(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096098
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】ストロー
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
A47G21/18
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-237387(P2013-237387)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96166(P2015-96166A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】311002447
【氏名又は名称】キリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】山口 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 徳雄
(72)【発明者】
【氏名】伊東 千春
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
実開平4−3986(JP,U)
【文献】
特開平10−139075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/18
B65D 81/32−81/36
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上容器と下容器とが連結された二室容器に用いられ、前記上容器から前記下容器へ向けて挿入することで二液を混合するためのストローであって、
該ストローは、前記二室容器の内容物を吸い上げるための吸引路を有する管状のストロー本体と、該ストロー本体の外面に設けられた又ははめ込まれた連通路形成部と、を備え、
前記連通路形成部は、連通路と前記ストロー本体の前記下容器内に挿入される部分の横断面積以上の横断面積を有する拡径部とを有し、
前記連通路が、該連通路の側壁に開口部を有し、前記ストロー本体の先端を前記下容器の内面に到達させた状態としたとき、前記開口部が、前記上容器の収容室から前記下容器の収容室にわたって開口していることを特徴とするストロー。
【請求項2】
前記ストローは、前記上容器の外面に係合可能なストッパー部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のストロー。
【請求項3】
前記ストロー本体は、径の異なる管が伸縮可能に組み合わさり、最外管が飲み口側である多段式であり、
前記連通路形成部が最外管に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のストロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二室容器に用いられるストローに関する。
【背景技術】
【0002】
二種の成分を、使用前は分離して収容し、使用時にストローの挿入によって混合することができる二室容器が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、一室容器に用いられるストローに関する発明であるが、ストローの外面に突出した部分が設けられ、突出した部分の横断面に相当する形状の空気通路を容器の壁に形成させるストローが知られている(例えば、特許文献2〜4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−3986号公報
【特許文献2】実公昭62−37514号公報
【特許文献3】実開昭61−149576号公報
【特許文献4】特開2010−213938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二室容器では、ストローの突き刺しによって、二種成分の混合を迅速に行うことが望まれる。しかし、特許文献1の第1図では、上容器内の内容物を、上容器から下容器に迅速に移動させることができない。特許文献2のストロー付容器は、蓋体に予め貫通孔が設けられており、ストローの突き刺しによって二室間を連通するものではない。また、内容物を吸飲時には栓体と一体に固着されているストローを引き上げる必要があり、容器の底面に残った内容物を最後まで吸飲できない。特許文献1の第4図、特許文献3又は4に記載されたストローを二室容器に用いれば、突出した部分の横断面に相当する形状の孔が形成されて、二室間の壁とストローの外面との間に隙間が生じ、生じた隙間から内容物が移動して二種成分を迅速に混合できる。しかし、突出した部分が容器の収容空間内に入りきってしまう構造であるため、二室間の壁及び上容器の天面壁において、ストローの外面との間に隙間が生じて、ストローが横方向にぐらついて位置が定まらず、飲用しにくい問題があった。
【0005】
本発明の目的は、二室容器に用いられるストローに関し、二液の混合を迅速に行うことができるストローを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るストローは、上容器と下容器とが連結された二室容器に用いられ、前記上容器から前記下容器へ向けて挿入することで二液を混合するためのストローであって、該ストローは、前記二室容器の内容物を吸い上げるための吸引路を有する管状のストロー本体と、該ストロー本体の外面に設けられた又ははめ込まれた連通路形成部と、を備え、前記連通路形成部は、連通路と前記ストロー本体の前記下容器内に挿入される部分の横断面積以上の横断面積を有する拡径部とを有し、前記連通路が、該連通路の側壁に開口部を有し、前記ストロー本体の先端を前記下容器の内面に到達させた状態としたとき、前記開口部が、前記上容器の収容室から前記下容器の収容室にわたって開口していることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るストローでは、前記ストローは、前記上容器の外面に係合可能なストッパー部を更に有することが好ましい。ほこりなど異物の混入を防止することができる。また、ストローの挿入の仕方に関わらず、連通路の開口部を適切な位置により確実に配置させることができ、より安定して迅速な二液の混合を行うことができる。
【0008】
本発明に係るストローでは、前記ストロー本体は、径の異なる管が伸縮可能に組み合わさり、最外管が飲み口側である多段式であり、前記連通路形成部が最外管に設けられていることが好ましい。ストローを縮めた時のストローの全長を短くすることができ、二室容器の側面に添付しやすい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、二室容器に用いられるストローに関し、二液の混合を迅速に行うことができるストローを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るストローの一例を、二室容器に挿入した直後の状態を示す断面図である。
【
図2】本実施形態に係るストローの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0012】
図1は、本実施形態に係るストローの一例を、二室容器に挿入した直後の状態を示す断面図である。
図2は、本実施形態に係るストローの一例を示す正面図である。本実施形態に係るストロー1は、
図1、
図2に示すように、上容器110と下容器120とが連結された二室容器100に用いられ、上容器110から下容器120へ向けて挿入することで二液を混合するためのストローであって、ストロー1は、二室容器100の内容物を吸い上げるための吸引路12を有する管状のストロー本体10と、ストロー本体10の外面に設けられた又ははめ込まれた連通路形成部20と、を備え、連通路形成部20は、連通路22とストロー本体10の下容器120内に挿入される部分の横断面積以上の横断面積を有する拡径部21とを有し、連通路22が、連通路22の側壁23に開口部24を有し、ストロー本体10の先端11を下容器120の内面に到達させた状態としたとき、開口部24が、上容器の収容室111から下容器の収容室121にわたって開口している。
【0013】
図1を参照しながら、二室容器100について説明する。
図1に示す二室容器100は一例であって、本発明はこれに限定されない。上容器110は、内部に第一収容室111を有する。第一収容室111には、第一内容物L1が収容されている。上容器110は、第一内容物L1を密閉状態で収容できればよく、その形状及び材質は特に限定されない。上容器110の壁のうち、下容器120に対向させる壁(以降、上容器側対向壁という。)112とは異なる壁は、ストロー1を最初に挿入する、ストロー挿入壁113である。ストロー挿入壁113は、
図1に示すように、二室容器の上面となる壁であることが好ましい。
【0014】
下容器120は、内部に第二収容室121を有する。第二収容室121には、第二内容物L2が収容されている。下容器120は、第二内容物L2を密閉状態で収容できればよく、その形状及び材質は特に限定されない。下容器120の壁のうち、上容器110に対向させる壁(以降、下容器側対向壁という。)122とは異なる壁は、ストロー本体の先端11を到達させる、ストロー到達壁123である。ストロー到達壁123は、
図1に示すように、二室容器の底面となる壁であることが好ましい。
【0015】
上容器110と下容器120とは、上容器側対向壁112と下容器側対向壁122とを対向させた状態で連結する。上容器110と下容器120との連結手段は、特に限定されず、例えば、(1)上容器と下容器を固定する嵌合部品130(
図1に図示)、(2)対向させた壁同士の間に設けた接着部材(不図示)、(3)上容器の外周面及び下容器の外周面にわたって密着するシュリンクフィルム(不図示)、(4)対向させた壁同士の融着、(5)上容器と下容器とが相互に固定し合う構造(不図示)である。
【0016】
次に、
図1、
図2を参照しながら、ストロー1について説明する。
図1、
図2に示すストロー1は一例であって、本発明はこれに限定されない。ストロー1は、
図1に示すように、二室容器100の内容物を吸い上げるための吸引路12を有する管状のストロー本体10と、ストロー本体10の外面に設けられた又ははめ込まれた連通路形成部20と、を備える。ストロー本体10は、例えば、
図1、
図2に示すように、径の異なる複数本の管10a,10bが伸縮可能に組み合わさり、最外管10aが飲み口側である多段式(以降、純伸縮ストローということもある。)であるか、径の異なる複数本の管が伸縮可能に組み合わさり、最内管が飲み口側である多段式(不図示、以降、逆伸縮ストローということもある。)であるか、又は1本の管からなるもの(不図示)であってもよい。また、ストロー本体10が多段式であるとき、管10a,10bの本数は、
図1、
図2に示す2本に限定されず、3本以上であってもよい。
【0017】
連通路形成部20は、ストロー本体10の外面に、ストロー本体10と一体に設けられているか、又はストロー本体10の外面に、別体の部品としてはめ込まれている。連通路形成部20がストロー本体10と別体であるとき、ストロー本体10と連通路形成部20とは、同一の材質で形成するか、又は異なる材質で形成してもよい。本実施形態に係るストロー1では、
図1に示すように、ストロー本体10が純伸縮ストローであり、連通路形成部20が最外管10aに設けられていることが好ましい。ストロー1を縮めた時のストローの全長をより短くすることができ、二室容器100の側面に添付しやすい。
【0018】
拡径部21は、少なくとも連通路22よりも下容器側に配置されることが好ましい。拡径部21が上容器側対向壁112及び下容器側対向壁122を通過することで、ストロー本体10の下容器120内に挿入される部分の横断面積以上の大きな面積の孔114,124が、上容器側対向壁112及び下容器側対向壁122に形成される。これによって、ストロー本体10と上容器側対向壁112との間、及びストロー本体10と下容器側対向壁122との間に、内容物の迅速な移動が可能な大きさの連通路22を確保することができる。
【0019】
連通路22は、側壁23と側壁23に設けられた開口部24とを有する。
図1、
図2では、連通路22の一形態例として、連通路の側壁23が拡径部21の上方に連接する筒状であり、連通路の側壁23に長孔状の開口部24を設けた形態を示した。連通路22は、第一収容室111と第二収容室121とを連通させることができればよく、
図1に示す形態に限定されない。連通路22のその他の形態例としては、連通路の側壁23が拡径部1の上方に連接する筒状であり、連通路の側壁23にスリット状の開口部(不図示)を設けた形態、連通路の側壁23に凹溝(不図示)を設けた形態であってもよい。
【0020】
連通路形成部20は、ストロー本体10の先端11を下容器120の内面(ストロー到達壁123の内面、
図1では二室容器の底面となる壁の内面)に到達させた状態としたとき、連通路22の開口部24が、第一収容室111から第二収容室121にわたって開口するように、ストロー本体10の外面に固定される。本実施形態では、
図1に示すように、少なくとも、ストロー1が、ストロー到達壁123の内面に対して略垂直方向に挿入されて、ストロー本体の先端が下容器の内面に到達した状態としたときに、連通路22の開口部24が、第一収容室111から第二収容室121にわたって開口していることが好ましい。ストロー1が略垂直方向に挿入された場合に加えて、ストロー1が、ストロー到達壁123の内面に対して斜め方向に挿入された場合にも、ストロー本体の先端が下容器の内面に到達した状態としたときに、連通路22の開口部24が、第一収容室111から第二収容室121にわたって開口していることがより好ましい。連通路22の開口部24が第一収容室111から第二収容室121にわたって開口することで、第一内容物L1が連通路22を通るとともに、空気も連通路22を通ることができ、第一内容物L1の移動に伴う空気の流れが阻害されない。このため、第一内容物L1が、第一収容室111から第二収容室121に迅速に移動して、第二内容物L2に迅速に混合される。また、連通路の側壁23が上容器側対向壁112及び下容器側対向壁122と接するため、ストロー1の横方向でのぐらつきを抑制して安定して飲用することができる。
【0021】
ストロー1は、上容器110の外面に係合可能なストッパー部25を更に有することが好ましい。ストッパー部25が係合する上容器110の外面は、ストロー挿入壁113の外面であることが好ましい。ストッパー部25によって、ほこりなど異物が二室容器100内に混入を防止することができる。ストロー1の挿入方向にかかわらず、連通路22の開口部24を適切な位置により確実に配置させることができ、より安定して迅速な二液の混合を行うことができる。
【0022】
二室容器100内の内容物を飲用しようとするときの動作について、
図1を参照して説明する。まず、ストロー1でストロー挿入壁113を突き破って、ストロー本体10の先端11を第一収容室111内に侵入させる。次いで、ストロー1で上容器側対向壁112及び下容器側対向壁122を順次突き破って、ストロー本体10の先端11を第二収容室121内に侵入させる。そして、ストロー本体10の先端11をストロー到達壁123の内面に到達させた状態とする。この時、上容器側対向壁112及び下容器側対向壁122には、拡径部21の横断面に相当する形状の孔114,124が形成されており、かつ、連通路22の開口部24は、第一収容室111から第二収容室121にわたって開口している。このため、ストロー本体10と上容器側対向壁112との間、及びストロー本体10と下容器側対向壁122との間に、内容物の迅速な移動が可能な大きさの連通路22が確保された状態となり、第一内容物L1が連通路22を通るとともに、空気も連通路22を通ることができ、第一内容物L1の移動に伴う空気の流れが阻害されない。このため、上容器110内の第一内容物L1が、下容器120内に迅速に移動して、下容器120内の第二内容物L2に混合される。
【符号の説明】
【0023】
1 ストロー
10 ストロー本体
10a 最外管
10b 管
11 ストロー本体の先端
12 吸引路
20 連通路形成部
21 拡径部
22 連通路
23 連通路の側壁
24 開口部
25 ストッパー部
100 二室容器
111 上容器の収容室(第一収容室)
110 上容器
112 上容器側対向壁
113 ストロー挿入壁
114 孔
120 下容器
121 下容器の収容室(第二収容室)
122 下容器側対向壁
123 ストロー到達壁
124 孔
130 嵌合部品
L1 第一内容物
L2 第二内容物