(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態である表面シート貼付システム1について、
図1乃至
図8を参照して詳細に説明する。なお、図面上では、正圧や負圧等が流通する配管、及び電力や信号等の電気配線等については、図示を省略している。
【0023】
まず、本実施形態の表面シート貼付システム1により製造される製造品2は、
図1(a)及び(b)に示すように、集成材や合板等からなる板状の芯材3と、芯材3に貼付けられ表側に木目等の模様を有した表面シート4とを備え、外形が使用箇所に応じた形状に形成されている。この製造品2は、芯材3と表面シート4とが、接着剤により接着されている。なお、
図1(a)及び(b)に示す製造品2は、本実施形態の表面シート貼付システム1によって芯材3に表面シート4を貼付けた後に、表面シート4における芯材3からはみ出した部位を切断した状態を示している。
【0024】
製造品2は、
図1(b)に示すように、芯材3における所定の側面を覆うように、表面シート4が上面側から下面側へ折り返された状態で貼付けられている。また、製造品2は、表面シート4が貼付けられた側面近傍の上面側に、その側面に沿って延びた二つの溝2aを備えており、それら溝2aの内面に沿って表面シート4が貼付けられている。因に、本実施形態における製造品2は、階段に用いる段板とされており、表面シート4が折り返されて貼付けられた側面が、室内側を向くように使用されると共に、上面側に備えられた二つの溝2aが、装飾を兼ねた滑り止めとされている。なお、以下では、芯材3における表面シート4が貼付けられる所定の側面を、「化粧側面」と称する。
【0025】
表面シート貼付システム1により貼付ける前の芯材3は、
図1(c)に示すように、定尺(例えば、約1200mm角の略正方形)の母材5を、使用箇所に応じた形状に予め切断されたものであり、上面の所定位置に製造品2の溝2aを形成するための溝3aが予め形成されている。なお、
図1(c)に示すように、一つの母材5から様々な形状の芯材3を材料取りするようにしている。また、貼付ける前の表面シート4は、所定幅で長尺状に形成されてロール状に巻かれたものを、芯材3の外形より一定幅大きい形状に大きく予め切断したものである。
【0026】
これら製造品2を製造するための本実施形態の表面シート貼付システム1は、予め所定形状に切断された芯材3に、芯材3と対応した形状に切断された表面シート4を、自動的に貼付けるためのものである。詳述すると、表面シート貼付システム1は、
図2及び
図3に示すように、予め所定形状に切断された板状の芯材3が載置される芯材載置部10と、芯材3を搬送する芯材搬送装置20と、芯材3を移動不能に支持可能とされた芯材支持装置30と、芯材3と対応した形状に予め切断された表面シート4が載置されるシート載置部40と、表面シート4を搬送するシート搬送装置50と、表面シート4の片面(裏面)に接着剤を塗布する接着剤塗布装置60と、芯材3上に載置された表面シート4を芯材3側へ押圧する押圧装置70と、を備えている。
【0027】
また、表面シート貼付システム1は、表面シート4を表面から吸着保持可能とされシート搬送装置50に着脱可能に支持されるシート吸着部材90と、夫々異なる形状の表面シート4と対応した複数のシート吸着部材90を夫々独立してシート搬送装置50により取出可能に収納するシート吸着部材収納装置100と、芯材3に表面シート4が貼付けられた製造品2を載置する製造品載置部110と、芯材搬送装置20、芯材支持装置30、シート搬送装置50、接着剤塗布装置60、押圧装置70、及びシート吸着部材収納装100置等を制御する制御装置120と、表面シート貼付システム1の略全体を囲む隔壁130と、を備えている。
【0028】
表面シート貼付システム1における芯材載置部10は、
図3に示すように、床面Wに設置されるベース部11を備えている。この芯材載置部10は、ベース部11上に、予め所定形状に切断された芯材3が、母材5から材料取りする状態と同じように略正方形に並べられた上で、積み重ねられた状態で載置される。
【0029】
また、表面シート貼付システム1における芯材搬送装置20は、
図3に示すように、床面Wに設置されるベース部21と、ベース部21上に固定された多関節ロボット22と、多関節ロボット22の先端に取付けられ負圧によって吸着可能な吸着保持部23とを備えている。芯材搬送措置20の吸着保持部23は、外方へ向って負圧を作用可能とされた複数の吸盤部24と、複数の吸盤部24を所定間隔で支持し多関節ロボット22の先端に取付けられた保持部ベース25とを備えている。この芯材搬送装置20は、多関節ロボット22の先端に取付けられた吸着保持部23を介して芯材3等を三次元的な所定の搬送範囲内で搬送することができる。
【0030】
また、表面シート貼付システム1における芯材支持装置30は、
図4に示すように、床面Wに設置され所定高さの枠箱状に形成された本体31と、本体31の上端側に設けられた芯材3を載置可能な載置台32と、載置台32の下側から載置台32の上側へ負圧を作用させる負圧作用部33とを備えている。芯材支持装置30の本体31は、正面視の外形が、所定方向(
図4において左右方向)へ延びた形状に形成されている。なお、この本体31の延びた方向を、「本体31の長手方向」とも称す。芯材支持装置30の載置台32には、上下方向に貫通した複数の開口部32aが備えられている。
【0031】
芯材支持装置30の負圧作用部33は、載置台32の開口部32a内に配置され上方へ向って負圧を作用可能とされた吸盤部34と、複数の吸盤部34を支持し本体31に固定された吸盤支持部材35とを備えている。
【0032】
また、芯材支持装置30は、
図4に示すように、載置台32の上面と略同一面状となり芯材3の一部を支持する補助支持装置36を備えている。芯材支持装置30の補助支持装置36は、平面状の補助支持面37aを有し、補助支持面37aが載置台32とほぼ同一面状となる位置と載置台32から下方へ離反した位置との間で本体31により回動可能に支持された補助支持部材37と、補助支持部材37を回動させ本体31に支持された補助支持シリンダ38と、を備えている。
【0033】
また、補助支持装置36は、芯材3における表面シート4が折り返される化粧側面と当接し本体31の長手方向に対して芯材3を位置決めする位置決め片39と、補助支持部材37の補助支持面37aが載置台32よりも上側へ回動するのを規制するストッパ(図示は省略)とを備えている。これら位置決め片39、及びストッパは、補助支持部材37に取付けられている。
【0034】
なお、芯材支持装置30に、芯材3に載置された表面シート4における芯材3から外側へ延出した部位を支えて垂れ下がるのを防止する垂止めを備えるようにしても良い。
【0035】
表面シート貼付システム1におけるシート載置部40は、上面が鉄板により平板状に形成されている(
図3を参照)。このシート載置部40には、図示は省略するが、シート載置部40の上面に載置され、表面シート4の端辺を当接させて位置決めするための位置決め部材を備えている。
【0036】
表面シート貼付システム1におけるシート搬送装置50は、
図3に示すように、床面Wに設置されるベース部51と、ベース部51上に固定された多関節ロボット52と、多関節ロボット52の先端に取付けられた緩衝機構53と、緩衝機構53による緩衝をロックする緩衝ロック機構54と、緩衝機構53の先端に取付けられシート吸着部材90を着脱可能に連結する連結部55とを備えている。なお、図示は省略するが、シート搬送装置50は、搬送物等を撮影可能なカメラを所定位置に備えている。このシート搬送装置50は、多関節ロボット52の先端に装着したシート吸着部材90を介して表面シート4を、三次元的な所定の搬送範囲内で搬送することができる。
【0037】
シート搬送装置50の緩衝機構53は、
図5に示すように、多関節ロボット52の先端に取付けられた基端側ベース53aと、基端側ベース53aに対して所定距離離間して配置され基端側ベース53aと背向する面に連結部55が取付けられた先端側ベース53bと、基端側ベース53aと先端側ベース53bとを互いに所定範囲内で互いに接近可能に連結するスライド連結部材53cと、基端側ベース53aと先端側ベース53bとを互いに離反する方向へ付勢する緩衝バネ53dとを備えている。
【0038】
また、シート搬送装置50の緩衝ロック機構54は、緩衝機構53における基端側ベース53aの先端側ベース53bと対向した面に取付けられ先端側ベース53bへ向って進退可能なロッドを有したロックシリンダ54aと、ロックシリンダ54aのロッドにより進退し基端側ベース53aの面に沿って延びた駆動片54bと、駆動片54bの先端に一端側が回動可能に支持された連結片54cと、連結片54cの他端側に一辺の先端が回動可能に支持されたL字状の作動片54dと、作動片54dのコーナー部を回動可能に支持し基端側ベース53aに支持されたステー54eと、作動片54dの他辺の先端に支持された係止片54fと、作動片54dの他辺の先端が最も先端側ベース53bに接近した時に係止片54fと係合して先端側ベース53bの面に対して直角方向への移動を規制し先端側ベース53に支持された被係止片54gとを備えている。なお、係止片54fは、作動片54dから延びる長さを調整できるように形成されている。
【0039】
この緩衝ロック機構54は、ロックシリンダ54aのロッドを前進させた状態では、
図5(a)に示すように、L字状の作動片54dの他辺に支持された係止片54fが先端側ベース53bから遠ざかった状態となっており、先端側ベース53bが基端側ベース53aへ相対的に接近することができる状態となっている。つまり、緩衝機構53が作用する状態となっている。一方、ロックシリンダ54aのロッドを後退させた状態では、
図5(b)に示すように、L字状の作動片54dの他辺に支持された係止片54fが先端側ベース53bに支持された被係止片54gと係合した状態となっており、先端側ベース53bが基端側ベース53aへ相対的に接近又は離反することができない状態となっている。つまり、緩衝機構53が作用しない(ロックされた)状態とすることができる。
【0040】
表面シート貼付システム1における接着剤塗布装置60は、
図6に示すように、床面Wに設置されるベース部61と、ベース部61上に取付けられる装置本体62と、装置本体62の上部に回転可能に支持され外周面に接着剤層が形成される円筒状の塗布ローラ63と、塗布ローラ63と平行に配置され塗布ローラ63の外周面に所定厚さの接着剤層を形成するための補助ローラ64とを備えている。
【0041】
また、図示は省略するが、接着剤塗布装置60は、塗布ローラ63を回転駆動させるための塗布ローラ駆動モータと、補助ローラ64を回転駆動させるための補助ローラ駆動モータと、塗布ローラ63へ接着剤を供給する接着剤供給装置とを備えている。本実施形態の接着剤塗布装置60は、
図6等に示すように、塗布ローラ63の上方側が開放された状態となっており、塗布ローラ63の上部が露出している。また、接着剤塗布装置60は、補助ローラ63が左右方向へ移動可能とされており、塗布ローラ63との隙間を変化させることで、塗布する接着剤層の厚さを変化させることができる。
【0042】
表面シート貼付システム1における押圧装置70は、
図4に示すように、表面シート4を芯材3の上面側のみへ押圧する上部押圧ユニット70Aと、表面シート4を折り返して芯材3の化粧側面側と下面側へ押圧可能な端部押圧ユニット70Bとを備えている。
【0043】
押圧装置70の上部押圧ユニット70Aは、芯材支持装置30における本体31の長手方向に対して直角方向へ延びた押圧ローラ71と、押圧ローラ71を回転可能に支持するローラ支持部材72と、ローラ支持部材72を昇降可能に支持する上部ユニット本体73と、上部ユニット本体73を芯材支持装置30における本体31の長手方向へ移動可能に支持する上部レール74とを備えている。なお、上部レール74は、芯材支持装置30に支持されている。また、上部押圧ユニット70Aは、図示は省略するが、ローラ支持部材72を昇降させるための昇降駆動機構と、上部ユニット本体73を上部レールに沿って本体31の長手方向へ移動させるための移動駆動機構とを備えている。
【0044】
また、押圧装置70の端部押圧ユニット70Bは、芯材支持装置30における本体31の長手方向一端側(
図4における左端側)に配置されており、芯材3の化粧側面付近の上面側へ表面シート4を押圧するための上面押圧板80と、芯材3の化粧側面側へ表面シート4を押圧するための側面押圧板81と、芯材3の化粧側面付近の下面側へ表面シート4を押圧するための下面押圧板82とを備えている。本実施形態の上面押圧板80は、表面シート4を芯材3の溝3a内へ押圧するための突条80aが備えられている。なお、突条80aに、スポンジ等の弾性体を貼付けても良い。
【0045】
本実施形態の端部押圧ユニット70Bは、詳細は後述するが、上面押圧板80、側面押圧板81、及び下面押圧板82が、本体31の長手方向で、本体31から遠ざかった位置と接近した位置との間を移動することができ、本体31側へ移動した状態で芯材3を押圧することができる。
【0046】
詳述すると、端部押圧ユニット70Bは、床面Wに設置されるベース部材83と、ベース部材83の上面に芯材支持装置30における本体31の長手方向と同じ方向へ延びるように取付けられる下部レール84と、下部レール84によってスライド可能に支持される端部ユニット本体85と、端部ユニット本体85を下部レール84に沿ってスライド駆動させベース部材83に支持されるユニット駆動シリンダ86とを備えている。また、端部押圧ユニット70Bは、上面押圧板80を昇降駆動させる第一駆動機構87と、側面押圧板81を移動駆動させる第二駆動機構88と、下面押圧板82を移動駆動させる第三駆動機構89とを備えており、これら第一駆動機構87、第二駆動機構88、及び第三駆動機構89が端部ユニット本体85に支持されている。
【0047】
端部押圧ユニット70Bの端部ユニット本体85は、下部レール84によってスライド可能に支持される下本体部85aと、下本体部85aの本体31に近い側の端部から芯材支持装置30より高く上方へ延出した縦本体部85bと、縦本体部85bの上端から下部レール84と略平行に本体31側へ延びた上本体部85cとを備えている。
【0048】
端部押圧ユニット70Bの第一駆動機構87は、端部ユニット本体85の上本体部85cに、シリンダロッド87aの先端が下方へ向かって進退するように取付けられた上面押圧シリンダ87bと、上面押圧シリンダ87bにより進退するシリンダロッド87aの先端に取付けられていると共に下面側に上面押圧板80が取付けられた押圧板支持部材87cとを備えている。
【0049】
端部押圧ユニット70Bの第二駆動機構88は、上下方向へ延びるように縦本体部85bの本体31側(
図4における右側)に支持された縦レール88aと、縦レール88aによって昇降可能に支持されたスライダ88bと、スライダ88bと連結されるシリンダロッド88cが上下方向へ進退するように縦本体部85bの縦レール88aとは反対側に支持された昇降シリンダ88dと、シリンダロッド88eの先端が本体31側へ向かって進退するようにスライダ88bに取付けられた側面押圧シリンダ88fと、側面押圧シリンダ88fにより進退するシリンダロッド88eの先端に取付けられていると共に本体31側に側面押圧板81が取付けられた押圧板支持部材88gとを備えている。
【0050】
端部押圧ユニット70Bの第三駆動機構89は、端部ユニット本体85の下本体部85aに、シリンダロッド89aの先端が本体31側(
図4における右側)へ向かって進退するように取付けられた下シリンダ89bと、下シリンダ89bにより進退するシリンダロッド89aの先端に取付けられた進退部材89cと、進退部材89cに、シリンダロッド89dが上方へ進退するように取付けられた下面押圧シリンダ89eと、下面押圧シリンダ89eにより進退するシリンダロッド89dの先端に取付けられていると共に上端側に下面押圧板82が取付けられた押圧板支持部材89fとを備えている。
【0051】
なお、本実施形態の端部押圧ユニット70Bにおける上押圧シリンダ87b、側面押圧シリンダ88f、及び下面押圧シリンダ89eは、ガイド付シリンダとされている。また、図示は省略するが、第三駆動機構89は、シリンダロッド89aと平行に延び端部ユニット本体に摺動可能に支持された二つのガイドロッドを備えている。このガイドロッドの先端に進退部材89cが取付けられており、二つのガイドロッドにより進退部材89cがシリンダロッド89aの延びる方向へ移動可能に支持されている。
【0052】
表面シート貼付システム1におけるシート吸着部材90は、表面シート4(製造品2)の形状に応じて、予め形状の異なるものが複数備えられている。本実施形態のシート吸着部材90は、
図7に示すように、表面シート4と対応した形状に形成された平板状の本体プレート91と、本体プレート91の上面側に取付けられた格子状の補強フレーム92と、補強フレーム92の上面側で本体プレート91の略重心位置に取付けられシート搬送装置50の連結部55に対して着脱可能とされた被連結部93と、本体プレート91における所定の一辺に沿って配置されていると共に補強フレーム92により固定されており、且つ下方へ向かって負圧を作用可能とされた固定側吸着部94と、固定側吸着部94が配置された本体プレート91の一辺と背向した他辺に沿って配置されていると共に補強フレーム92により固定側吸着部94から離反する方向へ移動可能に支持されており、且つ下方へ向かって負圧を作用可能とされた可動側吸着部95とを備えている。
【0053】
シート吸着部材90における本体プレート91は、表面シート4と接する柔軟性を有したスポンジ状の保護部91aと、保護部91aの上面側を支持する板状で剛性の高い基部91bとで構成されている。また、シート吸着部材90における固定側吸着部94は、下方へ向かって負圧を作用可能とされた複数の吸盤部94aと、複数の吸盤部94aを本体プレート91の一辺に沿って列設するように補強フレーム92に支持された支持ステー94bとを備えている。
【0054】
更に、シート吸着部材90における可動側吸着部95は、下方へ向かって負圧を作用可能とされた複数の吸盤部95aと、複数の吸盤部95aを本体プレート91の他辺に沿って列設するように支持し、且つ補強フレーム92にスライド可能に支持された吸盤保持部材95bとを備えている。また可動側吸着部95は、吸盤保持部材95bから本体プレート91と略平行に固定吸着部94の方向へ延びたレール部材95cと、レール部材95cに対してスライド可能に支持され、且つ補強フレーム92に固定されたレール受部材95dと、吸盤保持部材95bに先端が取付けられており、レール部材95cと平行に配置されたシリンダロッド95eと、シリンダロッド95eを進退させ補強フレーム92に取付けられた可動シリンダ95fとを備えている。
【0055】
なお、シート吸着部材90における固定側吸着部94と可動側吸着部95の吸盤部94a,95aは、負圧を作用させる方向とは反対方向へ移動可能とされている。
【0056】
このシート吸着部材90は、被連結部93をシート搬送装置50の連結部55と連結させることで、連結部55及び被連結部93を介してシート搬送装置50側から負圧や正圧が供給される。また、シート吸着部材90は、表面シート4の両端を固定側吸着部94と可動側吸着部95とで吸着した上で、可動側吸着部95を固定側吸着部94から離反する方向へ可動させることで、表面シート4を引っ張った状態で保持できる。
【0057】
表面シート貼付システム1におけるシート吸着部材収納装置100は、
図6に示すように、シート吸着部材90を収納可能な収納トレイ101と、複数の収納トレイ101を引出可能に支持する収納装置本体102と、収納装置本体102に支持された複数の収納トレイ101を夫々独立して開閉駆動させるトレイ駆動機構103とを備えている。
【0058】
シート吸着部材収納装置100のトレイ駆動機構103は、先端側が収納トレイ101に接続され収納トレイ101の移動方向へ延びたシリンダロッド103aと、シリンダロッド103aを進退させると共に収納装置本体102に取付けられた駆動シリンダ103bとを備えている。シリンダロッド103a及び駆動シリンダ103bは、各収納トレイ101に対応して一組ずつ備えられている。
【0059】
表面シート貼付システム1における製造品載置部110は、詳細な図示は省略するが、芯材載置部10と同様の構成とされている。
【0060】
表面シート貼付システム1における制御装置120は、詳細な図示は省略するが、CPU、RAM、ROM、HDD、キーボードやマウス等の入力デバイス、ディスプレイ等の出力デバイス、等を備えた汎用のコンピュータにより構成されており、所定のプログラムの実行により、芯材搬送装置20、芯材支持装置30、シート搬送装置50、接着剤塗布装置60、押圧装置70、及びシート吸着部材収納装置100等を制御するものである。
【0061】
表面シート貼付システム1における隔壁130は、芯材3や表面シート4等が搬送される空間の略全体を囲んでいる。図示は省略するが、隔壁130におけるシート載置部40の部位に、外側から表面シート4をシート載置部へ載置するための開口が形成されている。また、隔壁130の所定位置には、開閉可能な扉が備えられている。
【0062】
次に、本実施形態の表面シート貼付システム1における各装置20,30,50,60,70,100,120や載置部10,40,110等の配置について説明する。まず、芯材搬送装置20及びシート搬送装置50は、芯材3及び表面シート4を夫々所定の搬送範囲内で搬送可能に構成されており、
図2に示すように、互いの搬送範囲が重なるように所定距離離間して配置されている。また、芯材支持装置30は、芯材搬送装置20とシート搬送装置50の搬送範囲が重なる位置に配置されている。つまり、芯材支持装置30は、芯材搬送装置20とシート搬送装置50との間に配置されている。
【0063】
また、押圧装置70は、上部押圧ユニット70Aが芯材支持装置30上に配置されていると共に、端部押圧ユニット70Bが芯材支持装置30における芯材搬送装置20側の端部に配置されている。また、芯材載置部10及び製造品載置部110は、芯材搬送装置30の搬送範囲内に配置されている。
【0064】
更に、シート載置部40は、シート搬送装置50の搬送範囲内でシート搬送装置50を挟んで芯材支持装置30とは反対側における、芯材搬送装置20とシート搬送装置50とを結んだ軸線を境にした一方側の位置に配置されている。また、シート吸着部材収納装置100は、芯材搬送装置20とシート搬送装置50とを結んだ軸線を境に、シート載置部40とは反対側の位置に配置されている。このシート吸着部材収納装置100は、引出した状態の収納トレイ101がシート搬送装置50の搬送範囲内となるように、隔壁130の外側に配置されている。
【0065】
更に、接着剤塗布装置60は、少なくとも接着剤を塗布するための塗布ローラ63がシート搬送装置50の搬送範囲内に位置するように配置されている。また、制御装置120は、隔壁130の外側に配置されている。
【0066】
続いて、本実施形態の表面シート貼付システム1の動作について、主に
図8乃至
図14を参照して詳細に説明する。本実施形態の表面シート貼付システム1は、まず、芯材載置部10に予め所定形状に切断された芯材3を載置すると共に、シート載置部40に芯材3と対応した形状に予め切断した表面シート4を載置する。
【0067】
この状態で表面シート貼付システム1を稼動させると、シート吸着部材収納装置100では、貼付ける表面シート4の形状と対応するシート吸着部材90が収納された収納トレイ101を、対応するトレイ駆動機構103によって収納装置本体102から引出す。続いて、シート搬送装置50では、多関節ロボット52の先端を、引出された収納トレイ101に収納されたシート吸着部材90の被連結部93の位置まで移動させた上で、その先端の連結部55をシート吸着部材90の被連結部93に連結して、先端にシート吸着部材90を装着する。そして、シート搬送措置50の先端にシート吸着部材90を装着した状態で、シート搬送装置50の先端を上昇させると、シート吸着部材90が収納トレイ101から取出されることとなる(
図8を参照)。
【0068】
先端にシート吸着部材90を装着して収納トレイ101からシート吸着部材90を取出したシート搬送装置50は、先端に装着したシート吸着部材90を、シート載置部40に載置された表面シート4上へ移動させた上で(
図9(b)を参照)、本体プレート91の保護部91aを表面シート4の表面に当接させる。この際に、シート搬送装置50では、所定位置に備えられたカメラにより、シート載置部40に載置された表面シート4を撮影して所定の画像解析を行うことで、載置された表面シート4の形状や向きを確認し、載置された表面シート4の向きに合せた向きにシート吸着部材90を当接させる。具体的には、例えば、
図2に示すように、表面シート4における所定辺の両端の隅部Pを撮影して解析することで、載置された表面シート4に対してシート吸着部材90の向きを合せる。
【0069】
なお、画像解析によりシート載置部40に表面シート4が載置されていない場合や、載置された表面シート4が対象とする形状とは異なっている場合は、警報を発して表面シート貼付システム1を停止させる。
【0070】
また、表面シート4にシート吸着部材90を当接させる際に、シート搬送装置50の先端には、緩衝機構53が備えられているので、緩衝バネ53dの付勢力によりシート吸着部材90を表面シート4側へ押圧して、本体プレート91の保護部91aに対して表面シート4を均質に当接させることができると共に、シート吸着部材90の本体プレート91を表面シート4に当接させた時の衝撃を緩和させることができる。
【0071】
そして、表面シート4にシート吸着部材90を当接させた状態で、シート吸着部材90における両端の固定側吸着部94と可動側吸着部95に負圧を供給して夫々の吸盤部94a,95aで表面シート4の表面端部を吸着する。なお、この際に、シート搬送装置50の多関節ロボット52により緩衝機構53を介してシート吸着部材90を表面シート4側へ押圧することで、各吸盤部94a,95aを表面シート4に押し付けてしっかり吸着させる。次に、可動側吸着部95の可動シリンダ95fによりシリンダロッド95eを前進させ、表面シート4を引っ張ってピンと張った状態にし、シート搬送装置50によりシート吸着部材90を上昇させてシート載置部40から表面シート4を取上げる(
図9(c)を参照)。
【0072】
次に、シート搬送装置50の緩衝ロック機構54により緩衝機構53が作用しないロックした状態とした上で、シート吸着部材90に吸着保持した表面シート4を、シート搬送装置50によりシート載置部40から接着剤塗布装置60へと搬送する。そして、シート搬送装置50により表面シート4を塗布ローラ63の上方で移動させて、表面シート4の裏面に接着剤層が形成された塗布ローラ63を接触させ、塗布ローラ63外周面の接着剤を表面シート4の裏側に塗布する(
図9(d)を参照)。
【0073】
接着剤を塗布する際に、シート搬送装置50の緩衝ロック機構54により緩衝機構53をロックしているので、塗布ローラ63外周面の接着剤の粘着力により表面シート4を介してシート吸着部材90が引き寄せられることで、シート吸着部材90がバタ付いて表面シート4と塗布ローラ63との接触状態が変化し、接着剤が不均一に塗布されてしまうのを防止することができ、表面シート4の裏面に接着剤を均一に塗布させることができる。
【0074】
一方、芯材搬送装置20では、芯材載置部10に載置された芯材3のうち、シート搬送装置50で搬送する表面シート4と対応した芯材3上に、多関節ロボット22の先端に取付けられた吸着保持部23を当接させ、吸着保持部23に負圧を供給して吸盤部24で芯材3を吸着する。この際に、吸着保持部23を、芯材3の略重心位置に当接させる。そして、吸着保持部23により芯材3を吸着保持した状態で、多関節ロボット22によって先端の吸着保持部23を上昇させることで、芯材保持部10から芯材3を取出す。
【0075】
なお、芯材搬送装置20側では、芯材載置部10に芯材3を載置する際に、芯材3の形状に応じた位置に予め載置する一方で、芯材3の形状と載置位置を記憶させておき、記憶させた芯材3の形状と載置位置とに基づいて、多関節ロボット22を制御して表面シート4と対応した芯材3を吸着保持部23で吸着保持させる。或いは、芯材載置部10に載置された芯材3を撮影するカメラを備え、カメラで撮影した芯材載置部10の芯材3を画像解析することで、表面シート4と対応した芯材3の位置や向きを認識し、その認識に基づいて、多関節ロボット22を制御するようにしても良い。
【0076】
また、芯材支持装置30では、補助支持装置36の補助支持シリンダ38により、補助支持部材37の補助支持面37aが、載置台32と略同一面状となる状態とする(
図10(e)を参照)。
【0077】
そして、芯材搬送装置20により芯材支持部10から取出した芯材3を、芯材支持装置30へと搬送し、芯材支持装置30の載置台32に載置する。この際に、芯材3における表面シート4が折り返されて貼付けられる化粧側面側が、押圧装置70における端部押圧ユニット70B側(
図10において左側)を向くようにすると共に、化粧側面が補助支持装置36の位置決め片39に当接した状態に載置する。芯材3を芯材支持装置30の載置台32に載置したら、負圧作用部33に負圧を供給し、吸盤部34で芯材3の下面を吸着して芯材3を固定する。その後、芯材搬送装置20における吸着保持部23への負圧の供給を停止させ、吸盤部24による芯材3の吸着を解除した上で、多関節ロボット22により吸着保持部23を上昇させて芯材3から遠ざける(
図10(f)を参照)。
【0078】
芯材支持装置30に芯材3を支持させて芯材搬送装置20の吸着保持部23を芯材支持装置30から遠ざけた状態で、シート吸着部材90に吸着されて裏面に接着剤が塗布された表面シート4を、シート搬送装置50により芯材支持装置30にへ搬送する(
図11(g)を参照)。そして、シート吸着部材90に吸着された表面シート4の向きを、芯材支持装置30に支持された芯材3の向きと合せた上で、芯材3上に表面シート4を載置する。
【0079】
その後、シート吸着部材90における固定側吸着部94と可動側吸着部95への負圧の供給を停止させ、各吸盤部94a,95aによる表面シート4の吸着を解除した上で、多関節ロボット52によりシート吸着部材90を上昇させて芯材支持装置30から遠ざける(
図11(h)を参照)。なお、表面シート4の裏側に接着剤が塗布されているので、シート吸着部材90を上昇させても、接着剤の粘着力により表面シート4が芯材3から捲れたりせず、芯材3上に良好な状態で載置されることとなる。
【0080】
芯材3上に接着剤を塗布した表面シート4を載置したら、次に、芯材支持装置30における本体31の長手方向他端側(
図12において右端側)に位置した押圧装置70の上面押圧ユニット70Aにおけるローラ支持部材72を、押圧ローラ71の下端が芯材3の上面と略同じ高さとなる位置まで降下させた上で、上部ユニット本体73を本体31の長手方向一端側へ向かって移動させ、押圧ローラ71を芯材3の化粧側面側とは反対側から化粧側面側へ転動させる(
図12(i)を参照)。この押圧ローラ71の転動により、芯材3上面に対して表面シート4が、芯材3の化粧側面とは反対側から化粧側面側へ向かって順次押圧されると共に、芯材3と表面シート4との間の空気が化粧側面側へ押し出され、芯材3と表面シート4とが接着剤を挟んで密着した状態に貼付けられる。また、芯材3の化粧側面側では、下面が補助支持部材37によって支持されているので、押圧ローラ71の押圧により芯材3が撓むことがなく、表面シート4を良好に押圧して貼付けることができる。
【0081】
上面押圧ユニット70Aの上部ユニット本体73(押圧ローラ71)が芯材3の化粧側面側に到達したら、ローラ支持部材72を上昇させて押圧ローラ71を表面シート4の上面から遠ざけた上で、上部ユニット本体73を芯材支持装置30における本体31の長手方向他端側の元の位置へ移動させると共に、押圧装置70の端部押圧ユニット70Bにおけるユニット駆動シリンダ86を駆動させて端部ユニット本体85を本体31側へ移動させる(
図12(j)を参照)。
【0082】
端部押圧ユニット70Bの端部ユニット本体85を本体31側へ(芯材3の化粧側面に接近した位置へ)移動させたら、第一駆動機構87により上面押圧板80を下降させ、上面押圧板80により芯材3の化粧側面付近の上面側で表面シート4を芯材3側へ押圧する(
図12(k)を参照)。この時、上面押圧板80の突条80aにより、表面シート4の一部が芯材3の溝3a内へ押圧され、溝3aに沿って表面シート4が貼付けられる。
【0083】
そして、端部押圧ユニット70Bの第一駆動機構87により、表面シート4と接した状態で上面押圧板80の位置を固定すると共に芯材3側への押圧を解除した上で、芯材支持装置30における補助支持装置36の補助支持部材37を補助支持シリンダ38により下方へ回動させ、芯材3における化粧側面付近の下面の支持を解除する(
図13(l)を参照)。なお、補助支持部材37を下方へ回動させることで、芯材3の所定の側面から位置決め片39部が離れ、表面シート4を芯材3の所定の側面側へ折り返すことができる状態となる。
【0084】
次に、端部押圧ユニット70Bの第二駆動機構により、側面押圧板81を下降させて表面シート4を芯材3の化粧側面側へ折り曲げると共に、側面押圧板81を芯材3の方向へ移動させて折り曲げた表面シート4を芯材3の化粧側面側へ押圧する(
図13(m)を参照)。
【0085】
続いて、端部押圧ユニット70Bの第三駆動機構により、下面押圧板82を芯材3側へ前進させて表面シート4を芯材3の下面側へ折り曲げると共に、下面押圧板82を上昇させて折り曲げた表面シート4を芯材3の下面側へ押圧する(
図13(n)を参照)。この時、芯材3の上面側には上面押圧板80が固定された状態で当接しているので、下面押圧板82により下側から押圧しても、芯材3が撓むことはなく、表面シート4を芯材3の下面に良好な状態で押圧することができる。
【0086】
そして、表面シート4に塗布した接着剤の接着効果があらわれるまでの所定時間(例えば、接着剤を表面シート3の裏側に塗布してから15sec〜4min)の間、芯材3における化粧側面側を、上面押圧板80、側面押圧板81、及び下面押圧板82で押圧した状態とし、所定時間経過後に、上面押圧板80、側面押圧板81、及び下面押圧板82を、元の位置へ後退させる(
図14(o)を参照)。これにより、芯材3に表面シート4が貼付けられた製造品2が、芯材支持装置30に支持された状態となる。
【0087】
その後、端部押圧ユニット70Bの端部ユニット本体85を元の位置へ後退させて、芯材支持装置30に支持された製造品2から遠ざけると共に、芯材搬送装置20における多関節ロボット22の先端に取付けられた吸着保持部23を製造品2の上面側へ接近させる(
図14(p)を参照)。
【0088】
そして、芯材搬送装置20の吸着保持部23を製造品2の上面に当接させて負圧を作用させて吸着保持すると共に、芯材支持装置30における負圧作用部33への負圧の供給を停止して、吸盤部34による芯材3の下面の吸着を解除した上で、多関節ロボット22により吸着保持部23を上昇させて製造品2を芯材支持装置30から取り上げる(
図14(q)を参照)。
【0089】
芯材搬送措置20の吸着保持部23に吸着保持した製造品2を、多関節ロボット22により製造品載置部110へ搬送し、製造品載置部110上に所定の向きで製造品2を載置することで、表面シート貼付システム1による製造が完了する。なお、上記した表面シート貼付システム1における一連の動作は、制御装置120により自動的に制御されており、芯材3に表面シート4を自動的に貼付けることができる。
【0090】
このように、本実施形態の表面シート貼付システム1によると、予め所定形状(三角形状、台形状、矩形状、等)に切断された芯材3を芯材載置部10に載置すると共に、芯材3と対応した形状に予め切断された表面シート4をシート載置部40に載置し、芯材載置部10に載置された芯材3を、芯材搬送装置20で芯材支持装置30へ搬送して支持させると共に、シート載置部40に載置された表面シート4をシート搬送装置50で搬送させながら表面シート4の裏面に接着剤塗布装置60で接着剤を塗布した上で芯材支持装置30に支持された芯材3上へ搬送して載置し、押圧装置70によって表面シート4を芯材3側へ押圧することができるので、予め所定形状に切断された芯材3に、対応した形状に切断された表面シート4を、熟練した技術を要することなく容易に貼付けることができる。
【0091】
また、押圧装置70によって接着剤が塗布された表面シート4を芯材3側へ押圧することで貼付けるようにしており、蓋然的に、表面シート4の貼付作業が機械的となるので、押圧装置70による貼付作業を最適化することで、熟練者と同等の貼付けを容易に行うことができ、コストを低減させることができると共に、表面シート4の貼付け毎のムラを可及的に少なくすることができ、芯材3に表面シート4を綺麗に貼付けることができる。
【0092】
更に、シート搬送装置50により表面(上面)が吸着保持されて空中を搬送中の表面シート4の裏面を、接着剤塗布装置60の回転する塗布ローラ63に、上方から接触させて接着剤を塗布する新規な方法を採用した構成である。これにより、接着剤塗布装置60に表面シート4を送るための送り機構を備える必要が無く、接着剤塗布装置60の構成を簡単なものとしてシステムに係るコストを低減させることができる。また、接着剤塗布装置60に表面シート4を送るための機構を備える必要が無いので、表面シート4の裏面に接着剤を塗布する際に、表面シート4をシート搬送装置50から接着剤塗布装置60へ渡したり、接着剤塗布装置60からシート搬送装置50が表面シート4を受取ったりする必要が無く、表面シート4の受渡しの分、時間を短縮することができ、生産効率を高めて比較的低コストで製造品を製造することができる。
【0093】
また、シート搬送装置50により搬送中の表面シート4の裏面に接着剤塗布装置60の塗布ローラ63を接触させて接着剤を塗布するようにしているので、接着剤の塗布条件のムラを無くして接着剤を均一に塗布することができ、均一な接着剤の塗布により熟練した技術を要することなく芯材3に表面シート4を綺麗に貼付けることができる。
【0094】
ところで、接着剤塗布装置60として、接着剤を噴霧するスプレーを備えたものとした場合、スプレーから噴霧された接着剤を全て表面シート4の裏面に塗布させることは略不可能であり、表面シート4の周りに霧状の接着剤が飛散することとなる。そのため、スプレーにより接着剤を塗布する場合には、飛散した霧状の接着剤を捕集する集塵機を備える必要があり、システム全体の構成が大掛かりなものとなって、システムのコストが高くなる問題がある。また、スプレーにより接着剤を塗布するようにした場合、上述したように、霧状の接着剤が飛散するので、飛散した接着剤が表面シート4を搬送するシート搬送装置50等に付着しないための対策を講じる必要があり、この点でもコストが高くなる問題がある。これに対して、本実施形態では、接着剤層が形成された塗布ローラ63を接触させることで、表面シート4の裏面に接着剤を塗布するようにしており、接着剤が飛散しないので、スプレーを用いた場合と比較して、集塵機を備えたりシート搬送装置50等に接着剤対策をしたりする必要が無く、システムに係るコストが高くなるのを回避させることができる。
【0095】
更に、表面シート4を吸着保持するシート吸着部材90を、表面シート4の形状(大きさ)に応じて予め複数用意し、各シート吸着部材90を夫々独立してシート搬送装置50に装着させることが可能なシート吸着部材収納装置100を備えているので、表面シート4の形状に対応したシート吸着部材90を、シート吸着部材収納装置100から取出してシート搬送装置50に装着することで、多様な形状の表面シート4に対応させることが可能となり、熟練した技術を要することなく容易に多品種に対応することができ、形状が変わっても芯材3に表面シート4を確実に貼付けることができる。
【0096】
ところで、シート搬送装置50における表面シート4を保持するシート吸着部材90として、様々な形状の表面シート4に対応できるように、例えば、最も小さい表面シート4に合せた大きさのシート吸着部材90のみとした場合、シート吸着部材90よりも大きな表面シート4を保持すると、表面シート4におけるシート吸着部材90で保持されない部位が垂れ下がってしまい、接着剤塗布装置60によって表面シート4の裏面に接着剤を塗布することができなくなったり、芯材3上に表面シート4を良好な状態で載置できなくなったりする問題が生じる。そこで、シート吸着部材90を最も大きい表面シート4に合わせた大きさとすることが考えられる。しかしながら、この場合、シート吸着部材90よりも小さい表面シート4を保持させると、表面シート4を吸着していない部位から外気が流入するため、表面シート4の吸着力が低下して表面シート4を十分に保持することができなくなる虞がある。これに対して、本実施形態では、大きさの異なるシート吸着部材90を複数用意し、表面シート4の形状に応じた大きさのシート吸着部材90を用いているので、上述したような問題を確実に解決することができる。
【0097】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0098】
例えば、上記の実施形態では、芯材搬送装置20やシート搬送装置50として多軸の多関節ロボット22,52を用いたものを示したが、これに限定するものではなく、異なる方向へ延びた複数のレールによりシート吸着部材を着脱可能に連結する連結部が三次元的に移動できるような装置を用いても良く、上記と同様の作用効果を奏することができる。