【実施例】
【0045】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによって実証することができる。
【0046】
最初に密閉型ガラス製反応装置を用いてラボバッチ式の実験を行い、プラント条件をシミュレーションした。セメント特性に関するいくつかの関連データが実験から得られ、ここで報告される。
【0047】
続くバッチ試験は、50Lの撹拌容器を用いてLANXESSのゴムプラントで行った。これらの試験によって、製造スケールのミキサー−静置分離装置設計のたたき台を得た。ミキサー−静置分離槽設計は、最大総処理体積フロー300m
3/hについての報告で示されており、これはゴムクラム16t/hに相当する。
【0048】
2つの撹拌混合槽及び1つの静置分離槽を備えた2920Lのパイロットプラントスケールの容器を、連続フロー条件下で設計を実証するために作った。
【0049】
実施例1−ラボバッチ式実験
密閉型ガラス製反応装置を用いてバッチ式実験を行い、プラント条件をシミュレーションした。セメント製造工程への影響を調べた主な可変条件は、撹拌時間、温度(23℃、40℃、及び65℃)、ブチルゴムのグレード(LANXESS クロロブチルCB1240、ブロモブチルBB2030、BB2040、及びBBX2であるベースゴム)、ゴム粒径(大クラム径:6.3〜19.9mm、小クラム径:0.5〜3.5mm)、ステアリン酸カルシウム量(1%及び3%)、及び溶媒の種類(ヘキサン、イソヘキサン、イソペンタン、n−ヘキサン)である。
【0050】
本実験で用いた材料
ブチルゴムクラム(クロロブチルCB1240及びブロモブチルBB2030、BB2040、及びBBX2であるベースゴム)は、LANXESS Inc.から供給されたものを使用した。
LANXESSブロモブチルBB2030は、臭素含量が1.8±0.2重量%でムーニー粘度(125℃でML 1+8)が32±4の臭素化されたイソブチレン−イソプレン共重合体である。
LANXESSクロロブチルCB1240は、塩素含量が1.25±0.1重量%でムーニー粘度(125℃でML 1+8)が38±4の塩素化されたイソブチレン−イソプレン共重合体である。
LANXESS BB2040は、臭素含量が1.8±0.2重量%でムーニー粘度(125℃でML 1+8)が39±4の臭素化されたイソブチレン−イソプレン共重合体である。
LANXESS BBX2は、臭素含量が1.8±0.2重量%でムーニー粘度(125℃でML 1+8)が46±4の臭素化されたイソブチレン−イソプレン共重合体である。
以下では溶媒は、ヘキサン(蒸留温度範囲65〜69℃)及びイソヘキサン(蒸留温度範囲57〜61℃)(Imperial Oil社より)、並びに、イソペンタン及びn−ペンタン(Sigma−Aldrich社より)を使用した。全ての実験で蒸留/脱イオン水を使用した。
【0051】
溶解及び相分離実験の一般的手順
溶解及び相分離実験は次の手順に従った。
1.4Lの円筒型反応フラスコ、三つ口リアクターヘッド、水冷コンデンサー、頭上撹拌装置を備えた密閉型ガラス製装置を準備する
2.水を水蒸気で75〜80℃に加熱し、反応フラスコへ必要量移送する(実験が室温で行われる場合にはこの工程は不要)
3.底部から水メニスカス水位までの高さを測定し、温度を記録する
4.必要量のウエットゴムクラムを量り、これをフラスコに入れる
5.底部から水メニスカス水位までの高さを測定し、温度を記録する
6.上部を組み立て、コンデンサーに冷水を通しつつ装置全体が漏れなく完全に密閉されているか確認する
7.撹拌装置の電源を入れて600rpmに設定する
8.フラスコ中のゴム水スラリーの温度が必要な温度に達しているか確認する(実験が室温で行われる場合にはこの工程は不要)
9.炭化水素溶媒を量り、別途用意した漏斗を用いてフラスコ中へ入れる
10.タイマーを始動して所望時間ゴムスラリー成分を撹拌する
11.撹拌を停止し、水相とゴムセメント相の高さを測定する
12.撹拌を再開し、1時間後に停止してゴムが炭化水素に完全に溶解しているか確認する
13.粘度、ゴム固形分量及び含水量測定のため、シリンジを用いてゴムセメント試料を取り出す
【0052】
溶液粘度測定
粘度測定はドラフトチャンバー中で、Brookfield(商標) LV−DV III Ultra Viscometerを用いて行った。装置は、25℃で、1000cP、5000cP、及び12,500cPのBrookfield標準シリコーンオイルを用いて較正した。全ての粘度測定において、少量サンプルアダプター及びスピンドルSC4−18を使用した。
【0053】
ゴム濃度及び含水量の測定
ゴム濃度や含水量などのセメント特性は、次の検査方法を用いて測定した。
【0054】
ドラフトチャンバーの中に用意されたクランプに空の遠心管を取り付ける。遠心管に90〜100mLのゴム溶液を入れる。セメントを約1000rpmで10分間遠心分離する。遠心分離機から試料を取り出し、水の体積(下層)及び総体積(ヘキサン及び水)を記録する。清浄/乾燥シリンジに約3mLの上層のヘキサン層を入れる。シリンジとセメントを小数第3位まで秤量する。重量を記録する。乾燥アルミニウム風袋を小数第3位まで秤量する。重量を記録する。シリンジで2〜3mLのゴム溶液を風袋に入れる。空のシリンジを小数第3位まで秤量する。重量を記録する。セメントが入った風袋をドラフトチャンバー内のホットプレートに置き、乾燥するまで放置する。乾燥後、風袋が冷えるまでデシケーターに置いておく。風袋プラスゴムを小数第3位まで秤量する。重量を記録する。
【0055】
計算
室温における水の密度を1g/mLとみなす
ヘキサン+ゴム溶液の密度は以下のように計算する
d、ヘキサン相の密度=(0.002071*S*100)+0.660
A=試料(ヘキサン+水)の総体積(mL)
B=水の体積(mL)
C=ヘキサン+ゴムの体積(mL、[A−B]と等しい)
D=シリンジ+セメントの重量
E=空のアルミニウム風袋の重量
F=セメントを風袋に移した後のシリンジ重量
G=アルミニウム風袋+乾燥ゴムの重量
S=得られた固形分
【数1】
%総固形分=(100−%水)*S
【0056】
結果
ラボバッチ式実験は、セメント製造中の溶解工程及び相分離工程に影響を与える重要なパラメーターを調べるために計画された。以下の表には、溶解工程及び相分離工程の重要なパラメーターを調べるために行われた対照実験が記載されている。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
ゴム溶液の特性
実験1〜18について、最初の水相の高さと実験終了時の最終的な水相の高さを基に、セメントの含水量を決定した(表7)。
【0064】
【表7】
【0065】
実験20〜31について、総固形分量、含水量、及び溶液粘度の測定を行うために、実験の終わりにセメント試料を採取した。
【0066】
全ての場合でゴムクラムは溶液に完全に溶解していた。結果は表8にまとめられている。
【0067】
【表8】
【0068】
(1)セメント/水相分離に対する初期撹拌時間、(2)静置分離速度に対するスラリー温度、(3)静置分離速度に対するゴムクラム径、(4)静置分離速度に対するステアリン酸カルシウム量、及び(5)静置分離プロファイルに対する種類、の影響がそれぞれ
図1〜5に示されている。
【0069】
ラボバッチ式実験の結果から、以下のことが結論付けられる。
(1)ゴムセメント相と水相の分離は、試験した全ての炭化水素溶媒(ヘキサン、メチルペンタン、n−ペンタン、及びイソペンタン)で観察された。
(2)60〜65℃の開始スラリー温度では、相分離は15分以内に平衡に達するようである。
(3)相分離の初期速度はスラリー温度に依存する(高温ほど初期相分離速度が速い)。
(4)相分離速度は混合時間に依存する。
(5)相分離はクラム径分布には影響されないようである(クラム径6.3〜19.9mm対0.5〜3.5mm)。
(6)ゴムクラム中のステアリン酸カルシウム量は初期相分離速度に影響を与え得る。
(7)室温で行われた、イソペンタンやn−ペンタンなどの低沸点溶媒を含む実験では、高温で行われた他の実験よりも低い分離速度で、20〜30分以内にきれいな相分離がみられた。
【0070】
実施例2−バッチ試験
手順の概要
製造スケール容器の詳細な設計寸法を決定するために、LANXESSゴムプラントで、4つのフラットバッフルと3段Viscoprop撹拌装置を備えた50Lの容器を用いてバッチ試験を行った。
【0071】
クラムをゴムプラントから採取し、バルク水から分離した。試験1回分のクラムの量は実験室で秤量した。同様にプラントのゴムスラリーから直接抜き出した水を、手作業で計量して混合容器に入れ、その後、予め秤量した量のゴムクラムを混合容器に入れた。撹拌装置を始動し、容器を閉じた。加熱ジャケットを用いて混合容器を目標温度まで加熱した。重合反応をクエンチした後、溶媒を必要な量計量して密閉した容器に入れた。容器側面ののぞき窓から流れ及び静置分離の挙動を観察した。密閉型容器の有機相及び水相から試料を抜き出した。有機相用のサンプリングロッドはスクリーンを備えていたため、試料に入り込んだ非溶解ゴム粒子は見られなかった。
【0072】
試験1
試験1の目的は、バルク水存在下でのヘキサンへのゴム溶解挙動を調べることであった。充填体積は45lであった。スラリー中のゴム濃度は8重量%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大19.4重量%であった(完全に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。容器へ入れる前にクラムの写真を撮影した。混合時間3、7、14、30、60、及び120分後に、撹拌装置を止めて有機相の試料を取り出した。その後ミキサーを再びスタートさせ、有機相を水相と混合した。混合時間3分及び7分後、分離及び明瞭な界面の出現には1分超を要する。混合時間14分後、相分離には約40秒要する。
【0073】
試験2
試験2の目的は、バルク水存在下でのイソペンタンへのゴム溶解挙動を調べることであった。充填体積は45lであった。スラリー中のゴム濃度は8%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大19.4%であった(完全に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。クラムの写真を撮影した。混合時間3、7、14、30、60、及び120分後に、撹拌装置を止めて有機相の試料を取り出した。その後有機相を水相と再び混合した。混合時間3分及び7分後、分離及び明瞭な界面の出現には1分超を要した。混合時間14分後、相分離には約40秒要した。
【0074】
溶解曲線は
図9に示されている。試験3、4、及び5の標準混合時間として23分を選択した。これはその時間後に約41%のゴムが溶解する時間であった。この溶液混合物は、静置分離に望ましい相分離を得ることができる。
【0075】
試験3
試験3の目的は、ヘキサン/水へのゴムの静置分離挙動及びバルク水除去後のヘキサンへのゴムの溶解挙動を調べることであった。充填体積は45lであった。スラリー中のゴム濃度は8%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大19.4%であった(十分に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。
【0076】
混合時間23分後に撹拌装置を停止して、有機相と水相から静置直後に、そして撹拌なしで30分後(有機相のみ)に、試料を採取した。セメント中に溶解しているゴムの濃度は約6.3%(23分撹拌後)及び6.4%(混合停止後30分、撹拌なしの静置時間)であった。これはゴムのうち33%の部分が溶解していたことに相当する。静置分離時間は約45秒であった。混合停止2分後、更なる界面変化は観察されなかった。
【0077】
静置30分後、水相を抜き出して有機相を再び120分撹拌した。撹拌システムはCMU用に最適化されていたため、すなわちそれぞれのミキサー中で高い液面であったため、撹拌状態は不十分であった。混合時間30、60、及び120分後、有機相の試料を採取した。溶解曲線は
図10に示されている。
【0078】
試験4
試験4の目的は、イソペンタン/水へのゴムの静置分離挙動及びバルク水除去後のイソペンタンへのゴムの溶解挙動を調べることであった。充填体積は45lであった。スラリー中のゴム濃度は8%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大19.4%であった(完全に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。
【0079】
混合時間23分後に撹拌装置を停止して、有機相と水相から静置直後に、そして撹拌なしで30分後(有機相のみ)に、試料を採取した。セメント中に溶解したゴムの濃度は約6.4%(23分撹拌後)及び6.4%(混合停止後30分、撹拌なしの静置時間)であった。これはゴムのうち33%の部分が溶解していたことに相当する。このことから、静置分離槽(撹拌なし)でゴムは非常にゆっくり溶解すると結論付けられる。
【0080】
静置分離時間は約30秒であった。ミキサーを停止して2分後、更なる界面変化は観察されなかった。その後、水相を抜き出して有機相を再び120分撹拌した。撹拌システムはCMU用に最適化されていたため、撹拌状態は不十分であった。混合時間30、60、及び120分後、有機相の試料を採取した。溶解曲線は
図10に示されている。
【0081】
試験5
試験5の目的は、より高い固形分濃度におけるイソペンタン/水へのゴムの静置分離挙動を調べることであった。充填体積は45lであった。スラリー中のゴム濃度は8%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大21.7%であった(完全に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。
【0082】
混合時間23分後に撹拌装置を停止して、有機相と水相から試料を採取した。セメント中に溶解したゴムの濃度は約7.5%であった。これはゴムのうち34.6%の部分が溶解していたことに相当する。静置分離時間は約30秒であった。ミキサーを停止して2分後、更なる界面変化は観察されなかった。
【0083】
試験6
試験6の目的は、イソペンタン/水の相間界面でのゴムのマット生成挙動を調べることと、マット破壊に必要な電力を調べることであった。充填体積は30lであった。スラリー中のゴム濃度は8%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大19.4%であった(完全に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。
【0084】
水、クラム、及び溶媒を撹拌しないで混合容器に入れた。30分後、撹拌装置のスイッチを入れ、マットが破壊されるまで回転速度を上げた。その後、混合物を更に7分、14分、及び30分(これらの混合時間後にミキサーを停止)撹拌して、低充填量(45lの代わりに30l)での有機相を目視で観察した。
【0085】
マットは低い入力電力(54rpm、0.02W/l)で破壊された。初期混合時間7分後では、明瞭なイソペンタン相がみられた(静置後)。初期混合時間14分後では、明瞭な有機相/溶媒相は見られず、有機相の成層は許容範囲であった。
【0086】
試験7
試験7の目的は、イソペンタン/水の中でのゴムのエマルション生成を調べることであった。充填体積は30lであった(のぞき窓で観察できる液位より低い液位)。スラリー中のゴム濃度は8%であった。有機相に対する乾燥ゴム濃度は最大19.4%であった(完全に溶解していた場合)。撹拌装置の比入力電力は1.2W/lであった。温度は50℃であった。
【0087】
23分の初期混合の後、撹拌装置を停止した。分離は1分以内に完了した。その後、混合物を再び1分撹拌し、次いで回転速度を落として配管中の流れをシミュレーションした。その後、回転速度を再び5〜7秒上げてポンプをシミュレーションした。その後、撹拌装置を停止した。界面は20mm低く、したがってエマルションが生成していた。これは、最初の分離後の初期状態と比較して有機相中に水が更に1.9l存在することに相当する。その後ミキサーのスイッチを再び入れた。初めの1分間の初期混合後、界面液位は変化しなかった。11分間の追加混合後、界面液位は元々の高さまで回復した。したがって、この種類のエマルションは長時間の撹拌によって破壊することができる。
【0088】
結果
試験1及び2で、ヘキサンとイソペンタンの溶解曲線が決定された(
図9参照)。ゴム/溶媒/水系では、イソペンタンは同じ時間でヘキサンよりも多くのゴムを溶解させる。偏差は分析精度の範囲内であろう。
【0089】
化学工学の原理から、同じ混合時間では、連続した2つの混合容器にすると、1つの混合容器と比較してより均一に混合される。複数の径の異なる混合槽での混合段階後の非溶解ゴムの量を計算するために、ヘキサンの溶解曲線と2つの理想的なCSTR滞留時間分布が用いられた(表9参照)。
【0090】
【表9】
【0091】
試験3、4、及び5の結果に基づいて、バッチ試験の特異的静置分離時間として40秒が選択された。特異的静置分離時間は、設計された連続操業型静置分離槽中の滞留時間ではない。これは、ゴム/水/溶媒系のある種の特性データとして定義することができる。
【0092】
ゴム/溶媒系では、バルク水の除去後、イソペンタンはヘキサンと比較して同じ時間で若干少ない量のゴムしか溶解しない(
図10参照)。しかし、不十分な撹拌条件のため、結果は典型的なものではない。精度の範囲内では、ヘキサンとイソペンタンの溶解挙動は同程度であると考えられる。
【0093】
試験6は、実験で観察されたゴムマットが低い入力電力(0.02W/l)で破壊可能であることを示している。
【0094】
試験7は、安定エマルションを生成することができ、かつこの種のエマルションを長時間撹拌することで破壊できることを示している。しかし、静置分離効率を高めるため、エマルションが生成し得る条件は避けるべきである。したがって、安定エマルションの生成を避けるために槽間の移送配管を最小限にする目的で、「一体型」のミキサー/静置分離槽が推奨される。
【0095】
実施例3−連続パイロットスケール試験
フルスケールの設計からスケールダウンしたパイロットミキサー/静置分離槽を作り、連続フロー条件下での混合効率及び静置分離効率を検証した。パイロットミキサー/静置分離槽は、2つの混合槽(それぞれ直径1200mm)と、直径508mmの静置分離槽で構成されている。混合部及び静置分離部の総体積は2920Lである。混合槽は撹拌装置を備えている。生成するゴムマットを破壊するために静置分離槽の端部に小さい撹拌装置が取り付けられている。ゴムスラリー及びプラントヘキサンは、メイン製造設備からパイロットユニットへ送られた。ミキサー静置分離槽から分離したセメント及び水は、製造ユニットに戻した。この試験は以下の条件で行われた。
− 製品グレード=BB2030ベースポリマー
− パイロット装置へのスラリー濃度=6重量%
− 目標セメント濃度=20重量%
− 混合撹拌速度(A8701及びA8702)は83%、すなわち141rpmに設定した
− ヘキサンのフローは連続的であり、スラリーのフローは断続的に入れた
− 静置分離槽界面は頻繁な視野確認を頼りに手動で制御した
− 出口水温によって示されるミキサー及び静置分離槽中の混合物温度は57〜59℃であった
− 試験された平均混合時間は36〜112分であった。
【0096】
ゴムセメント試料を静置分離槽部のセメント排出口から取り出し、セメントのゴム含量を測定した。水試料を静置分離槽部の水排出口から取り出し、GC分析を行って水相中の残留ヘキサン量を測定した。結果は
図11及び12に示され得る。
【0097】
パイロットスケール試験から、以下のことが結論付けられる。
− 最初の2つの混合槽での混合と、水/溶媒交換はうまくいった。
− 相分離は計画通りに生じた。
− ゴムは計画通りに部分的に溶解し、溶解したゴムの量は滞留時間と温度に依存する。溶解したゴムの量は、バッチ試験から見込まれる量よりも連続実験の量の方が多い。
− 溶媒としてイソペンタン又はイソヘキサンが使用される場合、前述のバッチ試験及びラボ試験に基づくと、相分離挙動に相違は見られないと予想される。