(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化複合発電設備が知られている。石炭ガス化複合発電設備は、石炭ガス化炉とチャー回収装置とガス精製設備とガスタービン設備と排熱回収ボイラと蒸気タービン設備と発電機とを備えている。石炭ガス化炉は、微粉炭をガス化することにより、可燃性を有する生成ガスを生成する。生成ガスは、可燃性ガスにチャー等が混合されている。
【0003】
チャー回収装置は、生成ガスからチャーを除去することにより、チャー除去済生成ガスを生成する。ガス精製設備は、チャー除去済生成ガスを精製することにより、精製済生成ガスを生成する。ガスタービン設備は、精製済生成ガスを燃焼させることにより高温・高圧の燃焼ガスを生成し、回転動力を生成する。排熱回収ボイラは、燃焼ガスから熱エネルギを回収し、高圧の蒸気を生成する。蒸気タービン設備は、蒸気を用いて回転動力を生成する。発電機は、ガスタービン設備と蒸気タービン設備とにより生成された回転動力を電力に変換する。
【0004】
チャー回収装置は、サイクロン、フィルタに例示されるチャー回収装置本体とチャービンとチャー供給ホッパとを備えている。チャー回収装置本体により生成ガスからを分離されたチャーは、チャービンに貯蔵され、チャー供給ホッパによりガス化炉に供給される。チャー回収装置は、処理能力を増大するために、チャー回収装置本体を複数備えたり、チャー供給ホッパを複数備えたりすることがある。このとき、チャーを搬送するチャー払出管は、鉛直方向から所定の傾斜角度だけ傾斜された直線に沿って配置される流路を形成することにより、チャー回収装置を小型化している(特許文献1〜3参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなチャー回収システムは、チャー払出管の内部が高圧であるために、チャー払出管がチャーにより閉塞しているかどうかを判別することが困難である。チャー払出管がチャーにより閉塞しているかどうかを容易に判別することが望まれている。
【0007】
本発明の課題は、チャー払出管がチャーにより閉塞しているかどうかを容易に判別するチャー回収システムおよびチャー搬送方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、チャー払出管
のチャーによ
る閉塞を適切に解消するパージガス
の使
用量を低減するチャー回収システムおよびチャー搬送方法を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、チャー払出管のチャーによる閉塞の頻度を低減するチャー回収システムおよびチャー搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるチャー回収システムは、チャーが搬送される粉体流路を形成するチャー払出管と、前記粉体流路のうちの下流側領域の圧力と前記粉体流路のうちの前記下流側領域より上流側の上流側領域の圧力との差圧を測定する差圧計とを備えている。
【0009】
その差圧は、粉体流路のうちの下流側領域と上流側領域との間にチャーが堆積したときに、変動する。このため、このようなチャー回収システムは、その測定された差圧に基づいて、粉体流路がチャーにより閉塞しているかどうかを容易に判別することができる。
【0010】
前記粉体流路は、鉛直下向き流路と、前記鉛直下向き流路の下流側に繋がる傾斜流路とを含んでいる。このとき、前記鉛直下向き流路が沿う直線と水平面とのなす角は、前記傾斜流路が沿う直線と前記水平面とのなす角より大きい。前記下流側領域は、前記鉛直下向き流路のうちの前記傾斜流路の側の端に配置されている。前記上流側領域は、前記鉛直下向き流路のうちの前記下流側領域より上側に配置されている。
【0011】
このとき、粉体流路は、傾斜流路にチャーが堆積しやすく、鉛直下向き流路の下端が閉塞しやすい。このようなチャー回収システムは、粉体流路のうちのチャーにより閉塞しやすい領域の差圧を測定することにより、粉体流路がチャーにより閉塞しているかどうかを適切に判別することができる。
【0012】
本発明によるチャー回収システムは、前記傾斜流路にパージガスを噴射するパージガス噴射装置と、前記差圧が閾値より大きいときに前記パージガスが噴射されるように前記パージガス噴射装置を制御する制御装置とをさらに備えている。
【0013】
このようなチャー回収システムは、パージガスを噴射することにより、傾斜流路に堆積したチャーを吹き飛ばし、傾斜流路に堆積したチャ
ーによる粉体流路の閉塞を解消することができる。このようなチャー回収システムは、差圧が閾値より大きいときのみにパージガスを噴射することにより、チャーが堆積していないときにパージガスを噴射する頻度を低減することができ、パージガスの使用量を低減することができる。
【0014】
本発明によるチャー回収システムは、前記傾斜流路と風室とを隔離する多孔板と、前記風室にアシストガスを供給するアシストガス供給装置とをさらに備えている。このとき、前記制御装置は、前記差圧が前記閾値より大きくなる頻度に基づいて、前記風室に前記アシストガスが供給される供給量が変化するように、前記アシストガス供給装置を制御する。
【0015】
このようなチャー回収システムは、差圧が閾値より大きくなる頻度が大きいときに風室
に供給するアシストガス量を増加させることにより、傾斜流路にチャーが堆積する頻度を低減することができる。
【0016】
本発明によるチャー回収システムは、石炭をガス化したときに生成される生成ガスを第1チャーと第1チャー除去済生成ガスとに分離するサイクロンと、前記第1チャー除去済生成ガスを第2チャーと第2チャー除去済生成ガスとに分離するフィルタと、前記第1チャーと前記第2チャーとを貯蔵するチャービンとをさらに備えている。このとき、前記チャー払出管は、前記粉体流路を介して前記フィルタから前記チャービンに前記第2チャーが搬送されるように、設けられている。
【0017】
フィルタにより分離された第2チャーをチャービンに供給する払出管は、サイクロンにより分離された第1チャーをチャービンに供給する払出管に比較して、チャーが堆積しやすい。このようなチャー回収システムは、フィルタにより分離されたチャーをチャービンに供給することにチャー払出管を利用することが好適である。
【0018】
本発明による石炭ガス化炉は、本発明によるチャー回収システムと、石炭をガス化することにより前記生成ガスを生成する石炭ガス化炉本体とを備えている。このとき、前記チャービンに貯蔵されたチャーは、前記石炭ガス化炉本体に供給され、前記石炭とともにガス化される。
【0019】
本発明によるチャー搬送方法は、粉体流路を介してチャーを搬送すること、前記粉体流路のうちの下流側点の圧力に対する前記粉体流路のうちの前記下流側点より上流側に配置される上流側点の差圧を測定すること、前記粉体流路に前記チャーが堆積しているかどうかを前記差圧に基づいて判別することとを備えている。
【0020】
このようなチャー搬送方法は、差圧を測定することにより、粉体流路にチャーが堆積しているかどうかを容易に判別することができ、粉体流路の閉塞に適切に対応することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるチャー回収システムおよびチャー搬送方法は、チャーが搬送される粉体流
路のうちの2つの領域との差圧を測定することにより、粉体流路がチャーにより閉塞しているかどうかを容易に判別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、チャー回収システムの実施の形態が以下に記載される。そのチャー回収システム1は、
図1に示されているように、石炭ガス化複合発電プラント2に適用されている。その石炭ガス化複合発電プラント2は、石炭ガス化炉設備を備えている。石炭ガス化炉設備は、給炭装置3と石炭ガス化炉5とチャー回収システム1とガス精製設備6とを備えている。石炭ガス化複合発電プラント2は、ガスタービン設備7と排熱回収ボイラ8と蒸気タービン設備11と発電機12とをさらに備えている。給炭装置3は、石炭を乾燥しながら粉砕することにより微粉炭を生成する。石炭ガス化炉5は、給炭装置3により生成された微粉炭とチャー回収システム1により回収されたチャーとをガス化することにより生成ガスを生成する。チャーは、給炭装置3により生成された微粉炭のうちの石炭ガス化炉5で反応しなかった未反応の粉体から形成されている。
【0024】
チャー回収システム1は、石炭ガス化炉5により生成された生成ガスからチャーを回収することによりチャー除去済生成ガスを生成する。ガス精製設備6は、チャー回収システム1により分離されたチャー除去済生成ガスを精製することにより、精製済生成ガスを生成する。ガスタービン設備7は、ガス精製設備6により生成された精製済生成ガスを燃焼させることにより高温・高圧の燃焼ガスを排気し、回転動力を生成する。排熱回収ボイラ8は、ガスタービン設備7から排気された燃焼ガスから熱エネルギを回収し、高圧の蒸気を生成する。蒸気タービン設備11は、排熱回収ボイラ8により生成された蒸気を用いて回転動力を生成する。発電機12は、ガスタービン設備7と蒸気タービン設備11とにより生成された回転動力を用いて発電する。
【0025】
図2は、チャー回収システム1を示している。チャー回収システム1は、サイクロン14と複数のフィルタ15−1〜15−2とサイクロン用チャー払出管16と複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2とチャービン18とを備えている。サイクロン14は、石炭ガス化炉5により生成された生成ガスを漏斗状または円筒の内部に渦を描く様に流し込むことにより、生成ガスを第1チャーと第1チャー除去済生成ガスとに遠心分離する。複数のフィルタ15−1〜15−2の任意のフィルタ15−i(i=1,2)は、ポーラスフィルタを備えている。フィルタ15−iは、ポーラスフィルタを用いてサイクロン14により分離された第1チャー除去済生成ガスをろ過することにより、第2チャー除去済生成ガスと第2チャーとに分離する。フィルタ15−iは、さらに、ポーラスフィルタを逆洗することにより、第2チャーを間欠的に排出する。
【0026】
サイクロン用チャー払出管16は、サイクロン14により分離された第1チャーをチャービン18に搬送する。複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2は、複数のフィルタ15−1〜15−2に対応している。複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2のうちのフィルタ15−iに対応するフィルタ用チャー払出管17−iは、フィルタ15−iから排出された第2チャーをチャービン18に搬送する。
【0027】
チャービン18は、サイクロン用チャー払出管16を介して供給される第1チャーと複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2を介して供給される第2チャーとを貯留する。
【0028】
チャー回収システム1は、さらに、複数のホッパ用チャー払出管21−1〜21−m(m=2,3,4,…)と複数のチャー供給ホッパ22−1〜22−mとチャー戻しライン23とを備えている。複数のホッパ用チャー払出管21−1〜21−mは、複数のチャー供給ホッパ22−1〜22−mに対応している。複数のホッパ用チャー払出管21−1〜21−mの任意のホッパ用チャー払出管21−j(j=1,2,3,…,m)は、チャービン18に貯蔵されるチャーを複数のチャー供給ホッパ22−1〜22−mのうちのホッパ用チャー払出管21−jに対応するチャー供給ホッパ22−jに搬送する。
【0029】
チャー供給ホッパ22−jは、ホッパ用チャー払出管21−jを介してチャービン18から供給されたチャーを間欠的にチャー戻しライン23に供給する。チャー戻しライン23は、複数のチャー供給ホッパ22−1〜22−mから供給されるチャーを石炭ガス化炉5に搬送する。
【0030】
図3は、フィルタ用チャー払出管17−iを示している。フィルタ用チャー払出管17−iは、スタンドパイプ31とスライダパイプ32とを備えている。スタンドパイプ31は、鉛直方向に平行である鉛直線に沿う鉛直下向き流路33を形成している。スライダパイプ32は、一端がスタンドパイプ31の下端に接合され、鉛直下向き流路33に接続される傾斜流路35を形成している。スライダパイプ32は、傾斜流路35が鉛直方向に平行でない直線に沿うように、形成されている。スライダパイプ32は、さらに、スタンドパイプ31に接合された端を鉛直線に正射影した位置が、反対側の端をその鉛直線に正射影した位置より鉛直上側に配置されるように、配置されている。
【0031】
フィルタ用チャー払出管17−iは、さらに、多孔板36と複数の仕切り板37とを備えている。多孔板36は、アシストガスが通過するように、かつ、チャーが通過しないように、複数の孔が形成されている平坦な金属板から形成されている。多孔板36は、スライダパイプ32の内部を傾斜流路35と複数の風室38とに分離するように、かつ、傾斜流路35の下側の内壁を形成するように、スライダパイプ32の内部に配置されている。複数の風室38は、傾斜流路35が沿う直線と平行に並ぶように、配置されている。複数の仕切り板37は、アシストガスが通過しない金属板から形成されている。複数の仕切り板37は、複数の風室38を互いに隔離している。
【0032】
フィルタ用チャー払出管17−iは、さらに、差圧計41とパージガス噴射装置42とアシストガス供給装置43と制御装置44とを備えている。差圧計41は、スタンドパイプ31の鉛直下向き流路33の下端に配置される下流側領域45の圧力と鉛直下向き流路33の上端に配置される上流側領域46の圧力との差圧を測定し、その差圧をユーザに認識可能に表示し、その差圧を制御装置44に送信する。パージガス噴射装置42は、スライダパイプ32の傾斜流路35のうちの鉛直下向き流路33に接続される端に配置されたノズルを備えている。パージガス噴射装置42は、制御装置44に制御されることにより、そのノズルを介して傾斜流路35の上流側の端から傾斜流路35の下流側に向けてパージガスを噴射する。そのパージガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、酸素濃度が3%以下である不活性ガス、可燃性ガスが例示される。その可燃性ガスとしては、チャー回収システム1により生成されるチャー除去済生成ガス、ガス精製設備6により生成される精製済生成ガスが例示される。
【0033】
アシストガス供給装置43は、制御装置44に制御されることにより、複数の風室38の各々の気圧が所定の圧力になるように、アシストガスを複数の風室38に供給する。そのアシストガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、酸素濃度が3%以下である不活性ガス、可燃性ガスが例示される。その可燃性ガスとしては、チャー回収システム1により生成されるチャー除去済生成ガス、ガス精製設備6により生成される精製済生成ガスが例示される。
【0034】
制御装置44は、差圧計41により測定された差圧を差圧計41から間欠的に収集する。制御装置44は、その収集された差圧に基づいて、鉛直下向き流路33が閉塞しているかどうか、すなわち、鉛直下向き流路33にチャーが堆積しているかどうかを判別する。たとえば、制御装置44は、その差圧の絶対値が予め設定された差圧閾値より小さいときに鉛直下向き流路33にチャーが堆積していないと判別し、その差圧が差圧閾値より大きいときに鉛直下向き流路33にチャーが堆積していると判別する。
【0035】
制御装置44は、鉛直下向き流路33にチャーが堆積していると判別されたときに、パージガスが傾斜流路35の上流側の端から傾斜流路35の下流側に向けて噴射されるように、パージガス噴射装置42を制御する。制御装置44は、その差圧が差圧閾値より大きくなる頻度を算出する。制御装置44は、その算出された頻度があらかじめ設定された頻度閾値より大きいときに、複数の風室38にアシストガスが供給される供給量が増加するように、アシストガス供給装置43を制御する。
【0036】
チャー搬送方法の実施の形態は、石炭ガス化複合発電プラント2の運転中に、チャー回収システム1のフィルタ用チャー払出管17−iを用いて実行される。サイクロン14は、石炭ガス化複合発電プラント2の運転中に、石炭ガス化炉5により生成された生成ガスを第1チャーと第1チャー除去済生成ガスとに遠心分離する。サイクロン用チャー払出管16は、サイクロン14により分離された第1チャーをチャービン18に搬送する。
【0037】
フィルタ15−iは、サイクロン14により分離された第1チャー除去済生成ガスを第2チャー除去済生成ガスと第2チャーとに分離する。フィルタ15−iは、その分離された第2チャーをフィルタ用チャー払出管17−iに間欠的に排出する。
【0038】
制御装置44は、アシストガス供給装置43を制御することにより、複数の風室38のうちの鉛直下向き流路33に近い風室ほど供給量が大きくなるように、フィルタ用チャー払出管17−iの複数の風室38にアシストガスを供給する。第2チャーは、フィルタ用チャー払出管17−iに排出されると、まず、鉛直下向き流路33に供給される。第2チャーは、鉛直下向き流路33に供給されると、重力により落下することにより、鉛直下向き流路33を鉛直下向きに移動し、傾斜流路35に供給される。第2チャーは、傾斜流路35に供給されると、多孔板36の上に堆積する。第2チャーは、多孔板36を介してアシストガスが供給されると、液状化し、多孔板36との摩擦が低減し、重力により多孔板36の上を流動する。第2チャーは、多孔板36の上を流動することにより、下流側に流れ、チャービン18に供給される。
【0039】
フィルタ用チャー払出管17−iは、多孔板36を介してアシストガスが傾斜流路35に供給されることにより、多孔板36と第2チャーとの摩擦を低減することができ、傾斜流路35の傾斜が緩やかである場合でも、傾斜流路35で第2チャーを滑らかに流動させることができ、第2チャーを適切に搬送することができる。
【0040】
制御装置44は、下流側領域45と上流側領域46との差圧を差圧計41から間欠的に収集する。制御装置44は、その収集された差圧の絶対値が予め設定された差圧閾値より小さいときに鉛直下向き流路33にチャーが堆積していないと判別し、その差圧が差圧閾値より大きいときに鉛直下向き流路33にチャーが堆積していると判別する。
【0041】
制御装置44は、鉛直下向き流路33にチャーが堆積していないと判別されているときに、傾斜流路35にパージガスが噴射されないようにパージガス噴射装置42を制御している。制御装置44は、鉛直下向き流路33にチャーが堆積していると判別されたときに、パージガス噴射装置42を制御することにより、傾斜流路35の上流側の端から傾斜流路35の下流側に向けてパージガスを噴射する。
【0042】
制御装置44は、さらに、その差圧が閾値より大きくなる頻度を算出する。制御装置44は、その算出された頻度があらかじめ設定された頻度閾値より大きいときに、アシストガス供給装置43を制御することにより、複数の風室38にアシストガスが供給される供給量を増加させる。
【0043】
チャービン18は、サイクロン用チャー払出管16を介して供給される第1チャーと複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2を介して供給される第2チャーとを一時的に貯留する。複数のホッパ用チャー払出管21−1〜21−mは、チャービン18に貯蔵されたチャーを複数のチャー供給ホッパ22−1〜22−mにそれぞれ搬送する。複数のチャー供給ホッパ22−1〜22−mは、チャー戻しライン23を介して、複数のホッパ用チャー払出管21−1〜21−mを介して供給されたチャーを石炭ガス化炉5に供給する。
【0044】
図4は、フィルタ15−iがフィルタ用チャー払出管17−iに第2チャーを供給するチャー供給量の変化を示している。そのチャー供給量変化51は、時間とともにチャー供給量が変動するものの、フィルタ15−iがフィルタ用チャー払出管17−iに第2チャーを常時に供給していることを示している。
【0045】
図4は、さらに、チャービン18がフィルタ用チャー払出管17−iからチャーを受け入れるチャー受入量の変化を示している。そのチャー受入量変化52は、時刻t1以降にチャービン18がフィルタ用チャー払出管17−iからチャーが供給されなくなったことを示している。チャー供給量変化51とチャー受入量変化52とは、フィルタ用チャー払出管17−iにチャーが供給されているもののフィルタ用チャー払出管17−iがチャービン18にチャーを供給していないことを示し、鉛直下向き流路33または傾斜流路35にチャーによる閉塞が時刻t1に発生したことを示している。
【0046】
図4は、さらに、差圧計41により測定された差圧の変化を示している。その差圧変化53は、時刻t1の後の時刻t2から差圧が上昇していることを示している。チャー供給量変化51とチャー受入量変化52と差圧変化53は、鉛直下向き流路33または傾斜流路35にチャーによる閉塞が発生したときに差圧が上昇することを示している。
【0047】
制御装置44は、差圧計41により測定された差圧が差圧閾値55より大きくなった後の時刻t3に、パージガス噴射装置42を制御することにより、傾斜流路35にパージガスを噴射する。
【0048】
チャー受入量変化52は、時刻t3以降にチャービン18がフィルタ用チャー払出管17−iからチャーが再度供給されるようになったことを示し、時刻t3以降に鉛直下向き流路33または傾斜流路35のチャーによる閉塞が解消されたことを示している。差圧変化53は、時刻t3以降に差圧計41により測定された差圧が差圧閾値55より小さくなることを示している。このため、チャー受入量変化52と差圧変化53とは、差圧計41により測定された差圧に基づいて、鉛直下向き流路33または傾斜流路35のチャーによる閉塞の発生を適切に推測することができることを示している。
【0049】
すなわち、チャー回収システム1は、差圧計41により測定された差圧に基づいて、鉛直下向き流路33または傾斜流路35のチャーによる閉塞の発生を適切に推測することができる。チャー回収システム1は、差圧計41により測定された差圧が差圧閾値より大きくなったときに、傾斜流路35にパージガスを噴射することにより、鉛直下向き流路33または傾斜流路35のチャーによる閉塞を解消することができる。チャー回収システム1は、差圧計41により測定された差圧が差圧閾値より大きくなったときにのみ傾斜流路35にパージガスを噴射することにより、差圧計41により測定された差圧に無頓着に傾斜流路35にパージガスを間欠的に噴射して閉塞を解消する比較例のチャー回収システムに比較して、パージガスの使用量を低減することができる。
【0050】
傾斜流路35は、複数の風室38にアシストガスが供給される供給量が大きいほど、チャーが堆積しにくくなる。このため、チャー回収システム1は、差圧計41により測定された差圧が差圧閾値より大きくなる頻度が頻度閾値より大きいときに、複数の風室38にアシストガスが供給される供給量を増加させることにより、傾斜流路35にチャーを堆積しにくくすることができ、鉛直下向き流路33または傾斜流路35が閉塞する頻度を低減することができる。
【0051】
傾斜流路35は、鉛直下向き流路33に近いほどチャーが堆積しやすい。チャー回収システム1は、複数の風室38のうちの鉛直下向き流路33に近い風室ほど供給量が大きくなるように複数の風室38にアシストガスを供給することにより、傾斜流路35にチャーを堆積しにくくすることができる。チャー回収システム1は、さらに、複数の風室38にアシストガスが供給される供給量が互いに等しい比較例のチャー回収システムに比較して、アシストガスの使用量を低減することができる。
【0052】
チャー回収システム1は、さらに、複数の風室38にアシストガスが供給される供給量が互いに等しくなるように、アシストガスを複数の風室38に供給することもできる。この場合も、チャー回収システム1は、鉛直下向き流路33のうちの2つの領域の差圧に基づいて鉛直下向き流路の閉塞を適切に推測することができる。
【0053】
スライダパイプ32は、アシストガスが供給されない他のスライダパイプに置換されることもできる。このようなスライダパイプが適用されるチャー回収システムも、鉛直下向き流路33のうちの2つの領域の差圧に基づいて鉛直下向き流路の閉塞を適切に推測することができる。
【0054】
なお、鉛直下向き流路33は、鉛直方向に平行でない直線に沿う他の鉛直下向き流路に置換されることができる。このとき、その鉛直下向き流路は、その鉛直下向き流路が沿う直線と水平面とのなす角が、傾斜流路35が沿う直線と水平面とのなす角より大きくなるように、形成されている。このような鉛直下向き流路が適用されたチャー回収システムも、鉛直下向き流路のうちの2つの領域の差圧に基づいて鉛直下向き流路の閉塞を適切に推測することができる。
【0055】
チャー回収システム1は、複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2毎にアシストガス供給装置43を1台ずつ設ける必要がなく、複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2に対して1台のアシストガス供給装置を備えることもできる。チャー回収システム1は、複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2毎に制御装置44を1台ずつ設ける必要がなく、複数のフィルタ用チャー払出管17−1〜17−2に対して1台の制御装置を備えることもできる。このようなチャー回収システムも、既述の実施の形態におけるチャー回収システム1と同様にして、鉛直下向き流路33の閉塞を適切に推測することができる。
【0056】
チャー回収システム1は、サイクロン用チャー払出管16をフィルタ用チャー払出管17−iと同様に形成することもできる。このとき、チャー回収システム1は、フィルタ用チャー払出管17−iと同様にして、サイクロン用チャー払出管16の閉塞を適切に推測することができる。チャー回収システム1は、ホッパ用チャー払出管21−jをフィルタ用チャー払出管17−iと同様に形成することもできる。このとき、チャー回収システム1は、フィルタ用チャー払出管17−iと同様にして、ホッパ用チャー払出管21−jの閉塞を適切に推測することができる。