特許第6096303号(P6096303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096303
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/53 20060101AFI20170306BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01R13/53
   H01R13/66
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-532667(P2015-532667)
(86)(22)【出願日】2013年8月23日
(86)【国際出願番号】JP2013072531
(87)【国際公開番号】WO2015025420
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】柚場 誉嗣
(72)【発明者】
【氏名】桐生 幸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 英夫
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−158331(JP,A)
【文献】 特開2003−203721(JP,A)
【文献】 特開2009−146777(JP,A)
【文献】 特開平5−075282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/53
H01R 13/66
H01R 24/76
H01H 9/42
H01H 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の一方の極に接続されている一方の極のジャック端子と、
前記電源の他方の極と、抵抗及びコンデンサを介し接続されている第1の他方の極のジャック端子と、
前記電源の他方の極に接続されている第2の他方の極のジャック端子と、
を有し、
前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに他のコネクタにおける他方の極のプラグ端子と接触するものであって、
前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに前記他方の極のプラグ端子の延びる方向の延長線上に設けられており、
他のコネクタと嵌合する状態において、前記第1の他方の極のジャック端子は、前記第2の他方の極のジャック端子よりも前記他のコネクタに近い側に設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
電源の一方の極に接続されている一方の極のジャック端子と、
前記電源の他方の極と、抵抗及びコンデンサを介し接続されている第1の他方の極のジャック端子と、
前記電源の他方の極に接続されている第2の他方の極のジャック端子と、
を有し、
前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに他のコネクタにおける他方の極のプラグ端子と接触するものであって、
前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに前記他方の極のプラグ端子の延びる方向の延長線上に設けられており、
前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子と他のコネクタにおける他方の極のプラグ端子とが接触している状態から離れる際には、
前記第2の他方の極のジャック端子と前記他方の極のプラグ端子との接触が離れた後、前記第1の他方の極のジャック端子と前記他方の極のプラグ端子との接触が離れるものであることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記電源の他方の極には、前記コンデンサの一方の端子が接続されており、
前記コンデンサの他方の端子は、前記抵抗の一方の端子に接続されており、
前記抵抗の他方の端子は、前記第1の他方の極のジャック端子と接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記一方の極は負極であり、
前記他方の極は正極であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のコネクタと、
前記他のコネクタと、
を有するコネクタであって、
前記コネクタは、雌コネクタであって、
前記他のコネクタは、雄コネクタであって、
前記他のコネクタには、前記一方の極のジャック端子と接触する一方の極のプラグ端子が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子機器は、電源より電力の供給を受け動作する。このように、電源より電力の供給を受ける際には、通常コネクタを介し電源より電子機器へ電力が供給される。この際用いられるコネクタは、特許文献1、2に開示されているように、凸状の雄型タイプのプラグコネクタと、凹状の雌型タイプのジャックコネクタを嵌合することにより、電気的に接続を行うものである。通常、電子機器にはプラグコネクタが設けられており、電力を供給する側のジャックコネクタが1または2以上設けられているものは、コンセントと呼ばれている。
【0003】
また、近年では、地球温暖化等に対する対策の一つとして、ローカルエリアにおける送電においても、電圧変換や送電等における電力損失が少なく、ケーブルの太さも太くする必要のない、直流で高電圧の電力の供給が検討されている。特に、サーバ等の情報機器においては、大量に電力を消費するためこのような電力供給が望ましいものとされている。
【0004】
しかしながら、直流で高電圧の供給を遮断するとアーク放電が発生する場合があり、このようなアーク放電により生じた熱により、コネクタや電子部品に悪影響を及ぼす場合がある。
【0005】
このため、特許文献3、4に記載されているように、コネクタ内部に機械式のスイッチ等を設け、スイッチ等においてアーク放電を消弧することにより、コネクタや電子部品に及ぼす悪影響を防ぐ方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−82208号公報
【特許文献2】特開2003−31301号公報
【特許文献3】特開2010−56056号公報
【特許文献4】特開2010−118173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コネクタ内部に機械式のスイッチ等を設けた場合、コネクタが大型化し、また、機械式のスイッチを構成する部品等が必要となるため、高コストなものとなる。また、機械式のスイッチ等は可動するものであり、また、消耗するものであるため、寿命が短く、これに伴い、機械式のスイッチを内蔵しているコネクタの寿命も短くなる。
【0008】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、小型で、低コストで、アーク放電の発生を抑制することのできるコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の一観点によれば、電源の一方の極に接続されている一方の極のジャック端子と、前記電源の他方の極と、抵抗及びコンデンサを介し接続されている第1の他方の極のジャック端子と、前記電源の他方の極に接続されている第2の他方の極のジャック端子と、を有し、前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに他のコネクタにおける他方の極のプラグ端子と接触するものであって、前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに前記他方の極のプラグ端子の延びる方向の延長線上に設けられており、他のコネクタと嵌合する状態において、前記第1の他方の極のジャック端子は、前記第2の他方の極のジャック端子よりも前記他のコネクタに近い側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、電源の一方の極に接続されている一方の極のジャック端子と、前記電源の他方の極と、抵抗及びコンデンサを介し接続されている第1の他方の極のジャック端子と、前記電源の他方の極に接続されている第2の他方の極のジャック端子と、を有し、前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに他のコネクタにおける他方の極のプラグ端子と接触するものであって、前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子は、ともに前記他方の極のプラグ端子の延びる方向の延長線上に設けられており、前記第1の他方の極のジャック端子及び前記第2の他方の極のジャック端子と他のコネクタにおける他方の極のプラグ端子とが接触している状態から離れる際には、前記第2の他方の極のジャック端子と前記他方の極のプラグ端子との接触が離れた後、前記第1の他方の極のジャック端子と前記他方の極のプラグ端子との接触が離れるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型で、低コストで、アーク放電の発生を抑制することのできるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態におけるコネクタの構造図
図2】第1の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(1)
図3】第1の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(2)
図4】第1の実施の形態におけるコネクタの接続解除方法の説明図(1)
図5】第1の実施の形態におけるコネクタの接続解除方法の説明図(2)
図6】第2の実施の形態におけるコネクタの構造図
図7】第2の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(1)
図8】第2の実施の形態におけるコネクタの接続方法の説明図(2)
図9】第2の実施の形態におけるコネクタの接続解除方法の説明図(1)
図10】第2の実施の形態におけるコネクタの接続解除方法の説明図(2)
図11】コネクタ200の斜視図
図12】コネクタ200においてカバー部230を取り除いた状態の斜視図
図13】コネクタ200において内部絶縁部231を取り除いた状態の斜視図
図14】コネクタ200の側面図
図15】コネクタ200の上面図
図16】コネクタ200の断面図
図17】コネクタ200において内部絶縁部231を取り除いた状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
〔第1の実施の形態〕
(コネクタ)
第1の実施の形態におけるコネクタについて説明する。本実施のコネクタは、図1に示されるように、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを嵌合することにより接続されるものである。尚、本実施の形態においては、コネクタとは、雄コネクタ10と雌コネクタ20とにより形成されるものを意味する場合と、雌コネクタ20等を意味する場合とがある。
【0015】
雄コネクタ10は、雄コネクタ本体部11、マイナスのプラグ端子12、プラスのプラグ端子13を有しており、マイナスのプラグ端子12及びプラスのプラグ端子13は、直流の電力を供給することにより作動する電子機器30等に接続されている。尚、雄コネクタ10においては、マイナスのプラグ端子12及びプラスのプラグ端子13は、略同じ長さとなるように形成されている。また、本実施の形態においては、マイナスのプラグ端子及びジャック端子とは、マイナス極のプラグ端子及びジャック端子を意味し、プラスのプラグ端子及びジャック端子とは、プラス極のプラグ端子及びジャック端子を意味するものとする。また、マイナス極を一方の極、プラス極を他方の極と記載する場合がある。
【0016】
雌コネクタ20は、マイナスのジャック端子22、第1のプラスのジャック端子23、第2のプラスのジャック端子24、抵抗25、コンデンサ26を有している。雌コネクタ20は、30V程度の直流を供給することのできる電源40に接続されている。尚、電源40は、30VDCを超え、400VDC程度が定格となる電源であってもよい。具体的には、電源40の負極にはマイナスのジャック端子22が接続されており、電源40の正極には第2のプラスのジャック端子24と、抵抗25及びコンデンサ26を介した第1のプラスのジャック端子23が接続されている。
【0017】
また、雄コネクタ10と嵌合させる状態では、雌コネクタ20において、マイナスのジャック端子22は、第1のプラスのジャック端子23よりも、雄コネクタ10に近い側に設けられている。また、第1のプラスのジャック端子23は、第2のプラスのジャック端子24よりも、雄コネクタ10に近い側に設けられている。即ち、第1のプラスのジャック端子23及び第2のプラスのジャック端子24は、プラスのプラグ端子13の延びる方向の延長線上に設けられており、第1のプラスのジャック端子23及び第2のプラスのジャック端子24は、プラスのプラグ端子13と接触するものであって、第2のプラスのジャック端子24は、第1のプラスのジャック端子23よりも奥に設けられている。
【0018】
上述したように、電源40の正極と第2のプラスのジャック端子24との間には、抵抗25及びコンデンサ26が設けられている。具体的には、電源40の正極は、コンデンサ26の一方の端子と接続されており、コンデンサ26の他方の端子は抵抗25の一方の端子と接続されており、抵抗25の他方の端子は第1のプラスのジャック端子23と接続されている。尚、本実施の形態においては、負極またはマイナスを一方の極と記載し、正極またはプラスを他方の極と記載する場合がある。
【0019】
(コネクタの接続方法及び接続解除方法)
次に、本実施の形態におけるコネクタの接続方法及び接続解除方法について説明する。図2及び図3に基づき本実施の形態におけるコネクタの接続方法を説明し、図4及び図5に基づき本実施の形態におけるコネクタの接続解除方法を説明する。
【0020】
本実施の形態におけるコネクタを接続する際には、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを近づけ、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを接触させ嵌合させることにより接続する。
【0021】
具体的には、図2(a)に示されるように、雄コネクタ10と雌コネクタ20とが離れている状態から、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを近づけることにより、図2(b)に示される状態となる。これにより、雄コネクタ10におけるマイナスのプラグ端子12と雌コネクタ20におけるマイナスのジャック端子22とが接触する。しかしながら、この状態においては、プラスの側では、プラスのプラグ端子13と第2のプラスのジャック端子24とは接触していないため、電源40からの電力が、雄コネクタ10及び雌コネクタ20を介し、電子機器30に供給されることはない。
【0022】
次に、更に、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを近づけることにより、図3(a)に示されるように、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第1のプラスのジャック端子23とが接触する。しかしながら、第1のプラスのジャック端子23と電源40の正極との間には、コンデンサ26が設けられているため絶縁されており、この状態においては、電源40からの電力が、雄コネクタ10及び雌コネクタ20を介し、電子機器30に供給されることはない。
【0023】
次に、更に、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを近づけることにより、図3(b)に示されるように、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第2のプラスのジャック端子24とが接触する。この状態においては、雄コネクタ10におけるマイナスのプラグ端子12と雌コネクタ20におけるマイナスのジャック端子22とが接触しており、第2のプラスのジャック端子24は、電源40の正極と接続されている。よって、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第2のプラスのジャック端子24とが接触することにより、電源40から、雄コネクタ10及び雌コネクタ20を介し、電子機器30に電力が供給される。
【0024】
次に、本実施の形態におけるコネクタの接続解除方法を説明する。
【0025】
本実施の形態におけるコネクタの接続を解除する際には、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを離すことにより、即ち、雌コネクタ20から雄コネクタ10を引き抜くことにより接続を解除する。
【0026】
具体的には、図3(b)に示されるように、電源40における電力が雄コネクタ10及び雌コネクタ20を介し、電子機器30に供給されている状態から、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを少し離すことにより、図4(a)に示される状態となる。これにより、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第2のプラスのジャック端子24とが離れ、第2のプラスのジャック端子24を介しては、電源40からの電力が供給されなくなる。
【0027】
しかしながら、この状態においては、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第1のプラスのジャック端子23とは接触している。よって、コンデンサ26に蓄積されている電荷が、抵抗25を介し、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13に流れる。この際流れる電流は、コンデンサ26に蓄積された電荷が抵抗25により制限を受けつつ流れるため、電流制限されており、また、電流が流れることにより、プラスのプラグ端子13における電位は徐々に低下していく。よって、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第2のプラスのジャック端子24との間においては、アーク放電は発生しない。
【0028】
この後、コンデンサ26に蓄積されている電荷がすべて流れてしまうと、電源40の正極と第1のプラスのジャック端子23との間に設けられたコンデンサ26により絶縁されるため、電源40からの電力が電子機器30に供給されることはない。
【0029】
次に、更に、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを離すことにより、図4(b)に示される状態となり、雄コネクタ10におけるプラスのプラグ端子13と雌コネクタ20における第1のプラスのジャック端子23とが離れる。この状態においては、雄コネクタ10におけるマイナスのプラグ端子12と雌コネクタ20におけるマイナスのジャック端子22とが接触しているが、プラスの側では、プラスのプラグ端子13と第2のプラスのジャック端子24とは接触していない。このため、電源40からの電力が、雄コネクタ10及び雌コネクタ20を介し、電子機器30に供給されることはない。
【0030】
次に、更に、雄コネクタ10と雌コネクタ20とを離すことにより、図5に示されるように、雄コネクタ10におけるマイナスのプラグ端子12と雌コネクタ20におけるマイナスのジャック端子22とが離れ、雌コネクタ20より雄コネクタ10が引き抜かれた状態となる。これにより、本実施の形態におけるコネクタの接続が解除される。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
(コネクタ)
第2の実施の形態におけるコネクタについて説明する。本実施のコネクタは、図6に示されるように、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを嵌合することにより接続されるものである。尚、本実施の形態においては、コネクタとは、雄コネクタ110と雌コネクタ120とにより形成されるものを意味する場合と、雌コネクタ120を意味する場合とがある。
【0032】
雄コネクタ110は、雄コネクタ本体部11、マイナスのプラグ端子112、プラスのプラグ端子113を有しており、マイナスのプラグ端子112及びプラスのプラグ端子113は、直流の電力を供給することにより作動する電子機器30等に接続されている。雄コネクタ110においては、マイナスのプラグ端子112は、プラスのプラグ端子113よりも長くなるように形成されている。
【0033】
雌コネクタ120は、マイナスのジャック端子122、第1のプラスのジャック端子123、第2のプラスのジャック端子124、抵抗25、コンデンサ26を有している。雌コネクタ120は、30V程度の直流を供給することのできる電源40に接続されている。尚、電源40は、30VDCを超え、400VDC程度が定格となる電源であってもよい。具体的には、電源40の負極にはマイナスのジャック端子122が接続されており、電源40の正極には第2のプラスのジャック端子124と、抵抗25及びコンデンサ26を介した第1のプラスのジャック端子123が接続されている。
【0034】
また、雄コネクタ110と嵌合させる状態では、雌コネクタ120において、第1のプラスのジャック端子123は、第2のプラスのジャック端子124よりも、雄コネクタ110側に設けられている。即ち、第1のプラスのジャック端子123及び第2のプラスのジャック端子124は、プラスのプラグ端子113の延びる方向の延長線上に設けられており、第1のプラスのジャック端子123及び第2のプラスのジャック端子124は、プラスのプラグ端子113と接触するものであって、第2のプラスのジャック端子124は、第1のプラスのジャック端子123よりも奥に設けられている。
【0035】
上述したように、電源40の正極と第2のプラスのジャック端子124との間には、抵抗25及びコンデンサ26が設けられている。具体的には、電源40の正極は、コンデンサ26の一方の端子と接続されており、コンデンサ26の他方の端子は抵抗25の一方の端子と接続されており、抵抗25の他方の端子は第1のプラスのジャック端子123と接続されている。
【0036】
(コネクタの接続方法及び接続解除方法)
次に、本実施の形態におけるコネクタの接続方法及び接続解除方法について説明する。図7及び図8に基づき本実施の形態におけるコネクタの接続方法を説明し、図9及び図10に基づき本実施の形態におけるコネクタの接続解除方法を説明する。
【0037】
本実施の形態におけるコネクタを接続する際には、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを近づけ、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを接触させ嵌合させることにより接続する。
【0038】
具体的には、図7(a)に示されるように、雄コネクタ110と雌コネクタ120とが離れている状態から、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを近づけることにより、図7(b)に示される状態となる。これにより、雄コネクタ110におけるマイナスのプラグ端子112と雌コネクタ120におけるマイナスのジャック端子122とが接触する。しかしながら、この状態においては、プラスの側では、プラスのプラグ端子113と第2のプラスのジャック端子124とは接触していないため、電源40からの電力が、雄コネクタ110及び雌コネクタ120を介し、電子機器30に供給されることはない。
【0039】
次に、更に、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを近づけることにより、図8(a)に示されるように、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第1のプラスのジャック端子123とが接触する。しかしながら、第1のプラスのジャック端子123と電源40の正極との間には、コンデンサ26が設けられているため絶縁されており、この状態では、電源40からの電力が、雄コネクタ110及び雌コネクタ120を介し、電子機器30に供給されることはない。
【0040】
次に、更に、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを近づけることにより、図8(b)に示されるように、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第2のプラスのジャック端子124とが接触する。この状態においては、雄コネクタ110におけるマイナスのプラグ端子112と雌コネクタ120におけるマイナスのジャック端子122とが接触しており、第2のプラスのジャック端子124は、電源40の正極と接続されている。よって、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第2のプラスのジャック端子124とが接触することにより、電源40から、雄コネクタ110及び雌コネクタ120を介し、電子機器30に電力が供給される。
【0041】
次に、本実施の形態におけるコネクタの接続解除方法を説明する。
【0042】
本実施の形態におけるコネクタの接続を解除する際には、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを離すことにより、即ち、雌コネクタ120から雄コネクタ110を引き抜くことにより接続を解除する。
【0043】
具体的には、図8(b)に示されるように、電源40における電力が雄コネクタ110及び雌コネクタ120を介し、電子機器30に供給されている状態から、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを少し離すことにより、図9(a)に示される状態となる。これにより、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第2のプラスのジャック端子124とが離れ、第2のプラスのジャック端子124を介しては、電源40からの電力が供給されなくなる。
【0044】
しかしながら、この状態においては、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第1のプラスのジャック端子123とは接触しているため、コンデンサ26に蓄積されている電荷が抵抗25を介し、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113に流れる。この際流れる電流は、コンデンサ26に蓄積された電荷が抵抗25により制限を受けつつ流れるため、電流制限されており、また、電流が流れることにより、プラスのプラグ端子113における電位は徐々に低下していく。よって、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第2のプラスのジャック端子124との間においては、アーク放電は発生しない。
【0045】
この後、コンデンサ26に蓄積されている電荷がすべて流れてしまうと、電源40の正極と第1のプラスのジャック端子123との間に設けられたコンデンサ26により絶縁されているため、電源40からの電力が電子機器30に供給されることはない。
【0046】
次に、更に、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを離すことにより、図9(b)に示される状態となり、雄コネクタ110におけるプラスのプラグ端子113と雌コネクタ120における第1のプラスのジャック端子123とが離れる。この状態においては、雄コネクタ110におけるマイナスのプラグ端子112と雌コネクタ120におけるマイナスのジャック端子122とが接触しているが、プラスの側では、プラスのプラグ端子113と第2のプラスのジャック端子124とは接触していない。よって、電源40からの電力が、雄コネクタ110及び雌コネクタ120を介し、電子機器30に供給されることはない。
【0047】
次に、更に、雄コネクタ110と雌コネクタ120とを離すことにより、図10に示されるように、雄コネクタ110におけるマイナスのプラグ端子112と雌コネクタ120におけるマイナスのジャック端子122とが離れ、雌コネクタ120より雄コネクタ110が引き抜かれた状態となる。これにより、本実施の形態におけるコネクタの接続が解除される。
【0048】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0049】
(コネクタの構造)
次に、本実施の形態におけるコネクタではないが、一般的なコネクタ200の構造及び外観等について図11図17に基づき説明する。このコネクタ200は、GND端子221、マイナスのジャック端子222、プラスのジャック端子223を有しており、プリント基板230に設置されている。プリント基板230に設置されているGND端子221、マイナスのジャック端子222、プラスのジャック端子223はカバー部210に覆われており、カバー部210には、GND端子221に対応する開口部211、マイナスのジャック端子222に対応する開口部212、プラスのジャック端子223に対応する開口部213が設けられている。カバー部210内には、プリント基板230に設置されているGND端子221、マイナスのジャック端子222、プラスのジャック端子223の各々を囲む内部絶縁部231が設けられている。
【0050】
尚、図11は、コネクタ200の外観の斜視図であり、図12は、カバー部210を取り除いた状態の斜視図であり、図13は、内部絶縁部231を取り除いた状態の斜視図である。また、図14は、コネクタ200の側面図であり、図15は、上面図であり、図16は、図15における一点鎖線15A−15Bにおいて切断した断面図であり、図17は、内部絶縁部231を取り除いた状態の側面図である。
【0051】
本実施の形態におけるコネクタにおいては、プラスのジャック端子223を第1のプラスのジャック端子とした場合、このプラスのジャック端子223よりもプリント基板230側に、不図示の第2のプラスのジャック端子が設けられ、更に、プリント基板230には、第1のプラスのジャック端子に接続される不図示の抵抗及びコンデンサが設置される。
【0052】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 雄コネクタ
11 雄コネクタ本体部
12 マイナスのプラグ端子
13 プラスのプラグ端子
20 雌コネクタ
22 マイナスのジャック端子
23 第1のプラスのジャック端子
24 第2のプラスのジャック端子
25 抵抗
26 コンデンサ
30 電子機器
40 電源
図1
図2
図3
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図17