(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)と、前記成分(B)及び前記成分(C)から選ばれる少なくとも1種との重量割合の合計が30重量%以上である、請求項1又は2に記載の処理剤。
処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)の重量割合が10〜80重量%、前記成分(B)の重量割合が10〜80重量%、前記成分(C)の重量割合が10〜80重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の処理剤。
処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の重量割合の合計が60重量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の処理剤。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤は、多価アルコール脂肪酸エステルサルフェート塩(A)と、成分(B)及び成分(C)から選ばれる少なくとも1種とを含有し、処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)の重量割合が10〜90重量%である。以下に詳細に説明する。
【0018】
[多価アルコール脂肪酸エステルサルフェート塩(A)]
本発明の多価アルコール脂肪酸エステルサルフェート塩(A)(以後単にサルフェート塩(A)と表すことがある)は、本発明に必須の成分であり、後述する成分(B)及び/又は成分(C)と併用することにより、高圧水流絡合法による不織布作製工程において、低起泡性及びスカム抑制に優れる。
【0019】
サルフェート塩(A)は、多価アルコール脂肪酸エステル(a)を硫酸化及び中和して得られる構造を有したサルフェート塩である。
硫酸化の方法は、特に限定されず、発煙硫酸、濃硫酸、クロルスルホン酸、三酸化硫黄ガス等により、公知の方法を用いることができる。
中和の方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。中和に用いる塩基性物質としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、アンモニア、ヒドロキシアルキル鎖の炭素原子数が2〜4の、モノ、ジ及びトリアルカノールアミン、アルキル鎖の炭素原子数が1〜4の、1級、2級及び3級アルキルアミン等である。塩基性物質は二種以上併用してもよい。
【0020】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)は、多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物であり、合成品であっても、天然品であってもよい。
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)は、分子内のヒドロキシル基又は炭素−炭素不飽和結合が多い方が、前記サルフェート塩(A)1分子あたりのサルフェート基が多くなり、スカム抑制が良好になる。したがって、多価アルコール脂肪酸エステル(a)を構成する脂肪酸において、当該脂肪酸に対する不飽和脂肪酸含有量は、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、当該脂肪酸に対する不飽和脂肪酸含有量の上限値は、100重量%が好ましく、99重量%がさらに好ましい。
【0021】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)の合成品に用いる多価アルコールは、ヒドロキシル基を2つ以上有する多価アルコールであり、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ショ糖等が挙げられ、低起泡性及びスカム抑制の観点から、グリセリン、ソルビタンがより好ましく、グリセリンがさらに好ましい。
【0022】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)の合成品に用いる脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸及びヒドロキシ不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。このような脂肪酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラノリン脂肪酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リノレン酸等が挙げられる。これらの中でも、分子内のヒドロキシル基又は炭素−炭素不飽和結合が多い方が、前記サルフェート塩1分子あたりのサルフェート基が多くなることでスカム抑制が良好になるという理由から、オレイン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リノレン酸が好ましく、リノレン酸がさらに好ましい。
【0023】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)は、分子量が大きい程、低起泡性が良好である。従って、前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)の総炭素数は23以上が好ましく、27以上がより好ましく、31以上がさらに好ましく、39以上が特に好ましい。前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)の総炭素数の好ましい上限値は100であり、90がより好ましく、80がさらに好ましい。前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)の総炭素数が100を越えると、スカム抑制が低下する可能性がある。
【0024】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)の天然品としては、牛脂、豚脂、馬脂、羊脂、鳥脂、鯨油、海豚油、鰯油、鱈油、鮫油、ひまし油、菜種油、綿実油、胡麻油、オリーブ油、大豆油、やし油、パーム油、パーム核油、落花生油、トウモロコシ油、ひまわり油等が挙げられる。中でも、低起泡性の観点から、牛脂や菜種油が好ましい。
【0025】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(a)としては、前記天然品に加えて、前記天然品を水素添加した構造を有する硬化油や半硬化油等も挙げられ、たとえば、硬化やし油、硬化パーム油、半硬化パ−ム油、硬化パ−ム核油、硬化大豆油、硬化菜種油、硬化ひまし油、硬化牛脂、半硬化牛脂、硬化豚脂、半硬化鰯油、硬化鰯油、硬化鱈油、半硬化鱈油、硬化鮫油、半硬化鮫油等が挙げられる。
【0026】
[成分(B)]
本発明の成分(B)は、鉱物油(B1)、1価アルコール脂肪酸エステル(B2)及び多価アルコール脂肪酸エステル(B3)から選ばれる少なくとも1種である。成分(B)は、前記サルフェート塩(A)と併用することで、高圧水流絡合法による不織布作製工程において、低起泡性及びスカム抑制に優れる。
【0027】
前記鉱物油(B1)としては、マシン油、スピンドル油及び流動パラフィン等が挙げられるがこれに限定されるものではない。40℃における鉱物油の粘度はレッドウッド粘度計で40〜300秒(JISK−2283)の範囲とすることが好ましく、40〜160秒がより好ましく、60〜160秒がさらに好ましく、60〜120秒が特に好ましい。40秒未満では給油後の繊維を放置したとき放置時間と共に鉱物油が揮発する可能性があり、300秒を越えると粘度が高すぎてスカム抑制が低下する可能性がある。
【0028】
前記1価アルコール脂肪酸エステル(B2)は、一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有する化合物である。
【0029】
前記1価アルコール脂肪酸エステル(B2)を構成する1価アルコールとしては、特に限定はないが、1価の脂肪族アルコール等が挙げられる。1価の脂肪族アルコールの炭素数は分布があってもよい。また、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよい。1価の脂肪族アルコールの炭素数は、1〜30が好ましく、2〜24がより好ましく、4〜20がさらに好ましく、8〜18が特に好ましい。1価の脂肪族アルコールの炭素数が30を越えると、低起泡性が悪化する可能性がある。
前記1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ミリスチリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0030】
前記1価アルコール脂肪酸エステル(B2)を構成する脂肪酸としては、特に限定はなく、飽和であっても不飽和であってもよく、炭化水素基の側鎖にヒドロキシル基を含有していてもよい。当該脂肪酸はたとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、やし脂肪酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リシノール酸、リノレン酸、リシネライジン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、サリチル酸、乳酸等があげられ、これ等を2種類以上併用してもよい。
【0031】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(B3)は、多価アルコールの水酸基の内、少なくとも1つ以上の水酸基と脂肪酸とがエステル結合した構造を有する化合物である。
【0032】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(B3)を構成する多価アルコールとしては、特に限定はないが、2〜8価のアルコール等が挙げられ、2〜6価のアルコールが好ましく、2〜4価のアルコールがより好ましい。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ショ糖等類が挙げられる。さらに、グリセリンの縮合物であるジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等のポリグリセリンも含まれる。
【0033】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(B3)を構成する脂肪酸としては、特に限定はないが、直鎖でも分岐でもよく、飽和でも不飽和でもよく、炭化水素基の側鎖にヒドロキシル基を含有していてもよい。当該脂肪酸はたとえば、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、やし脂肪酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リシノール酸、リノレン酸、リシネライジン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、サリチル酸、乳酸等があげられ、これ等を2種類以上併用してもよい。
【0034】
[成分(C)]
本発明の成分(C)は、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C1)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(C2)から選ばれる少なくとも1種である。成分(C)は、前記サルフェート塩(A)と併用することで、高圧水流絡合法による不織布作製工程において、低起泡性及びスカム抑制に優れる。
【0035】
前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C1)は、多価アルコール脂肪酸エステル(c1)にプロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した化合物である。
【0036】
多価アルコール脂肪酸エステル(c1)を構成する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ショ糖等類が挙げられる。さらに、グリセリンの縮合物であるジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等のポリグリセリンも挙げられる。これらの中でも、サルフェート塩(A)と併用した場合の低起泡性の観点から、3価以上のアルコールが好ましく、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが好ましい例として挙げることができる。
【0037】
多価アルコール脂肪酸エステル(c1)を構成する脂肪酸としては、特に限定はなく、飽和であっても不飽和であってもよく、炭化水素基の側鎖にヒドロキシル基を含有していてもよい。当該脂肪酸はたとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、やし脂肪酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リシノール酸、リノレン酸、リシネライジン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、サリチル酸、乳酸等があげられ、これ等を2種類以上併用してもよい。
【0038】
前記多価アルコール脂肪酸エステル(c1)は、多価アルコールのヒドロキシル基の少なくとも1つ以上がエステル化されたエステルである。また、当該多価アルコール脂肪酸エステルにおいて付加されるポリオキシアルキレン基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられ、これ等の2種類以上を使用してもよい。付加されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの付加の順序には特に限定はなく、また付加形態もブロック付加、ランダム付加及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
低起泡性及びスカム抑制の観点から、アルキレンオキシドの付加モル数は、多価アルコール脂肪酸エステル(c1)の1分子当り、5〜60が好ましく、10〜50がより好ましく、20〜40がさらに好ましい。60を越えると、低起泡性が悪化する可能性がある。5未満では、スカム抑制が不足する可能性がある。
【0039】
本発明のポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(C2)(以後単にエステル(C2)と表すことがある)は、脂肪酸とポリアルキレングリコールとがエステル結合した構造を有するエステル化合物である。
【0040】
前記エステル(C2)としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールジパルミテート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジラウレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジオレエート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、低起泡性の観点から、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレートが好ましく、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエートがより好ましい。
【0041】
前記エステル(C2)を構成するポリアルキレングリコールとしては、低起泡性の観点から、分子量が100〜2000が好ましく、200〜1500がより好ましく、300〜1000がさらに好ましく、400〜800が最も好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量が100未満であるとスカム抑制が不足する可能性があり、2000を越えると当該処理剤の発泡が多くなると共に製品粘度が高くなりスカム抑制が不足する可能性がある。
【0042】
[高圧水流絡合用繊維処理剤]
本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤は、多価アルコール脂肪酸エステルサルフェート塩(A)と、成分(B)及び成分(C)から選ばれる少なくとも1種とを含有し、前記成分(B)が、鉱物油(B1)、1価アルコール脂肪酸エステル(B2)及び多価アルコール脂肪酸エステル(B3)から選ばれる少なくとも1種であり、前記成分(C)が、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C1)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(C2)から選ばれる少なくとも1種であり、処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)の重量割合が10〜90重量%という条件下で使用すると、高圧水流絡合法による不織布作製工程において、起泡性を低減することができるとともに、スカムの発生を抑制することができる。
処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)の重量割合は、11〜60重量%が好ましく、12〜50重量%がより好ましく、13〜40重量%がさらに好ましい。前記サルフェート塩(A)の重量割合が10重量%未満では、スカム抑制が不足し、90重量%を越えるとスカム抑制及び低起泡性が不足する。
なお、本発明における不揮発分とは、処理剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
【0043】
本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤の不揮発分に占める、前記成分(B)及び成分(C)から選ばれる少なくとも1種の重量割合の合計は、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましい。10重量%未満では低起泡性が不足する場合があり、90重量%を越えるとスカム抑制及び低起泡性が不足する場合がある。
【0044】
前記処理剤が、処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)から選ばれる少なくとも1種の重量割合の合計が30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。前記サルフェート塩(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)から選ばれる少なくとも1種の重量割合の合計が30重量%未満である場合、スカム抑制及び低起泡性が不足する可能性がある。前記サルフェート塩(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)から選ばれる少なくとも1種の重量割合の合計の好ましい上限値は、100重量%である。
【0045】
本発明の成分(B)及び成分(C)は、それぞれ単独でサルフェート塩(A)と併用してもスカム抑制及び低起泡性に優れるが、サルフェート塩(A)、成分(B)及び成分(C)の3成分を同時に使用すると、サルフェート塩(A)及び成分(B)の場合やサルフェート塩(A)及び成分(C)の2成分使用の場合と比較して、スカム抑制及び低起泡性がさらに良好になる。
この3成分同時使用の場合、処理剤の不揮発分に占める、前記サルフェート塩(A)の重量割合は、10〜80重量%が好ましく、11〜60重量%がより好ましく、12〜50重量%がさらに好ましい。この順にスカム抑制及び低起泡性が優れる。
この3成分同時使用の場合、処理剤の不揮発分に占める、成分(B)の重量割合は、10〜80重量%が好ましく、11〜60重量%がより好ましく、12〜50重量%がさらに好ましい。この順にスカム抑制及び低起泡性が優れる。
この3成分同時使用の場合、処理剤の不揮発分に占める、成分(C)の重量割合は、10〜80重量%が好ましく、11〜60重量%がより好ましく、12〜50重量%がさらに好ましい。この順にスカム抑制及び低起泡性が優れる。
【0046】
本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤には、アルキルホスフェート塩を、処理剤の不揮発分に占める割合で10重量%以上含まないことが好ましく、5重量%以上含まないことがより好ましく、1重量%以上含まないことがさらに好ましい。アルキルホスフェート塩を10重量%以上含有すると、スカム抑制が低下する可能性がある。
【0047】
[その他の成分]
本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤には、更に所望によりアルカンスルフォネート塩、ジアルキルスルフォサクシネート塩などの帯電防止剤、N−トリアルキルグリシンやN−トリアルキルスルフォベタインなどの乳化剤、ノニオン性の乳化剤、カルナバワックス等の潤滑剤等を添加してもよい。また、必要があれば適切な防腐剤、防錆剤、消泡剤を添加してもよい。
【0048】
[短繊維]
本発明の短繊維は、高圧水流絡合用に用いる原料短繊維に対して、本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤が付与されたものである。高圧水流絡合用繊維処理剤の付与量は、原料短繊維に対して、0.05〜2.0重量%であり、0.06〜1.5重量%が好ましく、0.07〜1.0重量%がさらに好ましく、0.08〜0.7重量%が最も好ましい。0.05%未満では、不織布作製の前工程でのカード通過性が劣る可能性があり、2.0重量%超では、低起泡性が劣る可能性がある。
【0049】
本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤は、そのまま希釈等せずに原料短繊維本体に付着させてもよく、水等で不揮発分全体の重量割合が0.2〜15重量%となる濃度に希釈してエマルジョンとして原料短繊維本体に付着させてもよい。高圧水流絡合用繊維処理剤を原料短繊維本体へ付着させる工程は、原料短繊維本体の紡糸工程、延伸工程、捲縮工程、切断工程手前等のいずれであってもよい。本発明の高圧水流絡合用繊維処理剤を原料短繊維本体に付着させる手段については、特に限定はなく、ローラー給油、ノズルスプレー給油、ディップ給油等の手段を使用してもよい。短繊維の製造工程やその特性に合わせ、より均一に効率よく目的の付着率が得られる方法を採用すればよい。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
【0050】
本発明の高圧水流絡合用に用いる原料短繊維としては、木綿繊維、晒し処理された木綿繊維等の天然繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維等の再生繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維等の合成繊維が挙げられる。ポリアミド繊維としては、6−ナイロン繊維、6,6−ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維等が挙げられる。
これらの中でも、再生繊維及び合成繊維は、静電気防止の観点から、高圧水流絡合用繊維処理剤を多く付着させる傾向にあり、起泡性低減がより必要との観点から、本発明の処理剤を適用することが好ましい。又、原料繊維がポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維であれば、繊維が撥水性であるために高圧水流絡合用により水圧が必要であり、起泡性低減がさらに必要との観点から、原料繊維がポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維であることが、さらに好ましい。
レーヨン繊維としては、ビスコースレーヨン繊維、強力レーヨン繊維、高強力レーヨン繊維、高湿潤弾性レーヨン繊維、溶剤紡糸レーヨン繊維、ポリノジック繊維等が挙げられる。
複合繊維の組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の場合、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。さらにポリアミド系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂等からなる繊維も挙げられる。
これらの中でも、原料繊維が撥水性であるために高圧水流絡合用により水圧が必要であり、起泡性低減がより必要との観点から、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂がさらに好ましい。
【0051】
繊維の断面構造は鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型あるいは海島型が例示できるが、繊維製造工程での生産性や、不織布加工の容易さから、偏心を含む鞘芯型または並列型が好ましい。また、断面形状は円形または異形形状とすることができる。異形形状の場合、例えば扁平型、三角形〜八角形等の多角型、T字型、中空型、多葉型等の任意の形状とすることができる。
【0052】
[不織布]
本発明の不織布は、本発明の短繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、ついで、この繊維ウェブに高圧水流絡合法で処理する高圧水流絡合処理工程を施して作製した不織布である。
具体的には、本発明の短繊維を開繊工程にて開繊し、2以上の種類の短繊維を使用する場合には混綿し、カード機によるカーディングにて繊維ウェブを作製する。繊維ウェブを作製するには、繊維をカード機に供給し、カード機から排出されるフリースを適宜積層すればよい。カード機としては、フリース中の繊維がほぼ一方向に配列するパラレルカード機、フリース中の繊維が無配向となるランダムカード機、前二者の中間程度の配向となるセミランダムカード機、従来綿繊維の開繊に最も一般的に使用されているフラットカード機等を使用することができる。カード機から排出されたフリースを、そのまま多数枚重ねて、一方向に繊維が配列したウェブまたは繊維が無配向となっている繊維ウェブとしてもよい。また、一方向に繊維が配列したフリースを、各フリースの繊維が直交する状態で多数枚重ねて、縦・横均一な繊維ウェブとしてもよい。本発明においては、縦・横の引張強度が同等である方が好ましいので、繊維ウェブとしても、綿繊維が無配向となっている繊維ウェブまたは各フリース間の綿繊維が直交している繊維ウェブを採用することが好ましい。
【0053】
繊維ウェブの重量(目付)は、10〜150g/m
2程度であるのが好ましい。目付が10g/m
2未満であると、繊維密度が小さくなって、高圧水流絡合処理によるエネルギーを繊維に与える効率が悪くなり、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。一方、目付が150g/m
2を超える場合も、単位面積当りの繊維量が多すぎて、全ての繊維に高圧水流絡合処理によるエネルギーを与えにくくなり、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。
【0054】
次に、高圧水流絡合処理が繊維ウェブに施される。高圧水流絡合処理は、繊維ウェブに高圧水流を衝突させるという絡合処理手段である。この手段によって、高圧水流のエネルギーが、繊維ウェブ中の繊維に与えられ、繊維はこのエネルギーによって運動させられ、その結果、繊維相互間に三次元的絡合が発現してくるのである。高圧水流は、例えば、孔径が0.05〜2.0mm程度、特に0.1〜0.4mmの噴射孔から、噴射圧力5〜150kg/cm
2・G程度で、水または温水等の液体を噴出させれば、容易に得ることができる。高圧水流絡合処理は、一般的に、この噴射孔が0.3〜10mm間隔で一列または複数列に多数配列した装置を、繊維ウェブの進行方向と噴射孔の列とが直交するように配置し、進行する繊維ウェブ上に、高圧水流を衝突させることによって行われる。噴射孔と繊維ウェブ間との距離は、1〜15cm程度が好ましい。この距離が1cm未満であると、繊維ウェブに高圧水流が衝突したときのエネルギーが大きすぎて、得られる不織布の地合が乱れるおそれがある。一方、15cmを超えると、繊維ウェブに高圧水流が衝突したときのエネルギーが小さくなって、繊維に十分な運動エネルギーを与えることができず、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。
【0055】
高圧水流絡合処理については、二段階またはそれ以上に別けて施すのが好ましい。すなわち、第一段階の高圧水流絡合処理においては、高圧水流の噴射圧力を低くして、繊維に与える運動量を少なくし、繊維ウェブの地合が乱れるのを防止しながら、繊維相互間にある程度の予備的な三次元的絡合を与える。この第一段階における噴射圧力としては、5〜30kg/cm
2・G程度であるのが好ましい。噴射圧力が5kg/cm
2・G未満であると、繊維相互間に三次元的絡合が殆ど生じないおそれがある。また、噴射圧力が30kg/cm
2・Gを超えると、繊維ウェブの地合が乱れるおそれがある。このような第一段階の高圧水流絡合処理によって、繊維に絡合が与えられ、ある程度、繊維が拘束された状態で、第二段階の高圧水流絡合処理を施す。この際の噴射圧力は、第一段階の噴射圧力よりも高くして、繊維に大きな運動量を与え、繊維相互間の三次元的絡合をさらに進行させるのである。第二段階における噴射圧力は、40〜150kg/cm
2・G程度が好ましい。噴射圧力が40kg/cm
2・G未満であると、繊維相互間の三次元的絡合の進行が不十分になる傾向が生じる。また、噴射圧力が150kg/cm
2・Gを超えると、繊維相互間の三次元的絡合が強固になりすぎて、得られる不織布の柔軟性や嵩高性が低下する傾向が生じる。また、第一段階の処理で、ある程度繊維が拘束されているにもかかわらず、得られる不織布の地合が乱れる恐れもある。以上のような方法によると、得られる不織布の地合の乱れが少なくなり、且つ引張強度が高くなるという利点がある。
【0056】
繊維ウェブに高圧水流絡合処理を施す際、繊維ウェブは、通常、支持体に担持されている。すなわち、高圧水流絡合処理が施される側とは、反対面に支持体が置かれている。この支持体は、繊維ウェブに施された高圧水流を良好に通過させるものであれば、どのようなものでも使用でき、例えばメッシュスクリーンや有孔板等が採用される。一般的には、金網等のメッシュスクリーンが採用され、また孔の大きさは、20〜100メッシュ程度であるのが好ましい。
【0057】
繊維ウェブに高圧水流絡合処理を施した後、繊維ウェブには液体流として使用した水や温水等の液体が含浸された状態になっており、この液体を従来公知の方法で除去して、不織布が得られるのである。ここで、液体を除去する方法としては、まず、マングルロール等の絞り装置を用いて、過剰の液体を機械的に除去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾燥装置を用いて、残余の液体を除去する方法等が用いられる。以上のようにして得られた不織布は、繊維相互間の三次元的絡合が十分になされており、おしぼりや手拭き等の素材として使用するのに十分な引張強度を持つものである。
【0058】
本発明の不織布は、高圧水流絡合処理を施す際に起泡が少ないという特徴があるため、不織布上の泡により、繊維が乱れて目付けが不均一になることがなく、高品質の不織布が得られる。又、高圧水流を循環水にて行なう場合にも、スカム発生によるフィルターやノズル詰まり等の弊害がないため、不織布の生産性を向上させることができる。
【実施例】
【0059】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各実施例、比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。又、各実施例、比較例における処理剤の明細と評価結果を表1〜表6にまとめて示す。処理剤の明細中、配合比率はいずれも重量%を表す。
【0060】
(実施例1〜32及び比較例1〜16)
下記(A−1〜D−5)の各成分を用い、表1〜6に記載の比率で混合を行い、撹拌して、各実施例・比較例の高圧水流絡合用繊維処理剤の不揮発分を調製し、イオン交換水で希釈して、0.5%濃度のエマルションを得た。
A−1 牛脂サルフェートナトリウム塩
A−2 菜種油サルフェートカリウム/ナトリウム塩
A−3 グリセリンモノステアレートサルフェートアンモニウム塩
A−4 ソルビタンモノラウレートサルフェートアンモニウム塩
A−5 エチレングリコールモノリノレートサルフェートナトリウム塩
A−6 硬化ひまし油サルフェートジエタノールアミン塩
A−7 グリセリンジリシノレートサルフェートカリウム塩
A−8 ソルビタントリオレートサルフェートナトリウム塩
B1−1 鉱物油(粘度60秒)
B1−2 鉱物油(粘度120秒)
B1−3 鉱物油(粘度500秒)
B2−1 イソトリデシルステアレート
B2−2 イソオクチルパルミテート
B3−1 ソルビタントリステアレート
B3−2 グリセリンモノオレート
B3−3 ソルビタンモノステアレート
C1−1 ポリオキシエチレン(付加モル数:20)ソルビタンモノステアレート
C1−2 ポリオキシエチレン(付加モル数:30)ひまし油エーテル
C2−1 ポリエチレングリコール(分子量:400)モノオレエート
C2−2 ポリエチレングリコール(分子量:1540)モノステアレート
C2−3 ポリエチレングリコール(分子量:200)ジラウレート
D−1 ラウリルサルフェートナトリウム塩
D−2 オレイルサルフェートナトリウム塩
D−3 ラウリルホスフェートカリウム塩
D−4 ポリオキシエチレン(9モル)C
12〜13セカンダリーアルキルエーテル
D−5 ジイソトリデシルスルホサクシネートナトリウム塩
D−6 ラウリルスルホネートナトリウム塩
【0061】
次に、予め脱脂しておき、処理剤が付着していない1.7dtex×44mmの原料ポリエステル短繊維を用い、原料短繊維に対する処理剤の不揮発分の付着量が0.2重量%及び0.4重量%になるように、前記処理剤のエマルションを給油し、当該原綿を80℃、2時間で乾燥した。得られた処理剤付与綿を下記の各評価に供した。
【0062】
[低起泡性]
処理剤付与綿30gを500mlのビーカーに入れ、その上に常温のイオン交換水300gを注ぎ入れ、ラップで蓋をして4時間放置後、イオン交換水に浸漬した処理剤付与綿から別の300mlビーカーに浸漬液200mlを搾り出した。次に、その搾り液30mlを100m1の栓付きメスシリンダーに入れて、10回強振した後、その5分後の泡の高さを測定した。泡の高さが1.0cm未満で低起泡性が良好であると判断した。
低起泡性の判断の指標(泡の高さ(cm))
◎(非常に良好):泡の高さが0.5cm未満。
○(良好) :泡の高さが0.5cm以上1.0cm未満。
△(不良) :泡の高さが1.0cm以上2.0cm未満。
×(非常に不良):泡の高さが2.0cm以上。
【0063】
[カード通過性]
カード試験機を用いて30℃×70%RHの条件で処理剤付与綿40gをカーディングした後にシリンダーを観察し、以下の基準で評価した。
巻付きが、シリンダー面の1/5未満である場合に、カード通過性が良好と判断した。
カード通過性の判断の指標
◎(非常に良好):巻付きなし
〇(良好) :シリンダー面の1/5未満に巻付きあり
△(不良) :シリンダー面の1/5以上、1/2未満に巻付きあり
×(非常に不良):シリンダー面の1/2以上に巻付きあり
【0064】
[不織布の地合評価]
処理剤付与綿40gをそれぞれ大和機工社製開繊機(型式OP−400)により開繊処理を施した。次いで、開繊処理された処理剤付与綿をランダムカード機に供給し、排出されたフリースを積層して、目付100g/m
2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、金属製ネットよりなる支持体上に配置し、噴射圧力15kg/cm
2・Gで第一段階の高圧水流絡合処理を施し、綿繊維相互間を予備的に三次元絡合させた。引き続き、噴射圧力100kg/cm
2・Gで第二段階の高圧水流絡合処理を施し、乾燥して不織布をそれぞれ得た。得られた不織布の地合を目視判定にて評価した。
不織布の地合の判断の指標
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
【0065】
[スカム抑制]
次に、スカム抑制の代用評価として、硬水安定性試験を実施した。
カルシウムイオン濃度が50ppmである硬水を調製し、これに高圧水流絡合用繊維処理剤を加えて、不揮発分の濃度1重量%の溶液を調製した。また、イオン交換水でも同じ濃度の溶液を調製した。溶液調製3日後の溶液の状態について、硬水の場合とイオン交換水の場合とで外観の差の有無を確認し、各々以下の基準でランク付けした。硬水とイオン交換水で外観の差がみられない場合を良好と判断した。
スカム抑制の判断の指標
○(良好) :硬水とイオン交換水で外観の差がみられない。
△(不良) :硬水とイオン交換水で外観の若干差がみられる。
×(非常に不良):硬水とイオン交換水で外観の差がみられる。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
表1〜6から分かるように、実施例1〜32の高圧水流絡合用繊維処理剤を付与した短繊維は、低起泡性およびスカム抑制が良好であった。従って、低起泡性及びスカム抑制の両立が達成できた。不織布の地合が、低起泡性と相関している。一方、比較例1〜16では、本願発明のサルフェート塩成分(A)の範疇に属さないアルキルサルフェート塩を含有する場合(比較例1、2)、サルフェート塩成分(A)を含有しない場合(比較例3、7、8、10、13〜16)、成分(B)及び成分(C)のいずれも含有しない場合(比較例4、6、16)、サルフェート成分(A)の割合が10重量%未満である場合(比較例5、9、12)又はサルフェート成分(A)の割合が90重量%超の場合(比較例11)には、低起泡性又はスカム抑制のいずれかが劣っていた。