特許第6095946号(P6095946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧

特許6095946機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置
<>
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000002
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000003
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000004
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000005
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000006
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000007
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000008
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000009
  • 特許6095946-機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095946
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20170306BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   E04H6/18 610
   E04H6/42 Z
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-241761(P2012-241761)
(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公開番号】特開2014-91934(P2014-91934A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】天野 信雄
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 隆
(72)【発明者】
【氏名】福島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】土佐林 慶明
(72)【発明者】
【氏名】井上 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】丹野 敏行
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−153007(JP,A)
【文献】 特開2010−156116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数の前記パレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御装置であって、
前記電気自動車を前記格納棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させる制御装置。
【請求項2】
前記電気自動車を前記充電棚に格納し充電する要求がある場合に、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記昇降装置によって前記入出庫部から前記格納段まで搬送し、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記昇降装置から前記空き領域の前記格納棚に移動させる第1搬送処理と、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記充電棚まで搬送させる第2搬送処理との複数の搬送処理に分ける請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電気自動車を前記充電棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する前記格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対して、次の入庫予約または出庫予約がない場合には、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理をする請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の後に、他に予約された入庫処理または出庫処理を予約させる第1制御機能を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の前に、他の入庫処理または出庫処理を割り込み予約させ、他の入庫処理または出庫処理を優先させる第2制御機能を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が開始されてから前記充電棚に格納される前までの期間において、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理を延期させ、他の入庫処理または出庫処理を割り込ませ、実行させる第3制御機能を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の後に、他に予約された入庫処理または出庫処理を予約させる第1制御機能と、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の前に、他の入庫処理または出庫処理を割り込み予約させ、他の入庫処理または出庫処理を優先させる第2制御機能と、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が開始されてから前記充電棚に格納される前までの期間において、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理を延期させ、他の入庫処理または出庫処理を割り込ませ、実行させる第3制御機能とのうち、少なくとも一の制御機能を有する制御装置であって、
前記機械式駐車装置の運用状況に応じて入力される選定指令に基づいて、前記制御機能を選定する選定手段を具備する請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の制御装置を具備する機械式駐車装置。
【請求項9】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数の前記パレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御方法であって、
前記電気自動車を前記格納棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させる制御方法。
【請求項10】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数の前記パレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御プログラムであって、
前記電気自動車を前記格納棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させることをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に関する関心の高まりから、電気自動車が広く使用されるようになっている。機械式駐車装置においても電気自動車に給電させるための接点を設けた格納棚である充電棚と、充電棚から給電を受けてパレット上のコンセントへ通電できるパレットである充電パレットとを備え、電気自動車と充電用ケーブルで接続した充電パレットを充電棚に格納することで、電気自動車を充電する機能を持たせるものがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、パレットの格納スペースに電源に接続される給電側接点を備え、充電用のパレットに給電側接点と接続可能な充電側接点を設け、充電側接点と電気自動車とを接続することにより充電させる技術が記載されている。
下記特許文献2では、電気自動車への充電をしている期間も、他のパレットに載置された車両の入出庫を可能とし、他車の入出庫に支障を来たすことなく充電する技術が記載されている。
下記特許文献3では、パレットが移動の際も、給電手段によって車両に連続的に電力を供給する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−38334号公報
【特許文献2】特開2011−106257号公報
【特許文献3】特開2012−107447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした充電棚は、車両を格納する格納棚がN行×M列の格子状に配置される格納庫を備え、パレットが格納棚間を水平面内の縦方向及び横方向に移動することで、格納庫内で車両の搬送を行うパズル式機械式駐車装置においては、リフトから離れた位置に設けられる傾向があるため、リフトからリフト前の格納棚へ充電パレットを格納した後、リフト前位置から充電棚の位置まで移動させる必要があった。
しかし、機械式駐車装置が複数の段(階)で構成されており、充電棚への移動処理をさせる段と同一段に対する入出庫の要求がある場合には、電気自動車を載置した充電パレットが充電棚に格納されるまでは、当該同一段に対する入出庫処理を開始することができず、電気自動車の次の入出庫を待つユーザの待ち時間が長くなるという問題があった。
このような問題に対し、同一段で2件同時にパレットの移動処理をさせることにより、後の車両のユーザの待ち時間が長くなることを防ぐことも考えられるが、電気自動車の次の要求で搬送するパレットの位置と充電棚の位置とが近い場合には、相互の搬送動作が干渉してしまい、全体的な処理時間の遅延を発生させる虞があるため、複数件同時移動が可能であっても、上記問題を完全に解決することができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電気自動車の入庫の次に入出庫させる利用者の待ち時間を低減させることのできる機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数の前記パレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御装置であって、前記電気自動車を前記格納棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させる制御装置を提供する。
【0008】
車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及びパレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、車両を入出庫させる入出庫部と格納庫の間を昇降してパレットを搬送する昇降装置と、を備え、格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数のパレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、パレットが格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御装置であって、電気自動車を格納し充電させる要求に基づいて電気自動車を載置された充電パレットが、充電棚を有する格納段まで昇降装置により搬送された後、充電パレットが搬送された格納段に対する次の入庫予約または出庫予約が検出された場合には、充電パレットを充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理が優先される。
【0009】
従来、パレットは、入出庫部から格納庫まで昇降装置により搬送され、格納庫に到着すると昇降装置から降ろされ所望の格納段に搬送され、車両が格納されるが、本発明においては、電気自動車を載置した充電パレットが充電棚を有する格納段まで搬送された後、当該格納段に対する入庫処理または出庫処理の有無を判定し、入庫処理または出庫処理があれば、充電パレットを充電棚に搬送させる搬送処理よりも、次の入庫処理または出庫処理を優先させ、先に処理する。このように、電気自動車の搬送処理の途中で、入庫処理または出庫処理を割り込ませるので、電気自動車の入庫の次に入庫処理または出庫処理を待機している車両の利用者の待ち時間を、入庫処理または出庫処理を割り込ませない場合と比較して短くすることができ、利用者の利便性向上に繋がる。
【0010】
また、他の入庫処理または出庫処理を割り込ませることにより、電気自動車が格納段に到着してから充電棚に搬送されるまでの時間が長くなることが懸念されるが、電気自動車の利用者は、機械式駐車装置が充電パレットの搬送を開始した時点で解放されるので、充電パレットが充電棚までの搬送にかかる時間の長短が電気自動車の利用者に直接影響することはない。充電パレットを充電棚に格納させるより、他の車両の入庫処理または出庫処理を優先させることにより充電開始が遅れ、充電時間が短くなるのでその分の充電量が減ることが推定されるが、搬送順序の遅れによる充電開始の遅れは数分程度である。これは、電気自動車のフル充電には数時間(例えば、8時間)程度かかることから、搬送遅れによる充電量減少の影響は軽微といえる。
一方、充電パレットが格納段に到着してから充電棚に搬送されるまでの搬送時間の有無は、搬送処理実行中の電気自動車の次の車両の利用者の待ち時間に関わることであり、次の利用者の待ち時間(例えば、数分程度)への影響度(比率)は大きい。このため、本発明による待ち時間低減は大きな効果をもたらす。
【0011】
上記制御装置は、前記電気自動車を前記充電棚に格納し充電する要求がある場合に、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記昇降装置によって前記入出庫部から前記格納段まで搬送し、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記昇降装置から前記格納棚に移動させる第1搬送処理と、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記充電棚まで搬送させる第2搬送処理との複数の搬送処理に分けることが好ましい。
【0012】
充電要求のある電気自動車を格納させる場合には、搬送処理を第1搬送処理と第2搬送処理とに分けることにより、他の車両の入庫処理または出庫処理が割り込みさせやすくなる。
【0013】
上記制御装置は、前記電気自動車を前記充電棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する前記格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対して、次の入庫予約または出庫予約がない場合には、前記電気自動車を載置した前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理をすることが好ましい。
【0014】
電気自動車を入庫させる格納段に対して、次の入庫予約または出庫予約がなければ、電気自動車を充電棚に搬送させる搬送処理をするので、電気自動車が充電棚に確実に搬送される。
【0015】
上記制御装置は、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の後に、他に予約された入庫処理または出庫処理を予約させる第1制御機能を有することとしてもよい。
【0016】
これにより、新たに発生する他の処理が継続した場合であっても、電気自動車を載置する充電パレットが充電棚まで搬送される搬送処理の後に、他の処理を追加させるので(第1制御機能)、充電パレットの搬送処理が延々と後回しにされることを防ぐ。これは、商業施設など、継続的に連続して入出庫処理の要求が発生する場合に用いて好適である。
【0017】
上記制御装置は、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の前に、他の入庫処理または出庫処理を割り込み予約させ、他の入庫処理または出庫処理を優先させる第2制御機能を有することとしてもよい。
【0018】
先行して実行される入庫処理または出庫処理の期間中に発生した他の入庫処理または出庫処理は、充電パレットを充電棚に搬送させるよりも優先されるので(第2制御機能)、新たに発生する入出庫処理の利用者の待ち時間を低減することができる。これは、マンションやオフィスビルなど、入出庫の要求が連続する時間が限定され、かつ、格納棚に入庫される停車時間が長い場合に用いて好適である。
【0019】
上記制御装置は、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が開始されてから前記充電棚に格納される前までの期間において、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理を延期させ、他の入庫処理または出庫処理を割り込ませ、実行させる第3制御機能を有することとしてもよい。
【0020】
電気自動車の載置された充電パレットが充電棚に格納される処理が開始されていても、他の入庫処理または出庫処理を優先させるので(第3制御機能)、他の入庫処理または出庫処理を待機する利用者の待ち時間を低減させることができる。
【0021】
上記制御装置は、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の後に、他に予約された入庫処理または出庫処理を予約させる第1制御機能と、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理の前に、他の入庫処理または出庫処理を割り込み予約させ、他の入庫処理または出庫処理を優先させる第2制御機能と、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理が開始されてから前記充電棚に格納される前までの期間において、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理を延期させ、他の入庫処理または出庫処理を割り込ませ、実行させる第3制御機能とのうち、少なくとも一の制御機能を有する制御装置であって、前記機械式駐車装置の運用状況に応じて入力される選定指令に基づいて、前記制御機能を選定する選定手段を具備することとしてもよい。
【0022】
制御機能が選定できるようになるので、例えば、時間帯、曜日、催事場における催し物の種類等の運用状況に応じて選定する制御機能を切り替えることにより、機械式駐車装置を最適に運用することができる。なお、複数の制御機能を有する制御装置の場合には、選定手段による選定は、いずれの制御機能も無効にすること、及び1つの制御機能を切り替えて選定することを含む。また、1つの制御機能のみを有する制御装置の場合には、選定手段は、当該制御機能を有効にするか否かを選定することを含んでいる。
【0023】
本発明は、上記いずれかに記載の制御装置を具備する機械式駐車装置を提供する。
【0024】
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数の前記パレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御方法であって、前記電気自動車を前記格納棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させる制御方法を提供する。
【0025】
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載置して搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記格納棚は、電気自動車を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚を含み、複数の前記パレットのうち少なくとも1つに充電機構を備えた充電パレットを含み、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御プログラムであって、前記電気自動車を前記格納棚に格納し充電する要求に基づいて、前記電気自動車が載置された前記充電パレットを、前記充電棚を有する格納段まで前記昇降装置により搬送させた後、前記充電パレットが搬送された前記格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、前記充電パレットを前記充電棚に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させることをコンピュータに実行させるための制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、電気自動車の入庫の次に入出庫させる利用者の待ち時間を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る機械式駐車装置の構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る制御装置の処理順序管理テーブルの一例が示されている。(a)は要求される処理がない状態、(b)は第1搬送処理が登録された状態、(c)は第1搬送処理の次に他処理が登録された状態、(d)は第1搬送処理が終了し、第2搬送処理が登録された状態、(e)は新たな他処理が登録された状態、(f)は第2搬送処理が処理順序「1」となった状態を示している。
図4】第1から第3の実施形態に係る制御装置の動作フローである。
図5】第1の実施形態に係る制御装置の動作フローの図4の続きである。
図6】第2の実施形態に係る制御装置の動作フローの図4の続きである。
図7】第2の実施形態に係る制御装置の処理順序管理テーブルの一例が示されている。(a)は要求される処理がない状態、(b)は第1搬送処理が登録された状態、(c)は第1搬送処理の次に他処理が登録された状態、(d)は第1搬送処理が終了し、第2搬送処理が登録された状態、(e)は新たな他処理が登録され、第2搬送処理が繰り下げられた状態、(f)は第2搬送処理が処理順序「1」となった状態を示している。
図8】第3の実施形態に係る制御装置の動作フローの図4の続きである。
図9】第3の実施形態に係る制御装置の処理順序管理テーブルの一例が示されている。(a)は要求される処理がない状態、(b)は第1搬送処理が登録された状態、(c)は第1搬送処理の次に他処理が登録された状態、(d)は第1搬送処理が終了し、第2搬送処理が登録された状態、(e)は新たな他処理が登録され、第2搬送処理が繰り下げられた状態、(f)は第2搬送処理が処理順序「1」となった状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置の制御装置、及びその制御方法、並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係る機械式駐車装置10の概略構成図である。
機械式駐車装置10は、車両12を入出庫させる入出庫部14と、車両12を載置して搬送するパレット(板状の台)16が配置された複数の格納棚18、及びパレット16が配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚18が格子状(例えば、N行×M列)に配置された格納庫20と、入出庫部14と格納庫20の間を昇降してパレット16を搬送するリフト(昇降装置)22とを備えている。また、機械式駐車装置10は、パレット16及びリフト22等の移動を制御する制御装置24を備えている。
【0030】
入出庫部14には、扉26と操作盤28とが設けられている。
操作盤28は、機械式駐車装置10の利用者が操作可能なように、入出庫部14の外側に設けられ、例えば、スイッチ、タッチパネル、ICカード、リモコン装置等を介して各種操作(入庫または出庫の指示等)の入力を受け付けるとともに、文字や画像等を表示する液晶ディスプレイ装置、表示ランプ等の表示装置、音声合成装置による音声、警報音を出すスピーカによって、種々の情報を利用者のために提供する。
【0031】
そして、機械式駐車装置10は、パレット16を、格納棚18間で水平面内の縦方向及び横方向に移動(循環)させることで、格納庫20内で車両12の搬送を行う。すなわち、本実施形態に係る機械式駐車装置10は、パレットを水平循環させるパズル式の機械式駐車装置である。
【0032】
また、本実施形態に係る機械式駐車装置10に格納させる車両12のうち、備えられた蓄電装置の電力によって駆動させる車両を電気自動車12´として示す。
電気自動車12´は、充電用ケーブルを接続する接続部を有しており、充電用ケーブルを介して供給される電力を蓄電装置に充電させる。
【0033】
パレット16には、各々異なる番号が予め付加されており、機械式駐車装置10は、付加されている番号によって複数のパレット16の各々を識別する。パレット16は、充電機構を備えた充電パレット31を含んでおり、各パレット16には充電機構を備えているか否かを示す電源情報が対応付けられている。
充電パレット31は、充電用コンセント(コネクタ)を備えており、充電用ケーブルを介して充電用コンセントと電気自動車とを接続させることができる。また、充電パレット31に電気自動車12´が載置される場合であっても、電気自動車12´を充電させる必要がなければ、電気自動車12´と充電コンセントとを接続しなくてもよい。
【0034】
本実施形態の機械式駐車装置10は、電源設備を有する充電棚30と同じ段において、少なくとも1つ充電パレットを備えており、充電パレットの枚数は特に限定されないが、充電棚30の個数以上とすることが好ましい。
また、電気自動車12´以外の車両12を入庫する場合において、一般パレット16を優先して使用する。空パレット16´がなく、充電パレット31が複数ある場合には、充電パレット31のうち、電気自動車12´以外を載置させてもよいこととする所定枚数以内であれば、空の充電パレット31に電気自動車12´以外の車両12を載置してもよいこととする。このように、充電パレット31を一般パレット16と同等に扱うことで無駄な処理をなくし、処理時間短縮により制御システム全体の効率化をして、利便性の向上を図る。さらに、無駄な処理動作が減ることにより省電力化が図れるので、運用コスト低減や二酸化炭素の削減に繋がる。
【0035】
また、機械式駐車装置10は、格納棚18に配置される、電気自動車12´を充電させるための電源設備を有する1箇所以上の充電棚30を含んでいる。充電棚30のうち1箇所以上は、リフト22に隣接しないものとする。充電用ケーブルを介して充電用コンセントに接続された電気自動車12´が載置された充電パレット31が充電棚30に配置されると、充電棚30の電源設備を介して充電パレット31の電気自動車に電力が供給される。
本実施形態においては、図1に示されるように、リフト22の対角に位置する格納庫20の最上段右奥に充電棚30を1つ設けることとしているが、充電棚30の位置及び個数はこれに限定されず、どの位置に何個設けられていてもよい。
なお、充電棚30で電気自動車12´を充電中は、充電パレット31を移動させると充電を中断する事になるため充電中は充電パレットを固定とする。そのため、リフト22に隣接する格納棚18を充電棚30とすると、リフト22から格納庫20にパレット16を搬出させる場合の通り道を塞ぐこととなるので、これを防ぐため、充電棚30をリフト22に隣接しない位置に設けることが望ましい。しかし、リフト22と格納棚18が複数の方向で接する場合には、リフト22に隣接する位置に充電棚30を配置してもよい。本発明は、リフト22に隣接しない充電棚30を対象とし、リフト22に隣接する充電棚30の有無は関係しない。
【0036】
なお、本実施形態においては、特に明記しない場合には、パレットはパレット16として記述するが、車両12の載置されていないパレットを示す場合には、空きパレット16´として記述する。
【0037】
図1に示される機械式駐車装置10おいて、格納庫20の格納棚18は、3段(階)として示されているが、これは一例であって段数は特に限定されず、1段、2段、又は4段以上であってもよいこととする。1つ以上の格納棚18によって構成される1平面の格納庫を格納段(階)と呼ぶ。また、格納庫20は、入出庫部14よりも下段に配置されているが、これに限らず、格納庫20は、入出庫部14よりも上段に配置されていてもよいし、入出庫部14よりも上段及び下段の両方に配置されてもよい。さらに、各段の格納棚18は、リフト22によって接続されており、各段のレイアウト(格納棚の数及び縦横比、配置形状(方形、L字型、ロ字型など)、またパレット16の枚数、並びに充電棚30の設定数及び位置等)は、各々同じでも異なっていてもよい。つまり、充電棚30は、機械式駐車装置10に対して少なくともいずれか1つの段に設けられていればよく、例えば、機械式駐車装置10の各段にそれぞれ設けられていてもよい。
図1では、リフト(昇降装置)22は1基設けることとして示されているが、複数あってもよい。また、リフト22に接続する入出庫部14は1つ示されているが、入出庫階でリフトの左右に接続されるタイプ、複数の入出庫階を持つタイプなどであってもよい。
【0038】
図2は、機械式駐車装置10の制御装置24の電気的構成を示すブロック図である。
制御装置24は、CPU(Central Processing Unit)40、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)42、CPU40による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)44、各種プログラム及び各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)46を備えている。
【0039】
なお、HDD46には、機械式駐車装置10の利用者の車両12の属性情報と暗証番号とが対応付けられ、記憶されている。属性情報とは、例えば、電気自動車(EV車)12´であるか否かの情報である。そして、車両12が入庫される場合に利用者の暗証番号が入力された場合に、入力された暗証番号に対応付けられる車両12の属性情報が読み出される。
【0040】
また、HDD46の代わりに、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、フラッシュメモリ、バッテリバックアップ付きのSRAM(Static Random Access Memory)等の記憶素子を用いてもよく、プログラム、利用者情報、及び設定値等のデータの種類に応じて記憶素子を使い分けて記憶させてもよい。
さらに、制御装置24は、パレット16やリフト22等を駆動させるためのモータ(不図示)を制御するモータ制御部48、及びパレット16やリフト22等の動作状態を検知するセンサ(不図示)からの信号を受信するセンサ信号受信部50を備えている。
【0041】
これらCPU40、ROM42、RAM44、HDD46、モータ制御部48、及びセンサ信号受信部50、並びに操作盤28は、システムバス52を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU40は、ROM42、RAM44、及びHDD46へのアクセス、操作盤28に対する操作状態の把握及び画像の表示、モータ制御部48を介したモータの駆動、並びにセンサ信号受信部50を介したパレット16やリフト22等の動作状態の把握を行なうことができる。
【0042】
制御装置24は、電気自動車12´を格納棚18に格納し充電する要求に基づいて、電気自動車12´が載置された充電パレット31を、充電棚30を有する格納段までリフト22により搬送させた後、充電パレット31が搬送された格納段に対する次の入庫予約または出庫予約を検出した場合には、充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理より、次に予約された入庫処理または出庫処理を優先させる。また、制御装置24は、電気自動車12´を格納棚18に格納し充電する要求に基づいて、電気自動車12´が載置された充電パレット31を、充電棚30を有する格納段までリフト22により搬送させた後、充電パレット31が搬送された格納段に対して、次の入庫予約または出庫予約がない場合には、電気自動車12´を載置した充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理をする。
【0043】
具体的には、制御装置24は、電気自動車12´を格納棚18に格納し充電する要求がある場合に、電気自動車12´を載置した充電パレット31をリフト22によって入出庫部14から格納段まで搬送し、電気自動車12´を載置した充電パレット31をリフト22から当該段のリフト近傍の格納棚に移動させる第1搬送処理と、電気自動車12´を載置した充電パレット31を充電棚30まで搬送させる第2搬送処理との複数の搬送処理に分ける。
制御装置24は、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、電気自動車12´が載置された充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理の後に、他に予約された入庫処理または出庫処理を予約させる第1制御機能を有する。
【0044】
より具体的には、制御装置24は、パレット16の搬送順序を管理する処理順序管理テーブルが設けられており、処理順序管理テーブルの処理順序が上位(1番)のものから順次搬送処理を実行する。図3には、処理順序管理テーブルの一例が示されている。なお、図3には、当該段に対する処理順序管理テーブルのみを示しているが、格納段毎、設備全体などの管理テーブルがそれぞれ設けられている。
【0045】
また、制御装置24は、入出庫部14において充電パレット31に載置された電気自動車12´に対し、ユーザから充電させる要求が無い場合には、充電棚30に必ずしも格納させる必要はないので、第1搬送処理の終了により充電パレット31の搬送終了となる。
制御装置24は、車両が載置されていない空の充電パレットを、格納位置を特定させることはなく、充電パレット以外の一般のパレット16と同等に扱い、格納庫20内でのパズル動作をさせてもよい。
また、本発明は、各段毎にパレット制御するので、例えば、充電する電気自動車12´の格納段と同一段に次の処理が入った場合には、本発明の対象として割り込み処理が実行され、同時に並行して、充電する電気自動車12´の格納段と異なる他段においてもパレット16の移動(他段における本発明による処理の実行を含む)を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態においては、制御装置24がパレット16の搬送順序を管理する方法の一例として、メモリテーブル(処理順序管理テーブル)を作成する方法を示すが、これに限定されない。例えば、FIFO(First In, First Out:先入れ先出し)バッファ、或いはリングバッファ等、他の構成を用いることとしてもよく、本実施形態においては、処理順序管理テーブルは処理順序を管理する方式全体を示すものとする。
【0047】
以下に、本実施形態に係る機械式駐車装置10の作用を説明する。
電気自動車12´以外の車両12を入庫させる場合、機械式駐車装置10は、格納棚18から車両12の載置されていない空きパレット16´を取り出し、取り出した空きパレット16´を入出庫部14まで移動させる。そして、入出庫部14において空きパレット16´に車両12が乗せられ、機械式駐車装置10は、車両12が載せられたパレット16を格納棚18へ格納することで入庫を完了させる。一方、車両12が出庫される場合、機械式駐車装置10は、格納棚18から出庫させる車両12の載置されるパレット16を取り出し、取り出したパレット16を入出庫部14まで移動させる。そして、入出庫部14で利用者によってパレット16から車両12が降ろされ、機械式駐車装置10は、空きパレット16´を格納棚18へ格納することで出庫を完了させる。
【0048】
図4は、本実施形態に係る機械式駐車装置10の制御装置24の作用を説明する動作フローである。ここで、第1に入庫させる車両が電気自動車12´である場合を仮定して説明する。なお、図4及び図5は電気自動車12´の視点での動作フローとする。
利用者(運転手)によって暗証番号が入力されると、暗証番号に対応付けられた属性情報(例えば、EV車であること)が読み出され、読み出された属性情報に対応するパレット(例えば、充電パレット31)が格納庫20より取り出され、入出庫部14に搬送される。入出庫部14で充電パレット31に電気自動車12´が停車され、利用者(運転手)は降車し、充電パレット31の充電用コンセントと電気自動車12´とが充電用ケーブルで接続される(図4のステップSA1)。
【0049】
利用者は電気自動車12´に対する充電の要否を決定し、操作盤28を介して充電要否の情報とともに格納指示である第1搬送処理要求を入力すると、制御装置24に充電要否の情報と格納指示(第1搬送処理要求)が入力される。取得した情報に基づいて、充電要否が判定される(図4のステップSA2)。充電が不要である場合には、図4のステップSA4に進み、充電が必要である場合には、充電フラグが設定(オン状態)され(図4のステップSA3)、図4のステップSA4に進む。利用者が操作盤28に格納指示を入力した後の処理は制御装置24が行うので、利用者は、操作盤28を離れることができる。
【0050】
第1搬送処理要求に基づいて、電気自動車12´を載置した充電パレット31について、図3(b)に示されるように第1搬送処理の情報が処理順序管理テーブルに登録される(図4のステップSA4)。処理順序管理テーブルが参照され、当該電気自動車12´の格納指示が、処理順序管理テーブル内の処理順序が「1」であるか否かが判定される(図4のステップSA5)。処理順序「1」でない場合には、処理順序が「1」である他処理が実施され(図4のステップSA6)、他処理(他の先行処理)が完了するまでステップSA5を繰り返す。処理順序が「1」である場合には、第1搬送処理を実行し、充電パレット31をリフト22で充電棚30のある格納階へ搬送させるとともに、充電パレット31をリフト22から隣接する格納棚18に排出させる(図4のステップSA7)。
【0051】
また、充電パレット31を充電棚30のある格納階への搬送中において、他の入庫予約または出庫予約である「次要求(1)」が発生した場合には、「次要求(1)」を処理順序管理テーブルに登録させる(図3(c)参照)。
【0052】
第1搬送処理の実行(図4のステップSA7)後に第1搬送処理は終了となり、図3(d)の処理内容から「第1搬送処理要求」が削除される。次に、充電フラグが設定されているか否かが判定され(図4のステップSA8)、充電フラグが設定されていない場合には、充電棚30に限定されず、いずれの格納棚18への格納であってもよいので、本搬送処理を終了する。充電フラグが設定されている場合には、図3(d)に示すように、充電パレット31を充電棚30に格納させる第2搬送処理要求が処理順序管理テーブルに登録される(図4のステップSA9)。
処理順序管理テーブルが参照され、充電パレット31の第2搬送処理要求が、処理順序が「1」であるか否かが判定され(図5のステップSA10)、処理順序が「1」でない場合には他処理(例えば、「次要求(1)」)を実施する(図5のステップSA11)。
【0053】
他処理(例えば、「次要求(1)」)の実施中に、新たな処理が検出されたか否かが判定され(図5のステップSA12)、新たに予約された入庫処理または出庫処理である新たな処理が検出されていなければ、図5のステップSA10に戻る。
新たな処理(例えば、「次要求(2)」)が検出された場合には、処理順序管理テーブルの第2搬送処理要求の後に、「次要求(2)」を追加し、「次要求(2)」を予約させる(図5のステップSA13)(図3(e)参照)。
【0054】
処理順序が「1」である場合には、第2搬送処理を実行し、充電パレット31を充電棚30に搬送を開始する(図5のステップSA14)。充電パレット31が充電棚30に格納されると、充電パレット31の搬送完了となり(図5のステップSA15)、本処理を終了する。充電パレット31は、充電棚30に格納されると、充電パレット31に載置された電気自動車12´の充電が開始される。
【0055】
以上説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置10の制御装置24及びその制御方法並びにその制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置10において、従来、パレット16は入出庫部14から格納庫20までリフト22により搬送され、格納庫20に到着するとリフト22から降ろされ所望の格納棚18に搬送され車両12が格納されるが、本発明においては、電気自動車12´を載置した充電パレット31が充電棚30を有する格納庫20まで搬送された後、当該格納庫20に対する入庫処理または出庫処理があれば、充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理よりも、次の入庫処理または出庫処理を優先させ、先に処理する。
【0056】
なお、本発明は、ユーザ側では「他の処理を割り込ませている」ように見えるが、制御装置24の処理においては、従来「格納階へ搬送、リフトから格納棚に降ろし、充電棚へ搬送」を一連の処理として扱っていたものを、機械式駐車装置の搬送の特徴に基づいて、第1搬送処理と第2搬送処理との複数の処理に分ける点(中断しても影響の少ない点での分割)、及び、第2搬送処理と途中検出された他処理とを所定の優先順位で処理するよう制御している点で、一連の処理の途中に他処理を割り込ませることとは異なる。
このように、電気自動車12´の搬送処理の途中で、入庫処理または出庫処理を割り込ませるので、電気自動車12´の入庫の次に入庫処理または出庫処理を待機している車両12の利用者の待ち時間を、入庫処理または出庫処理を割り込ませない場合と比較して短くすることができ、利用者の利便性向上に繋がる。
【0057】
他の入庫処理または出庫処理を割り込ませることにより、電気自動車12´が格納庫20に到着してから充電棚30に搬送されるまでの時間が長くなることが懸念されるが、電気自動車12´の利用者は、格納指示を入力した時点で解放されるので、充電パレット31が充電棚30までの搬送にかかる時間の長短が利用者(電気自動車の利用者)に直接影響することはない。充電パレット31が充電棚30に格納されるより、他の車両12の入庫処理または出庫処理を割り込ませ優先させることで充電開始が遅れ、充電時間が短くなるためその分の充電量が減ることが推定されるが、搬送順序の遅れによる充電開始の遅れは数分程度である。これは、電気自動車12´のフル充電には数時間(例えば、8時間)程度かかることを勘案すれば、搬送遅れによる充電量減少の影響は軽微といえる。
【0058】
一方、充電パレット31が格納庫20に到着してから充電棚30に搬送されるまでの搬送時間の有無は、搬送処理実行中の電気自動車12´の次の車両12の利用者の待ち時間に関わることであり、次の利用者の待ち時間(例えば、数分程度)への影響度(比率)は大きい。このため、本発明による待ち時間低減は大きな効果をもたらす。
【0059】
また、先行する処理の実行中に新たに他の処理が発生した場合であっても、充電パレット31を充電棚30へ格納させる第2搬送処理の後に、新たな他の処理を追加するので、充電パレット31の搬送処理が延々に後回しにされ、遅れることを防ぐことができる。これは、商業施設など、継続的に連続して入出庫の要求が発生する用途に用いて好適である。
【0060】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、図1図4図6及び図7を用いて説明する。
本実施形態に係る制御装置は、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、電気自動車が載置された充電パレットを充電棚に搬送させる搬送処理が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合に、他の処理を優先させる点で第1の実施形態と異なる。以下、本実施形態の制御装置について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0061】
制御装置24は、実行中の入庫処理または出庫処理の次に、電気自動車12´が載置された充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理(第1搬送処理)が予約されており、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理(第2搬送処理)の前に、他の入庫処理または出庫処理を割り込み予約させ、他の入庫処理または出庫処理を優先させる第2制御機能を有する。
【0062】
以下に図4図6及び図7を用いて、本実施形態に係る機械式駐車装置10の作用を説明する。なお、第1の実施形態で説明した動作と共通の部分は説明を省略し、第1の実施形態と異なる点について主に説明する。
充電フラグが設定されている場合には、図7(d)に示すように、充電パレット31を充電棚30に格納させる第2搬送処理要求が処理順序管理テーブルに登録される(図4のステップSA9)。処理順序管理テーブルが参照され、充電パレット31の第2搬送処理要求は、処理順序が「1」であるか否かが判定され(図6のステップSB1)、処理順序が「1」でない場合には処理順序が「1」である他処理を実施する(図6のステップSB2)。
【0063】
他処理(例えば、「次要求(1)」)の実施中に、新たな処理が検出されたか否かが判定され(図6のステップSB3)、新たに予約された入庫処理または出庫処理である新たな処理が検出されていなければ、図6のステップSB1に戻る。新たに予約された入庫処理または出庫処理(例えば、「次要求(2)」)が検出された場合には、処理順序管理テーブルの第2搬送処理要求の前に「次要求(2)」を追加し(図6のステップSB4)、第2搬送処理を処理順序管理テーブルにおける処理順を示す順序を1つ繰り下げ(図6のステップSB5)(図7(e)参照)、図6のステップSB1に戻る。例えば、第2搬送処理要求の処理順序が「2」である場合には、処理順序「3」に「第2搬送処理要求」を移動させて繰り下げ、新たに予約された他処理を第2搬送処理要求の前に挿入させる。他の処理を先行して行わせ、他処理が完了してから、第2搬送処理を実行する。
【0064】
処理順序が「1」である場合に、第2搬送処理が実行されると、充電パレット31を充電棚30に搬送を開始する(図6のステップSB6)。充電パレット31が充電棚30に格納されると、充電パレット31の搬送完了となり(図6のステップSB7)、本処理を終了する。充電パレット31は、充電棚30に格納されると、充電パレット31に載置された電気自動車12´の充電が開始される。
【0065】
以上説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置10の制御装置24及び制御方法並びに制御プログラム、それを備えた機械式駐車装置10において、先行して実行される入庫処理または出庫処理の期間中に発生した他の入庫処理または出庫処理は、充電パレット31を充電棚30に搬送させるよりも優先される(第2制御機能)ので、新たに発生する入出庫処理の利用者の待ち時間を低減することができる。これは、マンションやオフィスビルなど、入出庫の要求が連続する時間が限定され、かつ、格納棚18に入庫される停車時間が長い場合に用いて好適である。
【0066】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について、図1図4図8及び図9を用いて説明する。
本実施形態に係る制御装置は、電気自動車が載置された充電パレットを充電棚に搬送させる搬送処理が開始されてから充電棚に格納される前までの期間において、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、充電パレットの搬送処理を延期させる点で、上記第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。以下、本実施形態の制御装置について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0067】
制御装置24は、電気自動車12´が載置された充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理が開始されてから充電棚30に格納される前までの期間において、他の入庫処理または出庫処理の要求が検出された場合には、充電パレット31を充電棚30に搬送させる搬送処理を延期させ、他の入庫処理または出庫処理を割り込ませ、実行させる第3制御機能を有する。
【0068】
以下に図4図8及び図9を用いて、本実施形態に係る機械式駐車装置10の作用を説明する。なお、第1の実施形態、第2の実施形態で説明した動作と共通の部分は説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0069】
第1搬送要求に充電フラグが設定されている場合には、図9(d)に示すように、充電パレット31を充電棚30に格納させる第2搬送処理要求が処理順序管理テーブルに登録される(図4のステップSA9)。処理順序管理テーブルが参照され、充電パレット31の第2搬送処理要求は、処理順序が「1」であるか否かが判定され(図8のステップSC1)、処理順序が「1」でない場合には処理順序が「1」である他処理を実施する(図8のステップSC2)。
他処理(例えば、「次要求(1)」)の実施中に、新たな処理が検出されたか否かが判定され(図8のステップSC3)、新たに予約された入庫処理または出庫処理である新たな処理が検出されていなければ、図6のステップSC1に戻る。
【0070】
新たに予約された入庫処理または出庫処理(例えば、「次要求(2)」)が検出された場合には、新たに予約された他処理(「次要求(2)」)を処理順序管理テーブルの第2搬送処理要求の前に挿入させ(図8のステップSC4)、処理順序管理テーブルにおける第2搬送処理要求の処理順を示す順序を1つ繰り下げ(図8のステップSC5)(図7(e)参照)、図8のステップSC1に戻る。
処理順序が「1」である場合には、第2搬送処理が実行され、充電パレット31を充電棚30に搬送開始する(図8のステップSC6)。第2搬送処理が開始されてから充電パレット31が充電棚30に格納される前までの期間において、新たな他処理が検出されたか否かが判定され(図8のステップSC7)、新たな他処理がある場合には、第2搬送処理を中断し(図8のステップSC8)、図8のステップSC4に戻る。また、新たな処理がない場合には、充電パレット31の充電棚30へ格納させ(図8のステップSC9)、本処理を終了する。充電パレット31は、充電棚30に格納されると、充電パレット31に載置された電気自動車12´の充電が開始される。
【0071】
これにより、電気自動車12´の載置された充電パレット31が充電棚30に格納される処理が開始されていても、他の入庫処理または出庫処理を優先させる(第3制御機能を有する)ので、他の入庫処理または出庫処理を待機する利用者の待ち時間を確実に低減させることができる。これは、マンションやオフィスビルなど、入出庫の要求が連続する時間が限定され、かつ、格納棚18に入庫される停車時間が長い場合に用いて好適である。
なお、本発明に係る制御装置24は、これらの第1の実施形態で説明した第1制御機能(または、第1制御プログラム)、第2の実施形態で説明した第2制御機能(または、第2制御プログラム)、及び第3の実施形態で説明した第3制御機能(または、第3制御プログラム)のうち、少なくとも1つの制御機能を有することとする。この場合には、機械式駐車装置の運用状況に応じて入力される選定指令に基づいて、制御機能を選定する選定部(選定手段)を具備することが好ましい。
【0072】
例えば、制御装置24に制御機能が複数組み込まれていてもよく、制御機能が複数組み込まれている場合には、駐車場管理者または保守員等の権限を持った者が、機械式駐車装置の運用状況(例えば、時間帯、曜日、催事場における催し物の種類等)に応じて操作盤28を操作して、制御機能を選択する選定指令を入力すると、選定部によって制御機能が選定される。これにより、機械式駐車装置を運用状況に応じて最適に運用することができる。また、選定指令の入力は手動に限られず、例えば、スケジュール機能などのプログラムから、時間帯や曜日によって自動的に入力させることとしてもよい。
なお、複数の制御機能を有する制御装置の場合には、選定部による選定は、いずれの制御機能も無効にすること、及び1つの制御機能を切り替えて選定することを含んでいる。また、1つの制御機能のみを有する制御装置の場合には、選定部は、当該制御機能を有効にするか否かを選定することを含んでいる。
【符号の説明】
【0073】
10 機械式駐車装置
12 車両
12´ 電気自動車
14 入出庫部
16 パレット
16´ 空きパレット
18 格納棚
20 格納庫
22 リフト(昇降装置)
24 制御装置
28 操作盤
30 充電棚
31 充電パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9