【実施例】
【0016】
実施例に係る弁体撤去装置について
図1から
図13を参照して説明する。
図1に示すように、本実施例において、既設の流体管1,1’に流体管路を遮断可能な仕切弁2が連結されている。流体管1,1’及び仕切弁2の筐体3は、例えば、地中に埋設される上水道用のダクタイル鋳鉄製であり、断面視略円形状に形成され、内周面がモルタル層で被覆されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいは石綿、コンクリート製、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等であってもよい。更に尚、流体管の内周面はモルタル層に限らず、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、本実施例の上水に限らず、例えば工業用水や農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0017】
まず、
図1及び
図2に示すように、仕切弁2は、流体管1,1’の流体管路に連通する管路4を有する管路部5と、この管路部5を閉塞可能な弁体6を有する弁本体部7とからなり、管路部5と弁本体部7とは、シール材であるパッキン21を介して着脱可能に接合されている。
【0018】
また、管路部5は、管路4をなす略円筒状の胴体部8と、管路4の管軸線と異なる方向に突出された筒状の首部9とから構成される。一方、弁本体部7は、弁蓋部10の内部に収容可能であり管路部5を閉塞可能な弁体6と、弁体6を内部に収容可能であり一端が首部9の上部に接合され管路部5の首部9の開口11を閉塞する略筒状の弁蓋部10と、弁蓋部10の上面に突出され弁体6を仕切弁2の外部から開閉操作するための棒状の弁棒部12と、弁蓋部10の上部に接合され弁棒部12の外周面をシールするためのパッキン(図示略)を内部に備えるパッキン箱部13と、から構成される。
【0019】
また、管路部5の胴体部8の両端部には、管路4の外径方向に突出するフランジ部14,14’が形成されており、このフランジ部14,14’は、流体管1,1’の端部のフランジ部15,15’にパッキン(図示略)を介して密封状に接合されるとともに、フランジ部14,14’,15,15’同士がボルト・ナット16で締結されている。
【0020】
また、管路部5の首部9の端部の外周には、筒状の首部9の外径方向に突出する管路部フランジ部17が形成されている。そして、この管路部フランジ部17は、弁本体部7の弁蓋部10の下端に形成された弁蓋下フランジ部18に、パッキン21を介して密封状に接合され、フランジ部17,18同士がボルト・ナット19で締結されている。これにより、弁本体部7は、管路部5に対して着脱可能になっている。
【0021】
次に、
図3に示すように、本実施例の弁体撤去装置20は、仕切弁2の管路部5の一部及び弁本体部7を密封状に囲う作業用ケース25と、作業用ケース25内に備えられるとともに作業用ケース25の外部からの操作により作業用ケース25の内部空間を上部空間Aと下部空間Bとに密封状に仕切ることが可能な作業弁26と、作業用ケース25の外部からの操作で首部9の管軸方向に進退移動させることが可能なスピンドル27を備えた挿入装置28とから構成されている。
【0022】
作業用ケース25は、管路部フランジ部17とその近傍の管路部5及び弁蓋下フランジ部18とその近傍の弁蓋部10を囲うベースフランジ30と、ベースフランジ30の上部に接続され弁蓋部10及びパッキン箱部13を囲うとともに作業弁26を内部に備える作業弁装置部31と、作業弁装置部31の上部に接続されるとともに弁棒部12の上端部と弁本体部7の上方の空間を囲う略円筒状の円筒部材32と、円筒部材32の上端部に接続されて円筒部材32の上端の開口を閉塞するとともに上面に挿入装置28が載置される略円盤状の取付フランジ33とからなる。
【0023】
ベースフランジ30は、
図3及び
図4に示すように、管路部5の首部9の外周面に接触され首部9の外周面に沿って延びる筒状の接触部34を有している。また、ベースフランジ30には、接触部34の上端部から拡径するように連続的に設けられるとともに、弁蓋下フランジ部18の外側周面よりも若干大径に形成され平面視で略楕円形の筒状をなし、弁蓋下フランジ部18よりも上方側に延びる楕円筒部35が設けられており、更に、楕円筒部35の上端部から拡径されるように平面視で大径略円形の鍔状に形成された大径鍔部36(
図7参照)が連続的に設けられている。
【0024】
また、ベースフランジ30は、首部9の周方向に略均等に2分割可能な分割片により構成されており、各分割片の分割面には、図示しないパッキンが介在されて、図示しないボルト・ナットにより密封状に接合されている。これにより、ベースフランジ30を首部9の外周側から管路部5に嵌め込むことができるので、ベースフランジ30の取り付け作業を容易にすることができる。
【0025】
尚、ベースフランジ30の分割構造は、本実施例に限らず、例えば、首部9の周方向に3分割以上の複数個の分割体に分割可能に構成してもよいし、首部9の周方向に2分割に分割可能にするとともに首部9の管軸線方向にも複数個に分割可能に構成するようにしてもよい。これにより、種々の弁装置に適合して、作業用ケースを管路部に装着できる。
【0026】
また、接触部34の下端部には、
図4及び
図5に示すように、外周方向に突出し接触部34の外周面に沿って延びる小径鍔状の小径鍔部37が形成されている。この小径鍔部37の下面の外周部には、上下方向に連通する連通孔が周方向に所定間隔離間されて複数個形成されている。一方、小径鍔部37の内周面には、下端側が漸次拡径され周方向に延びる溝状の溝部38が形成されている。この溝部38には、断面が略円形状をなし首部9の外周面に内接する略環状の弾性体からなり、本発明に係る密封部材としての丸ゴムパッキン39が嵌め込まれている。尚、本実施例の丸ゴムパッキン39は、断面が略円形状であるが、例えば楕円形状若しくは略C字状、方形状に形成されてもよい。これにより、後述するように管路部5を囲って封止することができる。
【0027】
また、小径鍔部37よりも下方の管路部5の外周面には、小径鍔部37の端面に沿って略環状に延びる押輪40が嵌められている。この押輪40の下面の外周部には、上下方向に連通する連通孔が、小径鍔部37の連通孔に対応するように周方向に複数個形成されており、小径鍔部37と押輪40とがボルト・ナット41により接続されるようになっている。また、この押輪40は、首部9の周方向に略均等に2分割可能に構成されており、図示しないパッキンが分割部に介在されて、図示しないボルト・ナットにより密封状に接合される。これにより、押輪40を首部9の外周側から管路部5に嵌め込むことができるので、押輪40の取り付け作業を容易にすることができる。
【0028】
そして、小径鍔部37と押輪40とを接続するボルト・ナット41が締め付けられることで、押輪40の上面の内周部が丸ゴムパッキン39に当接し、丸ゴムパッキン39を溝部38の内周面に押し込まれて、作業用ケース25を構成するベースフランジ30と管路部5とが丸ゴムパッキン39を介して密接されるようになっている。これにより、丸ゴムパッキン39と押輪40とが本発明に係る封止部を構成し、管路部5を囲むように封止することができる。
【0029】
また、押輪40の分割構造は、本実施例に限らず、例えば、首部9の周方向に3分割以上の複数個の分割可能に構成してもよい。これにより、種々の弁装置に適合して、押輪40を管路部5に容易に装着することができる。
【0030】
また、ベースフランジ30の接触部34や溝部38、丸ゴムパッキン39、押輪40の形状は、本実施例に限らず、例えば、管路部5の胴体部8に取り付けるように、胴体部8の外周に沿って形成してもよい。ベースフランジ30を管路部5に取り付けることで、流体管路よりも弁本体部7側での作業のみで管路部5及び弁本体部7を作業用ケース25で密封状に囲うことができるので、流体管1や仕切弁2が地中に埋設されている場合でも、管路部5よりも深く掘削する必要がなく、掘削や埋戻し作業が容易になり、作業性を向上させることができる。
【0031】
また、
図4及び
図5に示すように、ベースフランジ30の接触部34と楕円筒部35とを繋ぐ拡径部分には、首部9と弁蓋部10とを接続するボルト・ナット19に対応するように周方向に複数個形成され、上下方向に連通する連通孔が設けられている。この連通孔には、作業用ボルト・ナット55の一端を把持する把持部42と、この把持部42から延設されベースフランジ30の内側に突出する突出部43とを有するソケット44が装着されている。
【0032】
このソケット44の突出部43を作業用ケース25の外部から固定することで、管路部5と弁本体部7とを接続するボルト・ナットの接合を解く場合に、弁蓋部10側のナットまたはボルトを回転させても、管路部5側のボルトまたはナットが供回りすることが防止される。これにより、後述するようにベースフランジ30の取り付け後における作業用ボルト・ナット55の解除作業が容易となり、作業性を向上させることができる。
【0033】
また、
図4に示すように、楕円筒部35の側周面において、管路部5と弁本体部7とのほぼ間となる位置には、管路部5と弁本体部7とを接続するボルト・ナットの位置と対応するように、外周側から内周側に連通する連通孔45が、周方向に複数個形成されている。この連通孔45の内周面においてベースフランジ30の内径側には、ネジ溝が刻まれている。そして、このネジ溝に対応するネジ山が外周面に形成されたボルト状をなす、本発明に係る固定部としての管路部固定ボルト46が、連通孔45に挿入されている。尚、管路部固定ボルト46のネジ山は、後述するテーパ部47と管路部固定ボルト46の外周面に嵌め込まれたパッキンとの間の部位に設けられている。
【0034】
管路部固定ボルト46には、楕円筒部35の内周側に突出される先端部に、先端側が漸次小径となるように形成され管路部フランジ部17に当接可能なテーパ部47と、楕円筒部35の外周面に突出され作業用ケース25の外部から管路部固定ボルト46を操作するための操作部48とが設けられている。これにより、作業用ケース25の外部から操作部48を回動させることで、ネジ作用によりテーパ部47が進出されて、管路部フランジ部17に当接させることができる。また、ネジ作用によりテーパ部47を後退させて、管路部フランジ部17から離間させることができるようになっている。
【0035】
管路部固定ボルト46を、後述する管路部フランジ部17に設けられたテーパ面49(
図6(b)参照)に当接させることにより、作業用ケース25が管路部固定ボルト46で支持されつつ管路部5に固定される。作業用ケース25を管路部フランジ部17に対して固定することで、作業用ケース25に載置される挿入装置28と弁本体部7との離間距離が予め定められた所定距離とすることができるので、後述する挿入装置28による弁本体部7の離間作業や管路部5の開口11を閉塞するための閉塞蓋50(
図13参照)の配置作業を容易にすることができ、作業性を向上させることができる。
【0036】
この所定距離は、弁体6の下端部から弁棒部12の上端部までの長さや、後述する挿入装置28のスピンドル27の長さ等に応じて設定される。これにより、後述するように、管路部5から弁本体部7を確実に離間させて上部空間Aに引き上げることができる。
【0037】
尚、本実施例では、後述するように、弁本体部7を一体的に管路部5から離間させるようにしているため、所定距離は、弁体6の下端から弁棒部の上端までの長さよりも長く設定されるが、本実施例に限らず、例えば、弁本体部7を構成部材ごとに分割して管路部5から順次離間させていくようにすることで、所定距離を短くするようにしてもよい。これにより、弁本体部7の上方での作業に要する作業スペースを縮小させることができる。
【0038】
また、
図3及び
図5に示すように、楕円筒部35の側周面において、管路部固定ボルト46よりも上方側で、弁蓋下フランジ部18の上面に対応する位置には、管路部5と弁本体部7とを接続する作業用ボルト・ナット55のほぼ中間位置に対応するように、外周側から内周側に連通する連通孔51が、周方向に複数個形成されている。この連通孔51の内周面においてベースフランジ30の内径側には、ネジ溝が刻まれており、このネジ溝に対応するネジ山が外周面に形成されボルト状をなし、本発明に係る保持手段としての弁蓋固定ボルト52が、連通孔51に挿入されている。尚、この弁蓋固定ボルト52のネジ山は、後述する傾斜部53と弁蓋固定ボルト52の外周面に嵌め込まれたパッキンとの間の部位に設けられている。
【0039】
弁蓋固定ボルト52は、
図5に示すように、楕円筒部35の内周側に突出される先端部に、先端側が漸次小径となるように形成され弁蓋下フランジ部18に当接可能な傾斜部53と、楕円筒部35の外周面に突出され作業用ケース25の外部から弁蓋固定ボルト52を回転操作するための回転操作部54とが設けられている。これにより、作業用ケース25の外部から回転操作部54を回動させることで、ネジ作用により傾斜部53が進出されて、弁蓋下フランジ部18の上面に当接させることができる。また、ネジ作用により傾斜部53を後退させて、弁蓋下フランジ部18から離間させることができるようになっている。
【0040】
弁蓋固定ボルト52を、弁蓋下フランジ部18の上面に当接させることにより、傾斜部53により弁蓋部10が管路部5側に保持されて、弁蓋部10が管路部5に固定される。これにより、作業用ケース25のベースフランジを管路部5に取り付けた後に、弁蓋固定ボルト52により弁蓋部10を管路部5に固定して、弁蓋部10と管路部5とを接続するための後述するように作業用ボルト・ナット55の締結を解除することができ、且つ、作業用ケース25で弁本体部7を密封状に囲った後であっても、作業用ケース25外側から弁蓋固定ボルト52を回転操作して、弁蓋部10と管路部5との固定を解除することができる。
【0041】
また、弁蓋固定ボルト52及び管路部固定ボルト46の外周面には、周方向に凹状の溝が形成され、この溝には、略環状のパッキンが嵌め込まれている。これらのパッキンにより、弁蓋固定ボルト52と楕円筒部35の連通孔51との隙間や、管路部固定ボルト46と連通孔45との隙間が密封されて、流体管1,1’内の流体が漏洩することが防止される。
【0042】
また、管路部固定ボルト46や弁蓋固定ボルト52、連通孔45,51の個数や設置位置は、本実施例に限らず、管路部固定ボルト46自体または弁蓋固定ボルト52自体の強度や、作業用ケース25の重量、管路部5の周方向長さなどに応じて、本実施例よりも多く形成したり、少なく形成したりしてもよい。これにより、管路部固定ボルト46で作業用ケース25を確実に支持して管路部5に固定することができ、弁蓋固定ボルト52で弁本体部7を管路部5側に保持することができる。
【0043】
また、ベースフランジ30の大径鍔部36には、その外周部に上下方向に連通する連通孔103(
図7(a)参照)が周方向に形成されている。そして、
図4及び
図5に示すように、大径鍔部36の上面は、パッキンを介して作業弁装置部31と接続される。これにより、ベースフランジ30と作業弁装置部31とを、密封状に接続することができる。
【0044】
次に、作業弁装置部31は、
図3に示すように、ベースフランジ30の大径鍔部36の外周部から上方に向けて延びる略筒状の円筒部60と、円筒部60の内部空間に連通するともに円筒部60の外周面から突出し平面視で略方形の方形部61(
図9(a)参照)と、作業用ケース25の外部からの操作で、方形部61の内部と円筒部60の内部とに進退移動可能な作業弁26とから構成されている。
【0045】
円筒部60の下面には、ベースフランジ30の大径鍔部36の連通孔103と対応する位置に連通孔103と略同径の小径孔(図示略)が上下方向を向き形成されており、この小径孔の内周面にはネジ溝が切られている。ベースフランジ30の連通孔に下方からボルト62が挿入されて締結されることで、ベースフランジ30と作業弁装置部31とが密封状に接続されるようになっている。一方で、円筒部60の上端部には、上下方向に連通する連通孔を有し、外径方向に突出するフランジ部63が形成されており、円筒部材32と密封状に接続可能になっている。
【0046】
また、
図3に示すように、方形部61の内部には作業弁26が配置されている。この作業弁26は、先端側が円筒部60内に出入りするように、作業用ケース25の外部から作業員により進退移動が操作される。作業弁26には、作業弁26を進退移動させるための操作軸64が設けられており、操作軸64の基端部は、方形部61の外部に突出されて、作業用ケース25の外部から操作できるようになっている。これにより、作業員が操作軸64を回転操作することで、作業弁26が方形部61内と円筒部60内とを進退移動されるようになっている。
【0047】
そして、本実施例の操作軸64は、図示しない、操作軸64のネジ山と作業弁26のネジ溝とのネジ作用により、回転操作で作業弁26を進退移動させるようになっている。また、傘歯車等の噛み合せにより軸の方向を変更するための変向部65が介在されており、作業弁装置部31の上方側から操作軸64を回転操作できるようになっている。
【0048】
また、操作軸64は、本実施例に限らず、変向部65が介在されることなく、作業弁26の進退軸線上にのみ設けられていてもよい。これにより、仕切弁2の周囲環境に応じて、作業弁26の上方側または側面側からの回転操作で作業弁26を進退移動させることができる。
【0049】
さらに、作業弁26の進退移動は、回転操作によるものに限らず、例えば、操作軸64の一端を作業用ケース25の外部まで延ばし、その末端部付近に作業者が把持するための操作ハンドルを設けて、操作ハンドルを作業弁26の進退移動の方向に押引することで、作業弁26が進退移動されるように構成してもよい。これにより、作業弁26及び操作軸64のネジ山とネジ溝に加えて、変向部65等を省略することができ、作業弁装置部31の構成を簡便化することがきる。
【0050】
また、
図3に示すように、円筒部材32の下端部には、作業弁装置部31の円筒部60上部のフランジ部63に対応する形状のフランジ部66が形成されており、円筒部材32の上端部には、作業弁装置部31の円筒部60上部のフランジ部63と同じ形状のフランジ部67が形成されている。これにより、後述する取付フランジ33のフランジ部68を、円筒部材32上部のフランジ部67及び作業弁装置部31上部のフランジ部63のいずれにも接続できるようになり、挿入装置28を取付フランジ33から取り外すことなく、1つの取付フランジ33で円筒部材32及び作業弁装置部31に挿入装置28を装着することができるので、作業性を向上させることができる。
【0051】
また、円筒部材32の側面には、円筒部材32の内周側から外周側に連通する大径円形の作業窓69が形成されている。これにより、後述するように、作業用ケース25を管路部5に取り付けた後に、作業窓69を介して、弁本体部7に取り付けられた連結部材70と挿入装置28のスピンドル27とを連結ボルト・ナット71で連結することができる。
【0052】
次に、
図3に示すように、取付フランジ33は、円筒部材32の上端部のフランジ部67に対応する形状のフランジ部68と、円筒部材32の上端部を閉塞するための閉塞部72とが設けられている。また、取付フランジ33のフランジ部68は、作業弁装置部31の上部のフランジ部63の接続部とも共通の形状に形成されている。これにより、
図11に示すように、同一の取付フランジ33を用いて、作業弁装置部31の上部に直接、挿入装置28を取り付けることができ、作業性を向上させることができる。
【0053】
また、
図3に示すように、取付フランジ33の閉塞部72の中央部には、上面側から下面側に連通する挿入孔73が形成されている。この挿入孔73には、弁本体部7を管路部5から引き上げて取り外すためのスピンドル27を挿入可能になっている。そして、挿入孔73の周囲には、挿入孔73を囲うように形成された挿入装置28を取付フランジ33に固定的に取り付けるための取付部74が設けられている。この取付部74は、閉塞部72の上面から上方に延び挿入孔73を囲うように設けられた筒部75と、筒部75の外周面に突出される突起部76とからなる。突起部76の上面に挿入装置28のフランジ77が載置されるとともに、図示しないボルトによりフランジ77と突起部76とが接続されて、取付フランジ33に挿入装置28が固定される。また、取付フランジ33と挿入装置28との間には、図示しないシール材が介在されることで、閉塞部72の挿入孔73は密閉される。
【0054】
挿入装置28は、
図3に示すように、作業用ケース25内で上下方向に進退移動される略棒状のスピンドル27を備えており、このスピンドル27は、図示しない駆動手段により駆動されて、作業用ケース25の外部からの操作によってスピンドル27を進退移動させることができるようになっている。また、スピンドル27の長さは、後述するように、作業用ケース25内に最も進出された際に、スピンドル27の先端が仕切弁2の弁棒部12の上端付近に達する一方で、スピンドル27で弁本体部7を管路部5から離間させるために最も後退された際に、弁本体部7の下端が作業弁26よりも上部に達するように調整されている。
【0055】
また、スピンドル27の先端部には、径方向に連通する連通孔が形成されており、弁本体部7または後述する閉塞蓋50(
図11参照)とスピンドル27とを連結するための連結部材70が連結されている。この連結部材70は、大径筒状の大径筒状部78と、大径筒状部78の上面から連続的に縮径され上方に延びる小径筒状の小径筒状部79とからなる。
【0056】
また、小径筒状部79の側周面には、両側周面にかけて連通される連通孔が形成されている。そして、小径筒状部79の内周面にはスピンドル27の先端部が挿入され、小径筒状部79の連通孔とスピンドル27の連通孔とに連結ボルト・ナット71が挿入されて締結されている。
【0057】
また、大径筒状部78の下端部には、外径方向に突出された突出縁部80が形成されており、この突出縁部80には、上下方向に連通する連通孔が形成されている。そして、この連通孔には、パッキン箱部13と弁蓋部10とを接続する作業用ボルト82が挿入され、突出縁部80の上面側でナット止めされることで、連結部材70と弁本体部7とが接続されるようになっている。
【0058】
次に、本実施例の弁体撤去方法について
図3から
図13を参照して説明する。
【0059】
まず、
図6に示すように、仕切弁2は、弁体6がほぼ全開状態にされており、仕切弁2を介して流体管1,1’には、流体が流通している。この既設の仕切弁2において、仕切弁2の首部9を主に、作業者によって仕切弁2の外装に付着した土砂等を清掃するとともに、仕切弁2の外装の鋳出文字を、例えばサンダー等の電気駆動式の研磨工具等で切削する。これにより、後述するようにベースフランジ30を装着するために、首部9の外装面が円滑に仕上げられて、ベースフランジ30と首部9とのシール性を向上させることができる。
【0060】
そして、仕切弁2の首部9と弁蓋部10とを接続している既設ボルト・ナット19を、所定の作業用ボルト・ナット55に交換する。また、この作業用ボルト55は、後述するように、弁本体部7を管路部5から取り外すことで生じる管路部5の開口を閉塞するための閉塞蓋50を管路部5の固定位置に案内するために先端が鋭角に加工されている。また、弁蓋部10とパッキン箱部13とを接続している既設ボルト・ナット81を、所定の作業用ボルト・ナット82に交換する。この作業用ボルト82は、後述するように、連結部材70を共締めするために所定の長さを有している。
【0061】
尚、所定の作業用ボルト55,82に交換する交換作業においては、既設のボルト・ナット19,81を一本ずつまたは所定本数ずつ交換することで、流体管1内の流体を漏洩させることなく、作業用ボルト・ナット55,82に交換することができる。
【0062】
また、
図6に示すように、管路部フランジ部17における各連通孔の外周部付近に位置する管路部フランジ部17の上向きの角部を、サンダーやグラインダー等の電気駆動式の切削工具等を用いて、外周側ほど深い溝状のテーパ面49に加工する。また、弁蓋下フランジ部18における各連通孔の外周部付近に位置する弁蓋下フランジ部18の下向きの角部を、切削工具等を用いて、斜めに削って面取り加工を行い面取面83を形成する。
【0063】
このテーパ面49及び、面取面83を形成することで、管路部固定ボルト46が弁蓋下フランジ部18や管路部フランジ部17の外側周面と干渉することが防止されて、管路部固定ボルト46が弁蓋下フランジ部18と管路部フランジ部17の間の隙間に確実に挿入できるので、管路部固定ボルト46により作業用ケース25を管路部5に固定することができる。
【0064】
また、このテーパ面49及び面取面83は、後述するように、廃棄される弁蓋部10には大きく加工を施し、管路として流体管1,1’に接続されて流体管路網に残される管路部5には小さな加工を施すことで、強度や防錆性等を維持したまま管路部5を流体管路網に残すことができる。
【0065】
尚、テーパ面加工は、例えば、管路部フランジ部17の上面に対するテーパ面49の傾きが15度になるように施し、面取り加工は、例えば、弁蓋下フランジ部18の外周面での上下方向の溝の深さ及び弁蓋下フランジ部18の径方向の溝の深さが10ミリメートルとなるような、いわゆるC10面取りを施すことで、管路部固定ボルト46との干渉を良好に防止することができる。更に尚、テーパ角や溝の深さは、必ずしも上記した数値に限られず、適宜に設定されるものであってよい。
【0066】
また、管路部5と弁本体部7との間に介在されている既設のパッキン21と、管路部フランジ部17との間に、図示しないナイフ等の薄く且つ先端が鋭利なものを挿入して、管路部フランジ部17の上面側からパッキン21を剥離させて、パッキン21が弁蓋下フランジ部18の下面にのみに保持されるようにする。これにより、後述するように、弁本体部7を管路部5から取り外す際に、パッキン21が弁本体部7と共に管路部5から撤去することができ、ケレン作業を容易にすることができる。
【0067】
また、
図6には図示していないが、丸ゴムパッキン39を仕切弁2の上方側から嵌め込んで、管路部5の首部9に配置しておく。尚、仕切弁2とベースフランジ30とを密封する密封部材は、略環状の丸ゴムパッキン39に限らず、帯状や紐状の密封部材を巻きつけるようにしてもよい。
【0068】
次に、
図7に示すように、二つ割り構造のベースフランジ30にソケット44を装着し、ベースフランジ30の分割片の間に図示しないパッキンを介在させて、分割片を管路部5の首部9の外周方向から、首部9に被せて、図示しないボルト・ナットにより仮固定状態で接合して、ベースフランジ30を一体化する。
【0069】
このベースフランジ30は、概略寸法、製造メーカ、製造年、及び製造時の図面等の情報に基づいて、仕切弁2の首部9の形状の適合するように製造されており、ベースフランジ30の接触部34や押輪40の内周面が高精度で密接して首部9を囲うようになっている。尚、作業用ケース25のベースフランジ30の接触部34と仕切弁2の首部9とが高精度で密接して、確実に封止されるベースフランジ30を設計するに際して、埋設されている既設の仕切弁2の状況を予め確認するために試掘を実施して、仕切弁2の首部9の寸法等を予め測定するとともに、経年変化等に伴う仕切弁2の筐体3の側周面の状況等を予め確認しておくことが好ましい。
【0070】
そして、仮固定状態のベースフランジ30を、管路部5と弁本体部7との隙間と管路部固定ボルト46とが対応する位置になるように配置し、操作部48を操作して、管路部固定ボルト46のテーパ部47を管路部フランジ部17に当接させて、ベースフランジ30と管路部5とを仮固定する。
【0071】
また、ベースフランジ30の首部9の外周に配置しておいた略環状の丸ゴムパッキン39を、ベースフランジ30の下端部の溝部38に嵌め込み、更に、首部9に二つ割りの押輪40を首部9の周方向から嵌め込む。そして、押輪40とベースフランジ30の小径鍔部37とをボルト・ナット41で締結する。その後、首部9の外周面とベースフランジ30の内周面との隙間が均一になるように調整しつつ、管路部固定ボルト46を本締めして、丸ゴムパッキン39を管路部フランジ部17及び弁蓋下フランジ部18とに強く当接させる。
【0072】
また、ベースフランジ30の弁蓋固定ボルト52を、回転操作部54で操作して、傾斜部53を弁蓋部10に当接するように進出させる。これにより、弁蓋固定ボルト52で弁本体部7を管路部5側に保持して、弁蓋部10と首部9とを接続する作業用ボルト・ナット55からナットを外しても、弁本体部7が管路部5から外れることが防止される。さらにベースフランジ30の分割片の間に介在させたパッキンが、分割片の間からはみ出していないことを確認する。分割片の間からパッキンがはみ出している場合には、はみ出し部分をサンダー等で切削して、ベースフランジ30の上面を平滑面に仕上げる。これにより、ベースフランジ30と作業弁装置部31との接続部におけるシール性を向上させることができる。
【0073】
次に、仕切弁2の弁棒部12の上端部に被せられ、弁棒部12を回動操作するための操作ハンドル(図示略)に嵌合するための規定形状を有したキャップ84を取り外す。また、管路部5と弁蓋部10とを接続する作業用ボルト・ナット55のナットを取り外す。作業用ケース25が分割構造を有していることで、弁本体部7の周囲を作業用ケース25で囲むことなく開放した状態で、弁本体部7と管路部5を接続する既設ボルト・ナット19及び作業用ボルト・ナット55を取り外すことがきるので、作業性を向上することができる。
【0074】
次いで、
図3に示すように、作業弁装置部31を図示しないジャッキにより支持しながら、ベースフランジ30の上部に取り付け、作業弁装置部31とベースフランジ30とをボルト62で固定する。そして、図示しない蓋部材を作業弁装置部31の上部に密封状に固定して円筒部60を閉塞し、作業弁装置部31及びベースフランジ30により囲われる空間内に水等の流体を張り、作業弁装置部31及びベースフランジ30の各接続部分から流体の漏洩がないことを確認する。そして、流体の漏洩がないことを確認した後には、流体を排出させ、蓋部材を撤去する。
【0075】
そして、連結部材70を、突出縁部80の連通孔にパッキン箱部13の作業用ボルト82が挿入されるように、パッキン箱部13の上方に載せる。突出縁部80の上面側から作業用ボルト82をナット止めすることで、弁本体部7と連結部材70とを固定的に接続する。
【0076】
この連結部材70はベースフランジ30や押輪40と同様に概略寸法等の情報に基づいて、既設の仕切弁2に適合するように製造されており、弁本体部7の撤去作業時にパッキン箱部13から外れたり、変形したりすることがなく、安全に撤去作業を実施することができる。
【0077】
そして、作業弁装置部31の上部に円筒部材32を載せて、作業弁装置部31の上部のフランジ部63と、円筒部材32の下部のフランジ部66とをボルト・ナット85で締結して、作業弁装置部31と円筒部材32とを固定的に接続する。更に、取付フランジ33を円筒部材32の上部に載せて、円筒部材32の上部のフランジ部67と、取付フランジ33のフランジ部68とをボルト・ナット86で締結して、円筒部材32と取付フランジ33とを固定的に接続する。また、挿入装置28を取付フランジ33の上部に固定する。尚、円筒部材32、取付フランジ33及び挿入装置28を予め組み立てて一体化させておき、作業弁装置部31の上部に円筒部材32等を一括して固定するようにしてもよい。これにより、作業現場での作業性を大きく向上させることができる。
【0078】
そして、挿入装置28のスピンドル27を弁本体部7側に進出させて、スピンドル27の先端部と連結部材70の小径筒状部79に挿入し、作業窓69を介して連結ボルト70をスピンドル27の連通孔と連結部材70の連通孔とに挿入して、スピンドル27と連結部材70とを連結する。
【0079】
また、作業窓69を囲うように形成されたフランジ部87に、作業窓69を閉塞するための図示しない円盤状の閉塞板を当接させるとともに閉塞板をフランジ部87に図示しないボルト・ナットで締結することで、作業窓69を閉塞板で密封状に閉塞される。
【0080】
そして、ベースフランジ30、作業弁装置部31、円筒部材32、取付フランジ33により構成される作業用ケース25の内部空間に、図示しない空気弁で内部空間から空気を排出させながら水等の流体を導入して、作業用ケース25の各接続部分から流体の漏洩がないことを確認しつつ、作業用ケース25内の圧力を流体管1,1’の管路内の圧力と略同等に調整する。尚、前述した作業弁装置部31とベースフランジ30との固定作業後の漏洩確認を省略して、作業用ケース25全体の接続を完了させた後にのみ各接続部分から流体の漏洩がないことを確認するようにしてもよい。
【0081】
次に、
図8に示すように、作業用ケース25外から弁蓋固定ボルト52の回転操作部54を所定量回転操作して、弁蓋固定ボルト52の傾斜部53を弁蓋部10から離間させる方向に移動させることで、管路部5と弁本体部7と密封状態を緩和させて、管路部5と弁本体部7との隙間から管路部5内の流体を作業用ケース25内に導く。これにより、管路部5内と作業用ケース25内の圧力が同等に調整される。
【0082】
そして、弁蓋固定ボルト52を更に回転操作して、傾斜部53を弁蓋部10から離間させる。その後、挿入装置28を作業用ケース25の外部から操作して、スピンドル27を後退移動させて、連結部材70とともに弁本体部7を作業弁26よりも上側の上部空間Aまで引き上げる。
【0083】
また、作業弁装置部31における操作軸64を操作して、作業弁26を方形部61内から円筒部60内に進出させることで、作業弁26により作業用ケース25の内部空間を上部空間Aと下部空間Bとに分断し、下部空間Bを密封状に閉塞する。これにより、作業用ケース25の内部空間が上部空間Aと下部空間Bとに分断されることになり、下部空間Bを密封状に保ちつつ、上部空間Aを開放することができるようになる。
【0084】
そして、図示しない排出バルブを介して、上部空間A内の流体を作業用ケース25外部に排出する。その後、作業弁装置部31と円筒部材32とを接続するボルト・ナット62を外し、管路部5、ベースフランジ30及び作業弁装置部31を残して、円筒部材32、取付フランジ33、挿入装置28及び弁本体部7を撤去する。また、撤去する弁蓋部10の下部において、弁蓋部10に付着しているパッキン21を確認し、管路部フランジ部17からパッキン21がすべて剥離されて弁蓋部10と共に回収されていることを確認する。
【0085】
ここで、パッキン21の少なくとも一部が管路部フランジ部17に残っている場合には、
図9に示すように、管路部フランジ部17に残留しているパッキン21を除去するためのケレン装置90を作業弁装置部31の上部に設置する。
【0086】
本実施例のケレン装置90は、細長い筒状をなし作業用ケース25の内部に挿入されるケレンパイプ91と、管路部5の首部9を閉塞する異物混入防止板92と、作業弁装置部31の上部に取り付けられる作業フランジ93とを主に構成される。
【0087】
ケレンパイプ91の内部には、先端部側から後端部側にかけて連通する連通路が形成されている。また、ケレンパイプ91において作業用ケース25内に挿入され先端部には、薄い板状の刃部94が設けられている一方で、後端部には、ケレンパイプ91内の連通路を閉塞可能な弁体(図示略)を備えたボールバルブ95が設けられている。そして、このケレンパイプ91は、後述する作業フランジ93の挿入孔96に平面方向に可撓な可撓コネクター97を介して、作業フランジ93に複数本装着される。ケレンパイプ91は、可撓コネクター97を介して作業フランジ93に装着されることで、作業者が作業用ケース25の外部からケレンパイプ91の後端側を操作して、作業用ケース25に挿入された先端部を所定の範囲内で平面方向に移動させることができるようになっている。
【0088】
また、異物混入防止板92は、水平方向に延設され作業用ケース25内に配置される板状体からなり、平面視で首部9の内形状にほぼ一致する形状に形成されている。これにより、異物混入防止板92が管路部5の首部9に挿入されると、首部9が閉塞されて、後述するようにケレン作業中においてパッキン21の破片が流体管1,1’に流出されることを防止することができる。
【0089】
また、異物混入防止板92の上面には、上方に向かって延びる棒状の棒状部98が設けられている。この棒状部98は、後述する作業フランジ93の挿入孔96に挿入され、その端部が作業フランジ93の上方に突出されている。そして、上方に突出された棒状部98の端部には、流体で満たされた作業用ケース25内で異物混入防止板92を首部9の内周壁面に当接させるために十分な重量を有するバランスウェイト99が取り付けられる。
【0090】
また、作業フランジ93は、
図9(a)に示すように、平面視で略円盤状をなしており、作業フランジ93の外周部には、作業弁装置部31の上部のフランジ部63と接続可能なフランジ部100が形成されている。また、作業フランジ93の平面視での中央部には、異物混入防止板92の棒状部98が上下方向に移動可能に挿入される挿入孔96が設けられている。さらに、円盤状体の上面には、ケレンパイプ91が挿入される複数の挿入孔96及び作業フランジ93の上方から下方、すなわち作業用ケース25の内部を作業者が目視で確認可能な確認窓101が設けられている。
【0091】
図9に示すように、ケレンパイプ91及び異物混入防止板92が上下方向に移動可能且つ密封状に挿入孔に装着された作業フランンジ93を、作業弁装置部31の上部に密封状に接続する。
【0092】
次に、
図10に示すように、作業弁26を開放して、上部空間Aと下部空間Bとを連通させ、上部空間Aと下部空間Bとを同じ圧力に調整する。その後、作業フランジ93の挿入孔で異物混入防止板92を保持する止めカラー102のボルト(図示略)を緩め、下部空間Bを介して異物混入防止板92を管路部5の首部9内の所定位置まで沈降させる。この所定位置は、首部9の内壁面と異物混入防止板92との間に所定の間隔、すなわち流体流路を確保して、後述するケレン作業の際にケレンパイプ91のボールバルブ95を介して排出される流体の流量が所定範囲となるように定められる。
【0093】
また、作業フランジ93の確認窓101から管路部フランジ部17におけるパッキン21の付着状況を確認しつつ、ケレンパイプ91を下部空間B内に進出させる。そして、ケレンパイプ91のボールバルブ95を開放して、作業用ケース25内の流体をケレンパイプ91の連通路を介して作業用ケース25外に排出しつつ、ケレンパイプ91の先端部の刃部94を用いて、管路部フランジ部17の上面に付着しているパッキン21の残部を剥ぎ取り除去する。このとき、ケレンパイプ91のボールバルブ95を開放しておくことで、剥離されたパッキン21の残部片が、ケレンパイプ91の連通路及びボールバルブ95に接続されたホース(図示略)を介して作業用ケース25内の流体と共に、作業用ケース25内の流体の圧力の作用で作業用ケース25外に排出され、尚且つ、首部9が異物混入防止板92により閉塞されているので、パッキン21の残部片が流体管路に流出することを防止できる。
【0094】
管路部フランジ部17からパッキン21を完全に除去した後、ケレンパイプ91及び異物混入防板92を作業フランジ93側に引き上げて、作業弁26を閉じ、下部空間を密封状に閉塞する。そして、作業フランジ93を作業弁装置部31から取り外す。
【0095】
次に、
図11に示すように、弁本体部7を管路部5から取り外すことで開放された開口11を閉塞可能であり、図示しないパッキンを介在させて管路部フランジ部17に接続可能な閉塞蓋50を、取付フランジ33に固定された挿入装置28のスピンドル27’の先端部に、連結部材70’を介して取り付けて、この取付フランジ33を作業弁装置部31の上部に密封状に接続する。
【0096】
次に、
図12に示すように、作業弁26を開放して、上部空間Aと下部空間Bとを同じ圧力に調整した後に、挿入装置28を作業用ケース25の外部から操作して、スピンドル27’を管路部5に向けて進出させ、閉塞蓋50を管路部フランジ部17の上面に当接させる。このとき、作業用ボルト55の先端が鋭角に加工されていることで、閉塞蓋50の上面の外周部に上下方向に連通するように設けられたボルト孔の先端に、作業用ボルト55が容易に挿入されるので、作業用ケース25で管路部フランジ部17が囲われていて、スピンドル27’の進出操作時に作業者が閉塞蓋50の進出状況を確認できない場合でも、予め定められた所定位置に閉塞蓋50が配置されるように閉塞蓋50が作業用ボルト55に導かれ、管路部フランジ部17に当接させることができる。
【0097】
その後、作業用ケース25の外部から弁蓋固定ボルト52の回転操作部54を操作して、弁蓋固定ボルト52の傾斜部53を閉塞蓋50に当接させて、閉塞蓋50を管路部5側に弁蓋固定ボルト52により保持する。これにより、作業用ケース25の外部からの操作で、閉塞蓋50を管路部5に固定されるので、流体管1,1’内の流体を流出させることなく、作業用ケース25を管路部5から取り外すことができるようになる。
【0098】
次に、図示しない排出弁を介して作業用ケース25内の流体を排出させて、閉塞蓋50による管路部5が密封状に閉塞され、管路部5からの流体の漏えいのないことを確認する。そして、挿入装置28を図示しないクレーン等で吊りつつ、作業弁装置部31から取付フランジ33を取り外しつつ、スピンドル27’を伸ばして、連結部材70’の連結ボルト・ナット71’を外して、連結部材70’とスピンドル27’の連結を解除する。その後、挿入装置28、取付フランジ33、及び作業弁装置部31をベースフランジ30を残して撤去する。
【0099】
その後、閉塞蓋50と管路部5とを接続する作業用ボルト55にナットを締め付けて、閉塞蓋50と管路部5とを密封状に固定する。このとき、作業用ボルト55の頭部が、ベースフランジ30に装着されたソケット44により把持されていることで、作業用ボルト55にナットを容易に締め付けることができるとともに、作業用ケース25内に作業用ボルト55が抜け落ちることが防止されて、閉塞蓋50と管路部5とを固定する作業の作業性を高めることができる。また、ベースフランジ30を残して作業用ケース25の上方側が撤去されているので、管路部5の上方が開放された状態で、作業用ボルト55にナットを締め付けるなどの作業を行えるので、作業性を向上することができる。
【0100】
その後、弁蓋固定ボルト52及び管路部固定ボルト46を閉塞蓋50や管路部フランジ部17から離間させるとともに、ベースフランジ30を分割して撤去する。そして、閉塞蓋50と連結部材70’とを繋ぐボルト103を取り外して、閉塞蓋50から連結部材70’を撤去する。以上で、
図13に示すように、仕切弁2からの弁体6の撤去が完了する。尚、ベースフランジ30の撤去後に、作業用ボルト・ナット55を既設ボルト・ナット19に付け替えるようにしてもよい。
【0101】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0102】
例えば、本実施例では、作業用ケース25を、二分割構造のベースフランジ30や作業弁装置部31、円筒部60、取付フランジ33等からなる分割構造で構成しているが、本実施例に限らず、作業用ケースの分割構造は、例えば、ベースフランジ30を3つ以上の複数個に分割したり、作業弁装置部31の円筒部60と方形部61とを分割したりしてもよく、取付フランジ33と円筒部60とを一体に形成するようにしてもよい。これにより、管路部5を作業用ケース25で容易に密封状に囲うことができる。
【0103】
また、本実施例では、ベースフランジ30及び押輪40を二分割構造として構成しているが、これに限らず、ベースフランジ30及び押輪40の分割構造は、例えば、管路部5の首部9の周方向に三つ以上の複数に分割して、首部9に取り付けられるように構成してもよい。これにより、管路部5を容易に囲み封止することができる。
【0104】
また、本実施例では、管路部固定ボルト46により作業用ケース25を管路部5に固定するようにしているが、作業用ケース25の固定は、これに限らず、例えば、ベースフランジの一部を管路部5の胴体部8に当接するように延ばして、ベースフランジの一部と胴体部8とが当接することで、ベースフランジが胴体部8に対して固定されるように構成してもよい。これにより、固定部により、作業用ケース25が管路部5に対して所定位置に支持されて、作業用ケース25の上部に固定される挿入装置28と管路部5との距離が所定距離に維持されるので、弁体の撤去作業を容易にすることができる。
【0105】
また、ベースフランジ30の一体化は、ボルト・ナットによるものに限らず、例えば、ベースフランジ30を外周からバンド状の締め付け具により締め付けたり、分割片を溶接したりすることで、ベースフランジ30を一体化するようにしてもよい。
【0106】
また、本実施例では、封止部として押輪40を用いているが、これに限らず、封止部としてバンド状の封止具を用いて、ベースフランジ30を管路部5に締め付けるようにして封止してもよいし、また、ベースフランジ30を管路部5に溶接して封止するようにしてもよい。また、ベースフランジ30の接触部34から管路部5の外周面に亘って覆うような幅広のリング状の封止具で覆うようにしてもよい。
【0107】
また、本実施例では、保持手段としてボルト状の弁蓋固定ボルト52を用いているが、保持手段はこれに限らず、板状や楔状、クランプ型の部材であってもよい。