特許第6096183号(P6096183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096183
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】電子式個人用熱制御装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20170313BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20170313BHJP
   A61F 7/00 20060101ALI20170313BHJP
   A61F 7/08 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   A41D13/005 101
   A41D13/005 103
   A61F7/08 331
   A61F7/00 310E
   A61F7/08 361E
   A61F7/08 361G
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-516075(P2014-516075)
(86)(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公表番号】特表2014-518336(P2014-518336A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】US2012042950
(87)【国際公開番号】WO2012174528
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年6月11日
(31)【優先権主張番号】61/498,319
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513318593
【氏名又は名称】マイ・コア・コントロール,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィン,エドワード・エフ,ジュニア
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06268595(US,B1)
【文献】 特開2008−031581(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0198322(US,A1)
【文献】 米国特許第05658324(US,A)
【文献】 米国特許第06548728(US,B1)
【文献】 米国特許第05840080(US,A)
【文献】 米国特許第05032705(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00−13/12
A61F 7/00−7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人用熱制御装置を備える靴、ブーツまたはズボンであって、
前記個人用熱制御装置は、
携帯式の電源と、
熱モジュールと
を備え、
前記熱モジュールは、
熱電チップであり、
さらに、抵抗加熱素子を備え、
前記個人用熱制御装置は、1つのみの熱モジュールを提供し、該熱モジュールは、前記電源によって電力が供給され、
前記熱モジュールに印加される第1の電圧極性によって、前記熱モジュールの第1の側の温度を増大させ、前記熱モジュールに印可される第2の電圧極性によって、前記熱モジュールの前記第1の側の温度を低下させ、
前記熱モジュールは、前記靴、ブーツまたはズボンが着用されて着用者の中核体温が変化する場合に足首の脈動位置のところで前記靴、ブーツまたはズボンに位置決めされ、
前記脈動位置は、主要な血管に近接する領域であり、
前記個人用熱制御装置は、さらに、
前記熱モジュールの前記第1の側に連結される熱伝達要素と、
前記電源および前記熱モジュールに接続されるコントローラであって、前記熱モジュールに印可される電圧を管理するコントローラと
を備える個人用熱制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記電源は、バッテリ、再充電可能なバッテリ、または、太陽電池である
靴、ブーツまたはズボン。
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記装置は、さらに、
前記装置の動作を制御するためのオン/オフボタンと、
前記装置の状態に関する情報を表示するためのLEDインディケータと、
前記電源を再充電するための充電ポートと
を備える靴、ブーツまたはズボン。
【請求項4】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記熱伝達要素は、金属プレートまたは熱ゲルである
靴、ブーツまたはズボン。
【請求項5】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記装置は、さらに、熱ゲルを収容する区画を備え、
前記区画は、前記熱伝達要素と接触する
靴、ブーツまたはズボン。
【請求項6】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記装置は、さらに、放熱板を備え、
前記放熱板は、前記熱モジュールの前記第1の側と反対側の第2の側に連結される
靴、ブーツまたはズボン。
【請求項7】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記装置は、さらに、前記熱モジュールに隣接して位置決めされる断熱材を備える
靴、ブーツまたはズボン。
【請求項8】
個人用熱制御装置を備えるジャケットまたはシャツであって、
前記装置は、
携帯式の再充電可能なバッテリと、
前記再充電可能なバッテリと第1の熱電チップとに接続されるコントローラであって、第1の熱電モジュールに印加される電圧を管理するコントローラと
を備え、
加温または冷却のための前記第1の熱電モジュールは、前記コントローラに接続され、
前記第1の熱電モジュールは、
前記第1の熱電モジュールの構成要素を固定するための第1のハウジングを備え、
前記第1の熱電モジュールは、前記ジャケットまたはシャツが着用されて着用者の中核体温が変化する場合に右の手首の内側の第1の脈動位置のところで前記ジャケットまたはシャツの右の袖に位置決めされ、
前記第1の熱電チップは、前記第1のハウジング内に位置決めされるとともに、前記再充電可能なバッテリから電力が供給され、
前記第1の熱電チップは、前記ジャケットまたはシャツが着用されて着用者の中核体温が変化する場合に前記第1の脈動位置のところで前記ジャケットまたはシャツに位置決めされ、
前記第1の脈動位置は、主要な血管に近接しており、
前記第1の熱電モジュールは、さらに、前記第1の熱電チップの第1の側に連結される第1の熱伝達要素を備え、
前記装置は、さらに、加温または冷却のための第2の熱電モジュールであって、前記コントローラに接続される第2の熱電モジュールを備え、
前記第2の熱電モジュールは、前記ジャケットまたはシャツが着用されて前記着用者の中核体温が変化する場合に左の手首の内側の第2の脈動位置のところで前記ジャケットまたはシャツの左の袖に位置決めされ、
前記第2の熱電モジュールは、
前記第1のハウジングと分離された第2のハウジングであって、前記第2の熱電モジュールの構成要素を固定する第2のハウジングと、
前記第2のハウジング内に位置決めされるとともに、前記再充電可能なバッテリから電力が供給される第2の熱電チップと
を備え、
前記第2の熱電チップは、前記ジャケットまたはシャツが着用されて前記着用者の前記中核体温が変化する場合に前記第2の脈動位置のところで前記ジャケットまたはシャツに位置決めされ、
前記第2の脈動位置は、主要な血管に近接しており、
前記第2の熱電モジュールは、さらに、前記第2の熱電チップの第1の側に連結される第2の熱伝達要素を備える
ジャケットまたはシャツ。
【請求項9】
請求項に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記装置は、さらに、前記コントローラに接続される少なくとも1つの太陽電池を備え、
前記太陽電池は、前記再充電可能なバッテリによって蓄えられるエネルギーを発生させる
ジャケットまたはシャツ。
【請求項10】
請求項に記載の装置であって、
前記第1の熱伝達要素は、金属プレート、熱ゲル、または、これらの両方である
ジャケットまたはシャツ。
【請求項11】
請求項に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記装置は、さらに、放熱板を備え、
前記放熱板は、前記第1の熱電チップの前記第1の側と反対側の第2の側に連結される
ジャケットまたはシャツ。
【請求項12】
請求項に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記装置は、さらに、前記第1の熱電チップに隣接して位置決めされる断熱材を備える
ジャケットまたはシャツ。
【請求項13】
請求項1に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記携帯式の電源は、3.7Vのバッテリである
靴、ブーツまたはズボン。
【請求項14】
請求項13に記載の靴、ブーツまたはズボンであって、
前記バッテリは、24時間まで動作するのに十分な電力を供給する
靴、ブーツまたはズボン。
【請求項15】
請求項に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記携帯式の再充電可能なバッテリは、3.7Vのバッテリである
ジャケットまたはシャツ。
【請求項16】
請求項15に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記バッテリは、24時間まで動作するのに十分な電力を供給する
ジャケットまたはシャツ。
【請求項17】
請求項に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記第1の熱電モジュールは、さらに、抵抗加熱素子を備える
ジャケットまたはシャツ。
【請求項18】
請求項に記載のジャケットまたはシャツであって、
前記第1の熱電モジュールは、さらに、前記第1の熱電モジュールを前記コントローラに接続するコネクタを備える
ジャケットまたはシャツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、Edward F. Lavin, Jr.らの2011年6月17日に出願された米国特許仮出願第61/498,319号の利益を主張し、その内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0002】
[0002]本発明は、個人用熱制御装置に関し、さらに詳細には、効果的で長期使用できる個人用熱制御装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]寒いまたは暑い気候では、個人を快適にするために加温または冷却を提供することが望ましい場合がある。例えば、個人用加温または個人用冷却は、スキー、キャンプ、ハイキング、釣り、狩り、仕事、運動、軍事などとった活動において求められることがある。いくつかの場合では、負傷、筋肉痛または関節を暖めたり冷やしたりすることや、血液を冷却して脳のダメージを最小限に抑えることなどによって治療効果がもたらされることがある。
【0004】
[0004]人に個人用加温および/または冷却を提供するためにいくつかの先行技術が知られている。例えば、米国特許第5,766,235号、米国特許第5,514,170号および米国特許第6,514,279号は、様々な個人用装置を提供している。先行技術の加温される上着は、効率が悪い抵抗加熱を利用することがあり、熱を胴体中央部分や胸領域などの体の領域に熱を伝える。胴体中央部分または胸領域を加熱することによって加温が得られるものの、中核体温を変える効果は得られない。中核体温の変化は、体温計によって口で測定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,766,235号
【特許文献2】米国特許第5,514,170号
【特許文献3】米国特許第6,514,279号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0005]本明細書で説明されるような個人用熱制御デバイスは、体温の変化をもたらす。他のデバイスで使用することができる熱流体または熱ゲル(thermal gel)によって、限られた期間において、熱エネルギーが使い果たされるまでデバイスを使用することができるようになる。さらに、即座に使用する場合には、熱ゲルが人体によって加温または冷却されるので、デバイスの温度は、着実に上昇または低下する。冷却のためにデバイスを回復させるには、冷凍庫に十分な時間置いておくか、事前に冷却された代用の蓄熱パックと交換する必要があるであろう。電子加熱を利用する他の公知のデバイスは、稼働時間が短く、体を効率的には加温しない。
【0007】
[0006]本明細書で説明される個人用熱制御装置および方法によれば、熱モジュールを利用する加温および/または冷却が提供される。これらの装置は、装置の近傍の、中核体温で血液を両方向に移送している皮膚表面に位置する主要な血管に非常に近接する手首の内側の脈動位置(pulse point)領域または足首の内側の脈動位置領域に位置決めされ、血管と接触する表面積を最大化するように構成された熱プレートに暑いまたは冷たい一定の熱エネルギーを外部から伝達する。
熱伝達は、血液によって生じ、循環系は、血液を体中に送る。加温または冷却された血液を循環させることによって、使用者に望まれる中核体温の、反対の活発な(counter active)変化がもたらされる。これらの個人用熱制御装置によって、効率的な電子動作が提供され、大きさや電力の条件が低減される。これらの装置によって、動作時間が改善される。いくつかの実施形態では、バッテリとともに光起電力パッチが使用されてもよく、この場合、恒久的な動作が可能になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]電子式個人用熱制御装置および方法の実施形態は、ユーザのための加温および冷却を提供できる。電源が、伝熱構成要素を所望の温度まで加温または冷却できる加温/冷却モジュールに電力を供給してもよい。加温または冷却は、コントローラによって管理されてもよい。この構成要素は、ハウジング内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、装置および方法は、光起電力電池を利用して装置に電力を供給するか、電源を充電するか、または、それらの両方であってもよい。装置は、手首、足首(単数または複数)などの、ユーザの体の任意の適切な位置に配置されることができる。装置のハウジングは、リストバンド(単数または複数)、シャツ、履き物などの衣類に組み入れられていてもよく、衣類と結合していてもよい。
【0009】
[0008]他の実施形態では、個人用熱制御装置は、電源と、電源によって電力が供給される少なくとも1つの加温/冷却モジュールと、を備える。加温/冷却モジュールは、熱電素子を備えていてもよい。第1の電圧極性が熱電素子に印加される場合には、熱電モジュールの第1の側の温度が上昇し、第2の電圧極性が熱電素子に印加される場合には、熱電モジュールの第1の側の温度が低下する。また、装置は、熱電モジュールの第1の側に連結された熱伝達要素と、電源および熱電モジュールに接続されたコントローラと、を備えていてもよい。コントローラは、熱電モジュールに印加される電圧を管理する。
【0010】
[0009]さらに別の実施形態では、個人用熱制御装置は、再充電可能なバッテリと、加温または冷却するための第1の加温/冷却モジュールと、再充電可能なバッテリおよび第1の加温/冷却モジュールに接続されるコントローラと、を備える。コントローラは、加温/冷却モジュールに印加される電圧を管理する。第1の加温/冷却モジュールは、第1のハウジングと、第1のハウジング内に配置され、再充電可能なバッテリによって電力が供給される第1の加温/冷却モジュールと、熱電モジュールに連結される第1の熱伝達要素と、を備える。
【0011】
[0010]次の詳細な説明によっていっそう理解されるために、本開示の様々な特徴について比較的広く概説した。本開示の追加的な特徴および利点は、本明細書で後述される。本発明は、以下の形態としても実現可能である。
[形態1]
個人用熱制御装置であって、
電源と、
前記電源によって電力が供給される少なくとも1つの熱モジュールと
を備え、
前記熱モジュールに印加される第1の電圧極性によって、前記熱モジュールの第1の側の温度を増大させ、前記熱モジュールに印可される第2の電圧極性によって、前記熱モジュールの前記第1の側の温度を低下させ、
前記個人用熱制御装置は、さらに、
前記熱モジュールの前記第1の側に連結される熱伝達要素と、
前記電源および前記熱モジュールに接続されるコントローラであって、前記熱モジュールに印可される電圧を管理するコントローラと
を備える個人用熱制御装置。
[形態2]
形態1に記載の装置であって、
前記電源は、バッテリ、充電可能なバッテリ、または、太陽電池である
装置。
[形態3]
形態1に記載の装置であって、
前記熱モジュールは、衣服が着用されたときに脈動位置の近傍にある前記衣服の領域に位置決めされる
装置。
[形態4]
形態3に記載の装置であって、
前記衣服は、ジャケット、シャツ、セーター、コート、または、リストバンドであり、
前記脈動位置は、手首領域である
装置。
[形態5]
形態3に記載の装置であって、
前記衣服はズボン、靴、または、ブーツであり、
前記脈動位置は、足首領域である
装置。
[形態6]
形態1に記載の装置であって、
さらに、前記装置の動作を制御するためのオン/オフボタンと、
前記装置の状態に関する情報を表示するためのLEDインディケータと、
前記電源を再充電するための充電ポートと
を備える装置。
[形態7]
形態1に記載の装置であって、
前記熱伝達要素は、金属プレートまたは熱ゲルである
装置。
[形態8]
形態1に記載の装置であって、
さらに、熱ゲルを収容する区画を備え、
前記区画は、前記熱伝達要素と接触する
装置。
[形態9]
形態1に記載の装置であって、
さらに、少なくとも1つの追加的な熱モジュールを備え、
前記少なくとも1つの追加的な熱モジュールの各々は、前記コントローラに接続される
装置。
[形態10]
形態1に記載の装置であって、
さらに、放熱板を備え、
前記放熱板は、前記熱モジュールの前記第1の側と反対側の第2の側に連結される
装置。
[形態11]
形態1に記載の装置であって、
さらに、前記熱モジュールに隣接して位置決めされる断熱材を備える
装置。
[形態12]
形態1に記載の装置であって、
前記熱モジュールは、熱電チップである
装置。
[形態13]
形態12に記載の装置であって、
前記熱モジュールは、さらに、抵抗加熱素子を備える
装置。
[形態14]
個人用熱制御装置であって、
再充電可能なバッテリと、
加温または冷却のための第1の熱電モジュールと
を備え、
前記第1の熱電モジュールは、
第1のハウジングと、
前記第1のハウジング内に位置決めされる第1の熱電モジュールであって、前記再充電可能なバッテリから電力が供給される第1の熱電モジュールと、
前記熱電モジュールの第1の側に連結される第1の熱伝達要素と、
前記再充電可能なバッテリおよび前記第1の熱電モジュールに接続されるコントローラであって、前記熱電モジュールに印加される電圧を管理するコントローラと
を備える個人用熱制御装置。
[形態15]
形態14に記載の装置であって、
さらに、加温または冷却のための第2の熱電モジュールを備え、
前記第2の熱電モジュールは、
第2のハウジングと、
前記第1のハウジング内に位置決めされる第2の熱電モジュールであって、前記再充電可能なバッテリから電力が供給される第2の熱電モジュールと、
前記第2の熱電モジュールの第1の側に連結される第2の熱伝達要素と
を備える装置。
[形態16]
形態15に記載の装置であって、
前記再充電可能なバッテリおよび前記コントローラは、前記第1のハウジング内に固定される
装置。
[形態17]
形態15に記載の装置であって、
さらに、コントローラハウジングを備え、
前記コントローラハウジングは、前記再充電可能なバッテリおよび前記コントローラを固定する
装置。
[形態18]
形態14に記載の装置であって、
前記第1の熱電モジュールは、ジャケット、コート、セーター、シャツ、ヘッドバンド、リストバンド、ズボン、履き物、靴、または、ブーツに組み込まれる
装置。
[形態19]
形態14に記載の装置であって、
さらに、前記コントローラに接続される少なくとも1つの太陽電池を備え、
前記太陽電池は、前記再充電可能なバッテリによって蓄えられるエネルギーを発生させる
装置。
[形態20]
形態14に記載の装置であって、
前記第1の熱伝達要素は、金属プレート、熱ゲル、または、これらの両方である
装置。
[形態21]
形態14に記載の装置であって、
さらに、放熱板を備え、
前記放熱板は、前記熱モジュールの前記第1の側と反対側の第2の側に連結される
装置。
[形態22]
形態14に記載の装置であって、
さらに、前記熱モジュールに隣接して位置決めされる断熱材を備える
装置。
【0012】
[0011]本開示およびその利点をいっそう完全に理解するために、本開示の特定の実施形態が図示された添付図面とともに以下の説明がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0012]個人用熱制御装置の電子構成要素の概略図である。
図2】[0013]加温/冷却モジュールの実施形態の実施例である。
図3】[0014]加温/冷却モジュールの別の実施形態の実施例である。
図4】[0015]加温/冷却モジュールのさらなる実施形態の実施例である。
図5】[0016]2つ以上の加温/冷却モジュールを使用する個人用熱制御装置の実施例である。
図6】[0017]別の個人用熱制御装置の実施例である。
図7】[0018]コントローラモジュールの実施例である。
図8】[0019]履き物用の個人用熱制御装置の実施例である。
図9】[0020]太陽光モジュールの実施例である。
図10】[0021]外部バッテリモジュール実施例である。
図11A】[0022]様々な個人用熱制御システムの実施例である。
図11B】様々な個人用熱制御システムの実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023]以下で図面を参照するが、図示される構成要素は、必ずしも縮尺通りに示されておらず、いくつかの図面にわたって、同様または類似の構成要素には、同一の参照番号が付されている。
【0015】
[0024]概して図面に関して、図示は、本開示の特定の実施形態を説明する目的であり、これらに限定されることを意図していないことが理解されよう。本明細書で使用される用語のほとんどは、当業者に理解されるであろうが、明確に定義されていなくても、用語は当業者に現在受け入れられる意味を採用しているものとして解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0016】
[0025]本明細書で説明される個人用熱制御装置および方法によって、長期間に亘って人の中核体温を変化させる効果を奏する。この装置は、人体の特定の対象領域に加温または冷却を電子的に提供することができる。非限定的な例として、加温/冷却モジュールは、主要な血管、および、手首、足首または人体の他の領域の脈動位置に位置する毛細血管床の上に直接的に戦略的に配置されてもよい。人の中核体温の平均は、手首領域および足首領域の脈動位置に位置する特定の表面領域内にある主要な血管および皮膚表面の直下に位置する毛細血管を流れる血液によって、熱力学的熱吸収によって効果的に上昇または低下され得る。
【0017】
[0026]一実施形態では、加温/冷却モジュールは、熱伝素子であってもよい。熱伝素子によって、温度差を作り出す電位を生じさせることができ、または、電位を作り出す温度差を生じさせることができる。装置は、熱伝素子に電圧を印加することによって加温/冷却を行うために熱電素子(単数または複数)を利用してもよい。熱電素子に提供される印加電圧の極性は、加温または冷却のいずれが提供されるのかを決定する。いくつかの実施形態では、加温/冷却モジュールは、また、抵抗加熱素子を備えていてもよい。
【0018】
[0027]個人用熱制御装置は、人の中核体温を要求に応じて効率的に上昇または低下させることができる。あらゆる年齢の男性、女性および子供は、長期間にわたって所望のように加温または冷却を提供するために、日常の生活の中で個人用熱制御装置を使用してもよい。個人用熱制御装置は、衣服、上着、コート、ジャケット、セーター、ウィンドブレーカー、シャツ、ズボン、短パン、リストバンド、履き物、それらの組み合わせなどに組み込まれてもよい。個人用熱制御装置は、スポーツ、リクレーション、仕事、キャンプ、釣り、ハイキングおよび軍事使用などの広範囲の活動に適している。個人用熱制御装置は、また、熱治療または冷却治療が求められる医療用途に使用されてもよい。例えば、装置は、炎症、高熱、脳卒中後の脳ダメージの安定化および最小化、頭部損傷などと格闘するために使用されてもよい。
【0019】
[0028]個人用熱制御装置は、動作期間を著しく増大させることを可能にするために、加温/冷却モジュールを利用してもよい。さらに、個人用熱制御装置は、使用中に亘って一定温度を維持することができる。デバイスの様々な特徴は、ユーザの中核体温を効率的に上昇または低下させることができる改善された機能を提供する。熱モジュールを使用して熱プレートまたは同様の大きさを加温または冷却することによって、非常に小さい電流を使用して着用者のための効果的な加温または冷却が実現され得る。装置の低電力の要求によって、従来技術の装置と比べて、長期間(例えば、24時間以上)の動作が可能になる。光起電力/太陽光発電を組み入れることによって、動作期間をさらに長くすることができ、恒久的な動作を可能にする可能性がある。恒久的または延長された動作は、コンセントの電源にアクセスできない場合に特に有用である。例えば、恒久的または延長された動作は、軍事利用において非常に有益となることができる。
【0020】
[0029]図1は、個人用熱制御装置の電子構成要素の概略図である。この装置は、電源10と、コントローラ20と、熱モジュール(単数または複数)30−1,30−2,30−nと、I/Oインタフェース(単数または複数)40と、電力入力ポート50と、を備え得る。電源10は、装置のための電力を供給する。電源10は、外部電源、太陽光パネル、バッテリ、再充電可能なバッテリなどであってもよい。適切なバッテリの非限定的な例には、ニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリが含まれ得る。一実施形態では、電源10は、3.7Vであってもよい。また、バッテリは、2,500mAhのリチウムイオンバッテリであってもよい。電源10は、コントローラ20に接続され、コントローラ20は、熱モジュール(単数または複数)30またはI/Oインタフェース(単数または複数)40に電力を送り、バッテリの充電を管理する。コントローラ20は、装置の様々な動作を管理する。限定はされないが、このような動作は、加温/冷却管理、充電、動作モード、I/Oインタフェース(単数または複数)との通信などである。いくつかの実施形態では、加温/冷却管理は、着用者の中核体温を常時監視するセンサよって統制されてもよく、コントローラ20は、不都合な気候条件に対抗する必要に応じた加温または冷却に適応する。コントローラ20は、マイクロプロセッサ、プロセッサ、CPU、集積回路、または、これらの組み合わせであってもよく、これらは、本明細書で説明するような装置の動作のためにプログラムされていてもよい。例えば、コントローラ20は、バッテリ監視(電圧および電流の監視が含まれる)、バッテリ状態表示(例えば、残量低下、充電中)、機能状態表示(例えば、充電中、冷却中または加温中)、内蔵式充電回路などの機能を提供してもよい。
【0021】
[0030]熱モジュール(単数または複数)30は、コントローラ20によって構成要素に印加される電圧にしたがって加温および/または冷却を提供してもよい。コントローラ20は、必要に応じて、熱モジュール(単数または複数)30の1つ以上に電圧を印可してもよい。熱モジュール(単数または複数)30は、ユーザへの熱伝導効率を最大化するために戦略的に位置決めされてもよい。例えば、熱モジュール(単数または複数)30は、Laird Technologies社のモデル番号Cp08,63,06Lの熱電チップであってもよい。他の個人用熱制御デバイスとは対照的に、熱モジュール(単数または複数)30は、比較的小さい電源(例えば、3.7Vのバッテリ)を使用して動作する。いくつかの実施形態では、熱モジュール(単数または複数)30は、また、抵抗加熱素子を備えていてもよい。I/Oインタフェース(単数または複数)40は、装置が、ユーザが装置を操作、制御および/または管理することを可能にするインタフェースに接続されることを可能にする。I/Oインタフェース(単数または複数)40は、外部デバイス(例えば、携帯電話、携帯式音楽デバイス、他の携帯式電子機器など)のためのポートを備えていてもよい。また、I/Oインタフェース(単数または複数)40は、制御ボタン/インタフェースを備えていてもよい。例えば、制御ボタンは、ユーザが動作モード(例えば、加温または冷却)を選択することや、加温モードまたは冷却モードの設定を行うこと(低(50%出力)、中(75%出力)、高(100%出力))などを可能にするものであってもよい。他の例として、装置は、制御インタフェース、ディスプレイ、視覚表示部、音声表示部、および、これらの組み合わせなどを備えていてもよい。非限定的な例では、I/Oインタフェース40は、オン/オフボタンと、充電状態、加温または冷却、動作モード(例えば、低、中、高)、デバイスが使用中の電源などを表示する視覚表示部と、を備えていてもよい。充電ポート50は、充電に適した外部電源に装置が接続されることを可能にするコネクタを備えていてもよい。例えば、電源ポート50は、交流電源への接続に適したものであってもよく、2.0アンペアコネクタであってもよく、USBコネクタであってもよく、他の適切な電気コネクタであってもよい。また、いくつかの実施形態では、電源ポート50は、太陽光電池または外部バッテリなどの携帯式電源に接続されてもよい。
【0022】
[0031]いくつかの実施形態では、装置は、歩数計、時計、ストップウォッチ、ディスプレイ、時間/距離/歩幅情報、GPS位置、ブルートゥースもしくは他の通信技術および/または他の機能などの追加的な機能を備えていてもよい。
【0023】
[0032]図2A〜2Cは、コントローラ、電源およびユーザインタフェースを有する加温/冷却モジュール200の実施形態である。いくつかの実施形態では、熱電モジュール200は、主加温/冷却モジュールと称され得る。加温/冷却モジュール200は、熱モジュール210と、コントローラボード220と、バッテリ230と、熱プレート240と、ユーザインタフェース250と、を備え得る。加温/冷却モジュール200は、ユーザに個人用熱制御を効率的に提供するために、手首や足首の領域などの脈動位置に位置する主要な血管および毛細血管床上に直接的に戦略的に位置決めされてもよい。例えば、熱電モジュール200は、ユーザの手首の血管を冷却するリストバンドに使用されてもよい。
【0024】
[0033]熱モジュール210は、電気エネルギーを利用してリストバンドの底部を加温または冷却してもよい。例えば、熱モジュール210は、電圧が印加されたときに加温し、逆極性が印加されたときに冷却を行う熱電チップであってもよい。熱モジュール210は、オプションとしての放熱板(単数または複数)への改善された取り付けのために、表面が金属で形成されていてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、熱モジュール210は、また、抵抗加熱素子を備えていてもよい。熱モジュール210は、コントローラボード220に電子的に接続されていてもよい。コントローラボード220は、熱電装置の動作を管理する回路基板であり、コントローラ、プロセッサ、メモリ、モジュール、様々な電子素子、または、これらの組み合わせが含まれてもよい。また、コントローラボード220は、バッテリ230または外部電源などの電源に接続されてもよい。バッテリ230は、装置に電力を供給する携帯式電源を提供する。バッテリ230は、24時間まで動作するのに十分な電力を提供し得る。バッテリ出力が低下した場合、バッテリ230を再充電するため、および/または、装置に電力を供給するために、外部電源が使用されてもよい。
【0025】
[0034]コントローラボード220は、熱モジュール210およびバッテリ230に接続される。選択された設定に基づいて、コントローラボード220は、熱モジュール210に供給される電力を制御する。例えば、所望の温度が選択された場合、コントローラは、熱モジュール210に供給される電力量を管理して、所望の温度を達成してもよい。さらに、コントローラボード220は、バッテリの充電、光表示などの追加的な機能を管理し得る。
【0026】
[0035]コントローラボード220によって提供されるコントローラ(例えば、CPU、マイクロプロセッサなど)は、装置によって提供される機能を制御してもよい。限定はされないが、これらの機能には、バッテリ接続、充電、電力オンオフ制御、光起電力管理、表示動作、各熱モジュールに供給される電力、他の所望の機能が含まれる。
【0027】
[0036]プレート240は、好ましくは、熱モジュール210と接触して熱伝達を最大化し得る。プレート240は、熱効率または熱伝導率が高い材料から形成されてもよい。例えば、プレート240は、銅またはアルミニウムであってもよい。プレート240は、ハウジング290内に位置決めされ、プレートとユーザとの距離が最小限に抑えられる。例えば、図示される実施形態では、プレート240は、ユーザに接触する領域に最も近い領域において、コントローラボード220および熱モジュール210よりも下方に位置決めされる。プレート240は、血管を加温または冷却するために熱吸収を最大化するように特別に成形された表面領域を備えていてもよい。例えば、プレート240は、プレートと、ユーザの手首または足首の血管と、の接触面積を最大化するために、長く薄くてもよい。いくつかの実施形態では、熱エネルギーの伝達を補助するために、プレートと接触する熱ゲル(図示省略)が設けられていてもよい。例えば、足首または手首を囲むバンドは、ユーザへの熱伝達をさらに補助するために、熱ゲルを含んでいてもよい。さらに、他の実施形態では、熱ゲルは、プレートで代用されてもよい。熱伝達プレートと同様に、熱ゲルは、手首、足首または他の適切な位置などの人の体の望ましい位置に位置決めされ得る。
【0028】
[0037]プレート240よりも上方の領域には、プレートからモジュールの他の部品への望ましくない熱伝達を最小限に抑えるために、断熱材245が設けられている。断熱材245によって、加温または冷却の大半がユーザに吸収されることが可能になる。熱モジュール210によって生じる温度差に起因して、反対側の熱プレート240は、異なる温度を提供してもよい。例えば、冷却が望まれる場合には、熱伝達プレート240に連結された熱モジュール210の側は温度が低く、反対側は温度が高い。望ましくない熱を放熱するために、ハウジング290内の通気孔255が設けられて、モジュールから熱が放熱されることを可能にしている。いくつかの実施形態では、放熱を補助するために、オプションとして放熱板(図示省略)が熱モジュール210の頂部に設けられてもよい。例えば、熱モジュール210が冷却時に熱を発生させる構成部品を使用する場合には、放熱を補助するために、放熱板が設けられることが望ましい。
【0029】
[0038]ユーザインタフェース250は、ユーザが装置を操作するためのI/Oインタフェース(単数または複数)を提供する。例えば、図示される実施形態では、ユーザインタフェースは、充電ポート260と、ボタン270と、LEDインディケータ280と、を備え得る。充電ポート260は、装置に電力を供給するか、電源を充電するか、または、その両方を行う。充電ポート260は、光起電力電池、交流電源、直流電源などといった適切な電源に接続されてもよい。ボタン270は、ユーザがデバイスの動作を制御することを可能にする。例えば、ボタンが押されて、低加温、中加温、高加温、低冷却、中冷却、高冷却などの様々な動作モードと、着用者の中核体温からの逸脱を検知するセンサモードと、オフモードと、が繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、追加的な入力、ボタン、スイッチなどが備えられていることが望ましい場合がある。I/Oインタフェース(単数または複数)は、装置に対して、オンオフされること、モードを選択すること、所望の温度にデバイスを設定することなどを可能にしてもよい。装置は、LEDインディケータすなわちLEDディスプレイ280を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、インディケータ(単数または複数)は、LCDディスプレイ、追加的なLED、光インディケータなどで代用されてもよく、これらを備えていてもよい。LEDインディケータすなわちLEDディスプレイ280は、充電が生じている場合、出力が低い場合、ユーザによって設定された温度、動作モード、装置がバッテリおよび外部電力のいずれで動作しているか、などを表示してもよい。
【0030】
[0039]加温/冷却モジュール200は、このモジュールを保護するためにハウジング290によって取り囲まれている。ハウジング290は、適切な所望の任意の形状に形成され得る。例えば、ハウジング290は、ユーザの手首、足首などの周りに快適に適合するために人間工学的に成形され得る。さらに、ハウジング290は、ユーザの手首、足首などとの接触面積を最大化するために成形され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング290は、防水されていてもよい。例えば、ハウジング290は、ポリカーボネートの骨組みであってもよい。ハウジング290およびプレート240は、快適性のために、また、効率的な熱伝達を提供するために、人間工学的に構成され得る。薄いポリカーボネートのシェルが電子構成部品を覆う位置にスナップ嵌めされてもよく、さらに、熱電モジュール200の全体がモールドされる。例えば、モールドは、耐久性、防水性、および、人の汗を含む他の要素からデバイスを保護するために、サノプレン(sanoprene)ゴムなどの材料であってもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング290は、熱電モジュール200をリストバンド、衣服/上着、履き物、または他の装身具に縫い付けるか取り付けるための領域を備えていてもよい。
【0031】
[0040]装置から電子的に生成される加温または冷却を、脈動位置上に直接的に位置決めされた熱伝導性材料のプレートを使用して成形面を介して特定の血管(単数または複数)に外部から提供することによって、要求に応じて外部で生成された加温または冷却を利用して、ユーザをより快適にすることができる。加温または冷却を血管に適用することによって、ユーザは、主要な血管に近接していない領域に適用される加温または冷却を利用する装置と比べて、より効率的な冷却または加温を体験する。例えば、加温/冷却モジュール200は、手首、足首、1つ以上の血管を有する人の他の部分、または、それらの組み合わせの近くの動脈および/または静脈に位置決めされてもよい。
【0032】
[0041]この新たなプロセスは、加温および/または冷却を提供することに焦点があてられたいくつかの異なる消費財で利用され得る。個人用熱制御デバイスは、衣服(シャツ、ズボン、短パンなど)、上着(ジャケット、スエットシャツ、セーターなど)、リストバンド、履き物および他の装身具で利用され得る。
【0033】
[0042]個人用熱制御装置は、バッテリ、再充電可能なバッテリ、太陽光発電、外部電源、または、これらの組み合わせによって、電力が供給されてもよい。一実施形態では、装置は、バッテリによって電力が供給される。また、装置は、交流電源もしくは直流電源または光起電力/太陽光発電電池(単数または複数)から電力を受け取る(例えば、再充電可能なバッテリを充電すること、電源から直接的に動作すること、または、その両方)ために、入力ポートを備えていてもよい。一実施形態では、装置は、3.7Vの再充電可能なリチウムバッテリを使用してもよい。
【0034】
[0043]また、装置は、電力を発生させるために使用し得る1つ以上の光起電力パッチを備えていてもよい。例えば、パッチは、衣服の袖または肩に縫い付けられていてもよいし、リストバンドに設けられていてもよいし、履き物に設けられていてもよい。装置は、光起電力電池によって部分的にまたは完全に電力が供給されてもよい。太陽光エネルギーは、デバイスに電力を直接的に供給することができ、あるいは、電力を電源に充電して蓄電するのに使用できる。光起電力電池を使用することによって、動作時間を延ばすことができ、外部のコンセント電源を容易に利用できない場所での動作を可能にする。
【0035】
[0044]光起電力電池パッチは、太陽光への暴露を最大化する場所に位置決めされてもよい。光起電力電池は、透明なプラスチックの中に収容されて、デバイスを衣類などに縫い付けるか取り付けるために利用し得る縁部を作り出すために、ゴム状の材料でモールドされてもよい。光起電力電池に当たる光の強度を拡大するために、透明なプラスチックカバーにレンズがモールドされてもよく、反射性を最大化し、併せて、光の強度を増大させ、生み出される電流を最大化するために、ホログラフィー背景(holographic background)とともにレンズが使用されてもよい。光起電力パッチは、例えば配線などによって、個人用熱制御装置に電子的に接続され得る。
【0036】
[0045]図3A〜3Dは、放熱板が組み込まれた加温/冷却モジュールの実施形態である。熱モジュール210とコントローラボード220と、バッテリ230と、プレート240と、ボタン270とが、他の実施形態で説明されたように設けられている。いくつかの実施形態では、放熱板295が熱モジュール210に設けられることが望ましい。また、放熱をさらに補助するために、ファン297が設けられることが望ましい。熱モジュール210が冷却のために利用される場合、熱モジュールの第1の側は冷却され、反対側は温かくなる。放熱板295は、熱モジュール210の温かい側からの放熱を増大させる。ハウジング290の頂部には、ハウジングを介した放熱を改善するために、通気孔が形成されてもよい。熱電モジュールの放熱機能によって、熱がモジュールから放熱されることが可能になり、それによって、近傍の構成部品または着用者の体による熱吸収が制限されるか防止される。
【0037】
[0046]性能を最大化するために、各構成の態様にわたって断熱材および熱反射性が使用されてもよい。透明なポリカーボネート材料がフレームまたは骨組みに使用されてもよい。骨組みは、各デバイスの内部および外部での熱反射性を最大化するために、ポリカーボネート内にモールドされた赤外線反射片(fleck)を利用してもよい。性能を最大化するために、断熱材が各デバイスにわたって使用されてもよい。さらに、製品耐久性を最大化するために材料が選択される。
【0038】
[0047]図4A〜4Cは、個人用熱制御デバイスの追加的な加温/冷却モジュール300の実施形態である。加温/冷却モジュール300は、コントローラ、バッテリ、または、ユーザインタフェースを備えていない簡素化されたモジュールである。いくつかの実施形態では、加温/冷却モジュール300は、それ自体は、簡素化熱電モジュールと称され得る。個人用熱制御装置のいくつかの実施例では、1つ以上の加温/冷却モジュールを有することが望ましい場合がある。例えば、ジャケット、コート、上着、セーター、ズボンなどの衣服内に2以上の熱電モジュールが設けられることが望ましい場合がある。追加的な加温/冷却モジュール300が必要とされる場合、これらの追加的なモジュールは、簡素化されて、他の実施形態で設けられるコントローラボード、バッテリおよびインタフェースが取り除かれてもよい。追加的な加温/冷却モジュール300は、上述したのと同一の機能を提供する、熱モジュール310と、プレート340と、断熱材345と、ハウジング390と、を備えている。追加的な加温/冷却モジュール300は、システム内において加温/冷却モジュールの各々についての動作を管理するコントローラに接続されることを可能とするコネクタ355を備えていてもよい。
【0039】
[0048]図5は、2以上の加温/冷却モジュールを利用する個人用熱制御装置400の実施形態である。この装置の主加温/冷却モジュール410は、装置の動作を制御するコントローラボードなどを備えていてもよい。例えば、主加温/冷却モジュール410は、図2A〜2Cまたは図3A〜3Dに図示されるような加温/冷却モジュールであってもよい。追加的な加温/冷却モジュール420−1,420−2,420−nは、図4A〜4Cに図示されるような、バッテリ、コントローラボード、または、ユーザインタフェースを必要としない簡素化されたモジュールである。追加的な加温/冷却モジュール420−1,420−2,420−nは、それぞれ、主加温/冷却モジュール410に配線接続され、追加的な加温/冷却モジュールは、主加温/冷却モジュールによって制御され、電力が供給される。例えば、一実施形態では、装置は、手首領域の近傍のジャケットの袖の各々に加温/冷却モジュールを備えていてもよい。加温/冷却モジュールは、加温/冷却モジュールの各々が着用者の手首の近傍に位置するように、ジャケットの袖に縫い付けられていてもよい。主加温/冷却モジュールは、ジャケットの左または右の袖に設けられてもよく、一方、他のモジュールは、ジャケットを通って主モジュールに配線接続された簡素化されたモジュールである。
【0040】
[0049]図6は、他の個人用熱制御装置450の実施形態である。他の実施形態では、コントローラボード460と、バッテリ465と、ユーザインタフェース470と、を備えるコントローラモジュール455は、加温/冷却モジュール480−1,480−2,480−nとは別体のコントローラハウジング内に設けられていてもよい。加温/冷却モジュール480−1,480−2,480−nは、バッテリ、コントローラボード、または、ユーザインタフェースを必要としない簡素化されたモジュールである。加温/冷却モジュール480−1,480−2,480−nの各々は、コントローラモジュール455に配線接続されており、コントローラモジュール455は、加温/冷却モジュールの各々を制御し、これらに電力を供給する。
【0041】
[0050]例えば、一実施形態では、ジャケット、コート、セーターなどの各袖用に2つの加温/冷却モジュールが設けられてもよい。このさらなる拡張モジュールは、袖に縫い付けられる。コントローラモジュールは、ハウジング内に別体で設けられており、このハウジングは、ジャケットの他の領域、例えば、胸部の近傍の領域に縫い付けられる。ジャケット内の配線ハーネスは、加温/冷却モジュールの各々をコントローラモジュールに接続する。
【0042】
[0051]図7A〜7Cは、コントローラモジュール600の実施形態である。コントローラモジュールは、ハウジング610と、引張部(pull)620と、充電コネクタ630と、コントローラボード640と、マイクロプロセッサ650と、I/Oコネクタ660と、外部電力コネクタ670と、熱モジュールコネクタ680と、バッテリ690とを備え得る。ハウジング610は、コントローラモジュール600の構成部品を固定し(secure)、保護する。引張部620は、コントローラモジュール600の構成部品がアクセスされ得ることを可能にする。充電コネクタ630は、コントローラモジュール600が交流電源または直流電源などの外部電源に接続されることを可能にする。
【0043】
[0052]図7Bおよび図7Cは、ハウジング610が取り外されたコントローラモジュール600の構成部品を示す。コントローラボード640は、システムの動作を管理し制御するためのマイクロプロセッサ650を備えている。また、コントローラボード640は、ボタンまたはインタフェースに接続されることを可能とするI/Oコネクタ660を備え得る。外部電力コネクタ670は、太陽光発電電池または拡張バッテリパックなどの外部電源が接続されることを可能とする。TMコネクタ680は、熱モジュールがコントローラボード640に接続されることを可能にする。バッテリ690は、システムのための蓄電を提供する。
【0044】
[0053]図8は、履き物用の個人用熱制御装置の実施形態である。履き物用の一実施形態では、靴の各々は、加温/冷却モジュール00を備えている。加温/冷却モジュール00は、熱モジュール10と、コントローラボード20と、プレート40と、熱ゲルパッド50と、バッテリ60とを備え得る。上述したように、コントローラボード20は、加温/冷却モジュール00の様々な機能の動作、例えば、充電、モジュールへの電力供給、動作モードなどを管理する。熱モジュール10は、モジュールに印可される電圧の極性に従ってプレート40を加温または冷却する。プレート40および熱ゲルパッド50は、ユーザの体への効率的な熱伝達を提供する。人体の特定の領域では、体への効率的な熱伝達に適した人間工学的な態様でプレート40を製造することが困難な場合がある。ゲルパッド50は、効率的な熱伝達を表示する液体またはゲル状態にある材料を有している。ゲルパッド50は、液体またはゲルであるので、ゲルパッドがゲルパッドの近くに位置決めされる人体の領域と、ゲルパッドそのものと、の間での広い面積での接触を提供するように容易に成形できる。いくつかの実施形態では、プレート40は省略されてもよく、ゲルパッド50は、熱伝達の主要手段として機能する。また、加温/冷却モジュール00は、オプションとして、装置を動作させるか充電するための追加的な電力を提供するために、光起電力パッチ(図示省略)を備えていてもよい。
【0045】
[0054]図9A〜9Cは、太陽光モジュール00の実施形態である。太陽光に曝されることによって太陽光エネルギーを発生させる光起電力パネル10が個人用熱制御装置で使用されてもよい。光起電力パネル10は、反射性を増大させて電流の発生を最大化するために、ホログラフィー背景を備えていてもよい。ハウジング20は、透明なポリカーボネートなどであってもよい。ハウジング20にレンズ40を設けて、光起電力電池による電力発生を増大させるために、小さな表面領域にわたって光を拡大し、強めてもよい。例えば、レンズ40は、凹レンズであってもよい。縁部30は、ハウジング20の1つ以上の端部の周りに設けられる。縁部30は、熱電モジュール00を衣類または衣服に縫い付けるか配置するのに利用され得る。縁部30は、限定はされないが、ゴム、サノプレン、TPEなどの適切な材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、太陽光モジュールと、加温/冷却モジュールまたは加温/冷却モジュールの1つ以上の構成部品と、を組み合わせることが望ましい場合がある。
【0046】
[0055]図10Aおよび図10Bは、外部電源1000の実施形態である。外部電源1000は、ハウジング1010と、引張部1020と、バッテリ1030とを備え得る。ハウジング1010は、外部電源1000を固定し、保護する。引張部1020は、外部電源がアクセスされることを可能にする。バッテリ1030は、外部電源1000が個人用熱制御装置に接続された場合に、システムのための追加的な電力を提供する。
【0047】
[0056]図11Aおよび図11Bは、様々な個人用熱制御システムの実施形態である。本明細書で説明される個人用熱制御システムは、様々な用途で利用され得る。非限定的な例には、軍事、運動、キャンプ、釣り、ハイキング、アウトドア活動、治療などが含まれる。加温/冷却モジュール(単数または複数)は、手首、足首、または、人体の他の任意の脈動位置に設けることができる。例えば、加温/冷却モジュール(単数または複数)は、衣服、衣類、装身具、ジャケット、コート、リストバンド、履き物などに設けられ得る。いくつかの実施形態では、衣類の一部が他の部分に接続されて、個人用熱制御システムが接続されてもよい。例えば、ズボンの個人用熱制御システムがジャケット内に設けられた個人用熱制御システムに接続されてもよい。
【0048】
[0057]本開示の特定の形態を説明するために本明細書で実施形態が説明された。本明細書で説明された実施形態は、単に、本開示の例示的な実施形態を表すものであることが当業者に理解されるできである。当業者は、本開示を考慮して、説明された特定の実施形態において多くの変更がなされ得ること、また、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。上述の説明から、当業者は、本開示の本質的な特徴を容易に突き止めることができ、また、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行って本開示を様々な使用法および条件に適合させることができる。本明細書で上述した実施形態は、例示に過ぎず、本開示の範囲を限定するものとして捉えられるべきではない。
【符号の説明】
【0049】
10…電源
20…コントローラ
30−1,30−2,30−n…熱モジュール
40…I/Oインタフェース
50…電力入力ポート
200…加温/冷却モジュール
210…熱モジュール
220…コントローラボード
230…バッテリ
240…熱伝達プレート
245…断熱材
250…ユーザインタフェース
255…通気孔
260…充電ポート
270…ボタン
290…ハウジング
295…放熱板
297…ファン
310…熱モジュール
340…プレート
345…断熱材
355…コネクタ
390…ハウジング
400…個人用熱制御装置
420−1,420−2,420−n,480−1,480−2,480−n…加温/冷却モジュール
450…個人用熱制御装置
455…コントローラモジュール
460…コントローラボード
465…バッテリ
470…ユーザインタフェース
600…コントローラモジュール(図7
600…加温/冷却モジュール(図8
600…太陽光モジュール(図9
610…ハウジング(図7
610…熱モジュール(図8
610…光起電力パネル(図9
620…コントローラボード(図8
620…ハウジング(図9
620…引張部(図7
630…充電コネクタ(図7
630…縁部(図9
640…コントローラボード(図7
640…プレート(図8
640…レンズ(図9
650…マイクロプロセッサ(図7
650…熱ゲルパッド(図8
660…バッテリ(図8
660…I/Oコネクタ(図7
670…外部電力コネクタ
680…熱モジュールコネクタ
690…バッテリ
1000…外部電源
1010…ハウジング
1020…引張部
1030…バッテリ
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B