発明によれば、計測装置を挟み込んで保持するロック機構を設けたので、柱部材の取付け作業中に計測装置が振動して故障するのを防止できる。
また、計測ユニットを横倒しにしても、ロック機構で計測装置を保持することにより、計測装置の位置ずれを防止できる。よって、柱部材を横倒しにして仮置きした状態で、この柱部材の頂部に計測ユニットを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つの柱部材の頂部を計測点として、この計測点から計測対象点である各柱部材の頂部を計測したので、計測対象点を確実に計測して、建方工事を円滑に実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建方方法が適用された鉄骨構造1の斜視図である。
鉄骨構造1は、鉄骨建方作業により、最下層(第1節)の1ブロック分の鉄骨部材2を組み立てて構築される。鉄骨部材2としては、略鉛直方向に延びる柱部材としての鉄骨柱3と、略水平方向に延びる梁部材としての鉄骨大梁4と、がある。
【0018】
鉄骨部材2を取り付けた状態において、各鉄骨柱3の頂部を計測対象点M1〜M8とする。また、鉄骨柱3の頂部のうちこれら計測対象点M1〜M8を見通せる位置を計測点Pとする。具体的には、この計測点Pは、
図1中左上の鉄骨柱3Aの頂部の直上に設けられる。
また、計測点Pから見通せる地上の2箇所に、基準点O1、O2を設ける。
【0019】
本発明の建方方法は、計測システム10を用いて、鉄骨構造1の鉄骨部材2の建方を行う。
計測システム10は、鉄骨柱3Aの頂部に取り付けられてかつ計測装置22を有する計測ユニット11と、ターゲットとしての反射プリズム12およびターゲットとしての図示しないターゲット板と、現場内の管理事務所に設置された制御装置13と、を備える。
【0020】
反射プリズム12は、基準点O1、O2および鉄骨柱3の頂部の計測対象点M2〜M8に配置される。ターゲット板は、鉄骨柱3Aの頂部の計測対象点M1に設けられる。
【0021】
計測ユニット11に設けられた計測装置22は、トータルステーションであり、水平方向に360°、上下方向に所定角度の範囲内で、視準可能である。この計測装置22は、反射プリズム12およびターゲット板に向かって光を照射し、この反射プリズム12およびターゲット板の反射光に基づいて、計測装置22に対する反射プリズム12およびターゲット板の相対位置を計測する。
【0022】
図2は、計測ユニット11の側面図、縦断面図、および横断面図である。
計測ユニット11は、鉄骨柱3Aの頂部に取り付けられた箱状のフレーム21と、このフレーム21の内部に収容された自動視準式のトータルステーションである計測装置22と、この計測装置22をフレーム21の外部に向かって突没させる駆動機構23と、フレーム21の内部に設けられて計測装置22を挟み込んで保持するロック機構24と、を備える。
【0023】
フレーム21は、アングル材211を接合して形成され、このフレーム21の上面には、開閉可能な蓋部212が設けられている。
【0024】
駆動機構23は、上下方向に延びるガイドレール231と、このガイドレール231に沿って移動可能な支持台232と、スプロケット233が回転自在に設けられたピストンロッド234と、フレーム21に固定されてピストンロッド234を上下方向に進退させる上下シリンダ機構235と、この上下シリンダ機構235から延びてスプロケット233に巻き回されて支持台232に連結されたチェーン236と、を備える。
【0025】
ピストンロッド234の先端には、蓋部212に連結される連結ロッド237が設けられている。
支持台232の上には、自動的に水平を確保する自動整準台221が載置され、計測装置22は、この自動整準台221の上に設けられている。
【0026】
以上の計測ユニット11は、以下のようにしてフレーム21から突出する。
図3(a)に示すように、駆動機構23の上下シリンダ機構235を駆動して、ピストンロッド234を上方に移動させる。
【0027】
すると、ピストンロッド234とともにスプロケット233も上方に移動する。チェーン236はスプロケット233に巻き回されており、かつ、このチェーン236の一端は上下シリンダ機構235に固定されているので、スプロケット233が上方に移動することにより、支持台232はチェーン236により上方に引き上げられる。これにより、支持台232は、ガイドレール231に沿って上方に移動する。
【0028】
また、
図3(b)に示すように、ピストンロッド234とともに連結ロッド237も上方に移動するので、連結ロッド237により蓋部212が押し上げられて、蓋部212が開放されることになる。
【0029】
以上より、駆動機構23の上下シリンダ機構235を駆動してピストンロッド234を上方に移動することにより、蓋部212が開放されて、フレーム21の内部から計測装置22が外部に突出する。
一方、駆動機構23の上下シリンダ機構235を駆動してピストンロッド234を下方に移動することにより、フレーム21の内部に計測装置22が収納されて、蓋部212が閉鎖される。
【0030】
ロック機構24は、
図3(b)にも示すように、計測装置22を挟んで設けられて略水平方向に延びる一対のガイドレール241と、これら一対のガイドレール241に跨ってかつ計測装置22を挟んで設けられてガイドレール241に沿って移動可能な一対の挟持部242と、これら一対の挟持部242をガイドレール241に沿って進退させる水平シリンダ機構243と、を備える。
【0031】
ロック機構24の水平シリンダ機構243を駆動して、一対の挟持部242を互いに接近させることにより、一対の挟持部242で計測装置22が挟み込まれて、計測装置22がロックされる。
一方、ロック機構24の水平シリンダ機構243を駆動して、一対の挟持部242を互いに離間させることにより、計測装置22のロックが解除される。
【0032】
図4は、制御装置13の概略構成を示すブロック図である。
制御装置13は、計測装置22、駆動機構23、ロック機構24を制御するものである。この制御装置13は、キーボードやマウスで構成される入力手段41、モニタなどの表示手段42、ハードディスク等の情報を記憶する記憶手段43、および管理用端末44を備える。
【0033】
記憶手段43は、計測対象点M1〜M8の正しい三次元位置座標を予め記憶するとともに、後述のフローチャートに示す処理を実行するプログラムを記憶する。
【0034】
管理用端末44は、無線LANや有線LANなどにより、他のコンピュータや携帯端末45からアクセス可能となっている。
この管理用端末44は、種々のプログラムを実行するものであり、動作制御を行うOS(Operating System)上に展開されるプログラムとしての、機構制御手段50、座標系設定手段51、計測手段52、誤差算定手段53、および誤差集計手段54を備える。
【0035】
機構制御手段50は、駆動機構23を駆動して、計測装置22をフレーム21の外部に突没させるとともに、ロック機構24を駆動して、計測装置22をロックしたりロックを解除したりする。
座標系設定手段51は、計測装置22により、基準点O1、O2上の反射プリズム12を視準して、この計測装置22に対する基準点O1、O2の相対位置を求めて、計測のための三次元座標系を設定する。
【0036】
計測手段52は、計測装置22により、計測対象点M1〜M8の反射プリズム12およびターゲット板を視準して、計測装置22に対する計測対象点M1〜M8の相対位置を求めて、設定した三次元座標系における計測対象点M1〜M8の三次元位置座標を求める。
【0037】
誤差算定手段53は、記憶手段43から計測対象点M1〜M8の正しい三次元位置座標を読み出して、算定した計測対象点M1〜M8の三次元位置座標と比較し、この差分を施工誤差として求める。
【0038】
誤差集計手段54は、施工誤差を集計して整理し、精度管理記録として記憶手段43に記憶する。
【0039】
携帯端末45は、専用のアプリケーションをインストールすることで、無線LAN回線を介して、管理用端末44にアクセス可能である。
【0040】
次に、鉄骨建方の手順について、
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
まず、ステップS1では、計測対象点M1〜M8、計測点P、および基準点O1、O2を設定する。そして、地上にて、鉄骨柱3の頂部の計測対象点M1〜M8に反射プリズム12およびターゲット板を取り付ける。このうち、計測点Pが設けられた鉄骨柱3Aの頂部には、計測装置22が収納された状態で計測ユニット11を取り付ける。つまり、計測ユニット11は、鉄骨柱3Aの計測対象点M1を覆うように取り付けられる。
また、地上の2箇所の基準点O1、O2に反射プリズム12を設置する。
【0042】
ステップS2では、1ブロック分の鉄骨柱3を取り付けて、その後、これら鉄骨柱3同士を連結する鉄骨大梁4を取り付ける。この状態では、ボルトを仮締めして、鉄骨柱3および鉄骨大梁4を仮固定しておく。
ステップS3では、機構制御手段50により、計測ユニット11のロック機構24を駆動して、計測装置22のロックを解除し、さらに駆動機構23を駆動して、計測装置22をフレーム21の外部に突出させる。すると、この高所の計測装置22は、計測点Pであり、基準点O1、O2および計測対象点M1〜M8を見通すことができる。
【0043】
ステップS4では、座標系設定手段51により、計測装置22を駆動して基準点O1、O2の反射プリズム12を視準し、計測のための三次元座標系を設定する。
具体的には、計測装置22が自動的に基準点O1、O2の反射プリズム12を視準し、計測装置22に対する基準点O1、O2の相対位置を求める。そして、計測装置22は、この求めた相対位置に基づいて、三次元座標系を設定し、無線LANで管理用端末44に送信する。
【0044】
ステップS5では、計測手段52により、計測装置22を駆動して計測対象点M1〜M8の反射プリズム12およびターゲット板を視準し、計測対象点M1〜M8の三次元位置座標を求める。
【0045】
具体的には、計測対象点M1〜M8の正しい三次元位置座標を記憶手段43から読み出して、これら読み出した計測対象点M1〜M8の正しい三次元位置座標に向けて、計測装置22を自動的に視準する。
そして、計測装置22に対する計測対象点M1〜M8の相対位置を求める。計測装置22は、この求めた相対位置に基づいて、基準点O1、O2を基準とする計測対象点M1〜M8の位置つまり計測対象点M1〜M8の三次元位置座標を算定し、無線LANで管理用端末44に送信する。
【0046】
ステップS6では、誤差算定手段53により、記憶手段43から計測対象点M1〜M8の正しい三次元位置座標を読み出して、算定した計測対象点M1〜M8の三次元位置座標と比較し、この差分を施工誤差として求めて、表示手段42に表示する。
【0047】
ステップS7では、建入れ調整が完了したか否かを判定する。この判定がNoである場合には、ステップS8に移り、Yesである場合には、ステップS9に移る。
ステップS8では、建方作業員は、携帯端末45から管理用端末44にアクセスして施工誤差を確認して、建入れ直しワイヤを用いて、取り付けた鉄骨柱3および鉄骨大梁4の建入れを修正する。その後、ステップS5に戻る。
【0048】
ステップS9では、鉄骨建方作業が完了したので、機構制御手段50により、計測ユニット11の駆動機構23を駆動して、計測装置22をフレーム21の内部に収納し、さらにロック機構24を駆動して、計測装置22をロックする。
また、誤差集計手段54により、施工誤差を集計して整理し、精度管理記録として記憶手段43に記憶する。
なお、図示しないが、その後、高力ボルトによる本締めや溶接作業を行い、これらの作業が完了した後、ステップS5に戻って、再度、最終的な計測を行う。これらの作業を1ブロック毎に行う。
【0049】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)鉄骨柱3Aの頂部を計測点Pとして、この計測点Pから計測対象点M1〜M8である各鉄骨柱3の頂部を計測したので、計測対象点M1〜M8を容易かつ確実に計測して、建方工事を円滑に実施できる。
【0050】
また、地上にて、鉄骨柱3の1つである鉄骨柱3Aの頂部に計測ユニット11を取り付けたので、これら鉄骨部材2を取り付けると、計測装置22も一体的に高所に据え付けられる。よって、計測装置22を全ての計測対象点M1〜M8を見通せる計測点Pに容易に設置できる。また、計測作業員が計測装置22の取付けのために高所に上る必要がなく、計測作業員の安全性を確保できる。
また、このとき、計測装置22をフレーム21に収納した状態で、鉄骨柱3Aを高所に取り付けたので、鉄骨建方の作業中、計測装置22はフレーム21に保護されるから、計測装置22に他の部材が衝突して計測装置22が故障するのを防止できる。
【0051】
また、鉄骨建方の完了後は、計測作業時のみ駆動機構23を駆動して計測装置22をフレーム21から突出させることにより、計測装置22に他の部材や風雨が当たって計測装置22が故障するのをより確実に防止できる。
また、駆動機構23を制御装置13で遠隔操作したので、計測作業員が計測装置22を動作させるために高所に移動する必要がなく、計測作業員の安全性を確保できる。
【0052】
(2)計測装置22を挟み込んで保持するロック機構24を設けたので、鉄骨建方作業中に計測装置22が振動して故障するのを防止できる。
また、計測ユニット11を横倒しにしても、ロック機構24で計測装置22を保持することにより、計測装置22の位置ずれを防止できる。よって、鉄骨柱3Aを横倒しにして仮置きした状態で、この鉄骨柱3Aの頂部に計測ユニット11を取り付けることができる。
【0053】
(3)計測作業では、計測装置により計測対象点M1〜M8の三次元位置座票を求めて、この求めた計測対象点M1〜M8の三次元位置座票と計測対象点M1〜M8の正しい三次元位置座標と比較し、建入れを修正する作業を繰り返す。
ここで、計測対象点M1〜M8の計測順序をプログラム化し、記憶手段43に予め記憶させたので、自動で計測作業を完了できる。よって、計測に要する時間を大幅に短縮することができるとともに、1つの計測対象点を繰り返し計測することで、より正確な精度管理が可能となる。
【0054】
(4)計測装置22の計測結果は、制御装置13に自動的かつ瞬時に転送され、計測対象点M1〜M8の施工誤差がリアルタイムに表示されるので、建入れ作業を円滑に行うことができる。
【0055】
また、専用のアプリケーションがインストールされた携帯端末45を組立て作業員に持たせることで、計測作業員だけでなく組立て作業員が携帯端末45上で計測結果を確認して、直ちに建入れを修正できる。このため、従来のように、計測作業員が施工誤差を計測し、組み立て作業員に修正する位置寸法を伝えて、組立て作業員が建入れを修正した後に再度計測を行う、といった従来の建入れ作業のプロセスを大幅に簡略化できる。
なお、現場担当者にも携帯端末45を持たせることで、現場担当者が携帯端末45上で計測結果を確認でき、建入れ作業の進捗状況を容易に把握できる。
【0056】
(5)鉄骨建方作業が完了すると、誤差集計手段54により、施工誤差を集計して整理し、精度管理記録として記憶手段43に記憶する。これにより、報告書作成に係る工事担当者の手間を軽減し、作業の効率化を図ることができる。
【0057】
(6)自動整準台221の上に計測装置22を設置したので、計測装置22を自動的に水平面上に配置できる。
【0058】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、本発明を鉄骨構造1の精度管理に適用したが、これに限らず、プレキャストコンクリート構造の精度管理や、杭工事の杭芯位置の精度管理にも適用できる。
【0059】
また、本実施形態では、ステップS2において、1ブロック分の鉄骨柱3および鉄骨大梁4を全て取り付けて、ステップS8において、これら取り付けた鉄骨柱3および鉄骨大梁4の建入れをまとめて修正したが、これに限らない。
すなわち、
図6に示すように、ステップS2において、鉄骨柱3を1本ずつ取り付けて、ステップS8において、建入れ修正治具を用いて、取り付けた鉄骨柱3の建入れを1本ずつ修正してもよい。この場合、全ての鉄骨柱3の建入れを修正した後、鉄骨大梁4を取り付けて、再度、1ブロック分の鉄骨柱3および鉄骨大梁4からなる架構全体の建入れを修正する。