(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0038】
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図1】BMA031はEuCIV3よりも強くαβTCRと結合することを示すグラフである。PE標識BMA031抗体と、BMA031 MoIgG2b、BMA031 HuIgG1、およびEuCIV3 HuIgG1抗体との結合の競合を示す。EuCIV3は、BMA031と比較して低い効力を有する。
【
図2】in vitroでの教育(IVE)アッセイで、EuCIV3はBMA031よりも低い効力を有することを示すグラフである。プロットは、生物学的アッセイにおいて、親のBMA031抗体と比較した場合のEuCIV3ヒト化抗体の性能の損失を示す。CD8+T細胞を、様々な濃度(x軸)の抗αβTCR抗体で処理し、CMVペプチド495〜503(pp65)がパルス投与された自己樹状細胞と共に7日間培養した。
【
図3】競合アッセイにおいてHEBE1がBMA031と同等にαβTCRと結合することを示すグラフである。PE標識BMA031抗体と、BMA031 HuIgG1、HEBE1 HuIgG1、およびEuCIV3 HuIgG1抗体との結合の競合を示す。EuCIV3は、BMA031およびHEBE1と比較して低い効力を有する。
【
図4】in vitroでの教育(IVE)アッセイでHEBE1はEuCIV3と類似した効力を有することを示すグラフである。IVEアッセイは
図2に関して記述されているようにして行われた。
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図5】抗αβTCR可変ドメインの変異誘発の反復工程を示す略図である。影を付けたボックスのフレームワークは、所定のマウス残基が存在するFR領域を示す。第1行における突然変異のうち影を付けた残基は、オフレート(off−rate)を維持するのに有用なマウスアミノ酸である。第2列における突然変異のうち影を付けた残基は、最終的な増殖工程で保持されたCDR領域周囲のマウス残基である。
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図6】最適化されたヒト化抗体はBMA031と比較して改善されたオフレートを有することを示すグラフである。T細胞におけるαβTCRからの抗体の解離のカイネティクスをフローサイトメトリーによって測定した。BMA031は、EuCIV3およびHEBE1と比較してより優れたオフレートを有していた。HEBE1の結合ドメインを最適化することによって、発明者等は、BMA031と比較してHEBE1.H10のオフレートを改善することができた。
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図7】最適化されたヒト化抗体はBMA031と比較して改善されたオフレートを有することを示すグラフである。T細胞におけるαβTCRからの抗体の解離のカイネティクスをフローサイトメトリーによって測定した。HEBE1の結合ドメインを最適化することによって、発明者等は、BMA031と比較してHEBE1.H66のオフレートを改善することができた。
【
図8】最適化されたヒト化抗体は、Δabおよび非グリコシル化フォーマットの両方において、BMA031と比較して改善されたオフレートを有することを示すグラフである。T細胞におけるαβTCRからの抗体の解離のカイネティクスをフローサイトメトリーによって測定した。
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図9】HEBE1の最適化によりBMA031と同等の官能性が得られることを示すグラフである。IVEアッセイは
図4で記述されている通りである。BMA031は、特異的な標的を用量依存的に溶解させることができないため、CD8+T細胞の教育を阻害した。親のヒト化抗体、HEBE1はBMA031ほど効力を有しておらず、最大用量でしか教育を阻害することができなかった(第2の改善されていないヒト化Ab、HEBE1 H13を用いた場合も類似の結果が観察された)。ヒト化抗体、HEBE1 H10にさらなる改善を施したところ、このアッセイにおいてBMA031と同等の効力を示した。
【
図10】抗αβTCR抗体を用いたIVEデータを示すグラフである。HEBE1およびGL1BMシリーズの抗体はいずれも、IVEの結果においてBMA031と比較して改善を示した。
【
図11】抗原特異的な四量体の結合によって決定されたIVEアッセイによる抗原陽性細胞を示すグラフである。抗原陽性の(すなわちIVEアッセイで教育された)細胞は、MHC−四量体分子に結合可能である。IVEアッセイをT細胞の抗原への教育を防ぐことができる抗体の存在下で行ったところ、アッセイの終了時にMHC−四量体に結合可能な細胞は減少した。
【
図12】抗αβTCR抗体、OKT3、および刺激ビーズの存在でのPBMC増殖を示すグラフである。この比較において、抗αβTCR抗体ではOKT3の刺激活性は観察されなかった。
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図13】抗αβTCR抗体の存在下でのPBMCからのサイトカイン放出を示すグラフである。抗αβTCR抗体のサイトカイン放出プロファイルは、BMA031によって示されたプロファイルに類似していた。
【
図14】IVEアッセイにおけるT細胞からのIFN−ガンマの放出を示すグラフである。CD8+T細胞を、様々な濃度(
図2のx軸を参照)の抗αβTCR抗体で処理し、in vitroでの教育(IVE)アッセイでCMVペプチド495〜503(pp65)がパルス投与された自己樹状細胞と共に7日間培養した。このアッセイでは、IFN−ガンマ放出を測定した。
【
図15】抗αβTCR抗体によって活性化誘導アポトーシスを示すグラフである。抗原によって刺激されたCD8+T細胞において、抗αβTCR抗体BMA031およびHEBE1 H66の結合によりアポトーシスが誘導された。HEBE1 H66のアポトーシスを誘導する能力はBMA031と比較して増加した。
【
図16】グリコシル化突然変異体および非グリコシル化抗体の単離を示す図である。クーマシーブルー染色されたゲルは、グリコシル化突然変異体の発現および精製を示す。
【
図17】Biacoreを用いたαβTCR抗体突然変異体のヒトFcγRIIIaへの結合を示すグラフである。Biacoreを用いて、組換えヒトFcγRIIIa(V158およびF158)への結合を評価した。
【
図18】Biacoreを用いたαβTCR抗体突然変異体のヒトFcγRIへの結合を示すグラフである。Biacoreを用いて、組換えヒトおよびFcγRIへの結合を評価した。
【
図19】グリコシル化突然変異体の抗αβTCR抗体の存在下でのPBMCからのサイトカイン放出(2日目)を示すグラフである。抗αβTCR抗体のTNFa、GM−CSF、IFNy、およびIL10に関するサイトカイン放出プロファイルは、BMA031およびH66デルタABによって示されたプロファイルに類似していた。
【
図20】グリコシル化突然変異体の抗αβTCR抗体の存在下でのPBMCからのサイトカイン放出(2日目)を示すグラフである。抗αβTCR抗体のIL6、IL4およびIL2に関するサイトカイン放出プロファイルは、BMA031およびH66デルタABによって示されたプロファイルに類似していた。
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図21】グリコシル化突然変異体の抗αβTCR抗体の存在下でのPBMCからのサイトカイン放出(4日目)を示すグラフである。抗αβTCR抗体のTNFa、GM−CSF、IFNy、およびIL10に関するサイトカイン放出プロファイルは、BMA031およびH66デルタABによって示されたプロファイルに類似していた。
【
図22】グリコシル化突然変異体の抗αβTCR抗体の存在下でのPBMCからのサイトカイン放出(4日目)を示すグラフである。抗αβTCR抗体のIL6、IL4およびIL2に関するサイトカイン放出プロファイルは、BMA031およびH66デルタABによって示されたプロファイルに類似していた。
【
図23】TRACERの結合プロファイルを示すグラフである。フローサイトメトリーによって評価された腫瘍標的細胞およびヒトT細胞の両方に対して二重特異性を有する抗体の結合プロファイルを示す。
【
図24】様々なT細胞動員アームの細胞毒性活性を示すグラフである。ヒト化BMA031抗体のパネルを作製し、このパネルから、腫瘍抗原を発現する細胞系に対して細胞毒性活性を示す多数の抗体を選択した。
【
図25】様々なT細胞動員アームのサイトカイン放出プロファイルを示すグラフである。様々なT細胞動員アームを有するTRACERのパネルは、類似のサイトカイン放出プロファイルを示す。標的細胞の存在下では、T細胞活性化後に大量のサイトカインが検出されるが、刺激されていないヒトPBMCのみの存在下では、観察されるサイトカインレベルはそれよりも有意に低い。
【
図26】Biacoreを用いたCD52抗体の突然変異体のヒトFcγRIIIaへの結合を示すグラフである。Biacoreを用いて、改変された抗CD52の組換えヒトFcγRIIIa(V158)への結合を評価した。FcドメインにS298N/Y300S突然変異を含む抗CD52を使用して、改変された分子のエフェクター機能を評価した。A:CD52ペプチドへの結合。B:FcγRIIIa(V158)への結合。C:対照としてのマウスFcRnへの結合。
【発明を実施するための形態】
【0039】
特に他の指定がない限り、本明細書において用いられる全ての専門用語や科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の方法または技術において、本明細書において記述されるものと類似する、または同等ないかなる方法および材料も使用することができる。本明細書で引用された全ての出版物は、本発明に関して使用される可能性がある出版物で報告された方法論、試薬、およびツールを記述し開示する目的で、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0040】
本願の方法および技術は、一般的に、特に他の指定がない限り、当技術分野で周知の従来の方法に従って、本明細書全体で引用され考察された様々な一般的でより詳細な参考文献に記載されているようにして行われる。例えば、Gennaro,A.R.編(1990年)Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.;Hardman,J.G.、Limbird,L.E.、およびGilman,A.G.編(2001年)The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw−Hill Co.;Colowick,S.ら編、Methods In Enzymology、Academic Press,Inc.;Weir,D.M.およびBlackwell,C.C.編(1986年)Handbook of Experimental Immunology、I〜IV巻、Blackwell Scientific Publications;Maniatis,T.ら編(1989年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、I〜III巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.ら編(1999年)Short Protocols in Molecular Biology、第4版、John Wiley&Sons;Reamら編(1998年)Molecular Biology Techniques:An Intensive Laboratory Course、Academic Press;Newton,C.R.およびGraham,A.編(1997年)PCR(Introduction to Biotechniques Series)、第2版、Springer−Verlagを参照されたい。
【0041】
本明細書で言及される、ヒト化モノクローナル抗体は、ヒト以外の抗体由来の相補性決定領域(CDR)をグラフトしたヒト抗体のフレームワークで構成される抗体である。またヒトアクセプターのフレームワークの変更がなされていてもよい。ヒト化抗体の設計および生産の手法は当技術分野で周知であり、例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願第0125023号;Bossら、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許出願第0120694号;Neuberger、M.S.ら、WO86/01533;Neuberger,M.S.ら、欧州特許出願第0194276号B1;Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許出願第0239400号;Padlan,E.A.ら、欧州特許出願第0519596号で記述されている。抗体、ヒト化抗体、ヒト型に改造された抗体、およびそれらの調製方法に関するさらなる詳細は、Kontermann,R.およびDuebel,S.編(2001、2010)Antibody Engineering、第2版、Springer−Verlag、New York、NYに見出すことができる。
【0042】
用語「抗体」は、特に他の指定がない限り、抗体全体およびこのような抗体の抗原結合断片を指すのに用いられる。この用語は、例えば、4本鎖のIgG分子および抗体断片を包含する。
【0043】
用語「抗体断片」は、本明細書で用いられる場合、例えば以下でさらに記述されるような無傷の全長の抗体の部分を意味する。
【0044】
抗体は、例えばIgG、IgAまたはIgMなどのいかなるクラスに属するものでもよく、例えばIgG1またはIgG4などのいかなるサブクラスに属するものでもよい。免疫グロブリンの異なるクラスおよびサブクラスはそれぞれ異なる特性を有しており、それぞれ異なる用途で有利な可能性がある。例えばIgG4抗体のFc受容体への結合は少ない。
【0045】
特異性とは、本明細書において記述される抗体に関して、特許請求された抗体が、その所定の同種抗原、すなわちαβTCR.CD3複合体と選択的に結合できることを意味する。本発明の抗体は、細胞で発現されるαβTCR.CD3複合体と結合する。
【0046】
ヒトαβTCR/CD3複合体は、T細胞表面に提示されるT細胞受容体複合体である。Kuhnsら(2006年)Immunity 24:133〜139を参照されたい。この複合体は、マウスモノクローナル抗体BMA031によって標的化される(欧州特許出願EP0403156;配列番号1および2を参照)。
【0047】
天然に存在する免疫グロブリンは、共通のコア構造を有しており、このようなコア構造において、2本の同一な軽鎖(約24kD)と2本の同一な重鎖(約55または70kD)とが四量体を形成する。各鎖のアミノ末端部分は可変(V)領域として知られており、各鎖の残りのより高度に保存された定常(C)領域と区別することができる。軽鎖の可変領域(またはV
Lドメインともいう)内には、J領域として知られているC末端部分がある。重鎖の可変領域(またはV
Hドメインともいう)内には、J領域に加えてD領域もある。免疫グロブリンにおけるアミノ酸配列変化の大部分は、抗原結合に直接的に関与する高度可変領域または相補性決定領域(CDR)として知られているV領域中の3つの別々の位置に限定される。これらの領域は、アミノ末端側から順に、それぞれCDR1、CDR2、およびCDR3と名付けられている。これらのCDRは、より高度に保存されたフレームワーク領域(FR)によって所定位置に保持される。これらの領域は、アミノ末端側から順に、それぞれFR1、FR2、FR3、およびFR4と名付けられている。CDRおよびFR領域の位置および番号付けシステムは、Kabatら(Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健社会福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、米国政府印刷局(U.S.Government Printing Office)(1991年)、この最新版はオンラインでみることができる)で定義されている。加えて、CDR領域の境界は、IMGTの命名法によってさらに定義されている。
【0048】
記述した実施形態に係る抗体の可変領域は、配列番号5〜7および12〜16に見出すことができ、このような可変領域は、BMA031をヒト化すること、すなわちBMA031のCDRをヒトフレームワークに移すことにより得ることもできる。2種の一連のヒト化抗体、すなわち配列番号5〜7、12、および13を含むHEBE1シリーズと、配列番号8、15、および16で示されるような重鎖可変領域を含むGL1BMシリーズとが記述されている。いずれの場合でも、用いられる軽鎖可変領域は、配列番号14で示されるようなものである(GL1BM VK43)。
【0049】
用いられるヒトフレームワークは、HEBE1の場合はIGH3−23であり、GL1BMの場合はIGHV1−3
*01およびIGKV3−11
*01である。
【0050】
定常領域は、いかなるヒト抗体の定常領域由来のものでもよい。可変領域の遺伝子を発現ベクターの定常領域の遺伝子と共にインフレームにクローニングして、免疫グロブリン重鎖と軽鎖とが発現されるようにしてもよい。このような発現ベクターは、抗体合成のために抗体産生宿主細胞にトランスフェクトすることができる。
【0051】
ヒト抗体の可変および定常領域は、配列データベース由来のものでもよい。例えば、免疫グロブリン配列は、IMGT/LIGMデータベース(Giudicelliら(2006)Nucleic Acids Res.34:(増補版1):D781〜D784)またはVBase(vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk)で入手可能である。
【0052】
非グリコシル化抗体は、広範に改変された官能性を有する可能性がある;Boydら(1996年)Mol.Immunol.32:1311〜1318を参照されたい。本明細書に記載されている「デルタab」またはΔab改変は、Armourら(1999)Eur.J.Immunol.29:2613〜2624で記載されているようなFc改変である。抗体のFc領域のグリコシル化を改変するための技術は当技術分野で知られており、化学的、酵素的、および突然変異による手段、例えばCH
2ドメイン中のN297位の突然変異が挙げられる。非グリコシル化IgG分子を生産するために抗体の遺伝子を突然変異させる技術は、TaoおよびMorrison(1989年)J.Immunol.143:2595〜2601で記述される。
【0053】
本明細書で言及される、「核酸」は、本発明の抗体をコードするDNA分子を含む。好ましくは、宿主細胞中で抗体の遺伝子を発現するのに適した発現ベクターである。抗体遺伝子発現のための発現ベクターおよび宿主細胞は当技術分野でよく知られている;例えば、Morrow,K.J.Genetic Engineering&Biotechnology News(2008年6月15日)28(12)、およびBackliwal,G.ら(2008年)Nucleic Acids Res.36(15):e96〜e96を参照されたい。
【0054】
1.抗体
本発明は、ヒト化抗αβTCR抗体の抗原結合断片を包含する。上記抗体の断片は、αβTCR.CD3複合体と結合することができる。このような断片は、Fab、Fab’、F(ab’)
2、およびF(v)断片、または個々の軽鎖または重鎖可変領域もしくはそれらの部分を包含する。断片としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)
2、FvおよびscFvが挙げられる。これらの断片は、無傷抗体のFc部分がなく、無傷抗体よりも迅速に循環系から排出され、無傷抗体よりも非特異的な組織結合を少なくすることができる。これらの断片は、周知の方法を用いて無傷抗体から生産することができ、例えばパパイン(Fab断片を生産する)またはペプシン(F(ab’)
2断片を生産する)などの酵素でのタンパク質分解的切断によって生産することができる。
【0055】
上記抗体および断片はまた、αβTCR.CD3複合体に結合する単鎖抗体断片(scFv)も包含する。scFvは、抗体の軽鎖可変領域(V
L)に機能するように連結した抗体の重鎖可変領域(V
H)を含み、これらの重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、一緒にまたは個々に、αβTCRと結合する結合部位を形成する。scFvは、アミノ末端の端部にV
H領域、およびカルボキシ末端の端部にV
L領域を含んでいてもよい。あるいはscFvは、アミノ末端の端部にV
L領域、およびカルボキシ末端の端部にV
H領域を含んでいてもよい。さらに、Fv断片の2つのドメイン、V
LおよびV
Hは別々の遺伝子によってコードされているが、組換え法を用いて、これらをV
L領域とV
H領域とが対になった単一のタンパク質鎖にすることができる合成リンカーによって連結して、1価の分子(単鎖Fv(scFv)として知られている)を形成することができる。scFvは、場合により、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間にポリペプチドリンカーをさらに含んでいてもよい。
【0056】
上記抗体および断片はまた、Ward,E.S.ら(1989年)Nature 341:544〜546で記載されているようなV
Hドメインからなるドメイン抗体(dAb)断片も包含する。
【0057】
上記抗体および断片はまた、重鎖抗体(HCAb)も包含する。これらの抗体は、重鎖可変領域のみを用いて抗原結合領域を形成することが報告されており、この点において、これらの機能的な抗体は、重鎖のみの二量体である(「重鎖抗体」または「HCAb」と称される)。従って、抗体および断片は、αβTCR.CD3複合体に特異的に結合する重鎖抗体(HCAb)であってもよい。
【0058】
上記抗体および断片はまた、αβTCR.CD3複合体に特異的なSMIPまたは結合ドメインと免疫グロブリンとの融合タンパク質である抗体も包含する。これらのコンストラクトは、抗体のエフェクター機能を実行するのに必要な免疫グロブリンドメインに融合した抗原結合ドメインを含む単鎖ポリペプチドである(WO2005/017148を参照)。
【0059】
上記抗体および断片はまた、二重特異性抗体も包含する。このような抗体および断片は、V
HおよびV
Lドメインが、単一のポリペプチド鎖で、ただし同じ鎖に2つのドメイン間で対を形成させるには短すぎるリンカーを用いて発現される2価抗体である。それによりこれらのドメインはその他の鎖の相補的ドメインと対を形成させられ、2つの抗原結合部位が形成される(例えば、WO93/11161を参照)。二重特異性抗体は、二重特異性であってもよいし、または単一特異性であってもよい。
【0060】
上記抗体またはその抗体断片は、αβTCR.CD3複合体以外のいかなる標的とも交差反応しない。
【0061】
上記抗体またはその断片は、その血清中半減期を長くするように改変してもよく、例えばPEGまたはその他の水溶性ポリマー、例えば多糖ポリマーなどの分子を付加することによって改変し、半減期を長くすることができる。
【0062】
上記抗体およびその断片は、二重特異性であってもよい。例えば、二重特異性抗体は、単一抗体(または抗体断片)と類似しているが、2種の異なる抗原結合部位(可変領域)を有していてもよい。二重特異性抗体は、例えば化学的技術、「ポリドーマ(polydoma)」技術または組換えDNA技術などの様々な方法によって生産することができる。二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なるエピトープへの結合特異性を有していてもよく、そのうち少なくとも一方は、αβTCR.CD3複合体である。他方の特異性は、例えばin vivoでの半減期延長のためにヒト血清アルブミンへの特異性など、いかなる有用な特異性または所望の特異性から選択することができる。
【0063】
目下、診察機関における腫瘍学的用途のための二重特異性抗体の使用は、悪性腹水のケースで使用するために承認された三官能性カツマキソマブ(Catumaxomab)(Removmab(登録商標))と、現在、血液学的な悪性疾患において第II相試験段階にある二重特異性抗体のブリナツモマブ(Blinatumomab)とが現実のものになりつつある。これらの分子は、共通して、T細胞に結合する結合アームと、腫瘍標的細胞に結合してT細胞媒介の腫瘍標的の溶解を引き起こす第2のアームとを有する。さらに共通して、これらの分子は、細胞表面上にあるCD3タンパク質を介してT細胞を動員する。CD3を介した動員の代わりに、細胞表面上に発現されるαβT細胞受容体(αβTCR)も利用される。従って、本発明に係る抗体を使用して、腫瘍関連抗原への特異性とαβT細胞受容体(αβTCR)への特異性とを組み合わせることによって抗腫瘍抗体を開発することができる。
【0064】
2.抗体産生
本明細書に記載の抗体の可変ドメインのアミノ酸配列は、配列番号5〜7および12〜16に記載される。抗体産生は、当技術分野で周知のいかなる技術によっても行うことができ、例えば、ヤギ(Pollockら(1999)J.Immunol.Methods 231:147〜157を参照)、ニワトリ(Morrow,K.J.J.(2000)Genet.Eng.News 20:1〜55を参照)、マウス(上記のPollockらを参照)、または植物(Doran,P.M.(2000)Curr.Opinion Biotechnol.11:199〜204、Ma.J.K−C.(1998)Nat.Med.4:601〜606、Baez,J.ら(2000)BioPharm.13:50〜54、Stoger,E.ら(2000)Plant Mol.Biol.42:583〜590を参照)などのトランスジェニック生物において行うことができる。また抗体は、化学合成によって、または宿主細胞での抗体をコードする遺伝子の発現によっても生産することができる。
【0065】
上記抗体をコードするポリヌクレオチドは、単離されて、複製可能なコンストラクトまたはベクター、例えば宿主細胞でのさらなる増殖または発現のためのプラスミドに挿入される。記述した実施形態に係るヒト化免疫グロブリンの発現に適したコンストラクトまたはベクター(例えば発現ベクター)が当技術分野において利用可能である。様々なベクターが利用可能であり、例えば、宿主細胞において単一コピーまたは複数コピーで維持されるベクター、または宿主細胞の染色体(複数可)に組み込まれるようになるベクターが挙げられる。コンストラクトまたはベクターは、適切な宿主細胞に導入することができ、ヒト化免疫グロブリンを発現する細胞は、培養で生産し維持することができる。ヒト化免疫グロブリンの発現のために、1種のベクターまたは複数種のベクターを用いることができる。
【0066】
上記抗体をコードするポリヌクレオチドは、従来の手法(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)を用いて容易に単離され配列決定される。使用できるベクターとしては、プラスミド、ウイルス、ファージ、トランスポゾン、微小染色体が挙げられ、なかでも典型的な実施形態はプラスミドである。一般的に、このようなベクターはさらに、発現を容易にするように軽鎖および/または重鎖ポリヌクレオチドに機能するように連結したシグナル配列、複製起点、1種またはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終結配列を含む。軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドを別々のベクターに挿入して、(例えば形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーションまたは形質導入によって)同時または連続的に同じ宿主細胞に導入してもよいし、あるいは必要に応じて、このような導入の前に、重鎖および軽鎖の両方を同じベクターに挿入してもよい。
【0067】
適切な宿主細胞での発現のために、プロモーターを使用することができる。プロモーターは、構成的であってもよいし、または誘導性であってもよい。例えば、プロモーターをヒト化免疫グロブリンまたは免疫グロブリン鎖をコードする核酸に機能するように連結して、プロモーターによってコードされたポリペプチドの発現が指示されるようにしてもよい。原核性および真核性の宿主にとって適切な様々なプロモーターが利用可能である。原核性プロモーターとしては、大腸菌(E.coli)の場合、lac、tac、T3、T7プロモーター;3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたはその他の糖分解酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース6リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、およびグルコキナーゼが挙げられる。真核性プロモーターとしては、誘導性の酵母プロモーター、例えばアルコール脱水素酵素2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネイン、および窒素代謝またはマルトース/ガラクトースの利用に関与する酵素;RNAポリメラーゼIIプロモーターとしては、ウイルスプロモーター、例えばポリオーマ、鷄痘およびアデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(具体的には、前初期遺伝子プロモーター)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、アクチン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、および初期または後期シミアンウイルス40、ならびに非ウイルスプロモーター、例えばEF−1アルファ(MizushimaおよびNagata(1990)Nucleic Acids Res.18(17):5322)が挙げられる。当業者であれば、ヒト化抗体またはその部分を発現させるのに適したプロモーターを選択することができる。
【0068】
必要に応じて、例えば高等真核生物細胞で発現させる場合、上述のプロモーター中の既存のエンハンサー要素の代わりに、またはそれに加えて、追加のエンハンサー要素が含まれていてもよい。適切な哺乳動物のエンハンサー配列としては、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、フェトプロテイン、メタロチオネイン、およびインスリン由来のエンハンサー要素が挙げられる。あるいは、真核細胞のウイルス由来のエンハンサー要素、例えばSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、バキュロウイルスエンハンサー、またはマウスIgG2a遺伝子座を使用することもできる(WO04/009823を参照)。このようなエンハンサーは、ベクター中のプロモーター上流の部位に配置されることが多いが、これらはその他の場所に配置されていてもよく、例えば、非翻訳領域内、またはポリアデニル化シグナル下流に配置されていてもよい。エンハンサーの選択および位置決定は、発現に用いられる宿主細胞との適合性に基づいていてもよい。
【0069】
加えて、ベクター(例えば発現ベクター)は、ベクターを有する宿主細胞の選択のための選択マーカーを含んでいてもよく、複製可能なベクターの場合、複製起点を含んでいてもよい。一般的な選択マーカーは、抗生物質耐性または薬物耐性を付与する生成物をコードする遺伝子であり、これらは、原核細胞(例えばf3−ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)、Tet遺伝子(テトラサイクリン耐性)、および真核細胞(例えばネオマイシン(G418またはゲネチシン)、gpt(マイコフェノール酸)、アンピシリン、またはハイグロマイシン耐性遺伝子)で用いることができる。ジヒドロ葉酸レダクターゼマーカー遺伝子は、様々な宿主でメトトレキセートでの選択を可能にする。宿主の栄養要求性マーカーの遺伝子産物をコードする遺伝子(例えばLEU2、URA3、HIS3)は、酵母での選択マーカーとして用いられることが多い。ウイルス(例えばバキュロウイルス)またはファージベクター、および宿主細胞のゲノムに組み込むことができるベクター、例えばレトロウイルスベクターの使用も企図される。
【0070】
真核細胞系において、ポリアデニル化および終結シグナルが、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドに機能するように連結される。このようなシグナルは、典型的にはオープンリーディングフレームの3’に配置される。哺乳動物系において、ポリアデニル化/終結シグナルの非限定的な例としては、成長ホルモン、延長因子−1アルファ、およびウイルス(例えばSV40)遺伝子またはレトロウイルスのロングターミナルリピートに由来するシグナルが挙げられる。酵母系において、ポリアデニル化/終結シグナルの非限定的な例としては、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)およびアルコール脱水素酵素1(ADH)遺伝子に由来するシグナルが挙げられる。原核細胞系において、ポリアデニル化シグナルは、典型的には必要ではなく、代わりにそれより短くより明確なターミネーター配列を用いることが一般的である。ポリアデニル化/終結配列の選択は、発現に用いられる宿主細胞との適合性に基づいていてもよい。上記に加えて、収量を高めるのに使用できるその他の特徴としては、クロマチン再構築因子、イントロン、および宿主細胞特異的なコドン改変が挙げられる。本発明の抗体のコドン使用を改変して、転写物および/または生成物の収量を増大させるように宿主細胞のコドンバイアスを適応させることもできる(例えばHoekema,A.ら(1987年)Mol.Cell Biol.7(8):2914〜24)。コドンの選択は、発現に用いられる宿主細胞との適合性に基づいていてもよい。
【0071】
従って本発明は、ヒト化免疫グロブリン、またはそれらの重鎖または軽鎖をコードする単離された核酸分子に関する。本発明はまた、免疫グロブリンおよびそれらの鎖の抗原結合部位をコードする単離された核酸分子にも関する。
【0072】
上記抗体は、例えば適切な宿主細胞で上記抗体をコードする組換え核酸の1種またはそれ以上を発現させることによって生産することができる。宿主細胞は、いかなる適切な方法を用いて生産することができる。例えば、本明細書に記載の発現コンストラクト(例えば1種またはそれ以上のベクター、例えば哺乳動物細胞の発現ベクター)を適切な宿主細胞に導入して、得られた細胞を、コンストラクト(複数可)またはベクター(複数可)の発現に適した条件下で(例えば培養物中で、動物中で、植物中で)維持することができる。宿主細胞は、原核細胞としては、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)(例えばDH5a(商標)株)(Invitrogen、Carlsbad、CA)、PerC6(Crucell、Leiden、NL)、枯草菌(B.subtilis)、および/またはその他の適切な細菌;真核細胞、例えば真菌または酵母細胞(例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス種、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa))、またはその他の下等真核細胞、ならびに高等真核生物細胞、例えば昆虫由来の細胞(例えばドロソフィラ・シュナイダー(Drosophila Schnieder)S2細胞、Sf9昆虫細胞)(WO94/126087(O’Connor))、BTI−TN−5B1−4(High Five(商標))昆虫細胞(Invitrogen)、哺乳類(例えばCOS細胞、例えばCOS−1(ATCC登録番号CRL−1650)およびCOS−7(ATCC登録番号CRL−1651)、CHO(例えばATCC登録番号CRL−9096)、CHODG44(Urlaub,G.およびChasin,L.A.(1980年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77(7):4216〜4220)、293(ATCC登録番号CRL−1573)、HeLa(ATCC登録番号CCL−2)、CVI(ATCC登録番号CCL−70)、WOP(Dailey,L.ら(1985年)J.Virol.、54:739〜749)、3T3、293T(Pear,W.S.ら(1993年)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、90:8392〜8396)、NSO細胞、SP2/0細胞、HuT78細胞など、または植物(例えばタバコ、ウキクサ科植物(ウキクサ)、および藻類)であってもよい。例えば、Ausubel,F.M.ら編.Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing AssociatesおよびJohn Wiley&Sons Inc.(1993年)を参照されたい。いくつかの実施形態において、宿主細胞は多細胞生物(例えば植物または動物)の一部ではなく、例えば単離された宿主細胞であるか、または細胞培養物の一部である。
【0073】
宿主細胞は、スピナーフラスコ、振盪フラスコ、ローラーボトル、ウェーブリアクター(例えばwavebiotech.comのシステム1000(System 1000))または中空糸システムで培養することもできるが、ラージスケールでの生産の場合、具体的には撹拌槽反応器またはバッグリアクター(bag reactor)(例えばWave Biotech、Somerset、New Jersey USA)を特に懸濁培養に使用することが好ましい。撹拌槽反応器は、例えばスパージャー、バッフルまたは低剪断インペラーを用いて通気されるように改造してもよい。バブルカラムおよびエアリフト反応器の場合、空気または酸素の気泡での直接的な通気が使用される場合もある。無血清培養培地で宿主細胞が培養される場合、通気過程に起因する細胞の損傷を防ぐために、細胞保護剤、例えばプルロニック(Pluronic)F−68を培地に補足してもよい。宿主細胞の特徴に応じて、マイクロキャリアーを足場依存性細胞系の増殖基質として用いてもよいし、あるいはこれらの細胞を懸濁培養に適合させてもよい。宿主細胞、特に脊椎動物の宿主細胞の培養は、例えばバッチ式、流加バッチ式、反復バッチ式処理(Drapeauら(1994年)Cytotechnology 15:103〜109を参照)、長期バッチ式過程または潅流培養などの様々な操作様式を利用してもよい。組換えによって形質転換した哺乳動物の宿主細胞は、ウシ胎仔血清(FCS)を含む培地などの血清含有培地中で培養することができるが、このような宿主細胞は、必要に応じてグルコースなどのエネルギー源および組換えインスリンなどの合成増殖因子が補足された、例えばKeenら(1995)Cytotechnology 17:153〜163で開示された無血清培地、または例えばProCHO−CDMもしくはUltraCHO(商標)(Cambrex NJ、USA)などの市販の培地中で培養されることが好ましい。宿主細胞の無血清培養は、宿主細胞を無血清条件での成長に順応させることが必要な場合がある。順応アプローチの一つは、このような宿主細胞を血清含有培地で培養し、培養培地の80%を無血清培地で繰り返し交換して、宿主細胞が無血清条件に順応できるようにすることである(例えば、Scharfenberg,K.ら(1995年)Animal Cell Technology:Developments Towards the 21st Century(Beuvery,E.C.ら編)、619〜623ページ、Kluwer Academic publishersを参照)。
【0074】
記述した実施形態に係る抗体を培地に分泌させ、それから様々な技術を用いて回収し精製して、目的とする使用に適した程度の精製を達成することができる。例えば、患者(ヒト)を治療するための治療用抗体の使用では、還元SDS−PAGEによって決定した場合に、治療用抗体を含む培養培地と比較して典型的には少なくとも95%の純度、より典型的には98%または99%の純度が求められる。まず遠心分離を用いて培養培地から死細胞片を除去して、続いて例えば精密ろ過、限外ろ過、および/または深層ろ過を用いて上清の透明化工程を行ってもよい。あるいは、前もって遠心分離を行わずに、精密ろ過、限外ろ過または深層ろ過によって抗体を回収してもよい。様々なその他の技術、例えば透析およびゲル電気泳動およびクロマトグラフ技術、例えばヒドロキシアパタイト(HA)、アフィニティークロマトグラフィー(場合により例えばポリヒスチジンなどの親和性タグを付けるシステムを含む)、および/または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(US5,429,746を参照)が利用可能である。一実施形態において、様々な透明化工程後、抗体は、プロテインAまたはGアフィニティークロマトグラフィー、それに続いてさらなるクロマトグラフィー工程、例えばイオン交換および/またはHAクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換、サイズ排除クロマトグラフィー、ならびに硫酸アンモニウム沈殿を用いて捕捉される。さらに様々なウイルス除去工程(例えばナノろ過、例えばDV−20フィルターを用いたナノろ過)を用いてもよい。これらの様々な工程の後、少なくとも10mg/ml以上、例えば100mg/ml以上の本発明の抗体を含む精製調製物が得られ、それゆえに、これは本発明のその他の実施形態を形成する。超遠心分離法によって100mg/ml以上の濃度を達成することができる。このような調製物は、本発明の抗体の凝集した形態を実質的に含まない。
【0075】
細菌系は、抗体断片の発現に特に適している。このような断片は、細胞内またはペリプラズム内に局在する。不溶性ペリプラズムタンパク質を抽出し、再フォールディングさせて、当業者に知られた方法に従って活性タンパク質を形成することができる(Sanchezら(1999年)J.Biotechnol.72:13〜20;Cupit,P.M.ら(1999年)Lett.Appl.Microbiol.29:273〜277を参照)。
【0076】
また本発明は、本発明の核酸、例えばベクター(例えば発現ベクター)を含む細胞にも関する。例えば、記述した実施形態に係るヒト化免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする核酸(すなわち1種またはそれ以上の核酸)、またはこのような核酸(複数可)を含むコンストラクト(すなわち1種またはそれ以上のコンストラクト、例えば1種またはそれ以上のベクター)は、選択された宿主細胞に適した方法(例えば形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)によって適切な宿主細胞に導入することができ、これらの核酸(複数可)は、(例えばベクター中で、細胞中の過程により作製されたコンストラクト中で、宿主細胞ゲノムに組み込まれた)1つまたはそれ以上の発現調節因子に機能するように連結しているか、あるいは連結するようになる。宿主細胞は、発現に適した条件下で(例えば、誘導物質、適切な塩が補足された適切な培地、増殖因子、抗生物質、栄養補給剤などの存在下で)維持することができ、それによってコードされたポリペプチド(複数可)が生産される。所望に応じて、コードされたヒト化抗体は、例えば宿主細胞、培養培地、または乳汁から単離することができる。この過程は、トランスジェニック動物または植物(例えばタバコ)の宿主細胞(例えば乳腺細胞)における発現を包含する(例えばWO92/03918を参照)。
【0077】
3.治療用途
T細胞活性の抑制は、免疫抑制が認められる、および/または自己免疫性状態が発生する多数の状況において望ましい。従って、不適切な、または望ましくない免疫反応、例えば炎症、自己免疫、およびこのようなメカニズムが関与するその他の状態が関与する疾患の治療において、αβTCR.CD3複合体の標的化が必要である。一実施形態において、このような疾患または障害は、自己免疫および/または炎症性疾患である。このような自己免疫および/または炎症性疾患の例は、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ様関節炎(RA)および炎症性腸疾患(IBD)(例えば潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)など)、多発性硬化症(MS)、強皮症および1型糖尿病(T1D)、ならびにその他の疾患および障害、例えばPV(尋常性天疱瘡)、乾癬、アトピー性皮膚炎、セリアック病、慢性閉塞性肺疾患、橋本甲状腺炎、グレーブス病(甲状腺)、シェーグレン症候群、ギヤン−バレー症候群、グッドパスチャー症候群、アディソン病、ヴェグナー肉芽腫症、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、リウマチ性多発性筋痛、レイノー現象、側頭動脈炎、巨細胞性動脈炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、ベーチェット病、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、心筋炎、リウマチ熱、強直性脊椎炎、糸球体腎炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、円形脱毛症、および白斑である。
【0078】
一実施形態において、このような疾患または障害は、SLE、RAまたはIBDである。一実施形態において、このような疾患または障害は、MSである。
【0079】
その他の実施形態において、記述した実施形態に係る抗体は、対象の免疫を抑制することにより移植を補助するのに用いられる。このような使用は、移植片対宿主疾患を緩和する。現行の移植片対宿主疾患治療の記述については、例えば、Svennilson、Bone Marrow Transplantation(2005)35:S65〜S67、およびそこで引用された文献を参照されたい。有利には、本発明の抗体は、その他の利用可能な療法と併用することができる。
【0080】
自己免疫疾患の治療に関して、併用療法は、本発明の抗体と医薬との投与を含んでいてもよく、このような医薬は、上記抗体と共に、このような自己免疫疾患を予防または治療するのに有効な量で含まれる。前記自己免疫疾患が1型糖尿病である場合、併用療法は、膵臓ベータ細胞の増殖を促進したり、またはベータ細胞の移植を強化したりする1種またはそれ以上の薬剤、例えばベータ細胞増殖因子もしくは生存因子または免疫調節性の抗体を包含していてもよい。前記自己免疫疾患がリウマチ様関節炎である場合、前記併用療法は、1種またはそれ以上のメトトレキセート、抗TNF−β抗体、TNF−β受容体−Ig融合タンパク質、抗IL−15もしくは抗IL−21抗体、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を包含していてもよい。例えば、追加の薬剤は、生物学的薬剤、例えば抗TNF剤(例えばEnbrel(登録商標)、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、およびアダリムマブ(Humira(登録商標))またはリツキシマブ(Rituxan(登録商標))であってもよい。前記自己免疫疾患が造血細胞移植による拒絶反応である場合、造血細胞成長因子(複数可)(例えばエリスロポエチン、G−CSF、GM−CSF、IL−3、IL−11、トロンボポエチンなど)または抗菌剤(複数可)(例えば抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬)を投与することができる。前記自己免疫疾患が乾癬である場合、追加の薬剤は、1種またはそれ以上のタールおよびそれらの誘導体、光線療法、コルチコステロイド、サイクロスポリンA、ビタミンD類似体、メトトレキセート、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)阻害剤、加えて生物学的薬剤、例えば抗TNF剤およびRituxan(登録商標)であってもよい。前記自己免疫疾患が、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎のなどの炎症性腸疾患(IBD)である場合、追加の薬剤は、1種またはそれ以上のアミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫調節薬、抗生物質、もしくは生物学的薬剤、例えばRemicade(登録商標)およびHumira(登録商標)であってもよい。
【0081】
併用療法は、当業者によって、さらに本明細書の目的のために必要または好都合とみなされたいかなる方法で行うことができ、順番、量、反復、または組み合わせて用いられる化合物の相対量に関して制限は企図されていない。従って、記述した実施形態に係る抗体は、治療に使用するための医薬組成物に配合してもよい。
【0082】
4.医薬組成物
好ましい実施形態において、本発明に係る抗体、または本発明の前述の態様で定義されたようなアッセイ方法によって同定可能なリガンドもしくは複数のリガンドを含む医薬組成物が提供される。リガンドは、本明細書で考察されたような、免疫グロブリン、ペプチド、核酸または低分子物質であってもよい。以下の考察において、これらは「化合物」と称される。
【0083】
本発明に係る医薬組成物は、活性成分としてT細胞活性を調節することができる化合物または複数の化合物を含む、物質の組成物である。化合物は、いかなる薬学的に許容される塩の形態、または例えば必要に応じて類似体、遊離塩基の形態、互変異性体、エナンチオマーのラセミ化合物、もしくはそれらの組み合わせであってもよい。本発明に係る活性成分を含む医薬組成物の活性成分は、特定のケースごとに決定された量で投与される場合、治療活性を示すように、例えば移植片対宿主疾患の治療における治療活性を示すように企図されている。
【0084】
その他の実施形態において、本発明の1種またはそれ以上の化合物を、上述の状態のいずれかの治療において特定の徴候を治療するのに適していることが公知のいずれかの技術分野で承認されている化合物と組み合わせて用いてもよい。従って、対象への投与が好都合な一回分の組成物で行うことができるように、本発明の1種またはそれ以上の化合物は、前述の徴候を治療するのに適していることが公知の1種またはそれ以上の技術分野で承認されている化合物と組み合わせてもよい。投与計画を調節して、最適な治療効果を得ることもできる。
【0085】
例えば、数回分の分割用量を毎日投与してもよいし、あるいはこのような用量は、治療状況の要求により指定された通りに比例的に減少させてもよい。
【0086】
活性成分は、好都合な方式で、例えば経口、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内または坐剤経路によって、または埋め込み式で(例えば遅延放出分子を用いて)投与することができる。
【0087】
投与経路によっては、活性成分を、前記成分を不活性化する可能性がある酵素、酸、およびその他の自然状態の作用から前記成分を保護するための材料でコーティングすることが必要な場合もある。
【0088】
活性成分を非経口投与以外の手段で投与するために、活性成分は、その不活性化を防ぐ材料でコーティングされるか、またはそのような材料と共に投与されることになる。例えば、活性成分は、アジュバント中で投与したり、酵素阻害剤と共に投与したり、またはリポソーム中で投与したりすることができる。アジュバントは、その最も広い意味で用いられ、例えばインターフェロンなどのいかなる免疫刺激性化合物が挙げられる。本明細書において企図されるアジュバントとしては、レゾルシノール、非イオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、およびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルが挙げられる。酵素阻害剤としては、膵臓トリプシンが挙げられる。
【0089】
リポソームとしては、水中油中水型CGFエマルジョンおよび従来のリポソームが挙げられる。
【0090】
活性成分はまた、非経口投与または腹腔内投与してもよい。
【0091】
また分散液は、グリセリン、液状のポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で製造してもよいし、油中で製造してもよい。これらの調製物は、通常の貯蔵および使用条件下で、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。
【0092】
注射用途に適した医薬の形態としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射用液剤または分散液の即時調製物のための滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合においても、これらの形態は滅菌されていなければならず、さらに注射器の操作が容易になる程度の流動性を有していなければならない。これらの形態は、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、さらに細菌および菌類などの微生物の汚染の影響から保護されていなければならない。キャリアーは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセリン、プロピレングリコール、および液状のポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合では必要な粒度の維持によって、およびスーパーファクタント(superfactant)の使用によって維持することができる。
【0093】
微生物の影響は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって予防することができる。所定の場合において、等張剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを含むことが好ましい場合がある。注射用組成物の持続性吸収は、吸収を遅くする薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物を使用することにより達成することができる。
【0094】
滅菌注射用液剤は、適切な溶媒中に、必要に応じて上記で列挙された数種のその他の成分と共に必要量の活性成分を混合し、続いてろ過滅菌することによって製造される。一般的に、分散液は、ベースの分散媒と上記で列挙されたもののうち必要なその他の成分とを含む滅菌媒体に、滅菌した活性成分を混合することによって製造される。滅菌注射用液剤を製造するための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、このような技術によって、予めろ過滅菌した活性成分と追加のいかなる所望の成分との溶液からそれら成分の粉末が得られる。
【0095】
様々なその他の材料がコーティングとして存在していてもよいし、あるいは別の様式で投与単位の物理的形状を改変するために存在していてもよい。当然ながら、いかなる投与単位形態を製造するのに用いられる材料はいずれも、薬学的に純粋であり、用いられる量で実質的に非毒性であるはずである。加えて活性成分は、持続放出製剤および調合物に包含されてもよい。
【0096】
本明細書で用いられるように「薬学的に許容されるキャリアーおよび/または希釈剤」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、ならびに抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。このような薬学的に活性な物質のための培地および薬剤の使用は当技術分野で周知である。活性成分と配合禁忌でない限り、いかなる従来の培地または薬剤の治療用組成物における使用が企図される。補助的な活性成分も組成物に包含させることができる。
【0097】
投与量の投与しやすさと均一性のために、非経口組成物を投与単位形態で配合することが特に有利である。投与単位形態とは、本明細書で用いられる場合、治療しようとする哺乳動物の対象にとって一単位の投薬として適切な物理的に別々の単位を指し;それぞれの単位は、必要な医薬キャリアーと共に、所望の治療効果をもたらすように計算された予め決められた量の活性物質を含む。本発明の新規の投与単位形態の仕様は、(a)活性物質独自の特徴および達成しようとする具体的な治療効果と、(b)体の健康状態が正常ではない病的状態を有する生きた対象の疾患を治療するために活性物質等を調剤する分野に固有の制限とによって決定され、それらによって直接左右される。
【0098】
主要な活性成分は、好都合で有効な投与が有効量でなされるように、適切な薬学的に許容されるキャリアーと共に、投与単位形態で配合される。補助的な活性成分を含む組成物の場合、投与量は、前記成分の通常の用量および投与方式を参考にして決定される。
【0099】
抗体などのペプチド化合物の細胞への送達を容易にするために、ペプチドを改変して、ペプチドの細胞膜を通過する能力を改善してもよい。例えばUS5,149,782は、膜融合性ペプチド、イオンチャンネルを形成するペプチド、膜ペプチド、長鎖脂肪酸、および細胞膜を通過するタンパク質輸送を増強するためのその他の膜ブレンド剤(membrane blending agent)の使用を開示している。これらの方法およびその他の方法は、参照により本明細書に組み入れられるWO97/37016およびUS5,108,921にも記載されている。
【0100】
さらなる態様において、単独で、または、特定の徴候を治療するのに適していることが公知の技術分野で承認されている化合物と組み合わせて疾患の治療に使用するための上記で定義したような本発明の活性成分が提供される。その結果として、異常な免疫反応に関連する疾患を治療する医薬を製造するための、本発明の活性成分の使用が提供される。
【0101】
さらに、対象に、上述のようなアッセイ方法を用いて同定可能な治療上有効な量のリガンドを投与することを含む、異常な免疫反応に関連する状態を治療する方法が提供される。
【0102】
以下の実施例で本発明をさらに記述するが、これらは単に例示のためである。
【実施例】
【0103】
比較例1
EuCIV3の結合および生物活性はBMA031と比較して低い
フローサイトメトリーを用いて、発明者等は、EuCIV3は、T細胞の結合に関してBMA031より劣っていることを示した(
図1)。この競合アッセイでは、固定濃度の直接フィコエリトリンで標識したMoIgG2b−BMA031(マウスの競合剤)および濃度を増加させた抗αβTCR抗体の存在下で、T細胞を氷上でインキュベートした。20分インキュベートした後、細胞を洗浄し、表面に直接結合したフィコエリトリン標識MoIgG2b−BMA031をフローサイトメトリーによって検出した。BMA031 HuIgG1キメラ抗体は、EuCIV3よりもかなり効果的に競合した。
【0104】
in vivoでT細胞活性を阻害するCD8+T細胞の能力を評価するために、CD8+T細胞を、様々な濃度(
図2、x軸を参照)の抗αβTCR抗体で処理し、in vitroでの教育(IVE)アッセイでCMVペプチド495〜503(pp65)がパルス投与された自己樹状細胞(DC)と共に7日間培養した。
【0105】
正常なドナーとHLA−A2
+の個体とのアフェレーシス産物をHemaCare Corp.、Van Nuys、CAから得た。フィコール(GE Healthcare、Piscataway、NJ)上で遠心分離することによってPBMCを単離した。磁気ビーズ(Invitrogen、Carlsbad、California)を製造元の説明書に従って用いてCD8+T細胞を単離した。自己由来の未成熟の樹状細胞を得るために、PBMCをRPMI1640/5%ヒトAB血清(Sigma)中に再懸濁し、三連フラスコ(Corning)で平板培養し、37℃/5%CO
2で2時間より長くインキュベートした。続いて付着単球をPBSですすぎ、GM−CSF(Immunex、Seattle、WA)およびIL−4(PeproTech、RockyHill、NJ)が補足されたRPMI1640/5%ヒトAB血清中で6日間培養した。T細胞/DCの共培養を安定化させる前、DCに4時間にわたりペプチド(10μg/ml)をパルス投与し、次いで成熟させた。50ng/mlのTNF−アルファ、25ng/mlのIL−1β、10ng/mlのIL−6、500ng/mlのPGE−2(PeproTech、Rocky Hill、NJ)を添加し、樹状細胞をさらに24時間培養することにより成熟樹状細胞を作製した。続いてペプチドがパルス投与されたDCを前もって単離したCD8+T細胞に10:1のT:DC比で添加した。IL−2(100IU/ml)を培養物に即座に添加することによって培養物に与えた。4日目にIL−2(100IU/ml)を培養物に補足した。7日目に、クロム放出アッセイでバルクの培養物をペプチド反応性に関してアッセイした。
【0106】
図2に記載のグラフは、クロム放出アッセイからの溶解のデータを示し、それによれば、未処理のT細胞はpp65ペプチドに対してうまく教育され、特異的な標的を50%よりも多く溶解させることができた。BMA031は、特異的な標的を用量依存的に溶解させることができないため、BMA031はこれらのT細胞の教育を阻害した。ヒト化抗体EuCIV3はBMA031よりも低い効力しか有さず、最大用量でしか教育を阻害することができなかった。
【0107】
実施例2
BMA031キメラ抗体のFc工学
in vitroのプロファイル
発明者等は、アッセイパネルでBMA031のin vitroのプロファイルを評価した。表1は、BMA031のin vitroのプロファイルを示す。これらのアッセイにおいて、BMA031をOKT3と比較した。
【0108】
PBMC増殖アッセイにおいて、ヒトPBMCを治療用抗体の濃度を増加させて72時間培養し、
3H−チミジンを添加し、18時間後に細胞を回収した。
【0109】
T細胞の枯渇/サイトカイン放出アッセイのために、ヒトPBMCを治療用抗体の濃度を増加させて培養し、細胞数および生存率について7日間毎日解析した(Vi−Cell、Beckman Coulter)。細胞上清も回収して、−20℃で保存し、8つのサイトカインパネル(Bio−Rad)で解析した。
【0110】
BMA031は:(i)PBMC増殖;(ii)T細胞の枯渇;(iii)CD25発現;または(iv)サイトカイン放出を誘導しなかった。それに対してOKT3は上記の作用を全て誘導した。BMA031およびOKT3は、in vitroでの教育(IVE)アッセイでCD8+細胞のペプチドに対する教育をブロックすることができ、さらに混合リンパ球反応(MLR)もブロックすることができる。またBMA031は、活性化されたT細胞のアポトーシス(活性化誘導細胞死;AICD)も誘導する。
【0111】
BMA031とは異なり、野生型ヒトIgG1定常領域を有するBMA031のキメラバージョン(HuIgG1)は、OKT3に匹敵するin vitroのプロファイルを示した(表1)。発明者等は、BMA031 MoIgG2bと比較してHuIgG1 BMA031のin vitroのプロファイルがこのように変化していることに関して、FcγRの関与が重要であると仮定した。従って発明者等は、BMA031 HuIgG1のF(ab’)
2断片を作製したところ、これらがBMA031 MoIgG2bのプロファイルを取り戻したことを見出した。Fc工学により、発明者等は、HuIgG4の非グリコシル化型(N297Q)を形成することにより、「デルタab」(Armourら(1999)Eur.J.Immunol.、29:2613〜2624)として公知の突然変異でFcγR結合を除去した改変を取り入れた。HuIgG1デルタabおよびHuIgG4非グリコシル化抗αβTCR抗体は、BMA031 MoIgG2bと同じin vitroのプロファイルを示した(表1)。
【0112】
【表1】
【0113】
実施例3
結合が改善されたヒト化抗体の構築
発明者等は、HEBE1シリーズ(IGH3−23)およびGL1BMシリーズ(IGHV1−3
*01およびIGKV3−11
*01;VBase、vbase.mrc−cpe.cam.ac.ukを参照)と称される2つのシリーズのBMA031のヒト化バージョンを作製した。最初にBMA031重鎖のCDR領域をIGH3−23フレームワーク領域(配列番号5および6を参照)にグラフトすることにより、競合アッセイで示した通り(
図3)抗体のαβTCRへの結合が改善された;実施例2を参照されたい。しかしながら、この改善は、IVEアッセイで示した通り(
図4)抗体の機能的な改善には反映されなかった。
【0114】
実施例4
ヒト化抗体の最適化
ヒト化抗体を最適化する方策は、変異誘発および機能的なスクリーニングに基づく。可変ドメインのそれぞれ4つのフレームワーク領域のうち1つにおいて、マウスからヒトへのアミノ酸残基のブロック変化を行うことで最適化を開始した。GL1BM HC、GL1BM LC、およびHEBE1 HCシリーズそれぞれにおいて主要なフレームワーク領域を同定した。この同定後、そのフレームワーク領域内の個々の残基を、元のマウス配列からヒト生殖細胞系の残基に突然変異させた。マウス配列と同一であることが抗体の結合特性を保持するのに重要であることが見出されたフレームワークの残基が、マウス残基として保持されていた。別の方法でフレームワーク残基を変更して、ヒト生殖細胞系のアミノ酸配列と一致させた。抗体の元の結合特性を保持するための最低限のマウス残基が同定されるまで、これを配列全体に対して続けた。
図5を参照されたい。発明者等は、T細胞からの抗体オフレートによって決定したところ、これらのシリーズのうちいくつかの抗体が、BMA031と比較して改善された結合を示すことを実証した(
図6、7、および8)。
【0115】
オフレートアッセイにおいて、10
5種のヒトT細胞を、HuIgG1−Δabとして発現された2μg/mLの抗体を含む100μLの完全増殖培地中で、室温で30〜60分インキュベートした。続いて細胞を洗浄し、50μLの完全増殖培地に再懸濁し、解離した候補抗体の再結合を防ぐために20μg/mLのHEBE1F(ab’)
2を添加した。この時間経過アッセイの最後に、細胞を固定し、細胞表面に結合した残りのHuIgG1−Δab抗体のレベルをフローサイトメトリーでPE標識ヤギ抗HuIgG二次抗体によって測定した。
【0116】
発明者等はまた、上記抗体は、IVE(
図9、10、および11)およびMLRアッセイで免疫反応の予防において活性であることも実証した。IVEアッセイにおいて、IVEのための定量的な測定として四量体の結合を使用した。抗原特異的な細胞のパーセンテージを、教育するペプチドに特異的な直接標識された四量体でT細胞を染色することによって決定した。簡単に言えば、標準的なフローサイトメトリー染色プロトコールにより、IVEからの7日目のCD8+T細胞を四量体で染色し、BD FACSCaliburで解析した。加えて、ヒト化抗体は、BMA031と比較して匹敵するレベルの、PBMCにおける増殖能およびサイトカイン放出を示した(
図12および13)。
【0117】
上記抗体はまた、IVEアッセイで(
図14)、T細胞からのIFNγの放出を阻害する能力も示した。加えて発明者等は、多数のこれらの抗体は、BMA031と比較して、活性化されたαβTCR陽性T細胞の活性化誘導細胞死(AICD)を惹起する改善された能力を有することを示した(
図15)。AICDアッセイにおいて、抗原特異的なCD8+T細胞を治療用抗体と共に培養した。24時間、48時間、および72時間で、細胞をアポトーシスマーカーのアネキシン−Vおよび7−AADについて染色した。さらに細胞を四量体でも染色し、抗原特異的なT細胞における作用によりアポトーシスを追跡した。
【0118】
すなわち発明者等は、BMA031をヒト化しようとするこれまでの試みを大きく改善した。この方法でBMA031と比較して改善されたオフレートを有する抗体を発見したことは、予想外の発見であった。この結合における改善は、IVEアッセイで実証されたように(
図10および11)、免疫反応を抑制する可能性の改善と互いに相関する。これらの抗体は、抗体のαβTCRへの特異性、ヒト化による免疫原性の減少、活性化されたT細胞の特異的なアポトーシス、および抗体結合の際のT細胞活性化の欠如のために、治療目的の優れた候補である。
【0119】
実施例5
エフェクター機能を減少させるためのFc突然変異体の作製
天然に存在するAsn297部位の隣のアミノ酸Ser298位にグリコシル化部位が導入されるように改変されたFc変異体を設計して作製した。Asn297でのグリコシル化は、維持するか、または突然変異でノックアウトするかのいずれかとした。表2に突然変異およびグリコシル化の結果を示す。
【0120】
【表2】
【0121】
αβT細胞受容体の抗体クローン#66の重鎖に、クイックチェンジ(Quikchange)によりpENTR_LIC_IgG1テンプレートを用いて突然変異を形成した。HEBE1 Δab IgG1#66のVHドメインをLICプライマーで増幅し、LICによって突然変異型または野生型pENTR_LIC_IgG1にクローニングし、全長のAb突然変異体または野生型を作製した。成功したクローンでDraIII/XhoIによって二重消化を行い約1250bpのインサートを生産することによりサブクローニングを検証した。続いてこれらの全長突然変異体を、ゲートウェイ・クローニング(Gateway cloning)によって発現ベクター、pCEP4(−E+I)Destにクローニングした。続いてDNA配列決定により突然変異を確認した。
【0122】
2つのコンストラクト、pCEP4中のHEBE1非グリコシル化IgG4およびHEBE1 Δab IgG1をHEK293トランスフェクションで対照として使用した。
【0123】
三連フラスコ中で突然変異体、野生型、および対照(非グリコシル化およびΔab)を発現のためにHEK293−EBNA細胞にトランスフェクトした。マルチチャンネルの蠕動ポンプに取り付けられた1mlのHiTrapプロテインAカラム(GE)を用いて160mlの調整培地(CM)からタンパク質を精製した。5マイクログラムの各上清を4〜20%のトリス−グリシン還元および非還元SDS−PAGEで解析した(
図16を参照)。非グリコシル化突然変異体(N297Q、T299A、および非グリコシル化対照)の重鎖は下方にあり(黒い矢印)、これは、これらの抗体においてグリカンが欠失していることと一致する。しかしながら、改変されたグリコシル化抗体(NSY、STY、SY、Δab、および野生型対照、赤い矢印)の重鎖は、野生型対照と同じように移動している。この結果は、298位における改変されたグリコシル化部位の期待される結果と一致する。SEC−HPLC解析から、全ての突然変異体は単量体として発現されることが示された。
【0124】
LC−MSによるグリコシル化解析
改変されたH66 IgG1 Fc変異体を、20mMのDTTで37℃で30分、部分的に還元した。QSTAR qq TOFハイブリッドシステム(Applied Biosystem)を備えたアジレント1100(Agilent 1100)キャピラリーHPLCシステムでのキャピラリーLC/MSによってサンプルを解析した。アナリストQS1.1(Analyst QS1.1)(Applied Bisoystem)での基準の補正およびコンピューターモデリングによるベイズのタンパク質再構築をデータ解析に使用した。突然変異体S298N/T299A/Y300S H66リード抗体に関して、アミノ酸298位に1つのグリコシル化部位が観察され、主要な種として二分岐および三分岐の複合型グリカン、加えてG0F、G1F、およびG2Fが検出された。
【0125】
Biacoreを用いたαβTCR抗体突然変異体のヒトFcγRIIIaおよびFcγRIへの結合
Biacoreを用いて、組換えヒトFcγRIIIa(V158およびF158)およびFcγRIへの結合を評価した。CM5チップの4つ全てのフローセルを、Biacoreによって提供された標準的なアミンカップリング法で抗HPC4抗体で固定した。抗HPC4抗体をカップリング反応のためにpH5.0の10mMの酢酸ナトリウムで50μg/mLに希釈し、5μL/分で25分注入した。チップ表面におよそ12,000RUの抗体を固定した。組換えヒトFcγRIIIa−V158およびFcγRIIIa−F158を、結合緩衝液の1mMのCaCl
2を含むHBS−Pで0.6μg/mLに希釈し、フローセル2および4それぞれに5μL/分で3分注入し、抗HPC4チップに300〜400RUの受容体を捕捉した。弱い結合物質を識別するために、このアッセイで通常用いられる量より3倍多くのrhFcγRIIIaを抗HPC4表面に捕捉させた。参照対照としてフローセル1および3を使用した。各抗体を結合緩衝液で200nMに希釈し、4つ全てのフローセルに4分注入し、続いて緩衝液中で5分解離させた。表面をHBS−EP緩衝液中の10mMのEDTAで20μL/分で3分再生した。
【0126】
図17に結果を示す。
【0127】
Biacoreを用いて、FcγRI結合も比較した。抗テトラHis抗体の緩衝液をZeba脱塩カラムを用いてpH4.0の10mMの酢酸ナトリウムで交換し、アミンカップリングのために酢酸緩衝液で25μg/mLに希釈した。CM5チップの2つのフローセルを、約9000RUの抗テトラ−His抗体を5μL/分で20分注入した後に固定した。以前の実験と同様に、弱い結合物質と比較するために、抗テトラ−His表面に10倍多くのFcγRIを捕捉させた。組換えヒトFcγRIをHBS−EP結合緩衝液で10μg/mLに希釈し、フローセル2に5μL/分で1分注入し、抗テトラ−Hisチップに約1000RUの受容体を捕捉した。100nMの単一濃度の抗体を、捕捉した受容体および対照表面に30μL/分で3分注入した。解離を3分モニターした。表面を、pH2.5の10mMのグリシンを20μL/分で30秒で2回注入することによって再生した。
【0128】
図18に結果を示す。
【0129】
結果から、グリコシル化操作された突然変異体のFcγRIIIaまたはFcγRIへの結合は極めてわずかだったことが示唆される。特にH66 S298N/T299A/Y300Sは、両方の受容体への結合がほぼ完全になくなっていた。詳細な特徴付けのためのリードとしてこの突然変異体を選択した。
【0130】
円二色性(CD)を用いた安定性の特徴付け
Far−UV CD熱融解実験によるS298N/T299A/Y300S抗体の突然変異体の安定性のモニターは、216nmおよび222nmにおけるCDシグナルを、最終的に抗体のアンフォールディングを引き起こすまで温度を上昇させながらモニターすることによりなされた。ジャスコ815(Jasco 815)分光光度計で、PBS緩衝液中およそ0.5mg/mLのタンパク質濃度で、パス長10mmの石英キュベット(Hellma,Inc)でCDスペクトルを回収した。熱電気でのペルチエ効果(ジャスコのモデルAWC100)によって温度を制御し、1℃/分の速度で25℃から89℃に温度を徐々に高めた。CDシグナルおよびHT電圧の両方のデータを取った。210〜260nmの範囲で、0.5nmのデータインターバル、1℃の温度インターバルでデータを得た。スキャン速度は50nm/分であり、データピッチは0.5nmであった。培地の感度設定で2.5nmの帯域幅を使用した。サンプルごとにスキャンを4回重複して行った。結果から、デルタAB H66およびS298N/T299A/Y300S H66突然変異体はいずれも、類似の熱挙動を示し、約63℃の同じ分解開始温度を有することが示唆される。言い換えれば、この突然変異体は、デルタAB様式と同等に安定である。
【0131】
図18を参照されたい。
【0132】
実施例6
Fcで改変された突然変異体の機能的な解析
実施例2に記載されたようにしてPBMC増殖およびサイトカイン放出アッセイを行った。正常なドナーのPBMCを融解し、以下の条件下で処理した(全て補体を含む培地中で):
・未処理
・BMA031、moIgG2b 10μg/ml
・OKT3、moIgG2a 10μg/ml
・H66、huIgG1デルタAB 10μg/ml、1μg/ml、および0.1μg/ml
・H66、huIgG1 S298N/T299A/Y300S 10μg/ml、1μg/ml、および0.1μg/ml。
【0133】
バイオプレックス(Bioplex)解析のために2日目(D2)および4日目(D4)にサイトカイン(IL2、IL4、IL6、IL8、IL10、GM−CSF、IFNg、TNFa)を回収した。D4にCD4、CD8、CD25、およびabTCR発現に関して細胞を染色した。
【0134】
図19〜22に示される結果から、H66 S298N/T299A/Y300Sは、全ての細胞ベースのアッセイでH66デルタABと同様の挙動を示したことが実証され、これは、CD25発現による最小のT細胞活性化;abTCRへの結合(ただしデルタABに対するカイネティクスがわずかに異なる);D2およびD4のタイムポイントの両方における最小のサイトカイン放出を示し;すなわちD4で、この突然変異体は、数種のサイトカインと比べて実際にデルタABより優れていた。
【0135】
従ってS298N/T299A/Y300S突然変異体は、デルタAB突然変異と同等に効果的にエフェクター機能を喪失した。
【0136】
実施例7
二重特異性抗体
一方のアームが腫瘍標的と結合でき、他方がαβTCRを介してT細胞と結合できるように短いアミノ酸リンカーを介して一緒に連結された2つの単鎖抗体(scFv)で構成される二重特異性分子を構築した。二重特異性分子は、本明細書では、TRACER(T cell Receptor Activated Cytotoxic EnableR)と称される。
【0137】
以下のヒト化抗αβTCR scFvコンストラクトを作製した:
GL1BMΔS×VK1
GL1BMΔS×VK27
GL1BMΔSVH11×VK1
GL1BMΔSVH15×VK1
GL1BMΔSVH28×VK43
GL1BMΔSVH31×VK43。
【0138】
配列番号14〜16および20〜24に重鎖および軽鎖の配列を記載した。
【0139】
これらの分子の特徴付けは、腫瘍標的およびT細胞への結合の評価、in vitroの腫瘍標的細胞存在および非存在下での細胞毒性活性およびサイトカイン放出プロファイルで構成されていた。
【0140】
フローサイトメトリーによって評価された結合プロファイルから、抗αβTCR二重特異性抗体は、腫瘍標的細胞系およびT細胞の両方と結合できることが示された。
図23を参照されたい。
【0141】
フローサイトメトリーによって測定されたin vitroでの細胞毒性活性から、抗αβTCR二重特異性抗体によって動員されたT細胞は、T細胞媒介の溶解を誘導できることが示された。
図24を参照されたい。
【0142】
サイトカイン放出プロファイルの解析から、二重特異性抗体の両方のアームが結合すると、標的細胞の非存在下ではみられないT細胞からの高いレベルのTH1/TH2サイトカイン放出が起こることが示された。総合すると、この作用機序は、文献で記述されているCD3ベースの二重特異性分子のプロファイルと類似したプロファイルを示す。
【0143】
実施例8:抗CD52抗体を改変したFc変異体の製造および特徴付け
本明細書において記述されるFc突然変異の適応性に関する概説を試験するために、抗CD52抗体でグリコシル化突然変異体S298N/Y300Sも製造して(クローン2C3)、FcγRIII結合がないエフェクター機能のモジュレーションが異なる抗体主鎖にも当てはまるかどうかを調べた。クイックチェンジ変異誘発によってS298N/Y300S 2C3変異体のDNAを製造した。HEK293の一過性トランスフェクション後、タンパク質を調整培地から精製した。対照として抗CD52 2C3野生型抗体を平行して生産した。Biacoreを用いて、精製した抗体の抗原結合、FcγRIII、および結合特性を特徴付けた(
図26を参照)。
【0144】
S298N/Y300S 2C3変異体は、CD52ペプチドにしっかりと結合し、結合のセンサーグラムが野生型対照と区別できないことから、このFcドメインにおける突然変異は、その抗原結合に影響を与えないことが示唆される(
図26A)。
Fcのエフェクター機能をアッセイするために、結合研究にFcγRIII受容体(Val158)を使用した。突然変異体および野生型対照抗体を200nMに希釈し、HPC4−タグで捕捉したFcγRIIIaに注入した。FcγRIII結合は、S298N/Y300S突然変異体ではほとんど検出できなかったが、これは、この変異体はエフェクター機能を喪失したことを示す(
図26B)。またこの突然変異体は、野生型抗体対照と同じ親和性でFcRn受容体にも結合したことから、発明者等は、その循環半減期またはその他の薬物動態学的特性は変化しないと予想する。(
図26Cを参照)。発明者等は、例えばヒトFcγ受容体のエンゲージメントにより望ましくないFcのエフェクター機能を減少させたりまたは除去したりするために、S298N/Y300S突然変異は一般的に抗体に適用が可能であると結論付けた。
【0145】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】