(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の加工用電源装置は溶接中に接続異常を検出するため、異常が検出された時点ですでに溶接が行われている。したがって、異常検出時に溶接が行われていた被加工物が加工不良になる場合がある。
【0006】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、被加工物に加工不良が生じる前に接続異常を検出することができる加工用電源装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される溶接電源装置は、被加工物との間でアークを発生させて溶接を行う溶接トーチに電力を供給する溶接電源装置であって、外部から入力される電力を
前記溶接トーチに供給するための電力に変換して出力する電力変換回路と、前記溶接トーチと被加工物との間に印加される電圧を検出する電圧検出回路と、前記溶接トーチに接続される端子と被加工物に接続される端子との間に補助電圧を印加する補助電源回路と、前記電圧検出回路が検出した電圧に基づいて異常があるか否かを判別する異常判別手段と、起動スイッチと、前記起動スイッチが押圧された時に、前記補助電源回路から補助電圧を印加し、前記異常判別手段に異常があるか否かの判別をさせ、異常がない場合に前記電力変換回路の運転を開始する異常確認手段と
、作業者が異常を解消した場合に押圧するリセットボタンとを備えて
おり、前記異常確認手段は、前記異常判別手段によって異常があると判別された場合、前記リセットボタンが押圧されたときに、再度、前記補助電源回路から補助電圧を印加し、前記異常判別手段に異常があるか否かの判別をさせることを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記異常判別手段は、前記電圧検出回路が検出した電圧が所定電圧より小さい場合に異常があると判別する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記異常判別手段は、前記電圧検出回路が検出した電圧が所定電圧より小さい状態が所定時間以上継続した場合に異常があると判別する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記異常判別手段は、前記電圧検出回路が検出した電圧が所定の電圧範囲内にない場合に異常があると判別する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助電源回路は、電圧を切り替えて出力し、前記異常判別手段は、前記補助電源回路の出力電圧の切り替えに応じて前記所定の電圧範囲を切り替える。
【0018】
本発明の第2の側面によって提供される溶接システムは、本発明の第1の側面によって提供される
溶接電源装置と、前記溶接トーチとを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の側面によって提供される異常検出方法は、被加工物との間でアークを発生させて溶接を行う溶接トーチに電力を供給する溶接電源装置の異常を検出する異常検出方法であって、起動スイッチが押圧されたことを確認する第1の工程と、
前記起動スイッチが押圧された時に、前記溶接トーチに接続される端子と被加工物に接続される端子との間に、補助電圧を印加する第2の工程と、前記溶接トーチと被加工物との間に印加される電圧を検出する第3の工程と、前記第3の工程で検出された電圧に基づいて異常があるか否かを判別する第4の工程と、
前記第4の工程において異常がない場合に電力変換回路の運転を開始する第5の工程と、
前記第4の工程において異常がある場合にリセットボタンが押圧されたことを確認する第6の工程とを備えて
おり、前記リセットボタンが押圧された時に、再度、前記第2ないし第4の工程を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、
溶接トーチに電力を供給する前に、補助電源回路から補助電圧が印加され、電圧検出回路が検出した電圧に基づいて異常があるか否かが判別される。異常があると判別された時にはまだ
溶接トーチに電力が供給されていないので、
溶接が開始されていない。したがって、被加工物に
溶接不良が生じる前に接続異常を検出することができる。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る加工用電源装置を溶接用の電源装置として用いた場合を例として、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1は、第1実施形態に係る加工用電源装置を備えた溶接システムの全体構成を説明するための図である。
【0025】
加工用電源装置Aは、溶接トーチTに加工用の電力を供給するものである。加工用電源装置Aの一方の出力端子は、トーチケーブルを介して、溶接トーチTのワイヤ電極に接続され、他方の出力端子は、被加工物用ケーブルを介して、被加工物Wに接続される。加工用電源装置Aは、溶接トーチTのワイヤ電極の先端と被加工物Wとの間に高電圧を印加してアークを発生させ、アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。以下では、溶接トーチT、被加工物W、および、これらの間に生じるアークを含めた負荷を「加工負荷」とする。なお、実際の溶接システムには、溶接トーチTにワイヤ電極を送り出すためのワイヤ送給装置や、溶接トーチTから放出するためのシールドガスのガスタンク、溶接トーチTを冷却する冷却水を循環させる冷却水循環装置などを備えている場合もあるが、図への記載や説明を省略している。
【0026】
図1に示すように、加工用電源装置Aは、電力変換回路1、電流検出回路2、電圧検出回路3、制御回路4、駆動回路5、操作部6、補助電源回路7、異常判別回路8、および、報知ランプ9を備えている。
【0027】
電力変換回路1は、電力系統から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した直流電力に変換して出力するものである。電力変換回路1に入力される三相交流電力は、整流回路によって直流電力に変換され、インバータ11によって交流電力に変換される。そして、トランスによって昇圧され、整流回路によって直流電力に変換されて出力される。なお、
図1においてはインバータ11以外の記載を省略している。
【0028】
インバータ11は、図示しない2組4個のスイッチング素子を備えた単相インバータであり、駆動回路5から入力される駆動信号に基づいて各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えることで、直流電力を交流電力に変換する。インバータ11は、駆動回路5から駆動信号を入力されていないときは、電力の変換動作を行わず、交流電力を出力しない。したがって、電力変換回路1は、加工負荷に加工用の電力を供給しない。なお、インバータ11の構成は、上記したものに限定されない。
【0029】
また、電力変換回路1の構成は、上記したものに限定されない。例えば、電力系統から単相交流電力を入力されるようにしてもよいし、蓄電池から直流電力を入力されるようにしてもよい。また、交流電力を出力するものであってもよい。
【0030】
電流検出回路2は、加工負荷に流れる電流を検出するものである。電流検出回路2は、電力変換回路1の出力端子と加工用電源装置Aの出力端子とを接続する内部配線に配置され、当該内部配線を流れる直流電流を検出する。電流検出回路2は、検出した直流電流に基づく電流検出信号Idを制御回路4に出力する。なお、電流検出回路2の配置場所は限定されず、加工負荷に流れる電流を検出できればよい。
【0031】
電圧検出回路3は、加工負荷に印加される電圧を検出するものである。電圧検出回路3は、電圧検出線31,32を備えている。電圧検出線31は溶接トーチTの先端付近に接続され、電圧検出線32は被加工物Wに接続される。電圧検出回路3は、電圧検出線31,32を介して、加工負荷に印加される直流電圧を検出する。電圧検出回路3は、検出した直流電圧に基づく電圧検出信号Vdを制御回路4および異常判別回路8に出力する。なお、電圧検出線31,32を接続する場所は限定されず、加工負荷に印加される電圧を検出できればよい。ただし、出力電圧などの波形制御を精度よく行うためには、できるだけ、溶接トーチTのワイヤ電極の先端の近くと、被加工物Wの近くに接続した方がよい。
【0032】
制御回路4は、インバータ11を制御するものである。制御回路4は、電流検出回路2から入力される電流検出信号Idおよび電圧検出回路3から入力される電圧検出信号Vdに基づいてPWM信号を生成して、駆動回路5に出力する。制御回路4は、電流検出信号Idがあらかじめ設定されている電流設定信号に一致するように、電圧検出信号Vdがあらかじめ設定されている電圧設定信号に一致するようにフィードバック制御を行い、制御信号に基づいてPWM信号を生成する。なお、制御回路4を例えばマイクロコンピュータなどによって実現し、制御回路4がディジタル制御を行うようにしてもよい。この場合、電流検出信号Idおよび電圧検出信号VdをA/D変換によりディジタル信号に変換して制御回路4に入力する。
【0033】
駆動回路5は、インバータ11を駆動させるものである。駆動回路5は、制御回路4から入力されるPWM信号を、スイッチング素子を駆動できるレベルに増幅し、駆動信号としてインバータ11に出力する。また、駆動回路5は、異常判別回路8から入力される異常判別信号Lmが異常があることを示す場合(本実施形態では、ハイレベルの場合)、駆動信号を出力しない。この場合、インバータ11が電力の変換動作を行わず、交流電力を出力しないので、電力変換回路1は加工負荷に加工用の電力を供給しない。
【0034】
操作部6は、加工用電源装置Aの各種操作を行うためのものである。操作部6は、加工用電源装置Aを起動するための起動スイッチ、および、異常判別信号Lmをリセットするためのリセットスイッチを備えている。作業者によって起動スイッチが押圧された場合、加工用電源装置Aが起動され、異常確認処理が行われた上でインバータ11の運転が開始されて、加工負荷に直流電力が供給される。異常確認処理は接続異常を検出するための処理であり、詳細は後述する。異常確認処理において、操作部6は、補助電源回路7および異常判別回路8に起動信号Stを出力する。本実施形態では、起動信号Stを出力時にハイレベルになる信号としている。また、作業者によってリセットスイッチが押圧された場合、操作部6は、異常判別回路8にリセット信号Rsを出力する。本実施形態では、リセット信号Rsを出力時にハイレベルになる信号としている。なお、起動信号Stおよびリセット信号Rsはこれに限られない。なお、異常確認処理を行うための異常確認ボタンを起動スイッチとは別に操作部6に設け、作業者が起動スイッチを押圧する前に異常確認ボタンを押圧するようにしてもよい。
【0035】
補助電源回路7は、加工負荷に印加する補助電圧を出力するものである。補助電源回路7の2つの出力端子は、電力変換回路1の出力端子と加工用電源装置Aの出力端子とをそれぞれ接続する2つの内部配線に、それぞれ接続されている。補助電源回路7は、操作部6から起動信号Stが入力された場合に補助電圧を出力し、2つの内部配線、トーチケーブルおよび被加工物用ケーブルを介して、加工負荷に補助電圧を印加する。本実施形態では、補助電圧を15Vの直流電圧としているが、補助電圧の大きさは限定されない。また、補助電源回路7は、電力系統から入力される交流電力を降圧して直流電力に変換して利用するようにしてもよいし、電力変換回路1内の図示しない整流回路の出力を利用するようにしてもよい。また、蓄電池であってもよい。加工用電源装置Aに溶着を検出するための補助電源回路が備えられている場合は、これを利用するようにしてもよい。
【0036】
異常判別回路8は、電圧検出回路3の電圧検出線31,32の接続異常があるか否かを判別するものである。異常判別回路8は、操作部6から起動信号Stが入力された場合に、電圧検出回路3から入力される電圧検出信号Vdに基づいて、接続異常の判別を行う。異常判別回路8は、接続異常があると判別した場合に異常判別信号Lmをハイレベルとして出力する。接続異常がないと判別した場合には、異常判別信号Lmをローレベルのままとする。また、リセット信号Rsを入力された場合に、異常判別信号Lmをハイレベルからローレベルに切り替える。異常判別信号Lmは、駆動回路5および報知ランプ9に出力される。
【0037】
図2は、第1実施形態に係る異常判別回路8の内部構成を説明するための図である。
【0038】
図2に示すように、異常判別回路8は、閾値電圧設定回路81、比較回路82、および、ラッチ回路83を備えている。
【0039】
閾値電圧設定回路81は、電圧検出回路3から入力される電圧検出信号Vdと比較するための閾値電圧Vrefを設定するものである。比較回路82は、電圧検出信号Vdと閾値電圧Vrefとを比較するものである。比較回路82は、操作部6から起動信号Stが入力されている間(ハイレベルの間)、両者の比較を行い、比較結果を比較信号Cpとして、ラッチ回路83に出力する。本実施形態では、比較信号Cpを、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さい場合にハイレベルになり、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref以上の場合にローレベルになる信号としている。なお、比較信号Cpはこれに限られない。ラッチ回路83は、比較結果を保持するためのものである。ラッチ回路83は、比較回路82から入力される比較信号Cpと、操作部6から入力されるリセット信号Rsとに基づいて、異常判別信号Lmを出力する。ラッチ回路83は、比較信号Cpがハイレベルになった場合、リセット信号Rsが入力されるまで、異常判別信号Lmをハイレベルとして出力する。リセット信号Rsが入力されると異常判別信号Lmをローレベルに切り替え、比較信号Cpがハイレベルになるまでローレベルを継続する。なお、異常判別信号Lmはこれに限られない。
【0040】
異常判別回路8は、アナログ回路として構成してもよいし、マイクロコンピュータなどによってディジタル回路として構成してもよい。ディジタル回路として構成する場合、電圧検出信号VdをA/D変換によりディジタル信号に変換して入力する。
【0041】
報知ランプ9は、接続異常を作業者に知らせるためのものである。報知ランプ9は、異常判別回路8から入力される異常判別信号Lmがハイレベルである場合(接続異常がある場合)に点灯し、ローレベルである場合(接続異常がない場合)に消灯する。報知ランプ9に代えて、または追加して、ブザーなどの音声で知らせるようにしてもよいし、表示画面上に文字で警告を表示するようにしてもよい。
【0042】
次に、
図3,4を参照して、加工用電源装置Aの起動時の異常確認処理について説明する。
【0043】
異常確認処理は、作業者によって起動スイッチが押圧されたときに行われ、電圧検出線31,32の断線、接続忘れ、接触不良などの接続異常を検出するための処理である。本実施形態では、加工負荷に補助電圧(例えば、15V)を印加して、このとき電圧検出回路3が検出した電圧検出信号Vdと閾値電圧Vref(例えば、5V)とを比較して、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さい場合に接続異常があると判断する。接続異常がない場合、電圧検出信号Vdとして補助電圧に等しい電圧が検出されるはずである。しかし、接続異常がある場合、電圧検出回路3は加工負荷に印加された補助電圧を検出することができず、電圧検出信号Vdはゼロになる。したがって、検出誤差を考慮して閾値電圧Vrefを設定しておき、電圧検出信号Vdを閾値電圧Vrefと比較することで、接続異常があるか否かを判断することができる。
【0044】
図3は、異常確認処理を説明するためのフローチャートであり、作業者によって起動スイッチが押圧されたときに開始される。
【0045】
まず、補助電源回路7が加工負荷に補助電圧を印加し(S1)、電圧検出回路3が電圧検出信号Vdを検出する(S2)。次に、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さいか否かが判別される(S3)。電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さい場合(S3:YES)、報知ランプ9によって異常が報知され(S4)、リセット信号が入力されたか否かが判別される(S5)。リセット信号が入力されない場合(S5:NO)、ステップS4に戻り、異常の報知が継続する。作業者は報知ランプ9の点灯により接続異常を認知し、電圧検出線31,32の点検を行う。そして、接続異常を解消してから、リセットボタンを押圧する。リセット信号が入力された場合(S5:YES)、ステップS1に戻り、再度補助電圧が印加されて、電圧検出信号Vdと閾値電圧Vrefの比較が行われる(S1〜S3)。ステップS3において、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref以上である場合(S3:NO)、インバータ11の運転が開始され(S6)、異常確認処理は終了する。なお、異常確認処理の方法は、
図3に示すフローチャートに限定されるものではない。
【0046】
図4は、異常確認処理時の各信号などの関係を説明するためのタイムチャートである。
【0047】
同図(a)は操作部6から出力される起動信号Stを示しており、同図(b)は補助電源回路7が出力する補助電圧を示しており、同図(c)は電圧検出回路3が検出した電圧検出信号Vdを示している。また、同図(d)は比較回路82から出力される比較信号Cpを示しており、同図(e)は操作部6から出力されるリセット信号Rsを示しており、同図(f)はラッチ回路83から出力される異常判別信号Lmを示している。
【0048】
時刻t1に、作業者によって操作ボタンが押圧されると、時刻t1から時刻t2まで、起動信号Stがハイレベルになる(
図4(a)参照)。この間、補助電源回路7が補助電圧を出力し(同図(b)参照)、比較回路82が電圧検出信号Vdと閾値電圧Vrefとの比較を行う。電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さいので(同図(c)参照)、比較信号Cpはハイレベルになり、異常判別信号Lmもハイレベルになっている(同図(d)、(f)参照)。異常判別信号Lmは、時刻t2を過ぎてもハイレベルが継続され、時刻t3でリセット信号Rsが入力された時にローレベルに切り替わっている(同図(e)、(f)参照)。異常判別信号Lmがハイレベルとなっている時刻t1から時刻t3までの間、報知ランプ9が点灯され、駆動回路5は駆動信号の出力を行えない状態になっている。
【0049】
時刻t3でリセット信号Rsが入力された後、時刻t4から時刻t5まで、起動信号Stが再度ハイレベルになる(
図4(a)参照)。この間、補助電源回路7が補助電圧を出力し(同図(b)参照)、比較回路82が電圧検出信号Vdと閾値電圧Vrefとの比較を行う。電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref以上になっているので(同図(c)参照)、比較信号Cpはローレベルのままであり、異常判別信号Lmもローレベルのままである(同図(d)、(f)参照)。異常判別信号Lmがローレベルなので、報知ランプ9は消灯したままであり、駆動回路5は駆動信号の出力が可能な状態になっている。時刻t5以降に制御回路4がPWM信号の出力を開始し、インバータ11の運転が開始される。
【0050】
本実施形態において、接続異常を検出するための異常確認処理は、インバータ11の運転が開始される前に行われる。したがって、溶接を開始する前に、接続異常を検出することができ、接続異常を解消することができる。これにより、接続異常によって被加工物に加工不良が生じることを防ぐことができる。
【0051】
なお、本実施形態において、異常判別回路8は電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さい場合に接続異常であると判別するので、起動信号Stがハイレベルの期間に電圧検出信号Vdが一瞬でも閾値電圧Vrefより小さくなると接続異常と判別される。これを防ぐために、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vrefより小さい状態が所定時間以上継続した場合にのみ、接続異常と判別するようにしてもよい。
【0052】
上記第1実施形態においては、異常判別回路8が接続異常のみを判別しているが、これに限られず、他の異常も判別するようにしてもよい。接続異常に加えて、電圧検出回路3の異常も検出できるようにした場合を、第2実施形態として以下に説明する。
【0053】
図5は、第2実施形態に係る異常判別回路の内部構成を説明するための図である。同図において、第1実施形態に係る異常判別回路8(
図2参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
【0054】
図5に示す異常判別回路8’は、閾値電圧設定回路81’、比較回路82’、および、OR回路84をさらに備えている点で、第1実施形態に係る異常判別回路8と異なる。異常判別回路8’は、電圧検出回路3の電圧検出線31,32の接続異常、または、電圧検出回路3の異常があるか否かを判別する。
【0055】
接続異常がない場合でも、電圧検出回路3に異常がある場合、電圧検出回路3は加工負荷に印加された電圧を正しく検出することができない。したがって、加工負荷に補助電圧(例えば、15V)を印加しても、電圧検出回路3が検出した電圧検出信号Vdは正しい電圧(15V)にならない。したがって、検出誤差を考慮して閾値電圧Vref1(例えば、14V)および閾値電圧Vref2(例えば、16V)を設定しておき、電圧検出信号Vdがこの範囲にない場合に、電圧検出回路3に異常があると判断することができる。なお、接続異常がある場合も、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref1より小さくなるので、異常があると判断される。
【0056】
閾値電圧設定回路81は閾値電圧Vref1を設定し、比較回路82は電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref1より小さい場合にハイレベルになる比較信号Cpを出力する。また、閾値電圧設定回路81’は閾値電圧Vref2(>Vref1)を設定し、比較回路82’は電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref2より大きい場合にハイレベルになる比較信号Cp’を出力する。OR回路84は、比較回路82から出力される比較信号Cpと比較回路82’から出力される比較信号Cp’との論理和信号をラッチ回路83に出力する。論理和信号は、(Vd<Vref1)または(Vref2<Vd)の場合、すなわち、(Vref1≦Vd≦Vref2)でない場合に、ハイレベルになる。
【0057】
第2実施形態においては、接続異常に加えて、電圧検出回路3の異常も検出することができる。また、第1実施形態と同様に、これらの異常を検出するための異常確認処理は、インバータ11の運転が開始される前に行われる。したがって、溶接を開始する前に異常を検出することができ、異常によって被加工物に加工不良が生じることを防ぐことができる。
【0058】
なお、第2実施形態において、閾値電圧Vref1から閾値電圧Vref2までの範囲を広く設定すると、電圧検出回路3の異常を検出できない場合がある。当該範囲をできるだけ狭く設定した方が、電圧検出回路3の異常をより確実に検出することができる。しかし、当該範囲を狭くすると、電圧検出信号Vdの一瞬の変動により異常と判別されてしまう場合がある。これを防ぐために、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref1から閾値電圧Vref2までの範囲にない状態が所定時間以上継続した場合にのみ、異常と判別するようにしてもよい。
【0059】
また、電圧検出回路3が異常であっても、電圧検出信号Vdが閾値電圧Vref1から閾値電圧Vref2までの範囲に偶然入ってしまう場合がある。この場合、電圧検出回路3の異常を検出することができない。このような場合でも、電圧検出回路3の異常を検出することができるようにしたものを、第3実施形態として以下に説明する。
【0060】
図6は、第3実施形態に係る加工用電源装置を説明するための図である。同図においては、補助電源回路7’および異常判別回路8’のみを記載しており、その他の構成は省略している。また、異常判別回路8’は、第2実施形態に係る異常判別回路8’と同様の構成であるが、閾値電圧設定回路81、81’以外の構成の記載を省略している。
【0061】
図6に示す加工用電源装置A’は、補助電源回路7’が補助電圧を切り替えることができる点で、第2実施形態に係る加工用電源装置Aと異なる。補助電圧切替回路71は、補助電源回路7’が出力する補助電圧を切り替える。また、補助電圧切替回路71は、補助電圧の切替に応じて、閾値電圧設定回路81、81’が設定する閾値電圧Vref1、閾値電圧Vref2を変更する。例えば、補助電圧切替回路71は、補助電源回路7’に第1の補助電圧(例えば、15V)を出力させるときには、閾値電圧設定回路81、81’にそれぞれ閾値電圧Vref1(例えば、14V)、閾値電圧Vref2(例えば、16V)を設定させ、補助電源回路7’に第2の補助電圧(例えば、20V)を出力させるときには、閾値電圧設定回路81、81’にそれぞれ閾値電圧Vref1’(例えば、19V)、閾値電圧Vref2’(例えば、21V)を設定させる。
【0062】
これにより、補助電源回路7’が第1の補助電圧を出力したときには電圧検出回路3の異常を検出できなくても、補助電源回路7’が第2の補助電圧を出力したときには電圧検出回路3の異常を検出することができる。
【0063】
なお、上記第1ないし第3実施形態においては、本発明に係る加工用電源装置を溶接システムに用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明は、溶接システム以外の加工システムの電源装置にも適用することができる。例えば、トーチの先端にプラズマを発生させて被加工物を切断するプラズマ切断システムや、トーチの先端に発生させたアークの熱と圧縮空気の噴射を利用して溝掘りを行うエアアークガウジングシステムなどの電源装置にも、本発明を適用することができる。
【0064】
本発明に係る
溶接電源装置、当該
溶接電源装置を備えた溶接システム、および、異常検出方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る
溶接電源装置、当該
溶接電源装置を備えた溶接システム、および、異常検出方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。