(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、ボールを有した一対のスライド機構は、引き出しの両側面上に、あるいは、引き出しの底面上に、設置される。そのようなスライド機構は、一対の内側レールと、一対の外側レールと、を備えている。内側レールは、外側レールによって被覆されるとともに、外側レールに対して連結される。内側レールと外側レールとは、互いに対して、前後方向にスライド移動する。
【0003】
スライド機構の内側レールと外側レールとの間にはギャップが存在していることのために、内側レールが外側レールに対して移動した際には、内側レールは、非一様な力によって悪影響を受けかねず、容器の内外にわたって同期的に移動することができない。したがって、設置されたときには、引き出しは、ぐらついてしまったり、無用の反発効果を引き起こしてしまったり、する。
【0004】
改良のためには、
図26および
図27に示すように、特許文献1に開示されているように、同期化デバイス9が、容器81および引き出し82の間に配置された一対のスライド機構83に関して設けられている。これにより、引き出し82は、容器81に対して、安定的にかつ円滑に前後方向に移動することができる(図面には、ただ1つのスライド機構だけが図示されている)。スライド機構83の各々は、容器81の内部に配置された長手方向スライドレール831を備えている。同期化デバイス9は、スライドレール831の下方に配置された2つのガイドラック91(図面には、ただ1つのものだけが例示されている)と、引き出し82上に配置された2つの連結デバイス92(図面には、ただ1つのものだけが図示されている)と、2つの連結デバイス92の間にわたって回転可能に配置された回転機構93と、を備えている。回転機構93は、2つのガイドラック91に沿って移動可能とされている。同期化デバイス9が左右において対称的な部材であることのために、図面には、図示の簡略化のために、同期化デバイス9の一方サイドの部材だけが図示されている。
【0005】
各ガイドラック91は、対応するスライドレール831上に配置されたラック歯911と、引き出し82に近接してラック歯911に対して平行に延在する長手方向リッジバー912と、を備えている。各連結デバイス92は、引き出し82の背面上に配置された取付プレート921と、取付プレート921上に配置されていて上下に移動可能とされたベアリング座922と、ベアリング座922から延出されているとともにリッジバー912向けて突出しておりリッジバー912の底部に対して当接するための当接プレート923と、を備えている。回転機構93は、対応するベアリング座922内において回転可能に配置された2つのシャフト931と、2つのシャフト931を相互連結するとともに2つのシャフト931を同期させるチューブ状スピンドル932と、シャフト931に対して固定されているとともにガイドラック91のラック歯911に対して着脱可能に噛合する2つのスピンドルギヤ933と、を備えている。
【0006】
引き出し82が外部へと引き出されたときには、回転機構93は、引き出し82の移動と一緒に駆動される。各ピニオンギヤ933は、対応するラック歯911に対して噛合しながら、対応するラック歯911上を移動する。当接プレート923は、ベアリング座922と一緒に上下方向に移動可能であるとともに、リッジバー912の底面を支持し、これにより、外力に基づいて引き出し82が逸脱するときにピニオンギヤ933がラック歯911から係合解除してしまうことを防止する。ピニオンギヤ933は、ガイドラック91上を移動することができる。スライド機構83が、ガイドラック91に対して斜めに組み立てられたときには、ピニオンギヤ933は、引き出し82の移動に影響を及ぼすことなく、ラック歯911上をなおも移動することができる。それは、取付プレート921に対して上下方向に移動するためのベアリング座922の格別の構成が使用されているからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】引き出しと、引き出しスライド機構と、本発明による同期化デバイスの好ましい第1実施形態と、を示す斜視図である。
【
図2】引き出しスライド機構上に取り付けられた好ましい第1実施形態を示す分解斜視図である。
【
図3】好ましい第1実施形態を示す長手方向の部分断面図である。
【
図4】好ましい第1実施形態を示す部分的な横断面図であって、ピニオンギヤがガイドユニットのラック部材に対して噛合している様子を示している。
【
図5】
図4と同じ図であるものの、ピニオンギヤがガイドユニットの移動ダンパーに対して噛合している様子を示している。
【
図6】本発明の好ましい第2実施形態を示す部分断面図である。
【
図7】本発明の好ましい第3実施形態を示す長手方向の部分断面図である。
【
図8】好ましい第3実施形態を示す部分的な横断面図である。
【
図9】引き出しと、引き出しスライド機構と、本発明による同期化デバイスの好ましい第4実施形態と、を示す斜視図である。
【
図10】好ましい第4実施形態を示す部分的な斜視図である。
【
図11】本発明による同期化デバイスの好ましい第5実施形態を示す部分断面を含む平面図である。
【
図12】好ましい第5実施形態を示す側面図である。
【
図13】
図12に示す好ましい第5実施形態の一部を拡大して示す側面図である。
【
図14】本発明の好ましい第6実施形態を示す部分断面を含む正面図である。
【
図15】好ましい第6実施形態を示す部分断面を含む側面図である。
【
図16】同期化デバイスの好ましい第7実施形態の一部を拡大して示す部分断面を含む正面図であって、移動ダンパーに対して噛合したピニオンギヤを示している。
【
図17】好ましい第7実施形態の一部を拡大して示す部分断面を含む他の正面図であって、ラック部材に対して噛合したピニオンギヤを示している。
【
図18】好ましい第7実施形態において、移動ダンパーに対して噛合したピニオンギヤの一部を拡大して示す側面図である。
【
図19】本発明による同期化デバイスの好ましい第8実施形態を示す分解斜視図である。
【
図20】好ましい第8実施形態を示す部分断面を含む横断面図である。
【
図21】好ましい第8実施形態における潤滑性ボディとピニオンシャフトとを示す部分的な断面図である。
【
図22】好ましい第8実施形態における移動伝達コネクタの取付プレートを示す部分断面図である。
【
図23】本発明による同期化デバイスの好ましい第9実施形態を示す分解斜視図である。
【
図24】好ましい第9実施形態を示す部分断面を含む平面図である。
【
図25】本発明による同期化デバイスの好ましい第10実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明について詳細に説明する前に、本明細書にわたって、同様の部材には、同じ符号が付されていることに注意されたい。
【0017】
図1〜
図5には、本発明の第1実施形態による同期化デバイスを備えた容器1が、例示されている。容器1は、2つの側方プレート12の間にスペース11を規定している。引き出し2は、容器1に対して前後方向にスライドし得るよう、一対の引き出しスライド機構3と協働する。側方プレート12は、引き出し2が受領スペース11内に受領されたときには、引き出し2の両サイドに延在している。これに代えて、同期化デバイスは、キャビネットや多機能容器(あるいは、オーガナイザー)等の中に設けることもできる。
【0018】
引き出しスライド機構3は、側方プレート12と引き出し2との間に配置されている。引き出しスライド機構3の各々は、側方プレート12上に配置された第1スライド部材31と、引き出し2の側部に配置されるとともに第1スライド部材31に対してスライド可能とされた第2スライド部材32と、第1スライド部材31と第2スライド部材32との間のスライド距離を長くし得るよう、第1スライド部材31と第2スライド部材32との間において移動可能に配置された中間スライド部材33と、を備えている。好ましくは、
図4に示すように、引き出しスライド機構3の各々は、さらに、第1スライド部材31と中間スライド部材33との間に配置された、および、中間スライド部材33と第2スライド部材32との間に配置された、複数のボール34を備えている。ボール34により、第1スライド部材31と中間スライド部材33との間のスライド性を増強することができ、また、中間スライド部材33と第2スライド部材32との間のスライド性を増強することができる。しかしながら、本発明は、ここで説明した特定の詳細に限定されるものではない。実際の実施に際しては、引き出しスライド機構3の各々は、第1および第2のスライド部材31,32だけを備えることもできる。引き出し2が容器1に対して移動するように引っ張られたときには、第2スライド部材32が、第1スライド部材31に対してスライドし、これにより、引き出し2の移動を案内することができる。引き出しスライド機構3が、当業者には周知であることにより、引き出しスライド機構3のさらなる詳細については、簡略化のために、ここではその説明を省略する。
【0019】
引き出しスライド機構3どうしのスライド移動を互いに同期させるための同期化デバイスは、左右方向において両サイドに位置した一対の長手方向ガイドユニット4と、回転機構6と、を備えている。右サイドのガイドユニット4と、回転機構6とが、図示の簡略化のために、各図面において図示されている。
【0020】
この実施形態においては、ガイドユニット4は、引き出しスライド機構3を案内するために、第1スライド部材31の頂部に取り付けられている。ガイドユニット4の各々は、前後方向において互いに離間して配置された複数のラック歯412を有して形成された長手方向ラック部材41と、回転機構6の回転を制動し得るよう、ラック部材41に対して連結されているとともにラック部材41に対して長手方向において位置合わせされた移動ダンパー42と、を備えている。
【0021】
この実施形態においては、2つの移動ダンパー42が、ラック部材41の前端および後端に対して連結されている。移動ダンパー42の各々は、歯付き部分421を備えている。歯付き部分421は、ラック部材41の前端および後端のところへとラック部材41に対して長手方向に位置合わせされており、ラック部材41に対して一体的に連結されている。当然のことながら、歯付き部分421の数は、減らすことができる。例えば、ラック部材41の前端および後端のいずれか一方に対して一体的に連結されたただ1つの歯付き部分421だけを設けることができる。
【0022】
図2,3,4に示すように、ラック部材41は、長手方向に延在するなおかつ互いに平行に延在する一対の保持壁411を備えている。複数のラック歯412は、互いに実質的に同じ高さを有しており、保持壁411どうしの間に配置されている。ラック部材41は、さらに、複数のラックグルーブ413を有している。複数のラックグルーブ413は、ラック歯412の間に形成されているとともに、互いに一様な深さを有している。歯付き部分421は、同じ高さでもって保持壁411に対して一体的に連結された一対の支持壁422と、複数のプレス歯423と、を有している。複数のプレス歯423は、ラック歯412に対して長手方向において位置合わせされているとともに、ラック歯412よりも高いものとされ、さらに、支持壁422どうしの間に配置されている。歯付き部分421は、さらに、プレス歯423どうしの間に形成された複数のプレスグルーブ424を有している。
【0023】
この場合、プレス歯423は、回転機構6の回転を減速させて制動し得るよう(詳細に後述する)、ラック歯412から離間するにつれて、ラック歯412からの高さの超過分が次第に増大するものとされている。当然のことながら、プレス歯423の高さは、回転機構6の相対移動を制御し得るよう、ステップ的に増大させることができる。したがって、本発明は、この実施形態における態様に限定されるものではない。さらに、この実施形態においては、3つのプレス歯423が例示されているけれども、プレス歯423の数は、3つに限定されるものではない。例えば、移動ダンパー42は、実際の実施に際しては、ただ1つのプレス歯423だけを有したものとして形成することができる。
【0024】
図1に示すように、回転機構6は、一対の移動伝達コネクタ5を備えている。一対の移動伝達コネクタ5は、引き出し2の左右の両サイドに設置されており、第2スライド部材32の後端に対して固定されており、これにより、引き出し2と一緒に移動することができる。しかしながら、実際の実施に際しては、移動伝達コネクタ5は、また、引き出し2の後端に設置することもできる。移動伝達コネクタ5の各々は、第2スライド部材32の後端に設置された連結プレート51と、連結プレート51内に設けられたシャフト支持ボディ56と、後述するように、回転機構6のピニオンシャフト61に対して当接し得るよう、シャフト支持ボディ56内に配置された潤滑性ボディ54と、を備えている。
【0025】
連結プレート51は、第2スライド部材32に対してリベット止めされた固定部511と、固定部511から上向きに延出された取付部512と、を有している。取付部512は、取付開口513を有して形成されており、シャフト支持ボディ516が、この取付開口513内に取り付けられている。この場合、シャフト支持ボディ56は、ピニオンシャフト61を軸支するための軸支部52と、ピニオンシャフト61の一方の側部において軸支部52の頂部上に一体的に配置された潤滑剤供給部分53と、軸支部52と潤滑剤供給部分53との間に配置された係止プレート58と、軸支部52の底部から延出された固定部57と、を有している。軸支部52と係止プレート58とは、協働的に、軸支穴55を形成している。軸支部52は、軸支穴55を挟んで対向している2つの互いに離間したシャフト当接壁522を有している。
【0026】
潤滑剤供給部分53は、軸支穴55に対して空間的に連通した保持スペース531と、連結プレート51に対して係合するために、潤滑剤供給部分53の頂部から延出された係合部533と、を有している。当然のことながら、保持スペース531は、保持スペース531が軸支部55に対して空間的に連通している限りにおいては、軸支部52内に、あるいは、シャフト支持ボディ56の他の部分内に、形成することができる。この実施形態においては、シャフト支持ボディ56の係合部533および固定部57は、取付開口513に対して係合し得るよう、上下方向に互いに離間して配置されている。しかしながら、代替可能な例においては、係合部533および固定部57は、取付開口513の左右のエッジに対して係合し得るよう構成することができる、あるいは、シャフト支持ボディ56および連結プレート51は、一体部材として形成することができる。
【0027】
潤滑性ボディ54は、オイルを収容した吸収性ブロックとされ、コットンやスポンジ等から形成され、潤滑性オイルを収容している。潤滑性ボディ54は、保持スペース531内に配置されているとともに、軸支穴55内へと突出している。
【0028】
回転機構6は、さらに、潤滑性ボディ54に対して接触することとなる移動伝達コネクタ5の軸支部52内において回転可能に取り付けられた一対のピニオンシャフト61と、ピニオンシャフト61どうしの回転を互いに同期させるために、ピニオンシャフト61どうしを相互連結するためのスピンドル62と、ピニオンシャフト61に対して一体的に連結されているとともにガイドユニット4に対して噛合する一対のピニオンギヤ63と、を有している。各ピニオンシャフト61は、潤滑剤供給部分53の近傍において取付開口513内に配置された軸体611と、スピンドル62に対して連結されたスピンドル連結部612と、対応するピニオンギヤ63に対して連結されたピニオン連結部613と、を有している。軸体611は、チューブ状部分614と、このチューブ状部分614を囲む非剛直な外側カバー615と、を有している。スピンドル連結部612は、チューブ状部分614の内部において同軸的に延在している。チューブ状部分614とスピンドル連結部612とは、協働して、環状挿入スペース619を形成している。チューブ状部分614は、剛直なプレートから形成され、外側カバー615は、ソフトな材料から形成されている。
【0029】
潤滑性ボディ54は、所定期間にわたって連続的に潤滑性オイルを供給することができる。潤滑性オイルが枯渇したときには、潤滑性ボディ54は、再充填することができる、あるいは、交換することができる。潤滑性ボディ54を使用した場合には、軸体611は、従来技術の問題点を回避することができる。従来技術の問題点とは、従来的な態様でもって軸体に対して適用される潤滑性オイルが、たとえ大量の潤滑性オイルが軸体に対して適用されたにしても、エアに対しての露出に基づいて、および/または、回転時に軸体の摩擦動作に基づいて、容易に乾燥してしまうことである。
【0030】
ピニオン連結部612は、非円形の横断面形状を有している。スピンドル62は、スピンドル連結部612を受領し得るよう、スピンドル62の両端部に、係合穴621を有している。係合穴621の各々は、対応するスピンドル連結部612の横断面形状と相補的な非円形の横断面形状を有している。スピンドル62の両端部は、環状スペース619内に挿入されている。これにより、ピニオンシャフト61は、スピンドル62に対して相対回転することがない。スピンドル62がチューブ状部分614によって囲まれていて、各ピニオンシャフト61のスピンドル連結部612を受領していることのために、ピニオンシャフト61が、軸支部52を通してすなわち軸支穴55を通して延在することによって、移動伝達コネクタ5上に組み付けられたときには、スピンドル62は、スピンドル連結部612の回転軸線に対して正確に中心合わせされ、これにより、軸体611は、偏心的な回転を起こすことがない。したがって、ピニオンギヤ63がラック部材41上においてアンバランスな態様で移動してしまうことを、防止することができる。
【0031】
各ピニオンギヤ63は、ラック歯412およびプレス歯423に対して係合しつつ移動し、これにより、ガイドユニット4上において回転する。保持壁411および支持壁422のおかげで、ピニオンギヤ63は、ガイドユニット4からの分離が防止され、これにより、異常発生の可能性が低減される。この実施形態においては、ガイドユニット4からのピニオンギヤ63の分離を防止するために、保持壁411および支持壁422が使用されているけれども、保持壁411および支持壁422は、実際の実施においては、省略することもできる。本発明は、ここで例示した特定の詳細に限定されるものではない。
【0032】
回転機構6が、ガイドユニット4の後端から前端へと移動させる際には、回転機構6の移動を、第2スライド部材32の後端の移動ダンパー42の歯付き部分421によって、妨害することができる。この状況においては、外力を印加することができ、これにより、2つのピニオンギヤ63を、歯付き部分421を超えて移動させることができ、それぞれのラック部材41を位置合わせさせつつ移動させることができ、これにより、位置ズレを防止することができる。
【0033】
図1,3,4に示すように、使用者が引き出しを引いたときには、引き出し2は、引き出しスライド機構3の第2スライド部材32を駆動する。よって、第2スライド部材32は、移動伝達コネクタ5と一緒に移動し、これにより、回転機構6のピニオンギヤ63どうしを同期的に駆動する。ピニオンギヤ63が、それぞれ対応するラック部材41上において係合しながら移動する際には、2つのピニオンギヤ63の回転や回転角度は、全く同じであり、これにより、引き出し2の両側面上における2つの第2スライド部材32の同期的な移動を確保することができる。したがって、引き出し2に対して不均一な力が印加されたとしても、逸脱という問題点を避けることができる。
【0034】
図1,3,5に示すように、引き出し2が完全に閉塞されたときにはあるいは完全に開放されたときには、ピニオンギヤ63のそれぞれは、移動ダンパー42の歯付き部分421へと移動する。ピニオンギヤ63は、ラック歯411から離間する向きに移動する際には、プレス歯423によって次第に上昇される。これと同時に、各ピニオンシャフト61は、それぞれの軸支穴55内において上向きに次第に上昇し、より緊密に、係止プレート58に対して当接する。これにより、移動ダンパー42の歯付き部分421とピニオンギヤ63との間において、増大された圧力が生成される。したがって、歯付き部分421と、対応するピニオンギヤ63と、の間の摩擦が増大し、回転機構6の移動速度を減速させる。回転機構6は、
図3において仮想線で示すようにピニオンギヤ63が歯付き部分421の端部に対して完全に係止されたときには、完全に停止する。これにより、衝撃の発生およびノイズの発生が回避される。
【0035】
図2,3,4に示すように、各ピニオンシャフト61の横断面形状は、厳密には円形ではない。なぜなら、ピニオンシャフト61は、射出成形プロセスによって形成されているからであり、射出成形物品は、収縮に基づいて変形し得るからである。ピニオンシャフト61が円形ではないことにより、ピニオンシャフト61の回転時には、ノイズが発生しかねない。本発明においては、ピニオンシャフト61の非剛直な外側カバー615は、ソフトな材料から形成されており、硬質の軸支部52に対して回転的にかつ緩衝的に接触する。したがって、ノイズを除去することができる。これにより、ピニオンシャフト61の耐用年数を延長することができ、制動効果を増大させることができ、突発的な移動を妨害することができる。
図2,3,5に示すように、ピニオンギヤ63が歯付き部分421へと移動し、さらに、ピニオンシャフト61が係止プレート58に対して緊密に当接したときには、外側カバー615は、変形することができ、これにより、ピニオンシャフト61と軸支部52との間におけるノイズの発生を防止することができる。ピニオンギヤ63が移動ダンパー42から離間する向きに移動したときには、ソフトな外側カバー615は、元々の形状へと復帰することができる。このことは、ピニオンシャフト61の回転を促す。
【0036】
さらに、ピニオンシャフト61は、第2スライド部材32および引き出し2と一緒に移動するシャフト当接壁522によって押されたときには、対応するシャフト支持ボディ56のシャフト当接壁522に対して当接し、軸支スペース55内において回転する。ピニオンシャフト61の上部は、潤滑性ボディ54に対して当接し、これにより、ピニオンシャフト61と軸支部52との間において潤滑された状態を維持することができる。これにより、摩擦を低減することができて、ピニオンシャフト61の円滑な回転を増強することができる。したがって、ノイズを低減し得るとともに、同期化デバイスの耐用年数を延長することができる。
【0037】
ピニオンギヤ63がガイドユニット4の歯付き部分421上を移動する際には、歯付き部分421は、ピニオンギヤ63を次第に上昇させ、これにより、ピニオンシャフト61を係止プレート58に向けて持ち上げる。これにより、ピニオンシャフト61は、係止プレート58によって次第に押圧され、ピニオンシャフト61の回転は、減速されて、最終的には停止する。厳密には円形ではないピニオンシャフト61の回転によって引き起こされるノイズを避けるため目的で、外側カバー615が、チューブ状部分614の外周縁を囲んだ態様で、設けられている。
【0038】
さらに、ピニオンギヤ63が歯付き部分421上を移動したときには、係止プレート58が、ピニオンシャフト61を次第に押圧する。この時点で、潤滑剤が、摩擦を低減しさらに摩耗を回避して回転および当接に寄与するために、ピニオンシャフト61と係止プレート58との間において、必要とされる。従来的な態様でもって潤滑剤がピニオンシャフト61に対して単純に適用される場合には、ピニオンシャフト61の回転時には、エアによって、また、摩擦動作によって、容易に乾燥することができる。潤滑性ボディ54が、ピニオンシャフト61と係止プレート58との間における一定の潤滑作用を維持し得ることにより、潤滑剤は、容易には乾燥しない。これにより、摩耗を回避することができる。
【0039】
加えて、チューブ状部分614は、ノイズを低減し得るよう、外側カバー615によって被覆されているけれども、外側カバー615は、大きな摩擦係数を有しており、ピニオンシャフト61の回転を妨害し得る。本発明においては、潤滑性ボディ54が、長期間にわたって、外側カバー615の外周縁を潤滑することができる。これにより、回転の妨害を避けることができ、よって、ピニオンシャフト61の回転を促進することができる。
【0040】
言い換えれば、ガイドユニット4の歯付き部分421と、外側カバー615と、潤滑性ボディ54と、の連携により、同期化デバイスは、ノイズおよび摩擦を低減する効果と、ピニオンギヤ63の速度を減速させる効果と、を有している。
【0041】
図6は、本発明による同期化デバイスの好ましい第2実施形態を示している。この好ましい第2実施形態は、好ましい第1実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、歯付き部分421のプレスグルーブ424は、ラックグルーブ413の深さよりも小さな深さを有しており、ラックグルーブ413から離間する向きに次第に上昇している。プレス歯423は、ラック歯412と同じ高さを有している。ピニオンギヤ63が移動ダンパー42に向けて移動する際には、プレスグルーブ424が、ピニオンギヤ63を次第に持ち上げ、ピニオンシャフト61が係止プレート58に対して当接する。これにより、ピニオンシャフト61と係止プレート58との間の相対移動を制限する。この実施形態においては、プレスグルーブ424の深さは、次第に減少しているけれども、本発明は、この態様に限定されるものではない。実際の実施に際しては、互いに隣接する2つのプレスグルーブ424の間の距離を、次第に低減させることができ、プレス歯423の幅を、次第に増大させることができる。これにより、ピニオンギヤ63の持ち上げ効果を得ることができる。
【0042】
図7および
図8は、本発明による同期化デバイスの好ましい第3実施形態を示している。この好ましい第3実施形態は、好ましい第1実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、歯付き部分421の支持壁422は、保持壁411から離間する向きにおいて、保持壁411からの高さが次第に増大している。ピニオンギヤ63が歯付き部分421に向けて移動する際には、ピニオンシャフト61のピニオン接触部分613は、支持壁422によって次第に持ち上げられる。これにより、軸支部分611は、係止プレート58に対して次第に当接する。これにより、回転機構6の相対移動が制限される。
【0043】
図9および
図10は、本発明による同期化デバイスの好ましい第4実施形態を示している。この好ましい第4実施形態は、好ましい第1実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、移動伝達コネクタ5の配置状況が変更されている。この実施形態においては、各移動伝達コネクタ5の連結プレート51は、引き出し2の背面上に固定されている。これにより、回転機構6に対して連結されており、引き出し2と一緒に移動することができる。
【0044】
図11〜
図13は、本発明による同期化デバイスの好ましい第5実施形態を示している。この実施形態においては、回転機構6は、各々が対応する中間スライド部材33上に配置された一対のピニオンシャフト65を有している。ピニオンシャフト65は、対応するピニオンギヤ63に対して連結されている。ガイドユニット4は、2対をなす互いに離間した上側および下側のラック部材43,41と、下側ラック部材41の両端部上に配置された2つの移動ダンパー42と、を有している。移動ダンパーにより、上側ラック部材43と下側ラック部材41との間におけるピニオンギヤ63の相対移動を制限することができる。
【0045】
下側ラック部材41は、引き出しスライド機構3の第1スライド部材31の内側上に設置されている。上側ラック部材43は、引き出しスライド機構3の第2スライド部材32の内側上に設置されている。各ピニオンギヤ63は、中間スライド部材33上に設置されており、対応する上側および下側のラック部材43,41に対して噛合することができる。
【0046】
一方の歯付き部分421は、下側ラック部材41の前端に対して一体的に連結されている。他方の歯付き部分421は、下側ラック部材41の後端に対して一体的に連結されている。しかしながら、実際の実施に際しては、歯付き部分421は、上側ラック部材43上に配置することもできる。これに代えて、一方の歯付き部分421を、下側ラック部材41に対して連結することができ、他方の歯付き部分421を、上側ラック部材43に対して連結することができる。加えて、歯付き部分421の数は、減らすことができる。例えば、上側および下側のラック部材43,41の一方の前端に対して連結されたただ1つの歯付き部分421を設けることができる、あるいは、上側および下側のラック部材43,41の一方の後端に対して連結されたただ1つの歯付き部分421を設けることができる。しかしながら、本発明は、この態様に限定されるものではない。
【0047】
使用者が引き出し2を引っ張ったときには、引き出しスライド機構3は、前後方向において容器1に対して相対移動するように、駆動される。したがって、各第2スライド部材32は、対応する上側ラック部材43と一緒に移動する。上側ラック部材43は、対応するピニオンギヤ63と係合し、これにより、対応する中間スライド部材33を同期的に移動させる。引き出し2が完全に開放される際にはあるいは完全に閉塞される際には、各ピニオンギヤ63は、歯付き部分421の一方へと移動し、次第に持ち上げられる。これにより、各ピニオンシャフト65は、対応する移動ダンパー42に対して押圧されて当接する。各ピニオンギヤ63の移動は、減速され、最終的には、対応する移動ダンパー42の端部において停止する。これにより、衝撃を回避し得るとともに、ノイズを低減することができる。
【0048】
図14および
図15は、本発明による同期化デバイスの好ましい第6実施形態を示している。この好ましい第6実施形態は、好ましい第3実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、移動伝達コネクタ5が省略されており、ガイドユニット4の構成と、回転機構6の構成とが、変更されている。
【0049】
ガイドユニット4のラック部材41は、第1スライド部材31の内側の底部に対して連結されており、さらに、長手方向スライドグルーブ414を有している。長手方向スライドグルーブ414は、ラック歯412と交差しており、ラック歯412の先端の中央ポイントから下向きに延在する凹所である。したがって、ラック歯412は、左右の列へと分割されている。移動ダンパー42は、さらに、傾斜グルーブ425を有している。傾斜グルーブ425は、プレス歯423と交差しており、プレス歯423の先端の中央ポイントから下向きに延在する凹所であり、さらに、スライドグルーブ414に対して長手方向に連接するようにして連結されている。傾斜グルーブ425は、スライドグルーブ414の深さよりも小さな深さを有しており、スライドグルーブ414から離間する向きにおいてスライドグルーブ414から次第に浅くなっている。当然のことながら、ガイドユニット4は、代替可能な例においては、個別部材として構成することができる。例えば、2つの離間した左右のラック部材を、スライドグルーブ414および傾斜グルーブ425に対応する長手方向グルーブの両サイドに配置することができる。しかしながら、本発明は、このような詳細に限定されるものではない。
【0050】
スピンドル62は、両端部を有している(一方の端部だけが図示されている)。両端部のそれぞれは、第2スライド部材32に対して回転可能に連結されている。各ピニオンギヤ63は、ピニオンギヤ63の中央部から径方向に突出するカムホイール部分64を有している。カムホイール部分64は、ピニオンギヤ63の歯を左右の領域へと分割しているとともに、スライドグルーブ414内において回転可能とされている。実際の実施に際しては、ピニオンギヤ63およびカムホイール部分64は、個別部材から構成することができる。例えば、1つのカムホイールを、2つのピニオンギヤの間に挟むことができる。しかしながら、本発明は、このような詳細に限定されるものではない。
【0051】
図14および
図15に示すように、ピニオンギヤ63がラック部材41上を係合しつつ移動したときには、カムホイール部分64が、スライドグルーブ414内を回転する。ピニオンギヤ63が移動ダンパー42に向けて移動する際には、カムホイール部分64が、傾斜グルーブ425によって持ち上げられる。これにより、スピンドル62が、持ち上げられ、第2スライド部材32に形成された軸支穴(図示せず)を規定している上エッジ(図示せず)に対して、より緊密に係合する。これにより、ピニオンギヤ63の速度が、次第に減速する。
【0052】
図16〜
図18は、本発明による同期化デバイスの好ましい第7実施形態を示している。この好ましい第7実施形態は、好ましい第3実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、移動伝達コネクタ5が省略されており、ガイドユニット4の構成と、回転機構6の構成とが、変更されている。
【0053】
この実施形態においては、ラック歯412およびプレス歯423は、下向きに突出している。各ラック部材41は、さらに、ラック歯412を有して形成された水平方向に延在する長手方向ベース壁418と、ベース壁418に対して垂直に連結されていてラック歯412の一方サイドにおいて鉛直方向に延在するスライド壁415と、スライド壁415に形成された長手方向スライド穴414Aと、を有している。歯付き部分421は、さらに、ベース壁418上に形成された複数のプレス歯423を有している。プレス歯423は、ラック歯412に対して一体的に連結されているとともに、ラック歯412に対して長手方向において位置合わせされている。歯付き部分421は、さらに、スライド壁415に対して長手方向に連結されているとともにスライド壁415から連続的に延在されたガイド壁426と、ガイド壁426内に形成されているとともにスライド穴414に対して長手方向に連結された傾斜穴425Aと、スライド穴414Aおよび傾斜穴425Aを規定する係止面420と、を有している。傾斜穴425Aは、スライド穴414Aの幅よりも狭い幅を有している。これにより、傾斜穴425Aを規定している下エッジ419は、スライド穴414Aから離間する向きにおいて、スライド穴414Aを規定している下エッジ419からの高さが、次第に増大している。
【0054】
この実施形態においては、回転機構6は、ピニオンギヤ63に対して連結されたカムホイール64を有している。ピニオンギヤ63がラック部材41のラック歯412上をスライドしたときには、カムホイール64が、ラック部材41の延在方向に沿ってスライド穴414A内を回転する。ピニオンギヤ63が移動ダンパー42に向けて移動する際には、カムホイール64が、傾斜穴425A内を回転して、持ち上げられ、傾斜穴425Aの上方の係止面420に対して、より緊密に係合する。これにより、ピニオンギヤ63の速度が、次第に減速する。
【0055】
図19〜
図22は、本発明による同期化デバイスの好ましい第8実施形態を示している。この好ましい第8実施形態は、好ましい第4実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。この実施形態においては、回転機構6のピニオンシャフト61は、軸支部分611と、スピンドル連結部分612と、ピニオン連結部分613と、軸支部分611とピニオン連結部分613とを連結する連結部分616と、を有している。連結部分616は、軸支部分611に対して連結されているとともに軸支部分611から径方向に延出された環状フランジ617と、環状フランジ617とピニオン連結部分613とを相互連結しているとともに環状フランジ617とピニオン連結部分613との間において径方向の凹所を形成しているネック部分618と、を有している。
【0056】
各ガイドユニット4は、さらに、チャネル部材44を有している。チャネル部材44は、ラック部材41と、移動ダンパー42と、を受領している。チャネル部材44は、実質的に、C字形状の横断面を有している。さらに、チャネル部材44は、ラック歯412およびプレス歯423の上方に延在する長手方向頂部壁441と、ラック歯412およびプレス歯423の下方に延在する底部壁444と、ラック歯412およびプレス歯423の一方の側部において頂部壁441の一端から下向きに延在するとともに頂部壁441と底部壁444とを連結する連結壁442と、ラック歯412およびプレス歯423の他方の側部において連結壁442に対して対向して形成されたチャネル開口445と、頂部壁441の他端からチャネル開口445に向けて下向きに延在する制限壁443と、を有している。制限壁443は、環状フランジ617とピニオン連結部分613との間において、ネック部分618の上方に配置されている。これにより、ピニオンギヤ63は、ガイドユニット4から飛び跳ねることもなくまたガイドユニット4から逸脱することもなく、ガイドユニット4に沿って長手方向に安定的に移動することができる。
【0057】
この実施形態においては、各移動伝達コネクタ5の連結プレート51は、取付部分512を有している。取付部分512は、取付開口513に対して連結された上側のU字形状の開口端部を有している。連結プレート51は、さらに、取付開口513の周囲において取付部分512上に配置されたU字形状の係合ストリップ514を有している。係合ストリップ514は、2つの離間したベアリングセグメント516と、2対のスナップセグメント516と、を有している。各対のスナップセグメント516は、ベアリングセグメント515の一方上に配置されており、
図22に示すように、取付部分512に対して位置決めされている。各移動伝達コネクタ5のシャフト支持ボディ56は、潤滑剤供給部分53と、潤滑剤供給部分53から下向きに延在するC字形状のフック部分59と、潤滑剤供給部分53のの両サイドに形成された2つのスライドスロット532と、を有している。スライドスロット532は、ベアリングセグメント515に対して、上下方向に移動可能な態様でもって、スライド的に係合することができる。ベアリングセグメント515およびスライドスロット532の構成により、シャフト支持ボディ56は、連結プレート51に対して、上下方向に移動可能である。
【0058】
フック部分59は、潤滑剤供給部分53の一方の側部から下向きに延在しており、その後、潤滑剤供給部分53の他方の側部に向けて湾曲している。これにより、フック部分59および潤滑剤供給部分53は、協働して、フックスペース50を形成することができる。フック部分59は、軸支部分611の底部を支持し、ピニオンシャフト61を移動させ得るようにして、軸支部分611を包囲する。フック部分59は、フックスペース50に対して連通する貫通穴521を有している。軸支部分611の頂部は、潤滑性ボディ54に対して接触している。軸支部分611がフックスペース50内に挿入されていることのために、さらに、貫通穴521がフックスペース50に対して空間的に連通していることのために、軸支部分611は、係合ストリップ514のベアリングセグメント515に対して接触することができる。したがって、シャフト支持ボディ56は、上下方向に移動し、これにより、軸支部分611に対して潤滑オイルを供給することができる。
【0059】
ピニオンシャフト61の回転時には、連結プレート51のベアリングセグメント515は、回転する軸支部分611の両サイドに対して当接する。すなわち、取付穴513のU字形状の開口端と、ベアリングセグメント515とは、協働して、ベアリングとして機能する。このような構成は、移動可能なベアリング座を使用している特許文献1の構成とは、明確に相違している。加えて、ベアリングセグメント515は、ピニオンシャフト61との接触面積が比較的小さなものとされている。これにより、ピニオンシャフト61とベアリングセグメント515との間の回転摩擦力を低減することができる。チューブ状部分614は、スピンドル62を囲んでおり、スピンドル連結部分612は、係合穴621内に挿入されている。したがって、チューブ状部分614と、スピンドル62と、スピンドル連結部分612とは、互いをカバーしており、ベアリングセグメント515によって受領される。したがって、スピンドル62は、過度に回転したり逸脱したりすることが防止され、ラック部材41上を移動するピニオンギヤ63の安定性に悪影響を及ぼすことがない。特許文献1は、移動可能なベアリング座が、ピニオンギヤのシャフトを軸支するためのチューブ状ベアリングを有していることを開示しており、また、2つのピニオンギヤを相互連結しているスピンドルが、ベアリング座内に受領される必要がないことを開示している。特許文献1に開示されたスピンドルが過度に振動したとしても、ピニオンギヤは、安定的に回転することができる。しかしながら、上述したベアリング座は、比較的大きな摩擦面積を有しており、引き出しの開閉の円滑さに悪影響を及ぼす力を生成する。
【0060】
この実施形態においては、チャネル部材44の制限壁443が、ピニオンシャフト61の上向きのジャンプ移動を制限する。これにより、回転機構6は、ラック部材41に沿って安定的に移動することができ、ピニオンギヤ63のジャンプを回避することができる。シャフト支持ボディ56が連結プレート51に対して上下方向に移動可能であることのために、ガイドユニット4が水平方向において適切に設置されなかった場合であってさえ、対応するラック部材41に対して噛合しているピニオンギヤ63は、対応するガイドユニット4に沿ってなおも移動することができ、シャフト支持ボディ56を連結プレート51に対して上下方向に移動させることができる。好ましくは、この実施形態においては、補助的な潤滑性ボディ446が、制限壁443上に配置されている。ピニオンギヤ63が移動ダンパー42上を回転する際には、連結部分616は、補助的潤滑性ボディ446に対して接触することができる。したがって、構成部材の組立は、好都合である。この実施形態においては、シャフト支持ボディ56が連結プレート51に対して移動可能とされているけれども、実際の実施に際しては、シャフト支持ボディ56を省略することができる。したがって、シャフト支持ボディ56が設けられているかどうかは、本発明を限定するものではない。
【0061】
図23および
図24は、本発明による同期化デバイスの好ましい第9実施形態を示している。この好ましい第9実施形態は、好ましい第3実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、この実施形態においては、移動ダンパー42の2つの支持壁422は、これら支持壁どうしの間に幅を有している。この幅は、保持壁411から離間する向きにおいて、保持壁411の幅よりも次第に狭くなっている。言い換えれば、支持壁422どうしは、互いに接近するようにして、延在している。ピニオンギヤ63が歯付き部分421上を移動する際には、ピニオンシャフト61の軸支部分611は、次第に持ち上げられて、係止プレート58に対してより緊密に当接する。これにより、回転機構6の回転速度を減速することができる。
【0062】
図25は、本発明による同期化デバイスの好ましい第10実施形態を示している。この好ましい第10実施形態は、好ましい第2実施形態の構成に対して、全体的に同様の構成を有している。しかしながら、この実施形態においては、移動ダンパー42のプレスグルーブ424の幅は、ラック部材41のラックグルーブ413の幅よりも狭いものとされている。移動ダンパー42のプレス歯423の幅は、ラック部材41のラック歯412の幅よりも広いものとされている。言い換えれば、プレスグルーブ424は、ラック部材41から離間する向きにおいて、ラック部材41から次第に狭くなっている。プレス歯423は、ラック部材41から離間する向きにおいて、ラック部材41から次第に幅が広くなっている。よって、ピニオンギヤ63が移動ダンパー42上を回転する際には、プレスグルーブ424と噛合するピニオンギヤ63は、次第に持ち上げられ、これにより、ピニオンシャフト61が次第に持ち上げられ、最終的には、ピニオンシャフト61は、係止プレート58に対して緊密に当接する(
図5参照)。これにより、回転機構6の回転速度を減速させることができる。
【0063】
要約すれば、本発明による同期化デバイスにおいては、移動ダンパー42が設けられていることのために、回転機構6のピニオンギヤ63が、ガイドユニット4の移動ダンパー42の歯付き部分421上を移動する際には、移動ダンパー42によってピニオンシャフト61が次第に持ち上げられ、これにより、ピニオンシャフト61が係止プレート58に対して緊密に当接する。これにより、回転機構6の速度を減速させることができる。外側カバー615を有したピニオンシャフト61の複合構造のおかげで、非円形のピニオンシャフト61の回転時に生成される衝撃ノイズを、除去することができる。加えて、潤滑性ボディ54を使用している構成に基づき、ピニオンシャフト61が持ち上げられて押圧された際に、ピニオンシャフト61の摩耗を回避することができる。上記の特徴点やそれらに基づく利点は、互いに関連するものであり、出願の単一性の要件を満たすものである。