特許第6095998号(P6095998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6095998粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095998
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20170306BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170306BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20170306BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   A23L5/00 D
   A61K9/14
   A61P3/02 107
   A61K31/375
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-27576(P2013-27576)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-155453(P2014-155453A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和良
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−058945(JP,A)
【文献】 特開2004−263002(JP,A)
【文献】 特開2010−227004(JP,A)
【文献】 特開2001−069915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を水に加えて乳化し、得られた水中油型乳化組成物を乾燥処理する粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法であって、該乳化の方法が以下の方法1〜3のいずれかであることを特徴とする粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法。
[方法1]
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材を含有する水相に油溶性物質を加えて乳化する。
[方法2]
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材のうちいずれか一方を含有する水相に、その他方と油溶性物質とを同時に直接加えて乳化する(但し、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを油溶性物質に溶解したものを水相に加えて乳化することを除く)
[方法3]
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を同時に直接水に加えて乳化する(但し、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを油溶性物質に溶解したものを水に加えて乳化することを除く)
【請求項2】
粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤100質量%中、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量が5〜60質量%、粉末化基材の含有量が20〜92.5質量%、油溶性物質の含有量が2.5〜50質量%となるように調整することを特徴とする請求項1に記載の粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、L−アスコルビン酸に脂肪酸をエステル結合させたものであり、ビタミンC作用、酸化防止作用を有し、且つ親油性なので食用油脂や脂肪を含む食品への栄養強化剤、酸化防止剤等として使用されている。しかし、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、水に対する分散性(水分散性)に乏しいため清涼飲料水等の水性食品への使用が困難であった。
【0003】
L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの水分散性を高める方法としては、例えば、アスコルビン酸脂肪酸エステル、親水性界面活性剤及び少糖類を配合してなる水分散性アスコルビン酸脂肪酸エステル組成物(特許文献1)、L−アスコルビン酸の高級脂肪酸エステルをシクロデキストリンに包接させて成る親水性包接複合体(特許文献2)等が知られている。
【0004】
しかし、これらの方法により得られる製剤を水に分散すると、その水分散液中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの平均粒子径は10〜15μm程度であり十分に微細ではなく、またその粒度分布の形状もピーク値が2つ以上の歪なものであることから、分散状態が良好であるとは言えない。このような分散状態では、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤を分散させた水性食品の保存中等にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルが析出、沈澱する場合があり、また期待する酸化防止効果等が十分に発揮されているとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−115951号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平10−231244号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、水に対する分散性が更に改善された粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、水にL−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を加えて水中油型乳化組成物を調製する際の乳化方法として新規なものを採用することにより上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記(1)及び(2)からなっている。
(1)L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を水に加えて乳化し、得られた水中油型乳化組成物を乾燥処理する粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法であって、該乳化の方法が以下の方法1〜3のいずれかであることを特徴とする粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法。
[方法1]
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材を含有する水相に油溶性物質を加えて乳化する。
[方法2]
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材のうちいずれか一方を含有する水相に、その他方と油溶性物質とを同時に直接加えて乳化する。
[方法3]
L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を同時に直接水に加えて乳化する。
(2)粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤100質量%中、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量が5〜60質量%、粉末化基材の含有量が20〜92.5質量%、油溶性物質の含有量が2.5〜50質量%となるように調整することを特徴とする前記(1)に記載の粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法。
からなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法により得られる粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤は、その水分散液中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの平均粒子径は1.0μm未満となり、水分散性に優れている。
本発明の製造方法により得られる粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤は、水分散性に優れるため、水性食品に添加して好ましく使用できるともに、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルによる酸化防止効果等が水性食品に対して十分に発揮されることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いられるL−アスコルビン酸脂肪酸エステルとしては、例えばL−アスコルビン酸ステアリン酸エステル(食品添加物)及びL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(食品添加物)等が挙げられ、相対的に融点が低いこと、また分子量が小さいためビタミンC活性が高いことから、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが好ましく用いられる。
【0011】
本発明で用いられる粉末化基材としては、糖類、増粘多糖類・ガム質、澱粉類等が挙げられる。糖類としては、例えばブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ショ糖、デキストリン、サイクロデキストリン、コーンシロップ等が挙げられる。増粘多糖類・ガム質としては、例えばキサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、アラビアガム、ペクチン等が挙げられる。
【0012】
澱粉類としては、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等の天然澱粉又はこれらの加工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、酵素分解澱粉、エーテル化、エステル化、架橋化等の澱粉誘導体、湿熱処理澱粉、アルファー化澱粉等)が挙げられる。これらの中でも、天然澱粉及び/又は加工澱粉をアルカリ触媒の存在下に無水アルケニルコハク酸と反応させて得られるアルケニルコハク酸エステル化澱粉が好ましく用いられる。無水アルケニルコハク酸のアルケニルの炭素数は約2〜22、好ましくは約6〜14が良く、具体的には、例えばヘキセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、デセニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸、オクタデセニル無水コハク酸等が挙げられる。
【0013】
また、アルケニルコハク酸エステル化澱粉としては、澱粉とコハク酸のアルケニル誘導体とのエステルであれば特に制限はなく、例えばオクテニルコハク酸エステル化澱粉、デセニルコハク酸エステル化澱粉、ドデセニルコハク酸エステル化澱粉、テトラデセニルコハク酸エステル化澱粉、ヘキサデセニルコハク酸エステル化澱粉及びオクタデセニルコハク酸エステル化澱粉並びにこれら澱粉をα化又は加水分解等の処理をしたものが挙げられる。これらの中でも、とりわけα化オクテニルコハク酸エステル化澱粉又はその塩が好ましい。
【0014】
ここで、アルケニルコハク酸エステル化澱粉は、加水分解の度合いにより、また加水分解をする時期、即ちエステル化反応の前か後かにより、水溶液としたときの粘度が異なるため、その粘度により2種類に分類される。即ち、アルケニルコハク酸エステル化澱粉は、15質量%に調整した水溶液の粘度(以下、単に「粘度」ともいう。)が約100〜250ミリパスカル秒の範囲内であるアルケニルコハク酸エステル化澱粉(以下、「アルケニルコハク酸エステル化澱粉A」という。)と粘度が約5ミリパスカル秒以上約100ミリパスカル秒未満の範囲内であるアルケニルコハク酸エステル化澱粉(以下、「アルケニルコハク酸エステル化澱粉B」という。)とに分類される。
【0015】
アルケニルコハク酸エステル化澱粉Aとしては、粘度が約100〜250ミリパスカル秒のオクテニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。具体的には、例えば市販品のエヌクリーマー46(製品名;粘度約245ミリパスカル秒;日本エヌエスシー社製)、エマルスターEMS−10(製品名;粘度約208ミリパスカル秒;松谷化学工業社製)等が挙げられる。また、アルケニルコハク酸エステル化澱粉Bとしては、粘度が約5ミリパスカル秒以上約100ミリパスカル秒未満のオクテニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。具体的には、例えば市販品のカプシュールST(製品名;粘度約7ミリパスカル秒;日本エヌエスシー社製)、ハイキャップ100(製品名;粘度約7ミリパスカル秒;日本エヌエスシー社製)、ピュリティガムBE(製品名;粘度約24ミリパスカル秒;日本エヌエスシー社製)、エマルスター30A(製品名;粘度約21ミリパスカル秒;松谷化学工業社製)等が挙げられる。
【0016】
ここで、本発明で言うところの粘度は、第8版食品添加物公定書記載「28.粘度測定法」の「第2法 回転粘度計法」に基づいて測定される。具体的な測定条件及び操作条件を以下に示す。なお、回転数は想定される粘度に応じて適宜選択される。
[測定方法]
試料を入れた容器中にローターとガードを静かに入れ、試料の液面をローターの液浸マークに一致させる。スイッチを入れてから60秒経過後の指針の示す目盛を読み取り、この指示値に、使用したローターの種類及び回転数によって定まる換算乗数を乗じて、試料の粘度を算出する。
[操作条件]
測定装置:ブルックフィールド型粘度計
ローター:1号
回転数:60、30、12又は6回転/分のいずれか
測定:回転開始60秒後
測定温度:25℃
【0017】
上述した粉末化基材は、例えば粉末化基材を含有する水相等の粘度低下、乳化時間の短縮化等の製造時の作業性の向上の観点から、2種又はそれ以上を組合せて用いることが好ましく、中でも、(1)アルケニルコハク酸エステル化澱粉Aとアルケニルコハク酸エステル化澱粉Bとの組合せ、(2)アルケニルコハク酸エステル化澱粉Aとデキストリンとの組合せ、(3)アルケニルコハク酸エステル化澱粉Aとアラビアガムとの組合せ、(4)デキストリンとアラビアガムとの組合せ等が特に好ましい。
【0018】
ここで、上記(1)〜(4)の2種類の粉末化基材の組合せにおいて、その配合比率(重量比)には特に制限はなく、約1:99〜約99:1の任意の比率で使用して良い。
【0019】
本発明で用いられる油溶性物質としては、水に不溶性又は難溶性でかつ油に溶解し易い物質であれば特に制限はないが、例えば(約0〜30℃)で液体の物質であることが好ましく、例えばサフラワー油、大豆油、綿実油、コメ油、ナタネ油、オリーブ油等の食用油脂、中鎖脂肪酸ジグリセリド(例えば、カプリル酸ジグリセリド、カプリン酸ジグリセリド等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド等)、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル、ビタミンA、ビタミンD及びビタミンE等が挙げられる。ビタミンEとしては、例えばdl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、ミックストコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、d−α−トコフェロール酢酸エステル及びトコトリエノール等が挙げられる。また、ビタミンEとしては、植物油が精製される過程で副生する脱臭留出物(例えば脱臭スカム、脱臭スラッジまたはホットウエル油等)から回収される抽出トコフェロール(ミックストコフェロールともいう)を用いることができる。本発明においては、これら油溶性物質を1種類で用いても良く2種類以上を任意に組合せて用いても良い。
【0020】
本発明の粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を水に加えて乳化し、得られた水中油型乳化組成物を乾燥処理する粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の製造方法であって、該乳化の方法が以下の方法1〜3のいずれかであることを特徴とする。
【0021】
[方法1]
方法1では、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材を含有する水相に油溶性物質を加えて乳化する。具体的には、先ず、約40〜80℃、好ましくは約60〜80℃に加熱した水にL−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材を加えて分散・溶解して水相とする。粉末化基材及びL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを水に加えて分散・溶解する順序については特に制限はなく、これらのうちいずれか一方を水に加えて分散・溶解した後に、これにその他方を加えて分散・溶解しても良く、また、これらを同時に水に加えて分散・溶解しても良い。これらを同時に加える場合において「同時」とは、完全に同一のタイミングでこれらを水に加えることに制限されるものではなく、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材を含有する水相を調製するものである限りにおいて、ある程度の時間差は許容される。
続いて、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材を含有する水相を攪拌しながら、この中に約100℃以下、好ましくは約40〜80℃に保温された油溶性物質をゆっくり加え、高速回転式分散・乳化機を用いて、回転数約4000〜20000rpmにて、攪拌時間約10〜60分間で乳化することにより水中油型乳化組成物を調製することができる。
【0022】
[方法2]
方法2では、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材のうちいずれか一方を含有する水相に、その他方と油溶性物質とを同時に直接加えて乳化する。具体的には、先ず、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材のうちいずれか一方を、約40〜80℃、好ましくは約60〜80℃に加熱した水に加えて分散・溶解し、水相とする。その後、得られた水相に、その他方及び約100℃以下、好ましくは約40〜80℃に保温された油溶性物質を同時に加え、高速回転式分散・乳化機を用いて、回転数約4000〜20000rpmにて、攪拌時間約10〜60分間で乳化することにより水中油型乳化組成物を調製することができる。
ここで、上記他方及び油溶性物質を同時に水相に加えて乳化する場合において「同時」とは、完全に同一のタイミングでこれらを水相に加えることに制限されるものではなく、これらを別個に水相に加えて溶解又は分散するものではない限りにおいて、ある程度の時間差は許容される。
また、方法2において「直接」とは、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを油溶性物質に溶解したものを水相に加えることは、方法2から除外する意味である。
【0023】
[方法3]
方法3では、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を同時に直接水に加えて乳化する。具体的には、約40〜80℃、好ましくは約60〜80℃に加熱した水に、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル及び粉末化基材並びに約100℃以下、好ましくは約40〜80℃に保温された油溶性物質を同時に加え、高速回転式分散・乳化機を用いて、回転数約4000〜20000rpmにて、攪拌時間約10〜60分間で乳化することにより水中油型乳化組成物を調製することができる。
ここで、方法3において「同時」とは、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、粉末化基材及び油溶性物質を完全に同一のタイミングで水に加えることに制限されるものではなく、これらを別個に水に加えて溶解又は分散するものではない限りにおいて、ある程度の時間差は許容される。
また、方法3において「直接」とは、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを油溶性物質に溶解したものを水に加えることは、方法3から除外する意味である。
【0024】
上記1〜3の方法を実施することにより、水中油型乳化組成物中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの平均粒子径は約1.0μm未満に微細化されるため、該水中油型乳化組成物中に分散するL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量を安定に高めることが可能になる。これにより、該水中油型乳化組成物を乾燥して得られる粉末状の製剤中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量を高めることが可能となる。さらに、該製剤は、水に対する分散性が高く、これを水に分散させて得られる水分散液中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの平均粒子径も同様に微細なものとなる。
【0025】
上記水としては、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜処理水及び限外ろ過膜処理水等の精製水、水道水、地下水又は涌水等の天然水並びにアルカリイオン水等が挙げられる。
【0026】
上記水中油型乳化組成物を調製するための装置としては特に限定されず、例えば、攪拌機、加熱用のジャケット及び邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合槽を用いることができる。装備する攪拌機としては、TKホモミクサー(プライミクス社製)又はクレアミックス(エムテクニック社製)等の高速回転式分散・乳化機が好ましく用いられる。
【0027】
また、これらの装置で乳化した液を、高圧式均質化処理機を使用して、さらに均質化しても良い。ここで高圧式均質化処理機としては、例えばAPVゴーリンホモジナイザー(APV社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)又はナノマイザー(大和製罐社製)等を好ましく使用することができる。上記均質化処理機に代えて、例えば超音波乳化機等の均質化処理機を用いても良い。
【0028】
上記水中油型乳化組成物100質量%中には、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが約1.5〜18質量%、好ましくは約1.5〜12質量%、粉末化基材が約6〜27.8質量%、好ましくは約9〜27.8質量%、油溶性物質が約0.75〜15質量%、好ましくは約1.5〜12質量%、残余が水となるように調整するのが好ましい。その水の量に特に制限はないが、水中油型乳化組成物の固形分濃度が20〜60質量%となるよう調整するのが好ましい。
【0029】
次に、水中油型乳化組成物は乾燥され粉末化される。乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥、真空乾燥あるいは真空凍結乾燥等が挙げられるが、好ましくは噴霧乾燥である。本発明で使用される噴霧乾燥装置に特に制限はなく、噴射式噴霧乾燥装置又は回転円盤式噴霧乾燥装置等公知の装置を使用することができる。また、噴霧乾燥の操作条件に特に制限は無く、例えば、乳化組成物を加圧ノズル式噴霧乾燥装置に供給し、熱風入口温度約150〜270℃、排気温度約70〜130℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより、流動性の良い粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤を得ることができる。得られる粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の平均粒子径は約20〜200μm、好ましくは約50〜100μmである。また得られる粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の乾燥減量は約10質量%以下、好ましくは約7質量%以下、更に好ましくは約5質量%以下である。
【0030】
本発明により得られる粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤の好ましい実施態様の一例は、該製剤100質量%中、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを約5〜60質量%、好ましくは約5〜40質量%、粉末化基材を約20〜92.5質量%、好ましくは約30〜92.5質量%、油溶性物質を2.5〜50質量%、好ましくは約5〜40質量%含む粉末である。
【0031】
なお、本発明で得られる粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤中には、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、例えば食品用乳化剤及び酸化防止剤等を加えることができる。
【0032】
食品用乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの外、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が含まれる。またレシチンには、分別レシチン、酵素分解レシチン及び酵素処理レシチン等が含まれる。
【0033】
酸化防止剤としては、例えばL−アスコルビン酸及びその塩類、カテキン類、酵素処理ルチン、ヒマワリ種子抽出物、ブドウ種子抽出物及び酵素分解リンゴ抽出物等が挙げられる。
【0034】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
[実施例1]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
3)上記2)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び粉末化基材を含有する水相とした。
4)上記3)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを徐々に加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品1)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.3質量%であった。
【0036】
[実施例2]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
3)上記2)低速でさらに攪拌しながら、粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び粉末化基材を含有する水相とした。
4)上記3)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを徐々に加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品2)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.2質量%であった。
【0037】
[実施例3]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234g並びにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌して分散・溶解し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び粉末化基材を含有する水相とした。
3)上記2)の水相を低速で攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを徐々に加えた後、これを同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
4)上記3)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品3)460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.3質量%であった。
【0038】
[実施例4]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解し、粉末化基材を含有する水相とした。
3)上記2)の水相をさらに低速で攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90g及びL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌し、分散した。
4)上記3)を同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品4)460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.5質量%であった。
【0039】
[実施例5]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを含有する水相とした。
3)上記2)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234g並びに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌し、溶解・分散した。
4)上記3)を同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品5)460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.6質量%であった。
【0040】
[実施例6]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234g、油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90g並びにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌し、溶解・分散した。
3)上記2)を同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
4)上記3)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品6)460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.5質量%であった。
【0041】
[実施例7]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
3)上記2)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び粉末化基材を含有する水相とした。
4)上記3)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したナタネ油(ボーソー油脂社製)90gを徐々に加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品7)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.5質量%であった。
【0042】
[実施例8]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)150g及びデキストリン(商品名:パインデックス#2;松谷化学社製)120gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
3)上記2)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)240gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び粉末化基材を含有する水相とした。
4)上記3)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温した中鎖脂肪酸トリグリセリド(製品名;アクターM1;理研ビタミン社製)90gを徐々に加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品8)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.4質量%であった。
【0043】
[実施例9]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)156g及びアラビアガム(商品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル及び粉末化基材を含有する水相とした。
4)上記3)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)30gを徐々に加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品9)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.6質量%であった。
【0044】
[実施例10]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてデキストリン(商品名:パインデックス#2;松谷化学社製)30g及びアラビアガム(商品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)300g、油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)240g並びにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)30gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌して溶解・分散した。
3)上記2)を同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
4)上記3)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品10)460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.7質量%であった。
【0045】
[比較例1]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
4)上記3)を低速でさらに攪拌しながら、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを上記3)に徐々に加えた後、これを同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品1)を460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.8質量%であった。
【0046】
[比較例2]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
4)上記3)を低速でさらに攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加えた後、これを同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品2)を460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.1質量%であった。
【0047】
[比較例3]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
4)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品3)を460g得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.5質量%であった。
【0048】
[比較例4]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
4)上記3)を低速でさらに攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品4)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.2質量%であった。
【0049】
[比較例5]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234g並びにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
4)上記3)を同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品5)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.5質量%であった。
【0050】
[比較例6]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234g並びに油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌して溶解・分散した。
3)上記2)を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
4)上記3)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品6)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約2.8質量%であった。
【0051】
[比較例7]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180g及び油溶性物質として予め60℃に加温したミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gを同時に加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・分散した。
3)上記2)を低速でさらに撹拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加えて混合した後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
4)上記3)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品7)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.5質量%であった。
【0052】
[比較例8]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)96g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)234gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解し、水相とした。
3)油溶性物質であるミックストコフェロール(製品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製)90gにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加え、これを110℃にて加熱・混合して溶解し、油相とした。該油相は、100℃以下になると固化して析出物を多量に生じるため、その前に以下の操作を行った。
4)上記2)の水相を低速でさらに撹拌しながら、これに上記3)の油相を徐々に加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌・乳化し、水中油型乳化組成物である均質化液を得た。
5)上記4)の均質化液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品8)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.6質量%であった。
【0053】
[比較例9]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)210g及びアルケニルコハク酸エステル化澱粉B(製品名:ピュリティガムBE;日本エヌエスシー社製)210gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解した。
3)上記2)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌し、分散液とした。
5)上記3)の分散液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品9)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.4質量%であった。
【0054】
[比較例10]
1)3L容ステンレス製ジョッキに水道水1400mLを入れ80℃に加温した。
2)上記1)をTKホモミクサー(型式:MARK2.5;プライミクス社製)で低速で攪拌しながら、これに粉末化基材としてアルケニルコハク酸エステル化澱粉A(製品名:エヌクリーマー46;日本エヌエスシー社製)210g及びアラビアガム(商品名:サンアラビック;三栄薬品貿易社製)210gを加え、これを同ミクサーにて低速で10分間撹拌・溶解し、水相とした。
3)上記2)の水相を低速でさらに攪拌しながら、これにL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(製品名;DSMニュートリッションジャパン社製)180gを加えた後、同ミクサーにて10000rpmで15分間攪拌し、分散液とした。
4)上記3)の分散液を、加圧ノズル式噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社)にて、熱風入口温度170℃、排気温度80℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(比較例品10)460gを得た。得られた粉末の乾燥減量は約3.6質量%であった。
【0055】
ここで、上述した実施例1〜10及び比較例1〜10の製造方法における乳化方法(即ち、方法1〜3のいずれに該当するか否か)並びにこれら実施例及び比較例で製造した粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品1〜10及び比較例品1〜10)の配合組成を表1及び表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
[評価及び結果]
実施例1〜10及び比較例1〜10の製造過程で調整した水中油型乳化組成物の乳化状態並びにこれらにより製造した粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品1〜10及び比較例品1〜10)を水に分散して得た水分散液の分散状態(水分散性)を評価した。これら評価では、レーザー回折/分散粒度分布測定機(型式:LA−920;堀場製作所社製)を使用し、粒子径の大きさを体積頻度からメジアン径として算出することにより、上記水中油型乳化組成物及び水分散液について、平均粒子径及び粒度分布を測定した。また、粒度分布は、以下の基準に従い記号化した。結果を表3に示す。
◎:粒度分布は1山でシャープな形状であり、乳化・分散状態は非常に良好
○:粒度分布は1山でやや広がった状態であるが、乳化・分散状態は良好
△:粒度分布は2山であり、乳化・分散状態はやや悪い
×:粒度分布は2山以上の形状であり、乳化・分散状態は非常に悪い
【0059】
【表3】
【0060】
表3の結果から明らかなように、本発明の製造方法(実施例1〜10)によれば、その製造過程で調整される水中油型乳化組成物中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルは非常に微細であり、乳化状態が良好であった。また、本発明の製造方法により得られた粉末状L−アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤(実施例品1〜10)を水に分散して得た水分散液中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルも同様に微細であり、該製剤は水分散性が良好であった。これに対し、比較例1〜10(比較例品1〜10)では、いずれの評価項目も本発明のものに比べて劣っていた。以上より、本発明の優れた効果は、水中油型乳化組成物の調製において、特定の乳化方法(即ち、上記方法1〜3)を実施することにより発揮されることが実証された。