特許第6096476号(P6096476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タカノ株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人信州大学の特許一覧

<>
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000002
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000003
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000004
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000005
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000006
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000007
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000008
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000009
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000010
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000011
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000012
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000013
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000014
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000015
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000016
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000017
  • 特許6096476-点滴スタンド 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096476
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】点滴スタンド
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/16 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A61J1/16 D
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-249475(P2012-249475)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-97118(P2014-97118A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】倉田 文博
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝生
(72)【発明者】
【氏名】栗田 浩
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−028478(JP,A)
【文献】 特開平11−137639(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/070260(WO,A1)
【文献】 特開2011−126608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪及び後輪が取り付けられる脚部と後方から掴まれるハンドル部とを有するメインフレームと、点滴バッグを吊り下げる引っ掛け部材と、前記引っ掛け部材を支持する鉛直フレームと、前記鉛直フレームを揺動可能に前記メインフレームに連結する連結手段と、前記メインフレームの後方への傾斜時に前記鉛直フレームを揺動させて鉛直状態を維持する揺動手段とを備え、前記メインフレームは全輪を接地させての自立と全輪走行とが可能であると共に、前記ハンドル部を掴んで後方に傾けられることで前記前輪を持ち上げた状態での牽引走行が可能であることを特徴とする点滴スタンド。
【請求項2】
前記前輪は旋回可能であることを特徴とする請求項1記載の点滴スタンド。
【請求項3】
全輪接地状態では、上から見て、前記鉛直フレームは前記前輪と前記後輪の間に位置していることを特徴とする請求項1または2記載の点滴スタンド。
【請求項4】
前記連結手段は前記鉛直フレームを着脱自在に前記メインフレームに連結することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の点滴スタンド。
【請求項5】
全輪接地状態での自立時に、前記メインフレームを他の点滴スタンドのメインフレームに水平方向に重ねることが可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の点滴スタンド。
【請求項6】
前記揺動手段は、前記鉛直フレームの前記連結手段よりも低い位置に設けられた錘であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つであることを特徴とする点滴スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点滴スタンドに関する。さらに詳述すると、本発明は、患者等と共に移動することに適した点滴スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
点滴スタンドとして、例えば特許文献1に開示されたものがある。この点滴スタンドを図17に示す。点滴バッグを吊り下げる棒状体101を支持する支柱102は、脚部103に垂直に固定されている。脚部103は四方に広がる4本の脚羽根103aを有しており、各脚羽根103aの先端にはキャスタ104が設けられている。
【0003】
この点滴スタンドは脚部103にキャスタ104が設けられて移動可能になっており、点滴中の患者が点滴バッグを吊した点滴スタンドを動かして脇に携えながら目的の場所へと移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−284251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の点滴スタンドは、患者は自分の足が脚部103にぶつからないように四方に広がる脚部103の外側に立つ必要があり、体に近い位置で点滴スタンドを掴むことができない。しかも、患者は点滴スタンドを動かすために支柱102を掴むことになり、力を伝えるのに適した構造とはいえない。さらに、上記の点滴スタンドは脚部103に支柱102を立てた構成であり、重心が高くなる。しかも、点滴バッグは支柱102の上端の棒状体101に吊すので、使用状態では尚更重心が高くなる。また、患者は立った状態で支柱102を掴むので、支柱102の比較的高い位置を押すまたは引くことになる。さらに、四方に広がる脚部103に設けたキャスタ104で走行する構成であり、段差の乗り越えに不向きである。これらのため、上記の点滴スタンドは使い勝手と安定性に劣る。
【0006】
また、例えばスーツケースのような車輪の付いた移動体では、押して前進させる場合には全輪を接地させての全輪走行が走行性に優れており、牽引する場合には片側の車輪を持ち上げた状態での2輪走行が走行性に優れている。そのため、点滴スタンドの走行性や使い勝手を良くするために、スーツケースのように走行させることも考えられる。しかしながら、点滴スタンドは点滴バッグを高い位置に吊り下げながら使用されるという特殊性を有しており、上記図17に示す点滴スタンドをそのままスーツケースのように走行させることはできず、仮にスーツケースのように走行させたとしても使い勝手が悪く、走行安定性に劣るものとなる。
【0007】
本発明は、使い勝手が良く、安定性に優れた点滴スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の点滴スタンドは、前輪及び後輪が取り付けられる脚部と後方から掴まれるハンドル部とを有するメインフレームと、点滴バッグを吊り下げる引っ掛け部材と、引っ掛け部材を支持する鉛直フレームと、鉛直フレームを揺動可能にメインフレームに連結する連結手段と、メインフレームの後方への傾斜時に鉛直フレームを揺動させて鉛直状態を維持する揺動手段とを備え、メインフレームは全輪を接地させての自立と全輪走行とが可能であると共に、ハンドル部を掴んで後方に傾けられることで前輪を持ち上げた状態での牽引走行が可能であるものである。
【0009】
したがって、点滴スタンドは全輪接地状態で自立する。使用者はハンドル部を掴んで点滴スタンドを前方に向けて押しながら、又は後方に向けて引きながら移動する。前方に向けての押しながらの移動は全輪走行となり、後方に向けての引きながらの移動はメインフレームが傾いて前輪を持ち上げた状態での牽引走行になる。牽引走行時にメインフレームを傾けるとその傾斜に応じて鉛直フレームがメインフレームに対して揺動し、鉛直状態が維持される。
【0010】
また、請求項2記載の点滴スタンドは、前輪が旋回可能になっている。したがって、前進時の旋回が容易になる。
【0011】
また、請求項3記載の点滴スタンドは、全輪接地状態では、上から見て、鉛直フレームが前輪と後輪の間に位置するものである。したがって、自立時の鉛直フレームの重心が前後の車輪の間に位置することになる。
【0012】
また、請求項4記載の点滴スタンドは、連結手段が鉛直フレームを着脱自在にメインフレームに連結するものである。したがって、鉛直フレームを外してベッドサイド等の別の場所に移動させることができる。
【0013】
また、請求項5記載の点滴スタンドは、全輪接地状態での自立時に、メインフレームを他の点滴スタンドのメインフレームに水平方向に重ねることが可能なものである。したがって、複数の点滴スタンドを間を詰めて並べることができる。
【0014】
さらに、請求項6記載の点滴スタンドは、揺動手段が鉛直フレームの連結手段よりも低い位置に設けられた錘としている。したがって、鉛直フレーム(錘及び鉛直フレームに吊り下げられた物品も含む全体)の重心が低くなり、メインフレームが傾斜しても鉛直フレームの角度は鉛直に維持される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の点滴スタンドでは、メインフレームにハンドル部が設けられているので、使用者がメインフレームのすぐ近くに立つことができると共に、ハンドル部を掴んで押し引きすることができ、点滴スタンドに力を伝え易く、移動させるのが容易である。また、メインフレームを傾けても鉛直フレームは鉛直に維持されるので、安定性を向上させることができる。また、メインフレームを傾斜させても鉛直フレームの姿勢は鉛直に維持される。これらのため、点滴スタンドの使い勝手と安定性を向上させることができる。
【0016】
また、請求項2記載の点滴スタンドでは、前輪を旋回可能にしているので、前進時の旋回動作が容易であり、使い勝手をより一層向上させることができる。
【0017】
また、請求項3記載の点滴スタンドでは、自立時の鉛直フレームの重心を前後の車輪の間に位置させることができるので、メインフレームがより一層倒れ難くなり、安定性をより向上させることができる。
【0018】
また、請求項4記載の点滴スタンドでは、メインフレームから鉛直フレームを外してベッドサイド等の別の場所に移動させることができるので、使い方の幅が広がり使い勝手をより一層向上させることができる。
【0019】
また、請求項5記載の点滴スタンドでは、複数の点滴スタンドを間を詰めて並べることができるので、収納に必要な場所を狭くすることができる。
【0020】
さらに、請求項6記載の点滴スタンドでは、揺動手段を鉛直フレームの連結手段よりも低い位置に設けられた錘としているので、自然の力を利用して鉛直フレームを鉛直状態に維持することができる。そのため、簡単な構成で且つ確実で信頼性の高い揺動手段を低コストで提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の点滴スタンドの第1の実施形態を示し、その全輪走行時の側面図である。
図2】同点滴スタンドを示し、その牽引走行時の側面図である。
図3】同点滴スタンドを示し、その自立状態の正面図である。
図4図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図5】同点滴スタンドを示し、その連結手段を拡大して示す背面図である。
図6図5のVI−VI線に沿う断面図である。
図7】連結手段の操作を示し、左側半部は鉛直フレームを取り外すことができない状態の断面図、右側半部は鉛直フレームを取り外すことができる状態の断面図である。
図8】連結手段の操作を示し、(A)は鉛直フレームを取り外すことができない状態の断面図、(B)は鉛直フレームを取り外すことができる状態の断面図である。
図9】連結手段を示し、鉛直フレームを取り外した状態の背面図である。
図10】複数の点滴スタンドを水平方向に重ねて並べた様子を示す側面図である。
図11図10のXI−XI線に沿う断面図である。
図12】連結手段の変形例を拡大して示す背面図である。
図13図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
図14】本発明の点滴スタンドの第2の実施形態を示し、その全輪走行時の側面図である。
図15】同点滴スタンドを示し、その牽引走行時の側面図である。
図16】同点滴スタンドを示し、その自立状態の正面図である。
図17】従来の点滴スタンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1図11に本発明の点滴スタンドの実施形態の一例を示す。点滴スタンドは、前輪1及び後輪2が取り付けられる脚部3bと後方から掴まれるハンドル部3aとを有するメインフレーム3と、点滴バッグを吊り下げる引っ掛け部材5と、引っ掛け部材5を支持する鉛直フレーム6と、鉛直フレーム6を揺動可能にメインフレーム3に連結する連結手段7と、メインフレーム3の後方への傾斜時に鉛直フレーム6を揺動させて鉛直状態を維持する揺動手段8とを備え、メインフレーム3は全輪を接地させての自立と全輪走行とが可能であると共に、ハンドル部3aを掴んで後方に傾けられることで前輪1を持ち上げた状態での牽引走行が可能になっている。
【0024】
本実施形態の点滴スタンドは使用者が後ろ側に立つものとし、使用者が押す方向を前方向(図1の右方向)、使用者が牽引する方向を後方向(図1の左方向)とする。
【0025】
本実施形態のメインフレーム3は脚部3bの上に支柱部3cを設け、この支柱部3cの上にハンドル部3aを設けている。脚部3b、支柱部3c、ハンドル部3aは1本の例えばパイプを折り曲げることで一体に形成されている。メインフレーム3を構成するパイプはその中央部分を下向きの略U字状に曲げられてハンドル部3aとなり、下方に延びて左右一対の支柱部3cとなり、さらに前方に向けて曲げられて左右一対の脚部3bとなっている。左右の脚部3bは前方に向けて間隔を狭めている。左右の脚部3bの先端には前輪1が取り付けられる台板9が設けられている。なお、メインフレーム3を構成する部材はパイプに限られず、例えば棒材、長尺の板材や無垢材等でも良い。また、その材料は、例えば金属、樹脂等であるが、これらには限られない。
【0026】
本実施形態の点滴スタンドは、前輪1が一輪、後輪2が二輪の三輪車となっているが、これに限られず、例えば、前輪1が二輪、後輪が二輪の四輪車としても良く、その他でも良い。また、前輪1を例えばキャスタにして旋回可能にするのが好ましいが、旋回可能でなくても良い。また、後輪2を例えばキャスタにして全輪を旋回可能にしても良い。さらに、本実施形態では、前輪1よりも後輪2を大径にしており、段差の乗り越えを容易にしている。
【0027】
前輪1は台板9の底面に旋回可能に取り付けられている。また、左右の後輪2は支柱部3cと脚部3bとの間の湾曲部分に設けられた後輪取付用ブラケット10に取り付けられている。左右の後輪2は同軸上に設けられている。
【0028】
鉛直フレーム6は高い位置に点滴バッグを吊すためのもので、棒あるいはパイプで形成されている。本実施形態では鉛直フレーム6を上下2分割することで伸縮可能になっている。上側フレーム6aは下側フレーム6bよりも細く、下側フレーム6bの上端面に設けた軸方向に延びるガイド孔6c内に上側フレーム6aの下端を挿入し、その挿入量を変えることで鉛直フレーム6を伸縮可能にしている。下側フレーム6bのガイド孔6cの内径は上側フレーム6aの外径とほぼ同じであり、上側フレーム6aは下側フレーム6bに対してがた付かずに軸方向に真っ直ぐ案内される。
【0029】
鉛直フレーム6には係止手段11が設けられており、係止手段11を緩めることで鉛直フレーム6を伸縮可能とし(ロック解除)、係止手段11を締め付けることで鉛直フレーム6を伸縮できないようにロックする。本実施形態の係止手段11はグリップ付きのねじであり、下側フレーム6bに設けられた径方向のねじ孔6dに係止手段11をねじ込み、その先端を上側フレーム6aの外周面に押し付けるとともに、上側フレーム6aの外側面をガイド孔6cの内径に押し付けることで上側フレーム6aを固定して鉛直フレーム6を伸縮できないようにする。一方、係止手段11を緩めることで係止手段11の先端が上側フレーム6aから離れるとともに、上側フレーム6aの外側面をガイド孔6cの内径から離すことで、鉛直フレーム6の伸縮が可能になる。ただし、係止手段11としては、必ずしもグリップ付きのねじに限られない。例えば、上側フレーム6aに上下方向に並ぶ複数の孔をあけておき、係止手段11であるピンが飛び込む事で係止される構造であっても良い。
【0030】
鉛直フレーム6の上端には、点滴バッグを吊すフックが設けられた引っ掛け部材5が固定されている。本実施形態では棒状の引っ掛け部材5の両端を湾曲させることで2つのフックを設けている。鉛直フレーム6の上端の引っ掛け部材5に点滴バッグを吊すことで、高い位置に点滴バッグを吊すことができる。
【0031】
連結手段7は、メインフレーム3と鉛直フレーム6とのいずれか一方に設けた軸部7aを、いずれか他方に設けた軸受け部7bで受けるもので、本実施形態ではメインフレーム3側に軸部7aを設け、鉛直フレーム6側に軸受け部7bを設けているが、メインフレーム3側に軸受け部7bを設け、鉛直フレーム6側に軸部7aを設けても良い。軸受け部7bによって軸部7aを支持する、あるいは軸部7aによって軸受け部7bを支持することでメインフレーム3に対して鉛直フレーム6を揺動可能に連結している。本実施形態では鉛直フレーム6を左右の支柱部3cの間に連結しているが、連結位置は左右の支柱部3cの間に限られない。
【0032】
また、本実施形態では軸部7aと軸受け部7bとの間に所定の大きさの摩擦力を意識的に発生させて鉛直フレーム6が揺動し過ぎないようにしている。即ち、メインフレーム6を傾けた場合に鉛直フレーム6がいつまでもフラフラしないように軸部7aと軸受け部7bとの間に所定の大きさの摩擦力を意識的に発生させて移用している。ただし、このように摩擦力を意識的に発生させて利用しなくても良く、自然に発生する摩擦力に任せるようにしても良い。
【0033】
軸受け部7b及び軸部7aは鉛直フレーム6を挟んで左右両側に設けられている。左右の軸受け部7b及び軸部7aは同軸上に並べられている。
【0034】
また、本実施形態の連結手段7は鉛直フレーム6をメインフレーム3に対して着脱自在にしている。連結手段7の軸受け部7bは、鉛直フレーム6の下側フレーム6bの上端部に取り付けられた固定部7cと、固定部7cに対して回転可能な回転部7dより構成され、回転部7dを回転させて回転部7dの切り欠き7fを固定部7cの切り欠き7gに合わせて大きな1つの出入口にすることで、当該出入口を通して軸部7aの出し入れを可能にする(図7の右側半部、図8(B))と共に、回転部7dの切り欠き7fを固定部7cの切り欠き7gからずらすことで出入口の半分を塞いで軸部7aの通り抜けを禁止する(図7の左側半部、図8(A))。
【0035】
固定部7cは下側フレーム6bの上端に当該下側フレーム6bの径方向に突出するように設けられている。また、回転部7dは固定部7cの先端面の凸部に回転可能に嵌め込まれている。固定部7c及び回転部7dは鉛直フレーム6を挟んで左右両側に同軸上に設けられている。左右の回転部7dは操作レバー7eによって連結されており、同一方向に同一角度だけ回転される。また、左右の回転部7dは操作レバー7eによって連結されることでその間隔が一定に維持されているので、回転部7dから外れることがない。
【0036】
本実施形態では、操作レバー7eを持ち上げると回転部7dの切り欠き7fが固定部7cの切り欠き7gに合い1つの大きな出入口になり(図7の右側半部、図8(B))、操作レバー7eを降ろすと回転部7dの切り欠き7fが固定部7cの切り欠き7gからずれて出入口の半分が塞がれる(図7の左側半部、図8(A))。
【0037】
軸部7aは支柱部3cの軸受け部7bに対向する位置に設けられている。本実施形態では左右の支柱部3cと左右の軸受け部7bとの間に隙間ができるため、左右の軸部7aにはスペーサ12が嵌め込まれており、軸受け部7bのがたつきを防止すると共に、鉛直フレーム6を左右の支柱部3cの中央に位置決めしている。
【0038】
揺動手段8は、メインフレーム3が後方に傾けられた場合にその角度に応じて鉛直フレーム6を揺動させて鉛直状態を維持するものであり、本実施形態では揺動手段8として鉛直フレーム6の連結手段7よりも低い位置に錘(以下、錘8という)を設けている。錘8は、引っ掛け部材5に点滴バッグを吊している場合であっても鉛直フレーム6を鉛直に立てておくことができる重さを有している。本発明の点滴スタンドは前後の車輪1,2を使用して走行するので、錘8の重量は特に問題にならない。一方、錘8を低い位置に設けることで、点滴スタンド全体の重心が低くなるので、点滴スタンドの安定性が増す。揺動手段8として錘を使用することで、鉛直フレーム6の姿勢維持に重力を利用することができる。錘8は下側フレーム6bの下端に固定されており、鉛直フレーム6と一緒にメインフレーム3から取り外されて、取り外した状態の鉛直フレーム6の姿勢維持にも寄与する。
【0039】
本実施形態のメインフレーム3の支柱部3cは前方に向けて傾斜しており、全輪接地状態では、上から見て、鉛直フレーム6を前輪1と後輪2の間に位置させている。即ち、支柱部3cは脚部3bとハンドル部3aを繋ぎ、脚部3bの後端から上方に延びるに従って前方に湾曲し、中間部にて後方に湾曲しハンドル部3aに繋がる側面視くの字形状をなしている。そして、当該くの字形状のほぼ前方において、鉛直フレーム6と連結手段7により連結されている。これにより、自立時の鉛直フレーム6の重心が前後の車輪1,2の間に位置するので、メインフレーム3がより一層倒れ難くなり、安定性をより向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の点滴スタンドは、全輪接地状態での自立時に、メインフレーム3を他の点滴スタンドのメインフレーム3に水平方向に重ねることが可能である(図10図11)。本実施形態では、メインフレーム3の左右の脚部3bの間隔を前側ほど狭くすると共に、左右の支柱部3cを前方に傾斜させており、点滴スタンドの前部を別の点滴スタンドの後部に差し込んで重ねて並べることができる。すなわち、複数の全輪接地状態の点滴スタンドを前後に並べ、間隔を詰めて収納することができる。そのため、収納に必要な場所を狭くすることができる。
【0041】
点滴スタンドは、全輪接地状態では自立している。そのため、ベッドサイド等の任意の場所に止めて使用することができる。また、不使用時には邪魔にならない場所に止めておくことができる。
【0042】
点滴スタンドは、自立状態からそのまま押して前進させる即ち全輪走行させることもできるし(図1)、自立状態から後ろに倒して例えばスーツケースのように引く、即ち牽引走行させることもできる(図2)。前進時には全輪で走行させるので、点滴バッグを引っ掛け部材5に吊していても倒れ難く、走行安定性に優れている。また、後方への牽引走行では2輪で走行させるので、安定性を損なわずに軽快に走行させることができる。さらに、揺動手段8としての錘を低い位置に設ける等して全体の重心を低くしているので、安定性に優れている。これらのため、使い勝手を大変良くすることができる。
【0043】
鉛直フレーム6は連結手段7によってメインフレーム3に連結されており、鉛直フレーム6には揺動手段8が設けられているので、牽引走行のためにメインフレーム3を後ろに傾けると、その傾きに応じて連結手段7の軸部7aが軸受け部7bに対して回転し、鉛直フレーム6は鉛直状態に維持される。また、自立させるためにメインフレーム3の傾きを戻すと、その傾きに応じて軸部7aが軸受け部7bに対して逆方向に回転し、やはり鉛直フレーム6は鉛直状態に維持される。このように、鉛直フレーム6を常に鉛直状態に維持することができ、鉛直フレーム6が傾いて点滴バッグが落下したり点滴バッグから延びるチューブが絡まる等の不都合を防止することができ、この点からも使い勝手を大変良くすることがでる。
【0044】
鉛直フレーム6は取り外して使用することもできる。即ち、操作レバー7eを持ち上げると、連結手段7の軸受け部7bの回転部7dの切り欠き7fが固定部7cの切り欠き7gに合って1つの大きな出入口(軸部7aが通り抜け可能な通路)になるので、そのまま軸受け部7bを軸部7aから外して鉛直フレーム6を取り外すことができる。そして、連結手段7の軸部7aを例えばベッドサイド等の別の場所に設けておくことで、その場所に鉛直フレーム6を取り付けることができる。
【0045】
また、鉛直フレーム6をメインフレーム3に取り付ける場合には、連結手段7の軸受け部7bの回転部7dの切り欠き7fを固定部7cの切り欠き7gに合わせた状態で、軸受け部7bを軸部7aに嵌め込めば良い。軸受け部7bを軸部7aに嵌め込んだ後、操作レバー7eを降ろすことで回転部7dの切り欠き7fが固定部7cの切り欠き7gからずれて軸部7aから軸受け部7bが外れなくなる(図7左側半部、図8(A))。これにより、鉛直フレーム6がメインフレーム3に揺動可能に連結される。
【0046】
点滴スタンドのメインフレーム3の脚部3bは、図17の点滴スタンドの脚部103のように四方に広がるものではなく、使用者の歩行の邪魔になり難い。特に、本実施形態のメインフレーム3は左右の脚部3bの間隔が後ろ側ほど広がっており、使用者の足がぶつかり難い。そのため、全輪走行では、点滴スタンドに近づいた状態で押すことができる。また、使用者はハンドル部3aを掴んで押すので、押す力を点滴スタンドに伝えやすい。また、点滴スタンドは自立するため、使用者が体重をある程度かけることができ、歩行の補助となる。また、後輪2に比較的大径の車輪を使用しているため、図17の点滴スタンドのように全輪がキャスタの場合に比べて、段差を乗り越えやすい。さらに、前輪1が旋回可能であり、方向転換が容易である。これらのため、点滴スタンドの使い勝手と安定性を向上させることができる。
【0047】
また、牽引走行では、点滴スタンドを左右の後輪2で二輪走行させることができるため、軽快に移動させることができる。
【0048】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0049】
例えば、上述の説明では、鉛直フレーム6を伸縮可能にすると共に係止手段11としてグリップ付きのねじを使用していたが、係止手段11はこれに限られない。例えば、図12図13に示すように鉛直フレーム6を締め付けるカムを使用しても良い。
【0050】
鉛直フレーム6の下側フレーム6bの上端部には、上側フレーム6aが貫通する厚肉部11aが設けられており、左右の軸受け部7bの固定部7cは厚肉部11aの両側に設けられている。また、厚肉部11aの後面には係止手段11としてのカム(以下、カム11という)を揺動可能に収容するスリット11bが設けられており、スリット11b内に収容されたカム11はシャフト11cによって揺動可能に支持されている。
【0051】
図13に2点鎖線で示す揺動位置では、カム11の操作部11dは上側フレーム6aから離れている。したがって、この状態では、上側フレーム6aは下側フレーム6bに対して昇降可能であり、鉛直フレーム6は伸縮可能になっている。一方、図13に実線で示す係止位置では、カム11の操作部11dが上側フレーム6aの外周面を係止しており、上側フレーム6aの昇降は禁止され、鉛直フレーム6の長さは固定されている。この状態では、カム11の操作部11dは若干弾性変形しており、カム11から手を離してもカム11が上側フレーム6aから外れることはない。このように、係止手段11の操作がワンタッチ操作になり、使い勝手がより向上する。
【0052】
また、上述の説明では、鉛直フレーム6を伸縮可能にしていたが、鉛直フレーム6を伸縮可能にしなくても良い。この場合には、鉛直フレーム6を1本の棒又はパイプで構成することが可能になり、構成の簡略化による製造コストの低減と軽量化を図ることができる。
【0053】
また、上述の説明では、鉛直フレーム6と一緒に揺動手段8を取り外す構成であったが、揺動手段8を残したまま鉛直フレーム6を取り外すようにしても良い。この場合の例を図14図16に示す。揺動手段8には左右一対の吊り下げ部材8aが設けられており、各吊り下げ部材8aの上端に設けられたリング部8bを左右の軸部7aに通すことで、揺動手段8は左右の軸部7aに吊り下げられている。揺動手段8には鉛直フレーム6を差し込む孔8cが設けられている。
【0054】
鉛直フレーム6をメインフレーム3に取り付ける際に鉛直フレーム6の下端を揺動手段8の孔8cに挿入することで、メインフレーム3を後方に傾けた場合に揺動手段8によって鉛直フレーム6を揺動させて鉛直状態を維持することができる。また、鉛直フレーム6をメインフレーム3から取り外す際に鉛直フレーム6の下端を揺動手段8の孔8cから引き抜くことで、揺動手段8を残したまま鉛直フレーム6を取り外すことができる。
【0055】
また、上述の説明では、連結手段7によって鉛直フレーム6をメインフレーム3に着脱自在にしていたが、鉛直フレーム6は着脱できなくても良い。
【0056】
また、上述の説明では、全輪接地状態での自立時にメインフレーム3を他の点滴スタンドのメインフレーム3に水平方向に重ねることができるようにしていたが、必ずしも、水平方向に重ねることができるようにしなくても良い。
【0057】
また、点滴スタンドのハンドル部3aの高さ調節を可能にしても良い。例えば、ハンドル部3aのサイドフレーム部分や支柱部3cを伸縮可能にすることで、ハンドル部3aの高さ調節を可能にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 前輪
2 後輪
3 メインフレーム
3a ハンドル部
3b 脚部
5 引っ掛け部材
6 鉛直フレーム
7 連結手段
8 揺動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17