【文献】
DENNIS,J.E. et al,The STRO-1+ marrow cell population is multipotential,Cells Tissues Organs,2002年,Vol.170, No.2-3,p.73-82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
虚血組織中の血管の形成または修復を誘導するための薬剤であって、マーカーSTRO-1を発現する間葉系前駆細胞(MPC)について富化した細胞集団を含み、前記富化した集団が、クローン原性コロニーを形成することができるMPCを少なくとも0.1%含む、薬剤。
前記細胞の富化した集団がさらに、マーカー3G5、MUC18/CD146およびα-平滑筋アクチンの1つまたは複数に対して陽性である、請求項1から6のいずれか一項に記載の薬剤。
前記細胞の富化した集団がTHY-1、VCAM-1、ICAM-1、PECAM-1、CD49a/CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD29、CD61、インテグリンβ5、6〜19、トロンボモジュリン、CD1O、CD13、SCF、PDGF-R、EGF-R、IGF-1R、NGF-R、FGF-Rおよびレプチン-R(STRO-2)からなる群から選択されるマーカーの1つまたは複数のいずれかを同時発現する、請求項1から8のいずれか一項に記載の薬剤。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、前駆細胞の組成物を使用することによって血管新生を誘導する方法に属する。これには一定範囲の適用例がある。
【0022】
したがって本発明には、血管の修復または形成の誘導、例えば脳血管虚血、腎臓虚血、肺虚血、四肢虚血、虚血性心筋症および心筋虚血の治療における適用例があり、内皮前駆細胞を投与する。
【0023】
広範囲の組織を治療することができると思われ、このような組織は、例えば筋肉、脳、腎臓および肺を含むことができる。虚血疾患には、例えば脳血管虚血、腎臓虚血、肺虚血、四肢虚血、虚血性心筋症および心筋虚血がある。
【0024】
これらの状態の治療は、患者の組織から間葉系前駆細胞を単離し、次いでそれらを患者に投与するステップを含むことができると思われる。血管の形成または修復を促進する、あるいは間葉系細胞の増殖および/または血管分化を増大させることが知られている化合物を用いて、患者を治療することもできる。この目的のために、例えば静脈内注入、大量注射、およびカテーテルによる部位特異的送達を含めた任意の適切な手段によって、患者にMPCを投与することができる。
【0025】
本発明は、床ずれなどの慢性的な痛み、および幾つかの潰瘍形成を含めた、火傷および損傷を治療するための適用性も有する可能性がある。これらの状態用に、MPCを局所に施用する、おそらくクリーム中に懸濁させる、あるいは細胞の表面下への移動を助長するのに適した物質と共に施用することができると思われる。あるいはMPCは包帯内、おそらく損傷または他の表面との長期の接触によって溶ける保護物質内に保つことができると思われる。
【0026】
本発明は、少ない血液供給が例えば禿頭症をもたらす場合の適用性も有する可能性がある。MPCの組成物は、患部領域中の皮下または皮膚に注射することができる。
【0027】
血管新生組織のin vitro増殖移植片も本発明によって企図され、この場合MPCを、血管細胞への分化を促進することが知られている培地中、および化合物の存在下で増殖させて、未分化、部分的に分化した、およびある程度分化した細胞を含む移植片を生成させる。
【0028】
インプラントの場合、外科医はプロテーゼの移植中にMPCを含む組成物を施用して、プロテーゼと周辺組織の間の境界面における血管新生を促進することができる。他の方法は、MPCまたは部分的あるいは完全に分化した移植片をインプラント上で発現させることであってよい。これは保護物質内に保つことができるか、あるいは保つことはできない。移植片の利点は、血管新生、したがって治療過程をスピードアップすることができることである。
【0029】
血管は、そこから医薬品を送達するのに理想的な位置である。これらのMPCおよびそれらが新しい血管を形成する性質の発見によって、長期間にわたり医薬品を送達する機会が与えられる。
【0030】
MPCを改変して、さまざまな遺伝物質を保有させることができる。遺伝物質は、抗癌剤を含めたさまざまなタンパク質、例えばインシュリンなどのホルモン、成長因子、酵素、サイトカインなどをコードする物質であってよい。
【0031】
あるいはMPCを改変して、MPCによる血管形成の誘導を助長し、関連組織の良性の血管新生の維持をさらに助長することができる、血管形成促進物質を発現させることができる。
【0032】
心臓血管疾患を治療する目的では、有効な治療に充分な量で、蛍光誘導装置下において標準的な経皮カテーテルに基づく方法を使用する直接的な冠状動脈内注射(または移植血管)によって、MPCを心筋層に送達することができる。これは10
4〜10
7個のMPCの範囲であってよい。注射は、冠状動脈(または移植血管)の管腔(動脈管腔内約1cm)深くに行うべきであり、両方の冠状動脈に行うことが好ましい。冠状動脈カテーテルによって冠状動脈の管腔中に直接物質を注射することによって、さらに効率よくMPCを標的化し、注射中の損失を最小にすることができる。任意のさまざまな冠状動脈カテーテル、灌流カテーテルを使用することができる。
【0033】
末梢血管疾患、脚部への不充分な血液供給によって特徴付けられる疾患を治療するために、MPCをカテーテルによって送達することができ、カテーテルは1本または複数本の大腿動脈の基部に挿入し、それによって大腿動脈からの血流を受け取る骨格筋の毛細血管へのMPCの移動を実施する。これによって、脚部の骨格筋中の新血管新生およびまたは血管の修復をもたらす、血管形成の刺激が与えられる。
【0034】
冠状動脈または末梢血管疾患に関して使用するための本発明の組成物または生成物は、冠状動脈内投与に適した配合物の形で好都合に与えることができる。適切な投与形式は、それぞれの患者に関して個別に、医療従事者によって決定されることが最良である可能性がある。適切な薬剤として許容可能な担体およびそれらの配合物は、標準的な配合物の論文、例えばE.W.MartinによるRemington's Pharmaceuticals Sciences中に記載されている。組成物は中性pH、例えば約pH6.5〜約pH8.5、より好ましくは約pH7〜8の溶液中において、溶液をほぼ等張にする賦形剤、例えば4.5%マンニトールまたは0.9%塩化ナトリウムと配合することができ、安全であると一般にみなされているリン酸ナトリウムなどの当分野で知られているバッファー溶液を用いて、pH緩衝作用を行うことができる。塩化ナトリウム、または他の薬剤として許容可能な物質、例えばデキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、ポリオール(マンニトールおよびソルビトールなど)など、あるいは他の無機または有機溶質を使用して、望ましい等張を達成することができる。塩化ナトリウムは、ナトリウムイオンを含むバッファーには特に好ましい。望むならば、前述の組成物の溶液を調製して、貯蔵寿命および安定性を増大させることもできる。治療上有用な本発明の組成物は、一般的に認められている手順に従い成分を混合させることによって調製する。例えば、選択した要素を混合して濃縮混合物を生成することができ、次いでそれを、水および/またはバッファーを加えてpHを調節し、あるいは他の溶質を加えて張性を調節することによって、最終濃度または粘度に調整することができる。
【0035】
内科医による使用では、選択したレベルでの血管形成を誘導するための一回または複数回の投与において有効であろう、一定量のMPC組成を含む投与形で組成物が与えられる。当業者により理解されているように、有効量の治療剤は、患者の年齢および体重、患者の身体状態、および得られる血管形成のレベル、および他の要因を含めた多くの要因と共に変わるであろう。
【0036】
本発明の化合物の有効用量は、典型的には少なくとも約10
4個のMPC、好ましくは約10
6個のMPC、より好ましくは約10
7個のMPCの範囲であろう。示したように、投与する正確な用量は担当医によって決定されるが、1mlのリン酸緩衝生理食塩水中に存在することが好ましい。
【0037】
心臓疾患の場合の現在好ましい投与形式は、適切な冠状動脈カテーテルを使用する、1本または2本の冠状動脈への(あるいは1本または複数本の伏在静脈または内乳動脈移植片への)冠状動脈内注射によるものである。末梢血管疾患の場合の現在好ましい投与形式は、適切な動脈カテーテルを使用する、1本または複数本の大腿動脈の基部への注射によるものである。
【0038】
MPCは血管新生促進化合物と同時投与することが好ましい。これらの化合物は、酸性および塩基性繊維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、上皮成長因子、形質転換成長因子αおよびβ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞成長因子、インシュリン様成長因子、エリスリポイエチン、コロニー刺激因子、マクロファージ-CSF、GM-CSFおよび一酸化窒素合成酵素を含むことができる。
【0039】
血管形成をさらに促進するために、内皮細胞マイトジェンを発現するように改変された内皮前駆細胞を使用することができる。さらに、血管周囲細胞マイトジェンまたは血管周囲細胞マイトジェンをコードする核酸をさらに投与することができる。
【0040】
MPCは筋肉内、損傷した血管の部位の近くに注射することもできる。
【0041】
組成物は損傷用の局所施用物を含むことができ、したがってクリーム、ローションなどに取り込ませることができる。
【0042】
必要に応じて例えば生理食塩水などの薬剤として許容可能な担体を含む、注射可能な調製物の形をとる組成物に、MPCを送達することができる。調製物は滅菌を必要とする可能性があり、細胞の均一な分布を保つための安定剤を含むことができる。MPCの最終用量は、約10
4〜10
7個の細胞の範囲であることが好ましい。
【0043】
本発明は間葉系前駆細胞、特に血管新生組織の血管周囲区画に存在する可能性がある間葉系前駆細胞に関する。このような間葉系細胞は3G5表面マーカーの存在によって同定することができ、他の初期の分化マーカーCD146(MUC18)、VCAM-1およびSTRO-1などによって追加的あるいは別個におそらく同定することができる。
【0044】
前駆細胞は、実質的に分化の増殖前段階の初期細胞である。これらの細胞は、まだ完全に委任細胞に分化していない細胞であるが、しかしながら、これらの細胞は、それらが必然的にあらゆる細胞型に分化することができる点で、厳密な意味では幹細胞である必要はない。部分的に分化した前駆細胞は、それらが幹細胞より高い増殖能を有する点において利点を有する。
【0045】
本発明の前駆細胞は、それらが例えば造血組織ではなく間葉系組織になる点で、幾らか分化している。単離したMPCはCD34などの造血細胞と関係があるマーカーを欠いており、さらにそれらの分化能は造血系には広がらないことは、生じたデータから明らかである。さらにそれらは、全ての間葉系細胞型に分化する能力を必ずしも有する必要はないが、1、2、3またはそれより多くの細胞型に分化することができる可能性がある。
【0046】
関連組織から採取したこれらの前駆細胞が、それらの源である細胞型の組織を再生するのに有用であり得ることは予想される。したがって、心臓から単離した前駆細胞を再導入して心臓組織を再生することができるが、しかしながら、それらの能力はそのように限られる必要はなく、1つの組織型から単離した前駆細胞は、他の組織型の組織を再生するのに有用である可能性がある。未分化細胞自体が見られる微環境は、分化の経路に影響を与えることが知られており、したがって、再導入は必ずしも組織特異的である必要はない。
【0047】
示したデータは、MPCを採取し、次いで再導入して骨および骨髄および象牙質および歯髄をそれぞれ生成し、さらに単離したMPCのex vivo増殖の後に、細動脈、コード様構造を生成したことを示す。
【0048】
幾つかの細胞型に特徴的なマーカーの遺伝子発現に基づいて、広範囲の細胞を生成することができることは予想される。したがって、適切な培養条件下では、本発明の血管周囲MPCから生成される可能性がある細胞型の範囲は、以下の骨芽細胞、象牙芽細胞、象牙質生成細胞、軟骨細胞、腱細胞、靭帯細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、繊維芽細胞、骨髄間質、破骨細胞および造血細胞支持間質、心筋、平滑筋、骨格筋、周囲細胞、血管細胞、上皮細胞、グリア細胞、神経細胞、星状細胞または希突起膠細胞だけには限られないがこれらを含むことは予想される。
【0049】
MPCを血管周囲細胞から単離することができるという発見の利点の1つは、このことがMPCを単離または富化させることができる供給源組織の範囲を大幅に広げ、骨髄に対するMPCの供給源の影響のある制約はもはや存在しないことである。本発明の例示中のこれらのMPCが単離される組織は、ヒト骨髄、歯髄細胞、脂肪組織および皮膚である。さらにin situ染色および組織学的試験によって、脾臓、膵臓、脳、腎臓、肝臓および心臓の血管周囲区画にMPCが存在すること同定されている。血管周囲MPCが存在するこの広く多様な範囲の組織型を考慮すると、MPCは脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛包、腸、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靭帯、骨髄、腱、および骨格筋を含むことができる、さらに広範囲の組織にも存在すると言える。
【0050】
本発明のこれらの前駆細胞は、それらが3G5陽性であり、あるいはそれらが他の血管周囲マーカーをおそらく有している点で、他の知られているMPCと区別される。これらの前駆細胞は、血管周囲細胞上に存在する初期の分化状態の表面マーカー、特に1つまたは複数のCD146(MUC18)、VCAM-1の存在を富化させることによって、代替的あるいは追加的にモノクローナル抗体STRO-1によって認識されるマーカーの高レベルの発現を富化させることによって単離することができる。代替的あるいは追加的に、3G5を使用して富化を行うことができる。
【0051】
血管周囲細胞と関係があるマーカーはMPC上に存在する可能性もある、例えばα-平滑筋アクチン(αSMA)。
【0052】
MPCと関係がある他の初期の分化状態のマーカーが存在する可能性もある。これらは、THY-1、VCAM-1、ICAM-1、PECAM-1、CD49a/CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD29、CD61、インテグリンβ5、6〜19、トロンボモジュリン、CD1O、CD13、SCF、STRO-1bri、PDGF-R、EGF-R、IGF1-R、NGF-R、FGF-R、レプチン-R(STRO-2)からなる群を含むことができるが、必ずしもこれらだけには限られない。1つまたは複数のこれらのマーカーの陽性発現は、供給源組織からMPCを富化させる方法において使用することができる。
【0053】
本発明のMPCは、分化組織中に存在するマーカーの不在によって特徴付けることもでき、富化はこのようなマーカーの不在に基づく可能性がある。
【0054】
同様に、増殖した細胞の集団は造血起源ではないことが好ましく、したがって、これらの細胞が存在しないことが好ましい。存在しないものとして特徴付けによって同定したマーカーにはCD34、CD45、およびグリコホリン-Aがあるが、これらだけには限られない。この目的用の追加的な他のマーカーは、CD20およびCD19(Bリンパ球マーカー)、造血幹細胞および血管芽細胞上に存在するCD117(c-キット腫瘍タンパク質)、CD14(マクロファージ)、CD3およびCD4(T細胞)を含むことができる。
【0055】
比較的静止状態の、直接富化させたかあるいは単離した血管周囲MCPを使用することが望ましい可能性がある。あるいは、富化した集団の増殖を行うことができ、さらに多数の細胞をもたらす有益な影響があることが発見されている。しかしながら、直接増大させた細胞群の増殖の影響は、最初のMCPのある程度の分化が起こることである。5週間の期間の増殖は、10
3倍の増大をもたらす可能性がある。他の期間を選択して、10
2〜10
5倍集団を増殖することができる。サイトカインおよび個々の組織型、例えばPDGFおよびVEGF形成平滑筋α帯への分化を導く他の因子を含む培地中でそれらを培養することによって、この可能性を導くことができる。したがって、これらを組織、例えば修復が必要な外傷に導入することができる。あるいは、初期の分化状態のマーカーに基づいて細胞を再度選択することが増殖後に望まれる可能性があり、それは集団中のMPCの比率を増大させるためにSTRO-1
briであってよい。
【0056】
望ましい組織構造を形成するための分化細胞の形成をもたらすために、ほぼ純粋なMCPの集団は必要ではないことが見出されている。富化した集団は、その富化した集団中の細胞数全体の比率として、約0.001、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5または1%あるいはそれより大きいMCPレベルを有する可能性がある。富化したMCP集団を選択するための一種のマーカーを使用することによって、この富化の程度を得ることができる。供給源組織が本来高いレベルの血管周囲MCPを有する場合、このことは特に当てはまる。骨髄中よりも幾つかの組織、例えば歯髄中に、相当多量の3G5陽性MCPが存在することが見出されている。したがって骨髄中では、3G5陽性MCPはSTR1
briコロニー形成細胞に基づいてMCPの約15%を構成し、一方歯髄中ではそれが65%を構成し、脂肪および皮膚組織中では90%を超えることが見出された。一種のマーカーcoungを使用する集団の増殖およびその後の再度の富化は、高レベルのMPC、おそらく約0.1、0.5、1、2、5または10%より高いレベルをもたらす。
【0057】
相当な比率、好ましくは大部分の前駆細胞が血管周囲MPCであることは望ましいと考えられるが、血管周囲MPCに関する本発明の幾つかの形が、唯一の前駆細胞形であることが必須であるとは考えられない。血管周囲MPCが望ましい分化を経る能力を過度に害さずに、他の形の前駆細胞が存在する可能性もある。このような他の形は、おそらく3G5陰性である、造血前駆細胞または非血管周囲MPCを含むことができる。
【0058】
本発明の幾つかの形は、内皮細胞を実質的に含まない血管周囲MPCを与える。その文脈では、実質的に含まないとは、約5、2、1、または0.1%未満の内皮細胞と考えることができる。あるいはその文脈は、富化した集団がフォンウィルブラント陰性であると評価することであってよい。
【0059】
分離の基盤をなす細胞表面マーカーを有する細胞の認識は、幾つかの異なる方法によって実施することができるが、しかしながら、これらの方法はいずれも、結合物質と関連マーカーの結合、次に高レベルの結合、または低レベルの結合あるいは非結合である、結合を示すものの分離を利用することは理解されよう。最も好都合な結合物質は抗体または抗体系分子であり、これらの後者の物質の特異性のためにモノクローナル抗体またはモノクローナル抗体系分子であることが好ましい。両方のステップ用に抗体を使用することができるが、しかしながら、他の物質を使用することもでき、したがって、これらのマーカーのリガンドを使用して、マーカーを有する細胞またはマーカーを欠く細胞を富化させることもできる。
【0060】
抗体は固形支持体と結合して、粗製物の分離を可能にすることができる。分離技法は、回収する分画の活性の保持を最大にするはずである。異なる有効性のさまざまな技法を使用して、比較的粗製の分離物を得ることができる。使用する個々の技法は、分離の効率、関連する細胞毒性、実施の容易さおよび速度、ならびに精巧な機器および/または技術スキルの必要性に依存するであろう。分離に関する手順は、磁気分離、抗体コーティング磁気ビーズの使用、親和性クロマトグラフィー、および固形マトリクスと結合した抗体を用いる「パンニング」を含むことができるが、これらだけには限られない。正確な分離をもたらす技法にはFACSがあるが、これだけには限られない。
【0061】
これらの方法の状況では、細胞は陰性または陽性のいずれかである。陽性細胞は、マーカーが細胞表面上に存在する程度に応じて、低(lo)または高(bright)発現物質である可能性があり、これらの用語は、蛍光の強度または細胞の着色選別法で使用する他の着色に関する。loとbriの違いは、個々の細胞集団を選別する際に使用するマーカーの状況において理解されよう。
【0062】
血管周囲MPCを富化させる方法は、第一のマーカーの発現を富化させることによって第一の部分的に富化した細胞群を作製するステップ、次いで部分的に富化した細胞群由来の第二のマーカーの発現を富化させるステップを含むことができる。
【0063】
この方法は、1つまたは複数のマーカーの認識に基づく固相選別ステップである、第一のステップを含むことが好ましい。例示した実施形態の固相選別ステップは、STRO-1の高レベルの発現を認識するMACSを利用する。したがってこのステップは、高精度の選別法を第一のステップとして使用した場合より、多数の細胞を有する富化群を与える。例えばFACSを最初に使用する場合、多くの前駆細胞は他の細胞とのそれらの結合性のために拒絶される。次いで第二の選別ステップを、正確な分離法を使用して続けることができる。この第二の選別ステップは、2つ以上のマーカーの使用を含むことができる。したがって例示した実施形態では、二色FACSを使用して、STRO-1によって認識される抗原の高レベルの発現、およびCD146の発現を認識する。第二のステップでの選別に使用するウインドウは、最初の集団が既に部分的に富化しているので、さらに有利に調節することができる。
【0064】
血管周囲MPCを富化させる方法は、知られている技法を試用する第一の富化ステップの前に、幹細胞の供給源の採取も含むことができる。したがって組織は、外科手術によって除去される。供給源組織を含む細胞は、次いでいわゆる単細胞懸濁液に分離される。この分離は、物理的手段または酵素手段によって実施することができる。
【0065】
このような血管周囲MPCの好ましい供給源はヒトであるが、しかしながら、本発明は動物にも適用可能であり、これらの動物はウシ、ヒツジ、ブタなどの農耕動物、イヌなどの飼育動物、マウス、ラット、ハムスター、およびウサギなどの実験動物、またはウマなどのスポーツに使用することができる動物を含むことができると予想される。
【0066】
他の形では、本発明は、哺乳動物中において組織を生成する方法であって、本発明の第一の態様と同様に前駆細胞の集団を富化させるステップ、富化した集団を哺乳動物に導入するステップ、および富化した集団に哺乳動物中において組織を生成させるステップを含む方法に属すると言うことができる。
【0067】
本発明の富化細胞に関する他の考えられる使用は、関連組織型中で治療物質を発現させるために外来性の核酸を導入することによる、遺伝子療法の手段としての使用である。
【0068】
本発明の文脈では、用語、単離細胞は、血管周囲MPCがそれらが存在する集団の全細胞の少なくとも30、40、50、60、70、80、または95%を構成することを意味することができる。
【0069】
(実施例)
(実施例1)
前駆細胞の単離および増殖
皮膚、毛包、骨髄、腸、脳、膵臓、およびさらに近年では歯髄を含めた幾つかの異なる成体組織において同定した幹細胞の適所は、非常に血管新生した部位であることが多い
(1)。正常では静止状態の幹細胞集団の維持および制御は、宿主組織の要件に従い局所の微環境によってしっかりと調節されている
(2,3)。骨髄および歯髄の支持結合組織はいずれも、骨および象牙質の周囲の鉱化構造を含めた、それらの各々の微環境を非常に忠実に再生することができる、高い増殖能力を有する間質幹細胞の集団を含む
(4,5)。出生後の生物では、骨髄間質は、造血を促進し制御する、ゆるく織り込まれた、非常に血管新生した組織として存在する
(6-8)。多くの組織がそれらの再生能力を失うか、あるいはそれらの再生能力が低下したとき、成体の骨髄は造血間葉系組織を連続的に再生する能力を保持しており、隣接する骨表面の再構築を担う
(9,10)。対照的に、歯の内側の髄室は、鉱化した象牙質に埋没した微小血管網によって浸潤された、非造血の、緻密な繊維状組織からなる
(11-13)。歯の成熟後、歯髄は比較的静止した状態になり、カリエスまたは機械的損傷などの障害によって生じた傷ついた象牙質物質に応答する、修復能力においてのみ作用する。
【0070】
いずれの形のMPCもそれらの供給源組織によって同定された、機能性骨芽細胞(BMSSC:骨髄間質幹細胞)および象牙質芽細胞(DPSC:歯髄幹細胞)の前駆細胞は、in vitroでクローン原性細胞群を形成するそれらの能力、異なる幹細胞群の間で共通する特徴によって最初に同定した
(4,14-18)。ex vivo増殖したBMSSCおよびDPSCの子孫は、さまざまな転写制御物質、細胞外マトリクスタンパク質、成長因子/受容体、細胞接着性分子、および全てではないが幾つかの繊維芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞および骨芽細胞に特徴的な系統のマーカーに関して、類似の遺伝子発現概略を共有している
(4,19)。しかしながら以前の研究は、個々のBMSSCコロニーが、in vitroでのそれらの増殖率、およびin vivoでの分化能の顕著な違いを示すことを文書化している
(5,14,20)。これらの発見と同様に、異なるDPSCコロニーの増殖および分化能力の比較可能なレベルの不均一性を、我々は最近観察している。これと一緒に、これらの試験によって、委任両および単能性前駆細胞の集団を生じさせる非常に増殖性がある多型潜在性幹細胞の小さな集団に先行する、骨髄および歯髄中に存在する間質前駆細胞の階層的配列が推測される
(22)。
【0071】
培養したBMSSCおよびDPSCの諸性質についての、我々の広範囲の知識にもかかわらず、それらのin vitroでの特性がin situでのそれらの真の遺伝子発現パターンおよび分化能の正確な描写であるかどうか、我々はいまだに知らない。さらに、それぞれの組織内のコロニー形成細胞の全てが一種の多型潜在性幹細胞群に由来するかどうか、あるいはそれらが異なる系統に属する委任前駆細胞から生じるかどうかは、正式には知られていない。そのそれぞれの組織中のBMSSCおよびDPSCの正確な解剖学的位置に関する情報の欠如もある。これは主に幹細胞の希少性、および原始状態亜群の骨形成および象牙質形成中の異なる分化段階を同定する特異的マーカーの不在に原因がある。骨芽細胞および象牙質芽細胞の前駆細胞に関する1つの考えられる適所は、それぞれ骨髄および歯髄の微小血管網である可能性があると、以前から仮定されている
(23,24)。
【0072】
材料および方法
組織サンプル
正常なヒト成人ボランティア由来の腸骨稜由来の骨髄単核細胞(BMMNC)を、the Royal Adealaide Hospital Human Ethics Committeeによって設定されたガイドラインの下で得た。正常なヒトの埋伏した第三大臼歯は、それぞれthe University of Adelaide Dental Clinic Research、the University of Adelaide Human Ethics Committeeによって設定された承認ガイドラインの下で、若い成人から回収した。廃棄済みの完全な厚さの皮膚および末梢脂肪組織を、the Royal Adelaide Hospital Human Ethics Committeeによって設定されたガイドラインの下で、the Skin Cell Engineering Laboratoryからの通常の成形外科手術手順から得た。前に記載したのと同様に、歯髄組織は歯冠および歯根から分離した
(4)。歯髄、皮膚および脂肪組織の単細胞懸濁液を、3mg/mlのI型コラゲナーゼ(Worthington Biochem、Freehold、NJ)および4mg/mlのディスパーゼ(Boeliringer Mannheim、GMBH、ドイツ)の溶液中において、1〜3時間37℃での酵素による消化によって調製した。単細胞懸濁液は、70μmストレーナー(Falcon、BD Labware、Franklin Lakes、NJ)に細胞を通過させることによって得た。骨髄、歯髄、皮膚および脂肪の細胞(0.01〜1×10
5/ウエル)調製物は、次いで以下に記載したような免疫選択、RNA抽出、または6ウエルプレート中での直接的な培養(Costar、Cambridge、MA)に使用した。
【0073】
他のヒト組織試料(脳、肝臓、心臓、腎臓、肺、脾臓、胸腺、リンパ節、膵臓、皮膚)は、the Royal Adelaide Hospital Human E Committeeによって設定された承認ガイドラインの下で、通常の病理検査中にthe Royal Adelaide Hospitalで行われた剖検から得た。それぞれの組織型の約0.5cm
2の小さな試料を、組織-T ciyomoulds 25mm×20mm×5mm(Miles Laboratories ; Naperville、IL)中に置き、150ml〜200mlのパイレックス(登録商標)ガラス製ビーカー、oペンタン(BDH Chemicals、Poole、英国)に浸すことによってO.C化合物培地(Miles Laboratories)に包埋させ、ガラス製ビーカーを窒素浴中に吊り下げることによって予め冷却した。ガラスの底が白いとき、イソペンタンを冷却した。凍結切片はすぐに-80℃で保存した。神経および筋肉組織の凍結切片はHistopathology Department of the I.M.V.S.、南オーストラリアから得て、包皮の切片はthe Immunology Department of the I.M.V.S.、南オーストラリアから得た。ホルマリン固定の切片、パラフィン包埋ヒト胎児の四肢(52日)は、the Departmi Histopathology、Women's and Children's Hospital、Adelaide、南オーストラリアからDr.T.J.Khongによって親切にも提供された。
【0074】
コロニーの効率アッセイおよび培養
単細胞懸濁液を低い平板培養濃度(6ウエルプレート中の3連当たり1,000細胞と10,000細胞の間)で平板培養して、異なる免疫選択細胞分画のコロニー形成効率を評価した。5%のCO
2中において37℃で、20のウシ胎児血清、2mML-グルタミン、100μMのL-アスコルビン酸-2-リン酸、100U/mlのペニシリンおよび1μg/mlのストレプトマイシンを補ったα-改変イーグル培地中で、これらの細胞を培養した。第14日の培養物を4%ホルマリンで固定し、次いで0.1%のトルイジンブルーで染色した。50以上の細胞の凝集体を、コロニー形成単位-繊維芽細胞(CFU-F)と同等なクローン原性コロニーとして記録した。
【0075】
磁気活性化細胞選別(MACS)
この手順は、他の箇所
(25)に記載した手順の変形である。簡潔には、約1×10
8個のBMMNCを、氷上で1時間、STRO-1陽性細胞の上清(ネズミ抗ヒトBMSSC、IgM)
(29)(1/2)と共にインキュベートした。次いで細胞をPBS/5%FBSで洗浄し、氷上で45分間、ビオチン化ヤギ抗マウスIgM(μ-鎖特異的; Caltag Laboratories、Burlingame、CA)の1/50希釈液に再懸濁させた。洗浄後、氷上で15分間ストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、F.R.G.)と共に細胞をインキュベートし、次いで製造者の推奨に従いMini MACS磁気カラム(Miltenyi Biotec)で分離した。
【0076】
蛍光活性化細胞選別(FACS)
STRO-1陽性MACS単離細胞を、氷上で20分間ストレプトアビジン-FITC結合体(1/50; CALTAG Laboratories)と共にインキュベートし、次いでPBS/5%FBSで洗浄した。単色蛍光活性化細胞選別(FACS)は、FACStar
PLUSフローサイトメーター(Becton Dickinson、Sunnyvale、CA)を使用して行った。二色FACS分析は、MACS単離STRO-1陽性BMMNCを飽和(1:1)レベルのCC9抗体上清(マウス抗ヒトCD146/MUC-18/Mel-CAM、IgG
2a、Dr.Stan Gronthos)と共に、氷上で1時間インキュベートすることによって行った。PBS/5%FBSで洗浄した後、第二の標識ヤギ抗マウスIgG
2a(γ-鎖特異的)フィコエリスリン(PE)結合抗体(1/50、CALTAG Laboratories)と共に、氷上で20分間細胞をインキュベートした。FACStar
PLUSフローサイトメーターの自動細胞沈着装置(ACDU)を使用して、次いで細胞を選別した。限界希釈アッセイ:ウエル当たり1、2、3、4、5、および10個の細胞を接種、24連、前に記載したのと同様に10日間血清不含培地中で培養
(26)。同様に、新たに調製した非分画BMMNCを、氷上で1時間CC9(IgG
2a)および3G5(IgM)抗体、またはイソ型適合陰性対照抗体と共にインキュベートした。PBS/5%FBSで洗浄した後、第二の標識ヤギ抗マウスIgG
2a(γ-鎖特異的)フィコエリスリン(PE)およびIgM(1/50、CALTAG Laboratories)結合抗体と共に、氷上で30分間細胞をインキュベートした。FACStar
PLUSフローサイトメーターを使用して分析する前に、細胞をPBS/5%FBSで洗浄した。それぞれの抗体に関する陽性反応性は、イソ型適合対照抗体の99%より大きい蛍光のレベルとして定義した。
【0077】
フローサイトメトリーによる分析
ex vivo増殖させた骨髄MPCの単細胞懸濁液を、トリプシン/EDTA処理によって調製し、次いで非希釈STRO-1上清、または異なる細胞系関連マーカーを同定する抗体(10μg/ml)と共に、氷上で1時間インキュベートした。次いで細胞をPBS/5%FBSで洗浄し、ヤギ抗ネズミIgM-フィコエリスリン(1/50、SouthernBiotechnologies)、ヤギネズミまたは抗ウサギIgG-フィコエリスリン(Caltag Laboratories)のいずれかと共にインキュベートした。細胞内抗原を同定するこれらの抗原用に、細胞内マーカーを染色する前に、細胞調製物を細胞膜に浸透させた。イソ型適合対照抗体を同一の条件下で処理した。フローサイトメトリーによる分析は、COULTER EPICS装置を使用して行った。ドットプロットは、イソ型適合陰性対照抗体を参照しながら、それぞれの系の細胞マーカーに関する蛍光強度のレベルを示すリストモード事象を表す。
【0078】
免疫組織化学法
ヒト組織切片(μm)をキシレン中で脱ろう化し、段階的エタノールを介してPBSに戻した。凍結組織切片(μm)およびサイトスピン調製物は-20℃において15分間冷たいアセトンで固定し、次いでPBS中で洗浄した。その後これらのサンプルを、30分間1.5%の過酸化水素を含むPBSで処理し、洗浄し、次いで室温で1時間5%の非免疫ヤギ血清を用いて阻害した。室温で1時間一次抗体と共に、サンプルをインキュベートした。使用した抗体:マウス(IgG
1およびIgG
2a)対照(Caltag、Burlingame、CA);ウサギ(Ig)対照、1A4(抗α-平滑筋アクチン、IgG
1)、2F11(抗神経フィラメント、IgG
1)、F8/86(ネズミ抗フォンウィルブランド因子、IgG
1)(Dako、Carpinteria、CA);STRO-1;CC9(抗CD146);LF-151(ウサギ抗ヒト象牙質シアロ糖タンパク質;Dr.L.Fisher、NIDCR/NIH、MD)。作業用希釈物:ウサギ血清(1/500)、モノクローナル抗体上清(1/2)および精製抗体(10μg/ml)。適切な二次抗体、ビオチン化ヤギ抗マウスIgM、IgG
1、IgG
2aまたはビオチン化ヤギ抗ウサギ抗体と共に、室温で1時間サンプルをインキュベートすることによって、一回の染色を行った(Caltag Laboratories)。アビジン-ペルオキシダーゼ-複合体および基質を、次いで製造者の教示書に従い加えた(Vectastain ABCキット標準、Vector Laboratories)。サンプルはヘマトキシリンで対比染色し、水溶性培地中に包埋させた。室温で45分間、二次抗体、ヤギ抗マウスIgM-テキサスレッドおよびIgG-FITC(CALTAG Laboratories)を加えることによって、二重蛍光標識を行った。洗浄後、サンプルはVECTASHIELD蛍光包埋剤に包埋させた。
【0079】
免疫磁気ビーズ法による選択
歯髄組織の単細胞懸濁液を、STRO-1(1/2)、CD146(1/2)、または3G5(1/2)に反応性がある抗体と共に、氷上で1時間インキュベートした。細胞はPBS/1%BSAで二回洗浄し、次いでヒツジ抗マウスIgG結合またはラット抗マウスIgM結合磁気Dynabeads(細胞当たり4ビーズ:Dynal、オスロ、ノルウェー)のいずれかと共に、40分間回転式ミキサー上で4℃においてインキュベートした。ビーズと結合した細胞は、製造者の推奨するプロトコルに従いMPC-1磁気粒子濃縮装置(Dynal)を使用して除去した。
【0080】
マトリゲル-細動脈アッセイ
ex vivoで増殖させた骨髄のSTRO-1
brightMPCの単細胞懸濁液を、トリプシン/EDTA処理によって調製し、次いで200μlのマトリゲルを含む48ウエルプレートに平板培養した。STRO-1
brightMPCは、10ng/mlで成長因子PDGF、EGF、VEGFを補った無血清培地(Gronthos他2003)中に、ウエル当たり20,000細胞で平板培養した。5%CO
2中での37℃における24時間の培養の後、ウエルを洗浄し、次いで4%パラホルムアルデヒドで固定した。免疫組織化学試験を、前に記載したのと同様にヤギ抗ネズミIgGホースラディッシュペルオキシダーゼ抗体/Vectastainingキットを用いて同定したα-平滑筋アクチンに関して後に行った。
【0081】
in vitroでのMPCの骨形成、脂肪形成および軟骨形成分化
ex vivoで増殖させた脂肪由来のMPCの単細胞懸濁液を、in vitroにおいて骨髄のMPCが鉱化した骨髄を形成するのを誘導することが以前に示された(Gronthos他2003)、10%のFCS、100μMのL-アスコルビン酸-2-リン酸、デキサメタソン10
-7Mおよび3mMの無機リン酸を補ったαMEM中で培養した。鉱質の堆積は、陽性フォンコッサ染色によって確認した。以前に記載されたのと同様に(Gronthos他2003)、0.5mMのメチルイソブチルメチルキサンチン、0.5μMのヒドロコルチゾン、および60μMのインドメタシンの存在下で、脂肪形成を誘導した。オイルレッドC染色を使用して、脂質含有脂肪細胞を同定した。記載したのと同様に(Pittenger他、1999)、10ng/mlのTGF-β3で処理した凝集した培養物における、軟骨形成分化を評価した。
【0082】
In vivoでの移植試験
前に記載したのと同様に
(4)、約5.0×10
6個のSTRO-1
bri/CD146
+BMSSCまたはCD146
+DPSC由来のex vivoで増殖させた細胞を、40mgのヒドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム(HA/TCP)、セラミック粉末(Zimmer Inc、Warsaw、IN)と混合させ、次いで10週齢の免疫無防備状態のベージュマウス(NIH-bg-nu-xid、Harlan Sprague Dawley、Indianapolis、IN)の背表面の皮下に移植した。これらの手順は、承認されている動物プロトコル(NIDCR番号00-113)の仕様書に従い行った。
【0083】
逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応
RNASTAT-60(TEL-TEST Inc.Friendswood TX)を使用して、STRO-1
BRT/CD146
+選別BMMNC、および対照細胞(3週間10
-7Mのデキサメタソンの存在下で増殖させた一次BMSSC培養物)から、全RNAを調製した。第一鎖cDNA合成は、オリゴ-dTプライマーを使用して第一鎖cDNA合成キット(GIBCO BRL、Life Technologies)を用いて行った。第一鎖cDNA(2μl)を、46μlの1XPCRマスター反応混合物(Roche Diagnostics、Gmbh Mannheim、ドイツ)、および10pMolのそれぞれのヒト特異的プライマー対:CBFA1(632bp、および3つの小さな可変スプライシング変異体)
(27)、センス5'-CTATGGAGAGGACGCCACGCCTGG-3'[配列番号1]、アンチセンス5'-CATAGCCATCGTAGCCTTGTCCT-3'[配列番号2];オステオカルシン(310bp)
(4)、センス5'-CATGAGAGCCCTCACA-3'[配列番号3]、アンチセンス5'-AGAGCGACACCCTAGAC-3'[配列番号4];GAPDH(800bp)
(4)センス、5'-AGCCGCATCTTCTTTTGCGTC-3'[配列番号5];アンチセンス5'-TCATATTTGGCAGGTTTTTCT-3'[配列番号6]に加えた。この反応混合物を、PCR Express Hybaid熱循環装置(Hybaid、Franklin、MA)中において、95℃で2分間1サイクル、次いで94℃/(30秒)、60℃/(30秒)、72℃/(45秒)で35サイクル、最後に7分間延長して72℃でインキュベートした。増幅後、それぞれの反応混合物を1.5%アガロースゲル電気泳動によって分析し、臭化エチジウム染色によって目に見える状態にした。
【0084】
結果
BMSSCおよびDPSCは、血管関連抗原STRO-1およびCD146をin vivoで発現する。
我々は以前に、ヒト骨髄の吸引物質由来の全ての検出可能なクローン原性コロニーを、それらのSTRO-1抗原
(25,26)の充分な発現に基づいて単離し富化させるための、磁気活性化細胞選別(MACS)の有効性を実証している。BMSSCをさらに特徴付けるために我々は、STRO-1
bri/MACS単離細胞を、MUC-18としても知られる細胞表面抗原CD146を認識する他のモノクローナル抗体、CC9
(28)、内皮および平滑筋細胞上に存在するMel-CAMおよびSendo-1と共にインキュベートした。これらの試験によって、CC9が全STRO-1
+集団由来のSTRO-1陽性発現分画(STRO-1
BRT)と選択的に結合したことを、二色FACS分析によって決定した(
図1A)。ポアソンの分布統計を使用したクローニング効率アッセイによって、BMSSCの発生の著しい増大を得て(平板培養した5個のSTRO-1
BRT/CD146
+細胞当たり1個のコロニー)、非分画骨髄細胞と比較すると、クローン原性コロニー集団の2×10
3倍の富化を得た(
図1B)。STRO-1
BRT/CD146
-細胞分画中では、コロニー形成を検出することはできなかった(データ示さず)。
【0085】
STRO-1
BRT/CD146
+骨髄細胞の光散乱性は典型的には、多量のSTRO-1
+集団
(29)を含む非結合赤血球細胞およびB-リンパ球より大きくさらに粒状のものであった(
図1C〜E)。STRO-1
BRT/CD146
+選別細胞のサイトスピン調製物は、赤血球(グリコホリン-A)およびリンパ球(CD45)関連マーカー陰性であることが分かった(データ示さず)。BMSSCは初期の骨形成前駆細胞集団であったという確認を、充分精製されたMACS/FACS-単離STRO-1
BRT/CD146
+細胞のRT-PCR分析によって得たが、それぞれ初期および後期の骨形成マーカーCBFA1およびオステオカルシンを検出することはできなかった(
図1F)。しかしながら、STRO-1
BRT/CD146
+選別BMSSCの子孫は、ex vivoでの増殖の後、CBFA1とオステオカルシンの両方を発現することが分かった。免疫局在試験によって、CD146抗原はヒト骨髄の切片中の血管壁において主に発現されたことを実証した(
図1G)。STRO-1およびCD146の局在は、ヒト骨髄トレフィンの凍結切片中の大きな血管に限られていた(
図1H)。
【0086】
免疫選択プロトコルをその後使用して、ヒトDPSCがin situでSTRO-1およびCD146を発現したかどうかも測定した。DPSCを単離するためのMACSまたはFACS分析の使用は、後の処理によって得た限られた数の歯髄細胞(歯髄サンプル当たり約10
5個の細胞)によって合成された、これらの細胞の希少性(平板培養した2×10
3個の細胞当たり1個のコロニー形成細胞)のために限られていた。このことを回避するために我々は、実験当たりで3〜4個の異なる第三大臼歯から得た幾つかの歯髄組織を集め、STRO-1またはCD146抗原のそれらの発現に基づいて、歯髄組織の単細胞懸濁液で免疫磁気ビーズ選択法を使用した。STRO-1
+分画は、全歯髄細胞集団の約6%であった。比較試験によって、個々のコロニーの増殖率が、磁気ビーズの存在下で落ち着いていたことを実証した(データ示さず)。コロニー効率アッセイによって、大部分の歯髄由来のコロニー形成細胞(82%)は、BMSSCと同様に微量のSTRO-1
+細胞分画中に現れたことを示した(
図2)。STRO-1陽性分画中のDPSCの平均発生率(平板培養した10
5個の細胞当たり329個のコロニー形成細胞±56SE、n=3)は、非分画歯髄組織(平板培養した10
5個の細胞当たり55個のコロニー形成細胞±14SE、n=3)より6倍高かった。同様の戦略を使用して、ヒト歯髄細胞の異なる分画を、抗体CC9とのそれらの反応性に基づいて選択した。コロニー効率アッセイによって、高い比率(96%)の歯髄由来のクローン原性コロニーが、免疫磁気Dynalビーズ選択法を使用してCD146
+集団中にも存在したことを示した(
図2)。CD146
+分画中のクローン原性コロニーの平均発生率(平板培養した10
5個の細胞当たり296個のコロニー形成細胞±37SE、n=3)は、非分画歯髄細胞(平板培養した10
5個の細胞当たり42個のコロニー形成細胞±9SE、n=3)より7倍高かった。
【0087】
免疫局在試験によって、STRO-1の発現は、ヒト歯髄組織の凍結切片中の、血管壁および神経束の周りの周辺神経周膜に限られていたが、繊維状組織の成熟した象牙質細胞層中には存在しなかったことを示した(
図3A〜B)。さらに、CD146とSTRO-1の同時局在を、周囲の繊維状組織、象牙質細胞層、および神経の周膜と反応性がない外側の血管細胞壁で検出した(
図3C〜D)。重要なことに、ヒト象牙質細胞特異的な分化マーカー、象牙質シアロ糖タンパク質(DSP)の発現は、成熟象牙質細胞を含む外側歯髄層に限られており(
図3E)、繊維状組織、神経束および血管には存在しなかった。
【0088】
BMSSCおよびDPSCによる血管周囲マーカー3G5の差次的発現。
本発明の試験では、フローサイトメトリーによる分析によって、細胞表面抗原である3G5が、大部分(54%)の造血骨髄細胞によって充分に発現されたことを明らかにした(
図4A)。この観察結果によって、ヒト骨髄の吸引物質から精製したBMSSCの集団を直接単離するための、候補マーカーとしての3G5は除外された。さらに、3G5およびSTRO-1の発現に基づく二重FACS分析は、2つの抗体が同じイソ型を共有していたので可能ではなかった。それにもかかわらず、異なる3G5/CD146FACS選別亜分画に関するin vitroでのコロニー効率アッセイによって、少ない比率(14%)の骨髄クローン原性コロニーのみが、3G5抗原を低いレベルで発現したことを実証した(
図4B)。逆に、大部分(63%)のクローン原性DPSC(平板培養した10
5個の細胞当たり192個のコロニー形成細胞±18.4SE、n=3)は、免疫磁気ビーズ法による選択の後に、3G5
+細胞分画中に存在した(
図2)。3G5は、ヒト歯髄組織の凍結切片中の周皮細胞に対して、特異的な反応性を示した(
図3F)。
【0089】
次に我々は、新たに単離したSTRO-1
BRT/CD146
+BMSSCおよびCD146
+発現DPSCを使用してサイトスピン調製物での、内皮細胞のさらに特異的なマーカー(フォンウィルブランド因子)および平滑筋/周皮細胞(α-平滑筋アクチン)の発現を分析した。大部分の精製したBMSSC(67%)は、α-平滑筋アクチン陽性であることを見出したが(
図5A)、フォンウィルブランド因子の発現はなかった(
図5B)。同様に、大部分の単離DPSC(85%)もα-平滑筋アクチンを発現したが、フォンウィルブランド因子は発現しなかったことを見出した(
図5C、5D)。STRO-1
BRT/CD146
+BMSSCおよびCD146
+DPSCの精製した集団を後にin vitroで増殖させ、次いで免疫無防備状態のマウスに移植して、in vivoでのそれらの分化能を評価した。培養したBMSSCおよびDPSCの子孫は、それぞれ骨髄および歯/髄の微環境を再生することができる明確な能力を示し(
図5E、F)、非選択の他コロニー由来のBMSSCおよびDPSCの分化能と同等だったようである(4)。
【0090】
考察
本発明の試験は、それらの個体発生および分化能が明らかな2つの間葉系幹細胞の集団は、いずれもそのそれぞれの組織の微小血管と関係がある直接の証拠を与える。
【0091】
我々は異なる免疫選択プロトコルを使用して、主にそれらのSTRO-1抗原の高発現に基づいてそれぞれ骨髄の吸引物質および酵素で消化した歯髄組織から、BMSSCおよびDPSCを効率よく回収することができたことを実証した。この細胞表面抗原は、ヒト成人および胎児骨髄から単離した骨髄繊維芽細胞、骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞、および平滑筋細胞を含めたさまざまな間質細胞型の前駆細胞上に存在する
(29,32-34)。以前の研究は、in vitroでの細胞増殖および成熟した骨芽細胞への分化後にその発現が累進的に失われる、骨形成前の集団のマーカーとしてのSTRO-1を示している
(27,35,36)。STRO-1が毛細血管、脳、腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、筋肉、胸腺などの異なる成体組織中ではなく、大きな血管上に局在したという以前の研究に従い、STRO-1抗原もヒト骨髄および歯髄血管の外側細胞壁上に存在することが見出された
(6)。したがって、STRO-1は異なる間葉系幹細胞の集団の初期マーカーであるようであり、in situでのこれらの幹細胞の集団の考えられる血管周囲の適所を暗示する。
【0092】
BMSSCおよびDPSCが血管と直接関係があるかどうかを判定するために、in situでは平滑筋、内皮、筋繊維芽細胞およびシュバン細胞上に存在し、幾つかのヒト新生物のマーカーであることが知られている、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーCD146(MUC-18/Mel-CAM)を認識する、他の抗体(CC9)
(28)を我々は使用した。特にCD146は、骨髄造血幹細胞、またはそれらの前駆細胞によって発現されない。CD146の正確な機能は知られていないが、それは細胞接着、細胞骨格認識、細胞形状、膜貫通シグナルによる移動および増殖を含めたさまざまな細胞プロセスと関連してきている。
【0093】
BMSSCの集団を詳細に分析するために、STRO-1
BRTを発現する骨髄細胞を、二重FACS分析を使用してそれらのCD146の発現に基づいて、STRO-1
+造血細胞(主にグリコホリン-A
+非結合赤血球)とさらに区別した。精製したSTRO-1
BRT/CD146
+ヒトBMSSCは、大きな顆粒細胞に特徴的な光散乱性を示した。我々の研究は、5-フルオロウラシル(5-FU)処理の後にネズミ骨髄から部分的に精製されたBMSSCを単離し、高い垂直方向および水平方向の光散乱性を有するとしてこの集団を同定した、Van Vlasselaerおよび同僚(1994)
(38)の発見を支持する。興味深いことに、新たに単離された5-FU耐性ネズミBMSSCも、2つの血管周囲マーカーSab-1およびSab-2
(38)陽性であることが分かった。逆に、さらに最近の研究は、BMSSCをvitroで培養すると、最も初期の集団は低い垂直方向および水平方向の光散乱性
(39)を示し、したがってin situでのBMSSCの真の形態を反映しない可能性があることを示している。本発明の試験では、STRO-1
BRT/CD146
+選別ヒトBMSSCは、それぞれ委任初期および後期骨形成集団を同定するCBFA1およびオステオカルシンの発現を欠いており
(40,41)、BMSSCがヒト骨髄の吸引物質の骨形成前の表現型を示すことが示された。我々は、高い比率の新たに単離したSTRO-1
BRT/CD146
+BMSSCが、内皮細胞特異的なマーカー、フォンウィルブランド因子ではなくα-平滑筋アクチンを発現したことを発見し、この初期の前駆細胞の集団が特徴的な血管周囲の表現型を示す直接の証拠を与えた。
【0094】
本発明の試験は、磁気ビーズ法による選択を使用して、それらのSTRO-1またはCD146の発現に基づきヒト歯髄組織から直接DPSCを単離し富化させることの有効性も実証した。CD146の免疫局在は、歯髄内の微小血管に特異的であるようであった。歯髄組織中の大きな血管の外側壁上のSTRO-1とCD146の同時局在は、大部分のDPSCが微小血管から生じることを示した。しかしながら、STRO-1抗体は歯髄中の神経周膜および末梢神経束とも反応したので(未公開の観察結果)、神経細胞の分化におけるこの抗原の役割を決定するために、さらなる調査が必要とされる。
【0095】
BMSSCと同様に、新たに単離したCD146
+DPSCはα-平滑筋アクチンを発現し、フォンウィルブランド因子は発現しないことを見出した。象牙質形成表面から離れたそれらの位置によって、および分化した象牙質芽細胞を含む外側歯髄層に限られる、それらのヒト象牙質芽細胞特異的な象牙質シアロ糖タンパク質(DSP)の発現がないことによって、DPSCが未熟な骨形成前の集団であることも示された。ex vivoで増殖させたヒトDPSCは、非誘導条件下で培養すると、前駆体分子、象牙質シアロ糖リン酸タンパク質(DSPP)をin vitroでは発現しないことを我々は以前に記載した
(4)。類似の試験が、DSPPのmRNAは新たに単離した象牙質芽細胞/歯髄組織中で充分に発現されたが、ラット切歯由来の培養した歯髄乳頭細胞中では検出されなかったことを示している
(43,44)。DSPPが発現されるのは、DPSCがin vitroで、あるいは整然とした象牙質物質を形成するためのin vivoでの移植によって、誘導されるときのみである
(4)。
【0096】
ex vivoで増殖させたBMSSCおよびDPSCのin vitro試験によって、それらの子孫は、多角形の内皮様の外見ではなく、二極性、繊維芽細胞、星型または平坦な形態を有する培養した血管周囲細胞と形態学的に類似していたという考えが支持された。さらに我々は、BMSSCおよびDPSC由来のコロニーの子孫は、CD146およびα-平滑筋アクチンに関して異種の染色性を示すが、in vitroでの内皮マーカー、CD34およびフォンウィルブランド因子の発現がないことを以前に示している
(4)。
【0097】
2つの異なる間葉系幹細胞の集団、例えばBMSSCおよびDPSCなどは血管周囲の適所に宿るという観察結果は、他の成体組織中の幹細胞の集団の同定とさらに関係がある可能性がある。最近の発見によって、骨格筋の結合組織、およびヒト胎児および成人サンプル由来の真皮中の、ヒトの「予備」多型潜在性の間葉系幹細胞が同定されている
(56)。しかしながら、これらの幹細胞の正確な位置、分化能および個体発生は、依然として大部分は知られていない。本発明の試験では、骨髄および歯髄中の間葉系幹細胞の適所を同定することによって、in vitroで初期の多型潜在性集団を選択的に維持し増殖させてin vivoでのそれらの分化能を誘導するのに必要な、基本条件の解明を手助けすることができる。
【0098】
(実施例2)
成人ヒト骨髄のMPCは、それらのSTRO-1抗原の高発現およびCD34発現の欠如によって、間質前駆細胞、造血幹細胞および血管芽細胞と異なる。
出生後骨髄は、常在性幹細胞、および血液細胞形成(造血幹細胞)、内皮分化(血管芽細胞)、および結合組織/間質分化(間質前駆細胞/骨髄間質幹細胞/間葉系幹細胞)を担う前駆細胞系の中枢であるようである。我々のグループの近年の研究(Gronthos他、2003 ; ShiおよびGronthos 2003)は、それらのSTRO-1抗原の高発現に基づき、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、VCAM-1(CD106)およびMUC-18(CD146)のそれらの同時発現によって、ヒトの多型潜在性の骨髄間葉系前駆細胞(MPC)を初めて精製し特徴付けしている。SimmonsおよびTorok-Storb(1991aおよびb)による初期の研究は、in vitroで接着性コロニーを形成する能力を有する、骨髄由来のSTRO-1
+間質前駆細胞も、低レベルではあるが造血幹細胞マーカー、CD34を発現したことを示している。これらの研究は、CD34抗体-補体仲介型の細胞溶解を使用して、骨髄の吸引物質中の高い比率の接着性コロニー形成細胞を排除した(SimmonsおよびTorok-Storb 1991b)。STRO-1抗体はヒトCD34
+骨髄細胞を用いたマウスの免疫処置後に生成したが、CD34
+/グリコホリン-A
+非結合赤血球細胞およびCD34
+/CD20
+B-リンパ球において、適度なレベルから低いレベルでSTRO-1抗原も発現されるという事実によって、この抗体が生じた可能性があることを記すことは重要である。ここで我々は、精巧な蛍光活性化細胞選別技術を使用して、多型潜在性の成人ヒト骨髄のMPCは高レベルのSTRO-1を発現するが、間質前駆細胞、造血幹細胞および血管芽細胞マーカー(CD34)、リンパ球抗原(CD45)、ならびに非結合赤血球細胞マーカー(グリコホリン-A)に対する発現がない直接の証拠を与える(
図6A〜C)。これらのデータは、成人ヒト骨髄由来のMPCは、さらに成熟した間質前駆細胞、造血幹細胞および血管芽細胞とは異なる、新規の幹細胞集団であることを実証する(
図7)。
【0099】
別段の記載がない限り、この実施例の物質および方法は、実施例1の物質および方法と同じである。
【0100】
図6。STRO-1陽性骨髄単核細胞上でのCD34、CD45およびグリコホリン-Aの発現。表示するヒストグラムは、磁気活性化選別によって最初に単離し、CD34(A)、CD45(B)またはグリコホリン-A(C)を対象とする抗体で同時染色した、STRO-1陽性骨髄単核細胞の典型的な二重染色フローサイトメトリーによる分析概略を示す。STRO-1抗体は、ヤギ抗ネズミIgM-フルオレセインイソチオシアネートを使用して同定し、一方CD34、CD45およびグリコホリン-Aは、ヤギ抗ネズミIgG-フィコエリスリンを使用して同定した。クローン原性MPC集団を含んでいた高発現STRO-1分画は、領域R1およびR2に基づく蛍光活性化細胞選別によって単離した。
【0101】
図7。骨髄MPCは、STRO-1陽性、CD34陰性、CD45陰性およびグリコホリン-A陰性である。グラフは、
図6に示したのと同様に領域R1およびR2に基づく、それらのCD34、CD45またはグリコホリン-A抗原の同時発現または欠如によって選択した、それぞれの異なる選別STRO-1陽性集団に関して行ったin vitroでの付着コロニー形成アッセイの結果を示す。これらのデータは、2つの別個の実験から平均したそれぞれの細胞分画に関するコロニー形成単位の平均発生値として表す。
【0102】
(実施例3)
異なるヒト組織中の多型潜在性MPCの同定
異なる組織中のMPCの存在および正確な位置は大部分が知られていないが、MPCがヒト骨髄および歯髄組織中の血管周囲の適所に常在するらしいことを、我々は近年実証している(ShiおよびGronthos 2003)。これらの観察結果は、間葉系幹細胞マーカー、STRO-1、平滑筋および周辺細胞マーカー、CD146、α-平滑筋アクチンおよび周辺細胞特異的マーカー、3G5のそれらの発現に基づき異なるMPC集団を同定し単離するための、免疫組織化学法と免疫選択法の組合せに基づいていた。我々は現在これらの試験を拡大して、心臓、肝臓、腎臓、皮膚、脾臓、膵臓、リンパ節を含めた広くさまざまな組織中の、STRO-1/CD146、STRO-1/α-平滑筋アクチン、および3G5/CD146抗原の同時局在を実証している(
図8)。
【0103】
MPCが歯髄などの非骨髄組織に由来する可能性があるという我々の初期の発見を確認するために、我々は蛍光活性化細胞選別を使用して、成人のヒト末梢脂肪から異なるMPC集団を単離した。単細胞懸濁液は、以前に記載されたのと同様に(ShiおよびGronthos 2003)コラゲナーゼおよびディスパーゼによる脂肪組織の消化の後に得た。次いで脂肪由来細胞を、STRO-1、CD146および3G5に対して反応性がある抗体と共にインキュベートした。次いで細胞の集団を、それぞれのマーカーに対するそれらの陽性(領域R3)または陰性(領域R2)に基づいてFACSによって選択し、次いで通常の増殖培地(ShiおよびGronthos 2003)に平板培養して、それぞれの細胞分画における付着コロニー形成細胞の発生を評価した(
図9)。12日間の培養後、コロニー(50細胞以上の凝集体)を計数し、それぞれの細胞分画中の平板培養した10
5個の細胞当たりのコロニーの数として示した。我々のデータは、STRO-1/3G5/CD146抗原のそれらの発現に基づいて、MPCは脂肪組織に由来する可能性があることを実証した(
図10)。二重染色フローサイトメトリーによる分析によって、少量の脂肪由来細胞のみが、STRO-1/CD146および3G5/CD146と同時発現したことを確認した(
図11)。これらの発見は、同組の血管周囲マーカー(ShiおよびGronthos 2003)に基づいて骨髄と歯髄組織の両方からMPCを単離することができるという、我々の以前の観察結果と一致する。さらに我々は、以前に記載されたのと同様に(Gronthos他、2003)、CD146選択によって単離した脂肪由来のMPCは、骨、脂肪および軟骨などの異なる組織に分化する能力を有することを実証する証拠を与える(
図12)。
【0104】
皮膚などの無関係な組織中のMPCの存在を調べた近年の発見をさらに調べて、我々の仮説をさらに強めた。単細胞懸濁液は、ヒト脂肪組織に関して前に記載したのと同様に、コラゲナーゼおよびディスパーゼによる完全な厚さのヒトの皮膚の消化の後に得た。次いで皮膚由来細胞を、ヤギ抗ネズミIgMまたはIgG-フィコエリスリンのいずれかを使用して同定した、STRO-1、CD146および3G5に対して反応性がある抗体と共にインキュベートした。次いで細胞の集団を、それぞれのマーカーに対するそれらの陽性(領域R3)または陰性(領域R2)に基づいてFACSによって選択し、次いで通常の増殖培地(ShiおよびGronthos 2003)に平板培養して、それぞれの細胞分画における付着コロニー形成細胞の発生を評価した(
図13)。12日間の培養後、コロニー(50細胞以上の凝集体)を計数し、それぞれの細胞分画中の平板培養した105個の細胞当たりのコロニーの数として示した。このデータは、STRO-1/3G5/CD146抗原のそれらの発現に基づいて、MPCは皮膚に由来する可能性があることを実証した(
図10)。ひとまとめにしてこれらのデータは、共通の表現型に基づいて出生後のヒト組織由来のほぼ全ての血管が形成された組織において、多型潜在性MPCを同定し単離することができることを示唆する。
【0105】
別段の記載がない限り、この実施例の物質および方法は、実施例1の物質および方法と同じである。
【0106】
図8。異なるヒト組織中の血管周囲メーカーの反応性。脾臓、膵臓(
図1)、脳、腎臓(
図2)、肝臓、心臓(
図3)および皮膚(
図4)上に存在する血管および結合組織上の(A)STRO-1とCD146、(B)STRO-1とα-平滑筋アクチン、および(C)3G5とCD146の反応性を示す、二重染色免疫蛍光染色、20倍。STRO-1および3G5抗体はヤギ抗ネズミIgM-テキサスレッドを使用して同定し、一方CD146およびα-平滑筋アクチンは、ヤギ抗ネズミまたはIgG-フルオレセインイソチオシアネートを使用して同定した。黄色とオレンジの蛍光の重複領域によって、同時局在を示す(白い矢印)。
【0107】
図9。FACSによる脂肪由来MPCの単離。表示するフローサイトメトリーのヒストグラムは、以前に記載されたのと同様に(ShiおよびGronthos 2003)コラゲナーゼ/ディスパーゼによる消化後に作製した、末梢脂肪由来の単細胞懸濁液の新たな調製物中のSTRO-1、CD146および3G5の発現を示す。これらの抗体は、ヤギ抗ネズミIgMまたはIgG-フィコエリスリンのいずれかを使用して同定した。次いで細胞の集団を、それぞれのマーカーに対するそれらの陽性(領域R3)または陰性(領域R2)に基づいてFACSによって選択し、次いで通常の増殖培地に平板培養して、それぞれの細胞分画における付着コロニー形成細胞の発生を評価した。
【0108】
図10。クローン原性脂肪由来MPCは、STRO-1/3G5/CD146陽性である。棒グラフは、STRO-1、CD146および3G5を認識する抗体に対するそれらの反応性に基づく蛍光活性化細胞選別(
図9)の後に、酵素によって消化したヒト末梢脂肪組織の単細胞の懸濁液から回収し、次いで骨髄および歯髄組織に関して前に記載されたのと同様に(ShiおよびGronthos 2003)通常の増殖培地で培養した、クローン原性コロニーの数を示す。これらのデータは、2つの別個の実験から平均した陽性および陰性細胞分画中の、平板培養した10
5個の細胞当たりで得たコロニー形成単位の数として表す。
【0109】
図11。脂肪由来MPCの免疫表現型分析。表示するフローサイトメトリーのヒストグラムは、コラゲナーゼ/ディスパーゼによる消化後に作製した、末梢脂肪由来の単細胞懸濁液の新たな調製物中のSTRO-1とCD146(A)および3G5とCD146の同時発現を示す。STRO-1および3G5抗体は、ヤギ抗ネズミIgM-フィコエリスリンを使用して同定し、一方CD146はヤギ抗ネズミIgG-フルオレセインイソチオシアネートを使用して同定した。約60%および50%のCD146陽性細胞が、それぞれSTRO-1および3G5を同時発現する。これらのデータは、10%以上のCD146陽性細胞が、STRO-1および3G5を同時発現することを示唆する。
【0110】
図12。in vitroでの精製した脂肪細胞由来のMPCの分化能。STRO-1
+/CD146
+脂肪細胞由来の主要なMPC培養物の調製物を、前に記載したGronthos他2003と同様に、標準的な培養条件(A)、骨形成誘導培地(B)、脂肪生成誘導培地(C)または軟骨形成(condrogenic)条件(D)で再培養した。2週間の多分化誘導の後、脂肪細胞由来のMPCは、骨(B;アリザン陽性ミネラル堆積)、脂肪(C;オイルレッドO陽性脂質)および軟骨(D;コラーゲンII型マトリックス)を形成する能力を示した。
【0111】
図13。FACSによる皮膚由来のMPCの単離。表示するフローサイトメトリーのヒストグラムは、コラゲナーゼ/ディスパーゼによる消化後に作製した、完全な厚さの皮膚由来の単細胞懸濁液の新たな調製物中のSTRO-1、CD146および3G5の発現を示す。これらの抗体は、ヤギ抗ネズミIgMまたはIgG-フィコエリスリンのいずれかを使用して同定した。次いで細胞の集団を、それぞれのマーカーに対するそれらの陽性(領域R3)または陰性(領域R2)に基づいてFACSによって選択し、次いで通常の増殖培地に平板培養して、それぞれの細胞分画における付着コロニー形成細胞の発生を評価した。
【0112】
図14。クローン原性皮膚由来MPCは、STRO-1/3G5/CD146陽性である。棒グラフは、STRO-1、CD146および3G5を認識する抗体に対するそれらの反応性に基づく蛍光活性化細胞選別の後に、酵素によって消化したヒト皮膚の単細胞の懸濁液から回収し、次いで骨髄および歯髄組織に関して前に記載されたのと同様に(ShiおよびGronthos 2003)通常の増殖培地で培養した、接着コロニーの数を示す。これらのデータは、2つの別個の実験から平均した陽性および陰性細胞分画中の、平板培養した10
5個の細胞当たりで得たコロニー形成単位の数として表す。
【0113】
(実施例4)
Stro
bright細胞は新血管新生(血管形成および動脈形成)を誘導し、虚血心筋組織の機能改善をもたらす。
図
15。ラット腫瘍に注射したヒトStro
bright細胞の拡大および生存。無胸腺ヌードラットに5分間250Gyを照射して、残存するナチュラルキラー機能を除去し、次いで1×10
6個のラットグリア芽腫細胞を皮下側面に注射した。移植後2週間で、グリア芽腫細胞腫瘍を500,000個のStro
bright細胞、500,000個のStro
dim細胞または生理食塩水と共に直接注射し、動物は7日後に殺傷した。Stro
bright細胞を与えた2/3の腫瘍組織では、ラット、ミトコンドリアではなくヒトに対する特異的反応性を有するモノクローナル抗体を使用するイムノペルオキシダーゼ法による染色によって、注射部位付近の多数のヒト細胞を実証し、中期の拡大および生存を示した。ヒト細胞はStro
dim細胞を与えた3つの組織のいずれにおいても検出されず、Stro
bright細胞はこのin vivoモデル系において生存または複製の利点を有する可能性があることが示唆された(
図A参照)。Stro
bright細胞は、小さな毛細血管および細動脈近くの群中に主に存在した(小矢印)(
図B)。さらに、幾つかのヒト細胞が、血管構造中に取り込まれるのが見られた(大矢印)(
図C)。これらのデータは、ヒトStro
bright細胞は内因性(ラット)血管の新血管新生を誘導する可能性があり、ヒト起源の新しい血管中に取り込まれる可能性があることを示す。
【0114】
図
16。ヒトStro
bright細胞による、腫瘍の新血管新生(血管形成および動脈形成)の誘導。それぞれフォンウィルブランド因子(vWF)およびα-平滑筋アクチン(α-SMA)を対象とするモノクローナル抗体を使用する、イムノペルオキシダーゼ法によって染色した腫瘍組織の連続切片では、Stro
bright細胞を注射した動物は、生理食塩水を注射した動物よりも、相当多数の毛細血管および細動脈(vWF染色のみ、およびvWFとα-SMAの組合せ発現によってそれぞれ定義される)を示した。
【0115】
図
17。Stro
bright細胞は、Stro
dim細胞より強力な新血管新生(血管形成および動脈形成)の誘導物質である。細動脈数の定量化(50ミクロンより大きい管腔径およびα-SMAの周辺発現を有する血管構造として定義する)によって、Stro
bright細胞を注射した動物は、注射部位を生理食塩水で処理した対照より、ほぼ8倍多い数の細動脈を有していたことを実証したが(40±5および6±2の細動脈/高倍率、p<0.01)、注射部位から遠くでは違いを検出することはできなかった。Stro
dim細胞の子孫を注射した動物は、生理食塩水で処理した対照と比べて、注射部位における細動脈の数の適度な2倍の増大を示し(13±3および6±2の細動脈/高倍率、p<0.01)、in vitro培養の後にStro
bright細胞の子孫が最も強力な動脈形成前細胞を含んでいたことが示された。
【0116】
図
18。心筋の新血管新生に対するStro
bright細胞の用量依存性の影響。血管形成および動脈形成の誘導が他の組織に広がる可能性があるかどうか、および生物学的有意性と関係があったかどうかを調べるために、培養したStro選択細胞の子孫を、左前下行冠状動脈(LAD)連結を2日前に施した無胸腺ヌードラットの、虚血心臓の梗塞領域周辺への直接的な心筋内注射によって注射した。1×10
6個のStro
bright細胞を注射した動物は、生理食塩水を注射した動物よりも、梗塞領域周辺で3倍多数の細動脈を示した(12±2および4±1の細動脈/高倍率、p<0.01)。対照的に、合計1×10
6個の非分画の培養したStro選択細胞の子孫に送達した、わずか0.2×10
6個のStro
bright細胞を注射した動物は、生理食塩水を注射した動物よりも、梗塞領域周辺でわずか50%多い数の細動脈を誘導し(6±1および4±1の細動脈/高倍率、p<0.05)、Stro
bright細胞は、虚血心臓内の細動脈の誘導に対して用量依存性の影響があることが示された。
【0117】
図
19、
20および
21。Stro
bright細胞による用量依存性の心筋の新血管新生は、心筋機能のパラメーターの全体的な改善をもたらす。我々は次に、心筋機能の全体的なパラメーターに対するStro
bright細胞依存性の心筋の新血管新生の影響を調べた。図
19に示すように、約0.1〜0.2×10
6および1×10
6個のStro
bright細胞を注射することによって、盲検技術者によって行われ分析される超音波心臓検査法によって測定されたように、2および6週間で駆出分画(EF)の用量依存性の改善がもたらされた。1×10
6個のStro
bright細胞を与えた動物は、LAD連結後2日の基底値と比べて、2および6週間でそれぞれEFの50%および75%の平均的改善を示した。非常に対照的に、生理食塩水で処理した対照は、6週間までにEFのわずか5%の平均的改善を示し(p<0.01)、Stroを含まない新たな骨髄単核細胞で処理した動物は、生理食塩水を与えた動物と比較して違いを示さなかった。1×10
6個のStro
bright細胞を注射することによって、分画領域縮小(FAS)の同様の劇的改善がもたらされた(それぞれ2および6週間で、70%および90%の平均改善率、図
20)。ここでもStroを含まない新たな骨髄単核細胞は影響を有していなかったが、約0.1〜0.2×10
6個のStro
bright細胞の注射後には適度な改善が見られた。最後に、図
21に示すように、1×10
6個のStro
bright細胞を注射することによって、生理食塩水で処理した対照と比較して左心室の伸展性の有意な改善がもたらされた。Stro
bright細胞を与えた動物は、左心室の平均拡張期血圧および最終拡張期血圧(それぞれp<0.01)の50%を超える低下、およびdp/dtの2倍を超える改善(p<0.01)を示した。あわせて、これらの結果は、1×10
6個のヒトStro
bright細胞を注射することによって誘導された、虚血ラット心筋層の新血管新生(血管形成および動脈形成)は、心筋機能の全体的な収縮期血圧および拡張期血圧パラメーターの有意な改善をもたらしたことを示す。
【0118】
(実施例5)
ex vivoで増殖させたヒト骨髄間葉系前駆細胞の免疫表現型分析
我々は以前に、多型潜在性の間葉系前駆細胞(MPC)を、表現型STRO-1
bright/VCAM-1(CD106)
+またはSTRO-1
bright/MUC-18(CD146)
+に基づいて成人のヒト骨髄単核細胞から精製することができることを報告した(Gronthos他、2003; ShiおよびGronthos 2003)。MPC集団は、明確な培養条件下においてin vitroで容易に増殖させることができる(Gronthos他、2003)。ここで我々は、それぞれ逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)およびフローサイトメトリーによる分析を使用して、mRNAレベルとタンパク質レベルの両方で異なる細胞系と関係があるマーカーに基づき、ex vivoで増殖させたMPC子孫を特徴付けるデータを示す。
【0119】
第一系の実験では、半定量RT-PCR分析を使用して、培養MPC集団中に存在したさまざまな系関連の遺伝子の遺伝子発現の概略を調べた(
図15)。それぞれの細胞マーカーに関する相対的な遺伝子発現を、ImageQuantソフトウェアを使用してハウスキーピング遺伝子、GAPDHの発現を参照しながら評価した(
図15B)。さらに、単色フローサイトメトリーによる分析を使用して、細胞系関連マーカーのそれらの発現に基づいてex vivoで増殖させたMPCのタンパク質発現の概略を調べた(
図15A)。培養MPCの遺伝子およびタンパク質発現に基づく、一般的な表現型の要約は表1に表す。本特許中に記載したMPCの遺伝子発現の概略を直接比較することによって、この細胞集団とPittenger他1999によって以前に記載された間葉系前駆細胞(MSC)の間の明らかな違いが実証された(表1)。
【0120】
別段の記載がない限り、この実施例の物質および方法は、実施例1の物質および方法と同じである。
【0121】
図23A。ex vivoで増殖させた骨髄MPCの免疫表現型の発現パターン。ex vivoで増殖させた骨髄MPCの単細胞の懸濁液を、トリプシン/EDTA処理によって調製し、次いで細胞系関連マーカーを同定する抗体と共にインキュベートした。細胞内抗原を同定する抗体用に、細胞調製物は冷たい70%エタノールで固定して、細胞内マーカーの染色前に細胞膜を浸透処理した。イソ型適合対照抗体を同一の条件下で処理した。フローサイトメトリーによる分析は、COULTER EPICS装置を使用して行った。ドットプロットは、イソ型適合陰性対照抗体(細線)を参照しながら、それぞれの系の細胞マーカーに関する蛍光強度のレベルを示す(太線)5,000のリストモード事象を表す。
【0122】
図23B。培養したMPCの遺伝子発現の概略。ex vivoで増殖させた骨髄MPCの単細胞の懸濁液を、トリプシン/EDTA処理によって調製し、全細胞RNAを調製した。RNAzolB抽出法を使用して、全RNAを単離し、cDNA合成用の鋳型として使用し、標準的な手順を使用して調製した。前に記載したのと同様の(Gronthos他2003)標準的なプロトコルを使用して、PCR増幅によってさまざまな転写産物の発現を評価した。本発明の試験で使用したプライマーセットは表2に示す。増幅の後、それぞれの反応混合物を1.5%アガロースゲル電気泳動によって分析し、臭化エチジウム染色によって目に見える状態にした。それぞれの細胞マーカーに関する相対的な遺伝子発現を、ImageQuantソフトウェアを使用してハウスキーピング遺伝子、GAPDHの発現を参照しながら評価した。
【0123】
図23。ex vivoで増殖させたSTRO-1
briMPCは、in vitroにおいて細動脈に分化することができる。ex vivoで増殖させた骨髄STRO-1
briMPCの単細胞の懸濁液を、トリプシン/EDTA処理によって調製し、次いで200μlのマトリゲルを含む48ウエルプレートに平板培養した。STRO-1
briMPCは、10ng/mlで成長因子PDGF、EGF、VEGFを補った無血清培地(Gronthos他2003)中に、ウエル当たり20,000細胞で平板培養した。5%CO
2中での37℃における24時間の培養の後、ウエルを洗浄し、次いで4%パラホルムアルデヒドで固定した。免疫組織化学試験を後に行って、コード様構造が、ヤギ抗ネズミIgGホースラディッシュペルオキシダーゼ抗体を用いて同定したα-平滑筋アクチンを表したことが示された。