(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096463
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】アセプティック充填用キャップ付スパウト
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
B65D33/38
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-226876(P2012-226876)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-76846(P2014-76846A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】596088093
【氏名又は名称】オリヒロエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 織寛
(72)【発明者】
【氏名】大岡 新治
(72)【発明者】
【氏名】安部 直幸
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−120658(JP,A)
【文献】
特開2004−067184(JP,A)
【文献】
特開2007−161254(JP,A)
【文献】
特開2013−086809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00−33/38
B65D75/38
B65D41/20
B65D41/50
B65D47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内容液の注出路となる空間が貫通している筒状本体と、該筒状本体の下部に位置し、頂板部及び該頂板部周縁から下方に延びる溶着面を有する溶着部とから成るスパウト、及び該スパウトに係合するキャップとから成るキャップ付スパウトであって、
前記溶着部の底面には、内容物の注出路となる開口を閉塞する薄膜部が形成されており、該薄膜部の上面には、薄膜部の中央を中心とする円周状スコアが形成されており、該円周状スコアは、一部の円弧が破断不可能な円弧状スコアであり、他の部分のスコアが破断可能な円弧状スコアとして形成されており、該破断不可能な円弧状スコアの両端には、該端部から半径方向外方に延びる一対の破断可能な径方向スコアが形成されており、該一対の径方向スコアの間の前記破断不可能な円弧状スコアよりも外周側に位置する部分に、破断不可能な外周側円弧状スコアが形成されており、
前記薄膜部を下面側から押圧することにより、前記破断可能な円弧状スコアが破断され、前記破断不可能な円弧状スコアをヒンジとして、破断可能な円弧状スコア及び径方向スコアで区画される薄膜部の中央部分が、注出路内部に押し込まれることにより注出路が形成されると共に、前記外周側円弧状スコアにより前記円周状スコアによるヒンジの戻りを防止して、注出路を維持することを特徴とするキャップ付スパウト。
【請求項2】
前記破断不可能な円弧状スコアに対する中心角が45〜120°である請求項1記載のキャップ付スパウト。
【請求項3】
前記薄膜部には、前記外周側円弧状スコアを含む円周上に、さらに破断不可能な外周側円弧状スコアが複数形成され、前記円周状スコアと外周側円弧状スコアの間に複数の破断可能な径方向スコアが形成されている請求項1又は2記載のキャップ付スパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等を内容物とする包装体に溶着して使用されるスパウトに関するものであり、より詳細には、内容物充填前の薬液殺菌による薬液を効率的に除去可能であり、アセプティック充填に対応可能なキャップ付スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
液状或いはゼリー状の内容物を充填する、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムと金属箔の積層体から成る袋状の包装体等に取り付けられるスパウトは、袋状の包装体からの内容物の取出しやリシールが容易であること等から、従来より広く用いられている。
一般に、飲食品等を内容物とするスパウトを備えて成る袋状包装体においては、高温に加熱された内容物を包装体内に充填することによって衛生性を保っている。
しかしながら、内容物によっては高温にすることによって風味が変わってしまう場合があると共に、熱間充填後に冷却する必要があることから生産性の点で、スパウトが溶着されてなる袋状包装体においても、内容物を予め殺菌された包装体に無菌状態で充填する、所謂アセプティック充填に対応できることの要求が高まっている。
【0003】
アセプティック充填に対応可能なスパウトとするためには、予め電子線殺菌等で殺菌されたキャップ付スパウトを包装体と組み合わせた後に更に行う薬液による殺菌に際して、スパウトに付着する薬液、特に筒状部の内部や微細な凹凸部分に浸入する薬液が残存しないようにすることが重要である。
すなわち、スパウト或いはキャップ内に薬液が残存すると、内容物の風味を損なう等の問題を有することから、付着した薬液を完全に除去する必要があるが、かかる部分の薬液は風圧で吹き飛ばす等の簡易な方法では完全に除去することが困難であり、加熱乾燥等の煩雑な除去工程を経ると生産性やコストの点で十分満足するものではない。従って、薬液の残存を防止するためには、注出筒内部等に予め薬液が浸入しないようにすることが望ましい。
【0004】
注出筒が予め閉塞されているスパウトも知られており、例えば、下記特許文献1には、注出筒部と容器本体の開口シール部に取り付けられる取付部とを有するスパウトであって、前記注出筒部内に注出口を塞ぐ隔膜を有し、前記注出筒部の内周面に機能性樹脂層を有する多層筒状スリーブを設け、前記隔膜と前記多層筒状スリーブの下端部を前記容器本体とのシール部となる位置に位置させたことを特徴とするスパウトが提案されている。
また下記特許文献2には、パウチ(2)内の内容物の注出を行う注出筒(3)と、該注出筒(3)に連接して形成され、パウチ(2)の内面縁部に溶着固定される取付部(6)と、を備えたスパウト(1)において、注出筒(3)の下端部には封止底部(5)と摘み片(9)が設けられ、前記封止底部(5)の上方に位置する注出筒には破断可能な弱化部(8)が形成されていることを特徴とするスパウトが提案されている。
これらはいずれも使用に際して前記隔膜或いは摘み片を破断することにより内容物の注出が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−87786号公報
【特許文献2】特開2009−166898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記スパウトでは、完全に破断され、スパウトから分離した隔膜或いは摘み片が包装体内に浮遊するので、破断部分の誤飲のおそれがあると共に、そのおそれがないとしても心理的には好ましいものではない。また破断された前記隔膜や摘み片が内容物の流れによって再び内容物の流路を閉塞し、注出の妨げになるおそれもある。前記隔膜や摘み片が完全に破断されない場合も同様である。
【0007】
従って本発明の目的は、薬液による殺菌を行った場合でも、スパウト内に薬液が浸入せず、スパウトの包装体内面側において薬液の残存が有効に防止され、アセプティック充填に対応可能であると共に、内容物の注出性が損なわれないスパウトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、内部に内容液の注出路となる空間が貫通している筒状本体と、該筒状本体の下部に位置し、頂板部及び該頂板部周縁から下方に延びる溶着面を有する溶着部とから成るスパウト、及び該スパウトに係合するキャップとから成るキャップ付スパウトであって、前記溶着部の底面には、内容物の注出路となる開口を閉塞する薄膜部が形成されており、該薄膜部の上面には、薄膜部の中央を中心とする円周状スコアが形成されており、該円周状スコアは、一部の円弧が破断不可能な円弧状スコアであり、他の部分のスコアが破断可能な円弧状スコアとして形成されており、該破断不可能な円弧状スコアの両端には、該端部から半径方向外方に延びる一対の破断可能な径方向スコアが形成されており、該一対の径方向スコアの間の前記破断不可能な円弧状スコアよりも外周側に位置する部分に、破断不可能な外周側円弧状スコアが形成されており、前記薄膜部を下面側から押圧することにより、前記破断可能な円弧状スコアが破断され、前記破断不可能な円弧状スコアをヒンジとして、破断可能な円弧状スコア及び径方向スコアで区画される薄膜部の中央部分が、注出路内部に押し込まれることにより注出路が形成されると共に、前記外周側円弧状スコアにより前記円周状スコアによるヒンジの戻りを防止して、注出路を維持することを特徴とするキャップ付スパウトが提供される。
【0009】
本発明のキャップ付スパウトにおいては、
1.
破断不可能な円弧状スコアに対する中心角が45〜120°であること、
2.薄膜部には、前記外
周側円弧状スコアを含む円周上に、
さらに破断不可能な外
周側円弧状スコアが
複数形成され、前記円
周状スコアと
外周側円弧状スコアの間に複数の破断可能な径方向スコアが形成されていること、
が好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャップ付スパウトにおいては、薬液に浸漬或いは薬液を噴霧することにより殺菌を行っても、スパウトの溶着部の底面に内容物の注出路となる開口を閉塞する薄膜部が形成されているため、内容物の注出路内に薬液が浸入することがなく、薬液の残存等によって内容物の風味を損なうことが有効に防止されている。特に、円周状スコア(円弧状スコア)及び径方向スコアが薄膜部の上面に形成されているため、薬液による殺菌及び洗浄性に優れている。
しかも内容物を注出する際には、破断された薄膜部が注出路を閉塞することがないので、優れた注出性も確保されている。
すなわち、破断不可能な円弧状スコアの外側に更に、破断不可能な外周側円弧状スコアが形成されていることにより、破断不可能な円弧状スコアをヒンジとして、破断可能な円弧状スコア及び径方向スコアで区画される薄膜部の中央部分が、注出路内部に押し込まれることにより注出路を容易に形成できると共に、ヒンジの役割を果たす部分が、二重の円弧状であることにより、ヒンジの曲がりを維持しやすいことから、薄膜部の中央部分が押し込まれた状態を安定して維持することが可能になり、注出路が確実に連通した状態を維持できる。また薄膜部は破断可能な円弧状スコアでスパウトに連続しているため、薄膜部が包装体内に落下するおそれもない。
更に、円周状スコアの径を、薄膜部の切断に用いられるカッター等の切断手段の先端部分の径の大きさと略同等乃至若干小さい径にすることにより、切断手段によるスコアの切断が容易になると共に、薄膜部の中央部分の注出路内への押し込みが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のキャップ付スパウトの一例の断面図(一部側面図)である。
【
図2】
図1に示すキャップ付スパウトの側面図である。
【
図3】
図1に示すキャップ付スパウトの上面図である。
【
図4】
図2に示すキャップ付スパウトの底面図である。
【
図5】
図1に示すキャップ付スパウトのスパウトのみの断面図である。
【
図7】
図5に示すスパウトの薄膜部に形成されたスコアの形状を示す図である。
【
図8】薄膜部の破断可能なスコアの切断を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を添付図面に基づいて説明する。
図1〜
図6に示すように、本発明のキャップ付スパウトは、それぞれ別々に成形されたスパウト1とスパウト1に螺子係合により脱着可能に適用されるキャップ30から成っている。
スパウト1は、概略的に言って、内部に内容物の注出路となる空間2(以下、注出路2ということがある)が貫通している筒状本体3と、筒状本体3の下部に位置し、スパウト1を袋状包装体(図示せず)に固着するための溶着部4から成っている。筒状本体3の上部外面には、キャップ30と螺子係合するための螺子部5、後述するキャップ30のキャップ本体の内周面下部に形成された段差部下面と密着してキャップ内への薬液の浸入を防止するための環状突起6及びキャップ30のタンパーエビデントバンドを破断するための複数個の突起7,7,・・・が形成されている。溶着部4は、頂板部8及びこの頂板部8の周縁から下方に延びる溶着面9を有しており、この溶着面9に袋状包装体が溶着される。図に示す具体例においては、溶着部4には、使用樹脂を削減するために、図面の奥行き方向に延びる貫通孔10,10,・・・が複数個設けられている。
【0013】
キャップ30は、概略的に言って、天面31及び天面31から垂下するスカート部32から成るキャップ本体33と、スカート部32の下端に破断可能な弱化部34を介して一体に成形されたタンパーエビデントバンド35から成っている。
キャップ本体33の天面の31の内面には、スパウトの筒状本体3の上部の内面と密着するインナーリング36が形成されている。またスカート部32の内面には、スパウトの筒状本体3の螺子部5と係合する螺子部37が形成されている。
更にタンパーエビデントバンド35の内面には、スパウトの筒状本体3の外面に形成された複数個の突起7,7,・・・と係合する複数個のラチェット片38,38,・・・が形成されている。これにより、開封のためにキャップ30を旋回すると、突起7,7,・・・とラチェット片38,38,・・・が周方向に係合してタンパーエビデントバンド35はキャップ本体30の旋回に追従することなくスパウトに残り、一旦開封されたものであることを明示することができる。
尚、図に示す具体例においては、キャッピング時にキャップ本体33とタンパーエビデントバンド35の間の破断可能な弱化部34が破断されてしまうことを防止するために、タンパーエビデントバンド35の上端に、キャッピング時にキャップ本体スカート部下端と軸方向及び周方向に当接可能な突起39が形成されている。突起39がキャップ本体33のスカート部32下端に形成された係合凸部40及び係合凸部40,40の間の凹部41と係止することになる。
【0014】
本発明のキャップ付スパウトは、上述した基本構造において、内容物の注出路2となる開口を閉塞する薄膜部11が形成されていること、及びこの薄膜部11に上面から、薄膜部11の中央を中心とする円周状スコア12が形成されており、この円周状スコア12は、
図7に示すように、円弧ABが破断不可能な円弧状スコア12aであり、他の部分の円弧BCDAが破断可能なスコア12bとして形成されている。
また破断不可能な円弧状スコア12aの両端部A,Bには、半径方向外方に延びる一対の破断可能な径方向スコア13a,13bが形成されており、この一対の径方向スコア13a,13bの間であって、破断不可能な円弧状スコア12aよりも外周側に位置する部分に、破断不可能な外周側円弧状スコア14が形成されていることが重要な特徴である。
すなわち、本発明においては、薄膜部11が開口を閉塞していることにより、予め電子線殺菌等で殺菌されたキャップ付スパウトの内部は無菌状態が維持され、その後薬液による殺菌の際に、薬液が筒状本体3の内部に浸入することがなく、スパウト内部に薬液が残存することによる問題を生じることが有効に防止されている。
また、薄膜部11に形成される円周状スコア(破断不可能な円弧状スコア12a,破断可能な円弧状スコア12b)、径方向スコア13a,13b及び外周側円弧状スコア14は薄膜部11の上面、すなわち、筒状本体の内側に形成されていることにより、スコア或いは薄肉部の溝に薬液が付着することがなく、薬液の残存が確実に防止されている。
【0015】
本発明のキャップ付スパウトにおいて、円周状スコア12で区画される薄膜部11の中央部分15は、破断不可能な円弧状スコア12aをヒンジとして注出路内に押し込まれるが、破断不可能な円弧状スコア12aが円弧をなし、円弧ABの両端部が円弧の中央部よりも中央部分15の復元方向側に位置していることから、中央部分15が元の位置に戻ることを有効に阻止できる。しかも破断不可能な円弧状スコア12aよりも外周側に破断不可能な外周側円周状スコア14が更に位置し、二重の円弧を形成している結果、ヒンジの曲がりが維持されやすく、薄膜部11の中央部分15が注出路2内に押し込まれた状態を安定して維持することができ、注出路を確実に連通した状態が維持される。
尚、図に示す具体例においては、薄膜部11の上面には、上記必須のスコアの他に、外周側円弧状スコア14と同一円周上に破断不可能な円弧状スコア16a,16b,16c,16dが形成されていると共に、破断可能な径方向スコア13a,13bと対照の位置に半径方向外方に延びる破断可能な径方向スコア17a,17bが形成されている。
これにより、スコアを切断するためのカッター等の切断手段50により、薄膜部11が下方から押圧されると破断可能な円弧状スコア12bが切断され、次いでスコア切断手段が注出路内に進入するに従って、破断可能な径方向スコア13a,13b,17a,17bが破断されることにより、切断手段を注出路内にスムーズに押し込むことが可能になる。
更に、破断不可能な外周側円弧状スコア14を含む円周上に、破断不可能な円弧状スコア16a,16b,16c,16dが形成されていることにより、径方向スコア13a,13b,17a,17bにより分断された薄膜部の開口端縁が切断手段の進入に伴い、注出路内に折れ曲がりやすくなり、充分な大きさの注出開口を確保でき、内容物の流通も容易になる。
【0016】
図1及び
図5に示すように、本発明のキャップ付スパウトにおいては、薄膜部11が中心から周縁部にかけて中心を頂点とする傾斜面を形成するように、中心が上方に向かって凸になっていることが好適である。これにより、中央部にスコア切断手段の先端が位置しやすくなり、破断可能な円弧状スコア12bから径方向スコア13a,13b,17a,17bを均等に破断することができる。
また本発明においては、円周状スコア12の径D1(
図7参照)を、薄膜部の切断に用いられるカッター等の切断手段50の先端部分の径D2(
図8参照)の大きさと略同等乃至若干小さい径にすることにより、切断手段によるスコアの切断が容易になると共に、薄膜部の中央部分の注出路内への押し込みが容易になる。
【0017】
本発明のキャップ付スパウトにおいてはこれに限定されるものではないが、予め電子線殺菌等によって殺菌されたキャップ付スパウトの溶着部の一方の面或いは両面を袋状包装体に溶着した後、包装体と共に薬液に浸漬或いは薬液が噴霧されることにより殺菌される。次いで、風圧で薬液が除去された後、薄膜部の切断及び切断された薄膜部の筒状本体への押し込みが行われ、これによりスパウトの外面は勿論内部にいたるまで薬液が残存することが有効に防止される。
【0018】
本発明のキャップ付スパウトにおいては、上述した具体例に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、破断不可能な円弧状スコアの中心角は、図に示す具体例では90°であったが、この部分がヒンジとしての機能を果たす限りこれに限定されず、特に45乃至120°の範囲にあることが好ましい。
また破断不可能な円弧状スコア12a(円弧AB)は、ヒンジとしての折れ曲がりやすさを維持し且つ破断されることがない限り、その形態やスコア深さなどに制限はないが、
図7に示すように、連続したスコアとして形成されていることが、ヒンジとしての折曲がりやすさの点から望ましい。一方外周側円弧状スコア14は必ずしも連続したスコアでなくてもよく、いくつかに分断されていてもよい(
図7では2つに分断)。
また破断可能な径方向スコアは、
図7に示す具体例では、4個が均等に形成されていたが、これに限定されず、円周状スコアのうち破断不可能な円弧状スコアを除く、破断可能な円弧状スコアに対して、均等に形成されていることが望ましく、その数も限定されないが、3〜8の範囲にあることが好ましい。
更に
図7においては、外周側円弧状スコアと同一円周上に位置する、複数の破断不可能な円弧状スコアが形成されていたが、これに限定されず、外周側円弧状スコアを含む環状スコアとして形成されていても勿論よい。
【0019】
また図に示す具体例では、薄膜部は中心から周縁部にかけて中心を頂点とする傾斜面を形成していたが、薄膜部の下面中央に切断手段の先端を正確に案内し得る限りこれに限定されず、例えば、平坦な面或いは、薬液がたまらない程度の大きさの上方に突出する曲面で形成された凹部を薄膜部下面中央に形成する等種々の変更が可能である。
更に図に示した具体例では、タンパーエビデントバンドが形成されていたが、必ずしもタンパーエビデントバンドを設けなくてもよく、またキャップ部分をシュリンクフィルム等で覆う等して用いてもよい。
更にまた、溶着部には使用樹脂量を削減すると共に成形時のヒケ等の発生を抑制するためには凹部を形成することが望ましいが、薬液が残存することを防止すべく、図に示したような貫通孔とするか、或いは凹部に微細な角部が存在しないように曲面とすることが望ましい。
【0020】
本発明のキャップ付スパウトは、従来スパウトの成形に用いられていた、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いて、スパウト及びキャップをそれぞれ従来公知の射出成形、圧縮成形等で成形し、これらを組み合わせることによって成形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のキャップ付スパウトは、薬液による殺菌を行っても、風圧等の簡易な手段で薬液を完全に除去することが可能であり、アセプティック充填が行われる袋状包装体に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 スパウト、2 注出路、3 筒状本体、4 溶着部、11 薄膜部、12 円周状スコア、12a 破断不可能な円弧状スコア,12b 破断可能な円弧状スコア、13 破断可能な径方向スコア、14 破断不可能な外周側円弧状スコア、30 キャップ、50切断手段。