(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接続すべき鉄筋を直列に配置して該両鉄筋の端部に沿わせて連結部材を重ね合わせて鉄筋を連結する各重ね部を形成し、次いで、該各重ね部の各鉄筋の端部と連結部材との間に、連結金具の鉄筋クランプ部の中央部分の平板部で形成した細片部を上記鉄筋の直径の2分の1より長い寸法として、該鉄筋クランプ部の内側に突出させてなる隙間形成用挿入物を挿入して、該各鉄筋の端部と連結部材を非接触状態とする隙間を保持させて、上記各重ね部の長さ方向の各両端部分を上記鉄筋クランプ部を有する連結金具でそれぞれ連結し、しかる後、上記各重ね部の長さ方向の各両端部分で連結した上記各重ね部の各鉄筋の端部と連結部材との間の隙間にコンクリート又はモルタルを充填させるようにして接続させることを特徴とする鉄筋接続方法。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレキャストコンクリート造等の工事において、鉄筋同士を繋ぐときに用いられている従来の鉄筋接続方式としては、重ね継手方式、機械式継手方式等がある。
【0003】
重ね継手方式は、接続すべき鉄筋の端部を重ね合わせて重ね部を接続するというものであり、具体的には、鉄筋の端部同士を、鉄筋の種類、コンクリートの設計基準強度、鉄筋端部形状、鉄筋の径等により建築工事標準仕様書等によって規定された重ね合わせ長さになるように重ね合わせた後、該重ね合わせた鉄筋の端部同士を連結し、連結後、鉄筋をコンクリートで固めることにより、鉄筋の端部同士を接続するようにしたものがある(たとえば、特許文献1参照)。上記において、上記鉄筋の端部同士の連結は、なまし鋼線を用いた結束線で結束しているのが一般的である。
【0004】
一方、機械式継手方式は、接続すべき鉄筋の端部同士を機械的に連結して接続するというもので、たとえば、接続すべき2本の鉄筋の端部にそれぞれ雄ねじ部を形成して、該各鉄筋の端部同士を突き合わせて配置し、該両鉄筋端部の雄ねじ部に、スリープ状のねじ筒の内側に形成した雌ねじ部を螺合させることにより、鉄筋の端部同士をねじ筒で連結して接続するようにしたものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載されているように、鉄筋の端部同士を必要な重ね合わせ長さに重ね合わせて、該重ね合わせ部を連結して接続する方法の場合は、重ね合わせる鉄筋の端部同士を連結させるようにするものであり、鉄筋の端部の重ね部が密着する。そのため、重ね部の鉄筋同士の間へのコンクリートの充填性が悪くなり、鉄筋接続部の強度を高めることができないという問題がある。又、上記鉄筋の端部同士を結束線で結束するようにしたものでは、鉄筋同士に引張力を加えて鉄筋の接続部に引き離す力を作用させた場合に、その力に上記結束線は抵抗できず、必要な引張強度を得るためには、重ね合わせの長さを規定以上にする必要がある、という問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載されたものは、接続すべき鉄筋の端部に形成した雄ねじ部に、ねじ筒の内側に形成した雌ねじ部を螺合させることにより、鉄筋の端部同士を接続するものであるため、鉄筋の端部とねじ筒との間に隙間を設けることはできず、鉄筋の端部とねじ筒との間へのコンクリートの充填性が悪くなり、鉄筋接続部の強度を高めることができない、という問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、接続すべき鉄筋の接続を堅固に行い、接続部の強度を高めることができるようにして、上記従来の問題点を解消できるようにする鉄筋接続方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、接続すべき鉄筋の端部同士を重ね合わせて鉄筋を連結する重ね部を形成し、次いで、該重ね部の鉄筋と鉄筋の各端部同士の間に、
連結金具の鉄筋クランプ部の中央の平板部で形成した細片部を上記鉄筋の直径の2分の1より長い寸法として、該鉄筋クランプ部の内側へ突出させてなる隙間形成用挿入物を挿入して、該両鉄筋の端部同士を非接触状態とする隙間を保持させて、上記重ね部の長さ方向の両端部分を
上記鉄筋クランプ部を有する連結金具でそれぞれ連結し、しかる後、上記
重ね部の長さ方向の両端部分で連結した上記重ね部の鉄筋の端部同士の間の隙間に
、コンクリート又はモルタルを充填させるようにして接続させる鉄筋接続方法とする。
【0010】
又、請求項2に対応して、接続すべき鉄筋を直列に配置して該両鉄筋の端部に沿わせて連結部材を重ね合わせて鉄筋を連結する各重ね部を形成し、次いで、該各重ね部の各鉄筋の端部と連結部材との間に、
連結金具の鉄筋クランプ部の中央部分の平板部で形成した細片部を上記鉄筋の直径の2分の1より長い寸法として、該鉄筋クランプ部の内側に突出させてなる隙間形成用挿入物を挿入して、該各鉄筋の端部と連結部材を非接触状態とする隙間を保持させて、上記各重ね部の長さ方向の各両端部分を
上記鉄筋クランプ部を有する連結金具でそれぞれ連結し、しかる後、上記
各重ね部の長さ方向の各両端部分で連結した上記各重ね部の各鉄筋の端部と連結部材との間の隙間にコンクリート又はモルタルを充填させるようにして接続させる鉄筋接続方法とする。
【0011】
請求項3に対応して、上記重ね部の
長さ方向の両端部分を連結するとき、重ね合わせた2つの部材の間に
上記隙間形成用挿入物を挿入してから、
上記連結金具により
、上記重ね合わせた2つの部材同士を近づける方向に締め付けて連結を行うようにする構成とする。
【0012】
更に、請求項4に対応して
、接続すべき鉄筋の端部同士を重ね合わせて形成させる重ね部の長さ方向の両端部分で鉄筋と鉄筋の各端部同士の間に挿入して隙間を形成させるための隙間形成用挿入物と、該隙間形成用挿入物で隙間が保持された上記重ね部の長さ方向の両端部分を連結する連結金具とを備えてなり、且つ上記連結金具は、上記重ね部の長さ方向の両端部分の外形に沿う形状とした鉄筋クランプ部と、該鉄筋クランプ部に連続して設けてある締付部とを有
して、上記鉄筋と鉄筋の各端部同士を近づける方向に締め付けるものとし、上記隙間形成用挿入物は、上記鉄筋クランプ部の中央の平板部で形成した細片部を上記鉄筋の直径の2分の1より長い寸法として、該鉄筋クランプ部の内側へ突出してなるものとし、上記隙間形成用挿入物で上記隙間を形成させて上記連結金具で連結した上記鉄筋の端部同士の間にコンクリート又はモルタルを充填させて接続させるようにした構成を有する鉄筋接続装置とする。
【0013】
更に又、請求項5に対応して、直列に配置し
た接続すべき両鉄筋の端部と連結部材とを重ね合わせて形成させる各重ね部の長さ方向の各両端部分で各鉄筋の端部と連結部材との間に挿入して隙間を形成させるための隙間形成用挿入物と、該隙間形成用挿入物で隙間が保持された上記各重ね部の長さ方向の各両端部分を連結する連結金具とを備えてなり、且つ上記連結金具は、上記各重ね部の長さ方向の両端部分の外形に沿う形状とした鉄筋クランプ部と、該鉄筋クランプ部に連続して設けてある締付部とを有
して、上記各鉄筋の端部と連結部材を近づける方向に締め付けるものとし、上記隙間形成用挿入物は、上記鉄筋クランプ部の中央部分の平板部で形成した細片部を上記鉄筋の直径の2分の1より長い寸法として、該鉄筋クランプ部の内側に突出してなるものとし、上記隙間形成用挿入物で上記隙間を形成させて上記連結金具で連結した上記各鉄筋の端部と連結部材との間にコンクリート又はモルタルを充填させて接続させるようにした構成を有する鉄筋接続装置とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の鉄筋接続方法及び装置によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)接続すべき鉄筋の端部同士を重ね合わせて重ね部を連結するとき、あるいは、直列に配置した接続すべき各鉄筋の端部と連結部材を重ね合わせて重ね部を連結するときに、重ね部の鉄筋と鉄筋の各端部同士の間、各鉄筋の端部と連結部材との間に
、連結金具の鉄筋クランプ部の中央部分の平板部で形成した細片部を上記鉄筋の直径の2分の1より長い寸法として、該鉄筋クランプ部の内側に突出させてなる隙間形成用挿入物を挟み込んで隙間を形成した状態で重ね部の長さ方向の両端部分を
上記鉄筋クランプ部を有する連結金具でそれぞれ連結し、連結後も上記隙間が形成されているようにするので、上記重ね部にコンクリート又はモルタルを打設して固めるときに、打設されたコンクリートのセメントペースト又はモルタルのモルタル成分が鉄筋と鉄筋の間、鉄筋と連結部材との間に充填されて、これらに付着すると共に、上記隙間を通して重ね部の鉄筋間へのセメントペースト又はモルタル成分の充填性を向上させることができる。
(2)上記(1)により、上記隙間へのセメントペースト又はモルタル成分の充填が良好に行われて、上記隙間を形成している鉄筋同士等へのセメントペースト又はモルタル成分の付着力が高められ、前記重ね部での鉄筋間の力の伝達が確実に行われることになる。これにより接続すべき鉄筋の接続を堅固に行うことができて、接続部の強度を高めることができる。
(3)接続すべき鉄筋の端部同士の重ね部の長さ方向の両端部分、あるいは、接続すべき鉄筋の端部と連結部材の各重ね部の長さ方向の
各両端部分をそれぞれ連結金具で連結するので、上記重ね部の長さを、重ね継手を用いているこれまでの重ね部の長さに比して短かくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1(a)(b)(c)及び
図2は本発明の実施の一形態を示すもので、先ず、接続すべき2本の鉄筋1a,1bは、その端部同士を接続できるように重ね合わせ、該2本の鉄筋1a,1bの端部に、重ね部2を形成させる。
【0019】
次いで、上記2本の鉄筋1a,1bの端部同士は、重ね部2の両端部分を、
図2に一例を示す特殊な連結金具3で締め付けることによって連結すると共に、上記重ね部2における鉄筋1a,1bの端部同士の間に該鉄筋1aと1bを非接触状態にする僅かな隙間4が形成確保された状態となるようにする。
【0020】
しかる後、上記連結した鉄筋1aと1bの周囲には、コンクリートを打設し、上記鉄筋1aと1bの端部同士の間の隙間4にセメントペーストを充填させるようにし、コンクリートの付着と剪断抵抗により鉄筋1aと1b間の力の伝達が行えるようにして、鉄筋1aと1bを接続するようにする。
【0021】
詳述すると、接続すべき一方の鉄筋1aの一端部と他方の鉄筋1bの他端部とを、重ね継手で接続する場合、鉄筋1aと1bの端部の重ね合わせ長さ、すなわち、重ね部(継手部)2の長さは、従来の結束線で結束させて接続させる場合に必要とされる鉄筋の端部の重ね合わせ長さよりも短い寸法、たとえば、鉄筋径の20倍程度、あるいは、その半分(鉄筋径の10
倍程度)の寸法となるように形成されるようにする。
【0022】
更に、上記鉄筋1aと1bの端部同士の重ね部2の両端部分を連結する連結金具3は、上記重ね部2の長さ寸法に合わせて幅寸法(鉄筋1a,1bの軸心方向の両端側で、かつ、鉄筋1a,1bの外周方向と直角の方向)を、小さく、たとえば、重ね部2の寸法の約1/5程度のものとして製作するようにする。
【0023】
上記連結金具3は、
図1(a)(b)(c)及び
図2に一例を示す如く、上記重ね部2における上記鉄筋1a,1bの外形(重ね部2の外形)に沿う円弧形成部5a,5bと中央の平板部5cとを有するほぼ楕円形状とした鉄筋クランプ部5と、該鉄筋クランプ部5から両端部を外側へ相対向するように突出させて設けた締付部6とを備えて、該締付部6に設けたボルト挿通孔に通したボルト7にナット8を螺合させて締め付けることにより、該締付部6を介して上記鉄筋クランプ部5を締め付けることができるようにしてある。
【0024】
更に、上記平板部5cの内側には、上記重ね部2の鉄筋1a,1bの端部同士の間に前記セメントペーストが充填され得る大きさの隙間4を形成させるための隙間形成用挿入物9を、内向きに突出させて設けた構成としてある。
【0025】
上記隙間形成用挿入物9は、本実施の形態では、鉄筋クランプ部5の一方の円弧形成部5aの幅方向両端縁部を平板部5c中央部より他方の円弧形成部5bの方向に平行に切断して、両側部に2つの細片部9aを形成し、該両細片部9aを上記鉄筋1a,1bの直径の1/2より長い寸法に切断して、平板部5cの中央部より内側に屈曲させて突出させてなる構成としてある。すなわち、上記細片部9aを隙間形成用挿入物9として、上記鉄筋クランプ部5と一体にした構成としてある。したがって、上記隙間形成用挿入物9の幅寸法は、上記細片部9aの幅寸法であり、狭幅のものとしてある。
【0026】
図中、10は締付部6に備えた座金、11は連結金具3の内側にコンクリートを充填するときに用いるコンクリート充填用の孔で、必要に応じて鉄筋クランプ部5の平板部5cの中央部に設けるものである。
【0027】
なお、上記隙間形成用挿入物9の厚み寸法は、前記したように、セメントペーストを充填し得る隙間4を形成できるものであればよいが、本実施の形態では、鉄筋クランプ部5の板厚と同じで、たとえば、2、3mm程度のものとしてある。
【0028】
上記構成としてある連結金具3を用いて、一方の鉄筋1aの端部と他方の鉄筋1bの端部とを連結する場合は、
図1(a)(b)(c)に示す如く、上記鉄筋1aの端部と鉄筋1bの端部を重ね合わせて重ね部2が形成されると、該重ね部2の両端部分で連結金具3により連結させる。この場合、上記連結金具3は、締付部6からボルト7とナット8を取り外した状態で、上記重ね部2の一端部分と他端部分の鉄筋1a,1bに連結金具3の鉄筋クランプ部5をそれぞれ嵌合させるようにする。このとき、同時に、隙間形成用挿入物9は、鉄筋1a,1bの間に挿入させられた状態になる。なお、上記鉄筋1a,1bへの鉄筋クランプ部5の嵌合の際、連結金具3の鉄筋クランプ部5は図示の如く、広幅となっている円弧形成部5aが、鉄筋1aの先端位置と鉄筋1bの先端位置にそれぞれ嵌合させられ、狭幅としてある円弧形成部5bが鉄筋1aと1bの各先端から離れた位置にそれぞれ嵌合させられるようにすると共に、連結金具3の締付部6が、上記重ね部2から見てコンクリートのかぶり厚さとなる側の反対側(コンクリートの反かぶり厚さ側)に向くようにする。
【0029】
次に、上記連結金具3の締付部6に設けてあるボルト挿通孔に挿通させたボルト7にナット8を螺合させて締め付けるようにする。締付部6は、対峙間隔が狭められることにより、鉄筋クランプ部5の円弧形成部5aと5bが内側に引き寄せられて、該鉄筋クランプ部5に係合されている上記一方の鉄筋1aと他方の鉄筋1bに締付力が付与される。このとき、該鉄筋1aと1bの間には、隙間形成用挿入物9が挿入されて挟まれているので、鉄筋1a,1bが、重ね部2の両端部分で連結されると同時に、鉄筋1a,1b間に隙間4が積極的に形成される。これにより、上記一方の鉄筋1aと他方の鉄筋1bの各端部同士は、短い重ね部2の両端部分で連結金具3により容易に、かつ、堅固に連結されることになり、上記鉄筋1aと1bが互いに直径方向に離反するような動きを確実に防止することができると同時に、コンクリートのセメントペーストの鉄筋1a,1b間への充填性を上げるための隙間4を確保することができるようになる。
【0030】
次いで、上記一方の鉄筋1aと他方の鉄筋1bの周囲にコンクリートを打設する。打設されたコンクリートは、鉄筋1a,1bの重ね部2では、鉄筋1aと1bの間で形成される凹部に充填されて鉄筋1aと1bに付着すると共に、セメントペーストは、鉄筋1aと1bの間に形成された隙間4に沿って流れて該隙間4に充填される。一方、連結金具3の部分では、該連結金具3と鉄筋1a,1bとの間隔や連結金具3の鉄筋クランプ部5の中央部分に設けたコンクリート充填用孔11から連結金具3の内側にコンクリートは充填され、該連結金具3の内側における鉄筋1aと1bとの間に形成された隙間4にセメントペーストが入り込んで充填させられる。これにより、重ね部2における鉄筋1aと1bには、コンクリートの付着で剪断抵抗力が得られ、鉄筋1a,1b間の力の伝達が確実に行われることになる。
【0031】
本発明においては、上記のように、隙間形成用挿入物9が一体に取り付けられている連結金具3を用いることにより、鉄筋1a,1bの締め付け操作時に、鉄筋1a,1bの間に隙間形成用挿入物9を挿入させることができるので、連結金具で重ね部を連結するときに該重ね部での被連結部材の間に隙間を簡単且つ迅速に作成することができて、施工性を向上させることができ、鉄筋接続の作業性を向上させることができる。更に、本発明においては、前記のように鉄筋1aと1bの各端部同士は、重ね部2の両端部分で連結金具3により堅固に連結されることから、上記重ね部2の長さを従来の結束線により結束する場合に比して短くすることができ、重ね部2に充填するコンクリート又はモルタルの打設量を低減させることができる。
【0032】
次に、
図3(a)(b)は、本発明の実施の他の形態を示すもので、接続すべき2本の鉄筋12a,12bを、端面を突き合わせるように直列に配置し、該両鉄筋12a,12bの突き合わせ側となる端部同士を繋ぐため、該端部同士に跨る長さを有する鉄筋部材からなる連結部材13を、上記鉄筋12aと12bの端部に平行に沿わせるように重ね合わせて配置して、重ね部14a,14bを形成させるようにする。次いで、上記各重ね部14aと14bの各両端部分を、前記
図1(a)(b)(c)に示した実施の形態の場合と同様に、連結金具3により連結し、上記一方の鉄筋12aの端部と他方の鉄筋12bの端部を連結部材13を介して連結するようにする。連結金具3の構成は、
図1及び
図2に示す実施の形態で用いたものと同じであり、鉄筋クランプ部5の中央部分の内側に隙間形成用挿入物9を有しており、締付部6をボルト7とナット8の螺合で締め付けるときに、上記各重ね部14a,14bの各両端部分で上記鉄筋12a及び12bと連結部材13との間に該鉄筋12a,12bと連結部材13とを非接触状態にする隙間4が同時に形成されるようにしてある。連結金具3の構成は、上記したように、
図1及び
図2に示すものと同じであり、同一のものには同一符号が付してある。
【0033】
このようにして、鉄筋12aと12bの端部と連結部材13との重ね部14a,14bの各両端部分が連結金具3で連結されると、該連結された重ね部14a,14bの周囲にコンクリートを打設するようにする。
【0034】
本実施の形態においては、重ね部14a,14bの各両端部分を、連結金具3で連結することから、接続すべき鉄筋12aと12bを、連結部材13を介して堅固に接続することができる。これにより、鉄筋12aと12bに引張力を作用させた場合に鉄筋12a,12bと連結部材13を直径方向に離反させるような動きを未然に防止することができ、これに伴い、鉄筋12a,12bと連結部材13とのそれぞれの重ね部14a,14bの長さを、建築工事標準仕様等に規定された鉄筋の重ね合わせ長さよりも短くすることができる。又、重ね部14aにおける鉄筋12aと連結部材13との間、及び重ね部14bにおける鉄筋12bと連結部材13との間には、各々隙間4が形成されているため、鉄筋12a,12bの接続後に打設されたコンクリートは鉄筋12a,12bと連結部材13との間に充填されて付着すると共に、セメントペーストは上記隙間4に充填されて該隙間4に付着する。これにより、鉄筋12aと12bとの連結を連結部材13を介して、より強固なものとすることができて、連結された鉄筋12a,12bと連結部材13との間の力の伝達を確実に行わせることが可能となる。又、
図3(b)に示す如き連結金具3を用いることにより、前記実施の形態の場合と同様の施工性を良くすることができる等、前記した実施の形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態において、連結部材13は、鉄筋と同様の部材を用いるようにすることができ、その場合に、連結部材13の直径は、接続すべき鉄筋12a,12bの直径と等しいものを用いるようにすることにより、連結金具3は、
図1及び
図2に示す重ね継手で使用する連結金具3をそのまま使用することができて有利であるが、連結部材13は、鉄筋12a,12bと同様な部材に限らず、角形断面のものを用いるようにすることもできる。
【0036】
図4(a)(b)は、本発明の実施の更に他の形態として、
図3(a)(b)の実施の形態の変形例を示すもので、
図3(a)に示す如く、接続すべき鉄筋12aと12bの端面を突き合わすように直列に配置して、該両面鉄筋12a,12bの突き合わせ側となる端部同士を、1本の連結部材13を介して連結金具3で連結させる構成に代えて、上記鉄筋12a,12bの突き合わせ側となる端部を両側から挟むように、鉄筋12a,12bの半分程度の断面積とした連結部材13a,13bを重ね合わせて重ね部14a,14bを形成し、該各重ね部14aと14bの各両端部分を、連結金具15による締め付けにより同時に隙間4を形成して連結するようにしたものである。そのために、上記連結金具15は、
図4(b)に示す如く、鉄筋クランプ部5と締付部6とからなる構成において、鉄筋クランプ部5を、鉄筋12a,12bと、その両側の小径の連結部材13a,13bの外形に沿う円弧形成部5dと5a,5bを中央部とその両端部に有し、かつ、中央部の円弧形成部5dと両端部の円弧形成部5a,5bとの間の2個所に、隙間形成用挿入物9を内向きに突出させて設けてなる構成としたものとしてある。
【0037】
上記
図4(a)(b)に示す実施の形態における隙間形成用挿入物9は、連結金具15の中央部分の円弧形成部5dの幅方向両端縁部を、両端側の円弧形成部5a,5bの方向へ平行に切断して4ヶ所に細長い細片部9aを形成し、該細長い細片部9aをそれぞれ鉄筋クランプ部5の内側に向けて屈曲させて突出させ、該突出部分を、隙間形成用挿入物9としたものである。
【0038】
図4(a)(b)に示す形態とした場合も、前記した実施の各形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
更に、
図5及び
図6は、いずれも本発明で用いる連結金具3の実施の他の形態を示すものである。
【0040】
すなわち、前記した各実施の形態で使用する連結金具は、鉄筋1aと1bとの間、鉄筋12a,12bと連結部材13との間、鉄筋12a,12bと連結部材13a,13bとの間に、隙間4を形成するための突起として、隙間形成用挿入物9を鉄筋クランプ部5に一体的に備えてなる構成のものを示したが、これに限定されるものではない。
【0041】
図5に示すものは、たとえば、
図1及び
図2に示す実施の形態において、鉄筋1aと1bの間に挟持させて隙間4を形成させるため、鉄筋クランプ部5に一体に取り付けた、隙間形成用挿入物9に代えて、連結金具3とは別体とした隙間形成用挿入物16の一端部を、締付部6に保持させるようにし、該締付部6から鉄筋クランプ部5側に他端部(先端部)を回動位置させることにより、鉄筋1a,1bの接続時に、鉄筋1aと1bの間等に挿入させて介装させておくことができるようにしたものである。
【0042】
なお、
図5に示すものは、鉄筋1aと1bの重ね継手、鉄筋12a,12bと連結部材13の重ね継手の場合を対象とする場合に適用できるものである。
【0043】
又、
図6に示すものは、隙間形成用挿入物として、連結金具3とは切り離して全く独立して扱えるようにした、隙間形成用挿入物17で、円柱状、角柱状、中央部にくびれを有する鼓状、その他細長い形状を有するものとしてある。この隙間形成用挿入物17は、鉄筋1aと1bの間、あるいは、
図3(a)(b)の鉄筋12a,12bと連結部材13の間、更には、
図4(a)(b)の鉄筋12a,12bと連結部材13a,13bの間に挟み込み、該挿入物17を挟んだ状態で上記鉄筋1aと1b等を連結金具3で締め付けて連結させることにより、鉄筋1aと1bの間等に隙間4を形成させるようにしたものである。
【0044】
そのために、
図5及び
図6に示す実施の形態は、
図3(a)(b)、
図4(a)(b)に示す各形態のものにも隙間形成用挿入物9,16に代えて適用することができるものである。
【0045】
上記
図5や
図6に示すように隙間形成用挿入物16や17を連結金具3,15の鉄筋クランプ部5とは別体とした場合には、連結金具3,15の鉄筋クランプ部5を、両端側の円弧形成部5a,5b方向の全長に亘り同一の幅寸法とすることができて、連結金具3,15の製作を容易に行うことが可能となる。
【0046】
なお、本発明は上記各実施の形態のみに限定されるものではなく、たとえば、隙間形成用挿入物9,16,17は、鉄筋1aと1bとの間、鉄筋12a,12bと連結部材13との間、鉄筋12a,12bと連結部材13a,13bとの間に挿入させた状態で、連結金具3,15を締め付けたときに、変形して厚みが減少したり、破砕して隙間形成ができなくなることがない限り、材質はどのようなものでもよく、金属製のものでなくてもよく、たとえば、モルタル製のもの、石製のものでもよい。
【0047】
又、上記した各実施の形態では、接続した鉄筋1a,1b,12a,12bの周囲にコンクリートを打設する場合について説明したが、これに限られるものではなく、たとえば、モルタルを打設するようにしてもよい。
【0048】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。