特許第6096029号(P6096029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096029
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】袋体の開口保持装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/12 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   B65B67/12 C
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-68536(P2013-68536)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189321(P2014-189321A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591160268
【氏名又は名称】北日本電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】特許業務法人ライトハウス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001313
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ブレーン
(72)【発明者】
【氏名】高梨 弘司
(72)【発明者】
【氏名】清野 宇一
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−156606(JP,U)
【文献】 特開2007−284075(JP,A)
【文献】 特開2003−191920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 67/00−67/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体を複数枚重なり合った状態でセット可能なベーステーブルと、
前記ベーステーブルにセットされた前記袋体の開口端の前方位置に配置される第一吸着部と、
前記ベーステーブルに、基端部を中心として回動可能に支持された操作アームに支持され、前記操作アームが前記ベーステーブルへ接近する方向に回動することにより、前記袋体のうちの最上にある袋体上に当接して吸着する第二吸着部と、
前記第二吸着部に前記最上にある袋体を吸着させた状態で、前記第二吸着部を前記第一吸着部に対向する位置まで移動させる移動手段と、
を具備し、
前記移動手段は、前記操作アームの第二吸着部が前記最上にある袋体上に当接した状態で前記操作アームを押圧すると、前記第二吸着部が前記第一吸着部へ近づく方向へ回動するように設けられている、袋体の開口保持装置。
【請求項2】
袋体を複数枚重なり合った状態でセット可能なベーステーブルと、
前記ベーステーブルにセットされた前記袋体の開口端の前方位置に配置される第一吸着部と、
前記ベーステーブルに、基端部を中心として回動可能に支持された操作アームに支持され、前記操作アームが前記ベーステーブルへ接近する方向に回動することにより、前記袋体のうちの最上にある袋体上に当接して吸着する第二吸着部と、
前記第二吸着部に前記最上にある袋体を吸着させた状態で、前記第二吸着部を前記第一吸着部に対向する位置まで移動させる移動手段と、
を具備し、
前記ベーステーブルに、基端部を中心として回動可能に支持された補助アームを備え、この補助アームに前記第一吸着部が支持されており、
前記補助アームは、前記ベーステーブルへ接近する方向に回動した際に、前記第一吸着部を前記袋体の開口端の前方位置に到達して配置されるように形成されており、
前記補助アームと前記操作アームは、前記ベーステーブルへ接近する方向に回動する際には連動し、元の位置へ戻す際には前記補助アームと操作アームが所定の開き角度になるように制御するアーム回動制御手段を備えている、袋体の開口保持装置。
【請求項3】
前記ベーステーブルに、基端部を中心として回動可能に支持された補助アームを備え、この補助アームに前記第一吸着部が支持されており、
前記補助アームは、前記ベーステーブルへ接近する方向に回動した際に、前記第一吸着部を前記袋体の開口端の前方位置に到達して配置されるように形成されている請求項1記載の袋体の開口保持装置。
【請求項4】
前記袋体の開口端と前記第一吸着部の到達位置との間に設けられ、前記第二吸着部に吸着された前記最上の袋体以外の他の袋体の移動を制御する袋体移動制御部材が設けられている請求項1〜3のいずれか1に記載の袋体の開口保持装置。
【請求項5】
前記袋体移動制御部材は、前記袋体の開口端に沿った両側部寄りに設けられた邪魔板からなる請求項4記載の袋体の開口保持装置。
【請求項6】
前記補助アームと前記操作アームは、前記ベーステーブルへ接近する方向に回動する際には連動し、元の位置へ戻す際には前記補助アームと操作アームが所定の開き角度になるように制御するアーム回動制御手段を備えている請求項〜5のいずれか1に記載の袋体の開口保持装置。
【請求項7】
前記アーム回動制御手段は、前記補助アームと前記操作アームとの間に掛け渡され、開き角度を調整可能に連結したチェーンである請求項2又は6記載の袋体の開口保持装置。
【請求項8】
前記アーム回動制御手段は、前記補助アームと前記操作アームを回動支持する軸受部に設けられている請求項2又は6記載の袋体の開口保持装置。
【請求項9】
前記アーム回動制御手段は、前記補助アームと前記操作アームを元の位置へ戻す途中において前記袋体の開口端を閉じた状態で回動させ、前記元の位置へ戻る時に前記補助アームと前記操作アームを所定の開き角度になるように制御する係合部材を備えている請求項2又は6〜8のいずれか1に記載の袋体の開口保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体の開口端を開口し、その開口状態を保持する袋体の開口保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなどの合成樹脂製の袋体は、一辺が開口された形状で形成され、スーパー等で購入した食料品、衣類、小物類等の収納、あるいは、農産物や工場出荷製品などの包装、さらには、病院等にて取り扱われる汚れた衣類や汚物の収納などの用途で用いられている。これらの袋体の開口端を開ける際、手指が乾燥していると開けにくい。指を唾液で湿らせて開けることは不潔であり、また、スーパーなどでそれらの行為を行うこと自体、他人に不快感を与える場合もある。そのため、スーパーや商店等では、袋詰めする場所に、水で湿らせたスポンジやタオルを置いておくことも多いが、不特定多数がそのスポンジやタオルに指を接触することから、衛生上の問題があると言われている。
【0003】
上記の問題を解決するために、特許文献1における袋の開口具では、弾力性を有する材料で製作したU字状バネトングを提案し、上下にゴム製の挟持部材を有する握り部を設け、前記挟持部材のどちらか一方をスライドできるようにして、袋体を容易に開口できるようにしている。
特許文献2におけるビニール袋開封器では、第一側面部及び第二側面部が重なり合ったビニール袋の、前記第一側面部を把持する第一の把持部と、前記第二側面部を把持する第二の把持部を備える。前記第二の把持部は、前記第一の把持部との間に前記ビニール袋を挟みながら、前記第一の把持部に対して移動する。これにより、第一側面部及び第二側面間部に開口を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−76593号公報
【特許文献2】特開2010−264995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2の技術は、袋体における表側の側面シート部及び裏側の側面シート部の密接状態を解消し、一端を開口できるものであるが、いずれも、袋体一枚ずつしか対応することができない。すなわち、特許文献1及び2の技術では、人の手で袋体を一枚ずつ取り出して開口作業を行う必要があり不便である。スーパーなどの商品収納テーブル上に設置されている袋体には、複数枚の袋体が連続的につながってロール状になっているものもあるが、複数枚の袋体が積層された状態で提供されている場合も多い。したがって、積層状態の複数枚の袋体をそのままセットするだけで、袋体を一枚ずつ取り出して開口できれば便利である。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、複数枚の重なり合った袋体に対して、人の手を使わずに袋体を一枚ずつ開口して保持することを可能とする袋体の開口保持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の袋体の開口保持装置は、袋体を複数枚重なり合った状態でセット可能なベーステーブルと、前記ベーステーブルにセットされた前記袋体の開口端の前方位置に配置される第一吸着部と、前記ベーステーブルに、基端部を中心として回動可能に支持された操作アームに支持され、前記操作アームが前記ベーステーブルへ接近する方向に回動することにより、前記袋体のうちの最上にある袋体上に当接して吸着する第二吸着部と、前記第二吸着部に前記最上にある袋体を吸着させた状態で、前記第二吸着部を前記第一吸着部に対向する位置まで移動させる移動手段と、を具備することを特徴とする。
前記ベーステーブルに、基端部を中心として回動可能に支持された補助アームを備え、この補助アームに前記第一吸着部が支持されており、前記補助アームは、前記ベーステーブルへ接近する方向に回動した際に、前記第一吸着部を前記袋体の開口端の前方位置に到達して配置されるように形成されている構成とすることが好ましい。
【0008】
前記移動手段は、前記操作アームの第二吸着部が前記最上にある袋体上に当接した状態で前記操作アームを押圧すると、前記第二吸着部が前記第一吸着部へ近づく方向へ回動するように設けられていることが好ましい。前記袋体の開口端と前記第一吸着部の到達位置との間に設けられ、前記第二吸着部に吸着された前記最上の袋体以外の他の袋体の移動を制御する袋体移動制御部材が設けられていることが好ましい。前記袋体移動制御部材は、前記袋体の開口端に沿った両側部寄りに設けられた邪魔板からなることが好ましい。前記補助アームと前記操作アームは、前記ベーステーブルへ接近する方向に回動する際には連動し、元の位置へ戻す際には前記補助アームと操作アームが所定の開き角度になるように制御するアーム回動制御手段を備えていることが好ましい。前記アーム回動制御手段は、前記補助アームと前記操作アームとの間に掛け渡され、開き角度を調整可能に連結したチェーンであることが好ましい。前記アーム回動制御手段は、前記補助アームと前記操作アームを回動支持する軸受部に設けられていることが好ましい。前記アーム回動制御手段は、前記補助アームと前記操作アームを元の位置へ戻す途中において前記袋体の開口端を閉じた状態で回動させ、前記元の位置へ戻る時に前記補助アームと前記操作アームを所定の開き角度になるように制御する係合部材を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の袋体の開口保持装置は、複数枚の重なり合った袋体をベーステーブルにセットし、補助アーム及び操作アームをベーステーブルに対して回動すると、補助アームに備えられた第一吸着部がベーステーブルへの接近時において袋体の開口端の前方位置に到達する。一方、操作アームに備えられた第二吸着部はベーステーブルへ接近時において最上の袋体上に当接して吸着する。移動手段によって第二吸着部を、袋体を吸着した状態で、袋体の開口端の前方に位置している第一吸着部上へ移動させると、今度は、袋体の開口端付近の裏側の側面シート部を第一吸着部で吸着することになる。この状態で操作アームを元の位置へ回動すると、第二吸着部と第一吸着部との間で袋体の開口端が相互に引っ張られ、袋体の開口端が開いて保持されることになる。上記の動作を繰り返すことで複数枚の重なり合った袋体を一枚ずつ手指で触れることなく開口して保持することができ、衛生的である。また、操作アームを操作するだけでよいため、構造が簡易で低コストで製作できると共に、操作も容易で、スーパーなどへ普及させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第一の実施形態に係る袋体の開口保持装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した袋体の開口保持装置における動作を示す側面図である。
図3図3(A)は、図2の後の動作を示す袋体の開口保持装置の側面図で、図3(B)は、図3(A)の後の動作を示す側面図である。
図4図4は、図3(A)の状態を示す袋体の開口保持装置の斜視図である。
図5図5は、図3(B)の状態を示す袋体の開口保持装置の斜視図である。
図6図6は、図3(B)の後の動作を示す袋体の開口保持装置の側面図である。
図7図7は、本発明の第二の実施形態に係る袋体の開口保持装置を示す斜視図である。
図8図8は、図7に示した袋体の開口保持装置における動作を示す斜視図である。
図9図9(A),(B)は、図7に示した袋体の開口保持装置における移動手段の一部を示す斜視図である。
図10図10は、図7に示した袋体の開口保持装置におけるアーム回動制御手段の概略を模式的に示す斜視図である。
図11図11は、本発明の第三の実施形態に係る袋体の開口保持装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る袋体の開口保持装置10の概略を示す斜視図である。図2図6は、図1に示した袋体の開口保持装置10における動作を説明する概略説明図である。
【0012】
本発明の第一の実施形態の袋体の開口保持装置10は、図1に示すように、ベーステーブル11、補助アーム20、操作アーム30を備えている。
【0013】
ベーステーブル11は、複数枚の重なり合った袋体70を載置してセット可能である。具体的には、ベーステーブル11の上面であって、ベーステーブル11の一部となっている、袋体70が載置される袋体載置部12が設けられている。後述する補助アーム20の第一吸着部22は、ベーステーブル11のうち袋体載置部12の前方に接する。このとき、袋体70の積層高さが、第一吸着部22がベーステーブル11の前方領域11aに接地した際の高さよりも低いと、袋体70を第一吸着部22上に移動させにくい。したがって、袋体載置部12の少なくとも前縁部12bの高さは、第一吸着部22の設置時の高さ(厚さ)より高い位置となるように設定されていることが好ましい。これにより、袋体70の残存枚数が少なくなった場合、特に、残り1枚となった場合であっても、袋体70を第一吸着部22上に移動させやすいという利点が生じる。
【0014】
また、袋体載置台12の左右の側部には、複数枚の重なり合った袋体70の幅の側縁を位置決めするための幅ガイド板13,13が設けられている。そして、袋体載置台12の図1において左上側の後部には、複数枚の袋体70の後部側縁の一部を突き当て位置決めするための後方ガイド板16,16が設けられている。さらに、袋体載置台12の前縁部12bの両側には、袋体70の前端(開口端)の位置を規制する前方ガイド板(邪魔板)14が開口端に沿って所定間隔をおいて両側部寄りに取り付けられている。この両側の前方ガイド板14,14を有することにより、袋体70の表側の側面シート部に後述の操作アーム30の第二吸着部32が接して吸着して、前方にずらそうとすると、積層状態の袋体70のうち、最上の袋体70だけが前方にずれ、上から2枚目以下の袋体70は、この前方ガイド板14,14に邪魔され、前方への移動が阻止される。本実施形態では、この前方ガイド板14が、最上の袋体70のみを前方にずらすことを可能とする袋体移動制御部材として機能する。
【0015】
補助アーム20は、右サイドアーム21a、左サイドアーム21b、及び、両サイドアーム21a,21bの先端部間を連結する連結アーム21cとからなる略コ字状に形成されており、ベーステーブル11に対して回動可能に支持されるものである。すなわち、右サイドアーム21aと左サイドアーム21bの基端部が、袋体載置台12の幅方向外側であって後方寄りに設けられた軸受部15,15に取り付けられ、この基端部を中心として、先端部側が前後方向に回動可能となっている。
【0016】
連結アーム21cの長さ方向略中央部には、第一吸着部22が設けられている。第一吸着部22は、袋体70の裏側の側面シート部を吸着する機能を果たす。そのため、補助アーム20を前方に傾倒させたときに、第一吸着部22が、ベーステーブル11のうち袋体載置部12の前縁部12bの前方(すなわち重なり合った状態でセットされている袋体70の開口端の前方)に位置する前方領域11aに接することができるように、右サイドアーム21a及び左サイドアーム21bの長さが設定されている。また、第一吸着部22は、補助アーム20が最も傾倒してベーステーブル11の前方領域11aに接した状態において、該第一吸着部22の少なくとも上面が吸着面となるように形成される。
【0017】
操作アーム30は、補助アーム20と同様に、右サイドアーム31a、左サイドアーム31b、及び、両サイドアーム31a,31bの先端部間を連結する連結アーム31cとからなる略コ字状に形成され、ベーステーブル11に対して回動可能に支持されている。補助アーム20と同様、右サイドアーム31aと左サイドアーム31bの基端部が、軸受部15,15によって軸支され、先端部側が前後方向に回動可能に取り付けられている。
【0018】
操作アーム30の連結アーム31cの長さ方向略中央部には、後述の回動アーム33,33を介して第二吸着部32が設けられる。第二吸着部32は、袋体70の表側の側面シート部に接して吸着するためのものであり、少なくとも、前方に傾倒した際に、袋体70の側面シート部に対向する面が吸着面となっている。また、第二吸着部32は、ベーステーブル11へ接近するように前方に回動する際、袋体70がセットされている平面視での範囲、つまり袋体載置台12の内側に位置するように、操作アーム30を構成する右サイドアーム31a及び左サイドアーム31bの長さが設定されている。
【0019】
連結アーム31cの略中央部には、所定間隔をおいて一対の回動アーム33,33が設けられており、この回動アーム33,33間に上記した第二吸着部32が支持されている。回動アーム33,33は、連結アーム31cを中心として回動するが、回動アーム33,33の少なくとも一方には、図2に示すように、連結アーム31cに固定した第一ストッパピン34及び第二ストッパピン35が設けられ、それによって回動範囲が規制されている。すなわち、少なくとも一方の回動アーム33には係合突部36が突設されており、この係合突部36が第一ストッパピン34と第二ストッパピン35に突き当たることによって規制される。
【0020】
第一ストッパピン34は、回動アーム33の、図2において反時計回りへの回動を規制するものであり、第二吸着部32が袋体載置台12の袋体70へ接した際に、袋体70の表面に対する回動アーム33の角度が、鉛直より前方へ傾く角度となるように規制する。これにより、操作アーム30をさらに袋体70に接近する方向に押圧しようとすると、回動アーム33が前方へ逃げる方向に回動することになり、第二吸着部32は第一吸着部22に対向する位置まで移動する。第二ストッパピン35は、このとき、回動アーム33の前方へ逃げる方向への必要以上に回動を規制するように設けられている。
【0021】
なお、第一吸着部22および第二吸着部32は、袋体70の側面シート部に吸着可能な吸着機能を有する限り、どのようなものであってもよく、吸着性能を有するゲル状部材をブロック状に成形したものを取り付けてもよいし、吸着剤を塗布したシート状のものを取り付けてもよい。また、このように素材自体が吸着性能を有するものを使用するのではなく、第一吸着部22および第二吸着部32に相当する部位に吸気口を形成し、ファンなどによって吸気して側面シート部を吸着する構成とすることも可能である。
【0022】
以上のように、本実施形態では、第二吸着部32は、袋体70に接した後、回動アーム33が前方に回動することによって、ベーステーブル11の前方領域11aに位置している第一吸着部22上に移動され、それによって吸着している袋体70を移動させる構成であり、回動アーム33が、第二吸着部32を移動させる移動手段となっている。なお、操作アーム30の連結アーム31cには、人が把持するための操作用の取っ手38が取り付けられている。
【0023】
また、図2に示したように、ベーステーブル11には、操作アーム30の右サイドアーム31a及び左サイドアーム31bの後方に、操作アーム用ストッパ部45,45が設けられている。これにより、操作アーム30は、最も後方に回動した状態で該操作アーム用ストッパ部45,45に当接することになり、鉛直より若干後方側へ傾いた姿勢で保持される。
【0024】
一方、補助アーム20の左サイドアーム21bにスライド可能に設けた第一スライドリング42と、操作アーム30の左サイドアーム31bにスライド可能に設けた第二スライドリング43とはアーム回動制御手段としてのチェーン41を介して連結されている。これにより、補助アーム20は、チェーン41の長さに相当する分、操作アーム30よりも前方に傾倒した姿勢で保持される共に、チェーン41に引っ張られることによって補助アーム20の自重による前方への回動が規制されている。また、図1に示したように、補助アーム20の右サイドアーム21aの後方側に補助アーム用ストッパ部44が設けられており、これにより、補助アーム20の後方への回動が規制される。
【0025】
ここで、袋体70は、第一吸着部22に裏側の側面シート部が吸着され、第二吸着部32に表側の側面シート部が吸着される。したがって、補助アーム20及び操作アーム30が最も開放に回動した状態では、チェーン41の長さに応じて袋体70の開口端は開口することになる。このとき、本実施形態のように、第一スライドリング42及び第二スライドリング43が位置調整可能に設けられていると、補助アーム20と操作アーム30との開き角度を調整することができ、その結果、袋体70の開口の開き具合を調整することができる。
【0026】
次に、第一の実施形態に係る袋体の開口保持装置10の作用を説明する。
図1及び図2に示すように、複数枚の重なり合った袋体70を、ベーステーブル11の袋体載置台12に載置してセットする。人は、取っ手38を掴んで操作アーム30を、図2において反時計回りに回動する。操作アーム30を回動させると、チェーン41に緩みが生じようとするが補助アーム20は、前傾姿勢であるため、この緩みが生じようとした途端、自重により前方に回動しようとする。その結果、操作アーム30及び補助アーム20は、チェーン41の長さに応じた開き角度を維持した状態で、前方(図2において反時計回り方向)に同期して回動していく。
【0027】
前方に回動していくと、補助アーム20は、図2において二点鎖線で示すように、第一吸着部22がベーステーブル11に接近していき、やがて第一吸着部22は袋体載置台12の外側の前方領域11aに到達する。この時、操作アーム30は、図2において二点鎖線で示す位置まで回動している。
【0028】
操作アーム30をさらに回動させると、図3(A)の実線及び図4に示すように、チェーン41がたるんでゆき、第二吸着部32が袋体載置台12上の最上の袋体70の表面側の側面シート部に当接して吸着する。この時、袋体70の表面に対する回動アーム33の角度が、鉛直より前方へ傾く角度となるように第一ストッパピン34によって規制されているので、回動アーム33が前方へ逃げる方向に回動し易い状態である。
【0029】
操作アーム30をさらに下方へ押圧すると、回動アーム33が前方へ、つまり図3(B)の二点鎖線から実線で示すように時計回り方向へ回動し、図5に示すように第二吸着部32が第一吸着部22に対向する位置まで移動する。それにより、第二吸着部32に吸着された袋体70が前方に移動する。したがって、操作アーム30を回動させる一連の動作で、複数枚の重なり合った袋体70を一枚ずつ前方へ移動させることができる。
【0030】
この時、最上にある袋体70以外の他の袋体70は、たとえ最上にある袋体70との摩擦によって前方へ移動しようとしても、第一吸着部22に対向する位置まで移動するのは第二吸着部32であるため、第二吸着部32に吸着されていない他の袋体70は、両側に位置する、袋体移動制御部材である邪魔板として機能する前方ガイド板14,14によって前方への移動が妨げられる。
【0031】
なお、回動アーム33の図3(B)における時計回り方向の回動は、第二ストッパピン35によって停止するので、第二吸着部32は第一吸着部22の上方位置で停止することになる。したがって、この状態では、最上の袋体70の開口端付近の表裏の側面シート部は、第二吸着部32と第一吸着部22とにそれぞれ吸着されている。
【0032】
次に、取っ手38を把持して操作アーム30を後方側へ、つまり図6において時計回り方向へ回動すると、図6の二点鎖線で示すように、補助アーム20は第一吸着部22がベーステーブル11の前方領域11aに到達したままであるため、袋体70は、操作アーム30の第二吸着部32に吸着された表面側の側面シート部が補助アーム20の第一吸着部22に吸着された裏面側の側面シート部から離間し、チェーン41の長さに応じた分の開口端が開かれる。
【0033】
操作アーム30をさらに後方側へ回動すると、それに伴って、補助アーム20も、チェーン41によって牽引され、チェーン41の長さに相当する操作アーム30との開き角度を維持した状態で同方向に回動していく。操作アーム30の回動は、図6の実線で示すように、操作アーム用ストッパ部45,45によって停止し、鉛直より後方側へ傾いた位置へ戻る。一方、補助アーム20は、回動時の勢いがあっても、補助アーム用ストッパ部44によって回動が停止するので、図6の実線で示すように鉛直より前方側へ傾いた位置に戻る。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、補助アーム20が操作アーム30と連動してベーステーブル11に近づく方向へ回動し、元の位置へ戻す時に補助アーム20と操作アーム30が所定の角度になるように制御される。その結果、操作アーム30を往復回動させる一連の動作で、複数枚重なり合った袋体70から、上から順に一枚ずつ取り出し、その袋体70を容易に開口し、その開口状態を保持することができる。したがって、所望の物品を、手指を湿らせることなく袋体70の開口端から投入することができ、衛生的である。しかも、上記の動作を繰り返して、連続的に複数枚の重なり合った袋体70から一枚ずつを簡単に開口して保持することができる。このとき、補助アーム20が鉛直より前方に傾いた位置で停止し、操作アーム30が鉛直より後方に傾いた位置で停止することにより、袋体70の開口が水平に近い状態を保つので、所望の物品を袋体70に入れやすくすることができる。
【0035】
次に、本発明の第二の実施形態に係る袋体の開口保持装置50について説明する。図7は、第二の実施形態に係る袋体の開口保持装置50の概略を示す斜視図である。図8図10は、図7に示した袋体の開口保持装置50における動作を説明する概略説明図である。なお、基本的には、前述の第一の実施形態の袋体の開口保持装置10とほぼ同様であるので、特に異なる箇所を詳しく説明する。同様の部材は同符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
第二の実施形態の袋体の開口保持装置50は、第一の実施形態と同様に、ベーステーブル11、補助アーム20、操作アーム30、第一吸着部22、第二吸着部32を備えている。袋体載置台12は、ベーステーブル11に、複数の支柱12aによって第一吸着部22の厚さより高い高さとなるように配置されている。その他の構成は、第一の実施形態とほぼ同様である。
【0037】
補助アーム20は、右サイドアーム21aと左サイドアーム21bと連結アーム21cとからなる略コ字形状であり、各アーム21a,21b,21cが板状の部材で形成されている。第一吸着部22は、連結アーム21cの長さ方向略中央部に吸着面が上向きとなるように設けられている。操作アーム30も同様に、右サイドアーム31aと左サイドアーム31bと連結アーム31cとからなる略コ字形状であり、各アーム31a,31b,31cが板状の部材で形成されている。但し、第二吸着部32は、上記第一の実施形態と異なり、連結アーム31cの長さ方向略中央部の下方に突出させた部分に固定され、吸着面が下向きとなるように設けられている。
【0038】
ここで、前記操作アーム30の連結アーム31cに設けた第二吸着部32を、前方へ移動させる移動手段について説明する。連結アーム31cは、右サイドアーム31aと左サイドアーム31bに軸53,53によって前後方向へ回動自在に取り付けられている。すなわち、本実施形態では、連結アーム31cに直接第二吸着部32を取り付けているため、連結アーム31c自体が軸53,53によって前後方向に回動する構成であり、この回動自在の連結アーム31c自体が移動手段を構成する。なお、連結アーム31cの回動範囲は、右サイドアーム31a及び左サイドアーム31bの少なくともいずれか一方の内側に設けたストッパ部52,52によって規制される。
【0039】
ストッパ部52は、具体的には、図9(A)に示すように、右サイドアーム31a(または左サイドアーム31b)の面に対し、連結アーム31cの面が直角に交差するのではなく、それよりも鈍角となるように規制する機能を果たす。すなわち、ストッパ部52のうち、連結アーム31cに接する上端内側角部52aよりも、下端内側角部52bが、右サイドアーム31a(または左サイドアーム31b)の面に対して前方となるように取り付けられている。したがって、図9(A)に示した位置においては、連結アーム31cは自重によって軸53を中心として時計回りに回動しようとするが、このとき、連結アーム31cの上部寄りの面がストッパ部52の上端内側角部52aに当接するため、それ以上時計回りに回動できない状態となって、該連結アーム31cの姿勢が上記のように鈍角で規制される。
【0040】
一方、図9(B)に示したように、操作アーム30おける第二吸着部32が袋体載置台12の袋体70へ突き当たってさらに前記操作アーム30を下方へ押圧すると、連結アーム31cが反時計回り方向へ回動するが、その際には、連結アーム31cの下部寄りの面がストッパ部52の下端内側角部52bに当接してその回動範囲が規制される。
【0041】
次に、第二の実施形態におけるアーム回動制御手段63について説明する。
アーム回動制御手段63は、補助アーム20と操作アーム30を回動支持する軸受部60に内蔵されている。左右の軸受部60,60は同様の構造であるので、右側の軸受部60を一例として説明する。図7及び図10に示すように、補助アーム20の右サイドアーム21aと操作アーム30の右サイドアーム31aが、外側軸受基部61と内側軸受基部62との間で、シャフト軸67によって同軸上で前後方向に回動可能に軸支されている。
【0042】
操作アーム30は、図7に示すように鉛直より後方側へ傾いた位置で停止するように、後方側への回動、例えば図10において反時計回り方向の回動が、内側軸受基部62と、操作アーム30の右サイドアーム31aとの間に設けた操作アーム用ストッパ部66によって規制される構成である。
【0043】
前記操作アーム用ストッパ部66としては、内側軸受基部62の右側面に、シャフト軸67の軸心を中心とする円形の操作アーム用溝部66aを設け、前記操作アーム用溝部66a内に操作アーム用ストッパ受け部66bを設けている。一方、操作アーム30の右サイドアーム31aの左側面に、操作アーム用ストッパピン66cを前記操作アーム用溝部66aと同心円上に突出し、前記操作アーム用溝部66aに嵌入して図10において反時計回り方向で操作アーム用ストッパ受け部66bに突き当たるように配置している。
【0044】
一方、補助アーム20は、図7に示すように鉛直より前方側へ傾いた位置で停止するように、前方側への回動、例えば図10において時計回り方向の回動が、操作アーム30の右サイドアーム31aと、補助アーム20の右サイドアーム21aとの間に設けた補助アーム用前方ストッパ部65によって規制される構成である。つまり、前記補助アーム20に対する前記操作アーム30の開き角度が、補助アーム用前方ストッパ部65によって規制される。
【0045】
前記補助アーム用前方ストッパ部65としては、補助アーム20の右サイドアーム21aの左側面に、シャフト軸67の軸心を中心とする円形の補助アーム用前方ストッパ溝部65aを設け、前記補助アーム用前方ストッパ溝部65a内に補助アーム用前方ストッパ受け部65bを設けている。一方、操作アーム30の右サイドアーム31aの右側面に、補助アーム用前方ストッパピン65cを前記補助アーム用前方ストッパ溝部65aと同心円上に突出し、前記補助アーム用前方ストッパ溝部65aに嵌入して、補助アーム用前方ストッパ受け部65bが図10において時計回り方向で突き当たるように配置している。
【0046】
また、前記補助アーム20は、後方側への回動、例えば図10において反時計回り方向の回動が、補助アーム20の右サイドアーム21aと、外側軸受基部61との間に設けた補助アーム用後方ストッパ部64によって規制される構成である。
【0047】
前記補助アーム用後方ストッパ部64としては、外側軸受基部61の左側面に、シャフト軸67の軸心を中心とする円形の補助アーム用後方ストッパ溝部64aを設け、前記補助アーム用後方ストッパ溝部64a内に補助アーム用後方ストッパ受け部64bを設けている。一方、補助アーム20の右サイドアーム21aの右側面に、補助アーム用後方ストッパピン64cが前記補助アーム用後方ストッパ溝部64aと同心円上に突出し、前記補助アーム用後方ストッパ溝部64aに嵌入して、図10において反時計回り方向で補助アーム用後方ストッパ受け部64bに突き当たるように配置している。
【0048】
さらに、前記アーム回動制御手段63は、補助アーム20と操作アーム30を、図8に示す位置から図7に示す元の位置へ戻す途中において袋体70の開口端を閉じた状態で回動させ、その後、前記元の位置へ戻る時に補助アーム20と操作アーム30とを所定の開き角度になるように制御する係合部材68を備えている。
【0049】
前記係合部材68としては、図7に示すように、例えば操作アーム30の右サイドアーム31aの右側面の下部に、板バネからなる係合突起部68aを設ける。一方、前記係合突起部68aと係合する係合孔部68bが、補助アーム20の右サイドアーム21aの左側面の下部に、係合突起部68aの回動軌跡上に位置して設けられている。
【0050】
次に、第二の実施形態に係る袋体の開口保持装置50の作用を説明する。
図7に示すように、複数枚の重なり合った袋体70を、ベーステーブル11の袋体載置台12上に載置してセットする。人は、取っ手38を把持して操作アーム30を、図7において時計回り方向へ回動する。それに伴って、補助アーム20も、左右の軸受部60,60のアーム回動制御手段63における補助アーム用前方ストッパ部65によって操作アーム30との開き角度を維持した状態で回動制御され、自重によって図7において時計回り方向へ回動する。
【0051】
一方、補助アーム用後方ストッパ部64においては、上記の補助アーム20の前方への回動に伴って、補助アーム用後方ストッパピン64cが前記補助アーム用後方ストッパ溝部64a内の補助アーム用後方ストッパ受け部64bから離れるように、図10において時計回り方向に回動する。
【0052】
さらに、補助アーム20は、第一吸着部22がベーステーブル11へ接近する時、図8に示すように前記第一吸着部22が袋体載置台12の外側であるベーステーブル11の前方領域11aに着地する。この時、操作アーム30は、補助アーム20との開き角度を維持した状態である。
【0053】
その後、前記操作アーム30をさらに回動させると、補助アーム用前方ストッパ部65における補助アーム用前方ストッパピン65cが補助アーム用前方ストッパ溝部65a内にて補助アーム用前方ストッパ受け部65bから離れるように、図10において時計回り方向に回動する。
【0054】
操作アーム30をさらに回動させると、第二吸着部32が袋体載置台12上の袋体70の開口端付近の表面に当接し、複数枚のうちの最上にある袋体70の表面側の側面シート部に吸着する。この時、袋体70の表面に対する連結アーム31cの角度が、垂直より前方へ傾く角度となるようにストッパ部52によって規制されているので、連結アーム31cが前方へ逃げる方向に回動し易い状態である。
【0055】
操作アーム30をさらに下方へ押圧すると、連結アーム31cが前方へ、つまり図9(B)に示すように反時計回り方向へ回動し、図8に示すように第二吸着部32で吸着した袋体70を前方へ移動させる。したがって、操作アーム30を回動させる一連の動作で、複数枚の重なり合った袋体70を一枚ずつ前方へ移動させることができる。
【0056】
この時、最上にある袋体70以外の他の袋体70は、たとえ最上にある袋体70との摩擦によって前方へ移動しようとしても、第二吸着部32の両側に位置する前方ガイド板14,14によって前方への移動が阻止されることは上記実施形態と同様である。
【0057】
前記連結アーム31cの図9(B)における反時計回り方向の回動は、ストッパ部52によって停止するので、第二吸着部32は第一吸着部22の上方位置で停止することになる。したがって、第二吸着部32で吸着した袋体70における裏側の側面シートの表面が第一吸着部22に吸着される。
【0058】
一方、上記のように操作アーム30を下方へ押圧すると、操作アーム30の右サイドアーム31aの板バネからなる係合突起部68aが、補助アーム20の右サイドアーム21aの係合孔部68bと係合する。したがって、第二吸着部32及び第一吸着部22間に袋体70を挟持した状態でも、係合突起部68a及び係合孔部68bは係合したままになっている。
【0059】
次に、操作アーム30を後方側へ、つまり図8において反時計回り方向へ回動すると、係合突起部68aと係合孔部68bが係合しているので、補助アーム20も一緒に後方側へ回動することになる。したがって、補助アーム20と操作アーム30を元の位置へ戻す途中において、第一吸着部22及び第二吸着部32にて吸着された袋体70は開口端を閉じた状態で移動することになる。
【0060】
さらに、前記補助アーム20が元の位置へ戻る時、補助アーム用後方ストッパ部64において、補助アーム用後方ストッパピン64cが図10において反時計回り方向に回動し、補助アーム用後方ストッパ溝部64a内の補助アーム用後方ストッパ受け部64bに突き当たる。したがって、補助アーム20は、回動時の勢いがあっても、前記補助アーム用後方ストッパ部64によって回動が停止するので、鉛直より前方側へ傾いた元の位置に戻る。
【0061】
補助アーム20の回動は停止した状態で、前記操作アーム30をさらに後方側へ回動させると、操作アーム30の右サイドアーム31aの係合突起部68aが、補助アーム20の右サイドアーム21aの係合孔部68bから外れる。
この時、補助アーム20の第一吸着部22にて吸着された袋体70の裏側の側面シート部の移動は停止したまま、操作アーム30の第二吸着部32にて吸着された袋体70の表側の側面シート部が後方へ引っ張られるので、袋体70の開口端が開くことになる。
【0062】
また、上記の操作アーム30の後方への回動は、補助アーム用前方ストッパ部65において、補助アーム用前方ストッパピン65cが、補助アーム用前方ストッパ溝部65a内にて補助アーム用前方ストッパ受け部65bへ近づくように、図10において反時計回り方向に回動する。一方、操作アーム用ストッパ部66において、操作アーム用ストッパピン66cが、図10において反時計回り方向に回動し、操作アーム用溝部66a内の操作アーム用ストッパ受け部66bに突き当たって元の位置で停止する。
【0063】
以上のように、アーム回動制御手段63は、操作アーム30の元の位置を、操作アーム用ストッパ部66において調整することができる。一方、補助アーム20の元の位置を、補助アーム用前方ストッパ部65において調整することができる。つまり、補助アーム20と操作アーム30との開き角度を調整し、袋体70の開口端の開き状態を調整することができる。また、アーム回動制御手段63は、補助アーム20と操作アーム30における回転中心部の軸受部60に内蔵して設けたので、コンパクトな装置となる。また、アーム回動制御手段63は、補助アーム20と操作アーム30を元の位置へ戻す途中において、袋体70の開口端を閉じた状態で回動させるので、操作アーム30を勢いよく元の位置へ戻しても袋体70を傷めることなく移動させることができ、袋体70が第一吸着部22から剥がれてしまうことを防ぐことができる。さらに、袋体70が開口している時間を短くすることができるので、衛生的である。
【0064】
上記実施形態は、いずれも、第一吸着部22を補助アーム20に支持させ、補助アーム20を回動させて第一吸着部22をベーステーブル11の前方領域11aに配置する構成である。これは、ベーステーブル11を略水平に載置して使用することを前提としているためであるが、図11に示した第三の実施形態の袋体の開口保持装置80のように、ベーステーブル11を壁面などに取り付けて縦置きにして使用する場合には、補助アーム20を省略した構成とすることができる。すなわち、第一吸着部22をベーステーブル11の前方領域11aに予め固定配置しておく。
【0065】
ベーステーブル11が縦置きであるため、袋体70も当然に縦置きになっている。なお、袋体70は縦置きであるため、落下防止のため、袋体70の両側部、底辺部(開口端と反対側の端部)、及び表面の少なくとも一部を被覆できる保持部材71を設けておく必要がある。その一方、保持部材71における袋体70の表面を覆っている部分は、操作アーム30が接近した際に、第二吸着部32が最上の袋体70の側面シート部に当接できるように、対応する位置に切り欠き71aが設けられている。
【0066】
この実施形態によれば、操作アーム30を前方に回動させて、保持部材71の切り欠き71aを介して、第二吸着部32を最上の袋体70の側面シート部に当接する。この状態で操作アーム30をさらに押し付けると、上記実施形態と同様に、第二吸着部32が前方に回動し、袋体70を吸着した状態で、ベーステーブル11の前方領域11aに固定された第一吸着部22に対応する位置まで移動する。これにより、袋体70の各側面シート部が第二吸着部32及び第一吸着部22に吸着された状態なる。かかる状態で、操作アーム30を後方に回動させると、第二吸着部32に吸着された側面シート部が後方に変位し、開口端が開かれることになる。
【0067】
本実施形態では、補助アーム20を廃止できるため、製造コストの低減に資する。上記した第一及び第二実施形態のもののように略水平に載置することが困難な場所において、本実施形態のものは壁面などに取り付けられるため、省スペースで配置できる。いずれを用いるかは、設置場所、用途などを考慮して適宜選択すればよい。
【0068】
なお、本発明の袋体の開口保持装置10,50,80は、種々の袋体に対して適用される。袋体には、前述したように、食料品、衣類、小物類、その他の商品などのようにスーパーや商店で買った物品を包装する包装袋、農家にて農産物を包装する包装袋、工場や店舗にて出荷や販売する際に製品を包装する包装袋、病院や他の施設にて汚れた衣類や汚物を投入する袋体などがあるが、これら種々の袋体に適用可能である。上記した説明では合成樹脂製の袋体を例にとり説明しているが、紙製であっても適用可能である。
【0069】
また、上記各実施形態では、補助アーム20及び操作アーム30を手で操作しているが、人の足下にこれらに連動する操作部材を設け、手を使わずに足で操作するようにしてもよい。また、手動ではなく、電動式とすることももちろん可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 袋体の開口保持装置
11 ベーステーブル
12 袋体載置台
14 前方ガイド板
20 補助アーム
22 第一吸着部
30 操作アーム
32 第二吸着部
33 回動アーム
41 チェーン
50 袋体の開口保持装置
52 ストッパ部
53 軸
60 軸受部
67 シャフト軸
68 係合部材
68a 係合突起部
68b 係合孔部
70 袋体
80 袋体の開口保持装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11