特許第6096052号(P6096052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096052
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20170306BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20170306BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   B62D1/04
   B60R16/027 T
   H01H9/02 L
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-109522(P2013-109522)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-227094(P2014-227094A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】遠野 和弘
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−117965(JP,A)
【文献】 実開平04−079772(JP,U)
【文献】 特開2004−087376(JP,A)
【文献】 実公昭49−046070(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 − 1/06
B60R 16/027
H01H 9/02
B60K 20/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトに支持可能なるボス部と、該ボス部にスポーク部を介して支持されてなるリム部と、前記ボス部の上部を覆うフロントカバー部と、該フロントカバー部の裏面及び前記ボス部の周囲を覆うバックカバー部と、該バックカバー部の外側に支持されてなるスイッチユニットとより少なくとも構成されてなるステアリング装置において、
前記バックカバー部には、該バックカバー部の外面及び内面を貫通する開口と、前記スイッチユニットのフック状の係止部を係合可能なる係止受け部と、前記スイッチユニットを締結可能なる締結部とが形成され、前記開口周縁近傍に前記係止受け部及び前記締結部を前記開口を挟む関係の位置に配置してなり、
前記締結部には、前記スイッチユニットの前記バックカバー部に対する回り止めとなる回り止め部が形成されていることを特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
請求項1記載のステアリング装置であって、
前記バックカバー部の内面で前記開口の周囲には、補強リブを形成してなることを特徴とするステアリング装置。
【請求項3】
請求項2記載のステアリング装置であって、
前記補強リブを設けた前記バックカバー部は、板厚を略均一にしたことを特徴とするステアリング装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のステアリング装置であって、
前記補強リブは、前記バックカバー部の内面で前記開口の周囲の前記スイッチユニットが取り付けられる取付面に形成され、
前記補強リブの前記取付面から突出している側の先端の前記取付面からの高さは、前記バックカバー部の前記取付面を除く前記内面からの前記取付面までの高さと同一に形成されてなることを特徴とするステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車、航空機、船舶、鉄道車両などの乗り物で使用されるステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のステアリング装置としては、例えば、エアバッグモジュールのベースプレートから突出する取付ブラケットにスイッチユニットの取付部材を当接して、外部からボルトをナットにねじ込むことで、スイッチユニットをステアリング装置に固定させるもの(先行技術文献1)が、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−270816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来技術は、スイッチユニットをボルトとナットとを用いてのエアバッグモジュールのベースプレートへの取付作業となり、ボルトの締め付けトルクにより、スイッチユニットがベースプレートに対して位置ずれが生じる恐れがある。かかるスイッチユニットの位置ずれを防止するため、作業者は注意を払っての取付作業となり、多大な工数を必要とする恐れがある。また、スイッチユニットのスイッチ操作方向に、取付部材が撓むなどスイッチユニットの取付強度が弱い恐れがある。更に、スイッチユニットは、取付部材に片持ちされているだけなので、乗り物の走行振動などによりスイッチユニットが共振してしまう恐れがある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本願発明は、スイッチユニットの取付位置の正確度が少ない取付工数で可能となり、スイッチユニットの取付強度が増し、乗り物の走行振動などによっても共振しないなどの効果を有するステアリング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願発明の請求項1記載のステアリング装置は、ステアリングシャフトに支持可能なるボス部と、該ボス部にスポーク部を介して支持されてなるリム部と、前記ボス部の上部を覆うフロントカバー部と、該フロントカバー部の裏面及び前記ボス部の周囲を覆うバックカバー部と、該バックカバー部の外側に支持されてなるスイッチユニットとより少なくとも構成されてなるステアリング装置において、前記バックカバー部には、該バックカバー部の外面及び内面を貫通する開口と、前記スイッチユニットのフック状の係止部を係合可能なる係止受け部と、前記スイッチユニットを締結可能なる締結部とが形成され、前記開口周縁近傍に前記係止受け部及び前記締結部を前記開口を挟む関係の位置に配置してなり、前記締結部には、前記スイッチユニットの前記バックカバー部に対する回り止めとなる回り止め部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本願発明の請求項2記載のステアリング装置は、請求項1記載の前記バックカバー部の内面で前記開口の周囲には、補強リブを形成してなることを特徴とする。
【0008】
本願発明の請求項3記載のステアリング装置は、請求項2記載の前記補強リブを設けた前記バックカバー部は、板厚を略均一にしたことを特徴とする。
【0009】
本願発明の請求項4記載のステアリング装置は、請求項2又は請求項3に記載の前記補強リブは、前記バックカバー部の内面で前記開口の周囲の前記スイッチユニットが取り付けられる取付面に形成され、前記補強リブの前記取付面から突出している側の先端の前記取付面からの高さは、前記バックカバー部の前記取付面を除く前記内面からの前記取付面までの高さと同一に形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ステアリングシャフトに支持可能なるボス部と、該ボス部にスポーク部を介して支持されてなるリム部と、前記ボス部の上部を覆うフロントカバー部と、該フロントカバー部の裏面及び前記ボス部の周囲を覆うバックカバー部と、該バックカバー部の外側に支持されてなるスイッチユニットとより少なくとも構成されてなるステアリング装置において、前記バックカバー部には、該バックカバー部の外面及び内面を貫通する開口と、前記スイッチユニットのフック状の係止部を係合可能なる係止受け部と、前記スイッチユニットを締結可能なる締結部とが形成され、前記開口周縁近傍に前記係止受け部及び前記締結部を前記開口を挟む関係の位置に配置してなることを特徴とするため、前記スイッチユニットが外側からであっても内側からであってもバックカバー部の開口を通り且つ前記係止受け部及び前記締結部を前記開口を挟む関係の位置に配置してなることにより、前記係止受け部及び前記締結部に支持されたスイッチユニットがバックカバー部にとって梁となり、前記バックカバー部にスイッチユニットが堅固に固定されるので、前記開口が前記スイッチユニットの取付位置を決め、スイッチユニットの位置の正確度が少ない取付工数で可能となる。また、前記スイッチユニットの操作時の荷重を前記係止部が前記係止受け部を介して前記バックカバー部に分散させることができ、前記スイッチユニットの取付強度が増し、乗り物の走行振動などによっても共振しないなどの効果を奏する。
【0011】
また、請求項2記載の発明によれば、前記バックカバー部の内面で前記開口の周囲には、補強リブを形成してなるため、スイッチユニットを取り付けた前記バックカバー部の倒れを確実に防止できる、という効果を奏する。
【0012】
更に、請求項3記載の発明によれば、前記開口の周囲の前記バックカバー部は、板厚を略均一にしたため、前記バックカバー部に加わる力が分散され、前記バックカバー部が波打ち変形などが生じない、という効果を奏する。
【0013】
更に、請求項4記載の発明によれば、前記補強リブの先端は、前記バックカバー部の内面の前記スイッチユニットの取付位置周辺の高さと同一に形成されてなるため、前記バックカバー部に前記スイッチユニットを固定した後に、フロントカバー部をステアリング装置に取り付ける際に、前記フロントカバー部に設けた各種部材が補強リブに干渉せず、取付作業性が著しく向上する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明の実施例1に係るステアリング装置の斜視図。
図2図1のステアリング装置のバックカバー部の内面を示す斜視説明図。
図3図2のスイッチユニット側からバックカバー部を示す分解斜視図。
図4図3のバックカバー部の要部を拡大して示した斜視図。
図5図4の矢視Aに係る正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施の形態について、詳細に説明する。本願発明において、スイッチユニットの取付位置の正確度が少ない取付工数で可能となり、スイッチユニットの取付強度が増し、乗り物の走行振動などによっても共振しないなどの効果を有するステアリング装置を提供する、という目的を、ステアリングシャフトに支持可能なるボス部と、該ボス部にスポーク部を介して支持されてなるリム部と、前記ボス部の上部を覆うフロントカバー部と、該フロントカバー部の裏面及び前記ボス部の周囲を覆うバックカバー部と、該バックカバー部の外側に支持されてなるスイッチユニットとより少なくとも構成されてなるステアリング装置において、前記バックカバー部には、該バックカバー部の外面及び内面を貫通する開口と、前記スイッチユニットのフック状の係止部を係合可能なる係止受け部と、前記スイッチユニットを締結可能なる締結部とが形成され、前記開口周縁近傍に前記係止受け部及び前記締結部を前記開口を挟む関係の位置に配置してなることで、実現した。以下、本願発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
本願発明の実施例1に係る構造を、図1図5を用いて説明する。自動車のステアリング装置1は、ステアリングシャフト(図示省略)に支持可能なるボス部(図示省略)と、該ボス部にマグネシウムを鋳込むことによりなるスポーク部4を介して支持されてなるホイール状のリム部2と、前記ボス部の上部を覆い且つエアバッグ本体(図示省略)を内蔵してなる合成樹脂製のフロントカバー部3と、該フロントカバー部3の裏面(図1の下側)及び前記ボス部の周囲を覆う合成樹脂製のバックカバー部6と、該バックカバー部6の外側である外面6aに支持されてなるスイッチユニット5とより構成されてなる。本願発明で、「少なくとも」構成されてなるとしたのは、その他にホーンスイッチや電話機、ナビゲータ、集中警報装置など各種機器を備えていても良いからである。符号4aは、前記バックカバー部6に連続的に形成されてなるスポークカバー部である。
【0017】
前記バックカバー部6には、該バックカバー部の外面6a及び内面6bを貫通すると共に前記スイッチユニット5のスイッチ本体5bが通ることを可能とした上下方向に長い方形の開口7と、前記スイッチユニット5のフック状の係止部11を係合可能なる係止受け部10と、前記スイッチユニット5のスイッチ本体5bを締結可能なる締結部8、8とが形成され、前記開口7の周縁近傍に前記係止受け部10及び前記締結部8を前記開口7を挟む関係の位置に配置してなる。符号5aは、前記スイッチユニット5のボタン部であり、図3の下側に押圧可能である。符号7aは、前記開口7の下端部であって、後述するスイッチ本体5bの接続部本体15と密接する面となる。前記締結部8、8は、前記バックカバー部6の外面6aから柱状に突出形成されてなり、その締結部8、8毎の下側に回り止め部9、9が棚状に形成されてなり、該回り止め部9の上側に 前記スイッチ本体5bの底部12、12が載置され、回り止め部9の下側に突出形成されてなる係合突起9aには、前記スイッチ本体5bの係合孔部13が係合することで仮止めが可能である。
【0018】
前記係止受け部10は、外面6a及び内面6bに貫通すると共に外面6a側に突出した突起10a、10a及び該10a、10a間に形成された間隙部10bにより、図5に示すように、T字形の隙間が形成されてなる。前記係止部11は、前記突起10a、10aの上側に乗る部位と、間隙部10b間に挿入するリブ11aにより断面T字形をなすと共に係止部11の強度が増すことになる。そして、前記締結部8、8に後述のビスによる締結時において、前記係止受け部10の突起10aと間隙部10bによって、フック状の係止部11の回動を規制し、スイッチユニット5の回り止めとして作用する。また、前記締結部8、8と前記係止受け部10、10とが上下に離間し、前記締結部8、8と前記係止受け部10、10とが前記開口7を挟んで配置されるので、前記締結部8、8による締結時の回り止め効果が高くなる。
【0019】
前記バックカバー部6の内面6bで前記開口7の周囲としての両脇には、直線状の補強リブ14、14を形成してなる。前記補強リブ14、14を設けた前記バックカバー部6の部位の取付面6c、6d、6eは、板厚を略均一にしてなる。より詳細に説明すると、前記取付面6cは、内面6b側に突出形成されてなり、前記取付面6eは、外面6a側に突出形成されてなり、前記取付面6dは、外面6aと同一面である。前記スイッチ本体5bの接続部本体15は、図示しないエアバッグ用インフレータとの接続用コネクタ機能を有する。
【0020】
前記補強リブ14、14の先端は、前記バックカバー部6の内面6bの前記スイッチ本体5bの取付位置周辺の高さと同一に形成されてなる。図2の符号16は、前記バックカバー部6の内面6bと底面6fとの間に立設されてなるリブである。
【0021】
従って、本実施例1によれば、ステアリングシャフト(図示省略)に支持可能なるボス部(図示省略)と、該ボス部にスポーク部4を介して支持されてなるリム部2と、前記ボス部の上部を覆うフロントカバー部3と、該フロントカバー部3の裏面及び前記ボス部の周囲を覆うバックカバー部6と、該バックカバー部6の外側の面6aに支持されてなるスイッチユニット5とより少なくとも構成されてなるステアリング装置1において、前記バックカバー部6には、該バックカバー部6の外面6a及び内面6bを貫通する開口7と、前記スイッチユニット5のフック状の係止部11を係合可能なる係止受け部10と、前記スイッチユニット5のスイッチ本体5bを締結可能なる締結部8とが形成され、前記開口7の周縁近傍に前記係止受け部10及び前記締結部8を前記開口7を挟む関係の位置に配置してなるため、前記スイッチユニット5がバックカバー部6の開口7を外側からであっても内側からであってもバックカバー部6の開口7を通り且つ前記係止受け部10及び前記締結部8を前記開口7を挟む関係の位置に配置してなることにより、前記係止受け部10及び前記締結部8に支持されたスイッチユニット5のスイッチ本体5bがバックカバー部6にとって梁となり、前記バックカバー部6にスイッチユニット5が堅固に固定されるので、前記開口7が前記スイッチユニット5の取付位置を決め、スイッチユニット5の位置の正確度が少ない取付工数で可能となる。また、前記スイッチユニット5の操作時の荷重を前記係止部11が前記係止受け部10を介して前記バックカバー部6に分散させることができ、前記スイッチユニット5の取付強度が増し、乗り物の走行振動などによっても共振しないなどの効果を奏する。
【0022】
また、前記バックカバー部6の内面6bで前記開口7の周囲には、補強リブ14、14を形成してなるため、スイッチユニット5を取り付けた前記バックカバー部6の倒れを確実に防止できる、という効果を奏する。
【0023】
更に、前記開口7の周囲の前記バックカバー部6は、板厚を略均一にしたため、前記バックカバー部6に加わる力が分散され、前記バックカバー部6が波打ち変形などが生じない、という効果を奏する。
【0024】
更に、前記補強リブ14、14の先端は、前記バックカバー部6の内面6bの前記スイッチ本体5bの取付位置周辺の高さと同一に形成されてなるため、前記バックカバー部6に前記スイッチ本体5bを固定した後に、フロントカバー部3をステアリング装置1に取り付ける際に、前記フロントカバー部3に設けた各種部材が補強リブ14、14に干渉せず、取付作業性が著しく向上する、という効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
前記実施例1では、ステアリング装置1は、自動車に配されてなることを例にして説明したが、これに限定せず、飛行機や船舶、鉄道車両などの乗り物に配されても良い。また、スポーク部4を鋳込む際にマグネシウムを鋳込むことにより成形しても良い。
【0026】
前記実施例1では、バックカバー部6に設けた開口7は、スイッチ本体5bが挿通可能なものとして説明したが、これに限定されるものでは無く、例えば、バックカバー部6の内側に配置された図示しない接続用コネクタ部材をバックカバー部6に設けた開口7を通してスイッチユニット5と接続しても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 ステアリング装置
2 リム部
3 フロントカバー部
4 スポーク部
5 スイッチユニット
6 バックカバー部
7 開口
8 締結部
10 係止受け部
11 係止部
14 補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5