(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096050
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】トルク外乱を低減するスキューされた転写定着ローラを有するプリンタおよびプリント方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
B41J2/01 101
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-105850(P2013-105850)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2013-256116(P2013-256116A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】13/495,483
(32)【優先日】2012年6月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ジー・レイトン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エフ・レオ
(72)【発明者】
【氏名】ビン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・エヌ・エム・ディヤング
【審査官】
村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−046213(JP,A)
【文献】
特開2009−090274(JP,A)
【文献】
特開平04−021883(JP,A)
【文献】
特開2012−091337(JP,A)
【文献】
特開2010−214957(JP,A)
【文献】
特開平05−289546(JP,A)
【文献】
特開2009−031346(JP,A)
【文献】
特開2009−046214(JP,A)
【文献】
特開平10−153891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス方向に移動する複数の記録媒体シートにインク画像を形成するプリンタであって、
交差プロセス方向に実質的に一致する第1の縦軸を規定し、かつ前記インク画像を受像するよう構成される画像受信部材と、
前記画像受信部材に隣接して配置され、前記第1の縦軸に対して前記プロセス方向にスキューされた第2の縦軸を規定してニップを規定する転写定着ローラであって、前記画像受信部材がインク画像を受像する際、および前記複数の記録媒体シートのうち第1のシートの後縁部が前記ニップを出て前記複数の記録媒体シートのうち第2のシートの前縁部が前記ニップに入る際に、前記画像受信部材に継続的にかみ合うよう構成されて、前記画像受信部材のトルク外乱及び前記画像受信部材におけるインク画像のずれを低減することができる、転写定着ローラと、
を備え、
前記画像受信部材と前記転写定着ローラが、約9から12ミリメートルの間の幅を有するニップを画定する、
プリンタ。
【請求項2】
前記画像受信部材が、
前記第1の縦軸を中心に所定の速度で回転するよう構成された回転ドラムであって、前記インク画像を複数同時に支持するのに十分な表面領域を規定する表面を含む回転ドラムをさらに備える、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記画像受信部材の前記表面領域が少なくとも2つのインク画像を支持するのに十分な大きさを有する、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記転写定着ローラと前記画像受信部材とで形成されるスキューの角度により、前記転写定着ローラが前記第2のシートの前縁部にかみ合うことより生じるトルク外乱が低減する、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記転写定着ローラと前記画像受信部材とで形成されるスキューの角度により、前記ドラムを約5%または5%を超えて速度変化させるトルク外乱が低減する、請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記転写定着ローラと前記画像受信部材とで形成されるスキューの角度が、約1度から2度である、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記転写定着ローラと前記画像受信部材とで形成されるスキューの角度が、約2度である、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記転写定着ローラに動作可能に接続され、前記転写定着ローラに力を印加し、前記ニップにおいて、1平方インチ(約6.45cm2)あたり少なくとも1,000ポンド(約454Kg)のニップ圧力を発生させる負荷機構をさらに備える、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記負荷機構が3,000ポンド(約1361Kg)から5,000ポンド(約2268Kg)の前記力を供給するように構成された、請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記回転ドラムに動作可能に接続され、前記ドラムの前記表面を1秒あたり40インチから42インチ(約101.6cm〜106.7cm)移動させるように構成されたモータをさらに備える、請求項9に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記回転ドラムが1分あたり約250枚の記録媒体シートに像形成する、請求項10に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記負荷機構が、前記転写定着ローラを移動させて前記回転ドラムに係合及び係合解除させるように構成された、請求項8に記載のプリンタ。
【請求項13】
前記転写定着ローラと前記画像受信部材とで形成されるスキューの角度により、前記転写定着ローラが前記第1のシートの後縁部との係合から外れることで生じるトルク外乱が低減する、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項14】
プロセス方向に垂直である交差プロセス方向の軸回りに回転する画像受信部材と、該画像受信部材に隣接して配置された転写定着ローラとを備えるインクジェットプリンタにおいて、前記プロセス方向に沿って移動する複数の記録媒体カットシートに画像をオフセットプリントする方法であって、
前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させて、前記画像受信部材とのニップを形成するステップであって、前記転写定着ローラが前記交差プロセス方向に対して前記プロセス方向にスキューされた軸回りに回転し、
前記画像受信部材上に第1の画像を形成するステップと、
前記第1の画像の形成後、前記画像受信部材上に空間を形成するステップと、
前記空間の形成後、前記画像受信部材上に第2の画像を形成するステップと、
前記第1の画像の形成中、前記空間の形成中、前記第2の画像の形成中、及び、前記画像を受像する前記複数の記録媒体シートのうち第1のシートの後縁部が前記ニップを出て前記画像を受像する前記複数の記録媒体シートのうち第2のシートの前縁部が前記ニップに入る際に、前記転写定着ローラの前記画像受信部材との係合を維持して、前記画像受信部材のトルク外乱及び前記画像受信部材におけるインク画像のずれを低減することができる、ステップと、
を含み、
前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させるステップが、前記画像受信部材と前記転写定着ローラとの間に、前記ニップを約9から12ミリメートルの間の幅で形成するステップをさらに含む、方法。
【請求項15】
前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させるステップが、前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させて前記交差プロセス方向に対して約1度から2度オフセットした角度を形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させるステップが、前記交差プロセス方向に対して約2度オフセットした角度を形成するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させるステップが、約3,600ポンド(約1361Kg)から4,200ポンド(約2268Kg)の力を印加して前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させるステップが、前記転写定着ローラを前記画像受信部材に係合させて、前記ニップにおいて、1平方インチ(約6.45cm2)あたり約1,000ポンド(約454Kg)の印加される力を発生させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には固体インクオフセットプリンタに関し、より詳細には、画像ドラムに対してスキューされ、かつ画像ドラムで継続的に印加されるか、または中断されないニップを規定して、トルク外乱を低減する転写定着ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なインクジェットプリンタは1つまたは複数の印字ヘッドを使用し、各印字ヘッドが、印刷中にインク画像を形成するための画像受信表面を有する画像受信部材へ、開放ギャップを横切ってインクジェットにより排出されるインクの滴が通る個々のノズルの配列を含む。画像受信表面は、記録媒体の連続ウェブの表面、一連の媒体シート、または画像受信部材の表面であってもよく、画像受信部材は画像ドラム、回転印字ドラム、またはエンドレスベルトであってもよい。インクジェット印字ヘッドにおいて、個々の圧電、熱、または音響アクチュエータは、印字ヘッドの面版における、通常はノズルと称される開口部を介してインクを放出する機械力を生成する。アクチュエータは、発射信号と称されることもある電気信号に応答して、インク滴を放出する。発射信号の大きさ、すなわち電圧レベルは、インク滴で排出されたインクの量に影響を及ぼす。発射信号は、画像データに対して印字ヘッド制御器により生成される。インクジェットプリンタの印刷エンジンは、画像データを処理して、画像受信表面の特定の位置にインク滴のパターンを排出するよう動作するプリンタの印字ヘッドのインクジェットを特定し、画像データに対応するインク画像を形成する。インク滴が落ちる場所は「インク滴場所」、「インク滴位置」、または「画素」と称されることがある。したがって、印刷動作は電子画像データに対する画像受信表面へのインク滴の配置と見なすことができる。
【0003】
位相変化インクジェットプリンタは、直接またはオフセット印刷プロセスのどちらかを使用して画像を形成する。直接印刷プロセスにおいて、溶けたインクは記録媒体上に直接的に噴出されて画像を形成する。オフセット印刷プロセスは、間接印刷プロセスとも称されるが、溶けたインクが回転ドラム、ベルト、またはバンドの表面などの回転部材の表面上に噴出される。
【0004】
間接インクジェットプリンタは、単一または二重印刷のどちらかを生じることができる。単一印刷は、印刷媒体の片側にのみ画像を生じることを指す。二重印刷は、媒体シートのそれぞれの側に画像を生じる。二重間接印刷において、インク画像は最初に回転ドラムに形成され、その後媒体に転写される。その後、媒体シートは反転され、回転ドラムによって媒体シートの2番目の側を通る経路に沿って送られ、第2の側に第2のインク画像を形成するためにインクを付着させる。
【0005】
記録媒体は加熱され、表面上に形成されるインク画像と同期して回転部材の表面近くに移動される。その後、記録媒体は、媒体が回転部材と転写定着ローラとの間に形成されたニップを通過する時に、回転部材の表面に押しつけられる。インク画像はニップにおける圧力によって記録媒体に転写され、付着される。
【0006】
ニップは、高デュロメータ合成転写定着ローラを回転部材に押しつけることによって、高圧に維持される。回転部材が回転すると、記録媒体はニップを介して引き寄せられ、転写定着ローラおよび回転部材の反対表面によって付着したインク画像に押しつけられる。ニップの高圧状態により媒体とインクとが一緒に圧縮され、インク滴が広がって、インク滴が媒体に融合される。予熱した媒体からの熱でニップのインクが熱せられ、インクは印刷媒体に付着するのに十分なほど柔らかく粘着性をもつようになる。印刷媒体がニップから離れる時、ストリッパフィンガーまたは他の同様の部材が印刷部材からはがし、媒体出口経路の中に案内する。
【0007】
印刷速度の向上は、画像ドラムの回転速度を向上させるか、または画像ドラムの直径を大きくすることにより達成することができる。直径を大きくする場合、ニップの幅が大きくなる。さらに、印刷速度が向上すると、より高い圧力がニップで必要となるため、ニップの幅も大きくなる。したがって、印刷速度が向上すると、ニップの形状および大きさが印刷状態に影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
高速な画像化に必要な高圧の印加は転写定着ローラの変形をもたらすため、転写定着ローラの形はニップの形および大きさにも影響を及ぼし得る。一部のプリンタにおいて、「クラウンプロファイル」を有する転写定着ローラが、所望のニップおよびニップ幅を提供するために使用され得る。「クラウンプロファイル」は、ローラの中央に位置する転写定着ローラの直径が、ローラの端に位置する転写定着ローラの直径より大きいプロファイルである。クラウンプロファイルを有する転写定着ローラは、所望の画像品質、ローラ寿命、および許容できるコストを提供することができる。他のプリンタにおいて、フラットプロファイルを有する転写定着ローラが使用され得る。
【0009】
ニップは一般的に、転写定着ローラの長さおよび転写定着ローラと画像受信部材との間の接触力によって規定される長さを含む。例えばクラウンを有する転写定着ローラにおいて、ニップの長さはローラの長さより短い。ニップの幅はプロセス方向において測定され、転写定着ローラと画像受信部材との間に印加する圧力、および転写定着ローラと画像受信部材とを構成する素材によって規定される。
【0010】
転写されたインク滴は、画像解像度を保つために、広がって特定の領域を覆うのが好ましい。広がりが少なすぎるとインク滴の間に隙間が残ってしまい、広がり過ぎるとインク滴が混ざってしまう。加えて、ニップの状態は、印刷媒体上のインク滴の広がりに支障を来すことなく、画像受信部材から印刷媒体へのインク滴の転写が最大限に行われるよう制御されるのが好ましい。さらに、インク滴は、紙にインク滴が定着するのに十分な圧力で紙に押しつけられるのが好ましい。さもなければ、インク滴は気付かないうちに剥離によりはがれてしまい、画像品質が悪くなる可能性がある。したがって、画像解像度を最適化するために、ニップの状態は注意深く制御されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
間接プリンタは、スキューされた転写定着ローラの転写定着プロセスを使用して、1分間に約250ページの速さで媒体シート上に固形ワックス画像を印刷する。スキューされた転写定着ローラはトルク外乱を低減し、これには媒体シートの前縁部および後縁部で発生する動きアーチファクトを含む。プリンタはプロセス方向に動く記録媒体の複数のシートにインク画像を形成するよう構成され、かつ交差プロセス方向に実質的に並ぶ第1の縦軸を規定してインク画像を受けるよう構成される画像受信部材を含む。転写定着ローラは画像受信部材と隣接して配置され、かつ第1の縦軸に対してスキューされた第2の縦軸を規定して、ニップを規定する。転写定着ローラは、記録媒体の複数のシートの第1のシートの後縁部から記録媒体の複数のシートの第2のシートの前縁部まで、画像受信部材を継続的にかみ合わせるよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、画像受信部材および画像受信部材の縦軸からオフセットされた縦軸を有する転写定着ローラの概略的な側面図である。
【
図2】
図2は、転写定着ローラを画像受信部材とかみ合わせる負荷を支持および印加するよう構成される負荷機構の斜視図である。
【
図3】
図3は、転写定着ローラを画像受信部材に対して位置づける支持体と動作可能に接続される転写定着ローラの概略的な上面図である。
【
図4】
図4は、転写定着ローラを画像受信部材に対して位置づける支持体と動作可能に接続される転写定着ローラの別の実施形態の概略的な上面図である。
【
図5】
図5は、画像を回転画像受信部材上に印刷し、画像を記録媒体に転写するよう構成されるインクジェットプリンタの概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図5は、高速位相変化インク画像作成機器またはプリンタ10を示す。図示されるように、プリンタ10は、以下に記載するように、動作サブシステムおよび構成要素を直接的または間接的に支持するフレーム11を含む。プリンタ10は、ドラムの形状で示される画像受信部材12を含むが、支持されたエンドレスベルトをさらに含んでもよい。画像受信部材12は、方向16に移動可能な画像表面14を有し、その上に位相変化インク画像が形成される。方向17に回転可能な転写定着ローラ19は、ドラム12の表面14に負荷をかけられて転写定着ニップ18を形成し、その中で表面14に形成されたインク画像が記録媒体49上に転写定着される。
【0014】
高速位相変化インクプリンタ10は、固体形状の1つの色位相変化インクの少なくとも1つの源22を有する位相変化インク搬送サブシステム20をさらに含む。位相変化インクプリンタ10はマルチカラー画像作成機器であるため、インク搬送システム20は、位相変化インクの4つの異なる色CYMK(シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック)を表す4つの源22、24、26、28を含む。位相変化インク搬送システムは、位相変化インクの固体形状を液体形状に溶解または位相変化させる溶融および制御装置(図示せず)をさらに含む。位相変化インク搬送システムは、液体形状を印字ヘッドシステム30へ供給するのに適している。
【0015】
この実施形態において、印字ヘッドシステム30は、それぞれが印刷ボックスユニット34A〜34Hとしても知られる複数の印字ヘッドモジュールの支持を提供する、第1の印字ヘッド支持体31および第2の印字ヘッド支持体32を含む。各印字ヘッドモジュール34A〜34Hは、媒体の幅にわたって効率的に広がり、画像受信部材12の表面14上にインクを付着させる。印字ヘッドモジュールは、単一の印字ヘッド、またはフレーム(図示せず)と動作可能に接続され、かつインクを付着させて表面14にインク画像を形成するよう並べられた千鳥配列の複数の印字ヘッドを含むことができる。印字ヘッドモジュール34A〜34Hは、関連電子機器、インク貯蔵器、および1つまたは複数の印字ヘッドにインクを供給するためのインク管を含むことができる。しかしながら、この実施形態において、管(図示せず)は源22、24、26、および28を印字ヘッドモジュール34A〜34Hと動作可能に接続して、モジュールの1つまたは複数の印字ヘッドへのインクの供給を提供する。通常よく知られているように、印字ヘッドモジュールの1つまたは複数の印字ヘッドは単一色のインクを排出する。一般的に、ある印字ヘッドモジュールの印字ヘッドは、同じ色のインクを排出する別の印字ヘッドモジュールの印字ヘッドから、印字ヘッドのノズルの間の半分の距離分オフセットされる。この配置により、2つの印字ヘッドモジュールは、単一の印字ヘッドモジュールによって提供される解像度よりも高い解像度で印刷することができる。この方法でCMYKプリンタで使用される各色のインクに対の印字ヘッドモジュールを配置することによって、各色はより高い解像度で印刷され得る。例えば、印字ヘッドモジュール34Aおよび34Bはシアンインクを付着させてもよく、モジュール34Cおよび34Dはマゼンタインクを付着させてもよく、モジュール34Eおよび34Fはイエローインクを付着させてもよく、かつモジュール34Gおよび34Hはブラックインクを付着させてもよい。同じ色のインクを印刷する2つの印字ヘッドモジュールをオフセットまたは千鳥配列することによって、色分解の解像度を、単一の印字ヘッドモジュールで印刷される解像度(例えば、300dpi)から同じ色を排出する対のモジュールによって印刷される解像度(例えば、600dpi)まで向上させることができる。8つの印字ヘッドモジュール34が図示されているが、それ以外の数の印字ヘッドモジュール34が提供されてもよい。
【0016】
さらに示されるように、位相変化インクプリンタ10は、媒体移送としても知られる記録媒体供給および取扱システム40を含む。例えば、記録媒体供給および取扱システム40は、シートまたは基板供給源42、44、46、または48を含むことができ、例えば、そのうち供給源48は、カット媒体シート49などの形状の画像受信基板を保管および供給する大容量紙供給またはフィーダである。記録媒体供給および取扱システム40は、基板加熱器または予熱器アセンブリ52と基板および画像加熱器54とを有する基板取扱および移送システム50をさらに含む。溶融デバイス60は、画像および基板に後処理技術を適用するために、選択的に提供され得る。位相変化インクプリンタ10は、文書保持トレイ72、文書シートフィーディングおよび取り戻しデバイス74、および文書露出およびスキャニングシステム76を有するオリジナル文書フィーダ70をさらに含む。
【0017】
機器またはプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素、および機能の動作および制御は、制御器または電子サブシステム(ESS)80を用いて行われる。ESSまたは制御器80は、画像受信部材12、印字ヘッドモジュール34A〜34H(つまり、印字ヘッド)、基板供給および取扱システム40、および基板取扱および移送システム50と動作可能に接続される。ESSまたは制御器80は、例えば、電子記憶装置84を備える中央処理ユニット(CPU)82、およびディスプレイまたはユーザインタフェース(UI)86を有する自己充足型の専用ミニコンピュータである。ESSまたは制御器80は、例えば、画素配置および制御回路89とともにセンサ入力および制御回路88を含む。加えて、CPU82は、スキャニングシステム76、またはオンラインまたはワークステーション接続90などの画像入力源と印字ヘッドモジュール34A〜34Hとの間の画像データフローを、読み込み、留保し、下処理し、かつ管理する。このように、ESSまたは制御器80は、以下に述べる印刷プロセスを含む、すべての他の機器のサブシステムおよび機能を動作させ制御するための主要なマルチタスク処理装置である。
【0018】
制御器80は、プログラム命令を実行する汎用のまたは専用のプログラマブル処理装置に実装され得る。プログラム機能を行うために必要な命令およびデータは、処理装置または制御器に付随したメモリに保存され得る。処理装置、そのメモリ、およびインタフェース回路は、以下でより詳細に説明するように、プリンタがドラム保守ユニット(DMU)保守手順およびDMUサイクルを選択的に実行できる処理を行うよう制御器を構成する。これらの構成要素は印刷回路カード上に提供されるか、または特定用途向け集積回路(ASIC)の回路として提供され得る。各回路が独立した処理装置に実装されるか、または複数の回路が同じ処理装置に実装され得る。代わりに、回路は個別の構成要素または超大規模集積(VLSI)回路に提供される回路に実装され得る。さらに、本明細書に記載される回路は、処理装置、ASIC、個別の構成要素、またはVLSI回路の組み合わせに実装され得る。
【0019】
動作中、作成される画像の画像データはスキャニングシステム76から、またはオンラインあるいはワークステーション接続90を介して、処理のために制御器80に送られ、印字ヘッドモジュール34A〜34Hに出力される。加えて、制御器80は、関連サブシステムおよび構成要素を、例えば、ユーザインタフェース86を介する作業者の入力により決定および/または受け付け、それに応じて制御を実行する。結果として、適切な色の固体形状の位相変化インクが溶け、印字ヘッドモジュール34A〜34Hへ搬送される。加えて、画素配置制御が画像表面14に対して行われて画像データごとに所望の画像が形成され、かつ媒体シート49の形状であり得る受信基板が源42、44、46、48のいずれかによって供給されて、表面14への画像形成にともなう登録のタイミングで記録媒体移送システム50により操作される。最後に、画像は表面14から転写され、転写定着ニップ18内の画像基板に固定して融合される。
【0020】
一部の印刷動作において、単一のインク画像が画像受信部材12の表面全体を覆ってもよく(単一ピッチ)、または複数のインク画像が画像受信部材12に付着されてもよい(マルチピッチ)。さらに、インク画像は単一パスで付着されてもよく(単一パス方法)、または画像は複数のパスで付着されてもよい(マルチパス方法)。マルチパス方法に従って画像が画像受信部材12に付着する場合、制御器80の制御下で、画像の一部分が画像受信部材12の回転中に印字ヘッドモジュール34内の印字ヘッドによって付着される。
【0021】
ある種類の印刷アーキテクチャにおいて、画像は複数の色分解を蓄積することによって下処理され得る。画像受信部材12の回転中、最後の色分解が付着して画像が完成するまで、色分解の1つのインク滴が印字ヘッドから排出され、画像受信部材12の表面14に付着する。一部のケースにおいて、例えば第2次または第3次の色が使用される場合において、1つのインク滴または画素は、スタックにおけるように、他のインク滴または画素の上に置かれてもよい。別の種類の印刷アーキテクチャは、印字ヘッドから排出される複数の帯状のインク滴から画像を生成する。画像受信部材12の回転中、1つの帯のインク滴(全色の組み合わせがそれぞれに含まれる)が、最後の帯が塗布されてインク画像が完成するまで、画像受信部材12の表面に塗布される。どちらの例のマルチパスアーキテクチャも、一般的に「ページ印刷」として知られている方法を行う。様々な構成要素画像から成る各画像は、フルシート分の情報のインク滴を表し、以下で説明するように、その後画像受信部材12から記録媒体へ転写される。
【0022】
マルチピッチ印刷アーキテクチャにおいて、画像受信部材の表面は複数の区分に区切られていてもよく、各区分はフルページ画像(すなわち、単一ピッチ)およびインターパネル域または空間を含む。例えば、2ピッチ画像受信部材は、画像受信部材12の回転中、インターパネル域によって分けられた2つの画像を含むことができ、それぞれが記録媒体の単一シートに対応する。同様に、例えば、4ピッチ画像受信部材は、画像受信部材の通過または回転中、4つの画像を含むことができ、それぞれが記録媒体の単一シートに対応する。
【0023】
1つまたは複数の画像が、単一パス方法またはマルチパス方法などの画像方法に従って制御器80の制御下で画像受信部材12に印刷されると、例示的なインクジェットプリンタ10は、1つまたは複数の画像を転写定着ローラ19で画像受信部材12から記録媒体49上へ転写して固定するプロセスを開始する。このプロセスに従って、記録媒体49のシートは、制御器80の制御下で移送システム50により転写定着ローラ19に隣接する位置まで移送され、その後転写定着ローラ19と画像受信部材12との間のインタフェースに形成されるニップ18を経由する。転写定着ローラ19は、記録媒体49の正面側を画像受信部材12に押しつけるために、記録媒体49の後ろ側に圧力を印加する。さらに転写定着ローラ19が加熱されてもよいが、この例示的な実施形態においては加熱されない。代わりに、記録媒体49の予熱器アセンブリ52がニップへと続く媒体経路に提供される。予熱器アセンブリ52は、後に画像を媒体へ転写定着するのを助けるために記録媒体49に必要な熱を提供し、これにより転写定着ローラの設計が簡易になる。加熱された記録媒体49の裏側に転写定着ローラ19によって生じる圧力は、画像受信部材12から記録媒体49上への画像の転写定着(転写および定着)を容易にする。
【0024】
画像受信部材12および転写定着ローラ19の両方が回転またはローリングすることで、画像が記録媒体49上に転写定着されるだけでなく、ニップを介する記録媒体49への移送にも役立つ。画像受信部材12は、画像受信部材12の表面14に事前に塗布された画像の転写定着プロセスを継続するために回転し続ける。画像受信部材12に残った残留インクは、制御器80の制御下でドラム保守ユニット92で行われるドラム保守手順によって取り除かれ得る。
【0025】
DMU92は、離型剤塗布器、測量ブレード、および一部の実施形態においては、洗浄ブレードを含むことができる。離型剤塗布器は、例えばシリコンオイルなど一定量の離型剤を有する貯蔵器および弾性ドナーローラをさらに含むことができ、これは滑らかであるか、または多孔性であってもよく、離型剤および測量ブレードと接触するよう貯蔵器に回転自在に取り付けられる。測量ブレードは、画像受信部材としっかり均一に接触し得るように適合される。また、洗浄ブレードは、画像転写表面14としっかり均一に接触し得るように適合される。DMU92は、ドナーローラ、測量ブレードおよび洗浄ブレードが制御器80により選択的に動かされるよう制御器80と動作可能に接続され、回転画像受信部材12と一時的に接触して離型剤を部材12の表面に付着および分配させ、転写されないインク画素を部材12の表面から取り除く。
【0026】
離型剤の主な機能は、インクが記録媒体49に転写される転写定着中にインクが画像受信部材12に接着するのを防ぐことである。離型剤は、さらに転写定着ローラ19の保護にも役立つ。少量の離型剤が転写定着ローラ19に運ばれ、この少量の離型剤が、インクが転写定着ローラ19に接着するのを防ぐのに役立つ。したがって、転写定着ローラ19の最少量の離型剤は許容される。
【0027】
画像受信部材および記録媒体の離型剤の塗布および分配を管理するために、制御器80はDMU92を継続的に動作させてDMUサイクルを行う。DMUサイクルは、離型剤の均一な層を塗布すること、以前の画像の転写されない画素を画像転写表面から洗浄すること、および画像の印刷の後、画像受信部材に残る量の離型剤における差分グロスを消すことを含む、複数の機能から成る。
【0028】
画像受信部材12は、離型剤を保持するために微細な貯蔵庫容量を提供する堅く制御された表面を有する。画像受信部材の領域内、または全体にわたり存在する離型剤が不足すると、記録媒体49へのインク画素の転写を妨げる。この画像の欠陥を本明細書では、インク画像の特定領域または画素にわたって起こる場合に「画像ドロップアウト」と称し、インク画像全体にわたって起こる場合に「付着画像転写障害」と称する。逆に、画像受信部材12に存在する離型剤が多すぎると、一部の離型剤が記録媒体49の裏側に運ばれてしまう。その後、記録媒体49が二重印刷において両側に印刷されると、インク画素は記録媒体49の第2の側にきちんと付着しない可能性がある。このような画像欠陥に対抗するため、各DMUサイクルは、モジュール34の印字ヘッドが画像受信部材12へ後続の画像を印刷する前に、ドナーローラおよびその後の離型剤塗布器の測量ブレードを画像受信部材12の表面に接触するよう移動することによって、画像受信部材12の表面上に離型剤を選択的に塗布および測量する。これらの動作により離型剤が画像受信部材12の表面の貯蔵器を満たし、画像障害を防いで、確実に画像受信部材12の表面に離型剤の均一な層を継続的に塗布する。
【0029】
以前の画像から転写されていない画素または画像ドロップアウトを画像受信部材表面14から取り去るために、画像を印刷の後、制御器80は測量および/または洗浄ブレードを画像受信部材12に接触するよう移動する。これらのドロップアウト画素がDMU92によって取り除かれない場合、一般的に、印刷される次の画像上に転写定着される。これらの画素は、特にはみ出た画素が高被覆率のイエローまたはホワイト空間の領域に転写定着される時、画像欠陥を生じる可能性がある。この欠陥、すなわち「点在」は、DMU92によって収集されなかった画像ドロップアウトである。
【0030】
ここで
図1を参照すると、プリンタシステム10は、複数の画像を画像化することができるマルチピッチ画像受信システム100を含むよう修正されており、それぞれの画像が画像受信部材12の単一パスまたは回転中に印刷された記録媒体の単一シートに対応する。
図1のマルチピッチ画像受信システム100は3つの画像を含むように図示されているが、それ以外の数の画像も可能である。例えば、1つの実施形態において画像受信部材12は、1分間に約250シートの媒体を印刷するために、一度に8つの画像を支持できる21インチの直径を含むことができる。画像受信部材12は、1インチの約4分の3の厚さを有するアルミニウムで作成されていてもよい。転写定着ローラ19は、90デュロメータのウレタンによって覆われている80デュロメータのウレタンの第1の層で覆われた円筒形鋼素材で形成されてもよい。
【0031】
ここで
図1を参照すると、画像受信部材12が画像受信部材12の表面102を含むように示されており、図中では回転ドラムとして表されている。画像受信部材12は、軸104の周囲を方向16に回転する。軸104は、記録媒体49の複数のカットシートそれぞれが移送されるプロセス方向106と実質的に垂直に配置された縦軸を規定する。プロセス方向に対して垂直の方向は、交差プロセス方向としても知られている。ドラム12の表面102に内在する転写定着ローラ19は、表面102と方向17に回転する転写定着ローラ19の表面との間にニップ18を規定する。複数の印字ヘッド(図示せず)は、表面102に1つまたは複数のインク画像110を付着させる。シート49の1つがニップ18に入ると、インク画像110は媒体シート49に転写される。シートストリッパ112はシート49の前縁部114とかみ合って、ドラム12の表面102からシート49を取り除く。
【0032】
転写定着ローラ19は、縦軸116の周囲を方向17に回転してニップ18を規定する。縦軸116は交差プロセス方向と実質的に平行には配置されないが、交差プロセス方向からオフセットされてニップを規定する。縦軸116は交差プロセス方向に対してスキューされるので、ニップもスキューされる。
図1で確認できるように、表面118の一部分は、ドラム12の軸104に対する転写定着ローラ19の軸116のずれを図示していることを確認できる。
【0033】
高速印刷を提供する1つの実施形態において、単一パス中に1分あたり250ページまで印刷される場合、ドラム12は1秒あたり約42インチの表面102の速度を提供するよう回転することができる。印刷プロセスは、シリコンオイルを塗布し、オイルにインクを付着させ、かつ画像を転写定着するといった既に説明したプロセスを含むが、この実施形態の転写定着ローラ19は画像プロセス全体にわたって表面102とかみ合ったままである。したがって、ニップ18はドラム12の連続した完全な回転の間中、所定の位置にあり続ける。
【0034】
シート49の前縁部120は、プロセス方向106に沿ってニップ18に入る時、ニップ18をかみ合わせる。シート49の後縁部122は、印刷後ニップ18を出る時、ニップ18から外れる。転写定着ローラ19は連続シート49の転写定着中に画像ドラム12から離れないため、ニップ18はシート49の後縁部122と前縁部120との間に位置する複数のインターパネル域124にさらに提供される。したがって、ドラム12の回転中、転写定着ローラ19は、インターパネル域が転写定着ローラ19を過ぎて回転すると、インターパネル域124と接触する。ニップ18へのシート49の差し込みは、画像110を形成するインクが転写定着ローラ19の表面118と接触しないよう適切に時間が計測される。
【0035】
高速印刷中、転写定着ローラ19を常に画像ドラム12とかみ合わせるために、比較的大きな力がニップで提供されてドラム12の画像をシート49に転写定着させることができる。1つの実施形態において、転写定着ローラ19に印加される力は約3,600〜4,200ポンドの間である。転写定着ローラ19は高速印刷中ドラム12から離れないので、前縁部120がニップ18に入る時、ドラムの表面と記録媒体49のシートの厚みによって露出されたシート表面との間の高さの差により、上昇トルク外乱が生じる。記録媒体49のシートの後縁部122がニップ18を出る時、降下トルク外乱も起こり得る。上昇トルク外乱または降下トルク外乱は、インクが画像ドラム12の表面102に付着される時に起こる可能性があり、ドラム12の表面の意図された位置へのインクの配置を妨害する可能性がある。トルク外乱は、物理的な外乱と音の外乱との両方であり得る。トルク外乱がドラムを約5%より大きく速度変化させる場合、速度変化によりもたらされる画像アーチファクトまたは画像のエラーが、紙の前縁部(上昇トルク)および後縁部(下降トルク)の両方の最中に画像に生じ得る。
【0036】
画像ドラム12に対して転写定着ローラ19をスキューすることによって、前縁部および後縁部に現れるトルク外乱の量が低減され得る。加えて、記録媒体49のシートがニップに入るかまたは離れる時に起こる「音響サンプ」としても知られる「サミング」音も低減することができ、これによって印刷動作中プリンタによって生じる雑音が低減される。紙の角が最初にニップに入るので、転写定着ローラはシートの全幅を同時に上るというよりシートの角を「上る」ことができ、そうでなければ転写定着ローラの長さに沿って尖った縁部が存在するであろう。高速プリンタにおいて、雑音の低減が望まれる。1分あたり大量の媒体のシートを印刷するので、音響サンプを低減または消滅することによって、雑音を大幅に低減することができる。転写定着ローラ19をスキューすることで、画像ドラム12の軸104に対して転写定着ローラ19の軸116を平行に配列した場合と比較して、必要な転写定着の負荷が低減される一方で、ニップ18の均一性を向上することもできる。
【0037】
画像ドラム12に対して転写定着ローラ19をスキューすることで、画像ドラム12に対する転写定着ローラ19の角度により、シートの前縁部で紙の速度が向上する。この配置により、シートがしわになる傾向を低減することができる。また、紙の留保時間および距離も向上する。紙の前縁部が上がるまたは離れるまでの時間は、媒体の厚さに応じて0.008〜0.012秒の間で変化する。スキューされた転写定着ローラは、留保時間を数ミリ秒長くすることができる。
【0038】
さらに
図2で図示されるように、転写定着ローラ19は、負荷機構200によって提供される印加された力で画像ドラム12の下から画像ドラム12(図示せず)をかみ合わせる。負荷機構200は、第1のアーム202および第2のアーム204を含み、それぞれが軸116の周囲を回転する転写定着ローラ19を支持する。転写定着ローラ19は、第1のアーム202の端部210と動作可能に接続される第1の軸受ブロック208によって支持される第1の端部206を含む。転写定着ローラ19は、第2のアーム204の端部214で第2の軸受ブロック209(
図3および
図4参照)によって支持される第2の端部212をさらに含む。第1のアーム202の端部216はアクチュエータ218と動作可能に接続され、端部220はアクチュエータ222と動作可能に接続される。各アクチュエータ218および222は、筐体224および226、およびロッド228および230をそれぞれ含む。ロッド228および230は、ピボット232および234で端部216および220と回転可能かつ動作可能にそれぞれ接続される。支持アーム236は、第1のアーム202を第2のアーム204と接続し、安定した支持構造を提供する。アクチュエータは、カムおよびカム従動子、線形アクチュエータおよび空気圧シリンダを含む様々なアクチュエータを含むことができる。
【0039】
画像ドラム12に対して一定の力を提供するために、ローラ19は、軸237の周囲のアクチュエータ218および222による端部216および220の動きを介して画像ドラム12とかみ合うように移動される。軸237の周囲に回転を提供するために、第1のアーム202の端部210および第2のアーム204の端部214は、延長部分238および240をそれぞれ含む。各延長部分238および240は、シャフト(図示せず)が軸237に沿って支持される軸受を支持する開口部242および244をそれぞれ含む。シャフトおよびアクチュエータ218および222は、シャフトおよびアクチュエータがフレームおよび画像ドラム12に対して固定されたままであるように、プリンタのフレームと固定して動作可能に接続される。
【0040】
転写定着ローラ19に力を印加するために、各アクチュエータ218および222は、ロッド228および230の作動を介して方向246に上向きの力を印加する。端部216および220の上向きの動き(図示されるように)により、アームは軸237の周囲を回転し、転写定着ローラ19を動かして画像ドラム12と接触させる。ロッド228および230が画像ドラム12に対する転写定着ローラ19の配置に応じて他の方向に動くような他の構成も可能である。アクチュエータは制御器80などの制御器と動作可能に接続され、これにより信号が発生してアクチュエータ218および222を指定された方向に移動させる。
【0041】
1つの実施形態において、シャフトの軸237と転写定着ローラ19の軸116との間の距離は5インチである。軸116とピボット232および234の周囲の各アーム202および204が回転する地点との間の距離は30.4インチである。したがって、6対1の比率が、実質的に継続的なニップに必要な力量を印加するための機械効率を提供するために広まっている。
【0042】
負荷機構200は転写定着ローラ19の第2の端部212と動作可能に接続される符号器248を含むことができ、転写定着ローラ19の回転速度、および結果として記録媒体のシートの線形速度を特定する。駆動モータ250が第1の端部206と動作可能に接続されて、駆動された転写定着ローラ19を提供してもよい。他の実施形態において、符号器248、モータ250、またはその両方はなくてもよい。
【0043】
スキューされた転写定着ローラ19を提供するために、負荷機構は
図3および
図4に図示されるように構成されてもよい。例えば
図3において、軸受ブロック208および209は、ローラの回転軸116が交差プロセス方向252からオフセットされるよう構成されてもよい。図示されるように、スキュー角254は、アーム202および204の端部210および214で回転軸116をオフセットすることにより提供される。
図4に図示されるような別の実施形態において、ドラム12に対するローラ19のスキュー角は、軸116がアーム202および204の線形軸と実質的に垂直となるようにローラ19をアームに取り付けることによって提供される。しかしながら、スキュー角254を提供するために、一方のアーム202は他方のアーム204より短い。アクチュエータ218および222が交差プロセス方向に沿って実質的に並ぶよう負荷機構200をプリンタのフレームに取り付けることによって、転写定着ローラ19のスキュー角が画像ドラム12で提供される。別の実施形態において、交差プロセス方向に対して画像ドラム12をオフセットし、交差プロセス方向にローラ19の軸116を並べることが可能である。
【0044】
約21.75インチの直径を有するドラム12のニップ18で、1平方インチあたり1,000ポンドのニップ圧力を提供するために、負荷機構200により提供される負荷は、0度〜2度の範囲で変動するスキュー角に対して約3,600ポンド〜4,200ポンドの範囲で変動し得る。1つの実施形態において、2度のスキュー角は、約3,880ポンドの力が印加される必要がある。加えて、約3,600〜4,200ポンドの範囲で変動する1平方インチあたり1,000ポンドのニップ圧力が必要な負荷では、ドラムの中央で計測されたニップ幅は、約9〜12ミリメートル、より詳細には約9.2〜11.35ミリメートルの範囲で変動し得る。0〜2度の範囲で変動するスキュー角では、画像ドラムが大きいため、ニップの幅は小さい値でしか変化しない。
【0045】
本明細書に記載されるように、スキューされた転写定着ニップは音響サンプの量を低減し、ニップに沿って正確に位置づけられた均一な歪みエネルギーを生じ、かつ記録媒体のシートの縁部でわずかな差速を提供してニップに入る時にシートがしわになる傾向を低減することができる。2度のスキュー角が提供される1つの実施形態において、ニップの長さに沿った接触圧力は、ローラ19の一方の端部からローラ19の他方の端部へほんのわずかに変化する圧力差を表す。2度では、約9.0ミリメートルのニップ幅が提供される。2度でニップの長さにわたって印加される圧力は極めて一定しており、0度〜3度でスキューされたローラのニップに見られる圧力より全長にわたって変化が少ない。0度でのニップ幅は約9.25ミリメートルを計測し、3度でのニップ幅は約11.35ミリメートルを計測する。