(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のイソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体を用いた、ポリマー太陽電池、ポリマー有機エレクトロルミネセンスデバイス、ポリマー有機電界効果トランジスタ、ポリマー有機光学メモリ、ポリマー有機非線形材料、又は、ポリマー有機レーザー。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面を参照し、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0033】
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体について以下に説明する。
【0034】
まず、内側のケトン構造のシクロペンタジエニル環がベンゼン環の上に縮合され、縮合環システムの平面性と共役度が増強される。
これにより、ポリマーのキャリヤー移動率が高められる。
【0035】
同時に、本発明では、チオフェン環はシクロペンタジエノンの両側に導入され、アルキル基はチオフェンの3,4の位置に導入され、その溶解性が高められる。
【0036】
また、ベンゾチオフェンモノマが強い受容体であるイソインドリン−1,3−ジケトンモノマーで共重合され、「弱ドナー−強受容体」共重合体分子が形成され、光学的エネルギーギャップを減少させるのに有利であり、太陽光の吸収範囲が拡大され、材料の太陽光の利用率が高められる。
【0037】
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式7を有する:
【化7】
【0038】
ここで、R
1とR
2は同一、又は、非同一であり、又は、R
1とR
2はH又はC
1〜C
16アルキル基、又は、直鎖アルキルか分岐アルキル、又は、
シクロアルキル基等である。
【0039】
R
3とR
4は同一又は非同一であり、又は、R
3とR
4はH、又は、C
1〜C
16アルキル基、又は、C
1〜C
16アルコキシ基、又は、C
1〜C
16アルキル基で置換したチェニルである。
【0040】
R
5はC
1〜C
16の直鎖アルキル基か分岐アルキル基であり、又は、C
1〜C
16のシクロアルキル基である。例えば、R
5は4-ヒロドキシシクロヘキサンである。
【0042】
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法の反応の式8は、以下のごとくである:
【化8】
製造方法は以下のステップを含む:
無酸素環境において以上の式2に表されるM1とM2を溶媒に添加し、式9:
【化9】
触媒存在下において還流反応を実施し、
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体が得られる。
【0043】
M1とM2の間のモル比は1:1〜1.5:1であり、
例えば、M1とM2のモル比は、1.12:1,1.2:1,1.3:1,1.35:1,1.4:1,1.48:1等とする。
【0044】
M2は、例えば、4,7−ジブロモ−2−ブチルイソインドリン−1,3−ジケトン、又は、4,7−ジブロモ−2−エチルイソインドリン−1,3−ジケトンなどであり、R
5によって決定され、従来技術により製造される。参考文献として、J. Mater.Chem.,2012,22,14639ー14644がある。
【0045】
好ましくは、無酸素環境下において、M1とM2が溶媒に加えられ、触媒の作用のもので環流反応が実施される。
【0046】
例えば、窒素雰囲気下、または、不活性ガス雰囲気下において反応が実施される。例えば、窒素を充満させた雰囲気である。
【0047】
R
1とR
2は、H、又は、C
1〜C
16のアルキル基からそれぞれ選択される。
例えば、R
1とR
2はH、又は、C
1〜C
16の直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基からそれぞれ選択され、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ペンチル、2−メチルブチル、イソブチル、4−メチルヘプチル、などである。
【0048】
括弧内の表示は、ベンゾジチオフェン系共重合体にて繰り返しの構造単位であり、「*」の符号は、次のユニットと接続される構成繰返しユニットを示すものである。
【0049】
R
3とR
4はH、又は、C
1〜C
16アルキル基、又は、C
1〜C
16アルコキシ基、又は、C
1〜C
16アルキル基で置換したチェニル、からそれぞれ選択される。
【0050】
例えば、R
3とR
4はH、又は、C
1〜C
16の直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基、又は、C
1〜C
16の直鎖アルコキシル基、又は、分岐アルコキシル基、又は、C
1〜C
16の直鎖アルコキシル基で置換されたチエニル、又は、C
1〜C
16の分岐アルコキシル基で置換されたチエニル、からそれぞれ選択される。
【0051】
例えば、水素、n−ペンチル、イソブチル、4−メチルヘプチル、2−メチル4−エチルノニル、イソープロポキシ、n−ペンチルオキシ、チェニル、2−メチルチェニル、3−エチルーチェニルなどである。
R
5は、C
1〜C
16のアルキル基であり、
例えば、R
5はC
1〜C
16の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、又は、シクロアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−ペンチル、イソブチル、4−メチルヘプチル、2−メチル4−エチルノニルなどである。
【0052】
nは7〜80の自然数である。
例えば、nは、8〜60の自然数であり、
或いは、nは10〜50の自然数、又は、15〜45の自然数である。
例えば、nは18,20,24,25,26,27,29,31,33,35,36,38,42等とすることができる。
【0053】
通常は、その後の製品への応用に応じて、反応物の比率、及び/又は反応時間が決定され、これによりその重合度が制御される。
【0054】
溶媒は、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、およびN,N−ジメチルホルムアミドの少なくとも一つから選択され、
溶媒の量は、完全に溶質を溶解でき、反応完全に行うものであれば十分である。
【0055】
例えば、溶媒は、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド溶液であり、そのほかには、1:1〜1.5:1のモル比においてトルエンとテトラヒドロフランを混合したもの、
或いはまた、1:1:1〜2:1:2のモル比において、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼンを混合したものなどとすることができる。
【0056】
通常では、溶媒は、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミドをモル比1:1:1:1とした混合溶媒、又は、トルエンとベンゼンをモル比1:1とした混合溶媒とする。
通常、反応は、無酸素環境で実施され、
例えば、窒素環境で反応が実施され、
あるいは、窒素又は不活性ガスで満たされた環境などで実施される。
【0057】
触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物であり、触媒のモル量は、M2のモル量の0.01%〜5%とする。
【0058】
有機パラジウムは、Pd
2(dba)
3,Pd(PPh
3)
4,Pd(PPh
3)
2Cl
2であり、混合物の中の有機パラジウムと有機ホスフィンリガンドのモル比は、1:2〜20とする。
【0059】
例えば、触媒は、有機パラジウム、又は、有機パラジウムと有機ホスフィン配位子の混合物であり、触媒のモル量は、M2のモル量の0.01%〜5%とし、
有機ホスフィンリガンドは、P(o−Tol)
3,又は、トリシクロヘキシルホスフィン、又は、その組合せであり、
例えば、触媒のモル量は、M2のモル量の0.1%、0.12%、0.2%、0.3%、0.45%、0.67%、0.8%、1.1%、2.3%などとする。
【0060】
有機パラジウムは、Pd
2(dba)
3,Pd(PPh
3)
4,Pd(PPh
3)
2Cl
2であり、混合物の中の有機パラジウムと有機ホスフィンリガンドのモル比は、1:2〜1:20とする。
例えば、混合物の中の有機パラジウムと有機ホスフィンリガンドのモル比は、1:2.5,1:3,1:5,1:6.8,1:8,1:9,1:11,1:14,1:18,1:19.5などとする。
【0061】
例えば、Pd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3のモル比は、1:3,又は、1:2とする。
【0062】
反応は、12〜72時間、60℃〜120℃の温度で実施される。
反応温度は、例えば、61℃、65℃、72℃、78℃、80.5℃、87℃、91℃、105℃、119℃とする。
反応時間は、例えば、12.5時間、14時間、22時間、24時間、28時間、37時間、44時間、49時間、56時間、64時間、71時間などとする。
【0063】
好ましくは、反応温度と反応時間は相互関係において決定され、反応温度が高い場合には反応時間は比較的減少され、十分な反応の進行状況に応じて調整すればよい。
原料M1の合成ステップは以下のとおりである:
【0064】
ステップ1:化合物Aを適切な量のジクロロメタンに溶解させたものを、窒素雰囲気の下で、スポイトにより、DCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)を含む無水ジクロロメタンに滴下し、ここで、化合物A、DCC、DMAPのモル比を3:3:1とし、一晩反応を実施して化合物Bを得る。化学反応式は以下の通りである。式10:
【化10】
反応時間は、例えば、8〜24時間とし、
化合物A、DCC、DMAPのモル比は、3.5:3:1,3:3:1.5,又は、2:2.2:1とする。
あるいはまた、反応時間は、8.5時間、9時間、11時間、15.5時間、18時間、22時間等とする。
【0065】
ステップ2:
化合物Bと化合物Cが、モル比を1.0:1.0として溶媒に加えられ、78℃〜100℃に加熱されて環流反応が実施され、適切な量の水酸化カリウム/水酸化ナトリウムが加えられ、ここで、水酸化カリウム/水酸化ナトリウムと化合物Bのモル比は、5:1とする。
【0066】
反応溶液が濃緑になった後に、追加で8〜12分間、好ましくは10分間反応を加え、目的製品である化合物Dを得る。溶媒は、エタノール、プロパノールなどであり、
その反応式は以下のとおりである。式11:
【化11】
【0067】
例えば、化合物Bと化合物Cのモル比は1:1とし、エタノール、プロパノール、又は、その混合物に加えられ、
例えば、エタノールとプロパノールのモル比は1:1,2:1,1:2などとする。
環流反応のために、78℃〜100℃まで加熱され、
例えば、一様に80℃、85℃、90℃、91℃、96℃、99℃まで加熱される。
加熱前、加熱中、或いは、78℃以上になる時に、還元剤が加えられる。
好ましくは、温度が78℃以上になった際に、さらに還元剤を加えることとし、
還元剤は水酸化ナトリウムとし、水酸化ナトリウムと化合物Bのモル比は5:1とする。
【0068】
ステップ3:
窒素雰囲気の下、化合物Dの無水ジクロロメタン溶液が−78℃に冷却され、次に、n−BuLi(n−ブチルリチウム)溶液がゆっくりと加えられる。n−BuLiと化合物Dのモル比は1:2.5とする。
反応は、2時間、−78℃で攪拌して実行され、次に、トリメチルすず塩化物試薬が加えられ、Me
3SnClとDのモル比は2.5:1とし、温度を保って0.5時間反応を行った後に室温に戻し、さらに、24時間反応を実施して、以下の式12で示される製品、即ち、化合物M1を得る。
化学反応式は以下の通りである。式12:
【化12】
【0069】
上記の各例において、R
1とR
2は同一であり、R
3とR
4は同一であり、
又は、R
1とR
2は同一であり、R
3とR
4は非同一であり、
又は、R
1とR
2は非同一であり、R
3とR
4は同一であり、
【0070】
あるいはまた、R
1,R
2,R
3,R
4,R
5は、以下の組合せから選択される:
R
1とR
2はHであり、R
3とR
4はメチルであり、R
5はブチルである。
R
1,R
2,R
3,およびR
4はHであり、R
5はメチルである。
または、R
1はエチルであり、R
2はペンチルであり、R
3はHであり、R
4は3−メチルチェニルであり、R
5は2−メチルブチルである。
または、R
1とR
2は同一のプロピルであり、R
3は12アルキル基であり、R
4はエトキシル基であり、R
5は2,4−ジメチル−3−エチルヘプチルである。
または、R
1はブチルであり、R
2は12アルキル基であり、R
3は14アルコキシ基であり、R
4はオクチル基であり、R
5は2,2,4−トリメチルペンチルである。
または、R
1とR
2は同一のHであり、R
3はオクトキシ基であり、R
4はHであり、R
5は16アルキルである。
または、R
1はヘキシル基であり、R
2はHであり、R
3は2−メチルチェニルであり、R
4はHであり、R
5はオクチル基である。
または、R
1は16アルキル基であり、R
2はHであり、R
3はメトキシル基であり、R
4はHであり、R
5はメチル基である。
または、R
1はHであり、R
2はメチル基であり、R
3は16アルコキシ基であり、R
4はHであり、R
5はブチル基である。
または、R
1とR
2は同一のメチル基であり、R
3は16アルコキシ基であり、R
4はHであり、R
5はブチル基である。
または、R
1とR
2は同一のHであり、R
3はヘキシルであり、R
4がHであり、R
5はブチル基である。
または、R
1とR
2は同一のHであり、R
3はメチル基であり、R
4はHであり、R
5はブチル基である。
または、R
1とR
2は同一のHであり、R
3とR
4は同一のHであり、R
5がブチル基である。
【0071】
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式13を有する:
【化13】
【0072】
ここで、R
1とR
2は、同一又は非同一であり、又はR
1とR
2は、H、又は、C
1〜C
16のアルキル基からそれぞれ選択され、
R
3とR
4は、同一又は非同一であり、又は、R
3とR
4は、C
1〜C
16のアルキル基、C
1〜C
16のアルコキシ基、又は、C
1〜C
16のアルキル基で置換されたチェニルからそれぞれ選択され、
R
5はC
1〜C
16の直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基である。
【0074】
例えば、R
1とR
2は、H、又は、C
1〜C
16のアルキル基からそれぞれ選択される。
例えば、R
1とR
2は、H、又は、C
1〜C
16の直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基からそれぞれ選択され、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ペンチル、2−メチルブチル、イソブチル、4−メチルヘプチル、デシル、直鎖又は分岐の12アルキル基、又は、直鎖又は分岐の16アルキル基等である。
【0075】
括弧内の表示は、ベンゾジチオフェン系共重合体にて繰り返しの構造単位であり、「*」の符号は、次のユニットと接続される構成繰返しユニットを示すものである。
【0076】
R
3とR
4は、H、C
1〜C
16のアルキル基、C
1〜C
16のアルコキシ基、又は、C
1〜C
16のアルキル基で置換されたチェニルからそれぞれ選択され、
例えば、R
3とR
4はH、又は、C
1〜C
16の直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基、又は、C
1〜C
16の直鎖アルコキシル基、又は、分岐アルコキシル基、又は、C
1〜C
16の直鎖アルコキシル基で置換されたチエニル、又は、C
1〜C
16の分岐アルコキシル基で置換されたチエニル、からそれぞれ選択される。
【0077】
例えば、水素、n−ペンチル、イソブチル、4−メチルヘプチル、2−メチル4−エチルノニル、イソープロポキシ、n−ペンチルオキシ、チェニル、2−メチルチェニル、3−エチルーチェニルなどである。
R
5は、C
1〜C
16のアルキル基であり、
例えば、R
5はC
1〜C
16の直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−ペンチル、イソブチル、4−メチルヘプチル、2−メチル4−エチルノニルなどである。
【0078】
例えば、各実施例におけるアルキル基は、部分的または完全にフッ素置換化される。
【0079】
nは7〜80の自然数である。
例えば、nは、8〜60の自然数であり、
或いは、nは10〜50の自然数、又は、15〜45の自然数である。
例えば、nは18,20,24,25,26,27,29,31,33,35,36,38,42等とすることができる。
【0080】
通常は、その後の製品への応用に応じて、反応物の比率、及び/又は反応時間が決定され、これによりその重合度が制御される。
上記の各例において、R
1とR
2は同一であり、R
3とR
4は同一であり、
又は、R
1とR
2は同一であり、R
3とR
4は非同一であり、
又は、R
1とR
2は非同一であり、R
3とR
4は同一であり、
例えば、ベンゾジチオフェン系共重合体において、R
1とR
2はHであり、R
3とR
4はメチルであり、R
5はn−ブチルとし、
または、R
1,R
2,R
3,およびR
4はHとし、R
5をメチルとする。
【0081】
例えば、R
1はエチルであり、R
2はペンチルであり、R
3はHであり、R
4は3−メチルチェニルであり、R
5は2−メチルブチルである。
例えば、R
2はn−ペンチル、又は、イソペンチルであって、即ち、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が好ましく、以下の説明でも同様である。
例えば、R
1とR
2は同一のプロピルであり、R
3は12アルキル基であり、R
4がエトキシル基であり、R
5は2,4−ジメチル−3−エチルヘプチルである。
例えば、R
1はブチルであり、R
2は12アルキル基であり、R
3は14アルコキシ基であり、R
4はオクチル基であり、R
5は2,2,4−トリメチルペンチルである。
【0082】
以下では、合成製造方法について、詳しい具体的な実施例を述べる。
【0083】
実施例1
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式14を有する:
【化14】
【0084】
ここで、R
1とR
2は同一のHであり、R
3はオクトキシ基であり、R
4はHであり、R
5は図に示されるような2−ヘキシルデシルなどの16アルキル基であり、n=60である。
【0085】
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下を含む:
【0086】
ステップ1:以下の式15の1,3−ビス(2−チオフェン)アセトンの準備
【化15】
【0087】
まず、反応溶液を形成するために無水形処理された70mLのジクロロメタンに、7.6g(36.8mmol)のDCCと1.23g(10mmol)のDMAPを溶解させて、窒素雰囲気下、5g(35.2mmol)の2−チオフェン酢酸を含む70mLのジクロロメタン溶液を上述の溶液に滴下して徐々に加え、一晩反応させる。
【0088】
反応後、反応溶液はフィルターにかけられ、n−ヘキサンを用いて二度再結晶し、カラムクロマトグラフィで精製して製造物を得る。
MALDI−TOF−MS(Matrix−Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)の質量電荷比(質量/電荷数)は222.3(M
+)である。
【0089】
例えば、塩化カルシウム、又は、炭酸カリウムを使用してジクロロメタンに無水処理がされ、攪拌した後に夜通し放置し、その後、蒸留する。
【0090】
ステップ2:以下の式16に示す2,7−ジオクチルオキシベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−4,5−ジケトンの準備:
【化16】
25.4g(すなわち、60mmol)の4,4´−ビス(2−オクチルオキシ)チオフェンを、400mLの乾燥1,2−ジクロロエタンに加える。即ち、400mLの1,2−ジクロロエタン中、或いは、400mLの乾燥処理された1,2−ジクロロエタン中、に加える。以下同様とする。
【0091】
さらに、3mL(すなわち、34.5mmol)のオキサリル塩化物が、5日以内に3回、反応フラスコに加えられ、アルゴン雰囲気において15日の間、環流反応が実行される。
反応が終わった後、反応溶液は室温に冷却され、夜通し、冷凍庫で冷凍され、
次にフィルターにかけられて、赤色固体を得て、n−ヘキサンとエタノールで順番に洗浄して製品を得る。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数)は477.0(M
+)である。
【0092】
例えば、1mLのオキサリル塩化物が初日に加えられ、1mLのオキサリル塩化物が3日目に加えられ、1mLのオキサリル塩化物が5日目に加えられる。
或いは、1mLのオキサリル塩化物が初日で加え、0.5mLのオキサリル塩化物が2日目に加えられ、1.5mLのオキサリル塩化物が5日目に加えられる。
或いは、0.5mLのオキサリル塩化物が初日に加えられ、1mLのオキサリル塩化物が3日目に加えられ、1.5mLのオキサリル塩化物が5日目に加えられる。
【0093】
ステップ3:以下の式17で示される2,5−ジオクチルオキシ−7,9−ビス(2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの準備:
【化17】
【0094】
1.2g(5.4mmol)の1,3−ビス(2−チオフェン)アセトン、2.7g(5.4mmol)の2,7−ジオクチルオキシ−4,5−ジケトン、40mLのエタノールが順番に250mLの一口フラスコに加えられ、加熱して還流させる。
【0095】
少量の水酸化カリウムが2mLのエタノールに溶かされ、反応フラスコにシリンジで滴下される。
【0096】
反応溶液が濃緑に変色した後、さらに、10分間反応実行後、停止させる。
反応溶液は氷水浴中に移される。
反応溶液は、濾過され、エタノール、加熱されたn−ヘキサンで多数回洗浄され、乾燥して固体生成物を得る。
【0097】
例えば、n−ヘキサンの温度は反応温度と同じとするか、或いは、n−ヘキサンの温度は、反応温度のプラスマイナス5℃とする。
或いは、水酸化カリウムと1,3−ビス(2−チオフェン)アセトンのモル比は、5:1とする。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):679.0(M
+)
【0098】
ステップ4:以下の式18で示す2,5−ジオクチルオキシ−7,9−ビス(2−トリメチルすず−5−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化18】
【0099】
窒素雰囲気において、6.79g(10mmol)の2,5−ジオクチルオキシ−7,9−ビス(2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、120mLの無水THFが−78℃まで冷却される。
【0100】
次に、2.5Mヘキサン溶液の5mL(12mmol)のn−ブチルリチウムがゆっくり加えられ、その後、2時間、−78℃で保温して反応させる。
【0101】
次に、4.5mL(15mmol)のトリメチル塩化すずが加えられ、0.5時間、保温して反応させた後、自然に室温に戻し、続いて、24時間反応させた後、反応を停止させる。
【0102】
50mLのヘキサンを加え希釈し、反応液をゆっくりと氷水浴に移し、析出した有機相を、それぞれ5%のNaHCO
3と、飽和NaCl溶液を用いてそれぞれ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、旋回蒸発し、減圧下で蒸留し、余分なトリメチル塩化スズを蒸留して除き、製品を得る。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):1004.6(M
+)
【0103】
ステップ5:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化19】
【0104】
窒素雰囲気下で、0.5g(0.5mmol)の2,5−ジオクチルオキシ−7,9−ビス(2−トリメチルスズ−5−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.26g(0.5mmol)の4,7−ジブロモ−2−(2−ヘキシルデシル)イソインドリン−1,3−ジケトン(本明細書の上述した反応式に対応する化学構造式に示される、以下同じ)が10mLの乾燥トルエンを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早くPd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3の触媒が反応フラスコに加えられる。ここで、Pd
2(dba)
3は23mg(0.025mmol、5%mol)であり、P(o−Tol)
3は152mg(0.5mmol)であり、Pd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3のモル比は1:20である。
【0105】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、80℃に加熱され還流され、72時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0106】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてPd
2(dba)
3の触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
【0107】
分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)(Gel Permeation Chromatography:GPC)を通してテストされた。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=61800,PDI=1.5。
【0108】
実施例2
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式20を有する:
【化20】
【0109】
ここで、R
1はヘキシル基であり、R
2はHであり、R
3は2−メチルチェニルであり、R
4はHであり、R
5は1−n−オクチルなどのオクチル基であり、n=55である。
【0110】
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下を含む:
ステップ1:以下の式21のビス(4−ジヘキシル−2−チオフェン)アセトンの準備:
【化21】
【0111】
まず、反応溶液を形成するために無水形処理された70mLのジクロロメタンに、7.6gのDCCと1.23gのDMAPを溶解させて、
窒素雰囲気下、7.6gの4−ヘキシル−2−チオフェン酢酸を含む60mLのジクロロメタン溶液を上述の溶液に滴下して徐々に加え、一晩反応させる。
【0112】
反応後、反応溶液はフィルターにかけられ、n−ヘキサンを用いて二度再結晶し、カラムクロマトグラフィで精製して製造物を得る。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):391(M
+)
【0113】
ステップ2:以下の式22に示す2,7−ビス(2−メチル−5−チオフェン)ベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−4,5−ジケトンの準備:
【化22】
【0114】
21.5g(60mmol)の4,4´−ビス〔2−(2−メチル−5−チオフェン)〕チオフェンが350mLの乾燥1,2−ジクロロエタンに加えられ、3mL(すなわち、34.5mmol)のオキサリル塩化物が、5日以内に3回、反応フラスコに加えられ、アルゴン雰囲気において15日の間、環流反応が実行される。
【0115】
反応が終わった後、反応溶液は室温に冷却され、夜通し、冷凍庫で冷凍され、
次にフィルターにかけられて、赤色固体を得て、n−ヘキサンとエタノールで順番に洗浄して製品を得る。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):413.0(M
+)
【0116】
ステップ3:以下の式23で示す2,5−ビス(2−メチル−5−チオフェン)−7,9−ビス(4−ヘキシル−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化23】
2.1g(5.4mmol)のビス(4−ヘキシル−2−チオフェン)アセトン、2.2g(5.4mmol)の2,7−ビス(2−メチル−5−チオフェン)ベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−4,5−ジケトン、60mLのエタノールが順番に250mLの一口フラスコに加えられ、加熱して還流させる。
【0117】
少量の水酸化カリウムが2mLのエタノールに溶かされ、反応フラスコにシリンジで滴下される。
【0118】
反応溶液が濃緑に変色した後、さらに、10分間反応実行後、停止させる。
反応溶液は氷水浴に移され、反応溶液は、濾過され、エタノール、加熱されたn−ヘキサンで多数回洗浄され、乾燥して固体生成物を得る。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):765.0(M
+)
【0119】
ステップ4:以下の式24で示す2,5−ビス(2−メチル−5−チオフェン)−7,9−ビス(4−ヘキシル−2−トリメチルすず−5−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化24】
【0120】
窒素雰囲気において、7.65g(10mmol)の2,5−ビス(2−メチル−5−チオフェン)−7,9−ビス(4−ヘキシル−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、150mLの無水THFが−78℃まで冷却される。
【0121】
次に、2.5Mヘキサン溶液の5mL(12mmol)のn−ブチルリチウムがゆっくり加えられ、その後、2時間、−78℃で保温して反応させる。
【0122】
次に、4.5mL(15mmol)のトリメチル塩化すずが加えられ、0.5時間、保温して反応させた後、自然に室温に戻し、続いて、24時間反応させた後、反応を停止させる。
【0123】
50mLのヘキサンを加え希釈し、反応液をゆっくりと氷水浴に移し、析出した有機相を、それぞれ5%のNaHCO
3と、飽和NaCl溶液を用いてそれぞれ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、旋回蒸発し、減圧下で蒸留し、余分なトリメチル塩化スズを蒸留して除き、製品を得る。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):1093(M
+)。
【0124】
ステップ5:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化25】
【0125】
窒素雰囲気下で、0.82g(0.75 mmol)の2,5−ビス(2−メチル−5−チオフェン)−7,9−ビス(4−ヘキシル−2−トリメチルスズ−5−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.21g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−オクチルイソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥テトラヒドロフランを含む反応フラスコ、即ち、10mLの無水テトラヒドロフランを含む反応フラスコ、又は、乾燥処理された10mLのテトラヒドロフランを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早く14mg(0.015 mmol、3%mol)のPd
2(dba)
3と68 mg(0.225 mmol)のP(o−Tol)
3の触媒が反応フラスコに加えられる。ここで、Pd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3のモル比は1:15である。
【0126】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、60℃に加熱され還流され、60時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0127】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてPd
2(dba)
3の触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=56210,PDI=1.8
【0128】
実施例3
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式26を有する:
【化26】
【0129】
ここで、R
1は16アルキル基であり、R
2はHであり、R
3はメトキシル基であり、R
4はHであり、R
5はメチル基であり、n=35である。
【0130】
以下の式27で示す2,5−ジメトキシベンゼン−7,9−ビス(4−ヘキサデシル−5−トリメチルすず−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化27】
【0131】
合成法は実施例1のステップ1〜4が参照される。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):1241(M
+)
【0132】
ステップ2:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化28】
【0133】
窒素雰囲気下で、0.74g(0.6 mmol)の2,5−ジメトキシベンゼン−7,9−ビス(4−ヘキサデシル−5−トリメチルスズ−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.16g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−メチルイソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥DFを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早くPd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3の触媒が反応フラスコに加えられる。ここで、Pd
2(dba)
3は0.046 mg(0.00005 mmol、0.01%molであり、P(o−Tol)
3は0.0304 mg(0.0001 mmol)、であり、Pd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3のモル比は1:2である。
【0134】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、120℃に加熱され還流され、48時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0135】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてPd
2(dba)
3の触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=37555,PDI=1.8
【0136】
実施例4
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式29を有する:
【化29】
ここで、R
1はHであり、R
2はメチル基であり、R
3は16アルコキシ基であり、R
4はHであり、R
5は2−エチルオクチルであり、n=30である。
【0137】
ステップ1:以下の式30で示す2,5−ビス(ヘキアデシルオキシ)−7,9−ビス(3−メチル−5−トリメチルすず−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化30】
【0138】
合成法は実施例1のステップ1〜4が参照される。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):1241(M
+)。
【0139】
ステップ2:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化31】
【0140】
窒素雰囲気下で、0.62g(0.5 mmol)の2,5−ビス(ヘキシルオキシ)−7,9−ビス(3−メチル−5−トリメチルスズ−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.22g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−(2−エチルオクチル)イソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥MDFを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早く0.046 mg(0.00005 mmol、0.01%mol)のPd
2(dba)
3と0.0304 mg(0.0001 mmol)のP(o−Tol)
3の触媒が反応フラスコに加えられる。ここで、Pd
2(dba)
3とP(o−Tol)
3のモル比は1:2である。
【0141】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、120℃に加熱され還流され、48時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0142】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてPd
2(dba)
3の触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=35970,PDI=1.8
【0143】
実施例5
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式32を有する:
【化32】
【0144】
ここで、R
1とR
2は同一のメチル基であり、R
3は16アルコキシ基であり、R
4はHであり、R
5はエチル基であり、n=20である。
【0145】
ステップ1:以下の式33で示す2,5−ビス(ヘキサデシル)−7,9−ビス(3,4−ジメチル−5−トリメチルすず−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化33】
【0146】
合成法は実施例1のステップ1〜4が参照される。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):1237(M
+)
【0147】
ステップ2:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化34】
【0148】
窒素雰囲気下で、0.62g(0.5 mmol)の2,5−ビス(ヘキシルオキシ)−7,9−ビス(3,4−ジメチル−5−トリメチルスズ−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.16g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−エチルイソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥ベンゼンを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早く28.9 mg(0.025 mmol、5%mol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒が反応フラスコに加えられる。
【0149】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、80℃に加熱され還流され、24時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0150】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=21960,PDI=2.2
【0151】
実施例6
次の化学構造式35を持っているイソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体を提供する:
【化35】
【0152】
または、R
1とR
2は同一のHであり、R
3はヘキシルであり、R
4がHであり、R
5はブチル基であり、n=15である。
【0153】
ステップ1:以下の式36で示す2,5−ジヘキシル−7,9−ビス(5−トリメチルすず−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化36】
合成法は実施例1のステップ1〜4が参照される。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):900(M
+)
【0154】
ステップ2:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化37】
【0155】
窒素雰囲気下で、0.45g(0.5 mmol)の2,5−ジヘキシル−7,9−ビス(5−トリメチルスズ−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.18g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−ブチルイソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥メチルベンゼンを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早く3.5mg(0.005mmol、1%mol)のPd(PPh
3)
2Cl
2の触媒が反応フラスコに加えられる。
【0156】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、110℃に加熱され還流され、24時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0157】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてPd(PPh
3)
2Cl
2の触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=11610,PDI=2.2
【0158】
実施例7
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式38を有する:
【化38】
ここで、R
1とR
2は同一のHであり、R
3はメチルであり、R
4がHであり、R
5はブチル基であり、n=10である。
【0159】
ステップ1:以下の式39で示す2,5−ジメチル−7,9−ビス(5−トリメチルすず−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化39】
【0160】
合成法は実施例1のステップ1〜4が参照される。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):760(M
+)
【0161】
ステップ2:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化40】
【0162】
窒素雰囲気下で、0.38g(0.5 mmol)の2,5−ジメチル−7,9−ビス(5−トリメチルスズ−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.18g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−ブチルイソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥メチルベンゼンを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早く11.6mg(0.01mmol、2%mol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒が反応フラスコに加えられる。
【0163】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、110℃に加熱され還流され、24時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0164】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=6340,PDI=2.2
【0165】
実施例8
イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体は以下の化学構造式41を有する:
【化41】
【0166】
ここで、R
1とR
2は同一のHであり、R
3とR
4は同一のHであり、R
5がブチル基であり、n=8である。
【0167】
ステップ1:以下の式42で示す7,9−ビス(5−トリメチルすず−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンの製造:
【化42】
合成法は実施例1のステップ1〜4が参照される。
MALDI−TOF−MS(質量/電荷数):732(M
+)
【0168】
ステップ2:イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体の製造方法は以下のとおりである:
【化43】
【0169】
窒素雰囲気下で、0.37g(0.5 mmol)の7,9−ビス(5−トリメチルスズ−2−チオフェン)−8H−シクロペンタジエンベンゾ[1,2−b:4,3−b´]ジチオフェン−8−ケトンと、0.18g(0.5 mmol)の4,7−ジブロモ−2−ブチルイソインドリン−1,3−ジケトンが10mLの乾燥ベンゼンを含む反応フラスコに加えられ、反応溶液を15分間窒素を通じて攪拌し、素早く0.29mg(0.00025 mmol、0.05%mol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒が反応フラスコに加えられる。
【0170】
15分間窒素を通じて攪拌した後、反応混合物は、80℃に加熱され還流され、12時間攪拌反応させ、反応を停止させた後、反応溶液が室温まで冷めるのをまって、減圧蒸留により約5mLとなるまで反応溶液を乾燥させ、次いで、300mLの乾燥メタノールに滴下し、約4時間連続的に攪拌し、徐々に固体が沈殿し、吸引ろ過し、焙り乾燥して固体粉末を得る。
【0171】
固体粉末はクロロフォルムに溶解され、中性アルミナカラムクロマトグラフィに架けてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの触媒を除去し、ポリマー溶液を約5mLとなるまで蒸発させ、5mLの溶液をメタノール溶媒に滴下し、数時間攪拌し、次にポリマーが収集され、焙り乾燥され、次にポリマーがソックスレー抽出器で抽出され、これにより、ポリマ分子量の単分散性が改良された。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフ):Mn=4848,PDI=2.3
【0172】
本発明は、ポリマー太陽電池、ポリマー有機エレクトロルミネセンスデバイス、ポリマー有機電界効果トランジスタ、ポリマー有機光学メモリ、ポリマー有機非線形材料、またはポリマー有機レーザーについて、上述した実施例のイソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含むベンゾジチオフェン系共重合体の応用についても提供するものである。
【0174】
実施例9
実施例1の共重合体を用いた有機太陽電池デバイス、即ちイソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体を活性層の材料として用いた有機太陽電池デバイスの構造を
図1に示す。
有機太陽電池デバイスの製造:
デバイスの構造は以下の通りである:
ガラス/ITO/PEDOT:PSS/活性層/Al、ここで、ITO(インジウムすず酸化物)は、シート抵抗が10〜20Ω/平方のインジウムすず酸化物であり、PEDOTは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、PSSは、ポリ(スチレンスルホン酸)である。
【0175】
ITOガラスは超音波掃除され、酸素プラズマにて処理され、ITOガラスの上に、PEDOT:PSSがスピンコーティングされる。
【0176】
実施例1の共重合体は電子ドナー材料として用いられ、PCBMが電子受容体材料として用いられ、これらがスピンコーティング技術で設けられ、金属アルミニウム電極が真空蒸着法で設けられ、有機太陽電池デバイスが得られる。
【0177】
実施例10
実施例2の共重合体を用いた有機エレクトロルミネセンスデバイス、即ちイソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体を発光層の材料として用いた有機エレクトロルミネセンスデバイスの構造を
図2に示す。
【0178】
有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造:
ITO/本発明の共重合体/LiF/Al
【0179】
ガラス基板の上にシート抵抗を10〜20Ω/平方とするインジウムすず酸化物(ITO)が沈積され、透明陽極を形成し、ITOの上に、実施例2の共重合体をスピンコーティングして発光層を形成し、発光層にLiFを真空蒸発により蒸着してバッファ層を形成し、バッファ層に最後に金属Alを真空蒸発によって蒸着して陰極を形成する。
【0180】
実施例11
実施例3の共重合体を用いた有機電界効果トランジスタ、即ち、イソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体を有機半導体材料として用いた有機電界効果トランジスタの構造を
図3に示す。
有機電界効果トランジスタの製造:
高ドープシリコン(Si)ウエハースが基板として使用され、厚さ450nmのSiO
2層が絶縁層として使用され、ソース電極(S)とドレイン電極(D)が金で作られ、実施例3の共重合体が有機半導体層として使用され、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)で改質されたSiO
2層の上にスピンコートされる。
【0181】
出願人は、本技術領域の技術者が本明細書に依拠し、本発明をいかに実施するかを理解し、さらに、権利請求範囲が限定する範囲内で実施して上述の効果を得ることの判断に十分に足りるものであり、本技術領域の技術者は、この判断と証明に基づいて、上述の各例のイソインドリン−1,3−ジケトンユニットを含有するベンゾジチオフェン系共重合体を上述の各用途において用いることができる。
【0182】
以上の実施例は、本願のいくつかの実施方式を表すものであり、これは比較的具体的で詳細を説明するものであるが、これにより本発明の特許の権利範囲を制限するものではない。しかも、上述のように列挙した各技術特性は、その相互の組合せは各実施方法を形成することができ、本発明の明細書の記載範囲に属するものと理解されるべきである。本発明の当業者によれば、本発明の思想の離れない範囲において、若干の変形や改良が可能であり、これらも全て本発明の技術範囲に属する。従って、本発明の権利範囲は、特許請求の範囲の記載に基くものである。